特許第5918405号(P5918405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5918405ステープル及びクリップ除去器を備える紙細断機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918405
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】ステープル及びクリップ除去器を備える紙細断機
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/22 20060101AFI20160428BHJP
   B02C 18/06 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   B02C18/22
   B02C18/06 A
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-26089(P2015-26089)
(22)【出願日】2015年2月13日
(62)【分割の表示】特願2013-178972(P2013-178972)の分割
【原出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-120163(P2015-120163A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】12/762,000
(32)【優先日】2010年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512264725
【氏名又は名称】アッコ・ユーケイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】アリエス,ポール・エイ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,カウシク
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3105981(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0274836(US,A1)
【文献】 国際公開第01/054820(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0181722(US,A1)
【文献】 特開平05−317740(JP,A)
【文献】 特開2011−011197(JP,A)
【文献】 特開平05−007789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00−18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙細断機において、
筺体と、
前記筺体の中に配置されている切断器と、
前記筺体へ連結されていて紙束を支持するように適合されている送給器基部であって、前記切断器での細断に向けて紙を通す送給器スロット、及び開口を含んでいる、送給器基部と、
前記送給器基部の上方に配置されている送給器組立体であって、
前記送給器基部の全体を覆っている単一の送給器戸であって、前記単一の送給器戸の一方の端の軸の周りに枢動する単一の送給器戸、及び
前記送給器基部の上方の前記送給器戸に対して動くように取り付けられている加圧板を含んでいる送給器組立体とを備え、
前記加圧板が、前記送給器スロットの両側に配置された2つの部材を備えており
前記加圧板の2つの部材の両方が、前記単一の送給器戸の下面に隣接して取り付けられるとともに前記単一の送給器戸に対して独立して動くことができる、紙細断機。
【請求項2】
前記開口が、前記送給器基部の上面と前記送給器基部の下方の廃棄物区域の間の連通を提供する、請求項1に記載の紙細断機。
【請求項3】
前記加圧板の2つの部材が、蝶番式リンクにより連結されている、請求項1又は2に記載の紙細断機。
【請求項4】
前記加圧板の2つの部材が、相互に独立して動くことができるように連結されている、請求項3に記載の紙細断機。
【請求項5】
前記加圧板は、前記送給器スロットに直交する長さが前記送給器基部の対応する長さより短い、請求項1乃至4の何れか1項に紙細断機。
【請求項6】
前記加圧板は、前記送給器スロットに直交する長さが前記送給器基部の対応する長さの80%未満である、請求項5に記載の紙細断機。
【請求項7】
前記加圧板は、前記送給器スロットに直交する長さが前記送給器基部の対応する長さの65%未満である、請求項5に記載の紙細断機。
【請求項8】
前記加圧板は、前記送給器スロットに直交する長さが前記送給器基部の対応する長さの50%である、請求項5に記載の紙細断機。
【請求項9】
前記加圧板は、前記送給器基部上に配置された用紙束の一番上の用紙へ圧力を加えるためのローラーを含んでいる、請求項1乃至8の何れか1項に記載の紙細断機。
【請求項10】
前記ローラーが、前記送給器スロットが設けられた位置に対応する前記加圧板の中央部分の両脇に配置される2つのローラーを備えている、請求項9に記載の紙細断機。
【請求項11】
前記2つのローラーは、互いに対して固定されている軸の周りに回転する、請求項10に記載の紙細断機。
【請求項12】
前記加圧板は前記開口と重なり合っていない、請求項1乃至11の何れか1項に記載の紙細断機。
【請求項13】
前記開口が、4つの開口を備えており、前記加圧板は前記4つの開口と重なり合っていない、請求項12に記載の紙細断機。
【請求項14】
前記送給器基部は、前部分と、後部分と、前記前部分の側部及び前記後部分の側部に沿った側壁であって前記送給器スロットを跨ぐ側壁とを有し、前記送給器基部の前部分及び後部分が、前記送給器スロットによって少なくとも部分的に分離されており、前記前部分及び前記後部分の各々が、前記送給器スロットに隣接し且つ紙を摩擦によって前記送給器スロット内へ引き寄せるローラーを受け入れる寸法の一連の切欠を有する内端を含む、請求項1乃至13の何れか1項に記載の紙細断機。
【請求項15】
前記送給器基部は、1つの部品として形成された、請求項14に記載の紙細断機。
【請求項16】
前記加圧板を前記送給器戸から離れるように付勢している一連の押しばねをさらに備える、請求項1乃至15の何れか1項に記載の紙細断機。
【請求項17】
前記加圧板が、前記送給器戸の対応する孔内で滑動する寸法の一連の柱を含んでいる、請求項1乃至16の何れか1項に記載の紙細断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概括的には紙細断機の分野に関し、厳密には細断に先立ってステープルや紙クリップを除去するための機構を有する紙細断機に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]紙細断機は、文書類の情報の機密性を保護することを目的に文書類を細断するのに一般に使用されている。細断機は、何枚もの紙の束を一度に細断する能力のある大型の産業用細断機から、数枚までを一度に細断することができる個人向け及び事業所向け細断機まで、各種サイズが出回っている。
【0003】
[0003]個人向け及び事業所向け細断機は、一般に、紙を細断機の中へ手送りするように設計されている。これらの細断機は、スロットを、典型的には細断機の天板に含んでおり、幾枚かの紙がスロットの中へ送給される。これらの細断機は多くの場合ステープルや紙クリップに対応するように設計されているが、ステープルや紙クリップは、細断機への損傷や詰まりを避けるために細断に先立って除去されるのが望ましい。
【0004】
[0004]細断機には紙束の細断に対応するように設計されているものもある。これらの細断機は、一般に、細断に向けて束の一番下から紙を一度に数枚ずつ引く。紙束を細断する場合、ステープルや紙クリップが束の中に埋まっているかもしれず、従って全てのステープルや紙クリップを細断に先立って除去するのは非現実的である。これらの細断機は多くの場合ステープルや紙クリップに対応することができるが、細断に先立って束内の紙からステープルや紙クリップを除去するためのシステムを持つことが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明は、細断に先立つ束内の用紙からのステープルや紙クリップの除去を容易にした紙細断機を提供している。細断機は、筺体と、筺体の中に配置されている切断器と、筺体へ連結されていて紙束を支持するように適合されている送給器基部と、を備えている。送給器基部は、切断器での細断に向けて紙を通す送りスロットと、送給器基部の上面と送給器基部の下方の廃棄物区域の間に連通を提供している(例えば送給器基部の隅の)開口(例えば、切断器からの廃棄物と当該開口を通る廃棄物の両方を受ける屑物入れの中へ通じている)と、を含んでいる。縁(例えばステープル板の一部分)が、開口の少なくとも一部分を画定していて、送りスロットに斜めの角度に向きが定められている。
【0006】
[0006]1つの実施形態では、送給器基部は、それぞれが送給器基部の異なった隅に配置されている2つの開口(好適には4つの開口)を含んでいる。ステープル板の縁は、送給器スロットに対して様々な角度に配置させることができる。例えば、ステープル板の縁は、送りスロットに対して、3度乃至70度の角度、5度乃至50度の角度、7度乃至40度の角度をなしていてもよく、約10度をなしているのが好適である。
【0007】
[0007]別の実施形態では、縁は送給器スロットに対して約3度から約20度の間の角度(例えば、5乃至15度、好適には約10度)をなしている第1部分と、送給器スロットに対して約20度から約45度の間の角度(例えば、25乃至35度、好適には約28度)をなしている第2部分と、を含んでいる。
【0008】
[0008]細断機は、更に、クリップを撓めて開口の中へ落とすための撓め部材を更に備えることができる。例えば、撓め部材は、水平方向に対して傾斜している撓め板を備えることができる。
【0009】
本願発明の実施形態は、例えば、以下の通りである。
[形態1]
紙細断機において、
筺体と、
前記筺体の中に配置されている切断器と、
前記筺体へ連結されていて紙束を支持するように適合されている送給器基部であって、前記切断器での細断に向けて紙を通す送給器スロットを含んでおり、当該送給器基部の上面と当該送給器基部の下方の廃棄物区域の間に連通を提供している開口を更に含んでいる、送給器基部と、
前記開口の少なくとも一部分を画定していて、前記送りスロットに斜めの角度に向きの定められている縁と、を備えている紙細断機。
[形態2]
前記開口は、実質的に前記送給器基部の隅に配置されている、形態1に記載の紙細断機。
[形態3]
前記送給器基部は、それぞれが当該送り基部の異なった隅に配置されている2つの開口を含んでいる、形態2に記載の紙細断機。
[形態4]
前記送給器基部は、それぞれが当該送り基部の異なった隅に配置されている4つの開口を含んでいる、形態3に記載の紙細断機。
[形態5]
前記縁は前記送給器スロットに対して3度乃至70度の角度をなしている、形態1に記載の紙細断機。
[形態6]
前記縁は前記送給器スロットに対して5度乃至50度の角度をなしている、形態1に記載の紙細断機。
[形態7]
前記縁は前記送給器スロットに対して7度乃至40度の角度をなしている、形態1に記載の紙細断機。
[形態8]
前記縁は、
前記送給器スロットに対して約3度から約20度の間の角度をなしている第1部分と、
前記送給器スロットに対して約20度から約45度の間の角度をなしている第2部分と、を含んでいる、形態1に記載の紙細断機。
[形態9]
前記第1部分は約5度から約15度の間の角度をなし、前記第2部分は約25度から約35の間の角度をなしている、形態8に記載の紙細断機。
[形態10]
前記第1部分は約10度の角度をなし、前記第2部分は約28度の角度をなしている、形態8に記載の紙細断機。
[形態11]
前記縁は、前記送給器基部へ取り付けられているステープル板によって画定されている、形態1に記載の紙細断機。
[形態12]
前記切断器と前記開口の両者の下方に屑物入れの配置を更に備えている、形態1に記載の紙細断機。
[形態13]
クリップを撓めて前記開口の中へ落とすための撓め部材を更に備えている、形態1に記載の紙細断機。
[形態14]
紙細断機において、
筺体と、
前記筺体の中に配置されている切断器と、
前記筺体へ連結されていて紙束を支持するように適合されている送給器基部であって、前記切断器での細断に向けて紙を通す送給器スロットを含んでおり、当該送給器基部の上面と当該送給器基部の下方の廃棄物区域の間に連通を提供している開口を更に含んでいる、送給器基部と、
クリップを撓めて前記開口の中へ落とすための撓め部材と、を備えている紙細断機。
[形態15]
前記撓め部材は、撓め板を備えている、形態14に記載の紙細断機。
[形態16]
前記撓め板は、水平方向に対して傾斜している、形態15に記載の紙細断機。
[形態17]
前記開口は、実質的に前記送給器基部の隅に配置されている、形態14に記載の紙細断機。
[形態18]
前記送給器基部は、それぞれが当該送り基部の異なった隅に配置されている2つの開口を含んでいる、形態17に記載の紙細断機。
[形態19]
前記送給器基部は、それぞれが当該送り基部の異なった隅に配置されている4つの開口を含んでいる、形態18に記載の紙細断機。
[0009]本発明の他の態様は、詳細な説明及び添付図面を考察することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]本発明を具現化している紙細断機を描いている。
図2】[0011]図1の細断機の分解図である。
図3】[0012]図1の細断機の送給器組立体の分解図である。
図4】[0013]図1の4−4線に沿った断面図である。
図5】[0014]送給器組立体を取り払った図1の細断機の斜視図である。
図6】[0015]図5に示されている細断機の上面図である。
図7】[0016]図6の7−7線に沿った断面図である。
図8】[0017]本発明の或る代わりの実施形態である細断機の上面図である。
図9】[0018]図10の細断機の送給器組立体の下から見た斜視図である。
図10】[0019]第2の実施形態の加圧板と送給器基部の側面図である。
図11】[0020]図10の11−11線に沿った、後送給器基部の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0021]本発明の幾らかの実施形態を詳細に説明する前に、理解しておきたいこととして、本発明はその適用が以下の説明の中で述べられ添付図面に示されている構成の詳細事項及び構成要素の配列に限定されるものではない。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実施される余地がある。
【0012】
[0022]図示の細断機は、筺体20と、筺体20の中に配置されている屑物入れ22と、筺体20の最上部に取り付けられている上覆い24と、上覆い24に搭載されているエンジン組立体26と、上覆い24に取り付けられている送給器基部28と、送給器基部28へ枢動式に取り付けられている送給器組立体30と、を含んでいる。送給器組立体30を上向きに枢動させることによって、紙束32を細断に備えて送給器基部28へ載せることができる。次いで送給器組立体30を閉じると、紙束32の一番下の幾枚かが送給器基部28を通ってエンジン組立体26の中へ引き入れられることによって細断動作が遂行される。紙は、エンジン組立体26の中の回転式切断器34(図8)を通され、そこで細断されて、屑物入れ22が配置されている廃棄物区域の中へ落下する。細断が完了した後、屑物入れ22を、処分のために筺体20の前方から滑らせて出すことができる。
【0013】
[0023]送給器組立体30は、図2図4に更に詳細に示されている。送給器組立体30は、送給器基部28へ枢動式に取り付けられていて下降位置と上昇位置の間で可動の送給器戸40を含んでいる。図示の送給器戸40は、実質的に送給器基部全体を覆っていて送給器戸40の一方の端の軸周りに枢動する一枚戸である。2つのねじりばね42が送給器戸40を上昇位置に向けて付勢している。送給器戸40の自由端にはキャッチボタン44とラッチ46が取り付けられている。キャッチボタン44は、送給器戸40の開口部48内に配置されていて、垂直方向に解放位置から押圧位置へ可動であるように設計されている。ラッチ46は、送給器戸40に対して、ラッチがリップ50(図4)に係合している係止位置と非係止位置の間を水平方向に動けるように取り付けられている。一対のラッチばね52がラッチ46を係止位置へ向けて付勢しており、ラッチ46とキャッチボタン44の間のカム動作界面54(図4)によって、ラッチ46のその様な付勢は更にキャッチボタン44を解放位置へ向けて付勢する。キャッチボタン44は、押圧されていないときは解放位置にあり、ラッチ46は係止位置にあって、送給器戸40を上覆い24に対してその下降位置に保持することになる。キャッチボタン44が押圧位置へ向けて動かされると、ラッチ46は非係止位置へ向けて動かされ、ラッチ46とリップ50の間の係合を解き、送給器戸40が上向きに上昇位置へ枢動できるようにする。
【0014】
[0024]送給器組立体30は、送給器戸40の下面に隣接して取り付けられている加圧板56を更に含んでいる。加圧板56は、加圧板56が送給器戸40に対して垂直方向に浮動することができるように送給器戸40の対応する孔62内で滑動する寸法の一連の柱60を含む単体部材である。一連の押しばね64が加圧板56を送給器戸40から離れるように付勢している。加圧板56には加圧ローラー66が取り付けられていて、加圧板56の中央部分の両脇に整列している。加圧ローラー66は、それぞれ、加圧板56に対して軸A1周りに回転することができるが、各々の回転軸A1は互いに対して固定されている。加圧ローラー66は、送給器基部28上に配置された用紙束の一番上の用紙へ圧力を加えるように設計されている。一部の実施形態では、加圧板は複数部材で作ることもできるものと理解されたい。例えば、加圧板は、完全に別体であるか又は或る程度の独立運動を許容するべく一体に蝶番付けされている前板と後板を含むこともできるであろう。こうすれば、それらのうち一方の板が(例えばステープルの通過に対応するべく)上向きに動かされながらも、その間他方の板の下向きの圧力を(紙束への加圧を保つべく)維持することがやり易くなるであろう。
【0015】
[0025]図示の送給器基部28は、それぞれが内端74と外端76を含んでいる前部分70と後部分72を備えている。それぞれの内端74は、エンジン組立体26の一部であって実質的に加圧ローラー66と整列している一連のゴムローラー80を受け入れる寸法の一連の切欠78を含んでいる。ゴムローラー80は、送給器基部28の上面より僅かに上方に突き出ており、エンジン組立体26によって回転させられ、幾枚かの紙を摩擦によって引き出して送給器スロット84を通し回転式切断器34の中へ入れる。この行為は、送給器スロットを跨ぐ一枚板の加圧板と、送給器スロット84の両脇に配置されている加圧ローラー66により提供される下向きの圧力とによって円滑化される。その結果、紙が切断器34の中へ引き出されてゆくとき、紙は送給器スロット84に向かって進む。送給器基部28の後部分72は、送給器戸40を軸A2周りに枢動できるように枢動式に支持する蝶番86を含んでいる。一部の実施形態では、送給器基部28は、それぞれ別体の前後部分ではなしに、単一の部材(図11参照)で作ることもできるものと理解されたい。
【0016】
[0026]送給器基部28の前部分70と後部分72それぞれは、送給器基部28の上面(細断に備えて紙束32を支持)と送給器基部28の下方の屑物入れ22が配置されている廃棄物区域の間が開通するように2つの開口90を含んでいる。それぞれの開口90は、送給器基部28の隅に配置されている。即ち、それぞれの開口90は、束の上に配置されている一枚の紙の隅と大凡整列していることになる。
【0017】
[0027]ステープル板92が、開口90のそれぞれに隣接して送給器基部28へ固着されている。図5図6から最もよく分かる様に、それぞれのステープル板92は、送給器スロット84と送給器基部28の側縁94とに対して斜角をなして配置されている。図示の実施形態では、ステープル板92は、送給器基部28の上面によって画定されている平面より上方に配置されている縁96を含んでいる。図示の縁96は、開口90に面しており、送給器スロット84と送給器基部28の側縁94とに対して約10度の角度α(図6)をなしている。ここでの使用に際し「ステープル板」とは、ステープルS(図6)、紙クリップ、又は他の紙締結用装置を、一枚又は幾枚かの紙から分離させるのに使用することのできる板を言い表すための便宜的な用語として使用されている。ステープル板92は、直線状の縁を有している必要はなく、代わりに送りスロット84に対して様々に異なる角度を有する縁を持たせることもできるであろう。これに関し、任意の点におけるステープル板92の縁の角度は、当該点における縁の接線であると考えられてもよいであろう。更に、図1図9の図示の実施形態はステープル板92の縁96を開口90の一部を画定するのに利用しているが、ステープル板92は省略することもでき、その場合には「縁」は送給器基部28の一部分によって画定される(図10の第2の実施形態を参照)ことに留意されたい。
【0018】
[0028]ステープル板92の縁96が送給器スロット84に対して斜角αをなすように配置されていることにより、一番下の幾枚かの紙97はステープル板92の縁96に斜めの方向に動くことになる。この方向付けにより、ステープルで綴じられた紙束の隅が、図7に示されている様に犬の耳の様な格好に折り返される。この位置にあるとき、一番下の幾枚かの紙97が送給器スロット(図7では右方向)に向けて更に進められると、一番下の幾枚かの紙97はステープルSから剥ぎ取られてゆく。犬の耳の様に隅が折られていなかったら、一番下の幾枚かの紙97はステープルSを剪断変形させなくてはならなくなり、それを首尾一貫して行うのはより難しく、往々にしてステープルで綴じられた紙の束全体が送給器スロットそして切断器の中へと吸い込まれ、詰まりを引き起こす恐れがある。一番下の幾枚かの紙97がステープルSからちぎり取られた後、次の数枚の用紙が送給器スロット84の中へ引き入れられ、動作は上述の様に続いてゆく。ステープルで綴じられた束の最後の数枚が送給器スロット84の中へ引き入れられるとき、ステープルSは送給器スロット84に向けて滑らされ、ステープル板92の縁96に噛み合ってその場に保持され、その間に残りの紙はステープルSからちぎり取られることになる。その後ステープルS(及びステープルSに付着している細かい紙切れ)は開口90を通って屑物入れ22の中へ落ちる。
【0019】
[0029]図8図10は、本発明の或る代わりの実施形態を示している。図示の細断機200は、開口部の大きさと形状以外は図1図7の送給器基部28に類似する送給器基部202を有している。より具体的には、第2の実施形態の開口部204は、ステープル板92を含んでいない。加えて、開口部204の縁は、送給器スロット208に対して約10度の斜角βをなしている内側の第1部分206と、送給器スロット208に対して約28度の角度γをなしている外側の第2部分210と、を有する複合角を含んでいる。この構成は、ステープルで綴じられた束から紙が剥ぎ取られ易くなることが判明している。即ち、外側部分210の急勾配の角度が幾枚かの束の隅を折り返され易くし、それにより束の最も下側の幾枚かが上述され図7に示されている様にステープルから剥ぎ取られるのを容易にすることが判明している。この実施形態では、開口部の縁は紙クリップを除去するのに十分であることが判明している。加えて、切断器はステープルを処理するように設計されているので、ステープルで綴じられた幾枚かの束の最後の数枚(一番上の幾枚か)がステープルを切断器の中へ引き込んだとしても容認され得る。
【0020】
[0030]図9図10を参照すると、第2の実施形態の送給器組立体212は、細断前の紙束を支持する送給器基部202の支持面216よりも実質的に短い加圧板214を含んでいる。より具体的には、図10を参照するが、加圧板214は、送給器スロット208に直交する長さ218が約144mmであり、これに比較して支持面216の対応する長さ220は約284mmである。結果として、加圧板214は、支持面216の長さの約50%の長さを有している。加えて、加圧板214は、開口部204及び紙クリップに噛み合ってクリップを滑らせて用紙束から離す開口部204の縁の内側部分206及び外側部分210と重なり合わない(図の破線で最も明瞭に示されている)。この短い加圧板214は、圧力の殆どを送給器スロット208の区域に印加するよう機能し、その結果、ゴムローラー80に掛かる紙の圧力を増強させる。加えて、この設計は、ステープルで綴じられた用紙束が隅を折られたとき(図7参照)の加圧板の浮き上がりを低減する。加圧板がその様に浮き上がってしまうと、ゴムローラー80への摩擦が失われ、細断機がスリップしかねない(即ち、ゴムローラー80と一番下の用紙の間の摩擦が足りないせいで用紙を切断器の中へ引き込みそこねる)。以上に第1の実施形態と関連付けて指摘されている様に、加圧板214は複数部材で作ることもできる。例えば、加圧板214は、2つの部材を送給器スロットの両側に均一に配置し、それらを蝶番式リンクにより一体に連結することによって作られていてもよい。複数の加圧板部材を備えるその様な実施形態では、先に言及されている加圧板の長さ及び大きさは、加圧板部材の合同の又は有効なフットプリントを見極めることによって確定されることになろう。
【0021】
[0031]図11には、単体設計の送給器基部230の或る代わりの実施形態を示した。より具体的には、送給器基部230の前部分232と後部分234は、各側に沿って一体形成された側壁236によって接続されている。加えて、送給器基部230は、それぞれの開口部242に配置され水平方向に対して傾斜している板240の形態をした撓め部材を含んでいる。図示されているそれぞれの板240は、紙クリップを撓めて、細断されようとする用紙束から脱落させ、それら紙クリップを屑物入れ(図11には図示せず)の中へ落ちるようにより小さいポート244の中へ向かわせる。これらの板240は、細断機の他の構成要素(例えば、モーターや回路基板)の周りに紙クリップを案内する。加えて、送給器基部230の前部分232と後部分234のそれぞれは、滑り落ちはしたが開口部242の中へ落ちていない一部の紙クリップを留め置く陥凹部分246を含んでいる。これにより紙クリップの節約と再使用が促される。
【0022】
[0032]本発明の様々な特徴は次に続く特許請求の範囲に述べられている。
【符号の説明】
【0023】
20 筺体
22 屑物入れ
24 上覆い
26 エンジン組立体
28 送給器基部
30 送給器組立体
32 紙束
34 回転式切断器
40 送給器戸
42 ねじりばね
44 キャッチボタン
46 ラッチ
48 送給器戸の開口部
50 リップ
52 ラッチばね
54 カム動作界面
56 加圧板
60 加圧板の柱
62 送給器戸の孔
64 押しばね
66 加圧ローラー
70 送給器基部の前部分
72 送給器基部の後部分
74 前部分と後部分の内端
76 前部分と後部分の外端
78 切欠
80 ゴムローラー
84 送給器スロット
86 蝶番
90 開口
92 ステープル板
94 送給器基部の側縁
96 ステープル板の縁
97 一番下の用紙
200 細断機
202 送給器基部
204 開口部
206 開口部の縁の内側の第1部分
208 送給器スロット
210 開口部の縁の外側の第2部分
212 送給器組立体
214 加圧板
216 送給器基部の支持面
218 加圧板の送給器スロットに直交する長さ
220 支持面の送給器スロットに直交する長さ
230 送給器基部
232 送給器基部の前部分
234 送給器基部の後部分
236 側壁
240 板(撓め部材)
242 開口部
244 屑物入れに通じるポート
246 陥凹部分
A1 加圧ローラーの回転軸
A2 送給器戸の枢動軸
S ステープル
α 送給器スロットに対する縁の角度
β 送給器スロットに対する内側の第1部分の角度
γ 送給器スロットに対する外側の第2部分の角度
図3
図1
図2
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11