特許第5918309号(P5918309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918309
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】電気炉用材料予熱装置
(51)【国際特許分類】
   F27D 13/00 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   F27D13/00 E
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-128178(P2014-128178)
(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-8736(P2016-8736A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2015年1月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人日本鋳造工学会第164回全国講演大会 みやこめっせ(京都市勧業館)にて、平成26年5月31日から平成26年6月1日まで展示
(73)【特許権者】
【識別番号】591181089
【氏名又は名称】株式会社ナニワ炉機研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】村田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】立入 勝啓
(72)【発明者】
【氏名】山本 貢
(72)【発明者】
【氏名】垣内 進冴
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−049986(JP,A)
【文献】 特開平09−014866(JP,A)
【文献】 特開2002−059142(JP,A)
【文献】 特開昭53−100110(JP,A)
【文献】 特開2014−028367(JP,A)
【文献】 特開2003−262470(JP,A)
【文献】 特開平07−332874(JP,A)
【文献】 特開2010−180472(JP,A)
【文献】 特開平09−145265(JP,A)
【文献】 特開平04−214185(JP,A)
【文献】 特開昭62−94789(JP,A)
【文献】 特開2005−83641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 13/00
F27B 3/00 − 3/28
F27B 14/00 − 14/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(20)を有する材料収容用のドラム(2)と、該ドラム(2)を材料受入姿勢と前方上傾状の予熱姿勢と前方下傾状の材料排出姿勢とに各々対応するように変更する傾動手段(3)と、上記ドラム(2)内の上記材料(W)を攪拌するために前方上傾状の予熱姿勢の上記ドラム(2)を回転駆動させると共に上記ドラム(2)内の上記材料(W)の排出を促進させるために前方下傾状の材料排出姿勢の上記ドラム(2)を回転駆動させる回転手段(5)と、を搭載する走行自在な台車(1)と、
上記台車(1)とは別体の固定枠(60)に設けられ、前方上傾状の予熱姿勢の上記ドラム(2)の上記開口部(20)に対して施蓋状態として対応可能なバーナ(61)付き蓋体(6)と、
を備え、
上記ドラム(2)は、内部に、材料攪拌及び排出促進用の羽根(28)を有し、
上記ドラム(2)を上記傾動手段(3)にて前方上傾状の予熱姿勢にすると共に上記回転手段(5)にて回転駆動させつつ施蓋状態の上記蓋体(6)の上記バーナ(61)を燃焼させて、上記材料(W)を予熱するように構成し、上記蓋体(6)非施蓋状態となった上記ドラム(2)を上記傾動手段(3)にて前方下傾状の材料排出姿勢にすると共に上記ドラム(2)を上記回転手段(5)にて回転させつつ予熱状態の上記材料(W)を排出するように構成したことを特徴とする電気炉用材料予熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気炉用材料予熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料を電気炉にて溶解する材料溶解作業は、スクラップヤード等の材料保管部から材料を搬送して電気炉に投入し、電気炉内で材料の電気加熱を開始して昇温し、溶解させていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−58869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来は、電気炉にて材料を溶解する際に多大な電気エネルギーが必要となり、材料溶解作業にかかるコストが高いといった問題があった。
特に、電気炉で材料を常温から融点まで加熱する工程は、電気炉の溶解開始から溶解完了までにかかる電力エネルギーの60%〜70%を占め、コスト増加の大きな原因となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、電気炉で材料を加熱する際に消費する電力を削減でき、材料溶解作業全体のコストダウンが図れる電気炉用材料予熱装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電気炉用材料予熱装置は、開口部を有する材料収容用のドラムと、該ドラムを材料受入姿勢と前方上傾状の予熱姿勢と前方下傾状の材料排出姿勢とに各々対応するように変更する傾動手段と、上記ドラム内の上記材料を攪拌するために前方上傾状の予熱姿勢の上記ドラムを回転駆動させると共に上記ドラム内の上記材料の排出を促進させるために前方下傾状の材料排出姿勢の上記ドラムを回転駆動させる回転手段と、を搭載する走行自在な台車と、上記台車とは別体の固定枠に設けられ、前方上傾状の予熱姿勢の上記ドラムの上記開口部に対して施蓋状態として対応可能なバーナ付き蓋体と、を備え、上記ドラムは、内部に、材料攪拌及び排出促進用の羽根を有し、上記ドラムを上記傾動手段にて前方上傾状の予熱姿勢にすると共に上記回転手段にて回転駆動させつつ施蓋状態の上記蓋体の上記バーナを燃焼させて、上記材料を予熱するように構成し、上記蓋体非施蓋状態となった上記ドラムを上記傾動手段にて前方下傾状の材料排出姿勢にすると共に上記ドラムを上記回転手段にて回転させつつ予熱状態の上記材料を排出するように構成したものである
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安価な灯油等を用いてバーナで材料を予熱した後、電気炉へ供給でき、電気炉で材料を溶解する際にかかる電気消費量を大幅に削減し、溶解作業全体にかかるコストを削減できる。回転によって、材料が全体に均等に加熱され、電気炉への投入後の溶解が円滑に高品質に行い得る。材料保管部からの材料の受け入れと、受け入れた材料の予熱と、ドラムからの材料排出と、を確実かつスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態を示す斜視図である。
図2】予熱姿勢の一例を示す側面図である。
図3】予熱状態のドラムと蓋体を示す要部断面図である。
図4】羽根の一例を示す横断面図である。
図5】羽根の他例を示す横断面図である。
図6】予熱工程を示す斜視図である。
図7】排出工程を示す側面図である。
図8】電気炉への材料供給工程を示す側面図である。
図9】他の実施形態を示す側面図である。
図10】受入ホッパー及び受入シュートの逃がし工程を示す斜視図である。
図11】他の実施形態の予熱工程を示す側面図である。
図12】他の実施形態の排出工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
従来は、常温のままで電気炉へ材料を投入していたのに対して、本発明は、各種金属材料を電気炉へ投入(供給)前に、予熱を行う装置である。
図1図3に示すように、材料収容用のドラム2と、ドラム2の姿勢を変更する傾動手段3と、ドラム2を回転駆動させる回転手段5等を、台車1に搭載し、また、ドラム2の開口部20に対して、予熱姿勢では施蓋状態として対応可能な蓋体6を備える。
この蓋体6にはバーナ61が付設され、しかも、走行自在な上記台車1とは別体の固定枠60に蓋体6が配設されている。
【0010】
図3に示すように、ドラム2を上傾状の予熱姿勢にすると共に蓋体6を施蓋して、この施蓋状態下でバーナ61を燃焼させて、材料Wを予熱するが、上記回転手段5にてドラム2を回転駆動させつつ、バーナ61の燃焼による予熱が行われる。
【0011】
ドラム2は、円形底壁2Aと円筒形周壁2Bとを有し、円形の開口部20が形成され、円形板状の蓋体6がドラム2とは分離状態で固定枠60に配設され、予熱の際には、図3のように、開口部20に蓋体6が接近乃至摺接にて対応した施蓋状態となる。
【0012】
傾動手段3は、ドラム2を、材料受入姿勢と予熱姿勢と材料排出姿勢とに各々対応するように変更(変動)させるものである。材料投入姿勢では、ドラム2は鉛直状で開口部20は真上を向く(図1参照)。
【0013】
回転手段5は、ドラム2内の材料Wを攪拌するためにドラム2を回転駆動させるためのものである。ドラム2は、内部に、図4又は図5に例示するように、材料攪拌及び排出促進用の羽根28を有する。
【0014】
図1に例示するように、縦穴型材料ヤードや地上仕切り型の材料ヤード等の材料保管部90と、誘導炉等の電気炉99との間に、本発明に係る材料予熱装置が配設され、各種金属材料Wを、電気炉99まで搬送する途中で、予熱する。
【0015】
傾動手段3は、台車1の前方側支柱部11に一端30aが左右水平状軸心廻りに揺動自在に枢着されると共に他端30bがドラム2を保持するドラム保持枠体4に取着された連結揺動部材30と、台車1の荷台側固定部12に一端31aが左右水平状軸心廻りに枢着されると共に他端31bがドラム保持枠体4に左右水平状軸心廻りに枢着される伸縮自在な油圧シリンダや電動シリンダ等のアクチュエータ31と、を備えている。
【0016】
傾動手段3は、アクチュエータ31を伸縮させることで、ドラム2の姿勢を、鉛直状の材料受入姿勢(図1参照)と、前方上傾状の予熱姿勢(図3図6参照)と、前方下傾状の材料排出姿勢(図7参照)と、に変更させる。
【0017】
さらに、回転手段5は、図2に示すように、ドラム2をドラム軸心L2廻りに回転駆動させるものであって、電動モータ等の駆動源Mと、減速機51と、駆動ギヤ部52と、駆動ギヤ部52と噛合すると共にドラム2に外嵌状に固着された環状ギヤ部(ラック部)53と、を備えている。(なお、図1図6乃至図12に於て、回転手段5を図示省略している。)
【0018】
また、ドラム保持枠体4は、ドラム2の開口部20側に設けられ外嵌状に固着された第1リング部41と、ドラム2の底部側に設けられ外嵌状に固着された第2リング部42と、第1リング部41に転動する左右一対の第1支持ローラ43と、第2リング部42に転動する左右一対の第2支持ローラ44と、を備え、ドラム軸心L2廻りに回転自在に、ドラム2の外周側を保持している。
また、台車1には、走行用駆動源が付設されている。
【0019】
蓋体6は、液体燃料又は気体燃料によって燃焼可能なバーナ61と、排気路62aを有する煙突62と、を備えている。
バーナ61は、材料Wの単位重量当りを昇温させるためのエネルギーコストが、電気炉99(の電気料金)よりも安価である液体燃料又はガスによって燃焼するものであり、特に、灯油(液体燃料)にて燃焼するもの(灯油用バーナ61)とするのが、燃料を安価かつ安定して確保できると共に安全性が高くて望ましい。
【0020】
ここで、本発明の電気炉用材料予熱装置の使用方法(作動)について説明する。
図3に示すように、材料Wを収容して前方上傾状となった予熱姿勢のドラム2の開口部20に対して、蓋体6の蓋軸心L6をドラム軸心L2と同心状とすると共に接近乃至摺接させた施蓋状態として対応させる。
予熱姿勢のドラム2を回転手段5にてドラム軸心L2廻りに回転駆動させつつ、施蓋状態の蓋体6のバーナ61を点火・燃焼させて、材料Wを予熱する。ドラム2内で発生する煙を排気路62aを介してドラム2の外部に排出する。
【0021】
このように、ドラム2を前方上傾状で回転させることで、内部の材料Wが均等に加熱され、効率良く(常温から)昇温させることができる。
例えば、ドラム2内の材料Wの平均温度を、融点の40%〜80%の値の温度、より好ましくは、45%〜75%の値(所定予熱温度)まで昇温する。さらに好ましくは、例えば、融点が約1150℃の材料を、常温の約20℃から約600℃(融点の50%〜60%の値の温度)まで昇温する。
【0022】
さらに、ドラム2は、材料攪拌用の羽根28を有しているので、ドラム2の回転によって、羽根28が材料Wを攪拌し、ドラム2内の材料Wを一層均等にかつ迅速に常温から昇温させる。
羽根28は、図4に示すように、ドラム2の内周面からラジアル内方へ突設されると共にドラム軸心L2廻りに等間隔に複数設け、ドラム軸心L2方向に沿った帯板型としたり、或いは、図5に示すように、帯板型の羽根28を、ドラム2のラジアル線eから所定角度θをもって傾倒して、ドラム軸心L2廻りに等間隔に複数設けても良い。
また、図示省略するが、羽根28をドラム軸心L2廻りの螺旋状として、材料Wを螺旋運動させて材料Wの攪拌作用を一層促進して、均等な温度に材料Wを昇温するも望ましい。
【0023】
そして、所定予熱温度まで材料Wを熱した後、蓋体6を非施蓋状態にして、ドラム2の開口部20を開放状態とし、傾動手段3にて前方下傾状の材料排出姿勢(図7参照)にしてドラム2内から予熱状態の材料Wを排出する。
【0024】
排出する際に、回転手段5にてドラム2を回転させて排出を促進させる。また、羽根28によって、排出がより促進される。つまり、回転手段5及び羽根28は、材料攪拌及び排出促進用である。
【0025】
次に、本発明の予熱装置の一つの適用例を図1図6図8に例示する。これらの図に於て、材料保管部90の前方位置には、左右方向にレール18,18が、敷設され、台車1は左右に移動自在である。まず、図1に示すように、ドラム2の開口部20が鉛直上方向を向くように保持する(材料受入姿勢とする)。また、前方下傾状の供給シュート部8を有するホッパー型の供給台車7を、前後走行可能に配設する。21,21は、その供給台車7の走行するレールである。蓋体6を固着した固定枠60は、レール21,21の左右一方側近傍に立設されている。しかも、蓋体6は傾斜状態で、ドラム2が近づいてくるのを待っている。
蓋体6は、固定枠60によって、材料受入姿勢のドラム2の前方上方に配設される。
【0026】
図1に示すように、ドラム2の材料受入姿勢に於て、図外の投入手段によって材料Wを保管部90から取出して、ドラム2の鉛直上方向を向いた開口部20へ投入する。ドラム2に所定材料Wが投入完了すると、レール18,18に沿って左右一方側へ台車1を走行させて、蓋体6の設けられた固定枠60の位置(固定枠60に固着した蓋体6にドラム2が対応する位置)で停止させる。
【0027】
次に、図2に示すように、傾動手段3によってドラム2を前方上傾状に、上方揺動させてゆくと、蓋体6に対して、ドラム2の開口部20がしだいに接近してゆき、図6に示す如く、施蓋状態となり、そこで、ドラム2を回転させると共にバーナ61を点火させる(図3の予熱姿勢となる)。
この予熱姿勢で所定時間の予熱を行って、所定温度(予熱温度)に上昇させた後、傾動手段3にてドラム2を僅かに下方へ傾動させて、蓋体6から開口部20を分離して、台車1を左右他方側へ走行させて、レール18,18の元の位置まで復帰させる。
【0028】
レール21,21上の供給台車7と同じ左右方向位置に復帰したドラム2を、図7に示すように、傾動手段3にて前方下傾状の材料排出姿勢に切換え、ドラム2の回転を続けながら、供給台車7のホッパーへ、予熱を加えた材料Wを排出する。
【0029】
予熱した材料Wを収容した供給台車7は、図7から図8に示すように、レール21,21に沿って走行して、電気炉99近傍に到着する。そこで、供給シュート部8から電気炉99に材料Wを供給する(材料供給工程)。
このように、構成することで、予熱状態の材料Wを供給台車7が搬送中や、戻ってくる間にドラム2への材料受け入れや、予熱工程を行うことができ、全体の作業を効率良く行うことができる。
【0030】
次に、本発明の予熱装置の他の適用例を図9図12に図示する。
先ず、図9に示すように、材料保管部90の前方位置に、台車1を前後走行可能に設けると共にドラム2を前方上傾状の材料受入姿勢に保持する。また、台車1には、ドラム2の前方位置に、前方下傾状の供給シュート部8を備えている。
【0031】
そして、リフティングマグネット91から成る材料搬送手段にて材料Wが投入される受入ホッパー92と、受入ホッパー92の下端開口部に取着され、材料受入姿勢のドラム2の開口部20に材料Wを案内するための後方下傾状の受入シュート93と、を備えたドラム投入手段95が設けられ、しかも、このドラム投入手段95は、左右ガイド用吊りレール96,96を有し、一体化された受入ホッパー92と受入シュート93を、左右に移動自在に吊持状に保持している。図9の材料受入姿勢のままでは、ドラム2と受入シュート93とが当接乃至接近しており、しかも、受入シュート93の下方開口端は後方を向いているために、台車1・ドラム2等は、前方へ移動不可である。そこで、図9から図10に示すように、吊りレール96,96に沿って、受入シュート93・受入ホッパー92を左右方向に移動して(逃げて)、台車1・ドラム2等を、前方へ移動させる構成である。
そして、固定枠60は、レール21,21を跨ぐように門型として立設され、蓋体6を水平状姿勢と傾斜状姿勢に揺動切換自在に設けている。
つまり、平面視で、台車1・ドラム2等の前後走行軌跡上に、蓋体6を配設している。
【0032】
図9の状態にて、受入ホッパー92及び受入シュート93を介してドラム2に材料を所定重量投入すると、図10に示すように、受入ホッパー92及び受入シュート93が吊りレール96,96に沿って、左右へ水平移動して(左右一方側へ逃げて)、台車1が前後方向のレール21,21に沿って前方へ走行する。
【0033】
そして、材料受入姿勢と同じ又は僅かに異なる傾動状態(傾斜角度)である予熱姿勢のドラム2を、蓋体6の下方位置に対応させる。
図11に示すように、蓋体6が水平状姿勢から下方へ揺動して、傾斜状となり、ドラム2に対して施蓋状態となる。
そして、バーナ61を燃焼させ、ドラム2を回転させて予熱工程を行う。
【0034】
ドラム2内の材料Wを所定予熱温度に熱した後、蓋体6を上方へ揺動させて水平状姿勢として、ドラム2から離間させる(蓋体6をドラム2に対して非施蓋状態とする)。その後、ドラム2(台車1)を電気炉99近傍まで前方水平走行させる。この際、回転手段5にてドラム2を回転させながら走行させることで、材料Wの温度を均一状に保持するも良い。
【0035】
図12に示すように、予熱状態の材料Wを収容したドラム2は、電気炉99近傍に到着した後、傾動手段3にて前方下傾状の材料排出姿勢に切り換わり、供給シュート部8を介して、電気炉99に予熱状態の材料Wを供給する。つまり、ドラム2等を搭載した台車1(材料収容装置9)が直接的に電気炉99に材料Wを供給する。その後、傾動手段3にて材料受入姿勢に切り換えつつ材料受入位置までドラム2(台車1)を戻して、材料受入工程と予熱工程と排出工程(材料供給工程)を繰り返す。
【0036】
このように構成することで、図1及び図6乃至図9を用いて説明した供給台車7が不要となり、装置の簡略が図れ、装置全体の導入費用を軽減できる。また、予熱状態の材料Wが電気炉99に搬送されるまでに冷えるのを防止できる。
【0037】
なお、本発明は、設計変更可能であって、図示省略するが、材料保管部90は、縦穴式の材料ヤードに限らず地上仕切り型の材料ヤードや、サイロ型や箱型とするも良い。また、複数の支持ローラ43,44の内、1つ又は複数を回転駆動させることでドラム2を回転させる回転手段5とするも良い。また、材料受入姿勢と予熱姿勢との姿勢が同じであっても良い。
【0038】
以上のように、本発明の電気炉用材料予熱装置は、開口部20を有する材料収容用のドラム2と、ドラム2を材料受入姿勢と予熱姿勢と材料排出姿勢とに各々対応するように変更する傾動手段3と、ドラム2内の材料Wを攪拌するためにドラム2を回転駆動させる回転手段5と、予熱姿勢のドラム2の開口部20に対して施蓋状態として対応可能なバーナ61付き蓋体6と、を備えたので、バーナ61で予熱した材料Wを、電気炉99へ供給でき、電気炉99で材料Wを溶解する際にかかる電気消費量を大幅に削減し、溶解作業全体にかかるコストを削減できる。電気炉99が冷えにくく、効率良く材料Wを加熱できる。材料保管部90からの材料Wの受け入れと、受け入れた材料Wの予熱と、ドラム2からの排出を容易かつスムーズに行うことができる。
【0039】
また、ドラム2を上傾状の予熱姿勢にすると共に回転手段5にて回転駆動させ、施蓋状態の蓋体6のバーナ61を燃焼させて、材料Wを予熱するので、ドラム2内の材料Wを均一に効率良く熱することができる。材料W全体を迅速に所定予熱温度まで昇温させることができる。
【0040】
また、ドラム2は、内部に、材料攪拌及び排出促進用の羽根28を有するので、ドラム2内の材料Wの温度を確実かつ安定的に均一にすることができる。ドラム2から材料Wを排出する作業を迅速かつ容易に行えると共に予熱状態の材料Wが冷えるのを防止できる。
【符号の説明】
【0041】
台車
2 ドラム
3 傾動手段
5 回転手段
6 蓋体
20 開口部
28 羽根
60 固定枠
61 バーナ
ラジアル線
L2 ドラム軸心
W 材料
θ 所定角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12