(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレード(140)は、翼弦線を中心に上部面と下部面の屈曲形状が完全に同一対称のエアフォイル形状に形成されている請求項1または2に記載の水平軸風力発電機(100)。
前記ナセル(120)の後面に結合される尾翼(500)をさらに含み、風が前記タワー(110)より先に前記ブレード(140)と向い合うようになるアップウィンド(Up
Wind)方式で発電することを特徴とする同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレード(140)を用いた請求項1または2に記載の水平軸風力発電機(100)。
コイルスプリング(210)の弾性力より相対的に小さい強さの風が吹いてくる場合、風と向かい合う面が形成された板である風速板(200)が前記コイルスプリング(210)の弛緩方向に移動する段階;
前記風速板(200)と同時に水平直線運動をするように形成された第1のギア(220)が前記風速板(200)と同一のコイルスプリング(210)の弛緩方向に移動する段階;
前記第1のギア(220)と噛み合った第2のギア(230)が前記第1のギアのコイルスプリング(210)の弛緩方向直線運動によって一側方向に回転する段階;
前記第2のギア(230)の回転により、前記第2のギア(230)と連結されたブレード(140)のピッチ角が、前記ブレード(140)が外周面に結合されている回転体(130)の回転軸に対して垂直な面を基準として0°ないし30°の範囲内で増加する段階;
前記コイルスプリング(210)の弾性力より相対的に大きい強さの風が吹いてくる場合、前記風速板(200)が前記コイルスプリング(210)の圧縮方向に移動する段階;前記風速板(200)と同時に水平直線運動をするように形成された第1のギア(220)が前記風速板(200)と同一のコイルスプリング(210)の圧縮方向に移動する段階;
前記第1のギア(220)と噛み合った第2のギア(230)が前記第1のギアのコイルスプリング(210)の圧縮方向直線運動によって他側方向に回転する段階;及び
前記第2のギア(230)の回転により、前記第2のギア(230)と連結されたブレード(140)のピッチ角が0°ないし30°の範囲内で減少する段階;を含む、前記ブレード(140)の長さ方向に沿って同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレード(140)を用いた水平軸風力発電機(100)のピッチ角制御方法。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーから発生する温室ガスが地球温暖化をもたらす要素として指目されながら、全世界的に地球温暖化を防止するために国際気候変化協約が採択されており、このような温室ガスの排出を抑制するために多様なプログラムが施行されている。韓国でも、温室ガスの排出減少のための解決策を見出し、積極的に化石エネルギーの使用を減少させるための多様な代案を講じなければならない現実に直面している。
【0003】
これによって、石油、石炭、原子力、天然ガスなどの化石燃料に取って代わる新たなエネルギー源として定義される新再生エネルギーが注目されており、新再生エネルギーとは、液化石炭、水素エネルギーなどの新エネルギーと、動物・植物有機物、日光、風、水、地熱などを用いて環境にやさしく且つ再生可能に変換されるエネルギーとを総称する。
【0004】
これら新再生エネルギーは、再生が可能であり、環境にやさしく、無制限的であるという長所を有するが、効率の上昇のための弛まぬ研究開発及び現在の不確実な市場展望の克服という課題を抱いている。
【0005】
新再生エネルギーのうちの一つである風を用いた風力発電は、空気の流動が持つ運動エネルギーの空気力学的特性を用いて回転子を回転させることによって運動エネルギーを機械的エネルギーに変換させ、この機械的エネルギーで電気エネルギーを発生させる技術である。
【0006】
風力発電分野は、最近、代替エネルギー源として注目されながら高成長勢を持続する産業であって、全世界の温室ガス減縮の義務化、技術の発展による発電単価の下落などの理由で成長が加速化されている。
【0007】
風力発電は、どこにでも散在している無公害の無限定な風を用いるので環境に及ぼす影響が少なく、国土を効率的に利用することができ、大規模な発電団地の発電単価において既存の発電方式に比べて効率が低下しない非常に有用な発電方法である。
【0008】
但し、希薄な風のためエネルギーの密度が低い場合は、発電が難しいので、特定地域に限定して風力発電機を設置しなければならなく、定量の風がある場合のみに発電が可能であるので、安定的な電気供給のためには貯蔵装置などの設備が必要である。最近は、風力発電機の大型化によって騒音発生の問題があり、初期投資費用が高いという短所がある。
【0009】
従来の風力発電機は、地面上に立てられる高層のタワーと、タワーの上端に設置されるナセルと、前記ナセルに結合される回転軸と、前記回転軸の外周面に設置される多数のブレードとを含んで構成され、ナセルの内部には、増速機、発電機及び制御装置などを含み、ブレードの回転力が回転軸を経て発電機に至るように構成される。
【0010】
このとき、前記ブレードは、前記回転軸と結合されたハブ部分では約30゜、チップ部分では約2゜ないし約3゜のピッチ角をなし、ツイストされるように形成されると同時に
、幅と厚さが徐々に狭くなって薄くなる形態で形成されることが一般的である。この場合、ピッチ角をなすブレードが正面から吹いてくる風を斜めに受けてブレード回転面の後側に自然に通過させることによって発生する抗力により、前記ブレードが回転すると同時に、ブレードの回転によってブレードの端部に揚力が発生し、ブレードの回転力を向上させるようになる。すなわち、ブレード回転面に吹いてくる風が回転面を通過しながらエネルギーをブレードに伝達するので、風の速度が約2/3減少し、その結果、風の流動エネルギーの最高59.26%(Betzの法則)が回転動力に変換される。
【0011】
しかし、前記のような風力発電機は、風がブレード回転面を通過しながらブレードに回転動力を伝達する構造を有するので、風がブレードを通過した後で風速が低くなり、風が有していた流動エネルギーのうち減少した速度に該当する大きさのエネルギーが回転動力に変換されるので、動力変換効率(Cp)が高くないという限界を有していた。その結果、基本負荷の占有率を低下させた大型風力発電機には適宜適用できるが、そうではない小型風力発電機は、相対的に動力変換効率(Cp)が約30%以下に低くなり、発電出力が低下するという問題を有していた。
【0012】
また、既存の風力発電機は、ブレードの構造的特性上、要求される始動風速が高いので、低風速領域で使用上の効率が低下するという問題を有していた。特に、年間の風の風速別頻度分布を検討したとき、4m/s以下の低風速の頻度が60%以上を占める点を考慮すると、実質的な風力発電機の稼動効率が非常に低くなるという問題を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであって、同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードを用いて動力変換効率(Cp)を向上させることによって、発電効率及び稼動効率の高い風力発電機を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、小型の風力発電機でも風速に応じてピッチ角を調節できる構成を有することによって、発電効率を向上させ、非常に強い風にも安定性を確保できる風力発電機を提供することを他の目的とする。
【0015】
併せて、風が吹いてくる方向に中心を取ることのできる尾翼を用いたアップウィンド(Up Wind)方式、及び尾翼を含まない状態で吹いてくる風を貫通させずに外側に押し出すダウンウィンド(Down Wind)方式を用いて既存の発電方式による騒音及び振動を減少させることを更に他の目的とする。
【0016】
本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、本発明の記載から当該分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した従来技術の問題を解決するための本発明によると、地面に垂直に設置されるタワーと、前記タワーの上端に垂直軸を中心に回転可能に連結されるナセルと、前記ナセルと軸結合される回転体と、前記回転体の外周面にピッチ角を形成して結合される一つ以上のブレードとを含み、前記ブレードは、エアフォイルの形状を有し、長さ方向に沿って同一の幅と厚さで形成され、前記ブレードのチップ側領域を中心に揚力による回転力が発生することを特徴とする同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードを用いた水平軸風力発電機を提供する。
【0018】
本発明の前記ブレードは、上部面と下部面が対称の形状に形成され、前記上部面と下部
面の両面に揚力による回転力が発生することが望ましい。
【0019】
本発明の前記ブレードは、上部面と下部面を非対称の形状に形成することもできる。
【0020】
本発明は、前記ブレードの回転時、風が前記ブレードの回転で形成される回転面とぶつかって前記回転面の円周方向縁部側に誘導されるように前記ピッチ角を0゜に形成し、前記風の流動エネルギーを回転動力に変換させることが望ましい。
【0021】
本発明は、前記回転体の風と向い合う面に結合され、風速によって水平直線運動をする風速板と、前記風速板の風と向い合わない面に形成され、風速によって前記風速板の水平直線運動を調節するコイルスプリングと、前記風速板の風と向い合わない面に形成され、前記風速板と共に水平直線運動をするように形成された第1のギアと、前記ブレードのハブ側に形成され、前記第1のギアと噛み合って円運動をするように形成された第2のギアとをさらに含み、前記風速板及び第1のギアの水平直線運動によって前記第2のギアが回転し、前記ブレードのピッチ角を可変させ得ることが望ましい。
【0022】
本発明は、前記回転体と結合されるピッチ角調節モーターと、前記ピッチ角調節モーターに連結され、前記ブレードに動力を伝達する第3のギアとをさらに含み、前記ピッチ角調節モーターの回転量調節によって前記第3のギアが回転し、前記ブレードのピッチ角を可変させ得ることが望ましい。
【0023】
本発明は、前記タワーの一側に風速感知センサーをさらに含むことが望ましい。
【0024】
本発明は、前記ナセルの後面に結合される尾翼をさらに含み、風が前記タワーより先に前記ブレードと向い合うようになるアップウィンド方式で発電することが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
前記のような構成を有する本発明によると、風力発電機に適用されるブレードが同一の厚さと幅を有するエアフォイルの形態で構成されることによって、前記ブレードの多くの領域で揚力と推力が発生し、回転力が向上することはもちろん、ブレードのピッチ角が0゜に設定されて形成される回転面を風が貫通できず、有していた流動エネルギーを回転動力に変換させるようになり、回転力が上昇するという効果がある。
【0026】
また、ピッチ角を可変させ得ることによって、風速に応じる適切なピッチ角を用いて発電効率が向上し、安定性が確保されるという効果がある。
【0027】
併せて、尾翼の有無とは関係なく、既存の発電方式による騒音及び振動を減少させるという効果がある。
【0028】
そして、低風速でも高い回転力が発生し、低風速の頻度の高い場所にも発電機を設置できるので、効用性に優れ、結果として発電機の稼動効率を向上させるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施例に係る同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードを用いた水平軸風力発電機の斜視図である。
【0032】
図1に示したように、本発明の同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードを用いた水平軸風力発電機100は、地面に垂直に設置されるタワー110と、前記タワー110の上端に垂直軸を中心に回転可能に連結されるナセル120と、前記ナセル120と軸結合される回転体130と、前記回転体130の外周面にピッチ角を形成して結合される一つ以上のブレード140とを含み、前記ブレード140は、エアフォイルの形状を有し、長さ方向に沿って同一の幅と厚さで形成される。これは、前記ブレード140のチップ側領域を中心に揚力による回転力を発生させるためである。
【0033】
前記同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードを用いた水平軸風力発電機100は、風が前記ブレード140に接して発生する回転動力によって前記回転体130が回転し、機械的エネルギーが生産される方式による。
【0034】
図2は、本発明の一実施例に係る同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードの斜視図で、
図3は、本発明の一実施例に係る同一の幅と厚さで形成された対称型エアフォイルブレードの断面図である。
【0035】
図2に示したように、前記ブレード140は、同一の幅と厚さで形成され、エアフォイル、すなわち、飛行機の翼形状と類似する形状に形成される。そして、
図3に示したブレード140の縦断面を見ると、断面の中心を通過するA線を基準に上部面及び下部面が同一の湾曲形態を有する対称の形状に形成されることを確認することができる。但し、中心を通過するB線を基準にした場合は対称の形状ではなく、C線が通過する一側端の約1/4地点の厚さが最も厚い形態を有する。
【0036】
但し、本発明の同一の幅と厚さで形成されたブレード140は、上部面と下部面が同一の湾曲形態を有する対称の形状に形成されることもあり、上部面と下部面が所定の差を有する非対称の形状に形成されることもある。
【0037】
したがって、前記ブレード140は、回転を通して風を切るようになり、切られた風は、前記ブレード140の上部面及び下部面に沿って流動的に流れるようになるが、このとき、前記ブレード140の両側面の全てに多量の風量がが流動しながら揚力が発生し、その結果、回転力が発生するようになる。
【0038】
結局、従来の風力発電機の場合、ブレードの一面では揚力による回転力が発生するが、反対面では揚力及びそれによる推力が発生する余地が少ないので、回転力及び発電量が高くないという問題があったが、本発明の対称型エアフォイル形状のブレード140は、両側面の全てで揚力と推力を発生させるようになるので、従来の風力発電機に比べて回転力及び発電量を画期的に向上させるという効果を達成するようになる。このような揚力と推力は、前記ブレード140の回転に比例して増加するようになる。
【0039】
また、前記ブレード140は、長さ方向に沿って同一の幅と厚さで形成され、前記ブレード140の多くの領域で一定の揚力と推力が発生するように構成されることが望ましいが、その結果、回転力がさらに上昇するという効果をもたらす。
【0040】
すなわち、風力発電機は、ブレードのチップ部分の約30%領域で高速の空気流動とブレードの相互作用に従って揚力による推力が発生するが、従来のブレードは、この部分の幅が狭く、その結果、面積比率が相対的に低いため動力変換効率(Cp)が低い。その一方、本発明は、ブレード140全体の幅と厚さが同一であるので、チップ部分で空気流動と相互作用する領域の面積比率が相対的に高く、揚力による推力が大きく発生するようになり、その結果、その効率が向上し得る。これと関連した流動解析結果を
図9ないし
図12に示しており、後でより詳細に説明する。
【0041】
併せて、前記ブレード140は、ピッチ角を0゜に調節した状態で回転して回転面を形成することができ、これによって、吹いてくる風を貫通させずに前記回転面の円周方向縁部側に誘導しながら、前記風の速度がさらに増加するようになり、風の流動エネルギーを回転動力に変換させるのにさらに効果的である。
【0042】
すなわち、
図4に示したように、前記ブレード140がピッチ角を0゜に調節した状態で高速回転すると、円板状の回転面が形成され、吹いてくる風は、前記回転面に遮られて貫通せず、継続して吹いてくる風によって回転面の円周方向縁部側に押されるようになる。したがって、風の速度がさらに増加し、流動エネルギーが回転動力に変換される力が大きくなり、それに従ってブレード140の回転速度がさらに上昇し、結果的に高い発電出力を得られるようになる。
【0043】
一方、前記ブレード140と、前記ブレード140が回転して形成される回転面とがなすピッチ角は可変させ得る構造を有する。一般に、前記ピッチ角は、0°ないし30°の範囲内で変わるようになる
。
【0044】
また、風速の変化によって効率的な回転力を得るために、ピッチ角を随時可変させることもできる。低風速では前記ピッチ角が約30゜をなすようにし、低風速から高風速に変換されると前記ピッチ角が徐々に減少しながら約0゜をなすようにするなど、風力発電機の効率的運営のために多様な角度のピッチ角を用いることができる。
【0045】
図5は、本発明の一実施例に係る風速板、第1のギア及び第2のギアを含んでピッチ角
を可変させ得る構成を示した例示図である。
【0046】
図5に示したように、前記ブレード140のピッチ角変換を可能にするために、本発明は、前記回転体130の風と向い合う面に結合され、風速によって水平直線運動をする風速板200と、前記風速板200の風と向い合わない面に形成され、風速によって前記風速板200の水平直線運動を調節するコイルスプリング210と、前記風速板200の風と向い合わない面に形成され、前記風速板200と共に水平直線運動をするように形成された第1のギア220と、前記ブレード140のハブ側に形成され、前記第1のギア220と噛み合って円運動をするように形成された第2のギア230とをさらに含み、前記風速板200及び第1のギア220の水平直線運動によって前記第2のギア230が回転し、前記ブレード140のピッチ角を可変させ得る構造を有する。
【0047】
これは、風速により、前記風速板200と第1のギア220が前記コイルスプリング210の作用によって水平直線運動をしながら、前記第1のギア220と噛み合って円運動をする第2のギア230を回転させ、ピッチ角を調節するようになる方式である。
【0048】
すなわち、低風速では、前記風速板200が前方に向かって水平直線運動をしながら移動し、高風速では、風による圧力で前記風速板200が後方に向かって水平直線運動をしながら移動するようになるが、このとき、前記風速板200が前方に向かって水平直線運動をすると、前記第1のギア220と噛み合った第2のギア230が回転しながらピッチ角を増加させ、前記風速板200が後方に向かって水平直線運動をすると、前記第1のギア220と噛み合った第2のギア230が反対方向に回転しながらピッチ角を減少させるようになる。
【0049】
したがって、使用者の別途の操作がなくても、風速の変化に応じてピッチ角が自動的に変化しながら各風速に適したピッチ角を維持できるので、高い動力変換効率と安定性を得ることができる。
【0050】
図6は、本発明の一実施例に係るピッチ角調節モーター及び第3のギアを含んでピッチ角を可変させ得る構成を示した例示図である。
【0051】
図5の風速板200を用いてピッチ角を可変させ得る構成とは異なって、
図6に示したピッチ角の変換を可能にするための本発明は、前記回転体130と結合されるピッチ角調節モーター300と、前記ピッチ角調節モーター300に連結され、前記ブレード140に動力を伝達する第3のギア310とをさらに含み、前記ピッチ角調節モーター300の回転量調節に応じて前記第3のギア310が回転し、前記ブレード140のピッチ角を可変させ得る構造を有する。
【0052】
すなわち、この場合は、システムが風速を感知して前記ピッチ角調節モーター300を作動させ、前記ピッチ角調節モーター300と連結された第3のギア310が回転することによって所望の適切な角度のピッチ角を形成できるようになるが、前記第3のギア310の数は、ピッチ角の調節が必要なブレード140の数と同一にすることが望ましい。
【0053】
前記ピッチ角調節モーター300を用いてピッチ角を調節するためには、現在の風力発電機に向かって吹いてくる風の風速を確認しなければならないが、このために、本発明は、前記タワー110の一側に風速感知センサーをさらに含むことができる。前記風速感知センサーと連結してピッチ角を自動的に制御できるシステムを備えることもでき、前記風速感知センサーを通して得た現在の風速を参考にしてピッチ角調節モーター300を作動させるなど、ピッチ角の調節のために多様な方法を用いることができる。
【0054】
図7は、本発明の一実施例に係る尾翼をさらに含む同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードを用いた水平軸風力発電機の斜視図で、
図8は、本発明の一実施例に係る尾翼を含まない同一の幅と厚さで形成されたエアフォイルブレードを用いた水平軸風力発電機の斜視図である。
【0055】
図7に示したように、前記ナセル120の後面に結合される尾翼500をさらに含むことによって、風がタワー110より先にブレード140と向い合うようになる方式で発電できるようになる。前記尾翼500は、風が吹いてくる方向を感知し、前記回転体130を常に風が吹いてくる方向に向かわせるためのものであって、このような発電方式をアップウィンド方式というが、これと反対のダウンウィンド方式は、風がブレード140より先にタワー110と向い合うように発電する方式である。
【0056】
図8に示した前記ダウンウィンド方式は、尾翼500を必要としないので、生産費を節減し、製造方式を単純化できるという長所を有する。一般的な風力発電機の場合、風がタワーを先に通過した後でブレードに流れると、これによる乱流または渦流が形成され、このような風が回転面に流入することによって振動及び騒音が発生することを避けるためにアップウィンド方式を採用している。但し、本発明では、ブレード140のピッチ角を0゜に設定することによって、風が前記ブレード140の回転で形成される回転面を貫通せずに円周方向縁部側に誘導されながらエネルギーを得るようになるので、回転面が尾翼500の役割をするようになり、風が先にタワー110を通過したとしても乱流や渦流の発生が減少し、これによる振動と騒音を最小化できるという長所がある。
【0057】
したがって、本発明は、同一の幅と厚さで形成された対称型エアフォイル形状のブレード140を用いることによって、尾翼500が必要でないダウンウィンド方式及び前記尾翼500を含むアップウィンド方式を全て用いて発電することができ、設置場所の風の特性、空間的特徴及び周辺環境などを考慮して発電方式を選択すると、より効率的且つ効果的な発電システムを形成することができる。
【0058】
一方、本発明の技術的構成が適用された水平軸風力発電機の実質的な発電効率を確認するために、風洞実験及びCFD数値解析を実施した。
【0059】
まず、風洞実験は、2012年1月31日に表1のような条件で実施し、その結果は表2に示す通りである。
【0062】
前記の実験結果から確認できるように、風速及び風量の増加と共に発電出力及び動力変換効率(Cp)が増加することが分かる。より詳細に説明すると、発電出力は、風速の上昇と共にさらに大幅に増加する傾向を示すが、動力変換効率(Cp)は、約5m/s以下の風速では風速に比例して増加するが、それより強い風速では増加するものの、増加率は高くない傾向を示す。
【0063】
また、3.25m/sの風速では4.17(w)の発電出力及び0.140の動力変換効率(Cp)を有し、3.90m/sの風速では11.47(w)の発電出力及び0.219の動力変換効率(Cp)を有することを確認することができる。
【0064】
すなわち、本発明は、4m/s以下の低風速でも一定量の発電出力及び動力変換効率(Cp)を有するようになり、風力発電機の稼動効率を効果的に上昇させるようになる。
【0065】
前記の風洞実験を主管した株式会社CKP風工学研究所では、本発明を"一定のRPM
に至ると、接近する風速と回転するブレードの迎え角によって良好な回転力を発生させ得るという長所を有する風力発電システムであって、良好な出力性能を期待することができる。"と評価した。
【0066】
本風洞実験の発電出力は、実際に測定した値であって、ローター効率は、発電機の効率と整流器の効率を適用して算出した値である。その後、これをCFD数値解析の結果値と比較する。
【0067】
次に実施したCFD数値解析は、3次元流動解析及び性能評価のために商用コードであるCFX ver 13.0を用いて実施した。
【0068】
本CFD数値解析に用いられたブレード140は、長さ0.75m(ブレード回転面の直径1.5m)、コード長(ブレードの幅)0.09mの同一の幅と厚さで形成された対称型エアフォイル形態を有し、ブレード140の断面は
図3に示す通りであり、断面の一側端の1/4地点の厚さが最も厚く形成されるという特徴を有する。
【0069】
また、同一の形態のブレード140のうち、最も厚い地点の厚さが1.8cmであるブレード(以下、‘第1の実施例'という)、最も厚い地点の厚さが1.2cmであるブレ
ード(以下、‘第2の実施例'という)及び最も厚い地点の厚さが2.1cmであるブレ
ード(以下、‘第3の実施例'という)を比較して解析した。
【0070】
まず、風速による同一の幅と厚さで形成された対称型エアフォイルブレードの表面流線を
図9ないし
図12に示した。
【0071】
図9は、風速3.9m/s、回転速度303rpm、チップ速度比率6.10でのブレード140の表面流線を示したもので、
図10は、風速6.14m/s、回転速度491.7rpm、チップ速度比率6.29でのブレード140の表面流線を示したもので、
図11は、風速9.93m/s、回転速度817.29rpm、チップ速度比率6.46でのブレード140の表面流線を示したもので、
図12は、風速12.36m/s、回転速度1006.8rpm、チップ速度比率6.4でのブレード140の表面流線を示したものである。
【0072】
図9のブレード140の流線分布を見ると、チップ方向の一部の区間を除いては、ブレード140の約80%に失速が形成されることを確認することができる。その後、風速が増加するほど、失速領域がブレード140の表面のチップ方向からハブ方向に縮小されていく。これは、流入風速の増加と共にブレード140の回転数がさらに増加し、結果的に迎え角が減少するようになり、その結果、失速が減少することと見ることができる。前記失速は、ブレード140に発生する揚力を減少させ、出力を低下させる原因になる。
【0073】
このような結果を参照すると、従来のブレードは、長さ方向に沿って幅と厚さが一定しておらず、非対称型の形態を有することによって、ブレード表面の失速領域が相対的に大きく形成され、揚力による回転力が減少するようになる。換言すると、揚力とそれによる
推力を発生させる風の流動的な流れを受けるブレードのチップ領域の面積が小さく形成され、ブレードの回転力が減少するようになる。
【0074】
しかし、本発明のブレード140は、表面に出力の減少をもたらす失速領域が小さく、その一方、揚力と推力を発生させる風の流動的な流れを受けるブレード140のチップ領域の面積が大きく形成されるので、ブレード140の回転力が向上する結果をもたらす。
【0075】
図13ないし
図15は、4つの異なる形態の同一の幅と厚さで形成された対称型エアフォイルブレードの位置による圧力係数分布を示したCFD解析結果である。
【0076】
前記グラフのWP―01は第1の実施例に該当し、NACA 0012は第2の実施例に該当し、NACA 0021は第3の実施例に該当する。ここで、50%は、ブレード140のハブから前記ブレード140の長さの50%だけチップ側に移動した場所の位置で測定したことを意味する。同様に、10%とは、ブレード140のハブから前記ブレード140の長さの10%だけチップ側に移動した場所の位置で測定したことを意味し、90%は、ブレード140のハブから前記ブレード140の長さの90%だけチップ側に移動した場所の位置で測定したことを意味する。
【0077】
図13ないし
図15を見ると、ブレード140の薄い側方向に近接するほど圧力係数が0に収斂するという共通点を有する。但し、ハブからチップ方向にブレード140の10%、50%、90%に該当する位置に応じて圧力係数の絶対値の分布範囲が異なるという差を有するが、10%の位置の場合は約−1.8ないし約0.3の値を有し、50%の位置の場合は約−4.0ないし約1.3の値を有し、90%の位置の場合は−6.8ないし3.5の値を有する。これは、
図9ないし
図12による結果から分かるように、ブレード140のチップ部分によって得られる回転動力が、同一の幅と厚さで形成された対称型エアフォイルブレード140で重要な部分であることを示す。
【0078】
すなわち、従来のブレードは、長さ方向に沿って幅と厚さが減少する形態で形成され、ブレードのチップ部分で風との相互作用が小さくなり、その結果、発生する揚力と推力が小さいので、ブレードの回転力が相対的に低いという問題を有していた。
【0079】
したがって、本発明のブレード140は、長さ方向に沿って一定の幅と厚さを有する形態で形成され、ブレード140のチップ部分で受ける回転動力が相対的に大きくなり、その結果、揚力及び推力が増加し、回転力が飛躍的に上昇するという効果を有する。回転力の上昇は、発電出力及び稼動効率の上昇をもたらすので、本発明によると、従来の技術より効率的な風力発電システムを構成できるようになる。
【0080】
図16及び
図17は、風洞実験とCFD数値解析による発電出力及び動力変換効率を比較した例示図である。
【0081】
まず、
図16を見ると、風洞実験とCFD数値解析のいずれにおいても、風速の増加と共に発電出力が増加することを確認することができる。その数値も非常に近似しており、誤差がほぼ発生しないと見ることができる。
【0082】
そして、動力変換効率(Cp)を比較した
図17を見ると、発電出力の比較とは異なって、誤差が少し増加したことを確認できるが、風速の増加と共に動力変換効率(Cp)も増加することが分かり、増加する線の形状も非常に類似しており、類似する動力変換効率(Cp)の特徴を有することが分かる。
【0083】
図18及び
図19は、4つの異なる形態の同一の幅と厚さで形成された対称型エアフォ
イルブレードのCFD解析結果による発電出力及び動力変換効率を比較した例示図である。
【0084】
まず、
図18を見ると、風速によって出力が増加するが、ブレード140の形態に応じて出力の大きさが異なることが分かる。結果的には、第3の実施例、第1の実施例、第2の実施例の順に発電出力が高くなる。
【0085】
続いて、
図19を見ると、全体的に風速が増加するほど動力変換効率(Cp)が増加する傾向を示すことを確認することができる。但し、ブレード140のチップ方向に50%に該当する位置では全体的に低い動力変換効率(Cp)を有し、約5.5m/s以下の風速では第3の実施例、第2の実施例、第1の実施例の順に動力変換効率(Cp)が高く、それ以上の風速では第3の実施例、第1の実施例、第2の実施例の順に動力変換効率(Cp)が高いことが分かる。
【0086】
結局、CFDの数値解析の結果、最も高い発電出力と動力変換効率(Cp)を有するブレード140は第3の実施例であって、その結果、ブレード140の厚さを適宜調節する必要があると見なされる。
【0087】
結果値を検討すると、風洞実験による性能結果は、定格風速付近の12.36m/sで発電出力は761.12(w)、動力変換効率(Cp)は0.385であって、同一の風速のCFD数値解析の結果では、発電出力は720.50(w)、動力変換効率は(Cp)0.365に該当する。その結果、発電出力では40.62(w)、動力変換効率(Cp)では0.02だけの差が発生し、これによる誤差は5%以内に該当する。
【0088】
本発明で言及していないブレード140の回転によって発生する機械的エネルギーを電気エネルギーに変換させる発電機は、公知・共用の技術であって、風力発電機の窮極的な目的である電気エネルギーの生産に必要であることは当然である。
【0089】
前記のように、本発明は、風力発電機に適用されるブレード140が同一の幅と厚さで形成され、対称型のエアフォイルの形態で構成されることによって、前記ブレード140の両側面全体に揚力と推力が発生しながら回転力が向上し、それによる発電効率及び稼動効率が高いという長所を有する。
【0090】
以上では、本発明の具体的な実施形態と関連して本発明を説明したが、これは例示に過ぎなく、本発明はこれに制限されるものでない。本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲を逸脱しない範囲で説明した実施形態を変更または変形することができ、本発明の技術思想と下記に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能である。