(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918401
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】高圧直流送電システムの制御装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20160428BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J1/00 306A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-11372(P2015-11372)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2015-139369(P2015-139369A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0008586
(32)【優先日】2014年1月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リ ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム ユン ソ
(72)【発明者】
【氏名】キム チョン ベ
【審査官】
松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−133122(JP,A)
【文献】
特開昭63−007169(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101958541(CN,A)
【文献】
特開昭55−068825(JP,A)
【文献】
特開平09−322524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧直流送電システムの制御装置において、
制御機器と通信を行う通信部と、
前記通信部を介してM個のグループで構成されるN個のパルス信号を含むデータバック信号を取得し、前記取得されたデータバック信号に基づいて、エラー信号の個数及びデータの受信率によってデータエラー及びライン欠線エラーを確認し、前記データバック信号に基づいてバルブ制御信号として出力する制御部と、
前記制御部の制御に基づいて前記バルブ制御信号をバルブ制御装置に出力する出力部と、を含み、
前記制御部は、
前記パルス信号の入力周期ごとに前記データバック信号を確認し、前記データバック信号に含まれるエラーデータの個数によってエラーを判断し、前記データバック信号の受信個数によって、入力されていないデータバック信号に該当するラインの欠線を判断する高圧直流送電システムの制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記取得されるデータバック信号からデータエラーを監視し、エラーデータを抽出するデータ監視部と、
前記取得されるデータバック信号からライン欠線エラーを監視し、ライン欠線エラーを抽出するライン監視部と、で構成される、請求項1に記載の高圧直流送電システムの制御装置。
【請求項3】
前記データ監視部は、
前記データバック信号に含まれるエラーデータがハイ(High)として感知される信号を抽出し、該当信号を含むデータバック信号をエラーデータとして抽出する、請求項2に記載の高圧直流送電システムの制御装置。
【請求項4】
前記データ監視部は、
ハイとして感知される信号が基準個数以上に感知されれば該当データバック信号をエラーデータとして抽出する、請求項3に記載の高圧直流送電システムの制御装置。
【請求項5】
前記ライン監視部は、
前記入力されていないデータバック信号に対して所定回数以上信号が未入力されれば該当ラインは欠線として確認する、請求項2に記載の高圧直流送電システムの制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記取得されるデータバック信号に基づいてデータエラー及びライン欠線の存否を同時に確認及び抽出する、請求項1に記載の高圧直流送電システムの制御装置。
【請求項7】
高圧直流送電システムに連結される制御機器からM個のグループで構成されるN個のパルス信号を含むデータバック信号を取得するステップと、
前記取得されたデータバック信号に基づいて、エラー信号の個数及びデータの受信率によってデータエラー及びライン欠線エラーを確認するステップと、
前記データエラー又はライン欠線エラーが確認されたことを知らせるステップと、を含み、
前記データエラーの確認は、前記パルス信号の入力周期ごとに前記データバック信号を確認し、前記データバック信号に含まれるエラーデータの個数によって判断し、前記ライン欠線は、前記データバック信号の受信個数によって、入力されていないデータバック信号に該当するラインの欠線を確認する高圧直流送電システムの制御方法。
【請求項8】
前記データバック信号に基づいた前記データエラーの確認は、前記M個のパルス信号にデータエラー信号がハイとして感知されれば該当データバック信号をデータエラーとして確認する、請求項7に記載の高圧直流送電システムの制御方法。
【請求項9】
前記データエラーの確認は、ハイとして感知されるエラー信号が基準個数以上であればデータエラーとして確認する、請求項8に記載の高圧直流送電システムの制御方法。
【請求項10】
前記データバック信号に基づいて前記M個のデータバックグループの信号の間に入力が感知されていないデータバックグループの信号が存在する場合は該当データバックグループと連結されたラインを欠線として確認する、請求項7に記載の高圧直流送電システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施例は、高圧直流送電システムの制御装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高圧直流送電(HVDC)とは、発電所で生産される交流電力を直流電力に変換させて送電した後、受電点で交流に再変換して電力を供給する方式である。このような高圧直流送電方式は、交流送電方式の長所である電圧昇圧を介して効率的で経済的な電力伝送を可能にする。また、高圧直流送電方式は交流送電の様々な短所を克服する送電方式である。
【0003】
高圧直流送電システムは、サイリスタを利用した電流型HVDCとIGBやGTOを利用した電圧型HVDCで分けられる。電流型HVDCは大容量の電力伝送に適合しており、電圧型HVDCは高い損失のため系統安定化や小容量の電力伝送に適合している。
【0004】
特に、高圧直流送電システムのバルブ制御器はDC伝送で測定されたデータをどれだけ安定的に維持し制御し得るのかに応じて全体的な高圧直流送電システムの性能を左右する。そのためには、高圧直流送電システム構造に対する安定性及びデータフローの制御が円滑に行われることが必須である。
【0005】
一般に、データ状態のモニタリングは、ソフトウェアでモニタリングしながらイベント発生に対する原因を把握しそれによる処理をするためには多くの時間が所要される。
【0006】
即ち、高圧直流送電システムに連結される物理的ラインに対する状態接点及びデータの様態接点のためにはデータの高い信頼度と発生可能なイベントを考慮したハードウェアの設計が要求される。しかし、従来の高圧直流送電システムでは測定データがシステムに伝達されるとそれを解析して単にバルブ制御モジュールに分配する形態に構成されているため、事故イベント発生に対する原因把握及び分析処理が容易ではない問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施例では、高圧直流送電システムで取得されるデータに基づいてデータの有効性及び結線状態を確認する高圧直流送電システムの制御装置及びその方法を提供する。
【0008】
本実施例では、高圧直流送電システムで取得されるデータの有効性及び結線状態を確認して高い信頼度でバルブを制御するための制御データを出力する高圧直流送電システムの制御装置及びその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施例による高圧直流送電システムの制御装置において、制御機器と通信を行う通信部と、前記通信部を介して受信されるデータバック信号を取得し、前記取得されたデータバック信号に基づいてデータエラー及びライン欠線エラーを確認し、前記データバック信号に基づいてバルブ制御信号として出力する制御部と、前記制御部の制御に基づいて前記バルブ制御信号をバルブ制御装置に出力する出力部と、を含む。
【0010】
また、本実施例による高圧直流送電システムの制御方法において、高圧直流送電システムに連結される制御機器からデータバック信号を取得するステップと、前記取得されたデータバック信号に基づいてデータバック信号のエラーデータ出力可否及び前記データバック信号の入力可否に応じてデータエラー及びライン欠線エラーを確認するステップと、前記データエラー又はライン欠線エラーが感知されることを知らせるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施例が適用される高圧直流送電システムの制御装置を示すブロック構成図である。
【
図2】本実施例によって高圧直流送電システムの制御装置から取得されるデータの形態を説明するための例示図である。
【
図3】本実施例によってデータエラーを検証するための動作フローチャートである。
【
図4】本実施例によってライン欠線エラーを検証するための動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語や単語は通常的であるか辞書的な意味に限って解析されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解析されるべきである。
【0013】
よって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本実施例の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点でこれらを代替し得る多様な均等物と変形例が存在し得るということを理解すべきである。
【0014】
図1は本実施例が適用される高圧直流送電システムの制御装置を示すブロック構成図であり、
図2は本実施例によって高圧直流送電システムの制御装置から取得されるデータの形態を説明するための例示図である。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、本実施例による高圧直流送電システムの制御装置100は通信部110、データ処理部120、貯蔵部130、出力部140及び制御部150を含んで構成される。
【0016】
通信部110は、高圧直流送電システムに連結される各装置に対するデータを受信する。
【0017】
データ処理部120は、通信部110を介して受信されるデータをデコーディングして制御部150に出力する。また、デコーディングされて制御部150で解析及び処理されたデータをエンコーディングして上位アプリケーションブロックに出力する。
【0018】
貯蔵部130は、通信部110から受信されるデータを貯蔵するか前記データに対する処理情報を貯蔵する。また、貯蔵部130は本発明の実施例によって制御部150で確認されたデータ及びラインエラーを確認するための基準情報及び確認結果情報を貯蔵する。
【0019】
出力部140は、データ処理部120及び制御部150で演算及び処理されたデータをバルブ制御値としてバルブ制御部(図示せず)に出力する。
【0020】
制御部150は、通信部110を介して取得される高圧直流送電システムに連結される各制御器モジュールから獲得されるデータに対する状態監視及びそれによるバルブ制御データを生成する。
【0021】
特に、本実施例による制御部150はデータ監視部151とライン監視部152を含んで構成される。
【0022】
データ監視部151は、制御器から測定されて印加されるデータに対するエラー感知及び状態を確認する。データ監視部151は、
図2に示したようにN個の信号を含むM個のグループで構成されるパルス形態のデータに基づいてデータのエラー可否を確認する。
【0023】
ライン監視部152は、前記データ監視部151で監視されるデータと同じデータに基づいて予め設定されたデータの受信可否(受信率)を確認してラインの結線可否を確認する。
【0024】
本実施例で取得されるデータの形態は、
図2に示したように所定周期Tの間にN個のパルス信号を含むM個のデータバック(databack)グループDM
nの信号である。本実施例による高圧直流送電システムの制御装置100で取得されるデータは16.67msの1周期Tの間に4ms(P
Lms)間隔で4ms(P
Hms)の間にパルス信号が受信される。前記データ入力周期、区間及び感覚情報は実施される形態に応じて可変される。
【0025】
前記データバック信号のそれぞれにはサイリスタ(Thyristor)動作(conduction)情報、ガンマ(Gamma)演算情報、BOD(Break−Over Diode)情報を含む。
【0026】
制御部150は前記データバック信号に含まれる多様な情報及び信号の入力可否に応じてデータエラー監視及びライン欠線監視を行う。
【0027】
以下、
図3乃び
図4を参照して本実施例によるデータ及びラインエラー監視動作について詳細に説明する。
【0028】
図3は、実施例によってデータエラーを検証するための動作フローチャートである。
【0029】
本実施例によるデータエラーを検証するための制御部150は前記制御部の内部に含まれるデータ監視部151で実行されると例示的に説明されるが、その機能は制御部150の全般的な動作の一部であってもよい。前記データ監視部151は制御部150内に含まれて制御部150と一つの装置で構成されるか別途の外部装置で構成される。
【0030】
図3を参照すると、本実施例による制御部150は高圧直流送電システムに連結された制御機器からデータを取得し、前記取得されたデータを監視するエラー監視モードを行うS310。
【0031】
制御部150はエラー監視遂行モードに応じて
図2に示したようにデータバック信号(DB
1〜DB
N)を入力されるS320。
【0032】
制御部150は前記データバック信号についてエラー可否及び状態情報を確認するための確認周期の到来可否を判断するS330。前記確認周期はデータバック信号に含まれるパルス入力周期に対応するが、本発明の実施例では4msを例に挙げて説明する。
【0033】
制御部150はデータバック信号の確認周期が到来すればデータバック信号に含まれるパルス信号データに基づいてデータの状態及びエラーデータの存在可否を確認する。
【0034】
制御部150はパルス信号データに含まれる各データに含まれるエラーデータがハイ(High)に出力されるのかを確認するS350。
【0035】
エラーデータは制御機器から取得されたデータにエラーが存在しなければ前記パルス信号にロウ(Low)信号として含まれて出力されるが、データのエラーが存在すれば該当データのパルス信号にハイ信号として含まれて出力される。
【0036】
よって、制御部150はパルス信号データにハイ信号を有するエラーデータが存在するのかを判断し、エラーデータが存在すればエラーデータの個数をカウントする。
【0037】
制御部150はカウントされるエラーデータの個数、即ち、ハイに示されるエラーデータのパルス信号の個数が基準個数以上であるのかを判断するS360。前記基準個数はエラーデータによってシステム及びバルブ制御に影響を及ぼす程度のエラーデータ発生程度である。よって、前記基準個数は限定されているのではなくシステム又はユーザの設定状態に応じて多様に可変する。
【0038】
制御部150はカウントされるエラーデータの個数が基準個数未満であれば取得されるデータを正常状態として処理してバルブ制御装置(図示せず)に出力する。
【0039】
一方、制御部150はカウントされたエラーデータの個数が基準個数以上であれば取得データをエラーデータとして処理し、該当結果を多様な形態に出力するS380。
【0040】
図4は、本発明の実施例によってライン欠線エラーを検証するための動作フローチャートである。
【0041】
ライン欠線エラーを検証するための制御部150は前記制御部の内部に含まれるライン監視部152で実行されると例示的に説明されるが、その機能は制御部150の全般的な動作の一部であってもよい。前記ライン監視部152は制御部150内に含まれて制御部150と一つの装置で構成されるか別途の外部装置で構成される。
【0042】
図4を参照すると、本実施例による制御部150は高圧直流送電システムに物理的ラインで連結された制御機器からデータを取得し、前記取得されたデータを監視するエラー監視モードを行うS410。
【0043】
制御部150はエラー監視遂行モードに応じて
図2に示したようにデータバック信号(DB
1〜DB
N)を入力されるS420。
【0044】
制御部150は前記データバック信号についてエラー可否及び状態情報を確認するための確認周期の到来可否を判断するS430。前記確認周期はデータバック信号に含まれるパルス入力周期に対応するが、本発明の実施例ではデータエラー検証のデータ確認周期と同じく4msを例に挙げて説明する。
【0045】
制御部150はデータバック信号の確認周期が到来すればデータバック信号に含まれるパルス信号データに基づいて未入力データの存在可否を確認するS440。
【0046】
即ち、制御部150は前記データエラー検証動作が同時に又は別途に取得されたデータバック信号に基
づいて制御部150のライン監視部152で前記データバック信号のうち予め設定されたN個(本発明の実施例では22個)のデータバック信号のうち受信されていないデータバック信号が存在するのかを確認する。
【0047】
制御部150は制御機器と物理的に連結されるラインに対するライン信号が入力されるのかを前記データバック信号に基づいて確認し、未入力データバック信号の存在を確認するS450。
【0048】
制御部150はデータバック信号のうち未入力信号が確認されれば未入力信号を入力される物理的ラインの情報を確認するS460。
【0049】
制御部150は未入力データバック信号は制御機器と連結される物理的ラインのエラーによって発生されるイベントであると定義し、前記未入力信号を送受信するラインの情報を確認する。
【0050】
制御部150は前記確認されたラインに対する情報及び未入力信号を確認し、それに応じたエラーのお知らせを出力するS470。
【0051】
本実施例ではデータバック信号が未入力信号ラインに対するエラー確認及びお知らせを出力するように説明したが、データバック信号が所定回数以上未入力されれば該当信号ラインに対するエラーイベント発生として処理するようにしてもよい。
【0052】
本実施例では制御機器から入力されるデータバック信号に基づいてデータエラーとラインエラーに対する確認及び出力動作を分離して説明したが、データバック信号に基づいて制御部150のデータ監視部151及びライン監視部152それぞれで同時にデータエラー検証及びライン検証を行ってもよい。
【0053】
これまで本発明についてその好ましい実施例を中心に説明したが、これは単なる例示であって本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で前記に例示されていない多様な変形と応用が可能であることが分かるはずである。例えば、本発明の実施例に具体的に示した各の構成要素は変形して実施してもよいものである。そして、このような変形と応用に関する差は、添付した特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものとして解析されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
100 制御装置
110 通信部
120 データ処理部
130 貯蔵部
140 出力部
150 制御部
151 データ監視部
152 ライン監視部