(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透明な時計構成部品(1)の製造及び装飾のための、並びに前記構成部品(1)の両側、即ち前記構成部品(1)の厚さによって隔てられた上面(2)及び陥凹底面(3)への装飾の固定のための方法であって:
−上部に配置された第1のステーション(8)において、雄型パターン(9)上に第1の装飾(A)を蒸着し;
−前記第1の装飾(A)を設けた前記雄型パターン(9)、又は前記第1のステーション(8)若しくは前記第1のステーション(8)と第2のステーション(10)との間の中間ステーションにおいて透明プレフォーム(6)で覆われた、前記第1の装飾(A)を設けた前記雄型パターン(9)を、前記第2のステーション(10)へと移動させ、前記上面(2)に対して相補的な前記射出チャンバ(11)内において、 第1の透明な重合性材料(13)を前記射出チャンバ(11)全体に射出して、前記第1の装飾(A)を設けた前記雄型パターン(9)、又は前記プレフォーム(6)で覆われた、前記第1の装飾(A)を設けた前記オーバモールドした雄型パターン(9)を、前記第1の材料(13)でコーティングし、これによって、前記上面(2)を含みかつ前記陥凹底面(3)上に前記第1の装飾(A)を含む第1の化合物(14)を得;
−前記第1の化合物(14)を前記射出チャンバ(11)内で重合させ;
−前記第1の化合物(14)を前記射出チャンバ(11)から取り外し;
−第3の材料(15)及び/又は第2の装飾(C)が重力によって保持されている第3のステーション(17)において、前記第3の材料(15)及び/又は前記第2の装飾(C)をキャビティ(16)内に沈着し;
−下部に配置された前記第3のステーション(17)において、前記キャビティ(16)と前記第1の化合物(14)の上面(2)との間の重力方向の相対運動によって、前記第3の材料(15)及び/又は前記第2の装飾(C)を前記第1の化合物(14)の前記上面(2)に沈着し、これによって第2の化合物(18)を得;
−前記第3のステーション(17)において、前記第2の化合物(18)が触れることができる状態となるまで待機し;
−前記第2の化合物(18)を前記第3のステーション(17)から取り外す
ことを前記の順序で行うことを特徴とする、方法。
前記第3のステーション(17)から前記第2の化合物(18)を取り外した後、第4のステーション(19)において、前記第2の化合物(18)の前記上面(2)上に、又は前記第3の材料(15)及び/若しくは前記第2の装飾(C)上に重ねて、第3の装飾(D)を沈着することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記プレフォーム(6)は、アクリルポリマー類の材料又は前記モデル組成(CT)又はメチルポリメタクリレートで形成される第1の重合性プレフォーム材料(7)で作製され、
前記モデル組成(CT)は、全体に対する割合として:
−トリメチロールプロパントリメタクリレート:78.0%
−ペンタエリスリチルテトラアクリレート:19.5%
−ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート:0.5%
−1−ベンゾイルシクロヘキサノール:2.0%
を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記第1の化合物(14)の重合は、100〜120℃で10〜20秒間の熱処理及び/又は紫外線放射による照射によって前記射出チャンバ(11)内で達成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記第1の化合物(14)の重合は、前記射出チャンバ(11)から取り外した後、紫外線放射による照射によって達成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記第3の材料(15)及び/又は前記第2の装飾(C)には、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記第1の装飾(A)及び/又は前記第2の装飾(C)には、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0004】
無機物本来の透明な構成部品を成形プラスチック材料製の透明な構成部品に置き換えることによって、高級市場向け透明材料の特定の供給源から完全に独立した機能的代替製品を、低い製造コストで提供する。
【0005】
しかしながら、十分に再現可能な品質を有する極めて薄い部品を成形するのは困難であるため、成形された透明部品は比較的厚くなる。その一方で、これらの公知のプラスチック材料の摩耗耐性、特に引っ掻き耐性は強いものではない。従って、時計の外部構成部品(ケースの中央部分、ベゼル又は風防ガラス)としてのこのような材料の使用は早晩限界が来るであろう。
【0006】
この低い摩耗耐性により、長期間に亘って鋭角を有する構成部品の製造も困難になる。このような鋭角は時間が経つと、ユーザ、ユーザの衣服及び一般的な日用品との接触によってあまりにも急速に鈍角になってしまうためである。
【0007】
時計学において、高い表面硬度を有する構成部品は、特に環境及びユーザからの応力を受ける上述のような時計の外部構成部品として有用である。これらの構成部品はまた、特定のディスプレイ若しくは構成部品の品質を向上させるために、又は反対に時計の特定の部品を隠すために、弾性、剛性若しくはこれとは反対の可撓性といった特定の物理的特性、又は特定の光学的特性を有していなければならない。
【0008】
SUMITOMOによる特許文献1は、絶縁ケースの製作について記載しており、これはまず回転工具の第1の位置において合成樹脂本体を射出成形し、続いてこの工具の第2の位置において金属プラズマスパッタリングを施し、最後に上記第1の位置とは反対側の回転工具の第3の位置で、基体と反対側の金属層上に別の樹脂を射出するものである。
【0009】
TIGERS POLYMERによる特許文献2は、同様の技術について記載しており、ここでは金属は接着剤によって2つの樹脂層間に保持されたフィルムの形状であり、製作手順は同様の回転工具を用いて実行される。
【0010】
STEINEBRUNNERによる特許文献3は、同一の機械上で互いに組み付けられた2つの射出ポリマーハーフシェル内で部品を製造するための射出成形機械について記載している。この機械は、2つの対向する回転方向に回転する射出工具を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、高い寸法精度を有する透明な単一部品を時計構成部品として、経済的に得る方法を提供するものである。
【0013】
より詳細には、本発明の目的は、プラスチック材料から成形した時計構成部品よりも高い表面硬度を有する構成部品を生産することである。
【0014】
また本発明によれば、例えばファセットカット又はダイヤモンドカットによる鋭角を有し且つ摩耗耐性の高い時計の外側部品を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って本発明は、透明な時計構成部品の製造及び装飾のための、並びに上記構成部品の両側、即ち上記構成部品の厚さによって隔てられた上面及び底面への装飾の形成のための方法であって:
−第1のステーションにおいて、第1の装飾を雄型パターン上に沈着し;
−上記第1の装飾を設けた上記雄型パターン、又は上記第1のステーション若しくは上記第1のステーションと第2のステーションとの間の中間ステーションにおいて透明プレフォームで覆われた、上記第1の装飾を設けた上記雄型パターンを、第2のステーションへと移動させ、
上記上面に対して相補的な前記射出チャンバ内において、第1の透明な重合性材料を上記射出チャンバ全体に射出して、上記第1の装飾を設けた上記雄型パターン、又は上記プレフォームで覆われた、上記第1の装飾を設けた上記オーバモールドした雄型パターンを、上記第1の材料でコーティングし、これによって、上記上面を含みかつ上記陥凹底面上に上記第1の装飾を含む第1の化合物を得;
−第1の化合物14を射出チャンバ11内で重合させ;
−第1の化合物14を射出チャンバ11から取り外し;
−第3の材料及び/又は第2の装飾が重力によって保持されている第3のステーションにおいて、上記第3の材料及び/又は第2の装飾をキャビティ内に蒸着し;
−第3のステーションにおいて、上記キャビティと上
記第1の化合物の上面との間の重力方向の相対運動によって、上記第3の材料及び/又は第2の装飾を上記第1の化合物の上記上面
に沈着し、これによって第2の化合物を得;
−上記第3のステーションにおいて、上記第2の化合物が触れることができる状態となるまで待機し;
−上記第2の化合物を上記第3のステーションから取り外す
ことを上記の順序で行うことを特徴とする、方法に関する。
【0016】
本発明の特徴によると、上記第3のステーションから上記第2の化合物を取り外した後、第4のステーションにおいて、上記第2の化合物の上記上面上に、又は上記第3の材料及び/若しくは第2の装飾上に重ねて、第3の装飾を蒸着する。
【0017】
本発明の特徴によると、上記第1の材料としてモデル組成を用い、このモデル組成は全体に対する割合として:
−トリメチロールプロパントリ(メタクリレート):78.0%
−ペンタエリスリチルテトラアクリレート:19.5%
−ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート:0.5%
−1−ベンゾイルシクロヘキサノール:2.0%
を含む。
【0018】
本発明の特徴によると、上記プレフォームは、アクリルポリマー類の材料又は上記モデル組成又はメチルポリメタクリレートで形成される第1のプレフォーム材料で作製される。
【0019】
本発明によると、射出及び脱ガス用毛細管網目構造を通して上記第1の材料を上記射出チャンバに射出する。
【0020】
本発明の特徴によると、上記第1の化合物の重合は、100〜120℃で10〜20秒間の熱処理及び/又は紫外線放射による照射によって上記射出チャンバ内で達成される。
【0021】
本発明の特徴によると、上記第1の装飾には、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれる。
【0022】
本発明の特徴によると、上記第3の材料及び/又は上記第2の装飾には、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれる。
【0023】
本発明の特徴によると、上記第1の材料及び/又は上記第2の装飾は、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子を用いて作製される。
【0024】
本発明の特徴によると、上記第3の装飾には、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれる。
【0025】
本発明はまた、時計構成部品の作製に利用することができる。
【0026】
本発明はまた、腕時計の風防ガラスの作製に利用することができる。
【0027】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、装飾又はインサートを2つの対向する面上に支持する高い寸法精度を有する透明な単一部品である時計構成部品1を、経済的に得るための方法を提案する。
【0030】
より詳細には、本発明の目的は、プラスチック材料の成形によって通常得られる時計構成部品よりも高い表面硬度を有するこのタイプの構成部品1を生産することである。
【0031】
従って本発明は、ムーブメント100又は時計1000のための時計構成部品1、特に好ましい様式においては透明な時計構成部品1の、上記構成部品1の厚さによって隔てられた上面2及び底面3の作製及び装飾のための方法に関する。
【0032】
本方法は第1図に示すように、以下のステップで実施される。
−AA:雄型パターン9上に第1の装飾Aを沈着するステップ;
−BB:プレフォーム6で覆われていてもいなくてもよい雄型パターン9を、射出チャンバ11へと移動させ透明な材料13を射出チャンバ11に射出して、雄型パターン9又はプレフォーム6をコーティングし、これによって、上面2を含み、かつ射出チャンバ11内での成形又は射出チャンバ11内のプレフォーム6又はオーバモールドしたプレフォーム6によって製造される上記上面2と対向する上記化合物14の底面3上に第1の装飾Aを有する、化合物14を得るステップ;
−CC:化合物14を射出チャンバ11内で重合させた後射出チャンバ11から取り外すステップ;
−DD:別の材料15及び/又は第2の装飾Cをキャビティ16内に沈着するステップであって、上記他の材料15及び/又は上記第2の装飾Cは重力によって保持され、重力方向の相対運動によって上面2上に沈着され、これによって第2の化合物18が得られる、ステップ。
【0033】
好ましくは、本方法は複数のステーションを有する製造手段において実装され:
−第1のステーション8において、雄型パターン9上に第1の装飾Aを沈着し;
−第1の装飾Aを設けた雄型パターン9、又は第1のステーション8若しくは第1のステーション8と第2のステーション10との間の中間ステーションにおいて透明プレフォーム6で覆われた、第1の装飾Aを設けた雄型パターン9を、第2のステーション10へと移動させ、
上記上面2に対して相補的な射出チャンバ11内において、第1の透明な重合性材料13を射出チャンバ11全体に射出して、第1の装飾Aを設けた雄型パターン9、又はプレフォーム6で覆われた、第1の装飾Aを設けたオーバモールドした雄型パターン9を、第1の材料13でコーティングし、これによって、上面2を含みかつ陥凹底面3上に第1の装飾Aを含む第1の化合物14を得;
−第1の化合物14を射出チャンバ11内で重合させ;
−第1の化合物14を射出チャンバ11から取り外し;
−第3の材料15及び/又は第2の装飾Cが重力によって保持されている第3のステーション17において、第3の材料15及び/又は第2の装飾Cをキャビティ16内に蒸着し;
−第3のステーション17において、キャビティ16
と第1の化合物14の上面2との間の重力方向の相対運動によって、第3の材料15及び/又は第2の装飾Cを第1の化合物14の上面2
に沈着し、これによって第2の化合物18を得;
−第3のステーション17において、第2の化合物18が触れることができる状態となるまで待機し;
−第2の化合物18を第3のステーション17から取り外す。
【0034】
このような操作の態様によって、
例えば図2による
、飾装AおよびCとが符号Bで示される構成部品の底面および上面に固定された時計構成部品を得ることができる。
【0035】
上面2の近傍において異なる技工的及び/又は装飾的機能の組み合わせが可能である特定の様式において、ステップEEでは、第3のステーション17から第2の化合物18を取り外した後、第4のステーション19において、第2の化合物18の上面2上に、又は第3の材料15及び/若しくは第2の装飾C上に重ねて、第3の装飾Dを蒸着する。上記第3の装飾Dは、フレーム22に対して可動である摺動要素21によって移動させることができる。
【0036】
一般にこの第1の材料13は、アクリルモノマー、少なくとも1つの熱開始剤、少なくとも1つのUV開始剤、及びアクリルモノマーのうちの少なくとも1つによって形成してよい少なくとも1つの架橋剤を含む。第2の材料13はまた、1つ又は複数の添加剤を含んでよく、これについては以下で詳細に説明する。
【0037】
より具体的には、この第1の材料13は、2以上の機能性を有する少なくとも1つのモノマーを含むアクリルモノマー混合物及び少なくとも1つの光化学開始剤を含む。ここでもまた、材料は1つ又は複数の添加剤を含んでよい。
【0038】
更に具体的には、この第1の材料13は、全体に対する割合として:
−2以上の機能性を有するアクリルモノマー混合物:50〜97.5%
−少なくとも1つの熱開始剤:0.5〜3%
−少なくとも1つの光化学開始剤:0.5〜3%
−少なくとも1つの添加剤:0〜50%
を含む。
【0039】
更に具体的な組成では、この第1の材料13は、全体に対する割合として:
−トリメチロールプロパントリ(メタクリレート)とペンタエリスリチルテトラアクリレートとの混合物:50〜97.5%
−ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート:0.5〜1.5%
−1−ベンゾイルシクロヘキサノール:0.7〜2.3%
−少なくとも1つの添加剤:0〜50%
を含む。
【0040】
以下でこの第1の材料13のモデル組成CTと呼ぶことになる好ましい組成では、この第1の材料13は、全体に対する割合として:
−トリメチロールプロパントリ(メタクリレート):78.0%
−ペンタエリスリチルテトラアクリレート:19.5%
−ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート:0.5%
−1−ベンゾイルシクロヘキサノール:2.0%
を含む。
【0041】
第1の材料13全体の0〜50%の添加剤を含む第1の材料13の組成に関して、これらの添加剤は、上記第1の材料13全体に対する百分率として:
a)帯電防止剤
a.コポリマーポリアミド−ポリエーテル:0〜15%、好ましくは10〜15%
b.エチレンイオノマー樹脂:0〜30%、好ましくは10〜30%
c.トリネオアルコキシジルコネート:0〜30%、好ましくは10〜30%
b)導電体
a.導電性ナノ粒子:金、炭素ナノチューブ、銀、アンチモン−スズ酸化物合金、亜鉛−アルミニウム酸化物合金、インジウム−スズ酸化物合金、亜鉛−ガリウム酸化物合金:0〜30%、好ましくは10〜30%
c)磁性体
a.磁性ナノ粒子:磁鉄鉱:0〜30%、好ましくは5〜30%
d)殺菌剤
a.銀イオン:0〜30%、好ましくは10〜30%
e)抗UV剤
a.吸収剤:ベンゾトリアゾール:0〜0.2%、好ましくは0.05〜0.2%
b.HALS(ヒンダードアミン光安定剤):0〜0.02%、好ましくは0.05〜0.2%
f)抗酸化剤
a.フェノールホスファイト;エチレンビス[3,3−bis(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート];ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート):0〜1.5%
g)難燃剤
a.リン誘導体:トリフェニルホスフェート:0〜15%
b.剥離モンモリロナイト:0〜15%
c.粘土ナノチューブ:0〜15%
h)潤滑剤
a.シリコーンアクリレート:0〜2%、好ましくは0.5〜2%
i)着色剤
a.アントラキノン類:0〜50%
b.アゾ系着色剤:0〜50%
j)顔料:0〜50%
k)送達が制御されたアジュバント:処方に組み込まれており、これらのアジュバントは操作環境へと徐々に放出される:0〜50%
l)補修剤のマイクロカプセル:補修剤は、関係する組成物と同一の特性を有する重合性液体、特にモデル組成CTの重合性液体で形成され、内容物は総量中に統合される:0〜50%
を含んでよい。
【0042】
流体状態での流動性及び毛細管現象といった複数の物理的特性、重合状態での高い表面硬度、並びに完璧な透明性により、モデル組成CTを有する材料又はEvonikRoehm(登録商標)によるCoverForm(登録商標)材料を第1の材料13として使用するのが好ましく、また特に有利である。CoverForm(登録商標)は2つの成分、即ち参照番号30Aの液体反応物及び参照番号30Bの液体開始剤の組み合わせに由来する。
【0043】
第3の材料15の選択は、第1の材料13に関して挙げた組成物から選択してよく、特にモデル組成CTを有する材料を選択してよい。
【0044】
好ましくは、プレフォーム6を使用する場合、上記プレフォーム6を、アクリルポリマー類由来の材料若しくは第1の材料13に関して上に挙げた組成物若しくはモデル組成CTを有する組成物から選択した材料で形成した、又はEvonicRoehm(登録商標)によるCoverForm(登録商標)材料若しくはメチルポリメタクリレート若しくはHanseChemie(登録商標)によるNanocryl(登録商標)材料で形成した、第1のプレフォーム材料7で作製する。
【0045】
第1の材料13の選択は、問題の構成部品1の耐久性を決定する因子である。実際、50μm未満の厚さを有する表面コーティングのためにいくつかの材料が特に考案されているが、これらの材料を完全な時計構成部品の作製のために常に応用できるわけではない。腕時計のガラス用に数ミリメートルまでのより大きくてよい厚さ範囲内で、第1の材料13又は第1のプレフォーム材料7として、モデル組成CTを有する材料又はCoverForm(登録商標)材料を使用することを選択することが好ましいが、これは自明ではなく、試験を重ねた結果として分かったことである。当然、このような厚さにおいては収縮が大きく、関係する鋳型のサイズはこれに応じて決定しなければならない。
【0046】
好ましくは、プレフォームを用いずに射出チャンバ11内で構成部品1を作製する場合、より詳細には構成部品1が薄く、即ち1ミリメートルの数百分の1又は数十分の1の厚さを有する場合、第1の材料13を、射出及び脱ガス用毛細管網目構造12を通して射出チャンバ11に射出すると有利である。
【0047】
有利には、射出チャンバ11における第1の化合物14の重合は、130℃未満、好ましくは100〜120℃で10〜20秒間の熱処理、及び/又はUV放射による照射によって達成でき、これによって構成部品1の表面硬度を向上させることができる。この自然な重合は、熱処理H及び/又は紫外線(これ以降「UV」とする)放射による照射Jによって達成でき、これら熱処理H及び照射Jはそれぞれ、系を恒常的に架橋させることにより、得られる構成部品1の表面硬度を向上させる効果を有する。照射は、環境温度で重合させた同一の構成部品、又は環境温度で重合させた同一の構成部品よりも既に表面硬度が向上している加熱重合させた同一の構成部品と比較して、約10%の有意な硬度の増大を提供する。本発明の好ましい実装形態は、場合に応じてモデル組成CT又はCoverForm(登録商標)で形成された第1の材料13及び/又はプレフォーム材料7の光化学開始剤を賦活して反応させることができるUV照射を含み、これを行わなければ、完成した構成部品1の機械的特性は弱くなってしまう。
【0048】
第1の化合物14が射出チャンバ11のキャビティ内に収容されている際及びこれをキャビティから取り外す際に、補助的な熱処理及び/又は照射を実施できることは明らかである。射出及び加熱による重合のサイクルの期間は短く、約30〜40秒である。UV照射サイクルの期間は10〜20秒である。
【0049】
好ましい実装形態では、構成部品14がまだ鋳型内にある時に加熱による重合を実行し、UV照射を鋳型の内側で実行するか又は外側で実行するかの選択は、本質的には製造サイクルの制約による:ある場合には、鋳型設備は後続の構成部品の成形前に僅かに長い時間固定され、他の場合には、追加の処置が必要となるか又は製造ラインの後続のステーション17又は19のいずれか一方でも照射を続行してよい。有利な変形例では、20秒未満の期間、少なくとも加熱と同じ程度に急激に、環境温度への冷却を実行する。
【0050】
本発明の好ましい目的は透明化合物を形成することであるが、例えば、腕時計の風防ガラスの厚さ内又は風防ガラスの、時計の針若しくは表示手段が面している側面上に作製できる、時表示ガイドマークのためのディスプレイガイドマーク、又はパワーリザーブ等の特定のディスプレイに対応する範囲表示のガイドマークといった、装飾又は技工的性質を含む化合物を形成することもできる。偽造防止マーク、部品識別番号、エネルギ又は力センサ等の特定のインサートを組み込んでよい。
【0051】
有利には、複数の層を有する化合物を形成する際、層の間の中間面のうちの1つ又は複数において機能付与構造化を実行する。
【0052】
時計ムーブメントの部品を形成するよう構成された構成部品1のための技工的性質を含む特定の有利な変形例は、機械的機能付与構造化を中間面上で実行するにあたって、このタイプの溝、ホゾ穴、嚢状部又はキャビティを設けて、上部層の塗布前に特定の特性を有する粒子を上記嚢状部又はキャビティに沈着できるようにすることからなる。重合前の液体状態におけるモデル組成CTを有する材料又はCoverForm(登録商標)材料の特性により、これをこれらの粒子と混合した場合に、その毛細管現象を利用して、粒子をホゾ穴等の底部に沈着できる。ホゾ穴、溝、キャビティ、嚢状部等の寸法を、粒子の粒径に近づくよう極めて正確に決定することにより、後に続く層を形成するためのものである液体産物の射出中に、粒径が小さい粒子を完璧に定義された位置に保持することができる。
【0053】
より具体的には、構成部品1に対して、帯電した若しくは帯電可能な、及び/又は磁化された若しくは磁化可能な粒子の挿入の選択を行うことによって、所望の効果に応じて、相補的な特性を有する時計ムーブメントの他の構成部品との物理的引力及び/又は斥力といった特性を生成する。
【0054】
よって、有利な変形例では、本発明による方法の実行中にこれらの粒子を底面3の近傍又は上面2の近傍に一体化させる。必要であれば異なる複数の変形例を組み合わせてよい。
【0055】
ある変形例によると、第1の装飾Aには、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれる。
【0056】
別の変形例によると、第3の材料15及び/又は第2の装飾Cには、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれる。
【0057】
別の変形例によると、第1の装飾A及び/又は第2の装飾Cには、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれる。
【0058】
別の変形例によると、第3の装飾Dには、帯電可能若しくは磁化可能な、又は帯電した若しくは磁化された粒子が組み込まれる。
【0059】
本発明はまた、本方法を実装するための製造ユニットにも関する。少なくとも1つの第1のステーション8、少なくとも1つの第2のステーション10、少なくとも1つの第3のステーション17が、少なくともステーションと同数の雄型パターン9を支持する回転工具20の周りにこの順序で配置され、周縁ステーションはそれぞれ上記回転工具20の周りで可動である。
図4に示すように、回転工具20は好ましくは水平軸Dの周りで枢動し、周縁ステーション8、10、17、19はそれぞれ近軸往復運動し、これによって周縁ステーションを解放して回転工具20を枢動させて対象を次の操作へと移動させ、またここでは好ましい形態である立方体として示す回転工具20の面上へ周縁ステーションが復帰することにより、個々の操作をそれぞれ同時に実行できる。構成部品1の取り外しは最後の装飾Dの配置と併せて行ってよく、第4のステーション19で行ってよい。よって、完全に一回転した後に構成部品1が完成する。これを第1のステーション8においてマニピュレータによって実行してもよく、ここでこのマニピュレータのアームは、完成製品を主要工具30から取り外し、また上記主要工具30に第1の装飾A及び/又はプレフォーム6を設ける。
【0060】
本方法を実装するための製造ユニットのある変形例では、少なくとも1つの雄型パターン9をそれぞれ備える主要工具30は、少なくとも1つの第1のステーション8、少なくとも1つの第2のステーション10、少なくとも1つの第3のステーション17をこの順序で同数ずつ備える上記回転工具20の周りに配置され、ステーションの数は主要工具30の数以下である。
【0061】
回転工具20は有利には、
図4A〜4Dの場合は多面体、立方体又は直角プリズムの形状である、回転中央本体を含む。ステーションのうちの1つが重力の作用による材料の蒸着を行う場合における好ましい実施形態では、工具20は枢軸Dの下側に配置された1つのステーション(
図4D、4Cではステーション17)を含み、液体又はペースト又は粉末相のこのタイプの材料(この場合第3の材料15及び/又は第2の装飾C)を、重力のみによってキャビティ16内に放出する。液体等の材料のためのこのような塗布ステーションは、本発明の重要な利点である。
【0062】
本発明は更に、少なくとも1つの透明な時計構成部品1、並びに本方法によって作製及び装飾された構成部品1の両側、即ち構成部品1の厚さによって隔てられた上面2及び陥凹底面3上に固定された装飾を含む、時計ムーブメント100に関する。
【0063】
本発明は更に、少なくとも1つの透明な時計構成部品1、並びに本方法によって作製及び装飾された構成部品1の両側、即ち構成部品1の厚さによって隔てられた上面2及び陥凹底面3上に固定された装飾を含む、時計1000に関する。