特許第5918306号(P5918306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5918306置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンの合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918306
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンの合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/16 20060101AFI20160428BHJP
   A61P 1/00 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 3/04 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 15/00 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 25/04 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 25/06 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 25/18 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 25/20 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 25/22 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 25/26 20060101ALN20160428BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20160428BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALN20160428BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160428BHJP
【FI】
   C07D471/16
   !A61P1/00
   !A61P3/04
   !A61P15/00
   !A61P25/04
   !A61P25/06
   !A61P25/18
   !A61P25/20
   !A61P25/22
   !A61P25/26
   !A61P43/00 111
   !A61K31/4985
   !C07B61/00 300
【請求項の数】24
【全頁数】81
(21)【出願番号】特願2014-126495(P2014-126495)
(22)【出願日】2014年6月19日
(62)【分割の表示】特願2009-553626(P2009-553626)の分割
【原出願日】2008年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-208676(P2014-208676A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】60/906,473
(32)【優先日】2007年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ−セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA−CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100067035
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 光隆
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・チャールズ・トメッシュ
(72)【発明者】
【氏名】リ・ペン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ・ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・キアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・デイビッド・ビアード
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・エス・トンプソン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・フア
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−502331(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0239768(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0128713(US,A1)
【文献】 特表2003−502336(JP,A)
【文献】 特表2004−536798(JP,A)
【文献】 Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition,John Wiley & Sons,Inc,1999年,p.494-505
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D471/00−471/22
C07B 61/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の式2J:
【化1】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Xは、Nであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;
(vii)R10は、HまたはC1−4アルキルであり;
(viii)R6aおよびR6bはHであり:および
(ix)Rは、4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチルまたは3−(4−フルオロフェノキシ)プロピルである。〕
の化合物の製造方法であって、
A)遊離形または塩形の式2E:
【化2】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(v)Bは、式:
【化3】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(vi)Rは、Hであり;
(vii)R、RおよびRは、Hであり;および
(viii)X−Y−は、H(R’)N−CH−またはH(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC−Cアルキルである。]である。〕
の化合物を、(a)パラジウム、銅、ニッケル、白金、ルテニウムおよびロジウムからなる群から選択される遷移金属触媒;(b)塩基;および(c)フェノールリガンドまたはアミンリガンドで処理して
遊離形または塩形の式2G’:
【化4】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Bは、式:
【化5】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;
(vii)X−Yは、
【化6】
であり;および
(viii)R10はHまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物を生成する工程と、
B)任意の順序で以下の工程:
(i)R10がHである場合、窒素をアルキル化してR10をC1−4アルキルに変換する工程;
(ii)X−Yが
【化7】
である場合、カルボニルを還元してX−Yを
【化8】
に変換する工程;
(iii)Bを脱保護して水素に変換し、得られるNHをアルキル化して式2Jの化合物を生成する工程;
の1つ以上の工程を含み、そして
C)遊離形または塩形の式2Jの化合物を単離する工程を含む、方法。
【請求項2】
遊離形または塩形の式2G’:
【化9】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Bは、式:
【化10】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;
(vii)X−Yは、
【化11】
であり;および
(viii)R10はHまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物の製造方法であって、
式2E:
【化12】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(v)Bは、式:
【化13】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(vi)Rは、Hであり;
(vii)R、RおよびRは、Hであり;および
(viii)X−Y−は、H(R’)N−CH−またはH(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC−Cアルキルである。]である。〕
の化合物を、(a)パラジウム、銅、ニッケル、白金、ルテニウムおよびロジウムからなる群から選択される遷移金属触媒;(b)塩基;および(c)フェノールリガンドまたはアミンリガンドで処理する工程を含み、
ここで該リガンドが、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である、方法。
【請求項3】
上記遷移金属触媒が、銅触媒である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記遷移金属触媒が、CuI、CuCl、CuBr、CuBr、酢酸Cu(II)、CuCl、CuOおよびCuからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
上記遷移金属触媒が、CuIである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記塩基が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムおよびリン酸カリウムからなる群から選択される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
上記塩基が、炭酸カリウムである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
10が、C1−4アルキルである、請求項〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
10が、メチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
遊離形または塩形の式2G:
【化14】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Bは、式:
【化15】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;および
(vii)R10は、HまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物のケトンを、還元剤を使用して還元することにより、
遊離形または塩形の式2H:
【化16】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Bは、式:
【化17】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;
(vii)XはNであり;
(viii)R10は、HまたはC1−4アルキルであり;および
(ix)R6aおよびR6bは、独立して、Hからなる群から選択される。〕
の化合物製造する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記還元剤が、金属水素化物;ボラン;有機ボラン;触媒の存在下、水素;塩基の存在下、ヒドラジン水和物;または亜鉛アマルガムおよび水性鉱酸;からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記還元剤が、ボランである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記還元剤が、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)またはボラン−テトラヒドロフラン錯体(ボラン−THF)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記還元剤が、ボラン−THFである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
遊離形または塩形の式2F’:
【化18】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Bは、式:
【化19】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;および
(vii)−X−Y−は、−(R’)N−CH−または−(R’)N−C(O)−[式中、R’はHである。]である。〕
の化合物を、塩基の存在下、ハロゲン化アルキルを用いてN−アルキル化することにより、遊離形または塩形の式2G’:
【化20】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Bは、式:
【化21】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;
(vii)X−Yは、
【化22】
であり;および
(viii)R10はHまたはC1−4アルキルである。〕
の化合物製造する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記ハロゲン化アルキルが、ヨウ化メチルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
遊離形または塩形の式2H:
【化23】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Bは、式:
【化24】
〔式中、
a)Zは、C−Cアルキル、アリール、C−Cアルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、C−Cアルキル、アリール、アリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。]であり;
b)Pは、−C(O)−、−C(O)O−または−S(O)−である。〕
であるか;または
Bは、ベンジルまたはトリフェニルメチルであり;
(v)Rは、Hであり;
(vi)R、RおよびRは、Hであり;
(vii)Xは、Nであり;および
(viii)R10は、HまたはC1−4アルキルであり;および
(ix)R6aおよびR6bは、独立して、Hからなる群から選択される。〕
の化合物を脱保護する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
Bが、エトキシカルボニルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記脱保護工程が、水性鉱酸を使用することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記脱保護工程が、水性塩酸を使用することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
遊離形または塩形の式2I:
【化25】
〔式中、
(i)kは、1であり;
(ii)mは、1であり;
(iii)nは、1であり;
(iv)Rは、Hであり;
(v)R、RおよびRは、Hであり;
(vi)Xは、Nであり;
(vii)R10は、HまたはC1−4アルキルであり;および
(viii)R6aおよびR6bはHである。〕
の化合物を、(a)4−クロロ−4’−フルオロ−ブチロフェノンまたは1−(3−クロロプロポキシ)−4−フルオロベンゼンおよび(b)塩基を使用してN−アルキル化する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
上記塩基が、炭酸カリウムである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムを使用することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
式2Eの化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年3月12日に出願された米国仮出願第60/906,473号(その内容は、全体として引用により本明細書中に包含される)からの優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンの製造方法、それらの製造に有用な中間体、およびそのような中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンは、肥満、不安、鬱病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性的障害、偏頭痛、頭痛に関連した疾患、社会恐怖症、および胃腸管運動の機能不全のような消化器障害を含む、中枢神経系障害の処置における、5−HT2受容体(特に5−HT2Aおよび5−HT2C受容体)のアゴニストまたはアンタゴニストとして有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エナンチオマー的に純粋な置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンの伝統的な製造方法は、適当に置換された環式ケトン(例えば、ピペリジン−4−オン)を用いるアリールヒドラジン(例えば、ジヒドロキノキサリン−1−(2H)−アミン、2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4(3H)−アミンまたは2H−ベンゾ[b][1,4]チアジン−4(3H)−アミン)のFischerインドール環化によって、四環インドール化合物(例えば、1,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン)を得ることを含む。次いで、このインドール核を還元して、シスまたはトランス四環ジヒドロインドール(すなわち、シスまたはトランス四環インドリン)生成物を得る。該生成物は、エナンチオマー的に純粋な生成物を得るために、キラルカラムクロマトグラフィーのような徹底的な精製方法を必要とする。この方法は全体として非効率である。なぜなら、ラセミ生成物を製造するために過剰の反応剤および反応中間体が必要とされ、このようなラセミ生成物を最終工程で精製すると、せいぜい25−50%の収率しか与えないからである。したがって、エナンチオマー的に純粋な置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンを製造するための、より効率的な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、遊離形または薬学的に許容される塩形の置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンの製造方法、該製造方法に使用される中間体、例えば、エナンチオマー的に純粋な2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール系中間体、および該中間体の製造方法を提供する。そして、該置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンは、本発明中に開示される。
【0006】
本発明により製造される置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリンおよびそれらの薬学的に許容される塩は、式1J:
【化1】
に示される核構造によって表される。
【0007】
本発明の化合物並びにR、R6a、R6b、R、R、R、R10、X、k、mおよびnの例は、米国特許第6,552,017号;同第6,548,493号;同第6,713、471号;および同第6,849,619号、米国再発行特許第39,680号および同第38,679号、並びに米国出願第10/787,941号および同第10/786,935号(各々の内容は全て、引用により本明細書中に包含される)に記載されている。これらの化合物は、肥満、不安、鬱病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性的障害、偏頭痛、頭痛に関連した疾患、社会恐怖症、および胃腸管運動の機能不全のような消化器障害を含む、中枢神経系障害の処置に使用される5−HT2受容体のアゴニストおよびアンタゴニストとして有用であることが見出されている。
【0008】
したがって、本発明は、下記式1C、1D、1E、1E’、1F’’および1G’で示される、実質的にエナンチオマー的に純粋なシス−ジヒドロインドール(またはインドリン)系化合物、例えば、それらの他の全ての立体異性体に対して、少なくとも70%の、好ましくは80%の、より好ましくは少なくとも90%の、非常に好ましくは95%を超える、遊離形または薬学的に許容される塩形の下記式(例えば、1C、1D、1E、1E’、1F’’および1G’)のシス化合物を提供する。これらは、例えば、式1Jの化合物の製造用中間体として有用である。
【0009】
1.1: 式1Cの化合物:
【化2】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(iv)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。〕
【0010】
1.2: 式1Dの化合物:
【化3】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。〕
【0011】
1.3: 式1E’の化合物:
【化4】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)Bは保護基であり;
(iv)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。〕
【0012】
1.4: 式1Eの化合物:
【化5】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(v)Bは保護基であり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;および
(vii)X−Y−は、HO−CH−、HS−CH−、H(R’)N−CH−またはH(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]である。〕
【0013】
1.5: 式1F’’の化合物
【化6】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;および
(vi)−X−Y−は、−(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]である。〕
【0014】
1.6: 式1G’の化合物:
【化7】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;および
(vi)R10はC1−4アルキル、アルケニルまたはアルキニルである。〕
【0015】
さらに、本発明は、下記式の化合物を提供する:
2.1. 式中、R10が、C−Cアルキル、アルケニルまたはアルキニルである、式1G’。
2.2. 式中、R10がメチルである、式1G’。
2.3. 式中、−X−Y−が、−(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]である、式1F’’。
2.4. 式中、nが、1、2または3である、式1F’’、1G’または2.1−2.3のいずれか。
2.5. 式中、nが1である、式1F’’、1Gまたは2.1−2.3のいずれか。
2.6. 式中、X−Y−が、HO−CH−、HS−CH−、H(R’)N−CH−またはH(R’)N−C(O)−であり、およびR’が、HまたはC1−4アルキルである、式1E。
2.7. 式中、X−Y−が、H(R’)N−CH−であり、およびR’が、HまたはC1−4アルキルである、式1E。
2.8. 式中、Bが保護基である、式1D、1E、1E’、1F’’、1G’または2.1−2.7のいずれか。
2.9. 式中、Bが一般式:−P−Z[式中、Pは、−C(O)−、−C(O)O−、または−S(O)−であり、およびZは、アルキルまたはアリールアルキルである。]を有する、式1D、1E、1E’、1F’’、1G’または2.1−2.7のいずれか。
2.10. 式中、Bが−C(O)Oアルキルである、式1D、1E、1E’、1F’’、1G’または2.1−2.7のいずれか。
2.11. 式中、Bが、−C(O)OEtまたは−C(O)OiPrである、式1D、1E、1E’、1F’’’、1G’または2.1−2.7のいずれか。
2.12. 式中、Aが、Cl、Br、FまたはIである、式1C、1Dまたは2.8−2.11のいずれか。
2.13. 式中、AがClである、式1C、1Dまたは2.8−2.11のいずれか。
2.14. 式中、R、RおよびRが、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである、式1C、1D、1E、1E’、1F’’、1G’または2.1−2.13のいずれか。
2.15. 式中、R、R、およびRがHである、式1C、1D、1E、1E’、1F’、1G’または2.1−2.13のいずれか。
2.16. 式中、kおよびmが、独立して、0、1、2または3である、式1C、1D、1E、1E’、1F’、1G’または2.1−2.15のいずれか。
2.17. 式中、kおよびmが1である、式1C、1D、1E、1E’、1F’、1G’または2.1−2.15のいずれか。
2.18. 式中、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシおよびハロアルキルが、独立して、1−6個の炭素原子を含む、上記式のいずれか。
2.19. 式中、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルのアルキルが、独立して、1−6個の炭素原子である、上記式のいずれか。
2.20. 式中、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルが、独立して、3−10個の炭素原子である、上記式のいずれか。
2.21. 該化合物が、それらの他の全ての立体異性体に対して、少なくとも70%の、好ましくは80%の、より好ましくは少なくとも90%の、非常に好ましくは95%を超える、遊離形または薬学的に許容される塩形の上記式(例えば、1C、1D、1E、1E’、1F’’および1G’)のシス化合物である、上記式のいずれか。
【0016】
さらに、本発明は、下記式2C、2D、2E、2E’、2F’’および2G’で示される、実質的に光学的に純粋なシス−ジヒドロインドール(またはインドリン)系化合物、例えば、それらの全てのトランス異性体に対して、少なくとも70%の、好ましくは80%の、より好ましくは少なくとも90%の、非常に好ましくは95%を超える、遊離形または薬学的に許容される塩形のシス異性体を提供する。これらは、例えば、式1Jの化合物の製造用中間体として有用である。
【0017】
1.7: 式2Cの化合物:
【化8】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(iv)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。〕
【0018】
1.8: 式2Dの化合物:
【化9】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。〕
【0019】
1.9: 式2E’の化合物:
【化10】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)Bは保護基であり
(iv)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルである。〕
【0020】
1.10: 式2Eの化合物:
【化11】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Aは、Cl、Br、FまたはIであり;
(v)Bは保護基であり;
(vi)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vii)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;および
(viii)X−Y−は、HO−CH−、HS−CH−、H(R’)N−CH−またはH(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC−Cアルキルである。]である。〕
【0021】
1.11: 式2F’’の化合物
【化12】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;および
(vii)−X−Y−は、−(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC−Cアルキルである。]である。〕
【0022】
1.12: 式2Gの化合物:
【化13】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;および
(vii)R10は、HまたはC1−4アルキルである。〕
【0023】
さらに、本発明は、遊離形または塩形の下記式の化合物を提供する:
2.22. 式中、R10が、HまたはC−Cアルキルである、式2G;
2.23. 式中、R10がHである、式2Gまたは2.22;
2.24. 式中、R10がメチルである、式2Gまたは2.22;
2.25. 式中、−X−Y−が、−(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]である、式2F’’;
2.26. 式中、−X−Y−が、−(R’)N−C(O)−[式中、R’は、Hまたはメチルである。]である、式2F’’または2.25;
2.27. 式中、X−Y−が、HO−CH−、HS−CH−、H(R’)N−CH−またはH(R’)N−C(O)−であり、およびR’が、HまたはC1−4アルキルである、式2E;
2.28. 式中、X−Y−が、H(R’)N−CH−であり、およびR’が、HまたはC1−4アルキルである、式2Eまたは2.27;
2.29. 式中、X−Y−が、H(R’)N−CH−であり、およびR’がHである、式2Eまたは2.27−2.28のいずれか;
2.30. 式中、X−Y−が、H(R’)N−CH−であり、およびR’がメチルである、式2Eまたは2.27−2.29のいずれか;
2.31. 式中、Bが保護基である、式2D、2E、2E’、2F’’、2Gまたは2.22−2.30のいずれか;
2.32. 式中、Bが一般式:−P−Z[式中、Pは、−C(O)−、−C(O)O−、または−S(O)−であり、およびZは、アルキルまたはアリールアルキルである。]である、式2D、2E、2E’、2F’’、2Gまたは2.22−2.31のいずれか;
2.33. 式中、Bが−C(O)Oアルキルである、式2D、2E、2E’、2F’’、2Gまたは2.22−2.32のいずれか;
2.34. 式中、Bが、−C(O)OEtまたは−C(O)OiPrである、式2D、2E、2E’、2F’’、2Gまたは2.1−1.7のいずれか;
2.35. 式中、nが、1、2または3である、式2E、2F’’、2Gまたは2.22−2.34のいずれか;
2.36. 式中、nが1である、式2E、2F’’、2Gまたは2.22−2.35のいずれか;
2.37. 式中、Aが、Cl、Br、FまたはIである、式2C、2Dまたは2.31−2.36のいずれか;
2.38. 式中、Aが、ClまたはBrである、式2C、2Dまたは2.31−2.37のいずれか;
2.39. 式中、R、RおよびRが、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルである、式2C、2D、2E、2E’、2F’’、2Gまたは2.22−2.38のいずれか;
2.40.式中、R、R、およびRがHである、式2C、2D、2E、2E’、2F’、2Gまたは2.22−2.39のいずれか;
2.41. 式中、kおよびmが、独立して、0、1、2または3である、式2C、2D、2E、2E’、2F’、2Gまたは2.22−2.40のいずれか;
2.42. 式中、kおよびmが1である、式2C、2D、2E、2E’、2F’、2Gまたは2.22−2.41のいずれか;
2.43. 式中、kが1であり、およびmが1である、上記式のいずれか;
2.44. 式中、Rが、HまたはC−Cアルキルである、上記式のいずれか;
2.45. 式中、RがHである、上記式のいずれか;
2.46. 式中、アルキルが、アルキル、アルケニルおよび/またはアルキニルを含む、上記式のいずれか;
2.47. 式中、二つのキラル炭素原子の二つの水素原子が互いにシスであり、それにより以下の一般構造式を有する、上記式のいずれか:
【化14】
【化15】
【化16】
【0024】
;および;
2.48. シス異性体が、式2C−1、2D−1、2E−1、2E’−1、2F’’−1、および2G−1から選択される、上記式のいずれか。
【0025】
方法
別の局面において、本発明は、上記の遊離形または塩形の式1C:
【化17】
または2.12−2.21のいずれかの化合物の製造方法であって、
a)式1A:
【化18】
の化合物を、式1B:
【化19】
の化合物に還元する工程;および
b)キラル酸分割またはキラルクロマトグラフィーによって、式1Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、方法(方法1C)を提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、上記の遊離形または塩形の式2C:
【化20】
または2.37−2.48のいずれかの化合物の製造方法であって、
a)式2A:
【化21】
の化合物を、式2B:
【化22】
の化合物に還元する工程;および
b)キラル酸分割またはキラルクロマトグラフィーによって、式2Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、方法(方法2C)を提供する。
【0027】
式1Aの化合物の式1Bの化合物への還元は、限定されないが、酸(例えば、酢酸またはトリフルオロ酢酸)の存在下、シラン;金属(例えば、亜鉛)および鉱酸(例えば、塩酸);ナトリウムおよび液体アンモニア;エタノール中のナトリウムを含む、還元剤を用いることによって、或いはボラン−アミン錯体(例えば、テトラヒドロフラン中のボラン−トリエチルアミン);または酸(例えば、酢酸またはトリフルオロ酢酸)の存在下、ナトリウムシアノボロハイドライドを用いることによって、達成され得る。また、式1Aの化合物の式1Bの化合物への変換は、触媒的水素化によっても達成され得る。ここで、式1Aの化合物は、酸化パラジウム、パラジウム−炭素または酸化白金のような触媒の存在下、水素で処理される(Hudlicky, M., “Reductions in Organic Chemistry”, Ellis Horwood, Ltd., Chichester, UK, 1984参照)。式2Aの化合物の式2Bの化合物への還元は、式1Aの化合物の式1Bの化合物への還元について記載されたものと同様の薬剤を用いることによって、例えば、酸(例えば、酢酸またはトリフルオロ酢酸)の存在下、シラン(例えば、トリエチルシラン);金属(例えば、亜鉛)および鉱酸(例えば、塩酸);ナトリウムおよび液体アンモニア;エタノール中のナトリウムを用いることによって、或いはボラン−アミン錯体(例えば、テトラヒドロフラン中のボラン−トリエチルアミン);NaBH(OAc);または酸(例えば、酢酸またはトリフルオロ酢酸)の存在下、ナトリウムシアノボロハイドライドを用いることによって、達成され得る。また、式1Aの化合物の式1Bの化合物への変換は、触媒的水素化によっても達成され得る。ここで、式1Aの化合物は、酸化パラジウム、パラジウム−炭素または酸化白金のような触媒の存在下、水素で処理される。特に好適な態様において、還元は、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いることによって達成される。
【0028】
一態様において、式1Bの化合物のエナンチオマー的分離は、キラル酸分割によって達成され得る。ここで、キラル酸(例えば、キラルスルホン酸)またはそのモノ若しくはジカルボン酸または誘導体が使用される。このような酸の例には、限定されないが、(+/−)/(R/S)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−アセチル)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−ベンゾイル)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−ピバロイル)酒石酸、(+/−)/(R/S)マンデル酸、(+/−)/(R/S)アセトキシフェニル酢酸、(+/−)/(R/S)メトキシフェニル酢酸、(+/−)/(R/S)ヒドロキシマンデル酸、(+/−)/(R/S)ハロマンデル酸(例えば、4−フルオロマンデル酸)、(+/−)/(R/S)乳酸、および(+/−)/(R/S)カンファースルホン酸が含まれる。同様に、式2Bの化合物のエナンチオマー的分離は、キラル酸分割によって達成され得る。ここで、キラル酸(例えば、キラルスルホン酸)またはそのモノ若しくはジカルボン酸または誘導体が使用される。このような酸の例には、限定されないが、(+/−)/(R/S)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−アセチル)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−ベンゾイル)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−ピバロイル)酒石酸、(+/−)/(R/S)マンデル酸、(+/−)/(R/S)アセトキシフェニル酢酸、(+/−)/(R/S)メトキシフェニル酢酸、(+/−)/(R/S)ヒドロキシマンデル酸、(+/−)/(R/S)ハロマンデル酸(例えば、4−フルオロマンデル酸)、(+/−)/(R/S)乳酸、および(+/−)/(R/S)カンファースルホン酸が含まれる。好ましくは、式1Bまたは2Bの化合物の分割は、マンデル酸を用いて達成される。特に好適な態様において、該酸は(S)−(+)−マンデル酸である。所望されないエナンチオマーが最初に除去される場合、該分割は最適化され得る。したがって、特に好適な態様において、該分割は、(R)−(−)−マンデル酸を添加して所望されないエナンチオマーを最初に除去し、続いて、(S)−(+)−マンデル酸を添加して所望の生成物を得ることによって達成される。
【0029】
別の態様において、式1Bの化合物のエナンチオマー的分離は、キラルクロマトグラフィー、例えば、商品名“CHIRALPAK(登録商標) AD(登録商標)”のもと市販されるアミロース−トリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)カラムを使用して達成され得る。式1Bのラセミ体化合物は、エタノールのような移動相を100−450mL/minの流速で用いて溶出され得る。さらに別の態様において、式1Bのラセミ体化合物は、メタノールまたはイソプロピルアルコールのような移動相を用いて溶出され得る。所望の化合物、好ましくは式1Cまたは2Cの化合物の画分は、収集され、そして単離され得る。一態様において、キラルクロマトグラフィーは、CHIRALPAK(登録商標) AD(登録商標)(20μm、5cm ID x 50cm L)カラム、および100%エタノール移動相を150mL/minの流速で、用いることを含む。別の態様において、キラルクロマトグラフィーは、CHIRALPAK(登録商標) AD(登録商標)(20μm、11cm ID x 25cm L)カラム、および100%エタノール移動相を400mL/minの流速で、用いることを含む。
【0030】
別の態様において、式2Bの化合物のエナンチオマー的分離は、式1Bの化合物の分離方法において記載されたキラルクロマトグラフィーを用いて達成され得る。
【0031】
別の局面において、本発明は、上記の遊離形または塩形の式1D:
【化23】
または2.8−2.21のいずれかの化合物の製造方法であって、式1C:
【化24】
の化合物のピペリジノ−アミンを、塩基の存在下、保護剤で保護する工程を含む、方法(方法1D)を提供する。
【0032】
さらなる態様において、方法1Dの保護剤は、一般式:
【化25】

〔式中、
(i)Yは、ハロゲン、イミダゾイル、ベンゾトリアゾール、N−(オキシ)スクシンイミド、アルコキシ、−O−アルキルアリールまたは−O−アリールであり;
(ii)Zは、置換されていてもよいアルキル、アリール、アルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。]であり;
(iii)Pは、−C(O)−、−C(O)O−またはS(O)である。〕
を含む。
【0033】
別の態様において、本発明はまた、上記の遊離形または塩形の式2D:
【化26】
または2.31−2.48のいずれかの化合物の製造方法であって、式2C:
【化27】
の化合物のピペリジノ−アミンを、保護剤で保護する工程を含む、方法(方法2D)を提供する。
【0034】
さらなる態様において、方法2Dの保護剤は、一般式:
【化28】

〔式中、
(i)Yは、ハロゲン、イミダゾイル、ベンゾトリアゾール、N−(オキシ)スクシンイミド、アルコキシ、アルコキシカルボニル、−O−アルキルアリールまたは−O−アリールであり;
(ii)Zは、置換されていてもよいアルキル、アリール、アルキルアリール、アルコキシカルボニル、または−OR[式中、Rは、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。]であり;
(iii)Pは、−C(O)−、−C(O)O−、−O−またはS(O)である。〕
を含む。
【0035】
式1Cまたは2Cの化合物の保護剤の例には、限定されないが、塩化ベンジルオキシカルボニル(Cbz−Cl)、塩化トリフェニルメチル、エチルクロロホルメート、t−ブトキシカルボニル無水物(BOC)、ベンジル N−スクシンイミジルカーボネート、またはハロゲン化ベンゾイル(例えば、塩化ベンゾイルまたは臭化ベンゾイル)、(ベンジルオキシカルボニル)−ベンゾトリアゾール、ハロゲン化ベンジル(例えば、塩化ベンジルまたは臭化ベンジル)、塩化1−アレーンスルホニルまたは塩化トルエンスルホニルが含まれる。式1Cまたは2Cの化合物の保護剤の別の例は、p−メトキシベンジルエーテルである。本明細書中に記載された保護剤は、網羅的であることを意図しない。アミン保護剤のさらなる例について、多くの一般的な文献の一つ、例えば、Theodora Greenによる“Protective Groups in Organic Synthesis”(発行者:John Wiley & Sons)(その開示は, 引用により本明細書中に包含される。)を参照のこと。したがって、式1Cの化合物への保護剤の添加に際して、置換基Bは、一般式:
【化29】
〔式中、
(i)Zは、置換されていてもよいアルキル、アリール、アルキルアリールまたは−OR[式中、Rは、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。]であり;
(ii)Pは、−C(O)−、−C(O)O−またはS(O)である。〕
を含む。
【0036】
この態様の保護工程は、通常、ブチルリチウムまたは金属水素化物(例えば、水素化カリウム)、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム)、または有機アミン(例えば、トリエチルアミン)のような塩基の添加を必要とする。好ましくは、式1Dまたは2Dの化合物の保護剤は、エチルクロロホルメートまたはBOC無水物である。特に好適な態様において、該保護剤はエチルクロロホルメートであり、および該塩基はトリエチルアミンである。
【0037】
別の局面において、本発明はまた、上記の遊離形または塩形の式1E:
【化30】
または2.6−2.21のいずれかの化合物の製造方法であって、式1D:
【化31】
の化合物を、(a)一般式:
【化32】
〔式中、
(i)Aは、Cl、F、BrまたはIであり;
(ii)X−Yは、−H’OCH−、−HSCH−、−H(R’)N−CH−または−H(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]であり;
(iii)nは、1、2または3である。〕
の求核性ハロゲン化アルキルおよび(b)塩基を用いて、N−アルキル化する工程を含む、方法(方法1E)を提供する。
【0038】
別の態様において、本発明はまた、上記の遊離形または塩形の式2E:
【化33】
または2.27−2.48のいずれかの化合物の製造方法であって、式2D:
【化34】
の化合物を、(a)一般式:
【化35】
〔式中、
(i)Aは、Cl、F、BrまたはIであり;
(ii)X−Yは、−H’OCH−、−HSCH−、−H(R’)N−CH−または−H(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]であり;
(iii)nは、1、2または3である。〕
の求核性ハロゲン化アルキルおよび(b)塩基を用いて、N−アルキル化する工程を含む、方法(方法2E)を提供する。
【0039】
方法1Eまたは2Eのための求核性ハロゲン化アルキルの例には、限定されないが、2−クロロアセトアミド、2−ブロモアセトアミド、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸、2−クロロエタンチオS−酸が含まれる。方法1Eまたは2Eに有用な塩基の例には、限定されないが、有機塩基、例えば、アミン塩基(例えば、アンモニウム、トリエチルアミン、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノナ−5−エン(DBN)、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−5−エン(DBU));または無機塩基、例えば、水素化物(例えば、水素化ナトリウム、リチウムまたはカリウム)、アルコキシド(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムt−ブトキシドおよびK(OAr)、Na(OAr))、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩または水酸化物(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、セシウムまたはバリウムの炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物またはリン酸塩)が含まれる。所望により、このようなN−アルキル化反応は、ヨウ化物源(例えば、ヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウム、好ましくはヨウ化カリウム)の存在下、達成され得る。好適な態様において、式中、X−Y−が、H(R’)N−C(O)−またはH(R’)N−CH−であり、R’がHであり、およびnが1である、式1Eまたは2Eの化合物は、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンおよびヨウ化カリウムの存在下、2−クロロアセトアミドを用いて製造される。別の好適な態様において、ジオキサン(dixoane)溶媒中、クロロアセトアミド、ヨウ化カリウム、イソプロピルエチルアミンが使用される。
【0040】
別の局面において、本発明また、式1F:
【化36】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護剤であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;および
(vi)X−Yは、−OCH−、−SCH−、−(R’)N−CH−または−(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]である。〕
または2.3−2.21の化合物の製造方法であって、上記式1E:
【化37】
の化合物を、
(a)周期表第8−11族からなる群から選択される遷移金属触媒;および
(b)塩基
で処理する工程を含む、方法(方法1F)を提供する。
【0041】
別の態様において、本発明は、式2F:
【化38】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;および
(vii)−X−Y−は、−OCH−、−SCH−、−(R’)N−CH−または−(R’)N−C(O)−[式中、R’は、HまたはC1−4アルキルである。]である。〕
または2.25−2.48のいずれかの化合物の製造方法であって、上記式2E:
【化39】
の化合物を、
(a)周期表第8−11族からなる群から選択される遷移金属触媒;および
(b)塩基
で処理する工程を含む、方法(方法2F)を提供する。
【0042】
方法1Fまたは2Fの遷移金属触媒は、周期表第8−11族から選択される遷移金属(例えば、パラジウム、銅、ニッケル、白金、ルテニウム、またはロジウム)の原子、イオン、塩または錯体であり得る。このような遷移金属触媒の例には、限定されないが、銅触媒、例えばCuI、CuCl、CuBr、CuBr、酢酸Cu(II)、CuCl、CuO、Cu、または米国特許第6,759,554B2号;同第6,395,916B1号;同第6,307,087B1号(それらの全体は、引用により本明細書中に包含される)に記載されるパラジウムまたはニッケル触媒、例えばPd(dba)、Pd/C、PdCl、Pd(OAc)、(CHCN)PdCl、Pd[P(C、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)]、Ni(アセチルアセトネート)、NiCl[P(C)]およびNi(1,5−シクロオクタジエン)が含まれる。好適な態様において、該遷移金属触媒は銅触媒である。特に好適な態様において、該触媒はCuIである。
【0043】
方法1Fまたは2Fに有用な塩基は、一例として、アミン塩基(例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO))、水素化物(例えば、水素化ナトリウム、リチウムまたはカリウム)、アルコキシド(例えば、ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシド)、炭酸塩(例えば、炭酸または重炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたはセシウム)またはリン酸塩(例えば、リン酸カリウム)を含む、当該分野において周知のブレーンステッド塩基またはルイス塩基であり得る。好適な態様において、該塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、セシウム、バリウムなど)の炭酸塩である。特に、該塩基は炭酸カリウムである。
【0044】
さらに別の態様において、方法1Fは、遷移金属触媒に配位することが知られた単座または二座リガンドで、式1Eの化合物を処理する工程をさらに含む。このようなリガンドの例には、限定されないが、以下のものが含まれる:
(1)フェノールまたはアミンリガンド、例えば、置換されていてもよいアリールアルコール、1,2−ジアミン、1,2−アミノアルコール、イミダゾリウムカルベン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5−メチル−1,10−フェナントロリン、5−クロロ−1,10−フェナントロリン、および5−ニトロ−1,10−フェナントロリン;
(2)N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび1−メチル−2−ピロリジノン;
【0045】
(3)構造式1:
【化40】
〔式中、
・AおよびBは、独立して、単環式または多環式シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、およびヘテロ環式環からなる群から選択される縮合環を示し、ここで該環は、環構造中に4ないし8個の原子を有し;
・Xは、NR、P(アルキル)、P(シクロアルキル)、AsR、またはORを示し;
・Yは、H、アルキル、NR、またはAsRを示し;
・XおよびYは、同一ではなく;
・R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・RおよびRは、互いに独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・AおよびBは、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびR、またはRおよびR、或いはその両方は、所望により、一緒になって環の骨格内に合計5−7個の原子を有する環を示し、ここで該環は、その骨格内に0、1または2個のヘテロ原子を有し、および該環は、非置換であるか、または置換されており;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0046】
(4)構造式2:
【化41】
〔式中、
・XはPRを示し;
・Yは、H、NR、OR、またはSRを示し;
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、または−−(CH−−R80を示し;
・R、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・R、R、R、R、R、R、R、およびRからなる群から選択される、互いにオルト位の関係にある置換基の一以上の組は、所望により、一緒になって環の骨格内に合計5−7個の原子を有する環を示し、ここで該環は、その骨格内に0、1または2個のヘテロ原子を有し、および該環は、非置換であるか、または置換されており;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0047】
(5)構造式3:
【化42】
〔式中、
・Xは、NR、P(アルキル)、P(シクロアルキル)、AsR、またはORを示し;
・Yは、H、アルキル、NR、AsR、またはORを示し;
・XおよびYは、同一ではなく;
・R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・RおよびRは、互いに独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・ビナフチル核の環BおよびB’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびR、またはRおよびR、或いはその両方は、所望により、一緒になって環の骨格内に合計5−7個の原子を有する環を示し、ここで該環は、その骨格内に0、1または2個のヘテロ原子を有し、および該環は、非置換であるか、または置換されており;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0048】
(6)構造式4:
【化43】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・ビナフチル核の環AおよびA’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0049】
(7)構造式5:
【化44】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・ビナフチル核の環A、B、A’、およびB’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のR、R、R、およびRで置換されており;
・R、R、R、およびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、
キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーであり、
但し、Rがシクロアルキルまたはアリールである場合、R、R、R、またはRの少なくとも一つが存在する、
リガンド;
【0050】
(8)構造式6:
【化45】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80を含む群から選択され;
・ビナフチル核の環A’およびA’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80を含む群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーであり得る、リガンド;および
【0051】
(9)構造式7:
【化46】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・P(R)は、P(アルキル)、またはP(シクロアルキル)を示し;
・ビナフチル核の環A、B、A’、およびB’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のR、R、R、およびRで置換されており;
・R、R、R、およびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド。
【0052】
フェノールまたはアミンリガンドの例には、限定されないが、米国特許第6,759,554B2号;同第6,395,916B1号;同第6,307,087B1号、Klapars, A. et al., J. Am. Chem. Soc. (2002)124, 7421-7428; Kang, S., et al., Synlett, 3, 427-430(2002); Sugahara, M. and Ukita, T., Chem. Pharm. Bull. (1997)45, 719-721(引用により本明細書中に包含される)に記載されるような、2−フェニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、1−ナフトール、8−ヒドロキシキノリン、8−アミノキノリン、DBU、2−(ジメチルアミノ)エタノール、N,N−ジエチルサリチルアミド、2−(ジメチルアミノ)グリシン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5−メチル−1,10−フェナントロリン、5−クロロ−1,10−フェナントロリン、5−ニトロ−1,10−フェナントロリン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、(メチルイミノ)二酢酸、シス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、シス−およびトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサンの混合物、シス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、シス−およびトランス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサンの混合物、シス−N−トリル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−N−トリル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、シス−およびトランス−N−トリル−1,2−ジアミノシクロヘキサンの混合物、エタノールアミン、1,2−ジアミノエタン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N−ジメチル−2−ヒドロキシベンズアミド、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、フルオロ−N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、クロロ−N,N’−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、(2−ヒドロキシフェニル)(ピロリジン−1−イル)メタノン、ビフェニル−2−オール、2−ピリジルフェノール、1,2−ベンゼンジアミン、アンモニア、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび1−メチル−2−ピロリジノンが含まれる。
【0053】
さらに別の態様において、方法2Fは、遷移金属触媒に配位することが知られた単座または二座リガンドで、式2Eの化合物を処理する工程をさらに含む。このようなリガンドの例には、限定されないが、方法1Fにおいて記載されたリガンドが含まれる。好適な態様において、方法1Fまたは2Fのリガンドは、置換されていてもよい1,2−ジアミンリガンドである。特に好適な態様において、該リガンドは、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノエタン(ethyane)、トランス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、N−ブチルエチレンジアミンである。最も好適な態様において、該リガンドは、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノエタンである。理論はともかく、該リガンドは、該金属触媒を安定化および可溶化することによって、該反応を促進すると考えられる。
【0054】
別の態様において、本発明はまた、上記式1E’:
【化47】
または2.8−2.21のいずれかの化合物の製造方法であって、(a)ベンゾフェノンイミン;(b)周期表第8−11族から選択される遷移金属触媒;(c)塩基;および(d)以下のリガンドからなる群から選択されるリガンドで、式1Dの化合物を処理する工程を含む、方法(方法1E’)を提供する:
【0055】
(1)フェノールまたはアミンリガンド、例えば、置換されていてもよいアリールアルコール、1,2−ジアミン、1,2−アミノアルコール、イミダゾリウムカルベン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5−メチル−1,10−フェナントロリン、5−クロロ−1,10−フェナントロリン、および5−ニトロ−1,10−フェナントロリン;
【0056】
(2)構造式1:
【化48】
〔式中、
・AおよびBは、独立して、単環式または多環式シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、およびヘテロ環式環からなる群から選択される縮合環を示し、ここで該環は、環構造中に4ないし8個の原子を有し;
・Xは、NR、P(アルキル)、P(シクロアルキル)、AsR、またはORを示し;
・Yは、H、アルキル、NR、またはAsRを示し;
・XおよびYは、同一ではなく;
・R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・RおよびRは、互いに独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・AおよびBは、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびR、またはRおよびR、或いはその両方は、所望により、一緒になって環の骨格内に合計5−7個の原子を有する環を示し、ここで該環は、その骨格内に0、1または2個のヘテロ原子を有し、および該環は、非置換であるか、または置換されており;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0057】
(3)構造式2:
【化49】
〔式中、
・XはPRを示し;
・Yは、H、NR、OR、またはSRを示し;
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、または−−(CH−−R80を示し;
・R、R、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・R、R、R、R、R、R、R、およびRからなる群から選択される、互いにオルト位の関係にある置換基の一以上の組は、所望により、一緒になって環の骨格内に合計5−7個の原子を有する環を示し、ここで該環は、その骨格内に0、1または2個のヘテロ原子を有し、および該環は、非置換であるか、または置換されており;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0058】
(4)構造式3:
【化50】
〔式中、
・Xは、NR、P(アルキル)、P(シクロアルキル)、AsR、またはORを示し;
・Yは、H、アルキル、NR、AsR、またはORを示し;
・XおよびYは、同一ではなく;
・R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・RおよびRは、互いに独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシル、シリルオキシ、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、ニトリル、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、ヘテロアリール、アジド、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、ウレア、チオウレア、または−−(CH−−R80を示し;
・ビナフチル核の環BおよびB’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびR、またはRおよびR、或いはその両方は、所望により、一緒になって環の骨格内に合計5−7個の原子を有する環を示し、ここで該環は、その骨格内に0、1または2個のヘテロ原子を有し、および該環は、非置換であるか、または置換されており;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0059】
(5)構造式4:
【化51】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・ビナフチル核の環AおよびA’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;
【0060】
(6)構造式5:
【化52】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・ビナフチル核の環A、B、A’、およびB’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のR、R、R、およびRで置換されており;
・R、R、R、およびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、
キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーであり、
但し、Rがシクロアルキルまたはアリールである場合、R、R、R、またはRの少なくとも一つが存在する、
リガンド;
【0061】
(7)構造式6:
【化53】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80を含む群から選択され;
・ビナフチル核の環A’およびA’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のRおよびRで置換されており;
・RおよびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80を含む群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーであり得る、リガンド;
【0062】
(8)構造式7:
【化54】
〔式中、
・Rは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・P(R)は、P(アルキル)、またはP(シクロアルキル)を示し;
・ビナフチル核の環A、B、A’、およびB’は、独立して、非置換であるか、または各々、安定性および原子価の規則による限界までの任意の数のR、R、R、およびRで置換されており;
・R、R、R、およびRは、互いに独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロゲン、−−SiR、および−−(CH−−R80からなる群から選択され;
・R80は、非置換または置換アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、または多環を示し;
・mは、0ないし8(これらの数を含む)の範囲内の整数である。〕
で示されるリガンドであって、キラルである場合、エナンチオマー混合物であるか、または単一のエナンチオマーである、リガンド;および
(9)2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル。
【0063】
別の態様において、本発明はまた、上記式2E’:
【化55】
または2.31−2.48のいずれかの化合物の製造方法であって、(a)ベンゾフェノンイミン;(b)周期表第8−11族から選択される遷移金属触媒;(c)塩基;および(d)方法1Eにおいて記載されたリガンドからなる群から選択されるリガンドで、式2Dの化合物を処理する工程を含む、方法(方法2E’)を提供する。
【0064】
方法1E’および2E’に有用な遷移金属触媒には、周期表第8−11族から選択される遷移金属(例えば、パラジウム、銅、ニッケル、白金、ルテニウム、またはロジウム)の原子、イオン、塩または錯体が含まれる。このような遷移金属触媒の例には、限定されないが、銅触媒(例えば、CuI、CuCl、CuBr、CuBr、酢酸Cu(II)、CuCl、CuO、Cu)が含まれる。有用な遷移金属触媒の他の例には、限定されないが、米国特許第6,759,554B2号;同第6,395,916B1号;同第6,307,087B1号(それらの全体は、引用により本明細書中に包含される)に記載されたような、Pd(dba)、Pd/C、PdCl、Pd(OAc)、(CHCN)PdCl、Pd[P(C、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)]、Ni(アセチルアセトネート)、NiCl[P(C)]およびNi(1,5−シクロオクタジエン)を含む、パラジウムまたはニッケルの錯体が含まれる。
【0065】
方法1E’または2E’に有用な塩基の例には、例えば、アミン塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−5−エン(DBU))および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO);無機塩基、例えば水素化物(例えば、水素化ナトリウム、リチウムおよびカリウム)、アルコキシド(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムt−ブトキシド、K(OAr)またはNa(OAr))、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩または水酸化物(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、セシウム、バリウムの炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物およびリン酸塩)およびカリウムヘキサメチルジシラザンが含まれる。特に好適な態様において、方法1E’は、(1)ベンゾフェノンイミン;(2)Pd(dba);(3)ナトリウムtert−ブトキシド;および(4)2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを用いて、化合物1Dを処理する工程を含む。
【0066】
別の局面において、本発明はまた、上記式1F’’:
【化56】
または2.3−2.21のいずれかの化合物の製造方法であって、上記の遊離形または塩形の式1E’:
【化57】
の化合物を、(1)一般式:
【化58】
〔式中、
(i)AはCl、BrまたはIであり;および
(ii)R12はC1−4アルキルである。〕
を有するハロ酢酸アルキルおよび(2)塩基で処理する工程を含む、方法(方法1F’’)を提供する。
【0067】
方法1E’のさらに別の態様において、ハロ酢酸アルキルを用いて式1E’の化合物を処理する場合、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムが存在する。特に好適な態様において、方法1E’は、(1)ブロモ酢酸エチル;(2)炭酸ナトリウム;および(3)ヨウ化カリウムを用いて、式1Dの化合物を処理する工程を含む。
【0068】
さらに別の態様において、本発明はまた、上記式2F’’:
【化59】
または2.25−2.48のいずれかの化合物の製造方法であって、上記の遊離形または塩形の式2E’:
【化60】
の化合物を、(1)一般式:
【化61】
〔式中、
(i)AはCl、BrまたはIであり;および
(ii)R12はC1−4アルキルである。〕
を有するハロ酢酸アルキルおよび(2)塩基で処理する工程を含む、方法(方法2F’’)を提供する。
【0069】
方法2E’のさらに別の態様において、ハロ酢酸アルキルを用いて式2E’の化合物を処理する場合、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムが存在する。
【0070】
別の局面において、本発明はまた、遊離形または塩形の式1G:
【化62】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
(vi)X−Yは、
【化63】
であり;および
(vii)R10は、C1−4アルキル、アルケニルまたはアルキニルである。〕
または2.1−2.21のいずれかの化合物の製造方法であって、式1F’:
【化64】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護剤であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;および
(vi)X−Yは、−(R’)N−CH−または−(R’)N−C(O)−[式中、R’はHである。]である。〕
の化合物をN−アルキル化する工程を含む、方法(方法1G)を提供する。
【0071】
別の局面において、本発明はまた、遊離形または塩形の式2G’:
【化65】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;
(vii)X−Yは、
【化66】
であり;および
(viii)R10はC1−4アルキルである。〕
または2.22−2.48のいずれかの化合物の製造方法であって、式2F’:
【化67】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(viii)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;および
(vi)−X−Y−は、−(R’)N−CH−または−(R’)N−C(O)−[式中、R’はHである。]である。〕
の化合物をN−アルキル化する工程を含む、方法(方法2G)を提供する。
【0072】
方法1Gまたは2GのN−アルキル化は、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下、置換されていてもよいハロゲン化アルキル(例えば、ヨウ化メチル、ヨードエタン)を用いて、式2F’の化合物を処理することによって達成され得る。
【0073】
別の局面において、本発明は、式2Gの化合物の製造方法であって、(i)遷移金属触媒、(ii)塩基、および(iii)所望により、方法2F’’に記載された単座または二座リガンドで、式中、X−YがHN(R’)CHまたはHN(R’)−C(O)−である式2E’’の化合物を処理する工程を含む、方法(方法3G’)を提供する。
【0074】
さらに別の態様において、本発明はまた、上記式2Gの化合物の製造方法であって、a)上記の遊離形または塩形の式2Dの化合物を、溶媒(例えば、ジオキサン)中、(i)上記一般式:
【化68】
の求核性ハロゲン化アルキル、(ii)塩基および(iii)ヨウ化カリウムで処理する工程;および
b)(i)周期表第8−11族からなる群から選択される遷移金属触媒;(ii)塩基;および(iii)所望により、遷移金属触媒に配位することが知られた単座または二座リガンドを添加する工程を含む、方法3Gを提供する。
【0075】
方法3Gの工程(a)の求核性ハロゲン化アルキル、塩基およびカリウムは、方法1Eおよび2Eにおいて記載されたものであり得る。好適な態様において、該求核性ハロゲン化アルキルは、クロロアセトアミドまたはN−メチルクロロアセトアミドであり、および該塩基は、イソプロピルエチルアミンである。方法3Gの工程(b)の遷移金属触媒の例は、方法1Fおよび2Fにおいて記載されたものであり得る(例えば、CuI、CuCl、CuBr、CuBr、酢酸Cu(II)、CuCl、CuO、Cuのような銅触媒、またはPd(dba)、Pd/C、PdCl、Pd(OAc)、(CHCN)PdCl、Pd[P(C、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)]、Ni(アセチルアセトネート)、NiCl[P(C)]およびNi(1,5−シクロオクタジエン)のようなパラジウムまたはニッケル触媒)。特定の態様において、該触媒はCuIである。方法3Gの遷移金属触媒に配位することが知られた単座または二座リガンドの例には、方法1Fおよび2Fにおいて記載されたものが含まれる。
【0076】
別の局面において、本発明はまた、式1H:
【化69】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
(vi)XはNであり;および
(vii)R10は、HまたはC1−4アルキルであり;および
(viii)R6aおよびR6bは、独立して、Hからなる群から選択される。〕
の化合物の製造方法であって、式1G:
【化70】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
(vi)X−Yは
【化71】
であり;および
(vii)R10は、C1−4アルキル、アルケニルまたはアルキニルである。〕
の化合物のケトンを、メチレンに還元する工程を含む、方法(方法1H)を提供する。
このような還元は、金属水素化物(例えば、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−Al)またはナトリウムシアノボロハイドライド);ボラン(例えば、BH−THF);または有機ボラン(例えば、ビス(ベンジルオキシ)ボラン)からなる群から選択される還元剤を使用することによって達成され得る。或いは、このような変換はまた、触媒(例えば、パラジウム−炭素、酸化パラジウムなど)の存在下、水素を使用することによる触媒的水素化;水酸化ナトリウムまたはカリウムのような塩基の存在下、ヒドラジン水和物を用いて該ケトンを加熱することによるWolff−Kishner還元(Todd, Org. React. 4, 378-422(1948)参照);または亜鉛アマルガムおよび塩酸のような水性鉱酸を用いて該ケトンを加熱することによるClemmensen還元(Vedejs, Org. React. 22, 401-422(1975)参照)を通じて達成され得る。また、このような還元を達成し得る他の反応剤には、トリイソプロピルホスフェート、硫酸の存在下の銅、および塩酸の存在下の錫が含まれる。
【0077】
別の局面において、本発明はまた、式2H:
【化72】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護基であり;
(v)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;
(vii)XはNであり;および
(viii)R10は、HまたはC1−4アルキルであり;および
(ix)R6aおよびR6bは、独立して、Hからなる群から選択される。〕
の化合物の製造方法であって、上記の遊離形または塩形の式2G’:
【化73】
の化合物のケトンをメチレンに還元する工程を含む、方法(方法2H)を提供する。
このような還元は、方法1Hにおいて記載された群から選択される還元剤を使用することによって達成され得る。別の態様において、ケトンの還元は、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)を使用することを含む。
【0078】
別の局面において、本発明はまた、式1I:
【化74】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
(v)Xは、N、SまたはOであり;
(vi)R10は、XがNである場合、HまたはC1−4アルキルであり、またはR10は、XがOまたはSである場合、存在せず;および
(vii)R6aおよびR6bはHである。〕
の化合物の製造方法であって、式1H:
【化75】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Bは保護剤であり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
(vi)Xは、N、OまたはSであり;および
(vii)R10は、XがNである場合、HまたはC1−4アルキルであり、またはR10は、XがOまたはSである場合、存在せず;および
(viii)R6aおよびR6bはHである。〕
の化合物を脱保護する工程を含む、方法(方法1I)を提供する。
【0079】
別の態様において、本発明は、式2I:
【化76】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;
(vi)Xは、N、SまたはOであり;
(vii)R10は、XがNである場合、HまたはC1−4アルキルであり、またはR10は、XがOまたはSである場合、存在せず;および
(viii)R6aおよびR6bはHである。〕
の化合物の製造方法であって、上記式2H:
【化77】
の化合物を脱保護することを含む、方法(方法2I)を提供する。
【0080】
方法1Iまたは2Iの保護基のための脱保護条件は、保護基の選択に伴って必然的に変動し、および酸または塩基触媒反応または触媒的水素化を含み得る。したがって、例えば、保護剤がアルカノイルまたはアルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル)またはアロイル基のようなアシル基である場合、脱保護は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、カリウムまたはナトリウム)のような塩基を用いる加水分解によって、達成され得る。或いは、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル保護剤は、例えば、塩酸、硫酸またはリン酸またはトリフルオロ酢酸のような適当な酸で処理することによって、除去され得る。ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル保護剤は、例えば、触媒(例えば、パラジウム−炭素)を用いる水素化によって、またはホウ素トリス(トリフルオロアセテート)のようなルイス酸を用いる処理によって、除去され得る。該脱保護工程に有用な反応剤のさらなる例については、Theodora Green(発行者:John Wiley & Sons)による“Protective Groups in Organic Synthesis”を参照のこと。
【0081】
別の局面において、本発明はまた、式1J:
【化78】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Xは、N、SまたはOであり;
(v)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり;
(vi)R10は、XがNである場合、HまたはC1−4アルキルであり、またはR10は、XがOまたはSである場合、存在せず;
(vii)R6aおよびR6bはHであり:および
(viii)Rは、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールオキソアルキル(例えば、4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル))、アリールオキシアルキル(例えば、3−(4−フルオロフェノキシ)プロピル))、ヘテロ(hero)アリールオキソアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、アリールスルフィニルアルキルまたはヘテロアリールスルフィニルアルキルである。〕
の化合物の製造方法であって、上記式1I:
【化79】
の化合物を、(a)一般式:
【化80】
〔式中、
(i)Zは、−C(O)−、−O−、またはS(O)−であり;
(ii)R13は、置換されていてもよいアリール、アリールアルキル、アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり;および
(iii)Gは、ハロゲン化C−Cアルキル(例えば、塩化プロピル)である。〕
の化合物、および(b)塩基を用いてN−アルキル化する工程を含む、方法(方法1J)を提供する。
【0082】
別の態様において、本発明はまた、式2J:
【化81】
〔式中、
(i)kは、1または2であり;
(ii)mは、0、1または2であり;
(iii)nは、1、2または3であり;
(iv)Xは、N、SまたはOであり;
(v)Rは、HまたはC−Cアルキルであり;
(vi)R、RおよびRは、独立して、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、ハロ、ハロC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールC−Cアルキルであり;
(vii)R10は、XがNである場合、HまたはC1−4アルキルであり、またはR10は、XがOまたはSである場合、存在せず;
(viii)R6aおよびR6bはHであり:および
(ix)Rは、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリール、ヘテロアリールC−Cアルキル、アリールオキソC−Cアルキル(例えば、4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル))、アリールオキシC−Cアルキル(例えば、3−(4−フルオロフェノキシ)プロピル))、ヘテロアリールオキソC−Cアルキル、ヘテロアリールオキシC−Cアルキル、アリールスルフィニルC−CアルキルまたはヘテロアリールスルフィニルC−Cアルキルである。〕
の化合物の製造方法であって、上記式2I:
【化82】
の化合物を、(a)一般式:
【化83】
〔式中、
(i)Zは、−C(O)−、−O−、またはS(O)−であり;
(ii)R13は、置換されていてもよいアリール、アリールC−Cアルキル、C−Cアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールC−Cアルキルであり;および
(iii)Gは、ハロゲン化C−Cアルキル(例えば、塩化プロピル)である。〕
の化合物、および(b)塩基を用いてN−アルキル化する工程を含む、方法(方法2J)を提供する。
【0083】
方法1Jまたは2Jに有用な塩基は、ブレーンステッドまたはルイス塩基であり得る。このような塩基の例には、限定されないが、アミン塩基(例えば、アンモニウム、トリエチルアミン、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノナ−5−エン(DBN)、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−5−エン(DBU));または水素化物(例えば、水素化ナトリウム、リチウムまたはカリウム)、アルコキシド(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムt−ブトキシドおよびK(OAr)、Na(OAr))、またはアルカリまたはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩または水酸化物(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、セシウムまたはバリウムの炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物またはリン酸塩)が含まれる。所望により、方法1Iは、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムを使用することをさらに含む。好適な態様において、式1Iの化合物は、トリエチルアミンおよびヨウ化カリウムの存在下、4−クロロ−4’−フルオロ−ブチロフェノンによってアルキル化されている。
【0084】
別の局面において、本発明は、上記式1Jまたは2J:
【化84】
の化合物の薬学的に許容される塩の製造方法であって、式1Jまたは2Jの化合物の遊離塩基を、水もしくは有機溶媒またはこれら二つの混合物中、適当な酸と反応させて、本発明の式1Jまたは2Jの薬学的に許容される酸付加塩を得る工程を含む、方法(方法1K)を提供する。
通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。適当な酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などであり得る。
【0085】
さらに、本発明は、以下のような式1C−1J(例えば、式1C、1D、1E、1E’、1F’’、1G’、1G、1H、1Iおよび1J)の化合物のための方法を提供する:
3.1 式1Iの化合物を、1−(3−クロロプロポキシ)−4−フルオロベンゼンおよび塩基で処理する工程を含む、式1Jの任意の化合物の製造方法。
3.2 式1Iの化合物を、1−(3−クロロプロポキシ)−4−フルオロベンゼンおよびトリエチルアミンで処理する工程を含む、式1Jの任意の化合物の製造方法。
3.3 式1Iの化合物を、4−クロロ−4’−フルオロ−ブチロフェノンおよび塩基で処理する工程を含む、式1Jの任意の化合物の製造方法。
3.4 式1Iの化合物を、4−クロロ−4’−フルオロ−ブチロフェノンおよびトリエチルアミンで処理する工程を含む、式1Jの任意の化合物の製造方法。
3.5 式1Hの化合物を脱保護する工程を含む、式1Jまたは1Iの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.4のいずれか。
3.6 式1Hの化合物を、水酸化ナトリウムを用いて脱保護する工程を含む、式1Jまたは1Iの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.4のいずれか。
3.7 式1Hの化合物を、トリフルオロ酢酸を用いて脱保護する工程を含む、式1Jまたは1Iの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.4のいずれか。
3.8 式1G’の化合物を還元剤で処理する工程を含む、式1J−1Hの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.7のいずれか。
3.9 式1G’の化合物をボラン−THFで処理する工程を含む、式1J−1Hの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.7のいずれか。
3.10 式1Fの化合物を、ハロゲン化アルキルおよび塩基で処理する工程を含む、式1J−1Gの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.9のいずれか。
【0086】
3.11 式1Fの化合物を、ヨウ化メチルおよび炭酸カリウムで処理する工程を含む、式1J−1Gの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.9のいずれか。
3.12 式1E’の化合物を、(a)A−(CH)−C(O)−OR〔式中、Rは、Hまたはアルキルである。〕;および(b)塩基で処理する工程を含む、式1J−1Gおよび1F’’の任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.13 式1E’の化合物を、ブロモ酢酸エチルおよび炭酸ナトリウムで処理する工程を含む、式1J−1Gおよび1F’’の任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.14 式1E’の化合物を、ブロモ酢酸エチル、炭酸ナトリウムおよびヨウ化カリウムで処理する工程を含む、式1J−1Gおよび1F’’の任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.15 式1Eの化合物を、周期表第8−11族から選択される遷移金属触媒および塩基で処理する工程を含む、式1J−1Fの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.16 式1Eの化合物を、銅触媒および塩基で処理する工程を含む、式1J−1Fの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.17 式1Eの化合物を、CuIおよび塩基で処理する工程を含む、式1J−1Fの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.18 式1Eの化合物を、CuIおよびブレーンステッド塩基で処理する工程を含む、式1J−1Fの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.19 式1Eの化合物を、CuIおよび炭酸カリウムで処理する工程を含む、式1J−1Fの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.20 式1Eの化合物を、第8−11族から選択される遷移金属触媒、塩基および単座または二座リガンドで処理する工程を含む、式1J−1Fの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
【0087】
3.21 式1Eの化合物を、CuI、炭酸カリウムおよびN,N’−ジメチルエチレンジアミンで処理する工程を含む、式1J−1Fの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.11のいずれか。
3.22 式1Dの化合物を、(a)上記一般式X−Y−(CH−Aの化合物;および(b)塩基で処理する工程を含む、式1J−1Fおよび1Eの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.21のいずれか。
3.23 式1Dの化合物を、2−クロロアセトアミドおよびジイソプロピルエチルアミンで処理する工程を含む、式1J−1Fおよび1Eの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.21のいずれか。
3.24 式1Dの化合物を、2−クロロアセトアミド、ジイソプロピルエチルアミンおよびヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムで処理する工程を含む、式1J−1Fおよび1Eの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.21のいずれか。
3.25 式1Dの化合物を、ベンゾフェノンイミン;パラジウム触媒;塩基および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルで処理する工程を含む、式1J−1F、1F’’または1E’の任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.21のいずれか。
3.26 式1Dの化合物を、ベンゾフェノンイミン;Pd(dba);ナトリウムt−ブトキシド;および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルで処理する工程を含む、式1J−1F、1F’’または1E’の任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.21のいずれか。
3.27 式1Cの化合物を、保護剤で保護する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’および1Dの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.26のいずれか。
3.28 式1Cの化合物を、塩基の存在下、上記一般式Y−P−Zを有する保護剤で保護する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’および1Dの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.26のいずれか。
3.29 式1Cの化合物を、エチルクロロホルメートおよび塩基を用いて保護する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’および1Dの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.26のいずれか。
3.30 式1Cの化合物を、エチルクロロホルメートおよびトリエチルアミンを用いて保護する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’および1Dの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.26のいずれか。
【0088】
3.31 式1Cの化合物を、Boc無水物および塩基を用いて保護する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’および1Dの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.26のいずれか。
3.32 (a)式1Aの化合物を、還元剤を用いて還元する工程、および(b)式1Bの化合物を、キラル酸を用いて分割する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.33 (a)式1Aの化合物を、ナトリウムシアノボロハイドライドを用いて還元する工程、および(b)式1Bの化合物を、キラル酸を用いて分割する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.34 (a)式1Aの化合物を、酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程、および(b)式1Bの化合物を、キラル酸を用いて分割する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.35 (a)式1Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)キラル酸分割によって、またはキラルクロマトグラフィーによって、式1Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.36 (a)式1Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)キラル酸分割によって、またはキラルクロマトグラフィーによって、式1Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.37 (a)式1Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)キラルクロマトグラフィーによって、式1Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.38 (a)式1Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)アミロース(amylase)−トリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)カラムを使用して、式1Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.39 (a)式1Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)アミロース−トリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)カラムを使用し、エタノール移動相を用いて所望の生成物を溶出することによって、式1Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.40 (a)式1Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)式1Bの化合物を、(S)−(+)−マンデル酸を用いて分割する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
【0089】
3.41 (a)式1Aの化合物を、還元剤を用いて還元する工程;および(b)式1Bの化合物を、(S)−(+)−マンデル酸を用いて分割する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
3.42 (a)式1Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)式1Bの化合物を、(S)−(+)−マンデル酸を用いて分割する工程を含む、式1J−1F、1F’’、1E、1E’、1Dおよび1Cの任意の化合物の製造方法または方法3.1−3.31のいずれか。
【0090】
さらに、本発明は、以下のような式2C−2J(例えば、式2C、2D、2E、2E’、2F、2G’、2G、2H、2Iおよび2J)の化合物のための方法を提供する:
4.1 式2Jの化合物の遊離塩基を、酸で処理し、本発明の式1Jまたは2Jの薬学的に許容される酸付加塩を得る工程を含む、式2Jの任意の化合物の薬学的に許容される酸付加塩の製造方法。
4.2 該酸が、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸からなる群から選択される、方法4.1。
4.3 式2Iの化合物を、1−(3−クロロプロポキシ)−4−フルオロベンゼンおよび塩基で処理する工程を含む、式2Jの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.2。
4.4 式2Iの化合物を、1−(3−クロロプロポキシ)−4−フルオロベンゼンおよびトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンで処理する工程を含む、式2Jの任意の化合物の製造方法。
4.5 式2Iの化合物を、4−クロロ−4’−フルオロ−ブチロフェノンおよび塩基で処理する工程を含む、式2Jの任意の化合物の製造方法。
4.6 式2Iの化合物を、4−クロロ−4’−フルオロ−ブチロフェノンおよびトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンで処理する工程を含む、式2Jの任意の化合物の製造方法。
4.7 式2Hの化合物を脱保護する工程を含む、式2Jまたは2Iの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.6のいずれか。
4.8 式2Hの化合物を、塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)を用いて脱保護する工程を含む、式2Jまたは2Iの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.7のいずれか。
4.9 式2Hの化合物を、トリフルオロ酢酸を用いて脱保護する工程を含む、式2Jまたは2Iの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.7のいずれか。
4.10 式2G’の化合物を、還元剤で処理する工程を含む、式2J−2Hの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.9のいずれか。
【0091】
4.11 式2G’の化合物を、ボラン−THFで処理する工程を含む、式2J−2Hの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.9のいずれか。
4.12 式2Fの化合物を、ハロゲン化アルキルおよび塩基で処理する工程を含む、式2J−2Gの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.11のいずれか。
4.13 式2Fの化合物を、ヨウ化メチルおよび炭酸カリウムで処理する工程を含む、式2J−2Gの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.11のいずれか。
4.14 式1E’の化合物を、(a)A−(CH)−C(O)−OR〔式中、Rは、Hまたはアルキルである。〕;および(b)塩基で処理する工程を含む、式2J−2Gおよび2F’’の任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
4.15 式2E’の化合物を、ブロモ酢酸エチルおよび炭酸ナトリウムで処理する工程を含む、式2J−2Gおよび2F’’の任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.14のいずれか。
4.16 式2E’の化合物を、ブロモ酢酸エチル、炭酸ナトリウムおよびヨウ化カリウムで処理する工程を含む、式2J−2Gおよび2F’’の任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
4.17 式2Eの化合物を、周期表第8−11族から選択される遷移金属触媒および塩基で処理する工程を含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
4.18 式2Eの化合物を、銅触媒および塩基で処理する工程を含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
4.19 式2Eの化合物を、CuIおよび塩基で処理する工程を含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
4.20 式2Eの化合物を、CuIおよびブレーンステッド塩基で処理する工程を含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
【0092】
4.21 式2Eの化合物を、CuIおよび炭酸カリウムで処理する工程を含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
4.22 単座または二座リガンドをさらに含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.21のいずれか。
4.23 式2Eの化合物を、第8−11族から選択される遷移金属触媒、塩基および単座または二座リガンドで処理する工程を含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.13のいずれか。
4.24 式3Eの化合物を、CuI、炭酸カリウムおよびN,N’−ジメチルエチレンジアミンで処理する工程を含む、式2J−2Fの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.23のいずれか。
4.25 式2Dの化合物を、(a)上記一般式X−Y−(CH−Aの化合物;および(b)塩基で処理する工程を含む、式2J−2Fおよび2Eの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.24のいずれか。
4.26 式2Dの化合物を、2−クロロアセトアミドおよびジイソプロピルエチルアミンで処理する工程を含む、式2J−2Fおよび2Eの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.24のいずれか。
4.27 式2Dの化合物を、2−クロロアセトアミド、ジイソプロピルエチルアミンおよびヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムで処理する工程を含む、式2J−2Fおよび2Eの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.24のいずれか。
4.28 式2Dの化合物を、ベンゾフェノンイミン;パラジウム触媒;塩基および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルで処理する工程を含む、式2J−2F、2F’’または2E’の任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.24のいずれか。
4.29 式2Dの化合物を、ベンゾフェノンイミン;Pd(dba);ナトリウムt−ブトキシド;および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルで処理する工程を含む、式2J−2F、2F’’または2E’の任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.24のいずれか。
4.30 式2Cの化合物を、保護剤で保護する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’および2Dの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.29のいずれか。
【0093】
4.31 式2Cの化合物を、塩基の存在下、上記一般式Y−P−Zを有する保護剤で保護する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’および2Dの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.30のいずれか。
4.32 式2Cの化合物を、エチルクロロホルメートおよび塩基を用いて保護する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’および2Dの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.30のいずれか。
4.33 式2Cの化合物を、エチルクロロホルメートおよびトリエチルアミンを用いて保護する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’および2Dの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.32のいずれか。
4.34 式1Cの化合物を、Boc無水物および塩基を用いて保護する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’および2Dの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.31のいずれか。
4.35 (a)式2Aの化合物を還元剤で還元する工程および(b)キラル酸を用いて、またはキラルクロマトグラフィーによって、式2Bの化合物を分割する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.35のいずれか。
4.36 (a)式2Aの化合物を、ナトリウムシアノボロハイドライドを用いて還元する工程および(b)キラル酸を用いて、またはキラルクロマトグラフィーによって、式2Bの化合物を分割する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.35のいずれか。
4.37 (a)式2Aの化合物を、酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程および(b)キラル酸を用いて、またはキラルクロマトグラフィーによって、式2Bの化合物を分割する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.35のいずれか。
4.38 (a)式2Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)キラル酸分割によって、またはキラルクロマトグラフィーによって、式2Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.33または4.37のいずれか。
4.39 (a)式2Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)キラル酸分割によって、またはキラルクロマトグラフィーによって、式2Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.35または4.37−4.38のいずれか。
4.40 (a)式2Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)式2Bの化合物を、(S)−(+)−マンデル酸を用いて分割する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.39のいずれか。
【0094】
4.41 (a)式2Aの化合物を還元剤で還元する工程;および(b)式2Bの化合物を、(S)−(+)−マンデル酸を用いて分割する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.39のいずれか。
4.42 (a)式2Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)式2Bの化合物を、(S)−(+)−マンデル酸を用いて分割する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.39のいずれか。
4.43 (a)式2Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)キラルクロマトグラフィーによって、式2Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.35のいずれか。
4.44 (a)式2Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)アミロース−トリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)カラムを使用することによって、式2Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.35または4.43のいずれか。
4.45 (a)式2Aの化合物を、トリフルオロ酢酸の存在下、トリエチルシランを用いて還元する工程;および(b)アミロース−トリス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)カラムを使用し、エタノール、メタノールまたはイソプロピルアルコール移動相を用いて所望の生成物を溶出することによって、式2Bの化合物のエナンチオマーを分離する工程を含む、式2J−2F、2F’’、2E、2E’、2Dおよび2Cの任意の化合物の製造方法または方法4.1−4.35または4.43−4.44のいずれか。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明の詳細な説明
本明細書中に記載された化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、本明細書中に記載された方法および例示された方法並びにそれらと同様の方法および化学分野で既知の方法を使用して製造され得る。本明細書中に記載された合成方法の説明において、溶媒、反応雰囲気、反応温度、実験の継続時間および後処理方法の選択を含む提示された全ての反応条件は、その反応に標準的な条件となるように選択されると理解されるべきである。これらの反応条件は、当業者に容易に認識されるであろう。したがって、場合により、反応は、高温で、またはより長い時間もしくはより短い時間の間、行われることが必要とされ得る。分子の種々の部分に存在する官能基は、意図された反応剤および反応に適合可能でなければならないことが有機合成分野における当業者に理解される。市販されていない場合、これらの方法の出発物質は、既知の化合物の合成と同様のまたは類似した手法を使用する化学技術から選択される方法によって製造され得る。本明細書中に引用された全ての文献は、引用によりその全体が本明細書中に包含される。
【0096】
本明細書中に記載された四環式環系の番号付けは、kが1であり、mが1であり、およびnが1である場合を例にして、以下に示す。
【化85】
【0097】
本明細書中に記載されたヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール誘導体の番号付けは、kが1であり、mが1であり、およびnが1である場合を例にして、以下に示す。
【化86】
【0098】
本明細書中に使用される用語は、態様について特に定義されていない限り、通常、以下のように定義される。
【0099】
用語“薬学的に許容される塩”は、その親化合物が、その酸または塩基の塩を製造することによって変性されている、記載された化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例には、限定されないが、塩基性残基(例えば、アミン)の鉱酸または有機酸の塩;酸性残基(例えば、カルボン酸)のアルカリまたは有機塩;などが含まれる。該薬学的に許容される塩には、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された、その親化合物の慣習的な非毒性の塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような慣習的な非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸から誘導された塩;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などのような有機酸から製造された塩が含まれる。
【0100】
本発明の薬学的に許容される塩は、慣習的な化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。通常、このような塩は、水もしくは有機溶媒またはこれら二つの混合物(通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。)中、これらの化合物の遊離の酸または塩基形態を、化学量論的量の適当な塩基または酸と反応させることによって、製造され得る。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa. , 1985, p. 1418(その開示内容は、引用により本明細書中に包含される)中に記載されている。
【0101】
用語“アルキル”または“アルキレン”は、特定数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことが意図される。例えば、“C−Cアルキル”は、1ないし6個の炭素原子を有するアルキルを示す。アルキルの例には、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチルなどが含まれる。
【0102】
“アルケニル”または“アルケニレン”は、特定数の炭素原子を有し、かつ、一以上の炭素−炭素二重結合(これは、該鎖に沿った任意の安定点に存在し得る)を有する、直鎖または分岐鎖構造のいずれかの炭化水素鎖を含むことが意図される。アルケニルの例には、限定されないが、エテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、2−メチル−2−プロペニル、4−メチル−3−ペンテニルなどが含まれる。
【0103】
“アルキニル”または“アルキニレン”は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどのような、特定数の炭素原子を有し、かつ、一以上の炭素−炭素三重結合(これは、該鎖に沿った任意の安定点に存在し得る)を有する、直鎖または分岐鎖構造のいずれかの炭化水素鎖を含むことが意図される。
【0104】
“アルコキシ”または“アルキルオキシ”は、酸素架橋を通じて結合した、上記の数の炭素原子を有する、上記定義のアルキル基を示す。アルコキシの例には、限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、およびs−ペントキシが含まれる。同様に、“アルキルチオ”は、硫黄架橋を通じて結合した、上記の数の炭素原子を有する、上記定義のアルキル基を示す。
【0105】
本明細書中に使用される“ハロ”、“ハロゲン”または“ハライド”は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。したがって、本明細書中の“ハロゲン化アルキル”は、ヨウ化メチルまたはヨードブタンのような、上記定義のアルキル基に結合したハロゲン基を意味する。
【0106】
“シクロアルキル”は、少なくとも一つの脂肪族環を含む単環式または多環式の環系を含むことが意図される。したがって、“シクロアルキル”は、単に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルなどを示し得る。シクロアルキルが多環系である場合、このような系は、オクタヒドロ−1H−インデン、2,3−ジヒドロ−1H−インデンまたは5,6,7,8−テトラヒドロキノリンのような、芳香環、非芳香環、ヘテロ芳香環またはヘテロ非芳香環に縮合した脂肪族環を含有し得る。
【0107】
本明細書中の用語“ヘテロシクロアルキル”は、O、NおよびSからなる群から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有する少なくとも一つの脂肪族環を含む単環式または多環式系を意味する。したがって、ヘテロシクロアルキルは、ピペリジニル、ピペラジニル、2−ピロリドニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリルまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジンを意味し得る。
【0108】
本明細書中に使用されるように、用語“アリール”は、少なくとも一つの芳香環(すなわち、4n+2(ここでnは整数である)個のPi電子を含有する平面環)を含む、安定な5−ないし7−員の単環式または多環式或いは7−ないし14−員の多環式環系を意味することが意図される。したがって、用語“アリール”には、フェニル、ナフチルおよびそれらの誘導体が含まれる。また、用語“アリール”は、一以上の芳香環または非芳香環またはヘテロ芳香環に縮合した、少なくとも一つの芳香環を含有する多環式環系(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−インデン)を含むことが意図される。
【0109】
本明細書中に使用されるように、用語“ヘテロ環”、“ヘテロ環式環”または“ヘテロアリール”は、N、OおよびSからなる群から独立して選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有する少なくとも一つの芳香環を含む、安定な5−ないし7−員の単環式または多環式或いは7−ないし14−員の多環式環を意味することが意図される。したがって、“ヘテロ環”または“ヘテロ環式環”または“ヘテロアリール”には、単環式のヘテロ芳香環、または他のヘテロ芳香環または非ヘテロ芳香族環或いは非芳香環に縮合したヘテロ芳香環が含まれ得る。該ヘテロ環式環は、任意のヘテロ原子または炭素原子にて、そのペンダント基に結合され得、その結果、安定構造が生じ得る。本明細書中に記載されるヘテロ環式環は、得られる化合物が安定である場合、炭素原子上または窒素原子上で置換され得る。ヘテロ環またはヘテロアリール基の例には、限定されないが、1H−インダゾール、チアゾリル、フリル、ピリジル、キノリニル、ピリル、インドールまたは5,6,7,8−テトラヒドロキノリンが含まれる。
【0110】
用語“多環式の”または“多環”は、一以上の芳香族環、非芳香族環(すなわち、脂環式)、ヘテロ芳香族環またはヘテロ非芳香族環(ヘテロ−脂環式)環が一緒に縮合した縮合環系を意味することが意図される。
【0111】
本明細書中に使用される用語“置換された”は、指定された原子上の任意の一以上の水素が、指定された基からの選択物によって置換されていることを意味する。但し、指定された原子の通常の価数は超えず、および置換の結果、安定な化合物が生じる。したがって、置換されていてもよいアルキルは、一以上の水素が、限定されないが、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル(例えば、CHCl、CF、CHCHBrなど)、アミン、アミド、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、カルボキシ、カルボニル、シリル、アルキルアミノ、アルキルアミド、ニトロ、シアノ、ハロ、−S(O)−アルキル、−S(O)−アルキル、R−シクロアルキル、R−ヘテロシクロアルキル、R−C(O)−、R−C(O)−OR’、R−O−R’、−N(R)(R’)[式中、RおよびR’は、独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたはヘテロシクロアルキルである。]を含む指定された基からの選択物で置換されている上記定義のアルキル基を意味し得る。
【0112】
用語“分割”は、専門用語であり、および有機酸または塩基をラセミ混合物の成分と反応させてジアステレオマー(diasteromeric)塩を形成させ、そして該塩を、例えば、結晶化技術によって分離することによる、ラセミ混合物のそのエナンチオマーへの分離を意味する。用語“キラル酸分割”は、キラル酸を使用することによる、ラセミ混合物のそのエナンチオマーへの分離を意味する。
【0113】
用語“クロマトグラフィー”は、当該分野で周知であり、および混合物を固定相と相互作用させ、そして混合物の成分を、移動相(例えば、エタノール、メタノール、アセトニトリル、水またはそれらの混合物)で溶出することによる、混合物の分離技術を意味する。用語“キラルクロマトグラフィー”は、固定相がキラルであるクロマトグラフィーを意味する。
【0114】
用語“キラル酸”は、式1Bの化合物とジアステレオマー塩を形成し得る任意の光学活性酸を意味する。本明細書中の用語“モノまたはジ−カルボン酸”または“スルホン酸”は、各々、一つまたは二つのカルボキシル官能基およびスルホン酸基を含有する任意の化合物を意味する。このような酸の例には、限定されないが、(+/−)/(R/S)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−アセチル)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−ベンゾイル)酒石酸、(+/−)/(R/S)(モノ−またはジ−ピバロイル)酒石酸、(+/−)/(R/S)マンデル酸、(+/−)/(R/S)アセトキシフェニル酢酸、(+/−)/(R/S)メトキシフェニル酢酸、(+/−)/(R/S)ヒドロキシマンデル酸、(+/−)/(R/S)ハロマンデル酸(例えば、4−フルオロマンデル酸)、(+/−)/(R/S)乳酸、および(+/−)/(R/S)カンファースルホン酸が含まれる。
【0115】
用語“保護剤”は、その官能性を遮断または隠蔽するために、保護が所望される原子と反応する任意の化合物を意味する。典型的に、保護剤は、潜在的に反応性の官能基を、所望されない化学的変換から該官能基を保護するために、一時的に変性するために使用される。望ましい保護剤は、反応条件に適合可能であるか、または安定性であり、および保護がもはや所望されないその後の時点において、容易に開裂されるものである。保護剤の例について、Theodora Greenによる“Protective Groups in Organic Synthesis”(発行者:John Wiley & Sons)(その開示内容は、引用により本明細書中に包含される)を参照のこと。
【0116】
用語“脱保護”または“脱保護する(deprotect)”または“脱保護する(deprotecting)”は、保護基を除去または開裂する行為を意味する。上記保護基についての脱保護条件は、保護基の選択に伴って必然的に変動し、および酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸またはトリフルオロ酢酸またはルイス酸、例えばホウ素トリス(トリフルオロアセテート))または塩基(アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、カリウムまたはナトリウム)触媒反応または触媒的水素化条件(例えば、水素およびパラジウム炭素)を含み得る。
【0117】
本明細書中の用語“触媒”は、それ自身消費されることなく、化合物の反応性または反応に影響を及ぼし得る、誘導し得る、増大させ得る、左右し得る、または促進し得る任意の物質または薬剤を意味する。用語“遷移金属触媒”は、d−軌道中に電子を有する任意の金属、例えば、周期表第3−12族の一つまたはランタニド系列から選択される金属を意味する。本発明の方法に有用な触媒には、周期表第8−11族からの遷移金属の原子、イオン、塩または錯体が含まれる。“周期表第第3−12族”は、IUPAC方式にしたがって番号が付された周期表の族を意味する。したがって、第8−11族からの遷移金属には、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀および金が含まれる。このような触媒の例には、限定されないが、CuI、CuCl、CuBr、CuBR、酢酸Cu(II)、CuCl、CuO、Cu、Pd(dba)、Pd/C、PdCl、Pd(OAc)、(CHCN)PdCl、Pd[P(C、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム[Pd(dba)]、Ni(アセチルアセトネート)、NiCl[P(C)]およびNi(1,5−シクロオクタジエン)が含まれる。触媒は、典型的に、しかしながら必然的ではなく、反応体に対して準化学量論的量で使用される。反応体に対して、好ましくは0.5−20mol%、最も好ましくは10mol%の遷移金属触媒が使用される。
【0118】
本明細書中の用語“塩基”は、有機または無機塩基、例えば、アミン塩基(例えば、アンモニウム、トリエチルアミン、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノナ−5−エン(DBN)、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−5−エン(DBU));水素化物(例えば、水素化ナトリウム、リチウムまたはカリウム);アルコキシド(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムt−ブトキシドおよびK(OAr)、Na(OAr));またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩または水酸化物(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、セシウムまたはバリウムの炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物またはリン酸塩)を意味する。
【0119】
用語“ブレーンステッド塩基”は、当該分野において認識されており、および水素受容体である、非荷電または荷電原子または分子、例えば、酸化物、アミン、アルコキシド、または炭酸塩を意味する。ブレーンステッド塩基の例には、限定されないが、KPO、KCO、NaCO、TlCO、CsCO、K(OtBu)、Li(OtBu)、Na(OtBu)、K(OPh)、およびNa(OPh)、またはそれらの混合物が含まれる。
【0120】
用語“ルイス塩基”は、当該分野において認識されており、および所定の反応条件下、電子対を与え得る化学的部分を意味する。ルイス塩基の例には、限定されないが、非荷電化合物、例えば、アルコール、チオール、オレフィン、およびアミン(例えば、アンモニア、トリエチルアミン)、および荷電部分、例えば、アルコキシド、チオレート、カルボアニオン、および種々の他の有機アニオンが含まれる。
【0121】
本明細書中の用語“酸”は、ルイス酸またはブレーンステッド酸を意味する。ルイス酸は、専門用語であり、および電子対を受け取り得る化学的部分を意味する(例えば、三フッ化ホウ素)。ブレーンステッド酸は、陽子を与え得る任意の化学的部分を意味する(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸ならびに当該分野で既知の他の有機酸)。
【0122】
用語“リガンド”は、別の中心原子(典型的に金属)との配位結合および/または共有結合を通じて、一以上の電子を与え得るか、または共有し得る任意の原子、分子またはイオンを意味する。“単座リガンド”は、中心原子に対する一つの結合部位を有するリガンド(例えば、ピリジンまたはアンモニア)を意味する。“二座リガンド”は、二つの結合部位を有するリガンド(例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンまたは1,10−フェナントロリン(phenathroline))を意味する。第8−11族の遷移金属のための有用なリガンドの例には、限定されないが、2−フェニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、1−ナフトール、8−ヒドロキシキノリン、8−アミノキノリン、DBU、2−(ジメチルアミノ)エタノール、N,N−ジエチルサリチルアミド、2−(ジメチルアミノ)グリシン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5−メチル−1,10−フェナントロリン、5−クロロ−1,10−フェナントロリン、5−ニトロ−1,10−フェナントロリン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、(メチルイミノ)二酢酸、シス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン、シス−およびトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサンの混合物、シス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、シス−およびトランス−N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサンの混合物、シス−N−トリル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、トランス−N−トリル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、シス−およびトランス−N−トリル−1,2−ジアミノシクロヘキサンの混合物、エタノールアミン、1,2−ジアミノエタン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N−ジメチル−2−ヒドロキシベンズアミド、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、フルオロ−N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、クロロ−N,N’−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、(2−ヒドロキシフェニル)(ピロリジン−1−イル)メタノン、ビフェニル−2−オール、2−ピリジルフェノール、1,2−ベンゼンジアミン、アンモニア、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノンまたはそれらの混合物ならびに上記のビフェニルおよびビナフチルリガンドが含まれる。特定の態様において、使用されるリガンドの量は、化学量論的量または過剰量であり得る。他の態様において、リガンドは、該反応のための溶媒として使用し得る。したがって、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノンまたは他の液体アミンのような反応剤は、反応のための溶媒ならびにリガンドとして役立ち得る。
【0123】
用語“N,N’−ジメチルエチレンジアミン”は、“N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノエタン”と互換される。
【0124】
用語“求核性ハロゲン化アルキル”は、分子の一部分上にハロゲン化アルキル官能基、および分子の他の部分上に求核性基を有する任意の化合物を意味する。用語“求核性”または“求核的反応剤”は、当該分野においてよく認識されており、および反応性電子対を有する化学的部分を意味する。したがって、求核性ハロゲン化アルキルの例には、限定されないが、2−クロロアセトアミド、クロロ酢酸、クロロプロピオン酸ならびに一般式:
【化87】
〔式中、Aはハロ基であり、およびXは求核性基、例えば−N−、−O−または−S−基である。〕
を有するものが含まれる。
【0125】
用語“還元”または“還元する”は、分子中の官能基を、一つの酸化状態からより低い酸化状態に変換することを意味する。用語“還元(reducing)剤”または“還元(reductive)剤”は、分子中の官能基を、一つの酸化状態からより低い酸化状態に変換する効果が当該分野で知られている任意の化合物または錯体を意味する。還元は、電子、水素化物または水素−原子の直接移動を介して達成され得る。方法1Cに有用な典型的な還元剤には、金属水素化物(例えば、リチウムアルミニウムハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムシアノボロハイドライド)、および触媒(例えば、ラネーニッケル、パラジウム炭(chracoal)、ホウ化ニッケル、白金金属またはその酸化物、酸化ロジウム、酸化ルテニウムおよび酸化亜鉛、ペンタシアノコバルテート(II)Co(CN)3−)の存在下での水素が含まれる。触媒的水素化は、典型的に、室温および大気圧超にて行われるが、より高い温度および圧力が、より耐性の二重結合に必要とされ得る。二重結合を単結合に変換するのに有用な他の還元剤には、シランおよび酸;ナトリウムシアノボロハイドライドおよび酸;亜鉛および酸;ナトリウムおよび液体アンモニア;エタノール中のナトリウム;およびボラン−トリエチルアミンが含まれる。方法1Hにおけるようなケトンをメチレンに還元するのに有用である典型的な還元剤には、限定されないが、金属水素化物(例えば、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−Al)またはナトリウムシアノボロハイドライド);ボラン(例えば、BH−THF);または有機ボラン(例えば、ビス(ベンジルオキシ)ボラン)が含まれる。或いは、このような変換はまた、触媒(例えば、ニッケル、パラジウム炭、ホウ化ニッケル、白金金属、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ロジウム、酸化ルテニウムまたは酸化亜鉛)の存在下、水素を使用することによる触媒的水素化;塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたはカリウム)の存在下、ケトンをヒドラジン水和物と共に加熱することによるWolff−Kishner還元(Todd, Org. React. 4, 378-422(1948)参照);またはケトンを亜鉛アマルガムおよび水性鉱酸(例えば、塩酸)と共に加熱することによるClemmensen還元(Vedejs, Org. React. 22, 401-422(1975)参照)を通じて、達成され得る。また、このような還元を達成し得る他の反応剤には、トリイソプロピルホスフェート、硫酸の存在下での銅、および塩酸の存在下での錫が含まれる。還元剤のさらなる例については、Jerry Marchによる“Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structure”, p. 771-790, John Wiley & Sons, Inc. (Fourth Edition)を参照のこと。
【0126】
用語“アルキル化”は、置換または付加による、有機化合物へのアルキルラジカルの導入を意味する。したがって、用語“N−アルキル化”は、有機化合物の窒素原子上へのアルキルラジカルの導入を意味する。
【実施例】
【0127】
本発明の化合物は、以下の反応スキームを通じて製造され得る:
【0128】
実施例1:6−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール塩酸塩[Int−1]の製造
6−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール塩酸塩は、(2−ブロモフェニル)ヒドラジン塩酸塩(50.0g、219mmol)、4−ピペリドン一水和物塩酸塩(36.0g、230mmol)、エタノール(500ml)および塩酸(50ml)を混合することにより製造され得る。得られた混合物を、還流まで6時間加熱し、室温まで冷却し、濾過し、エタノールで洗浄し、そして固体まで乾燥する。
【化88】
【0129】
実施例2:[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールの製造
[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールは、6−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール塩酸塩を、トリフルオロ酢酸(630ml、8.48mmol)およびトリエチルシラン(172ml)と混合することによって製造され得る。該混合物を、窒素下、室温で19時間撹拌する。過剰のトリフルオロ酢酸およびトリエチルシランを、真空中で除去する。ヘキサン(550ml)を残留オイルに添加し、そして室温で1時間撹拌する;該ヘキサンをデカンテーションする。さらなる250mlのヘキサンを添加し、1時間撹拌し、そしてデカンテーションする。2N 水酸化ナトリウムを、pH=10まで残留オイルに添加し、次いで、ジクロロメタンで抽出する。該有機層を合わせ、塩水で洗浄し、そして乾燥する(NaSO)。
【0130】
[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールのエナンチオマー的分離は、ラセミ体6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール(8g、31.6mmol)を、50℃(油浴)にてメタノール(160mL)中に溶解させ、そして(R)−マンデル酸(4.8g、31.6mmol)を少量ずつ添加することによって行われ得る。得られた透明溶液を50℃にて数分間撹拌し、そしてエーテル(80mL)を滴下する。得られた溶液を室温まで冷却し、そして白色沈殿(R−マンデル酸塩(Mandelate sale)、3.7g)を濾過する。HPLC分析は>99%eeを示す。濾液を濃縮し、1N 水酸化ナトリウム(100mL)で処理し、そしてジクロロメタン(2x50mL)で2回抽出する。ジクロロメタン層を合わせ、塩水(2x200mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥する。ジクロロメタン溶液をオイル(5.59g)まで濃縮し、そして50℃にてメタノール(90mL)中に再溶解する。(S)−(+)−マンデル酸(3.53g、23.2mmol)を少量ずつ添加する。得られた透明溶液を50℃にて数分間撹拌し、そしてエーテル(45mL)を滴下する。得られた溶液を室温まで冷却し、そして白色沈殿(S−マンデル酸塩、4.19g)を濾過する。HPLC分析は、>99%eeを示す。R−マンデル酸塩:[α]25=−98.1、S−マンデル酸塩:[α]25=+102、溶媒:DMSO。或いは、該分割は、メタノールおよびt−ブチルメチルエーテル(MTBE)の混合物中で行われ得る。
【0131】
或いは、[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールは、ラセミ体6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール(9.61g、38.0mmol)を50℃にてメタノール(190mL)中に溶解し、そして(S)−(+)−マンデル酸(5.78g、38.0mmol)を少量ずつ添加することによって、分離され得る。得られた透明溶液を50℃にて数分間撹拌し、そしてエーテル(95mL)を滴下する。得られた溶液を室温まで冷却する。白色沈殿(S−マンデル酸塩、4.1g)を濾過する。HPLC分析は、>99%eeを示す。
【0132】
また、[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールのエナンチオマー的分離は、ラセミ体6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール(1710gm“そのまま”、理論上1570gm、6.21mol)を、40−50℃(窒素下)に加温してメタノール(24l)中に溶解させることによって行われ得る。該混合物に(R)−(−)−マンデル酸(944g、6.2mol)を一度に加える。加熱マントルへの電力供給を止め、そしてMTBE(13L)を混合物に加える。得られた溶液を撹拌しながら室温まで放冷し、そして撹拌しながら15−25℃にて30−40時間熟成させる。生成物を濾過により白色ないしオフ・ホワイト色沈殿として単離し、そして環境温度にて一夜空気乾燥する。これにより580gm(23%)のInt−2 R−マンデル酸塩を得る。キラルHPLC分析は、所望されないより遅く移動するエナンチオマー(>99%ee)が単一ピークとして存在することを示す。
【0133】
該濾液を濃縮し、水(25L)で希釈し、撹拌し、そしてpH試験紙により測定される約14のpHまで50%のNaOH(800ml)で処理する。該遊離塩基をジクロロメタン(2x17Lおよび1x6L)で抽出する。DCM層を合わせ、乾燥し(NaSO)、そして濃縮して固体遊離塩基(約1150g)を得る。該遊離塩基を、N下で40−50℃に加温してメタノール(17L)中に溶解し、そして(S)−(+)−マンデル酸(692g、4.55mol)を添加する。加熱マントルのスイッチを切り、そして該溶液にMTBE(8.5L)を一度に添加する。得られた溶液を撹拌しながら室温まで放冷し、そして30−40時間熟成させる。生成物を濾過により白色ないしオフ・ホワイト色沈殿として単離し、そして環境温度にて一夜空気乾燥する。これにより、828gm(33%)のS−マンデル酸塩を得る。キラルHPLC分析は、各々約1%で存在する二つの他の不純物(これらは、所望されないエナンチオマーの直前に溶出する)と共に、より早く移動するエナンチオマー(>99%ee)が存在することを示した。R−マンデル酸塩:[α]25=−98.1、S−マンデル酸塩:[α]25=+102、溶媒:DMSO(3mlのDMSO中約10mg)。キラルHPLC条件:CHIRALPAK AD−H、250x4.6mm、0.1%のジエチルアミンを含有するヘキサン中の30%のIPA、流速0.8ml/min、254nmでのUV検出。サンプルは、該塩をIPA中で超音波処理することによって調製される。
【0134】
キラル分割の代わりに、[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールのエナンチオマー的分離は、CHIRALPAK(登録商標) AD(登録商標) カラム(20μm、5cm id x 50cm L)を使用する分取クロマトグラフィーによっても達成され得る。26.4g、23.0gおよび14.8gのラセミ体6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールを、撹拌しながら、(所望により低温加熱しながら)100%エタノール中に別々に溶解させ、次いで、0.4μmフィルターを通じて濾過する。供給液を別々に25mL体積で注入し、そして150mL/minの流速で100%エタノールを用いて25℃にて溶出する。或いは、420gのラセミ体6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールを同様に溶解し、濾過し、そして400mL/minの流速のCHIRALPAK(登録商標) AD(登録商標) カラム(20μm、11cm ID x 25cm L)に55mL体積で注入する。生成物を330nmの紫外線波長にて検出する。生成物を収集し、そして溶媒をロータリーエバポレーターで50−70mbarの真空下、40℃にて蒸発させる。生成物を、AD−H 4.6mm ID x 250mm カラムを30℃のカラム温度にて0.7mL/minの流速の100%エタノール移動相で使用するキラルHPLC分析によって分析し、そして200nm、230nm、250nm、280nmまたは325nmにて検出する。また、生成物を、Eclipse(5μm XDB−C8、4.6mm ID x 250 mm)カラムを30℃のカラム温度にて1mL/minの流速の75:25 メタノール/0.1%水性ジエチルアミンで使用するキラルHPLC分析によって分析し、そして250nm、200nm、230nm、280nmまたは325nmにて検出する。分離される生成物は、>98%eeである。
【化89】
【0135】
実施例3:(4aS,9bR)−エチル 6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレートの製造
(4aS,9bR)−エチル 6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレートは、最初に50%水酸化ナトリウム水溶液を使用して遊離塩基として[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール(36.0g、0.142mol))を得て、そして生成物をMTBE中に抽出することによって製造され得る。次いで、(4aS,9bR)−エチル 6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレートへの変換は、THF(300ml)およびトリエチルアミン(24ml)中の[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールの化合物(36.0g、0.142mol))の懸濁液を、氷水浴中で冷却することによってなされ得る。エチルクロロホルメートを、シリンジポンプを介して1時間に亘って滴下する(13.5ml、0.142mol)。氷水浴を取り除き、そして反応混合物を室温にてさらに1時間撹拌する。反応混合物をセライトのパッドを通過させ、そして溶媒を蒸発させて、(4aS,9bR)−エチル 6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレート)を得る。1H NMR(CDCl3, 300 MHz):1.20-1.35(m,3H), 1.73-1.85(m, 1H), 1.85-1.99(m, 1H), 3.22-3.52(m, 3H), 3.52-3.66(m, 1H), 3.66-3.95(br, 1H), 3.95-4.21(m, 4H), 6.60(t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.04(d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.20(d, J = 8.1 Hz, 1H).
【0136】
[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール(式1Cの化合物)遊離塩基を使用する代わりに、該反応はまた、[4aS,9bR]−6−ブロモ−2,3,4,4a,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドールの(S)−マンデル酸塩を用いて開始することによってなされ得る。100mLの丸底フラスコは、磁気撹拌バー、等圧滴下ロート、および該滴下ロートの頂部上のN注入口を備える。該フラスコに、該S−マンデル酸塩出発物質(5g、12.35mmol)、NaCO(2.88g、27.17mmol)、および25mLのTHFを充填する。該黄色反応混合物に、THF(5mL)中のエチルクロロホルメート(1.64g、15.11mmol)の溶液を、25℃(加熱ブロック温度)にて約70分間に亘って滴下する。該バッチを25℃にてさらに10分間撹拌し、そしてHPLCによって調べる。HPLCによって2%未満の出発物質が観察され、所望の生成物は約98%と認定される。該バッチに、12.5mLのEtOHを添加し、そして該バッチを減圧下に濃縮して約30mLの溶媒(大部分THF)を除去する。次いで、該バッチに、37.5mLのHOを添加する。得られた混合物は、pH試験紙によって>9のpHを示す。次いで、該黄色混合物を室温にて約1時間撹拌し、そして濾過する。該固体を25mLのHOで濯ぐ。真空オーブン中で58℃にて約16時間乾燥した後、3.9442gの黄色固体を得る(収率98%)。該固体のH NMRは合致し、(s)−マンデル酸を示さなかった。生成物のHPLC分析は、>99%の純度の所望の生成物を示す。LC−MSは、M/e=326(M+1)を有するピークを示した。
【化90】
【0137】
実施例4:[4aS,9bR]−エチル 5−(2−アミノ−2−オキソエチル)−6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレートの製造
(4aS,9bR)−エチル 5−(2−アミノ−2−オキソエチル)−6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレートは、アセトニトリル(80mL)中の(4aS,9bR)−エチル 6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレート(5.648g、17.4mmol)、2−クロロアセトアミド(7.32g、78.2mmol)、ヨウ化カリウム(19.2g、77.7mol)およびジイソプロピルエチルアミン(19mL、115mmol)の懸濁液を、還流まで27時間加熱することによって製造され得る。該溶媒を真空中で除去し、水(200mL)を残渣に添加し、そして1時間撹拌する。得られた白色固体を濾過し、エタノールで洗浄し、そして乾燥する。
【化91】
【0138】
実施例5:(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートの製造
ジオキサン(20mL)中の[4aS,9bR]−エチル 5−(2−アミノ−2−オキソエチル)−6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレート(254mg、1.34mmol)、ヨウ化第一銅(254mg、1.34mol)、炭酸カリウム(3.96g、28.7mmol)およびN,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.31mL、2.87mmol)の懸濁液を、還流にて4.5時間加熱する。ヨウ化第一銅(250mg、1.32mmol)の別の部分およびN,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.33mL、3.05mmol)を添加する。得られた混合物を、還流までさらに3時間加熱し、次いで、73℃にて約66時間加熱する。該反応混合物を濃縮し、そして100:3:3のジクロロメタン:トリエチルアミン:メタノールを使用して短いアルミナカラムを通過させる。該カラムから得られた溶媒を固体まで蒸発させ、そしてジクロロメタン中に再溶解する。該ジクロロメタン溶液を塩水で洗浄し、リン酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして固体(3.7g、95%、HPLCによる純度83%)まで濃縮する。
【化92】
【0139】
実施例5−A:(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートの製造
上記実施例5の代わりに、(6bR,10aS)−エチル 3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートはまた、式1Dの化合物から出発するワンポット法で製造され得る。2リットルの四つ口丸底フラスコは、機械式撹拌機、還流凝縮器、N注入口、コントローラーを有するテフロン被覆Kタイプ温度プローブ、および加熱マントルを備える。該フラスコに、(4aS,9bR)−エチル 6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレート(250g、769mmol)、クロロアセトアミド(124g、1153mmol、1.5当量)、ヨウ化カリウム(191.5g、1160mmol、1.5当量)、ジイソプロピルエチルアミン(266mL、1531mmol、2.0当量)、およびジオキサン(625mL)を充填する。該反応物を、HPLCによって3%未満の出発物質が観察されるまで、約103℃の還流温度まで加熱する(約48時間)。N−メチルクロロアセトアミドおよびジイソプロピルエチルアミンのさらなる充填物が必要であり得る。次いで、該反応物を約80℃まで冷却し、そしてこの温度にて、ヨウ化銅(29.2g、153.8mmol、0.2当量)、炭酸カリウム(232.5g、1682mmol、2.2当量)、ジメチルエチレンジアミン(49.6mL、461mmol、0.6当量)、およびさらなるジオキサン(375mL)を添加する。次いで、該反応物を還流まで再加熱し、そしてHPLCによって監視する。還流は約103℃で生じる。該反応はHPLCによって監視される。
【化93】
【0140】
実施例6:(6bR,10aS)−エチル 3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートの製造
(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレート(17.3g、57.4mmol)、KCO(15.8g、114mmol)、およびヨウ化メチル(66ml、1060mmol)を2Lの耐圧ボトル中に置き、そして500mlのアセトンを添加する。該ボトルを、油浴中109℃にて5.5時間加熱し、そして室温まで冷却する。アセトンおよび過剰のヨウ化メチルを真空中で除去し、200mlの水を添加し、次いで、DCMで抽出する。DCM層を合わせ、そして塩水で洗浄し、乾燥する(NaSO)。溶媒の蒸発により、(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートが生じる。
【化94】
【0141】
実施例6−A:(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートの製造
上記実施例6に代えて、(6bR,10aS)−エチル 3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートはまた、式1Dの化合物から出発するワンポット方法で製造され得る。2リットルの四つ口丸底フラスコは、機械式撹拌機、還流凝縮器、N注入口、コントローラーを有するテフロン被覆Kタイプ温度プローブ、および加熱マントルを備える。該フラスコに、(4aS,9bR)−エチル 6−ブロモ−3,4,4a,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール−2(9bH)−カルボキシレート(250g、769mmol)、N−メチルクロロアセトアミド(124g、1153mmol、1.5当量)、ヨウ化カリウム(191.5g、1160mmol、1.5当量)、ジイソプロピルエチルアミン(266mL、1531mmol、2.0当量)、およびジオキサン(625mL)を充填する。該反応物を、HPLCによって3%未満の出発物質が観察されるまで、約103℃の還流温度まで加熱する(約48時間)。N−メチルクロロアセトアミドおよびジイソプロピルエチルアミンのさらなる充填物が必要であり得る。次いで、該反応物を約80℃まで冷却し、そしてこの温度にて、ヨウ化銅(29.2g、153.8mmol、0.2当量)、炭酸カリウム(232.5g、1682mmol、2.2当量)、ジメチルエチレンジアミン(49.6mL、461mmol、0.6当量)、およびさらなるジオキサン(375mL)を添加する。次いで、該反応物を還流まで再加熱し、そしてHPLCによって監視する。還流は約103℃で生じる。該反応はHPLCによって監視される。
【0142】
反応完了後、該反応物を約40℃まで冷却し、そしてフラッシュ等級のシリカゲルのプラグ(625g、2.5g/g)上に注ぐ。該反応物を、(真空下)6.25Lの酢酸エチルで溶出する。該溶出液を固体残渣(320gm)まで濃縮し、次いで、熱エタノール(800ml)中に溶解する。この混合物を環境温度まで放冷し、そして一夜撹拌する。次の日、該混合物を0−5℃に冷却し、1時間熟成させ、そして濾過する。該ケーキを冷エタノール(150ml)で洗浄し、そして空気乾燥させて白色固体として170グラム(70%)の生成物を得る。この生成物は、HPLCによる純度が>99A%である。HPLC 10:90ないし90:10 CHCN:HO 15分間。90:10にて2分間保持、0.025%TFA緩衝液、1.5mL/min、UV220nm、Phenomenex Jupiter C18 カラム 4.6 mm x 250 mm。該生成物は、全イオンクロマトグラム中、LC/MSによる純度が75A%である。1H-NMR(300MHz, CDCl3) 1.28(t, J = 6.9Hz, 3H), 1.86-1.96(m, 2H), 2.72(br, 1H), 3.09-3.48(m, 7H), 3.86-4.21(m, 5H), 6.75(dd, J = 1.2, 7.8Hz, 1H), 6.82(t, J = 7.8Hz, 1H), 6.90(dd, J = 1.2, 7.2Hz, 1H).
【化95】
【0143】
実施例7:(6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートの製造
(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートは、BH・THF(THF中1M、143mL、143mmol)を、THF(50ml)中の(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレート(18.0g、約57mmol)の懸濁液に室温にて15分間に亘って滴下することによって製造され得る。得られた混合物を還流まで3時間加熱する。該反応混合物を氷水浴中で冷却し、そして150mlの6N HClを滴下する。THFを真空中で除去した後、2N NaOHをpH=9まで添加し、続いて、500mlのDCMで抽出する。DCM層を塩水で洗浄し、そしてNaSOで乾燥する。溶媒の蒸発により、粗(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]−キノキサリン−8−カルボキシレートを得る。
【0144】
或いは、(6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリンは、以下のように製造され得る:
頭上撹拌機、N注入口、およびKタイプテフロン被覆温度プローブを備えた5Lの三つ口丸底フラスコに、THF(約50mL)を使用して(6bR,10aS)−エチル 2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレート(218g、691.3mmol)を充填する。該反応容器を、三回真空にし/Nパージし、次いで、THF中のBH−THF錯体の1 Mの溶液(1962mL、1962mmol、2.8当量)を、滴下ロートを通じてゆっくりと添加する。次いで、得られた透明溶液を60℃に加熱する。次いで、得られたバッチを60℃にて約17時間撹拌する。該バッチは、HPLCによって、89.0%の所望の生成物および約3.0%の未反応基質を示した。該バッチを60℃にてさらに3時間撹拌し、次いで、氷浴中で約10℃まで冷却する。該バッチに、MeOH(327mL、8073mmol、11.7当量)を、内部温度を25℃未満に維持しながら、滴下ロートを通じてゆっくりと添加する。得られたバッチを氷浴中で約30分間撹拌し、そして真空中で濃縮して黄色ペーストを得る。次いで、該粗ペーストを、EtOAc(2180mL)およびHO(2180mL)の間に分配する。分離した有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして減圧下で濃縮して227.6gの黄色液体を得る。該液体のHPLC分析は、89%の所望の生成物、RRt 0.62での2.6%の不純物質、および2.5%の出発物を示した。1H NMR(CDCl3, 300 MHz) δ 1.28(t, J = 7.0Hz, 3H), 1.79-1.95(m, 2H), 2.74-2.92(m, 5H), 3.02-3.22(m, 2H), 3.22-3.38(m, 3H), 3.54-3.64(m, 1H), 3.78-4.24(m, 4H), 6.41(d, J = 7.8Hz, 1H), 6.54(d, J = 7.2Hz, 1H), 6.66(t, J = 7.7Hz, 1H); 13C-NMR(CDCl3, 75 MHz) δ 14.9, 24.7, 37.7, 39.9, 41.4, 44.4, 45.8, 50.7, 61.4, 65.0, 109.3, 113.3, 120.6, 128.8, 135.1, 138.2, 155.6.
【化96】
【0145】
実施例8:(6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリンの製造
(6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレート(約18.5g、57mmol)、KOH(12.7g、226mmol)およびn−ブタノールを、300mlの耐圧ボトル中に置き、そして油浴中120℃にて3時間加熱する。n−ブタノールを真空中で除去し、そして300mlの水を添加し、次いで、DCMで抽出する。DCM層を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)する。溶媒の蒸発により、(6bR,10aS)−エチル−3−メチル−2,3,6b,7,8,9,10,10a−オクタヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリンを得る。
【0146】
或いは、5−Lの三つ口丸底フラスコにおいて、残りのInt−7を未精製のまま濃HCl(1090mL)中に溶解させ、その後、(6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−カルボキシレートを5Lの反応容器に添加する。得られた溶液を95℃にて15時間加熱する。次いで、該バッチを氷浴中で約10℃まで冷却し、そしてMTBE(1090mL)を添加する。次いで、該バッチに、25%NaOH溶液(1308mL)を、内部温度を30℃未満に維持しながら、滴下ロートを通じてゆっくりと添加する。水層は、NaOH溶液の添加後、>14のpHを示す。次いで、該バッチに、EtOAc(1090mL)を添加し、そして得られた暗色混合物を、氷浴中、約5分間撹拌する。層を分離し、そして水層をEtOAc(1090mL)で抽出する。合わせた有機層を塩水(1090mL)で洗浄し、濾過し、そして減圧下で濃縮して166.8gの暗褐色液体(理論収量158.5g)を得る。該液体のHPLC分析は、88.1%の所望の生成物を示した。生成物のH NMRは合致し、そして5%を超える単一の不純物を示さない。LC−MS分析は、M/e=230(M+1)を有する約93%の主ピークを示す。該生成物を、N下、冷室中に貯蔵する。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.71-1.97(m, 2 H), 2.58-2.70(m, 1 H), 2.80-2.92(m, 6 H), 2.98-3.12(m, 2 H), 3.26-3.37(m, 3 H), 3.55-3.64(m, 1 H), 6.41(d, J = 7.8 Hz, 1 H), 6.51(d, J = 7.2 Hz, 1 H), 6.65(t, J = 7.8 Hz, 1 H).
【化97】
【0147】
実施例9:4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−(7H)−イル)−1−(4−フルオロフェニル)−1−ブタノンの製造
ジオキサン(65ml)およびトルエン(65ml)中の(6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン(約11.8g、約50mmol)、4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン(15.0g、74.8mmol)、トリエチルアミン(30mL、214mmol)、およびヨウ化カリウム(12.6g、76mmol)の懸濁液を、還流まで7時間加熱する。濾過および溶媒の蒸発後、200mlのDCMを添加する。該DCM溶液を塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、そして約55mlまで濃縮する。濃縮した溶液を600mlの0.5N HClエーテル溶液に滴下する。該固体を濾過し、エーテルで洗浄し、次いで、水中に溶解する。得られた水溶液を2N NaOHで塩基性にし、そしてDCMで抽出する。DCM層を合わせ、塩水(2x200mL)で洗浄し、そして乾燥(NaSO)する。溶媒の蒸発およびシリカゲルによる残渣のクロマトグラフィーにより、4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−(7H)−イル)−1−(4−フルオロフェニル)−1−ブタノンを得る。
【0148】
ジオキサンの使用に代えて、該反応は、3−ペンタノン中で行われ得る。機械式撹拌機、N注入口、還流凝縮器、および温度プローブを備えた5Lの三つ口丸底フラスコに、230gの(6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド−[3’,4’:4,5]−ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン(1mol)、249.78gのKI(1.5mol、1.5当量)、194.12gのPRNEt(1.5mol、1.5当量)、301.76gの4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン(1.5mol、1.5当量)、および2300mLの3−ペンタノンを充填する。次いで、得られた混合物を95℃(内部温度)にて17時間加熱し、そしてHPLCによって反応完了について調べる。次いで、該バッチを氷浴によって約10℃まで冷却し、そして5%NaOH溶液(2300mL)を添加する。次いで、分離した水層をEtOAc(2300mL)で抽出する。合わせた有機層を、EtOAcが予め充填されているシリカゲルのパッド(115g)を通じて濾過する。次いで、シリカゲルをEtOAc(2300mL)でフラッシュする。合わせた濾液を減圧下で濃縮して暗褐色液体を得る。次いで、該液体にEtOAc(2300mL)を添加し、そして1.5N HCl溶液(2300mL)を添加する。該バッチを室温にて約20分間撹拌し、そして層を分離する。分離した有機層を1.5N HCl溶液(1150mL)で抽出し、そして該層を分離する。合わせた水層を氷浴中で約10℃まで冷却し、そしてEtOAc(2300mL)を添加する。次いで、該撹拌混合物に、25%NaOH溶液(1000mL)を、25℃未満に内部温度を維持しながら、滴下ロートを通じて添加する。得られた混合物を氷浴中で約20分間撹拌し、そして該層を分離する。該水層は、pH試験紙によって11ないし12の間のpHを示す。該水層をEtOAc(1150mL)で逆抽出し、そして該層を分離する。合わせた有機層を塩水(1150mL)で洗浄し、NaSO(230g)で乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して368.8gの暗褐色液体を得る。該粗遊離塩基を、N下、暗冷室中で貯蔵する。
【化98】