特許第5918311号(P5918311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918311
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】腕輪リンクを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 13/00 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   B23P13/00
【請求項の数】8
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-133649(P2014-133649)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2015-16546(P2015-16546A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】13176444.1
(32)【優先日】2013年7月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598173166
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・マネージメント・サービシイズ・エイ ジー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−クロード・グラシア
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−179166(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02561956(FR,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0056267(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02374516(GB,A)
【文献】 特開2000−233336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 13/00,15/00
B23B 41/00
B23C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕輪リンク(14)をバッチ製造する方法であって、
a)中実または中空の押し出し棒体(1)を用意するステップであって、この押し出し棒体(1)は、複数のリンク素材片(2)を有し、この複数のリンク素材片(2)は、前記押し出し棒体(1)の押出方向(A)に延在する外表面または内表面のいずれか一方に設けられた溝(4)によって複数の前記リンク素材片(2)どうしの横断方向の境界が定められるような材料で作られている、ステップと
)前記リンク素材片(2)の幅を定める所定の長さ(L)で押し出し棒体(1)を切断して、周囲(10)に複数の前記リンク素材片(2)を有する輪(8)を得るステップと
)粗い機械加工によって、前記リンク素材片(2)の最終の形状形成を行うステップと、及
)腕輪リンク(14)を形成するように複数の前記リンク素片2が互いに分離するまで、前記リンク素材片(2)の間の接続を形成する輪(8)の外表面または内表面(12)のいずれか一方を削るステップと
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記押し出し棒体(1)は、中空である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記押し出し棒体(1)の外周を機械加工することによって、前記溝(4)が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記リンク素材片(2)の最終の形状形成を行うステップは、前記リンク素材片(2)の外形の機械加工を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記リンク素材片(2)の最終の形状形成を行うステップは、前記腕輪リンク(14)を互いに固定する棒体を受けるための孔(18)を孔開けするステップを有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記腕輪リンク(14)の形態は、H字形であり、前記リンク素材片(2)の最終の形状形成を行うステップにおける前記粗い機械加工によって、前記H字形のクロスバー(16)が、前記押出方向(A)に延在するように形成される
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
当該方法は、さらに、別々の前記腕輪リンク(14)を研磨するステップを有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記押し出し棒体(1)の材料は、アルミニウム、銀、金、チタン、セラミック、及びプラスチック材料からなる群から選択される
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕輪リンクを製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、押し出し棒体から腕輪リンクをバッチ製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腕輪リンクを製造するために一般的に使用されている2つの技術がある。一方は、棒の曲げのみによってリンクを機械加工する技術である。他方は、エンボス又はダイスタンプを行って、その後に機械加工で素材片を仕上げることによってリンク用の素材片を作る技術である。これらの2つの技術は、いずれもリンクを一品ごとに製造する技術であり、生産効率が比較的低く、リンクの製造コストがかなり高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、腕輪リンクをバッチ製造する方法を提供することにより、上記問題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、複数の腕輪リンクをバッチ製造する方法に関し、この方法は、
a)押し出し棒体を用意するステップであって、この押し出し棒体は、リンク素材片を有し、このリンク素材片は、前記押し出し棒体の押出方向に延在する溝によってリンク素材片どうしの横断方向の境界が定められるような材料で作られている、ステップと、
b)必要な場合に、未だ前記押し出し棒体が単一体であるうちに、前記押し出し棒体に対して第1の粗い機械加工を行うステップと、
c)リンク素材片の幅を定める所定の長さで押し出し棒体を切断して、周囲にリンク素材片を有する輪を得るステップと、
d)最終の粗い機械加工によって、前記リンクの形状形成を行うステップと、及び
e)リンクが互いに分離するまで、前記リンクの間の接続を形成する輪の表面を削るステップとを備えた方法である。
【0005】
これらの特徴によって、本発明は、腕輪リンクをバッチ製造する方法を提供する。ここにおいて、押し出し棒体が未だ単一体であるうちに、又は遅くとも、押し出し棒体が切断されて、それぞれがリンクのための複数の素材片を押し出し棒体の周辺部に有する複数の輪になる時点までにリンクが機械加工される。このように、未だバッチ状態にある時にリンク素材片を機械加工することができ、これによって、製造コストを下げて生産効率を上げることができる。最後のステップは、リンクが分離された後にリンクを磨くステップとすることができる。有利なことに、リンク素材片は、押し出し棒体が押し出し成形される際には単一体であり、溝によってリンク素材片どうしの横断方向の境界が定められ、これによって、未だ押し出し棒体が単一体であるうちに、リンク素材片は別々の素材片へと既に分離している。これは、その後のリンク仕上げ加工を容易にする。
【0006】
本発明の他の特徴及び利点を、本発明に係る方法の実装例についての以下の詳細な説明から、より明確に理解できるであろう。これらの実装例は、純粋に、添付した図面を参照する限定しない形態で与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る押し出し棒体の斜視図である。
図2図1の押し出し棒体を切断して得られた輪の斜視図である。
図3図2に示すリンクに対して粗い機械加工が行われた輪の斜視図である。
図4】仕上がり状態におけるリンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、概して、押し出し棒体(profile bar)における腕輪リンク(bracelet link)をバッチ機械加工する創造的思想から発生した。押し出し棒体が未だ単一体であるうちに、又は、遅くとも、押し出し棒体が切断されて、自身の長さがリンクの幅を決定するような複数の輪にされて各輪が複数のリンク素材片をグループ化する時点までに、機械加工の少なくとも一部を実行することができる。リンク素材片が未だバッチ状態にある間に、機械加工を行うことができる、これによって、生産効率が上がり、コストが下がる。
【0009】
図1は、本発明に係る方法を実施するための押し出し棒体の斜視図である。押し出し棒体全体を包括的な符号1として示してある。この押し出し棒体1は、アルミニウム、金、銀、チタン、セラミック又はプラスチック材料のような任意の押し出し成形可能な材料で作ることができる。押し出し棒体1は、押出方向Aへと押し出されて成形される。
【0010】
図1に示すように、複数のリンク素材片2の横方向の境界が、概して押し出し棒体1の押出方向Aに延在する溝4によって互いに定められる。必要ならば、押し出し棒体1が未だ単一体であるうちに、リンク素材片2の第1の機械加工を押し出し棒体1に行ってもよい。遅くとも、粗研磨及び仕上げ作業は、押し出し棒体1が切断工具6によって複数の輪8(これらのうちの1つを図2に示した)へと切断された後に、リンク素材片2に対して行われる。押し出し棒体1の区分長Lは、リンク素材片2の幅を定める。
【0011】
輪8はそれぞれ、その周囲10上で複数のリンク素材片2をグループ化している。本発明の第1の実施形態(図示せず)によれば、リンク素材片2は、輪8の内周にわたって放射状に分布している。図2に示した第2の実施形態によれば、リンク素材片2は、輪8の外周にわたって放射状に分布している。以下で説明するように、輪8の周囲10は、リンクが互いから分離するまでリンク素材片2を互いに接続する表面12を形成している。
【0012】
押し出し棒体1は、固体であることができ、好ましくは、中空になるものである。本発明によれば、リンク素材片2が形状形成され、最終的な粗い機械加工によって最終形態の形状が作られる。これらの機械加工ステップは、リンク素材片2が未だバッチ状態にあるうちに行われる。機械加工ステップは、リンク素材片2の外形を機械加工することを伴う。例えば、仕上げ済みリンク14(図4に一例を示した)は、H字形であり、クロスバー16が押出方向Aに延在している。リンク素材片2の最終の形状作成ステップは、さらに、リンクを互いに固定する棒体(図示せず)を受けるように意図された孔18の穴開けを伴う。
【0013】
本発明の製造方法の最終ステップは、複数の仕上げ済みリンク14を形成するようにリンク素材片2が互いから分離されるまで、輪8の表面12を削ることを伴う。仕上げ済みリンク14を磨くステップが最終ステップであることも考えることができる。
【0014】
本発明は、当然、上に記載された実施形態には限定されない。添付した特許請求の範囲によって定められるような本発明の範囲から逸脱せずに、当業者は様々な単純な変更や変形を考えることができる。特に、機械加工の一部を、押し出し棒体が未だ単一体であるうちに行うことができ、また、押し出し棒体を切断して幅が輪の幅に対応する複数の輪とすることができる。
図1
図2
図3
図4