特許第5918508号(P5918508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918508
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】液相中の固形物検出用の装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   G01N21/90 D
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-245636(P2011-245636)
(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公開番号】特開2012-112938(P2012-112938A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】10192601.2
(32)【優先日】2010年11月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー−トレド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・エンゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ギード・シュスター
(72)【発明者】
【氏名】ミハリス・メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・ヌファー
【審査官】 松谷 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−257937(JP,A)
【文献】 特開2004−325071(JP,A)
【文献】 特開2001−059822(JP,A)
【文献】 特開昭62−220844(JP,A)
【文献】 特開2008−111687(JP,A)
【文献】 特開平01−096540(JP,A)
【文献】 特開2008−102027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相(154)中の固形物(153)検出用の装置(100)であって、前記固形物(153)および前記液相(154)が、少なくとも部分的に透明な容器(150)に混合物として封入され、プロセッサユニット(130、230)とデジタル化された画像(211、212、213、214)を画素値を伴う画素の配列の形で作るためのカメラ(140)とを備えた装置(100)において、
前記装置(100)が、前記容器(150)を保持するように設計され、前記容器(150)に運動を与えて、それによって前記混合物に運動エネルギーを注入する働きをするアジテータ装置(110)をさらに備えることを特徴とし、
前記カメラ(140)が、運動中の前記混合物の画像を撮影するために前記容器(150)の透明部分(151)に向けられること、および、記録段階の間に前記カメラ(140)によって撮影された運動中の前記混合物の前記デジタル化された画像(211、212、213、214)が、前記プロセッサユニット(130、230)へ伝送され得ることをさらに特徴とし、
運動中の前記混合物の少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212、213、214)の少なくとも1つのシリーズ(200)が存在することを特徴とし、少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212、213、214)を基に運動中の前記混合物の解析表現(220)を生成する能力があることをさらに特徴とし、
前記解析表現(220)が、等しい寸法のセグメント(291)に細分され、各セグメント(291)が、コントラスト領域すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域が存在するかどうかについて調査され、
解析表現(220)またはセグメント(291)内で前記画素値の度数分布(311、411)が、評価されることと、カメラ関連雑音を除去するために、前記度数分布(311、411)の画素値の所定の帯域幅(312、412)が、引き続く評価での考察対象から外されることとを特徴とし、
度数分布(311、411)が所定の帯域幅(312、412)の外部に属する画素値を含むセグメント領域(291)の数が登録され、セグメント領域(291)の前記数が、存在する固形物(153)の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す、ことを特徴とする、装置(100)。
【請求項2】
前記装置(100)の動作状態では、前記容器(150)は、長手が水平方向に向き、前記アジテータ装置(110)の保持器の受け口(111)に解放可能なように結合されており、前記保持器の受け口(111)は、前記保持器の軸(112)で駆動機構に結合されており、前記駆動機構により、前記保持器の軸(112)に長手方向の振動運動(171)を生成することができる、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記解析表現(220)において、前期混合物の前記運動する固形物粒子(153)がコントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れるように、前記解析表現(220)が、第2のデジタル化された画像(212)の画素値から第1のデジタル化された画像(211)の画素値を引くことで、作成され得ることを特徴とする、請求項に記載の装置(100)。
【請求項4】
前のデジタル化された画像(211、212、213、214)のシリーズの共通部分が計算されることと、前記解析表現(220)が、デジタル化された画像(211、212、213、214)の画素値から前記共通部分の画素値を引くことで生成されることと、前記混合物の前記運動する固形物(153)が、前記解析表現(220)において、コントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れることとを特徴とする、請求項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記解析表現(220)が、少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212、213、214)の個々の画素の運動の見積もりで生成されることが可能であり、前記運動の前記見積もりが、前記画像(211、212、213、214)のうちの1つから他の1つへの運動ベクトルがゼロであるすべての画素を静的画像部分と見なし、動的画像部分を構成する前記混合物の前記運動する固形物部分(153)が、前記解析表現(220)において、コントラスト領域すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れることを特徴とする、請求項に記載の装置(100)。
【請求項6】
少なくとも1つの評価域(290)が、前記解析表現(220)から選定されることを特徴とする、請求項1から5の1項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの評価域(290)が、等しいまたは異なる寸法のセグメント(291)に細分されることを特徴とする、請求項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記装置(100)が、少なくとも1つの面光源(113)および/または点光源(118)を備え、前記電磁波、具体的には前記少なくとも1つの光源(113、118)の前記光波(173)が、前記カメラ(140)で捉らえられるべき前記容器(150)の前記透明部分(151)に向けられることを特徴とする、請求項1乃至7の1項に記載の装置(100)。
【請求項9】
液相(154)中の固形物(153)検出用の方法(500、600)であって、前記固形物(153)および前記液相(154)が、少なくとも部分的に透明な容器(150)に混合物として封入され、
― 前記容器(150)が運動状態に置かれ、それによって運動エネルギーが前記混合物に注入されるステップと、
― 記録段階では、カメラ(140)を使用して、前記容器(150)の内側で動き回る前記混合物(258)の、少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212)の少なくとも1つのシリーズ(200)が、画素値を伴う画素の配列の形で撮影されるステップと、
― 画素値を伴う画素の前記配列から、解析表現(220)が計算され、前記運動する固形物(153)が、コントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れるステップと、
― 前記解析表現(220)が、コントラスト領域すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域が存在するかどうかについて調査されるステップと
を含むステップ(511、512、513、514、515、516、517、518、519)を特徴とし、
前記解析表現(220)が、等しい寸法のセグメント(291)に細分され、各セグメント(291)が、コントラスト領域すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域が存在するかどうかについて調査される、さらなるステップ(516)を特徴とし、
解析表現(220)またはセグメント(291)内で前記画素値の度数分布(311、411)が、評価されることと、カメラ関連雑音を除去するために、前記度数分布(311、411)の画素値の所定の帯域幅(312、412)が、引き続く評価での考察対象から外されることとを特徴とし、
度数分布(311、411)が所定の帯域幅(312、412)の外部に属する画素値を含むセグメント領域(291)の数が登録され、セグメント領域(291)の前記数が、存在する固形物(153)の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す、さらなるステップ(517、518)を特徴とする、方法(500、600)。
【請求項10】
少なくとも1つの評価域(290)が、前記解析表現(220)から選定される、さらなるステップ(515)を特徴とし、前記評価域(290)が、等しい寸法のセグメント(291)に細分される、請求項に記載の方法(500、600)。
【請求項11】
度数分布(311、411)が前記所定の帯域幅(312、412)の外部に属する画素値を含む前記セグメント(291)が、所定の計画に従って重み付けされ、前記セグメント(291)の重み付けされた数が互いに加算され、前記数の和が、存在する固形物(
153)の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す、さらなるステップ(517、519)を特徴とする、請求項9または10に記載の方法(500、600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形物および液相が、少なくとも部分的に透明な容器に混合物として封入されている場合の、液相中の固形物検出用の装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業の多くの分野、特に生産、研究および開発の領域で、繰り返し生じる仕事として、固形物、例えば粉末の粒子、懸濁物質等が存在するかどうかについて液体を検査することがある。
【0003】
さらなる仕事として、ペースト、粉末または顆粒の形の固形物を液相に溶解することがある。1つまたは複数の固形物を測り、容器に入れ、液相、ほとんどの場合、水またはエタノールなど有機溶媒を重量または容量のいずれかで加える。溶解過程から生じる溶液の濃度は、固形物成分がすべて溶解したかどうかに決定的に依存する。
【0004】
多数の異なる方法またはシステムが、固形物が存在するかどうかについて液体を検査するため、および、溶解過程を監視するために使用される。最も簡単な方法は、検査中の液体の目視検査に限られる。溶液の準備時に、容器中の固形物および液相の混合物は、一定時間ごとの目視検査ではもはや目視できる固形成分を何も見出せなくなるまで攪拌され得る。さらなる方法は、特定の固形物および特定の溶媒の混合物は、固形物が完全に溶解するまでに、どのくらい長く攪拌しなければならないかに関する以前の経験に基づいている。
【0005】
これらの方法は非効率的である。というのは、目視検査は骨が折れ、また、攪拌時間が過去の経験に基づいているならば、溶解過程が必要以上に長くかかることが起こり得るからである。追加の問題として、目視検査は、人間の作業者が大部分の工程ステップに直接関与しているので、非常にエラーを生じやすい。
【0006】
人間の作業者の影響を最小限にする方法として、液相中の固形物の溶解過程を監視する装置が、米国特許第5、152、180A号で提示されている。その特許では、固形物および液相はスターラ付きの容器に入れられる。広い周波数帯域の超音波信号を、エミッタから液相中に送り、検出器で液相の共振周波数を測定することによって、溶解の過程は監視される。固形物がより多く溶解するにつれて、共振周波数が変化する。このことから、溶解過程がいつ終了するかを検出する可能性が開ける。固形物がすべて溶解したとき、共振周波数は変化することを止める。そこで、装置は、共振周波数のこの安定状態を溶解過程の終了を示す信号として使用する。
【0007】
前述の装置には、スターラが共振周波数の測定と干渉することがあるという欠点がある。さらに、固形物の粒子が、液体表面の上の容器の壁に付着し、したがって、溶解しないことがある。また、エミッタおよび受信器は、容器のハウジング壁に埋め込まれるので、溶液と接触することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5、152、180A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、液相中の固形物の検出を可能にする、または、装置を汚染することなしに少なくとも1つの固形物および液相の混合物の溶解の過程が監視され得る、装置および方法を提供することである。
【0010】
この課題は、液相中の固形物検出用の、本発明による装置および方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
液相中の固形物検出用の装置は、デジタル化された画像を作るためのカメラおよびプロセッサユニットを備える。デジタル化された画像は、画素値を伴う画素の配列として記録される。固形物および液相は、少なくとも部分的に透明な容器に混合物として封入される。本発明の文脈における「部分的に透明な容器」という用語は、容器を形成する壁の少なくとも一部が、感知できるほどの吸収なしに電磁放射を伝送できることを意味する。残りの容器壁は、設計の制約を受けず、本発明の目的を支援するように設計してもよい。したがって、本装置に使用される部品は、使用されている電磁放射に適合している必要がある。例えば、昼光を使用し、これで混合物の照明として十分である場合、照明装置に対する切実な必要性はない。しかし、以下で説明するように、最良の結果を得るためには、照明装置の使用が勧められる。
【0012】
本装置は、容器を保持するため、および容器に運動を与えるためにアジテータ装置をさらに備える。それによって、運動エネルギーが混合物に伝送される。運動エネルギーを注入する主目的は、容器の内側の混合物を運動の状態に保つことである。一般に、混合物または溶液は、アジテータ装置のスイッチが切られた後もしばらくの間、運動の状態に留まるものである。本明細書で後述するように、混合物のこれらの運動は、液相内で固形物質を検出するために、使用される。
【0013】
運動エネルギーを注入することによって、さらに2つの目的を達成できる。第1に、混合および乱流運動により、固形物は、液相中により急速に溶解する。容器が完全に封止されているので、アジテータ装置で全方向に容器を倒し、また振ることができる。その結果、第2の目的として、固形粒子がすべて、溶解できるように液相に接触することになる。
【0014】
本文脈では、「プロセッサユニット」という用語は、デジタルデータを処理し、記憶する能力のある任意の装置を意味し、例えば、本装置の他の部品に接続できる、マスタプロセッサシステム、コンピュータもしくはラップトップ、または、アジテータ装置に配置された、プロセッサを有する回路基板、カメラに組み込まれたコンピュータユニット、もしくは記憶モジュールと接続入力/出力ユニットとを有するフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)など集積概念をも意味する。
【0015】
カメラは、運動中の混合物の画像を撮影するために、容器の透明部分に向けられる。記録段階の間、カメラは、運動中の混合物のデジタル化された画像を撮影し、それらをプロセッサユニットに送信する。デジタル化された画像を撮影する目的は、次の評価工程で、画像の静的部分を動的部分から分離することを可能にすることにある。静的部分は、容器のすべての部分および容器の近傍を含み、一方、動的画像部分は、容器の内側で動き回っている混合物を対象にする。
【0016】
評価工程に適したデジタル化された画像を生成する最も簡単な方法は、カメラを静的な位置に設置し、容器の運動を休止段階によって一定時間ごとに中断する構成で実現される。もちろん、カメラを容器にしっかりと結合させることもでき、また記録段階の間にカメラが容器のあらゆる運動を追跡するように、記録段階の間カメラを容器と同期して動かすことができる。この第2の構成では、記録段階は、容器が休止している時のみならず、容器が運動エネルギーを受け取っている時も生じ得る。第3の概念によると、画像を撮影するためにカメラを始動させる時機は、容器が常にその周囲に対して同じ位置に現れるように、容器の特定の位置に結び付けることができる。第4の実現可能性としては、運動する容器の画像を無作為に撮影することである。しかし、これには、次の評価工程でこれまでより相当多くの計算能力が必要となるので、推奨しない。
【0017】
記録段階の間、運動中の混合物の少なくとも2つのデジタル化された画像の少なくとも1つのシリーズが生成される。これらのデジタル化された画像を次の評価工程で利用可能にするために、それらを一時記憶装置に記憶することが好ましい。デジタル化された画像の最低限2つで、運動中の混合物の解析表現を生成することができる。
【0018】
本発明の最初の実施形態では、解析表現は、同じシリーズの2つのデジタル化された画像からプロセッサユニットで、第2の画像の画素値から第1の画像の画素値を引くことによって生成される。混合物の運動する固形物粒子は、解析表現においてコントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れることになる。
【0019】
本発明の第2の実施形態では、前のデジタル化された画像のシリーズの共通部分が計算される。次いで、解析表現は、デジタル化された画像の画素値から共通部分の画素値を引くことによって、生成される。この解析表現では、混合物の運動する固形成分は、再び、コントラスト領域、すなわち異なる画素値の領域として現れる。
【0020】
本発明の第3の実施形態では、解析表現は、少なくとも2つのデジタル化された画像の個々の画素の運動の見積もりによって、生成される。ここで、運動の見積もりでは、1つの画像から他の画像への運動ベクトルがゼロであるすべての画素が、静的画像部分と見なされることになる。これにより、個々の画素の位置およびそれらの画素値の、隣接した画素およびそれらの画素値に対する比較が必要になり、それには、これまでよりも相当多くの計算能力が必要となる。この解析表現では、混合物の運動する固形部分は、再び、コントラスト領域、すなわち異なる画素値の領域として現れる。
【0021】
本カメラは、運動中の混合物の画像を像平面に投影するためにレンズまたはピンホール隔膜を有することができる。像平面は、放射センサの2次元配列で占められている。この放射センサの2次元配列は、これ以降、センサ要素と呼ばれる。電磁放射用のセンサ要素は、幅広い種類、例えば、CCD(電荷結合デバイス)センサ、能動画素センサ、焦点面アレイ、X線センサ要素等にわたっている。像平面に投影された2次元画像は、画像要素、すなわち画素の2次元配列の形でカメラによって捉えられ、各画素に対して生成されたデータは、色および輝度を表す。運動中の混合物の異なる点から反射された光の寄与は、通常、特定の画素の色および強度を表す画素値を構成する。論理的には、階調カメラを使用するならば、色データは全くないことになる。
【0022】
容器全体の画像を撮影するようにカメラを設定することが好ましいので、意味のある評価をより困難にする容器の部分が含まれることが起こり得る。例として、容器が円筒断面の瓶であり得る。その場合、容器の周辺領域でのガラスの曲率により、運動する混合物の、評価を受けうる画像は、ほとんど得られないことになる。しかし、原理的には、閉じることのできる容器は、少なくとも1つの透明部分を有していれば、その形状にかかわらず、使用することができる。
【0023】
装置および容器は、解析だけの目的に使用され得る。これは、未知の液体が固体の存在に関して調べられること、あるいは、溶解の可能な過程が既に行われて、検査すべき仕上がった溶液が本発明による装置内にセットされた容器に注ぎ込まれることを意味する。しかし、分別のある手続きは、溶液を容器自体の中で準備することである。容器のデザインは、混合物の準備および解析容器としてその目的に従って最適化されてよく、これにより、液相中の容器の内部輪郭が、運動エネルギーの注入の結果として固形物溶解過程を最適に支援するようになされる。このことは、例えば、容器の部分がより狭くされるデザインによって、また、その場所に集積した固形物の溶解の過程を阻害するであろう「不感帯」が生じることのある隅部を避けることによって、可能である。容器の壁は、光学的解析法用にさらに最適化することができる。例えば、デジタル化された画像を撮影するために、そこを通してカメラが向けられる、ひずみのない領域を壁に形成することができる。光集束または発散レンズを壁に形成することもまた可能である。原理的には、透明部分用に任意の透明材料、具体的にはガラスおよび透明合成材料を使用することができる。適切な材料の選択は、液相、すなわち溶媒の選択ならびに固形物の、固体および/または溶解形状での性質に本質的に依存する。さらに、検査中の混合物の照明を最適化するために、容器は、別の透明部分または不透明度の低下した領域を有することができる。
【0024】
本発明のさらに発展した概念によれば、解析表現内で少なくとも1つの評価域を選定することによって、なんらの有益な情報を含まない画像部分が評価から除去され得る。その後、コントラスト領域を探して、評価域を調べる。もちろん、第1の画像および第2の画像からそれぞれ区域を選択し、これらの区域から評価域として使用する解析表現を生成することもまた可能である。
【0025】
少なくとも1つの評価域を、等しいまたは異なる寸法のセグメントにさらに細分することができる。このことは、個々のセグメントが別々に評価されることが可能であって、その結果、データのより小さなバッチが順次処理されるという利点を有する。さらに、セグメントで作業することによって、次の統計解析において局所極大極小の探索を実行させることができ、このことで装置は、粒子の検出においてより敏感になる。
【0026】
本調査は、解析表現またはセグメント内の画素値の度数分布を評価する工程を含む。カメラ関連雑音を除去するために、度数分布内の画素値の所定の帯域幅は、引き続く評価での考察対象から外される。画素値の所定の帯域幅は、例えば、非溶解物を何も含まない澄んだ参照溶液で見積もることができる。
【0027】
本装置は、カメラのセンサ要素と整合した電磁放射を放出する光源をさらに含むことができる。市販のカメラが可視光の範囲内で働き、したがって、費用対効果の高い解決を表すので、装置は、面光源の形状の少なくとも1つの照明装置を備えることが好ましい。容器は、アジテータ装置によって運動状態に保たれているが、例えば、面光源とカメラとの間に配置されてよい。したがって、混合物は面光源によって背面から照らされる。もちろん、この場合、透明部分に対向する容器壁は、これもまた透明である必要があるか、または、これを、光に対するいくらかの透過性を有するように、少なくとも設計すべきである。明らかに、面光源も、固形物の粒子によって散乱または/偏向された光のみがカメラに到達するように選択された、いかなる空間配置での容器に向けることができる。
【0028】
面光源に加えて、または代わりに、装置は少なくとも1つの点光源を備えることができる。少なくとも1つの点光源の電磁波、具体的には光波は、カメラ画像によって対象とされるはずの透明な容器壁部分に向けられる。混合物の粒子によって反射された、屈折された、または部分的に吸収された光線は、カメラのセンサ要素で明および暗コントラスト領域として捉えられ、結果として、液相の画素値から区別できる画素値が得られる。
【0029】
本明細書で前述のように、容器はアジテータ装置によって動かされる。その運動は、どの方向にも向けられてよい。例えば、アジテータ装置は、長手方向に振動的な運動を発生させ、容器を旋回もしくは回転し、または容器を繰り返し上下逆にすることができる。唯一の重要な側面は、固形物粒子が、容器に対して動き、したがって検出され得るように、固形物粒子がすべて運動中となるように設定すべきであることである。液相中に固形物質が存在するかどうかの信頼のできるチェックは、どの粒子も容器の内側の壁に付着しないならば、実行され得る。固形物粒子がすべて液相によって達することができ、例えば、容器の濡らされていない壁部分に貼り付いたままでいられないことを保証するために、アジテータ装置は、容器もまた長手方向の中心軸を中心に回転可能なように設計され得る。アジテータ装置は、溶解過程用として使用されてもよい。アジテータ装置の消耗を低減するために、溶解過程または溶解過程の少なくとも主要な部分もまた、容器を本発明による装置にセットする前に、すでに起こしておくことができる。
【0030】
以下の方法は、液相中の固形物を検出するために使用され得る。本発明によれば、固形物および液相は、少なくとも部分的に透明な容器に混合物として封入されなければならない。本発明の方法は、少なくとも、
― 容器が運動させられる状況にあり、それによって運動エネルギーが混合物に注入されるステップと、
― 記録段階では、容器の内側で運動中の混合物の少なくとも2つのデジタル化された画像のシリーズが、画素値を伴う画素の配列の形でカメラで撮影されるステップと、
― 画素の前記配列およびそれに伴う画素値に基づいて、解析表現が計算され、そこでは、前記運動する固形物粒子が、コントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れるステップと、
― 解析表現が、コントラスト領域または異なる画素値を有する領域が存在するかどうか、探索されるステップと
を含む。
【0031】
少なくとも1つの評価域が解析表現から選定されることが、さらなるステップとして、本方法に追加され得る。もちろん、同じシリーズの2つのデジタル化された画像のそれぞれから区域を選択し、これらの区域から評価域として使用する解析表現を生成することもまた可能である。
【0032】
本発明による方法に追加され得るさらなるステップでは、解析表現または少なくとも1つの評価域は、等しいまたは異なる寸法のセグメントに細分され、異なる画素値を有することによって同じセグメントの残りから区別されるコントラスト領域が存在するかどうか、各セグメントは探索される。
【0033】
解析表現またはセグメントは、画素値の度数分布を評価することによって、調べることができる。カメラ関連雑音を除去するために、度数分布内の画素値の所定の帯域幅が、引き続く評価での考察対象から外される。
【0034】
本方法は、度数分布が画素値の所定の帯域幅の外部にある画素値を含むセグメントの数が決定され、セグメントのその数が、存在する固形物質の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す、さらなるステップを含むことができる。代替案として、帯域幅の外側にあり、予め定義された閾値を越える画素値の数を決定することもまた可能である。外れた画素値を有するセグメントの数が小さいほど、溶液中に存在する粒子はより少ない。混合物の一部だけを調べる場合、検査中の混合物の状態についての信頼できる結論を引き出すことができるために、画像の数シリーズをとり、各シリーズを前の説明に従って処理および評価することが好ましい。シリーズとシリーズの間に、混合物にはアジテータ装置で運動エネルギーを再び注入することができる。
【0035】
度数分布が所定の画素値帯域幅の外部にある画素値を含むセグメントに、重みを割り当てて、セグメントの重み付けされた数を互いに加算し、その数の和が、存在する固形物質の量および/または溶解過程の進度の尺度を同様に表す、さらなるステップによって、より正確な結論が達成され得る。重み付けされた和を用いることで、例えば、非常に暗くかつ非常に明るいコントラストをなす領域は、大きな粒子を示すので、より大きくカウントされるという効果がある。よく知られているように、粒子の寸法は、溶解過程および溶解に必要な時間の量に影響を強く及ぼす。
【0036】
本発明による装置および方法は、図面を参照して、以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】容器用のアジテータ装置、カメラ、照明装置、およびプロセッサユニットを含む、液相中の固形物を検出する装置の概略図である。
図2】解析表現を発生させ、それをセグメントに細分する本質的なステップの概略図である。
図3】コントラスト領域がないセグメントの画素値の第1の度数分布を表すヒストグラムである。
図4】コントラスト領域があるセグメントの画素値の第2の度数分布を表すヒストグラムである。
図5】本発明による方法の本質的な手続きステップの流れ図である。
図6】評価に関する追加の手続きステップを有する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
液相154中の固形物153を検出する、本発明による装置100を図1に概略的に示す。装置100は、容器150用のアジテータ装置110を含み、カメラ140、少なくとも1つの照明装置113、118、およびプロセッサユニット130をさらに含む。照明装置113、118は、それなしでも固形物153をカメラ140で区別できるならば、絶対的に必要とされるものではない。固形物153および液相154は、容器150に混合物として入れられる。図面中に示すように、容器150は、容量一杯まで満たされず、少量の気体体積155もまた封入される。容器150は、閉口装置152および、透明な材料、例えばガラスまたはプラスチックで作られた瓶形の本体を有する。したがって、瓶形の本体は、容器150の透明部分151としてもまた機能する。装置100の動作状態では、容器150は、長手が水平方向に向き、アジテータ装置110の保持器の受け口111に解放可能なように結合されている。保持器の受け口111は、容器150の一部をしっかりと掴んで保持できるように、例えば、3つ顎チャックまたはテンションスリ−ブから成ることができる。もちろん、使用できる保持器の受け口111の他のデサインもまたある。それらの構成および機能特性は、設計者の裁量で定まり、使用する容器150に適合するものである。保持器の受け口111は、保持器の軸112で駆動機構(図面に示さず)に結合されている。ここで、駆動機構は、保持器の軸112に長手方向の振動運動171を生成することができる。この駆動機構は、保持器の軸112に長手中心軸の回りの回転運動172を与えることもできる。その結果、液相154は、気体体積155の領域で容器150の壁に付着した固形物153の粒子を含む、容器150の内部空間の全領域に達することができる。ここで、容器150および、アジテータ装置110によって生成された運動171、172の構成がただ単に例であることを意味することは明らかである。もちろん、運動エネルギーを混合物に注入するに適した運動171、172なら、どんなものでも選択することができる。
【0039】
運動171、172は、また、互いに独立に生成され得るが、保持器の軸112から保持器の受け口111に、また後者から保持器の受け口111に結合された容器150に伝達される。液相154および固形物153は、容器150によって完全に囲まれているので、運動171、172の運動エネルギーは、液相154に伝達され、その結果、固形物153は液相154内で渦巻くことになる。この効果は、気体体積155が存在すると、さらに高まる。というのは、気体と液体との間の密度の大きな差によって、液相154が、封入された気体体積155がなかった場合よりも相当容易に攪拌されるからである。この渦巻きの結果、固形物153は液相154内でずっと早く溶解され得る。
【0040】
アジテータ装置110の駆動機構のスイッチが切られ、したがって、カメラ140のみならず容器150が記録段階にある時、固形物153の渦巻きが徐々に低下することから、光学的に検出できるとおり、切断直後のある時間にわたって混合物の運動エネルギーが確実に消失することを見出すことになる。もし運動する混合物の少なくとも2つの画像のシリーズが、記録段階の間にカメラ140で撮影されたならば、運動を光学的に検出する可能性は、液相中に存在する固形物質を検出するため、または溶解の過程を監視するために使用され得る。
【0041】
画像の品質は、透明部分151に対し正しい照明を与えることに本質的に依存する。したがって、本実施例では、容器150は、面光源113とカメラ140との間に配置される。その結果、面光源113の光波173、174は、容器150の透明部分151および容器150に封入された混合物を貫通し、カメラ140のレンズ141で検出され得る。光波173、174の一部は、固形物153によって吸収、反射、または偏向され、その結果、液相154を通過する光波173、174によって生成された画像の主領域よりも明るくまたは暗く現れる、画像におけるコントラスト領域が生じる。
【0042】
透明部分151および運動する混合物をさらにより良く照明するために、点光源118またはスポットライトは、面光源113に加えて、またはその代わりに使用されてもよい。点光源118の光波175は、固形物153の横向きの表面領域により多くの光を照らすように、カメラ140の像平面に対しある角度を有して向くことが好ましい。
【0043】
液相154中の固形物153の溶解過程の検出用の装置および方法は、アジテータ装置110、面光源および/または点光源113、118、ならびにカメラ140と通信線115、116、117、119を通じて接続されたプロセッサユニット130の制御下にある。これらの通信線は、電気ケーブルおよび/または光ケーブル115、116、117、119として構成することができる。もちろん、制御信号および画像データは、装置100の個別部品間を無線接続を通じて伝達することもまたできる。なお、この場合、装置100の各構成部品には、それ自体の電源が必要になる。カメラ140によって生成されたデジタル画像は、プロセッサユニット130に伝送され、そこで処理および評価がなされる。その評価の結果に応じて、プロセッサユニット130は、固形物153を溶解するために、または混合物もしくは溶液に運動エネルギーを再び注入し、次いで制御手段としてデジタル画像のさらなるシリーズを始めるために、アジテータ装置110の駆動機構を再動作させることができる。さらに、評価済みのいくつかのシリーズに基づいて、今の溶解過程はどのくらいより多くの時間がかかりそうかを評価することが可能である。
【0044】
カメラ140で生成されたデジタル画像の処理を図2に概略的に示す。上述の記録段階では、透明部分251の、より具体的には、透明壁部分を通して見える混合物258の少なくとも2つのデジタル画像211、212のシリーズがカメラ140で撮影される。第1のデジタル画像211では、気体体積255、瓶形の本体の形で構成された透明部分251、および閉口装置252だけでなく、固形物質253Aおよび液相254の混合物258も見ることができる。第1のデジタル画像211と全く同じ要素が、第2のデジタル画像212にもまた示される。なお、そこでの唯一の差異は、第2のデジタル画像212では、固形物の粒子253Bの位置が、画像211の固形物の粒子253Aの位置に対して変わっていることである。固形物の個々の粒子253A、253Bは、2つの画像211、212中に、画素値が画像の主領域を満たす液相254と異なるコントラスト領域として、認識できる。
【0045】
プロセッサユニット230では、それをブロック矢印230で概略的に示しているが、第2の画像212の画素値が第1の画像211の画素値から引かれ、解析表現220が引き算から得られた画素値で生成される。
【0046】
画素値の差を表すという、その性質により、解析表現220は、個々のコントラスト領域の位置の間に重なりがない限り、コントラスト領域の数の2倍を有する。第1の画像211の固形物253Aのコントラスト領域は、液相254の主領域を背景に暗く浮き出る。また、気体体積255と液相254との間の液体表面257の交差輪郭領域は暗く浮き出る。第2の画像212の固形物253Bのコントラスト領域は、液相254を背景に明るい領域として浮き出る。液体表面257の交差輪郭領域が評価対象となることを排除するために、評価域290内のコントラスト領域のみを評価するように、解析表現220から評価域290を切り出すことができる。もちろん、評価域290の選定は、解析表現220が計算される前に、行うこともまたできる。その場合、それぞれの評価域がデジタル化された画像211、212から切り出され、切り出された画像区域の画素値のみが計算に使用される。この手続きは、コンピユータ能力および記憶容量に制限のあるプロセッサユニット130が使用される場合、特に有利である。
【0047】
上述のやりかたで差を計算する代わりに、同じシリーズ200の第1のデジタル化された画像211とさらなるデジタル化された画像213、214との共通部分を計算することもまたできる。次のステップとして、解析表現220が、第2のデジタル化された画像212から共通部分の画素値を引くことによって生成される。この解析表現220では、混合物の運動する粒子253A、253Bは、異なる画素値によって区別されたコントラストの領域として再び現れる。
【0048】
本発明による、さらなる方法では、解析表現220は、少なくとも2つのデジタル化された画像211、212の個々の画素の運動の見積もりで生成される。運動の見積もりでは、1つの画像からの他の画像への運動ベクトルがゼロであるすべての画素が、静的画像部分と見なされることになる。これにより、個々の画素の位置およびそれらの画素値の、隣接した画素およびそれらの画素値に対する比較が必要になり、それには、これまでよりも相当多くの計算能力が必要である。この解析表現220での動的画像部分は、再び、混合物の運動する固形粒子253A、253Bで構成され、これらの運動する固形粒子253A、253Bは、コントラスト領域、すなわち異なる画素値の領域として現れる。
【0049】
次いで、評価域290は、等しい寸法の、すなわち等しい面積のセグメント291に細分される。もちろん、セグメント291は、異なる寸法を有することもでき、また、さらなる評価対象から除かれるセグメントもありえる。このことは、例えば、容器の個々の領域が電磁放射を反射し、反射性の領域の画像が評価域290に入り、したがって、ブラインド域を表すならば、必要になることがある。
【0050】
個々のセグメント領域291のさらなる評価を図3および4に示す。図3に、あるセグメントの画素値の第1の度数分布311を表す第1のヒストグラム310を示す。ここで、ヒストグラムに現れる画素値は、コントラスト領域の不在を示す。横座標のスケールは画素値を印としている。ここで、ゼロの中央値は、灰色の画素を表し、正値は明るい画素を表し、負値は暗い画素を表す。縦座標軸に沿って測られる、各棒の高さは、同じ画素値を有する画素の数を表す。どのカメラも、より具体的には、どのカメラのセンサ要素も、画素値の配列の形で画像記録を発生させる。均一に照明された単色の領域の記録された画像にさえ、予想された均一に等しい値から外れた画素値も、通常ある。これらの外れはカメラ関連雑音と呼ばれ、本質的にはカメラの品質に、ある程度は記録対象の照明にも依存する。論理的には、表面の不規則性による、または不適切な照明による影は、どれも、デジタル画像にかすかに見えるコントラスト領域として現れることになる。
【0051】
図3に示したように、評価からカメラ関連雑音を除去するために、第1の度数分布311の画素値の帯域幅312が、さらなる評価から除かれる。したがって、幅Bを有する、予め定義した帯域幅312は、装置の感度および機能的信頼性の尺度でもある。もちろん、より狭い帯域幅312を定義し、同時に、帯域幅312の外側にある画素の数に対し、ある許容最大値を設定することもできる。この場合、帯域幅312の外側に収まる画素値の数のセグメント領域291の画素の総数に対する比を決定することが推奨される。
【0052】
図4に、あるセグメント領域の画素値の第2の度数分布411を表すヒストグラム410を示す。第1の度数分布311と比較して、図4の第2の度数分布411は、極めて広く、また、所定の帯域幅412の外側にある画素値も含む。このことは、このヒストグラムで表されたセグメントがコントラスト領域を含むことを示唆する。この時点で、コントラスト領域を含むセグメントの数を数えることができ、得られた総数は、存在する固形物の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す。
【0053】
溶解過程が監視されている場合、それらの結果は、混合物の材料特性と共に、固形物が完全に溶解するまでどのくらい長く混合液を振る必要があるのかについての見積もりの基礎として使用され得る。
【0054】
いくつかの解析表現を時間的順序において比較することで、容器内部での混合物中での固形物の量の減少および粒子寸法の縮小の具合が観察され評価され得る。結果を外挿し、もし可能ならば、以前の経験からのデータを用いることにより、溶解過程を終了させるのに必要な残りの時間を予測することができる。
【0055】
本発明による方法の本質的なステップを有する流れ図500図5に示す。その方法は、例えば、図1に示した装置100を用いて実行される。以下の説明では、装置の特徴は、図1の参照符号で特定され、デジタル化された画像の処理は、図2の符号で参照され、方法のステップは、図5の参照符号で特定される。開始510の後、第1のステップ511で、容器150は、アジテータ装置110によって運動状態に置かれ、それによって運動エネルギーが混合物258中に注入される。
【0056】
次いで、第2のステップ512では、アジテータ装置110の駆動機構のスイッチが切られ、それにより、容器150は記録段階の準備をし、今は定常状態の容器内で動き回る混合物258の少なくとも2つのデジタル化された画像211、212の少なくとも1つのシリーズ200が撮影される。第3のステップ513では、2つのデジタル化された画像211、212のうちの一方からもう一方を引くことによって、解析表現220が計算される。この解析表現220では、運動する固形物の部分153、253A、253Bが、コントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れる。2つのデジタル化された画像211、212のうちの一方からもう一方を引くことの代替案として、解析表現220は、デジタル化された画像のシリーズの共通部分を、または、個々の画素の運動の見積もりを使用するという上述の方法の1つを経ても、得られ得る。
【0057】
第4のステップ514では、解析表現220は、異なる画素値を有するコントラスト領域が存在するかどうか調査される。この調査が終了した時、本方法の絶対的に必要とされるステップの一連の手順が終了520に達している。コントラスト領域が解析表現220の調査中に発見されたなら、また、監視している活動が溶解過程であるなら、前のステップ511、512、513、514を、検出されるコントラスト領域がなくなるまで繰り返すことができる。この繰り返しループを破線で表す。
【0058】
図6に示すように、解析表現220の調査は、さらなるステップに細分され得る。図6に、追加の可能なステップを有する、本発明による方法の詳細な流れ図600を示す。プログラムされた方法がプロセッサユニットによって、ステップごとに実行されるように、本方法全体をコンピュータプログラムまたはファームウエアに実装することができる。図5の文脈ですでに説明したステップおよび装置の特徴は、同じ参照符号を有しているので、再び説明するには及ばないであろう。
【0059】
本方法への第1の追加は、気体体積255や液体表面257など望まない境界領域が評価に有害な影響を及ぼすことができないように、少なくとも1つの評価域290が解析表現220内に選定されるという第5のステップ515から成る。第6のステップ516では、評価域290は、等しい寸法のセグメント291に細分される。次いで、第7のステップ517では、各セグメント291を、コントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域が存在するかどうか調査される。このことは、セグメント領域の画素値の度数分布311、411を評価することによって達成される。カメラ関連雑音を除去するために、度数分布311、411の所定の画素値帯域幅312、412が、さらなる評価では無視される。
【0060】
第8のステップ518では、度数分布411が所定の画素値帯域幅412の外側にある画素値を含むセグメント291の数を確定することが、この時点で可能である。セグメント291の数は、存在する固形物の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す。
【0061】
より一層正確な評価は、度数分布411が所定の帯域幅412から外れた画素値を示すセグメント291が、所定の計画に従って重み付けされる場合、第9のステップ519で達成され得る。重み付けは、各画素値の発生回数にそれぞれの画素値とヌル参照値との差に依存する因子を掛けることを必要とする。重み付け図式では、非常に暗い領域および非常に明るい領域は、大きな粒子を示すので、例えば、より重く考慮される。一般に知られているように、粒子の寸法は溶解過程に、具体的には溶解に必要とされる時間に強い影響を及ぼす。セグメント291の重み付けされた数は、その後で合算され、存在する固形物の量および/または溶解過程の進度の尺度を再び表す数の和を得ることができる。もちろん、このより詳細な評価に基づいて、さらに進行すべき方向を決定することが可能である。例えば、コントラスト領域がもう検出されなくなるまでに、どの位長い間振り続ける必要があるのかを見積もることができる。その結果、前の方法ステップ511、512、513、514、515、516、517、518、519が、溶解が完了したことの最終チェックを目指し繰り返される。この繰り返しループを図6に1点鎖線で表す。
【0062】
本発明を特定の実施形態の提示を通して説明してきたが、本発明の技術概念が他の用途にもまた使用できることは、自明と考えられる。本発明の装置および方法は、例えば、2つ以上の液体の混合工程を監視するためにも使用することができる。その条件は、まだ混合してない領域がカメラ画像に条線として現れるように、混合されるべき液体が、互いに区別できる色を有する、および/または区別できる屈折率を有する場合である。したがって、固形物は、上記で一例として使用されてきたが、その固形物を液相と光学的に区別できる性質を有する液体物質によって置き換えることは、独立請求項により与えられる保護の範囲内である。
[形態1]
液相(154)中の固形物(153)検出用の装置(100)であって、前記固形物(153)および前記液相(154)が、少なくとも部分的に透明な容器(150)に混合物として封入され、プロセッサユニット(130、230)とデジタル化された画像(211、212、213、214)を画素値を伴う画素の配列の形で作るためのカメラ(140)とを備えた装置(100)において、
前記装置(100)が、前記容器(150)を保持するように設計され、前記容器(150)に運動を与えて、それによって前記混合物に運動エネルギーを注入する働きをするアジテータ装置(110)をさらに備えることを特徴とし、
前記カメラ(140)が、運動中の前記混合物の画像を撮影するために前記容器(150)の透明部分(151)に向けられること、および、記録段階の間に前記カメラ(140)によって撮影された運動中の前記混合物の前記デジタル化された画像(211、212、213、214)が、前記プロセッサユニット(130、230)へ伝送され得ることをさらに特徴とする装置(100)。
[形態2]
前記装置(100)の動作状態では、前記容器(150)は、長手が水平方向に向き、前記アジテータ装置(110)の保持器の受け口(111)に解放可能なように結合されており、前記保持器の受け口(111)は、前記保持器の軸(112)で駆動機構に結合されており、前記駆動機構により、前記保持器の軸(112)に長手方向の振動運動(171)を生成することができる、形態1に記載の装置(100)。
[形態3]
運動中の前記混合物の少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212、213、214)の少なくとも1つのシリーズ(200)が存在することを特徴とし、少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212、213、214)を基に運動中の前記混合物の解析表現(220)を生成する能力があることをさらに特徴とする、形態1に記載の装置(100)。
[形態4]
前記解析表現(220)において、前期混合物の前記運動する固形物粒子(153)がコントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れるように、前記解析表現(220)が、第2のデジタル化された画像(212)の画素値から第1のデジタル化された画像(211)の画素値を引くことで、作成され得ることを特徴とする、形態3に記載の装置(100)。
[形態5]
前のデジタル化された画像(211、212、213、214)のシリーズの共通部分が計算されることと、前記解析表現(220)が、デジタル化された画像(211、212、213、214)の画素値から前記共通部分の画素値を引くことで生成されることと、前記混合物の前記運動する固形物(153)が、前記解析表現(220)において、コントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れることとを特徴とする、形態3に記載の装置(100)。
[形態6]
前記解析表現(220)が、少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212、213、214)の個々の画素の運動の見積もりで生成されることが可能であり、前記運動の前記見積もりが、前記画像(211、212、213、214)のうちの1つから他の1つへの運動ベクトルがゼロであるすべての画素を静的画像部分と見なし、動的画像部分を構成する前記混合物の前記運動する固形物部分(153)が、前記解析表現(220)において、コントラスト領域すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れることを特徴とする、形態3に記載の装置(100)。
[形態7]
少なくとも1つの評価域(290)が、前記解析表現(220)から選定されることを特徴とする、形態4から6の1項に記載の装置(100)。
[形態8]
前記少なくとも1つの評価域(290)が、等しいまたは異なる寸法のセグメント(291)に細分されることを特徴とする、形態7に記載の装置(100)。
[形態9]
解析表現(220)またはセグメント領域(291)内で前記画素値の度数分布(31
1、411)が、評価されることと、カメラ関連雑音を除去するために、前記度数分布(311、411)の画素値の所定の帯域幅(312、412)が、引き続く評価での考察対象から外されることとを特徴とする、形態1乃至8の1項に記載の装置(100)。
[形態10]
前記装置(100)が、少なくとも1つの面光源(113)および/または点光源(118)を備え、前記電磁波、具体的には前記少なくとも1つの光源(113、118)の前記光波(173)が、前記カメラ(140)で捉らえられるべき前記容器(150)の前記透明部分(151)に向けられることを特徴とする、形態1乃至9の1項に記載の装置(100)。
[形態11]
液相(154)中の固形物(153)検出用の方法(500、600)であって、前記固形物(153)および前記液相(154)が、少なくとも部分的に透明な容器(150)に混合物として封入され、
― 前記容器(150)が運動状態に置かれ、それによって運動エネルギーが前記混合物に注入されるステップと、
― 記録段階では、カメラ(140)を使用して、前記容器(150)の内側で動き回る前記混合物(258)の、少なくとも2つのデジタル化された画像(211、212)の少なくとも1つのシリーズ(200)が、画素値を伴う画素の配列の形で撮影されるステップと、
― 画素値を伴う画素の前記配列から、解析表現(220)が計算され、前記運動する固形物(153)が、コントラスト領域、すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域として現れるステップと、
― 前記解析表現(220)が、コントラスト領域すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域が存在するかどうかについて調査されるステップと
を含むステップ(511、512、513、514、515、516、517、518、519)を特徴とする方法(500、600)。
[形態12]
少なくとも1つの評価域(290)が、前記解析表現(220)から選定される、さらなるステップ(515)を特徴とする、形態11に記載の方法(500、600)。
[形態13]
前記解析表現(220)または前記少なくとも1つの評価域(290)が、等しい寸法のセグメント(291)に細分され、各セグメント(291)が、コントラスト領域すなわち異なる画素値を有することによって区別される領域が存在するかどうかについて調査される、さらなるステップ(516)を特徴とする、形態11または12に記載の方法(500、600)。
[形態14]
解析表現(220)またはセグメント(291)内で前記画素値の度数分布(311、411)が、評価されることと、カメラ関連雑音を除去するために、前記度数分布(311、411)の画素値の所定の帯域幅(312、412)が、引き続く評価での考察対象から外されることとを特徴とする、形態13に記載の方法(500、600)。
[形態15]
度数分布(311、411)が所定の帯域幅(312、412)の外部に属する画素値を含むセグメント領域(291)の数が登録され、セグメント領域(291)の前記数が、存在する固形物(153)の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す、さらなるステップ(517、518)を特徴とする、形態14に記載の方法(500、600)。
[形態16]
度数分布(311、411)が前記所定の帯域幅(312、412)の外部に属する画素値を含む前記セグメント(291)が、所定の計画に従って重み付けされ、前記セグメント(291)の重み付けされた数が互いに加算され、前記数の和が、存在する固形物(153)の量および/または溶解過程の進度の尺度を表す、さらなるステップ(517、519)を特徴とする、形態14に記載の方法(500、600)。
【符号の説明】
【0063】
100 装置
110 アジテータ装置
111 保持器の受け口
112 保持器の軸
113 面光源/照明装置
115、116、117、119 通信線
118 点光源/照明装置/スポットライト
130、230 プロセッサユニット
140 カメラ
141 カメラレンズ
150 容器
151 透明部分
152 閉口装置
153 固形物/固形粒子
154 液相
155 気体体積
171 長手方向の振動運動
172 回転運動
173、174、175 光波、光線
200 画像のシリーズ
211 第1のデジタル画像
212 第2のデジタル画像
213、214 さらなるデジタル画像
220 解析表現
251 透明部分の画像
252 閉口装置の画像
253A、253B 固形物/固形物の粒子の画像
254 液相の画像
255 気体体積の画像
257 液体表面の画像
258 混合物の画像
290 評価域
291 セグメント、セグメント領域
310 第1のヒストグラム
311 第1の度数分布
312、412 所定の帯域幅
410 第2のヒストグラム
411 第2の度数分布
500、600 方法の流れ図
510 開始
511 第1のステップ:運動エネルギーを注入する。
512 第2のステップ:記録段階およびデジタル画像のシリーズ
513 第3のステップ:解析表現を計算する。
514 第4のステップ:解析表現を調査する。
515 第5のステップ:評価域を選定する。
516 第6のステップ:評価域をセグメントへ細分する。
517 第7のステップ:セグメント領域を調査する。
518 第8のステップ:コントラスト領域を有するセグメントの数を決定する。
519 第9のステップ:セグメントに重み因子を割り当てる。
520 終了
図1
図3
図4
図5
図6
図2