(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918375
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】電極フォイル切断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20160428BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20160428BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20160428BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20160428BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20160428BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20160428BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/08
B23K26/082
B23K26/00 M
H01M10/04 Z
H01M10/0585
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-535633(P2014-535633)
(86)(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公表番号】特表2014-534077(P2014-534077A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】KR2011009501
(87)【国際公開番号】WO2013062173
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0108579
(32)【優先日】2011年10月24日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0120992
(32)【優先日】2011年11月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514089205
【氏名又は名称】ケーラボ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】K−Lab Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】ハン ユーヒ
(72)【発明者】
【氏名】クォン グーチョル
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許第01666189(EP,B1)
【文献】
国際公開第2011/120345(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
H01M 10/04
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業テーブルと水平になるように、指定の距離だけ垂直に離隔されて設置される回転体;
前記回転体の中心に設置され、第1のドライバーにより駆動されて前記回転体を指定の運動速度で回転させる回転軸;及び、
前記回転体の一側終端に設置され、前記回転体の回転角度、運動速度及び加工対象物の加工サイズに基づいた速度変化率により、レーザービームを前記加工対象物の前記加工部位に照射するスキャナーを含むことを特徴とする、電極フォイル切断装置。
【請求項2】
前記回転軸に設置され、前記回転体の回転角度及び運動速度を制御部に伝送するロータリエンコーダをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記回転軸の他側終端に設置されることを特徴とする、請求項2に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項4】
前記制御部及び前記ロータリエンコーダ間の信号交換のための通信ケーブル連結通路をさらに含み、
前記通信ケーブル連結通路は、前記回転体の内部を通して前記ロータリエンコーダに延長されることを特徴とする、請求項3に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項5】
前記回転体の上部に設置され、前記スキャナー及び前記制御部間の信号交換のための通信ケーブル連結通路をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項6】
前記回転軸内の底部に形成される反射部材をさらに含み、
前記レーザービームは光源から前記反射部材により前記スキャナーに照射されることを特徴とする、請求項1に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項7】
前記反射部材により反射された前記レーザービームを前記スキャナーに伝達するためのビーム伝達通路をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項8】
前記回転軸の内部に設置される通信ケーブル連結通路をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項9】
前記回転軸は、前記回転体を等速円運動するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項10】
前記加工対象物は長方形で加工され、
前記スキャナーは、前記加工対象物の長辺加工時、前記回転体の回転角度、運動速度及び時間に従う前記スキャナーの長辺側位置により決定される速度で運動することを特徴とする、請求項9に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項11】
前記加工対象物は長方形で加工され、
前記スキャナーは、前記加工対象物の短辺加工時、前記回転体の回転角度、運動速度及び時間に従う前記スキャナーの短辺側位置により決定される速度で運動することを特徴とする、請求項9に記載の電極フォイル切断装置。
【請求項12】
回転軸により指定の速度で運動し、作業テーブルと水平になるように、指定の距離だけ垂直に離隔されて設置される回転体;及び、前記回転体の一側終端に設置されるスキャナーを含む切断装置を用いた電極フォイル切断方法であって、
前記回転体の運動速度、加工対象物の加工サイズ及び形態を含む加工パラメータを入力する段階;
前記回転体を前記運動速度により回転させると同時に、前記回転体の回転角度、運動速度及び加工対象物の加工部位に基づいた速度変化率により前記スキャナーを運動させる段階;及び、
光源からレーザービームを照射して、前記スキャナーを介して前記加工対象物に照射する段階を含むことを特徴とする、電極フォイル切断方法。
【請求項13】
前記スキャナーを運動させる段階は、前記回転軸に設置されたロータリエンコーダから受信した前記回転体の回転角度及び運動速度に基づき、前記スキャナーの運動速度を決定する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の電極フォイル切断方法。
【請求項14】
前記運動速度は、前記回転体を等速円運動するように制御する速度であることを特徴とする、請求項13に記載の電極フォイル切断方法。
【請求項15】
前記加工対象物は長方形で加工され、
前記加工対象物の長辺加工時、前記回転体の回転角度、運動速度及び時間に従う前記スキャナーの長辺側位置により決定される速度で前記スキャナーが運動することを特徴とする、請求項14に記載の電極フォイル切断方法。
【請求項16】
前記加工対象物は長方形で加工され、
前記加工対象物の短辺加工時、前記回転体の回転角度、運動速度及び時間に従う前記スキャナーの短辺側位置により決定される速度で前記スキャナーが運動することを特徴とする、請求項14に記載の電極フォイル切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置及び方法に関し、より詳しくは、電極フォイル(electrode foil)切断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界に電気自動車に対する関心の増大及び開発競争の深化により、関連産業も大きく成長すると予想されるが、その中心にあるのが2次電池の市場である。
【0003】
電気自動車は、ハイブリッド方式であるHEV(Hybrid Electric Vehicle)を始め、PHEV(Plug in Hybrid Electric Vehicle)やEV(Electric Vehicle)に発展しつつある。そして、動力源であるバッテリーの開発が電気自動車の市場の主要関心事項であり、バッテリー企業等は先を争って新技術を獲得するために全力を傾けっている。
【0004】
このような現実的な背景より、バッテリーの量産のための新しい工程の研究開発は、生産単価の低下による市場占有率の上昇を可能とし、これは2次電池業界に非常に重要な事項である。
【0005】
特に、中大型リチウムイオンバッテリー(Li Ion Battery)セル内に内蔵される電極(Electrode)の切断は、バッテリーの寿命(Lifetime)や性能に多大な影響を及ぼし得る非常に重要な工程であると同時に、量産のために必ず工程時間の短縮が必要な工程である。
【0006】
電極には電流を集める電極活物質がコーティングされ、この活物質は切断時にパーティクル(Particle)として発生して切断面を汚染させ得る。また、切断刃により電極の一部が引き伸ばしながらバリ(Burr)として残ることも出来る。電極切断工程において、このようなバリやパーティクルが切断面に存在すればならないのが最も重要であり、バリやパーティクルはバッテリーの寿命の短縮や電極内の短絡を発生させ得るため、重要に管理しなければならない。
【0007】
現在は、機械的な切断機(Punching)を用いた技術が電極フォイル切断工程に用いられている。このような機械的な切断は、工程時間は短いが、切断品質面においてバリやパーティクルを発生させ得る。また、切断刃の摩耗により切断品質が不均一になるため、刃も周期的に交替しなければならず、これにより工程費用の上昇を招くことになる。
【0008】
このような機械的な切断の限界を克服するために、多様な技術が研究されつつあり、そのうち、レーザーを用いた切断技術の研究が最も活発に進行されている。しかしながら、レーザーを用いた切断技術が克服すべき最大の課題は、機械的な切断に比べて工程時間を画期的に短縮させる方案である。 機械的な切断に比べ、レーザー切断工程の方が最小60m/minの以上の速度が保障されなければならない。今後、2次電池の需要に鑑み、量産体制に適合した工程技術の開発が必要であるからである。
【0009】
レーザーを応用した技術として、一般の切断ヘッド(Cutting Head)を用いたガス補助カッティング(Gas assisted Cutting)方式がある。しかし、機械的なステージの駆動により工程時間において大きい利得がない。
【0010】
レーザー応用切断方式の他の例として、スキャナー(Scanner)を用いた遠隔カッティング(Remote Cutting)方式がある。これは、非接触式方法であり、機械的な摩耗による加工品質の不均一に対する心配もなく、スキャナーの長所である迅速な駆動が用いられるため、既存の方式に比べて有利な技術である。
【0011】
しかしながら、スキャナーの高速駆動時、直線区間は一定の品質が保障されるが、四角形の頂点のようなコーナー区間では高速であるほど品質が悪くなる。これは、切断時間短縮には致命的な弱点として作用する。また、スキャナーが固定されているため、スキャナーの作業領域(working field)が広く、広い断面積のサイズを切断するために、長焦点レンズ(Long Focal Lens)を使用しなければならない。これは、ビームスポット(Beam Spot)サイズを増加させ、レーザー出力を高め、結果としてシステムの価格を上昇させる。
【0012】
図1は、固定式スキャナーを用いた場合、スキャナーの作業領域を説明するための図である。
【0013】
2次電池の電極フォイルは、一般に長方形(a*b)で製作される。
【0014】
固定式スキャナーは、横軸及び縦軸に同じ長さにビームを照射するので、対象物、すなわち、電極フォイル10の長辺(a)の長さにより作業領域(a*a)12が決定される。一般に、電極フォイルのサイズは300mm*250mmであることにより、固定式スキャナーの作業領域が300mm*300mmに広い。したがって、長焦点レンズが必要になり、 長焦点レンズの場合、ビームの断面積が広いので、これを補償するためにレーザー出力を高めることになる。
【0015】
このような問題を解決するために、最近、スキャナーとX−Xステージとの組合の方法が構想されている。スキャナー切断のコーナー部分での品質低下を補償するためにステージ装置を追加する方法であるが、相変らず多くの問題点がある。最大の問題点は、ステージが直線コーナーをすぎる時急激な速度の変化があり、このような急激な速度の変化は機械的な装置に無理を与え、短い区間において瞬間的に60m/minの速度で到達し難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の実施例は、対象物を多角形で切断する時、切断品質を保障しながらも高速切断が可能な電極フォイル切断装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施例による電極フォイル切断装置は、作業テーブルと水平になるように、指定の距離だけ垂直に離隔されて設置される回転体;前記回転体の中心に設置され、第1のドライバーにより駆動されて前記回転体を指定の運動速度で回転させる回転軸;及び、前記回転体の一側終端に設置され、前記回転体の回転角度、運動速度及び加工対象物の加工サイズに基づいた速度変化率により、レーザービームを前記加工対象物の前記加工部位に照射するスキャナーを含むことができる。
【0018】
一方、本発明の一実施例による電極フォイル切断方法は、回転軸により指定の速度で運動し、作業テーブルと水平になるように、指定の距離だけ垂直に離隔されて設置される回転体;及び、前記回転体の一側終端に設置されるスキャナーを含む切断装置を用いた電極フォイル切断方法であって、前記回転体の運動速度、加工対象物の加工サイズ及び形態を含む加工パラメータを入力する段階;前記回転体を前記運動速度により回転させると同時に、前記回転体の回転角度、運動速度及び加工対象物の加工部位に基づいた速度変化率により前記スキャナーを運動させる段階;及び、光源からレーザービームを照射して、前記スキャナーを介して前記加工対象物に照射する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多角形、特に長方形の電極フォイルを、レーザーを用いて高速且つ高品質で加工できる。また、多角形の頂点において優れた加工品質が保障されるため、電極フォイルの信頼性及び量産性が向上できる。
【0020】
さらに、スキャナーが加工位置と近接した位置で電極フォイルを加工するため、レーザー加工に用いられるスキャナーの作業領域及び視野角(field of view)を最小化できることにより、安定した動作が可能になり、対象物加工の品質が向上できる。また、これはレーザーの出力を減少させることができるため、システム構成単価を著しく低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】固定式スキャナーを用いた場合、スキャナーの作業領域を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施例による電極フォイル切断装置の構成図である。
【
図3】
図2に示す回転体及びスキャナーの斜視図である。
【
図4】本発明による電極フォイル切断装置において、スキャナーの運動速度を説明するための図である。
【
図5】本発明による電極フォイル切断装置において、スキャナーの作業領域を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施例による電極フォイル切断装置は、作業テーブルと水平になるように、指定の距離だけ垂直に離隔されて設置される回転体;前記回転体の中心に設置され、第1のドライバーにより駆動されて前記回転体を指定の運動速度で回転させる回転軸;及び、前記回転体の一側終端に設置され、前記回転体の回転角度、運動速度及び加工対象物の加工サイズに基づいた速度変化率により、レーザービームを前記加工対象物の前記加工部位に照射するスキャナーを含むことができる。
【0023】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施例による電極フォイル切断装置の構成図である。
【0025】
図2を参照すれば、本発明の一実施例による電極フォイル切断装置100は、制御部101、入力部103、出力部105、格納部107、光源109、ビーム転送ケーブル111、回転軸113、ロータリエンコーダ114、回転体115、スキャナー117、ビーム伝達通路119、第1のドライバー121及び第2のドライバー123を含む。
【0026】
回転体115は、作業対象物200が安着される作業テーブルと水平になるように、指定の距離だけ垂直に離隔されて設置される。そして、制御部101の制御により、第1のドライバー121によって駆動される回転軸113が指定の速度(ω=Δθ/Δt=一定)で回転することで、回転体115も指定の速度(ω=Δθ/Δt=一定)で等速円運動することになる。このとき、回転体115の長さは、作業対象物200を多角形210で加工した後の対角線のうち、最長の対角線の長さに対応するように構成できるが、これに限定されるものではない。合わせて、回転体115はレーザービームが透過できる材質を用いて形成できる。
【0027】
また、回転体115の回転角度及び速度は、回転軸113に設置されたロータリエンコーダ114により制御部101に伝達される。後述するが、制御部101は、ロータリエンコーダ114から受信した回転体115の回転角度及び速度に基づいて、スキャナー117の運動速度を制御する。
【0028】
例えば、作業対象物200を300mm*250mmの長方形で加工したい場合、回転体115の長さは300mm*250mmサイズの長方形の対角線の長さと同一あるいは大きく形成できる。
【0029】
一方、回転体115の一側終端にはスキャナー117が設置され、回転体115と共に回転しながら、レーザービームを作業対象物200に照射する。スキャナー117は、回転体115の回転角度、運動速度及び作業対象物200の加工部位によってそれぞれ異なる速度で運動し、これに対する具体的な説明は後述する。
【0030】
入力部103は加工パラメータ等を提供し、出力部105は切断装置100の加工過程及び加工結果を出力する。格納部107には、切断装置100の動作に必要な各種アプリケーション、制御信号及びデータ等が格納される。
【0031】
制御部101の制御により光源109からレーザービームが出射されると、ビーム転送ケーブル111を介して回転軸113に伝達される。回転軸113の底部には第1の反射部材(M1)が設置され、回転軸113内に伝達されたビームを反射する。
【0032】
反射部材(M1)から反射されたレーザービームは、さらにスキャナー117内の第2の反射部材(M2)に伝達され、第2の反射部材(M2)から反射されたビームは、集光レンズ(図示せず)により集光された後、対象物200の加工部位210に照射される。
【0033】
本発明の好適な実施例において、第1の反射部材(M1)から反射されたレーザービームは、ビーム伝達通路119を介してスキャナー117内に提供されることができる。ビーム伝達通路119を構成する場合、外的影響からレーザービームを保護できる。
【0034】
また、回転軸113、スキャナー117及び制御部101等の各構成部に電源を供給するための装置がさらに具備し得るのは勿論であり、特に、回転軸113に対する電源供給はスリップリング(slip ring)を介して行われる。
【0035】
図3は、
図2に示す回転体及びスキャナーの斜視図である。
【0036】
図3に示すように、回転体115は、実質的に原板形状を持つように構成できるが、これに限定されるものではない。
【0037】
回転軸113の内部は空であり、その底部には第1の反射部材(M1)が設置されて回転軸内に進入したレーザービームを反射させる。
【0038】
第1の反射部材(M1)から反射されたレーザービームは、ビーム伝達通路119を介してスキャナー117内に進入し、スキャナー117の第2の反射部材(M2)により再反射されて対象物200に照射できる。
【0039】
さらに、本発明の他の実施例において、回転軸113内には制御部101とロータリエンコーダ114及び第1のドライバー121との信号交換のための通信ケーブル連結通路125がさらに具備され、制御部101は回転体115の他側終端に設置され得る。未説明の符号127は、スキャナー117を駆動する第2のドライバー123及び制御部101間の通信ケーブル連結通路を示す。
【0040】
制御部101を回転体115の他側終端に設置する場合、回転体115と制御部101とが共に回転するので、回転体115及び制御部101間の相手運動はない。また、ロータリエンコーダ114/第1のドライバー121と制御部101、または、スキャナー117/第2のドライバー123と制御部101との間に信号交換に必要なケーブルがケーブル連結通路125、127を介して延長されるので、外部でロータリエンコーダ114やスキャナー117とケーブルを連結する必要がなくなり、単純且つ堅固な切断装置を提供できる。
【0041】
また、回転体115の一側終端にスキャナー117が設置され、他側終端に制御部101が設置される場合、回転体115の両側の重さ均衡をなすことができるため、加工信頼性が一層向上する。
【0042】
前述したように、スキャナー117は、回転体115の回転角度、運動速度及び作業対象物200の加工部位によりそれぞれ異なる速度で運動するが、以下では作業対象物200をa*bサイズの長方形で加工する場合を例として説明する。
【0043】
図4は、本発明による電極フォイル切断装置において、スキャナーの運動速度を説明するための図である。
【0044】
制御部101の制御により、第1のドライバー121により回転軸113が駆動され、これにより回転体115がω=Δθ/Δtの速度で等速円運動するようになる(300参照)。
【0045】
対象物を、
図4の符号400のような形状、すなわち、a*bサイズの長方形で加工したい場合、スキャナー117から反射されるビームは符号400の軌跡に沿ってビームを照射すべきである。
【0046】
回転体115がω=Δθ/Δtの速度で等速円運動しているため、スキャナー117の運動速度は、回転体の運動速度及び加工部位によって異なる速度で動くように制御される。
【0047】
図4において、X方向への変化率とY成分の変化率とは全く異なる様相を有し、この変化率を反映できるように、スキャナーの回転速度を決定すべきである。
【0048】
回転体115がω=Δθ/Δtの速度で運動し、r=√(a*a/4+b*b/4)のとき、X=r*cos(ωt)であるので、X成分の時間に従う変化率、すなわち、速度は[数式1]のような比例特性を持つ。
[数式1]
dX/dt=−rω*sin(ωt)
【0049】
類似に、r=√(a*a/4+b*b/4)のとき、Y=r*sin(ωt)であるので、Y成分の時間に従う変化率、すなわち、速度は[数式2]のような比例特性を持つ。
[数式2]
dY/dt=rω*cos(ωt)
【0050】
すなわち、スキャナー117は、前記数式1及び数式2のような速度の様相に変化しながら動作でき、この場合、
図4の400のような形状で対象物を加工できる。
【0051】
レーザーを用いた切断工程は、レンズの焦点位置でビームのスポットサイズ(直径)によりレーザーの出力が決定される。そして、ビームのスポットサイズは焦点長さが短いほど小さくなる。
【0052】
例えば、焦点長さが100mmのレンズと300mmのレンズとを比較すれば、ビームのスポットサイズは100mmのレンズの場合よりも300mmのレンズが3倍増加するが、断面積は9倍増加する。この場合、同じ出力密度を持つためにはレーザーの出力(power)を9倍増加させなければならない。換言すれば、焦点長さが短いほどビームのスポットが小さくなり、同じ出力密度(Power Intensity[W/cm
2])が要求される時、スポットが小さければ必要なレーザー出力も低くなる。
【0053】
図5は、本発明による電極フォイル切断装置において、スキャナーの作業領域を説明するための図である。
【0054】
本発明による切断装置100は、回転体115が回転すると同時にスキャナー117が回転及び運動しながらレーザービームを照射するので、作業領域を著しく狭めることができる。
【0055】
図5に示すように、対象物の長辺(a)側の1/2だけ加工する時、回転体115は区間(S1)を回転し、スキャナー117は区間(S2)の作業領域で運動する。
【0056】
図1に示す固定式スキャナーを用いた切断装置と比較する時、作業領域が著しく小さいことが分かる。
【0057】
スキャナー117の作業領域が狭いということは、短い焦点長さのレンズが用いられることを意味する。結局、これはレーザーの出力を低くすることができ、システム構成単価を低下できる。
【0058】
このように、本発明では、スキャナーを用いた遠隔切断方式を基盤とし、ここにスキャナーが安着して等速円運動する回転体を結合して切断装置を構成した。スキャナーは、回転体が回転すると同時に回転し、これと別途の速度様相でスキャナーが運動して所望の模様で対象物(電極フォイル)を切断するようになる。
【0059】
よって、スキャナーの作業領域が小さくなり、低いレーザー出力でも、対象物を多角形の形状で高速且つ高品質で加工できる。
【0060】
さらに、回転体の他側に制御部を設置すれば、制御部及び回転体間の相手運動がなく、回転体及びスキャナーを制御するためのケーブルを外部で連結する必要がないと同時に、回転体両側の重さ均衡を維持できるため、単純且つ堅固な信頼性のある切断装置を提供できる。結局、回転体及びスキャナーを動作させた後、光源から出射されるレーザービームをオン(on)させさえすれば、電極フォイルを高い信頼性で高速加工できるようになる。
【0061】
このような電極フォイル切断装置を用いて電極フォイルを切断する場合、まず、入力部103により加工パラメータが入力される。加工パラメータは、例えば、回転体の回転速度、対象物の加工サイズ及び形態、レーザー出力等になり得る。
【0062】
制御部101は、加工パラメータに基づいて第1のドライバー121を駆動して回転体115を回転させる一方、回転体115の回転角度/速度及びスキャナーの位置によって決定される速度変化率を用いて、第2のドライバー123を駆動してスキャナー117を運動させる。また、光源109からレーザービームが出射されるようにして、回転軸113内に提供されるようにする。
【0063】
これにより、回転体115は指定の速度(θ=ωt)で等速円運動を開始し、スキャナー117の第2の反射部材(M2)は加工パラメータ及び回転体115の速度によって前記数式1及び数式2に係る速度様相で運動する。
【0064】
回転軸113の底部の第1の反射部材(M1)から反射されたレーザービームは、スキャナー117の第2の反射部材(M2)から反射された後、対象物に照射される。このとき、スキャナー117が回転体115と共に回転しながら、数式1及び数式2の速度様相で運動してレーザービームを反射させるため、対象物はa*bサイズの長方形で加工できる。
【0065】
なお、以上で説明した本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須特徴の変更なし、他の具体的な形態で実施できることが分かる。よって、上述の実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものでないことが分かる。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲により定められ、特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その等価概念から導出される全ての変更や変形の形態が、本発明の範囲に含まれるものと解析すべきである。
【符号の説明】
【0066】
100 電極フォイル切断装置
101 制御部
103 入力部
105 出力部
107 格納部
109 光源
111 ビーム転送ケーブル
113 回転軸
114 ロータリエンコーダ
115 回転体
117 スキャナー
119 ビーム伝達通路
121 第1のドライバー
123 第2のドライバー
125、127 通信ケーブル連結通路