【文献】
Trends in Glycoscience and Glycotechnology,1993年 3月,Vol.5, No.22,p.99-106
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[皮膚外用剤]
本発明は第一の形態によれば皮膚外用剤である。第一の形態に係る皮膚外用剤は、(A)ポルフィランを含む海藻抽出物、並びに、(B)細胞間脂質及び/又はその類縁物質を含有し、好ましくは更に(C)非イオン性界面活性剤を含有し、必要に応じて更にその他の成分を含有する。
【0015】
[(A)ポルフィランを含む海藻抽出物]
(A)ポルフィランを含む海藻抽出物(本明細書中、単に「海藻抽出物」と称することがある)は、表皮細胞におけるセラミド産生を促進させ、更に細胞間脂質及び/又はその類縁物質との相乗作用により保湿効果及び肌荒れ改善効果を向上させることを目的として皮膚外用剤中に配合される。細胞間脂質及び/又はその類縁物質による皮膚外部からの直接的なセラミド補給のみでは効果の持続性に劣る場合があるが、ポルフィランを含む海藻抽出物を併用させることにより、有効成分であるポルフィランが表皮細胞に作用し、皮膚本来のセラミド産生を促進させるため、結果として皮膚外用剤の効果の持続性が期待できる。
【0016】
海藻抽出物としては、ポルフィランを含む海藻から公知の手法を用いて抽出した抽出物を任意に使用することができる。
ポルフィランを含む海藻としては、例えば、紅藻類、緑藻類等を使用することができる。紅藻類としては、ウシケノリ科アマノリ属に属する海藻(スサビノリ等)、ウシケノリ科ウシケノリ属に属する海藻(アサクサノリ等)などが挙げられ、緑藻類としては、アオサ科アオサ属に属する海藻(アオサ等)、アオサ科アオノリ属に属する海藻(アオノリ等)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの海藻は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、紅藻類であり、ウシケノリ科アマノリ属に属するスサビノリ(Porphyra yezoensis(Bangiaceae))を使用することが、製造効率や安定供給の点から好ましい。
【0017】
海藻抽出物は、当業者に公知の抽出法を用いて海藻から抽出してもよいし、市販品として入手してもよい。例えば、スサビノリ抽出物は、スサビノリの全藻から、水、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、ブチレングリコール等の水溶性溶剤、又はそれらの混合液などで常温または加温処理により、水溶性多糖を含むように抽出、精製することにより得ることができる。
得られた抽出液はそのまま使用してもよいし、不活性な夾雑物を除去し使用してもよい。或いは、濃縮・乾固物を、水や極性溶媒に再度溶解して使用してもよい。更には、所望の程度のセラミド産生促進作用を損なわない範囲で、抽出液に対し、脱色、脱臭、脱塩の精製処理を行ったり、カラムクログラフィーによる分画抽出を行ったりした後で使用することもできる。
市販品のスサビノリ抽出物としては一丸ファルコス社製の「IPF−100K」、「アルゲフィルマー」、または白子社製の「ピュアポルフィラ」等を用いることができる。
【0018】
皮膚外用剤中の海藻抽出物の含有量は、剤型や使用目的等の様々な条件に応じて適宜設定できるが、海藻抽出物として、0.1〜30質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.15〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましい。海藻抽出物の含有量が0.1質量%未満であると、所望の程度のセラミド産生促進効果が得られず、30質量%を超えると、使用感上好ましくないことがある。一方、海藻抽出物の含有量が好ましい範囲内であると、良好な使用感を付与しながら、肌荒れ改善効果が期待できる。
【0019】
また、海藻抽出物中のポルフィラン含有量としては、0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。海藻抽出物中のポルフィラン含有量が好ましい範囲内であると、良好な使用感を付与しながら、肌荒れ改善効果が期待できる。
【0020】
また、皮膚外用剤中のポルフィラン含有量としては、0.001〜0.3質量%が好ましく、0.001〜0.2質量%がより好ましく、0.002〜0.1質量%が更に好ましい。皮膚外用剤中のポルフィラン含有量が好ましい範囲内であると、良好な使用感を付与しながら、肌荒れ改善効果が期待できる。
【0021】
[(B)細胞間脂質及び/又はその類縁物質]
(B)細胞間脂質及び/又はその類縁物質は、皮膚の外部から細胞間脂質成分を角質層に直接的に補給し、更に海藻抽出物との相乗作用により保湿効果及び肌荒れ改善効果を向上させることを目的として皮膚外用剤中に配合される。
なお、細胞間脂質とは、角層の細胞間に存在する成分(セラミド、コレステロール、脂肪酸等)をいい、また、その類縁物質とは、細胞間脂質と類似の構造や機能を有する物質をいい、細胞間脂質の誘導体もこれに含まれる。本明細書中、細胞間脂質及び/又はその類縁物質を、単に「細胞間脂質等」と称することがある。
【0022】
細胞間脂質等としては、例えば、セラミド、グルコシルセラミド、セラミド類縁体、スフィンゴ脂質、脂肪酸、コレステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、セラミド、フィトステロール誘導体が保湿効果の点から好ましい。これらの細胞間脂質等は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
セラミドの例としては、セラミド1、セラミド1A、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミド6II等が挙げられる。
【0024】
セラミド類縁体の例としては、セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド、セチルヒドロキシプロリンパルミタミド、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチル、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテル等が挙げられる。
【0025】
スフィンゴ脂質の例としては、N−アセチルジヒドロスフィンゴシン、アセチルフィトスフィンゴシン、ウマスフィンゴ脂質、カプロオイルスフィンゴシン、カプロオイルフィトスフィンゴシン、コーンスフィンゴ糖脂質、コメヌカスフィンゴ糖脂質、サリチロイルフィトスフィンゴシン、スフィンゴミエリン、スフィンゴ糖脂質、テトラアセチルフィトスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、ブチルレゾルシノールビスサクシニルフィトスフィンゴシン等が挙げられる。
【0026】
脂肪酸の例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0027】
コレステロール誘導体の例としては、ジヒドロコレステロール、アルケニル(C16−C18)コハク酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、コハク酸コレステリル、ジクロロ安息香酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ノナン酸ジヒドロコレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシ脂肪酸(C14−25)コレステリル、ヘキシルジカルバミン酸コレステリルプルラン、マカデミアナッツ脂肪酸ジヒドロコレステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラノリン脂肪酸コレステリル、脂肪酸(C10−40)(コレステリル/ラノステリル)、酪酸コレステリル、酪酸ジヒドロコレステリル等が挙げられる。
【0028】
フィトステロール誘導体の例としては、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、コメヌカ脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)・ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ノナン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル、フィトステリルカノラ油脂肪酸グリセリズ、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ミリストイルメチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)、ラウロリルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、分岐脂肪酸(C12−31)フィトステリル、酪酸フィトステリル等が挙げられる。
【0029】
皮膚外用剤中の細胞間脂質等の含有量は、剤型や使用目的等の様々な条件に応じて適宜設定できるが、0.001〜5質量%であり、0.001〜4質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が更に好ましい。細胞間脂質等の含有量が0.001質量%未満であると、所望の程度の保湿効果が得られないことがあり、5質量%を超えると、のびの悪さやべたつきなどがおこり使用感が悪くなることがある。一方、細胞間脂質等の含有量が好ましい範囲内であると、使用感が良好でかつ優れた保湿効果が得られる。
【0030】
また、皮膚外用剤中、(A)ポルフィランを含む海藻抽出物と(B)細胞間脂質及び/又はその類縁物質との含有量比としては、質量比で、(A):(B)=30000:1〜1:50が好ましく、10000:1〜1:40がより好ましく、300:1〜1:5が更に好ましい。海藻抽出物と細胞間脂質等との含有量比が好ましい範囲内であると、良好な使用感と肌荒れ改善効果が期待できる。
【0031】
[(C)非イオン性界面活性剤]
本発明の皮膚外用剤は、更に(C)非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。上記の海藻抽出物、細胞間脂質等に加え、更に適量の非イオン性界面活性剤を含有させることにより、これらの全ての成分が相乗的に作用し、結果として皮膚外用剤の保湿効果及び肌荒れ改善効果を更に向上させることが可能となる。また、非イオン性界面活性剤を含有させることは、有効成分を皮膚の内部まで効率的に浸透させる点、また、安定性と安全性に優れた皮膚外用剤を提供するという点でも有利である。
【0032】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、シリコーン誘導体、レシチン誘導体、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン誘導体、アルキルグリセリルエーテルが好ましい。これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの二種を併用することができる。
【0033】
グリセリン脂肪酸エステルの例としては、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの例としては、モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリル等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例としては、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40等が挙げられる。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの例としては、モノステアリン酸PEG、ジステアリン酸PEG等が挙げられる。シリコーン誘導体の例としては、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。レシチン誘導体の例としては、レシチン、水添レシチン、水酸化レシチン、水添リゾレシチン等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの例としては、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0034】
皮膚外用剤中の非イオン性界面活性剤の含有量は、剤型や使用目的等の様々な条件に応じて適宜設定できるが、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜4質量%がより好ましく、1〜3質量%が更に好ましい。非イオン性界面活性剤の含有量が好ましい範囲内であると、製剤の安定化、安全性、有効成分の浸透促進効果が得られるという点で有利である。
【0035】
また、皮膚外用剤中、(A)海藻抽出物と(B)細胞間脂質等との総量に対する(C)非イオン性界面活性剤の含有量比としては、質量比で、[(A)+(B)]:(C)=3500:1〜1:500が好ましく、140:1〜1:40がより好ましく、4:1〜1:15が更に好ましい。海藻抽出物と細胞間脂質等との総量に対する非イオン性界面活性剤の含有量比が好ましい範囲内であると、使用感、安定性、安全性が良好で肌荒れ改善効果を実感できるという点で有利である。
【0036】
[その他の成分]
また、本発明の皮膚外用剤には、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、油剤、粉体、非イオン性界面活性剤以外の界面活性剤、粘剤、樹脂、アミノ酸類、糖類、有機系紫外線吸収剤、天然系の植物抽出成分、溶媒、防腐剤、金属イオン封鎖剤、抗炎症成分、薬効成分等を適宜配合することができる。これらのその他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、皮膚外用剤中のその他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜選択することができる。
【0037】
油剤としては、通常皮膚外用剤に用いられる揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤、樹脂等が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体のいずれであっても構わない。油剤の例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸等の脂肪酸、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタンジオール、イソプロピレングリコール等の多価アルコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム油、ツバキ油、ゴマ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、ホホバ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂及び植物油、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シリコーンゲル、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンPTVゴム等のシリコーン化合物、ポリエチレンワックス、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー、1,3-ジメチル-ブチルエーテル等が挙げられる。
【0038】
粉体の例としては、赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、青色1号、黒色401号の色素、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、またこれらに従来公知の表面処理、例えば、N−アシル化リジン処理、アミノ酸処理、親水性高分子処理、油剤処理、シリコーン処理、金属石鹸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等を施したものを使用することも可能である。これらの粉体形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)にも特に制限は無い。粉体の大きさとしては、5nm〜100μmの範囲に入るものが好ましく、さらに好ましくは10nm〜25μmである。これらの粉体は単独で処理しても、混合物を形成し、それらをまとめて処理しても構わない。また、混合物の色を肌色等に調整したものを処理することも可能である。さらに微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の紫外線散乱成分を使用することで紫外線防御機能を有する処理粉体とすることも可能である。
【0039】
非イオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。より詳しくは、脂肪酸石鹸、α−アシルスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸、N−アシルタウリン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、スルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アウテアリルトリメチルエンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0040】
粘剤、樹脂の例としては、ポリアクリル酸ナトリウム、セルロースエーテル、アルギン酸塩、カルボキシビニルポリマー、エチレン/アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン系ポリマー、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体、窒素置換アクリルアミド系ポリマー、カチオン性ガーガム等のカチオン性ポリマー、POE/POP共重合体、ポリビニルアルコール、プルラン、デオキシリボ核酸及びその塩、コンドロイチン硫酸等の酸性ムコ多糖類及びその塩、タマリンド種子多糖、チューベロース多糖、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、ローカストビーンガム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、ヒアルロン酸及びその塩、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストリン、シクロデキストリン、デキストラン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコー、カチオン化シリコーン重合体、合成ラテックス等が挙げられる。
【0041】
アミノ酸類としては、L−グルタミン酸、L−ロイシン、L−セリン、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−スレオニン、DL−アラニン、L−イソロイシン、L−フェニルアラニン、L−アルギニン、L−プロリン、L−チロシン、塩酸L−ヒスチジン、塩酸リジン、グリシン、N−アセチル−L−グタミン酸、PCAナトリウム、トリメチルグリシン、γ−ポリグルタミン酸等が挙げられる。
【0042】
糖類としては、ガラクトース、マンノース、マルトース、フルクトース、スクロース、キシロース、ソルビトール、キシトール、マンニトール等が挙げられる。
【0043】
有機系紫外線吸収剤の例としては、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸 ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0044】
天然系の植物抽出成分の例としては、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オリーブリーフエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、(ポルフィランを含む海藻抽出物以外の)海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等が挙げられる。
【0045】
溶媒の例としては、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動パラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【0046】
防腐剤の例としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸又はその塩、テヒドロ酢酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等の有機酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルエチルアルコール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム、フェノキシエタノール、フェノキシジグリコール、フェノール、ベンジルアルコール等のフェノール類、塩化ステアリルトリメチルエンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルメチルアンモニウム、臭化アルキルイソキノリウム、臭化ドミフェン等の4級アンモニウム塩、茶エキス、ヒノキチオール、リンゴエキス、ローズマリーエキス等の植物抽出液、また、クロラミンT、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン等が挙げられる。
【0047】
金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム、エデト酸、エデト酸2ナトリウム、エチドロン酸等が挙げられる。
【0048】
抗炎症成分としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、酢酸トコフェロール、トコフェロール、アズレン等が挙げられる。
【0049】
薬効成分としては、ビタミンA油、レチノール、リボフラビン、ピリドキシン塩酸塩、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、パントテン酸塩、ビタミンD2、コレカルシフェロール等が挙げられる。
【0050】
[剤型、製法等]
本発明の皮膚外用剤は、常法に従って、可溶化系、乳化系、粉末分散可溶化系、粉末分散乳化系、粉末分散油系などの任意の剤型に製造できる。なお、本発明の皮膚外用剤は、pH2〜11、特にpH3〜9に調整することが好ましい。本発明の皮膚外用剤は、化粧水、乳液、クリーム、化粧油等のスキンケア製品をはじめ、ファンデーション、パウダー、口紅、頬紅、アイシャドウ、ネイルエナメル等のメークアップ化粧料、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等の形態の入浴剤などの製品として、好適に使用可能である。
【0051】
第一の形態に係る皮膚外用剤では、上記のように、比較的少ないポルフィラン量で所望の効果を得ることができる。細胞間脂質等の作用によって、皮膚の外部からセラミド等の細胞間脂質成分が表皮に直接的に補給され、更に、ポルフィランを含む海藻抽出物のセラミド産生促進作用によって、表皮細胞におけるセラミド産生が効率的に促進される。そのため、皮膚外部からのセラミド補給、及び、皮膚内部からのセラミド産生促進の相乗効果により、少ないポルフィラン量であっても、優れた保湿効果及び肌荒れ改善効果を奏することが可能となると考えられる。
【0052】
[セラミド産生促進剤]
また、本発明は第二の形態によればセラミド産生促進剤である。第二の形態に係るセラミド促進剤は、ポルフィランを含む海藻抽出物を含有する。セラミド産生促進剤としては、上記のポルフィランを含む海藻抽出物を、単独で表皮細胞等に作用させて使用してもよいし、他の任意成分と共に表皮細胞等に作用させて使用してもよい。また、セラミド産生促進剤中の海藻抽出物の含有量や、剤型に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。セラミド産生促進剤は、表皮細胞に対する優れたセラミド産生促進作用を有するため、例えば、皮膚外用剤組成物における一有効成分として好適に使用可能である。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
<1.セラミド産生促進剤の調製、及び、セラミド産生促進作用の検討>
スサビノリ[Porphyra yezoensys(Bangiaceae)]の全藻を水で抽出することによって得られたスサビノリ抽出物をセラミド産生促進剤として使用し、セラミド産生促進作用を以下のようにして検討した。なお、得られたスサビノリ抽出物中のポルフィラン含有量は約1質量%であった。
【0055】
(1)細胞培養
60mmディッシュを用い、培養液(商品名:Epilife−KG2、KURABO社製)中にて、正常ヒト表皮角化細胞(NHEK(F)、KURABO社製)を37℃・5%CO
2でコンフルエントとなるまで培養した。培養上清を吸引し、上記で調製したスサビノリ抽出物を濃度が固形分換算で0.01w/v%、又はコントロール溶液(30%ブチレングリコール水溶液)を0.01v/v%となるように培地に添加し、7日間培養を行った。培地は1日おきに上記の調製した培地に交換した。
【0056】
(2)脂質抽出及びセラミド定量
培養後、PBSで洗浄し、スクレーパーを用いて細胞を回収した。回収した細胞からBligh and Dyer法により脂質を抽出した。抽出した有機相をガラス管に移し、窒素乾固した後、クロロホルム:メタノール=2:1(容量比)で再溶解し、脂質サンプルとした。調製した脂質サンプルを薄層クロマトグラフィー(HPTLC・Silica gel 60、MERK社製)で、クロロホルム:メタノール:酢酸=190:9:1(容量比)を用いて2回水平展開した。その後、10%硫酸銅液をスプレーで噴霧し、ホットプレートで焼き付け、セラミドの定量を行った。コントロール溶液添加時のセラミド量を100としたときの試料添加時のセラミド量の値を、セラミド産生促進率とした。
【0057】
結果、スサビノリ抽出物のセラミド産生促進率は183.4%であった(
図1)。このことから、スサビノリ抽出物を添加した系においては、コントロールの系に比べてセラミド産生量が上昇していることが認められた。したがって、ポルフィランを含む海藻抽出物は優れたセラミド産生促進作用を有していることが明らかとなった。
【0058】
<2.皮膚外用剤の調製>
水相成分10〜13及び成分15を80℃で加熱溶解したものを、同じく油相成分2〜9を80℃で加熱溶解したものに加えながら攪拌し、乳化した。乳化後、攪拌しながら室温まで冷却し、成分14を加えてさらに攪拌した。攪拌後成分1を加えて攪拌し、皮膚外用剤を調製した。(各成分番号については表1〜3を参照のこと。なお、表中の各成分量の単位は質量%である。)
【0059】
<3.保湿効果及び肌荒れ改善効果の検討>
普段から何らかの原因で肌荒れや肌の乾燥感を訴える女性10名(25〜50歳)を対象に、皮膚外用剤を実際に使用させ、保湿効果及び肌荒れ改善効果を検討した。被験者には、毎日肌の状態を観察しながら、朝と夜の洗顔後に各自が普段使用している化粧水で肌を整えた後、上記で調製した表1〜3に示す皮膚外用剤(実施例1〜8、比較例1〜4)を適量塗布させた。塗布は一ヶ月間継続させ、試験開始時及び試験終了時の肌状態を比較し、下記項目について評価させた。
評価項目は、「乾燥肌がしっとりした」、「キメが細かくなった」、「肌のツヤがよくなった」、「翌朝の肌のしっとり感」の四項目である。試験結果は、表中に、10名中何名が各項目について改善したと回答したかで示す。なお、「翌朝の肌のしっとり感」については、一ヶ月間塗布を継続した後、塗布をやめた日の翌朝の肌の状態について評価した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
表1〜3の結果から、スサビノリ抽出物又はセラミドを単独で含む比較例2及び比較例3では、いずれをも含まない比較例1と比べて、各項目の改善効果は充分なものとはいえなかった。
一方、スサビノリ抽出物とセラミドとを併用した実施例1〜4では、各項目について顕著な改善効果を示す結果となった。また、スサビノリ抽出物とラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)とを併用した実施例5〜8でも、各項目について同程度の改善効果が認められた。なお、表中には結果を示していないものの、スサビノリ抽出物とオレイン酸フィトステリルとを併用した場合にも、各項目について同等の改善効果が認められた。
【0064】
また、実施例3と実施例4とを比較すると、実施例3では各項目についてより顕著な改善効果が認められた。この結果は、スサビノリ抽出物及びセラミドとともに、適量の非イオン性界面活性剤を配合することにより、皮膚外用剤の保湿効果及び肌荒れ改善効果を更に高めることを示している。
【0065】
これらの結果から、(A)ポルフィランを含む海藻抽出物と(B)細胞間脂質及び/又はその類縁物質とを併用することにより、皮膚外用剤の保湿効果及び肌荒れ改善効果を顕著に向上することが明らかとなった。また、適量の(C)非イオン性界面活性剤を併用することにより、これらの効果を更に高めることができることも明らかとなった。