特許第5918336号(P5918336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5918336
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】ワークテーブル用ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/28 20060101AFI20160428BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20160428BHJP
   F16D 65/02 20060101ALI20160428BHJP
   F16D 65/097 20060101ALI20160428BHJP
   B23Q 5/54 20060101ALI20160428BHJP
   B23Q 1/52 20060101ALI20160428BHJP
   B23Q 5/04 20060101ALI20160428BHJP
   F16D 121/04 20120101ALN20160428BHJP
   F16D 125/04 20120101ALN20160428BHJP
   F16D 125/06 20120101ALN20160428BHJP
   F16D 125/08 20120101ALN20160428BHJP
【FI】
   B23Q1/28 C
   F16D65/18
   F16D65/02 E
   F16D65/097 B
   B23Q5/54 A
   B23Q1/52
   B23Q5/04 F
   F16D121:04
   F16D125:04
   F16D125:06
   F16D125:08
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-221357(P2014-221357)
(22)【出願日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591082591
【氏名又は名称】三陽工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】柴原 和則
(72)【発明者】
【氏名】上畑 憲顕
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102007044053(DE,A1)
【文献】 特開2005−147173(JP,A)
【文献】 実開平4−014827(JP,U)
【文献】 特開平6−023635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/28
B23Q 1/52
B23Q 5/04
B23Q 5/54
F16D 65/02
F16D 65/097
F16D 65/18
F16D 121/04
F16D 125/04
F16D 125/06
F16D 125/08
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた状態で円環状の油路(10)を形成するトッププレート(1)とミドルプレート(2)を備え、上記ミドルプレート(2)に上下方向に貫設した複数のピストン収納孔(20)に上記油路(10)を連通連結し、上記油路(10)の油圧により上記ピストン収納孔(20)から下方に押出自在として各ピストン収納孔(20)に内装されたピストン(8)を有し、
上記ピストン(8)の下方位置に配設されワークテーブル(15)の回転軸(16)に固着された制動ディスク(5)に圧接自在の複数の円弧状押圧部材(7)(7)と、上記制動ディスク(5)を下方で受けるバッキングプレート(4)と、ラジアル内方突出状のトルク受け突片部(9)(9)を有し上記円弧状押圧部材(7)(7)を嵌め込んで非回転状に保持するアンダープレート(3)を備えたことを特徴とするワークテーブル用ブレーキ装置。
【請求項2】
上記円弧状押圧部材(7)(7)をラジアル内方へ弾発付勢する弾発部材(6)(6)を備え、該弾発部材(6)(6)の弾発付勢力によって、上記円弧状押圧部材(7)の両端面(7a)(7a)を、上記トルク受け突片部(9)(9)の側面(9a)(9a)に常時押し付けるように構成された請求項1記載のワークテーブル用ブレーキ装置。
【請求項3】
重ね合わされた上記トッププレート(1)と上記ミドルプレート(2)の円環状の相互対応面に於て、内環状シール材(11)と外環状シール材(12)が同心状に介設され、上記油路(10)の内周縁と外周縁を形成している請求項1又は2記載のワークテーブル用ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークテーブル用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工する部品(ワーク)を載置するワークテーブルを回転自在に支持する工作機械に於て、ワークテーブルを所定の角度で位置決めした後、その状態を保持するためのワークテーブル用ブレーキ装置が使用されていたが、従来のこの種のブレーキ装置は、複数の油圧シリンダを平行に並設した複雑で、容積と重量の大きいものであった。しかし、用途が相違するが、構造の簡素なワークテーブル用ブレーキ装置も、従来、提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−23635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワーク側面にドリルで穴を開ける際、あるいは、ワーク側面を切削や研削する際、ワークテーブルを回転させるようなトルクが発生する為、ワークテーブルを確実に保持するには、然るべきブレーキトルクが必要である。特に、良好な加工精度を確保するためには、機械加工中にワークテーブルが回転方向に微動だにせずに静止保持される必要がある。
ところで、特許文献1記載のワークテーブル用ブレーキ装置は、ワークテーブルを高速回転から、ワークに衝撃を与えずに、静かに回転停止させるためのブレーキ装置であり、しかも、用途が治具や網の塗装に使用されるブレーキ装置であり、かつ、空気(エアー)を用いるものであるので、ワークテーブル上にて、ドリル加工、切削加工、研削加工等の大きな外力を付加して機械加工する工作機械用のワークテーブルブレーキ装置としては、次のような問題点がある。
即ち(i)極めて大径の円環平板状ピストンを使用しているため往復動用シール材として耐摩耗性に優れた大径のUパッキン等を要し、高価で、維持管理も困難である点。(ii)ピストン収納室は、極めて大径の円環状であり、カバー部材等の包囲壁部材は、特に、肉厚とせねばならず、油圧用としては、容積が増大し、かつ、重量も大きくなる点。(iii)(塗装用のワークテーブルを高速回転から静かに回転停止可能であるといえども、)工作機械用としては機械加工中に大きな外力が、ワークを介して、ワークテーブルに作用するので、3個の小さなガイドピンでは、ターンテーブルの回転方向のガタが発生する。従って、ガタ───バックラッシ───の発生によって、ターンテーブルが周方向に微動回転を発生し、高精度な機械加工が至難となる点。(iv)軸心(上下)方向の寸法が大きく、コンパクト化が困難である点。
【0005】
そこで、本発明は、上述のような問題点(i)〜(iv)を、簡素な構成にて解決し、特に、回転方向に大きな外力がターンテーブルに加わる機械加工中において、回転方向のガタつきを低減して、バックラッシを発生しないワークテーブル用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワークテーブル用ブレーキ装置は、重ね合わせた状態で円環状の油路を形成するトッププレートとミドルプレートを備え、上記ミドルプレートに上下方向に貫設した複数のピストン収納孔に上記油路を連通連結し、上記油路の油圧により上記ピストン収納孔から下方に押出自在として各ピストン収納孔に内装されたピストンを有し、上記ピストンの下方位置に配設されワークテーブルの回転軸に固着された制動ディスクに圧接自在の複数の円弧状押圧部材と、上記制動ディスクを下方で受けるバッキングプレートと、ラジアル内方突出状のトルク受け突片部を有し上記円弧状押圧部材を嵌め込んで非回転状に保持するアンダープレートを備えたものである。
【0007】
また、上記円弧状押圧部材をラジアル内方へ弾発付勢する弾発部材を備え、該弾発部材の弾発付勢力によって、上記円弧状押圧部材の両端面を、上記トルク受け突片部の側面に常時押し付けるように構成されたものである。
また、重ね合わされた上記トッププレートと上記ミドルプレートの円環状の相互対応面に於て、内環状シール材と外環状シール材が同心状に介設され、上記油路の内周縁と外周縁を形成しているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のワークテーブル用ブレーキ装置によれば、円弧状押圧部材を回転方向に動かそうとしても、円弧状押圧部材の両端面がトルク受け突片部の側面に当たって時計方向にも反時計方向にも動かない為、回転方向のガタつき(バックラッシ)を低減でき、ワークの機械加工精度を良好に維持できる。さらに、ピストン用の運動用シールは小型の安価なものを用い得る。特に、上下方向の厚さ寸法を低減して、コンパクト化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ワークテーブルの概略構造を示した簡略図である。
図2】本発明の実施の一形態を示した平面図である。
図3図2のA−O−A断面図である。
図4】本発明のワークテーブル用ブレーキ装置の分解図である。
図5】アンダープレートを底面側から見て一部破断した底面図である。
図6】本発明のワークテーブル用ブレーキ装置を要部断面で示す拡大斜視図である。
図7】アンダープレートの斜視図である。
図8】本発明のワークテーブル用ブレーキ装置を要部断面で示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1は、ワークテーブルの概略構造を示した簡略図である。
図1に示すように、ワークテーブル15は、その上面にワークWを載置し、固定して、回転軸16に支持されて、回転軸心L廻りに回転自在である。ワークテーブル15の回転軸16は、ウォームギア機構40を介して電気モーターMにより回転駆動される。
本発明のワークテーブル用ブレーキ装置は、トッププレート1とミドルプレート2とアンダープレート3とバッキングプレート4とを、備え、ミドルプレート2内に保持するピストン8を油圧により押し下げて、ピストン8に押圧された押圧部材7,7が、回転軸16に固着された制動ディスク5に接触し、制動ディスク5をバッキングプレート4に押し付けて、ワークテーブル15を停止保持するブレーキ力を得るように構成されている。主な用途として、工作機械用のワークテーブル15の位置決め後の保持(固定)である。なお、非常制動の作用もなし得る。
【0011】
図2図4に示すように、トッププレート1は、中央に孔部を有する円盤形状に形成され、その下面には、油路形成用の凹溝17が軸心Lを中心点とする円形に形成されている。凹溝17(油路10)に連通連結する給油孔部14と、エアー抜き孔部13と、が1箇所ずつ設けられている。また、トッププレート1の下面には、内周縁部と外周縁部に、後述の内環状シール材11と外環状シール材12を嵌込むためのシール溝18,19が軸心Lを中心点とする同心円状に凹設されている。
ミドルプレート2は、中央に設けられた孔部を取り囲むように複数のピストン収納孔20が(上下方向に)貫通状に形成され、各ピストン収納孔20には、ピストン8が上下往復動自在に保持されている。トッププレート1とミドルプレート2の重ね合わせ状態で、閉環状の油路10を形成する。ミドルプレート2に設けた複数のピストン収納孔20の全てに油路10を連通連結し、油路10に供給される油圧によりピストン収納孔20からピストン8を下方に押出すように構成されている。
ピストン8は、短円柱状に形成され、その外周面にはUパッキン21とウェアリング22が取付けられている。全てのピストン8は、円環状ピストン設置領域Cに配設され、この仮想領域Cの内周縁と外周縁に沿って、トッププレート1とミドルプレート2の相互対応面に内環状シール材11と外環状シール材12が1本ずつ配設されている。内環状シール材11と外環状シール材12は、Oリングから成り、シール溝18,19に装入されて、ピストン設置領域Cの密封性を維持している。このように、シール材11,12は同心状に配設され、油路10の内周縁と外周縁を形成している。
【0012】
図5図7に示すように、アンダープレート3は、円環状枠部材30と、円環状枠部材30のラジアル内方に突出する2個のトルク受け突片部9,9とを有し、円環状枠部材30の内周に沿って2個の円弧状押圧部材7,7が嵌め込まれている。円弧状押圧部材7は、後述の弾発部材6によって、両端面7a,7aをトルク受け突片部9,9の側面9a,9aに常に当接させて非回転状とし、かつ、上下方向には移動可能に保持されている。トルク受け突片部9,9は、円環状枠部材30の180°回転対称位置に配設され、ボルトやリベット等によって固着されている。なお、円環状枠部材30とトルク受け突片部9,9を一体状に形成しても良い。
【0013】
図5図7に示すように、押圧部材7は、略半円弧状に形成されており、横断面視では、矩形状本体部27の上端に内方・外方へ突出状の鍔部28,28を有する略T字状に形成されている。
押圧部材7は、ピストン8の下方位置に配設され、かつ、鍔部28と円環状枠部材30の間に介装された上下方向の弾発部材26によって上方へ弾発付勢されており、押圧部材7の上面がピストン8の下面に常時弾発的に押し付けられている。弾発部材26は、圧縮状コイルばねから成り、円環状枠部材30に立設された鉛直状ピン25に支持されている。押圧部材7は、油圧を受けて下方に押し出されたピストン8に押圧されて、弾発部材26の弾発付勢力に抗して下方へ降下し、ワークテーブル15の回転軸16に連結された制動ディスク5の上面に圧接して、制動状態となる。なお、油路10の油圧が開放された際は、弾発部材26の弾発付勢力によって押圧部材7が押し上げられて非制動状態となり、ピストン8は押圧部材7に押し上げられピストン収納孔20内に収納される。即ち、弾発部材26は、押圧部材7及びピストン8の上方向戻しばねと言うこともできる。
【0014】
アンダープレート3の下方位置には、制動ディスク5を下方で受けるバッキングプレート4を備えている。バッキングプレート4は、底部取付部材45に固着され、非回転状の制動ディスク受け部材と言い換えることもできる。つまり、バッキングプレート4は、非制動状態下では、制動ディスク5と隙間を空けて配設されているが、制動状態となると、押圧部材7に押された制動ディスク5が(撓みながら)バッキングプレート4の上面に接触するように構成されている。
【0015】
図5図7図8に示すように、アンダープレート3と円弧状押圧部材7,7の間には、円弧状押圧部材7,7をラジアル内方へ弾発付勢する左右方向の弾発部材6,6が介装されている。
弾発部材6は、圧縮状コイルばねから成り、円環状枠部材30の内周面に固着された水平状ピン29に支持されている。弾発部材6,6及びピン29,29は、トルク受け突片部9,9の90°回転対称位置に円環状枠部材30の周方向に位置をずらして配設されている。弾発部材6,6は、円弧状押圧部材7,7の矩形状本体部27の外側面を押し、弾発部材6,6の弾発付勢力によって、円弧状押圧部材7の両端面7a,7aが、トルク受け突片部9,9の側面9a,9aに常時押し付けられている。非制動状態では、弾発部材6,6によって軽く上記側面9aに押圧されて当接しているので、ピストン8によって押圧される制動状態に切換わるや否や、トルク受け突片部9の側面9aに対しては円弧状押圧部材7の両端面7a,7aはその当接状態のままで強力に円弧状押圧部材7,7は制動ディスク5を押圧する。即ち、制動状態下では、円弧状押圧部材7,7は、回転方向に動かそうとしても、両端面7a,7aがトルク受け突片部9,9の側面9a,9aに押し付けられて時計方向にも反時計方向にも動かない為、回転方向にガタつくことなく、制動ディスク5を押圧し、バッキングプレート4と共働きして、制動ディスク5を挾圧し固定する。
【0016】
図2図4に於て、ミドルプレート2には、90°ピッチで4個のピストン収納孔20が(軸心Lと平行な方向に)形成され、各ピストン収納孔20に1個ずつピストン8が収納されている。このピストン収納孔20及びピストン8は、ミドルプレート2の設計を変更して増減することが可能であり、円弧状押圧部材7,7を押すピストン8の数を増減することで、制動ディスク5に作用する圧接力を段階的に増減させることが可能となる。つまり、設計変更により、発生するブレーキトルクを段階的に変えることが可能な構造である。
また、ピストン8は、各々のピストン収納孔20内で「コゼ」が発生しにくいようなピストン径と上下長さ寸法の比に設定されており、ピストン収納孔20に1個ずつミドルプレート2に複数のピストン8を保持させることで、ミドルプレート2の厚みを小さく抑えることが可能となる。
【0017】
上述した本発明のワークテーブル用ブレーキ装置の使用方法(作用)について説明する。
図3に示すように、給油孔部14に作動油を所定油圧で注入し、閉環状の油路10を介してミドルプレート2に設けた複数のピストン収納孔20の全てに作動油を供給する。油路10に供給される油圧によりピストン収納孔20からピストン8が下方に押出され、ピストン8に押された円弧状押圧部材7,7が、上下方向の弾発部材26の弾発付勢力に抗して下方へ降下し、押圧部材7,7の下面が制動ディスク5の上面に圧接する。制動ディスク5は、押圧部材7,7の圧接力により撓みながらバッキングプレート4に押し付けられ、ワークテーブル15を停止保持するブレーキ力を得る。この際、円弧状押圧部材7,7は、アンダープレート3に非回転状に保持されている為、回転方向のガタつきが無く、バックラッシを発生しない。
図5に示すように、円弧状押圧部材7,7は、左右方向の弾発部材6,6によって、ラジアル内方へ弾発付勢され、(押圧部材7の)両端面7a,7aが、トルク受け突片部9,9の側面9a,9aに常時押し付けられている為、アンダープレート3に円弧状押圧部材7,7が隙間(遊び)無く保持される。つまり、制動ディスク5との接触により押圧部材7,7を回転方向に動かそうとする力が働いたとしても、押圧部材7,7は時計方向にも反時計方向にも全く動かず、バックラッシをゼロに近い値にまで低減できる。
【0018】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、左右方向の弾発部材6,6として圧縮状コイルばねを用いているが、板ばね、皿ばね、その他の形状・構造のものを用いても良い。
【0019】
以上のように、本発明に係るワークテーブル用ブレーキ装置は、重ね合わせた状態で円環状の油路10を形成するトッププレート1とミドルプレート2を備え、ミドルプレート2に上下方向に貫設した複数のピストン収納孔20に油路10を連通連結し、油路10の油圧によりピストン収納孔20から下方に押出自在として各ピストン収納孔20に内装されたピストン8を有し、ピストン8の下方位置に配設されワークテーブル15の回転軸16に固着された制動ディスク5に圧接自在の複数の円弧状押圧部材7,7と、制動ディスク5を下方で受けるバッキングプレート4と、ラジアル内方突出状のトルク受け突片部9,9を有し円弧状押圧部材7,7を嵌め込んで非回転状に保持するアンダープレート3を備えたので、前記問題点を悉く解決して、大きな外力がターンテーブルに作用する工作機械用ターンテーブルブレーキ装置として大きく貢献できる発明である。また、円弧状押圧部材7,7を回転方向に動かそうとしても、円弧状押圧部材7,7の両端面7a,7aがトルク受け突片部9,9の側面9a,9aに当たって時計方向にも反時計方向にも(周方向に)動かない為、回転方向のガタつきがなく、バックラッシを低減でき、構造の簡素化と、機械加工の安定した高精度化を図り得る。
【0020】
また、円弧状押圧部材7,7をラジアル内方へ弾発付勢する弾発部材6,6を備え、弾発部材6,6の弾発付勢力によって、円弧状押圧部材7の両端面7a,7aを、トルク受け突片部9,9の側面9a,9aに常時押し付けるように構成されたので、制動状態に切換わったとき、押圧部材7,7は時計方向にも反時計方向にも全く動かず、バックラッシをゼロに近い値にまで低減できる。
【0021】
また、重ね合わされたトッププレート1とミドルプレート2の円環状の相互対応面に於て、内環状シール材11と外環状シール材12が同心状に介設され、油路10の内周縁と外周縁を形成しているので、構造が簡素化され、部品点数も減少でき、特に、シール材11,12としては、固定(静止)用で十分であるので、Oリング等の比較的安価な汎用品を使用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 トッププレート
2 ミドルプレート
3 アンダープレート
4 バッキングプレート
5 制動ディスク
6 弾発部材
7 円弧状押圧部材
7a 両端面
8 ピストン
9 トルク受け突片部
9a 側面
10 油路
11 内環状シール材
12 外環状シール材
15 ワークテーブル
16 回転軸
20 ピストン収納孔
【要約】
【課題】回転方向のガタつきを低減してバックラッシを発生しないワークテーブル用ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】重ね合わせた状態で円環状の油路10を形成するトッププレート1とミドルプレート2を備え、ミドルプレート2に上下方向に貫設した複数のピストン収納孔20に油路10を連通連結し、油路10の油圧によりピストン収納孔20から下方に押出自在として各ピストン収納孔20に内装されたピストン8を有し、ピストン8の下方位置に配設されワークテーブル15の回転軸16に固着された制動ディスク5に圧接自在の複数の円弧状押圧部材7,7と、制動ディスク5を下方で受けるバッキングプレート4と、ラジアル内方突出状のトルク受け突片部を有し円弧状押圧部材7,7を嵌め込んで非回転状に保持するアンダープレート3を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8