特許第5918552号(P5918552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918552
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20160428BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   B60H1/34 611B
   F24F13/15 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-16873(P2012-16873)
(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-154769(P2013-154769A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近兼 裕也
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−182115(JP,A)
【文献】 特開2004−203382(JP,A)
【文献】 特開平10−138750(JP,A)
【文献】 特開平07−089338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に空気の吹出口(S)を有する筒状の枠体(3)と、
上記枠体(3)内部に互いに平行に配設され、それぞれ所定の第1方向に延びる第1軸
(A)周りに回動可能な複数の前ブレード(5,5,…)と、
上記枠体(3)内部の前ブレード(5,5,…)よりも後側に互いに平行に配設され、それぞれ上記第1方向と交差する第2方向に延びる第2軸(B)周りに回動可能な複数の後ブレード(7,7,…)と、
上記複数の前ブレード(5,5,…)及び上記複数の後ブレード(7,7,…)を回動させる回
動機構(9)とを備え、
上記複数の後ブレード(7,7,…)の1つには、前方に開口する切欠部(75)が形成され、
上記切欠部(75)には、当該切欠部(75)の周縁部における上記第2方向の一方側と他方側とを接続するガイド柱(79)が設けられ、
上記回動機構(9)は、上記複数の前ブレード(5,5,…)の1つに第1方向にスライド移動可能に取り付けられる操作ノブ(91)と、上記ガイド柱(79)と係合するリンクアーム(93)とを有し、
上記操作ノブ(91)及びリンクアーム(93)は、上記第1軸(A)と平行な第3軸(C)周りに互いに回動可能に連結され、
上記操作ノブ(91)の第3軸(C)周りの回動により、当該操作ノブ(91)が取り付けられた前ブレード(5)が第1軸(A)周りに回動し、それに連動して他の全ての前ブレード(5,5,…)が第1軸(A)周りに回動する一方、上記操作ノブ(91)の第1方向へのスライド移動により、その移動力が上記リンクアーム(93)を介して上記ガイド柱(79)が設けられた後ブレード(7)に伝動して該後ブレード(7)が第2軸(B)周りに回動し、それに連動して他の全ての後ブレード(7,7,…)が第2軸(B)周りに回動するように構成されたレジスタであって、
上記切欠部(75)の周縁部には、互いに上記第2方向に対向する一対の張出部(77,77)が形成され、
上記操作ノブ(91)には、後方に向かって突出する2つの規制突起(91d,91d)が離間して設けられ、
上記リンクアーム(93)は、上記ガイド柱(79)を挟んで第1方向の両側に配設された一対の脚部(93a,93a')と、該脚部(93a,93a')の前端部同士を連結し、上記操作ノブ(91)の規制突起(91d,91d)間に配置された位置決め部(93b)とを有し、上記両脚部(93a,93a')の少なくとも一方の後端には、上記両張出部(77,77)に摺動可能に常時弾性的に圧接する圧接部(93f,93f')が設けられていることを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
請求項1に記載のレジスタにおいて、
上記操作ノブ(91)の後端部には、嵌合孔(91c, 91c)を有する一対の連結片(91b,91b)が、上記両規制突起(91d,91d)の第1方向両外側に設けられ、
上記リンクアーム(93)の各脚部(93a,93a')の外側部分には、延出部(93c,93c)が第1方向及び前方に向かって延設され、両延出部(93c,93c)の前端部には、上記連結片(91b,91b)の嵌合孔(91c, 91c)に回動自在に嵌合する連結突起(93d,93d)が同軸上に設けられていることを特徴とするレジスタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレジスタにおいて
上記両脚部(93a,93a')の各々の後端に上記圧接部(93f,93f')がそれぞれ設けられ、
該両圧接部(93f,93f')の一方は、上記両張出部(77,77)の一方に摺動可能に常時弾性的に圧接するとともに、該両圧接部(93f,93f')の他方は、上記両張出部(77,77)の他方に摺動可能に常時弾性的に圧接していることを特徴とするレジスタ。
【請求項4】
請求項3に記載のレジスタにおいて、
上記両脚部(93a,93a')の少なくとも一方は弾性変形可能になっていて、当該弾性変形により上記両圧接部(93f,93f')がそれぞれ対応する張出部(77)に常時弾性的に圧接していることを特徴とするレジスタ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のレジスタにおいて、
上記圧接部(93f,93f')には、刳抜部(93k,93k)が形成されて弾性変形可能になっていて,当該弾性変形により上記両圧接部(93f,93f')がそれぞれ両張出部(77,77)に常時弾性的に圧接していることを特徴とするレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の車室内の換気や空調の空気吹出部に使用されるレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のインストルメントパネル等に配設され、例えば空調装置で調節された調和空気を車室内に吹き出す空気吹出部に使用されるレジスタが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、略矩形筒状の枠体内部に互いに平行に配設され、左右方向に延びる軸周り(つまり、上下方向)に回動可能な複数の前ブレードと、枠体内部の前ブレードよりも後側に互いに平行に配設され、上下方向に延びる軸周り(つまり、左右方向)に回動可能な複数の後ブレードとを備えたレジスタが開示されている。そして、複数の後ブレードの1つには、前方に開口する切欠部が設けられ、該切欠部には当該切欠部の周縁部における上側部分と下側部分とを接続するガイド柱が設けられ、さらに上記切欠部の周縁部には、互いに上下方向に対向する一対の張出部が形成されている。また、複数の前ブレードの1つには、操作ノブが左右方向にスライド移動可能に装着され、該操作ノブには、上記ガイド柱を左右両側から挟む一対の薄肉ヒンジ部を有する脚部と、各脚部の後端に設けられた円板状の当接部とからなるリンクアームが操作ノブに対して上下方向に回動可能に一体に連結されている。上記当接部の側面は、切欠部の上縁及び下縁に当接している。
【0004】
このレジスタでは、使用者が操作ノブを上下方向に回動させると、操作ノブが装着された前ブレードが上下方向に回動し、それに連動して他の全ての前ブレードが上下方向に回動する一方、使用者が操作ノブを左右方向にスライド移動させると、その移動力が脚部からガイド柱が設けられた後ブレードに伝動して該後ブレードが左右方向に回動し、それに連動して他の全ての後ブレードが左右方向に回動する。これにより、空気の吹出方向を上下左右に調整することができるようになっている。
【0005】
このレジスタでは、当接部が両張出部に当接しているので、切欠部内における当接部の張出部対向方向への移動が防止され、当接部の切欠部内でのバタつきによる異音の発生が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−182115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1では、当接部の張出部対向方向(上下方向)の幅が両張出部の上下方向の間隔よりも長くなった場合には、当接部を切欠部内側に挿入できなくなり、前ブレードの後ブレードへの組付けが不可能になる。一方、当接部の上下方向の幅が両張出部の上下方向の間隔よりも短くなった場合には、当接部と張出部との間に上下方向の隙間が生じ、上述した異音発生防止効果が得られない。このように、引用文献1では、当接部の上下方向の寸法誤差が殆ど許容されないので、レジスタの製造が困難である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レジスタの製造を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、リンクアームの後端部に、上記両張出部に摺動可能に常時弾性的に圧接する圧接部を設けたことを特徴とする。
【0010】
具体的には、本発明は、前端に空気の吹出口を有する筒状の枠体と、上記枠体内部に互いに平行に配設され、それぞれ所定の第1方向に延びる第1軸周りに回動可能な複数の前ブレードと、上記枠体内部の前ブレードよりも後側に互いに平行に配設され、それぞれ上記第1方向と交差する第2方向に延びる第2軸周りに回動可能な複数の後ブレードと、上記複数の前ブレード及び上記複数の後ブレードを回動させる回動機構とを備え、上記複数の後ブレードの1つには、前方に開口する切欠部が形成され、上記切欠部には、当該切欠部の周縁部における上記第2方向の一方側と他方側とを接続するガイド柱が設けられ、上記回動機構は、上記複数の前ブレードの1つに第1方向にスライド移動可能に取り付けられる操作ノブと、上記ガイド柱と係合するリンクアームとを有し、上記操作ノブ及びリンクアームは、上記第1軸と平行な第3軸周りに互いに回動可能に連結され、上記操作ノブの第3軸周りの回動により、当該操作ノブが取り付けられた前ブレードが第1軸周りに回動し、それに連動して他の全ての前ブレードが第1軸周りに回動する一方、上記操作ノブの第1方向へのスライド移動により、その移動力が上記リンクアームを介して上記ガイド柱が設けられた後ブレードに伝動して該後ブレードが第2軸周りに回動し、それに連動して他の全ての後ブレードが第2軸周りに回動するように構成されたレジスタを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記切欠部の周縁部には、互いに上記第2方向に対向する一対の張出部が形成され、上記操作ノブには、後方に向かって突出する2つの規制突起が離間して設けられ、上記リンクアームは、上記ガイド柱を挟んで第1方向の両側に配設された一対の脚部と、該脚部の前端部同士を連結し、上記操作ノブの規制突起間に配置された位置決め部とを有し、上記両脚部の少なくとも一方の後端には、上記両張出部に摺動可能に常時弾性的に圧接する圧接部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレジスタにおいて、上記操作ノブの後端部には、嵌合孔を有する一対の連結片が、上記両規制突起の第1方向両外側に設けられ、上記リンクアームの各脚部の外側部分には、延出部が第1方向及び前方に向かって延設され、両延出部の前端部には、上記連結片の嵌合孔に回動自在に嵌合する連結突起が同軸上に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のレジスタにおいて、上記両脚部の各々の後端に上記圧接部がそれぞれ設けられ、該両圧接部の一方は、上記両張出部の一方に摺動可能に常時弾性的に圧接するとともに、該両圧接部の他方は、上記両張出部の他方に摺動可能に常時弾性的に圧接していることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のレジスタにおいて、上記両脚部の少なくとも一方は弾性変形可能になっていて、当該弾性変形により上記両圧接部がそれぞれ対応する張出部に常時弾性的に圧接していることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のレジスタにおいて、上記圧接部には、刳抜部が形成されて弾性変形可能になっていて、当該弾性変形により上記両圧接部がそれぞれ両張出部に常時弾性的に圧接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、組み付け前の状態では、圧接部の両張出部との圧接箇所の第2方向の間隔が両張出部の第2方向の間隔よりも大きいが、組み付け時には圧接部が両張出部に圧接して弾性変形し、当該圧接箇所の間隔が第2方向に狭められた状態で切欠部内に挿入される。したがって、圧接部の両張出部との圧接箇所の第2方向の間隔の寸法誤差が、弾性的に狭めることが可能な範囲だけ許容され、レジスタの製造が容易になる。
【0017】
また、両張出部にそれぞれ圧接部が常時圧接しているので、圧接部の切欠部内における第2方向の移動を防止できる。したがって、圧接部の切欠部内でのバタつきによる異音の発生を防止できる。
【0018】
また、一対の脚部がガイド柱を挟んで第1方向の両側に配設されているため、操作ノブの第1方向へのスライド移動により、その移動力がリンクアームの一対の脚部から後ブレードに伝動して該後ブレードを第1方向に回動させることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、位置決め部と両規制突起とで、操作ノブ及びリンクアームの第1方向の相対移動が規制され、操作ノブとリンクアームとの連結が解除されることが防止される。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、各圧接部を両張出部の一方のみに圧接させるので、各圧接部を両張出部に圧接させる場合に比べ、各圧接部の第2方向の寸法に求められる精度を高くせずに済み、リンクアームの製造が容易になる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、両張出部の圧接部への圧接力が脚部前端近傍を支点として脚部にかかるので、圧接部自体を弾性変形させる場合に比べ、てこの原理により比較的小さい圧接力で脚部を弾性変形させることができる。したがって、圧接部の切欠部への挿入作業が容易になる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、圧接部の重量を刳抜部相当分低減できるので、リンクアームを軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に係るレジスタの概略斜視図である。
図2】回動機構の周辺部の斜視図である。
図3】後ブレードの斜視図である。
図4】操作ノブの斜視図である。
図5】リンクアームの斜視図である。
図6】圧接部を切欠部に挿入していない状態でのリンクアームの背面図である。
図7】レジスタの動作説明図である。
図8】実施形態1の変形例の図5相当図である。
図9】実施形態2の図5相当図である。
図10】実施形態2の変形例の図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るレジスタ1の概略斜視図である。このレジスタ1は、例えば自動車のインストルメントパネル等に配設され、空調装置で調節された調和空気を車室内に吹き出す空気吹出部に使用されるものであり、調和空気の吹出方向を上下左右に調整する機能を有する。
【0026】
レジスタ1は、後端部(図1の紙面奥側の端部)が図示しないエアダクトを介して空調装置(不図示)に接続されると共に前端部に空調装置で調節された空気の吹出口Sを有する略矩形筒状の枠体3を備える。
【0027】
枠体3の前端部には、レジスタ1の前面を形成する略矩形状の化粧枠31が取り付けられている。
【0028】
化粧枠31の下部には、枠体3内部に形成される空気通路を開閉するシャッタ(図示せず)を操作するための操作ダイヤル33が設けられている。
【0029】
枠体3内部の吹出口S付近には、左右方向に延びる複数(ここでは5つ)の板状の前ブレード5,5,・・・が互いに平行に配設されている。
【0030】
各前ブレード5の左右両端部の前部には、図2に示すように、左右方向に突出する回動軸51,51が同軸上に設けられている。そうして、これら回動軸51,51が枠体3の左右側壁に回動可能に支持されていることより、各前ブレード5は、左右方向に延びる軸A周り(つまり、上下方向)に回動可能になっている。従って、本実施形態では、左右方向が第1方向となり、軸Aが第1軸となる。
【0031】
各前ブレード5の右端部の略中央部には、突出部53が設けられている。そして、5つの前ブレード5,5,・・・の突出部53がリンク部材(不図示)で連結されていることにより、5つ全ての前ブレード5が連動して上下方向に回動するようになっている。
【0032】
枠体3内部の前ブレード5よりも後側で且つ上記シャッタよりも前側には、上下方向に延びる複数(ここでは4つ)の板状の後ブレード7,7,・・・が互いに平行に配設されている。
【0033】
各後ブレード7の上下両端部には、図2,3に示すように、上下方向に突出する回動軸71が同軸上に設けられている。そして、これら回動軸71,71が枠体3の上下側壁に回動可能に支持されていることにより、各後ブレード7は、上下方向に延びる軸B周り(つまり、左右方向)に回動可能になっている。従って、本実施形態では、上下方向が第2方向(第1方向と交差する方向)となり、軸Bが第2軸となる。
【0034】
各後ブレード7の下端部の後部には、突出部73が設けられている。そして、4つの後ブレード7,7,・・・の突出部73がリンク部材(不図示)で連結されていることにより、4つ全ての後ブレード7が連動して左右方向に回動するようになっている。
【0035】
複数の後ブレード7,7,・・・の1つ(図1の右から2番目の後ブレード7)には、該後ブレード7の前端縁から後方に向かって切欠かれて前方に開口する切欠部75が形成されている。
【0036】
切欠部75の周縁部の前端部近傍には、互いに上下方向に対向する一対のフランジ状の張出部77,77が設けられ、両張出部77,77の前端部近傍同士は、棒状のガイド柱79により接続されている。こうして、切欠部75の周縁部における上側と下側とがガイド柱79により接続されている。
【0037】
そうして、レジスタ1は、複数の前ブレード5,5,・・・を上下方向に、複数の後ブレード7,7,・・・を左右方向にそれぞれ回動させるための回動機構9をさらに備えている。
【0038】
回動機構9は、レジスタ1の使用者が空気の吹出方向を調節する際に掴む操作ノブ91と、後ブレード7のガイド柱79と係合するリンクアーム93とを有する。
【0039】
操作ノブ91には、図2,4に示すように、当該操作ノブ91を左右方向に貫通するスリット91aが設けられている。操作ノブ91は、スリット91aから4つの前ブレード5,5,・・・の1つ(図1の上から3番目の前ブレード5)に外挿され、該前ブレード
5に左右方向にスライド移動可能に取り付けられている。
【0040】
操作ノブ91のスリット91a下側の後端部には、リンクアーム93を連結するための連結片91bが左右両端部それぞれに設けられ、各連結片91bには、後述するリンクアーム93の連結突起93dが嵌合する嵌合孔91cが設けられている。
【0041】
操作ノブ91のスリット91a下側の後端部における左右方向略中央部には、後方に向かって突出する2つの規制突起91d,91dが離間して設けられている。
【0042】
リンクアーム93は、図2,5に示すように、二股状に形成されていて、左右方向に間隔を空けて設けられた弾性変形可能な一対の脚部93a,93a’(図5中、93aが右側の脚部、93a’が左側の脚部を示す)と、これら一対の脚部93a,93a’の前端部同士を連結する位置決め部93bと、各脚部93a,93a’の外側部分から左右方向に延出すると共に、その延出端部で屈曲して前方に向かって延出する延出部93c,93cとを有する。
【0043】
両延出部93c,93cの前端部の外側部分には、左右方向に突出する連結突起93d,93dが同軸上に設けられている。そして、両延出部93c,93cの前端部が連結片91b,91bと規制突起91d,91dとの間に配置され、両延出部93c,93cの連結突起93d,93dが嵌合孔91c,91cに回動自在に嵌合されていることにより、操作ノブ91とリンクアーム93とが左右方向に延びる軸C周り(つまり、上下方向)に互いに回動可能に連結されている。従って、本実施形態では、軸Cが第3軸となる。
【0044】
位置決め部93bは、規制突起91d,91d間に配置されており、このことにより、位置決め部93bと両規制突起91d,91dとで、操作ノブ91及びリンクアーム93の左右方向の相対移動を規制し、操作ノブ91とリンクアーム93との連結が解除されることを防止している。
【0045】
両脚部93a,93a’の間には、ガイド溝93eが形成されていて、このガイド溝93eにガイド柱79が配設されている。換言すれば、両脚部93a,93a’は、ガイド柱79を挟んで左右両側に配設されている。このようにして、リンクアーム93とガイド柱79が係合している。
【0046】
脚部93aの後端には、円盤状の圧接部93fが一体に設けられ、同様に、脚部93a’の後端にも、円盤状の圧接部93f’が一体に設けられている。各圧接部93f,93f’の脚部93a,93a’との連結箇所を除く周縁には、該周縁に沿って湾曲する湾曲面93gが形成され、該湾曲面93gの幅方向両側縁部には、全体に亘ってアール部93hが形成されている。各圧接部93f,93f’の上下方向の幅W1(図6参照)は、互いに等しく、かつ両張出部77,77の間隔D1よりも短く設定されている。上記両圧接部93f,93f’を切欠部75内に挿入していない状態では、図6に示すように、両脚部93a,93a’が弾性変形しておらず、圧接部93f,93f’が上下方向に互いにずれている(ずれ量を図6中、Offsetと示す)。そして、右側の圧接部93fの上端と左側の圧接部93f’の下端との間隔D2、即ち両圧接部93f,93f’の両張出部77,77との圧接箇所の上下方向の間隔が両張出部77,77の上下方向の間隔D1よりも大きくなっている。
【0047】
また、各延出部93c,93cの屈曲箇所近傍には、後方に向けて棒状の補強部93iが突設されて上記各圧接部93f,93f’の外側の面に連結されている。これにより、両圧接部93f,93f’は互いに接離する方向には移動しないが、上下方向に移動可能となっている。
【0048】
そして、両圧接部93f,93f’は切欠部75内に位置し、一方の圧接部93fの湾曲面93gは、脚部93aの下方への弾性変形により上側の張出部77に摺動可能に常時弾性的に圧接し、該一方の圧接部93fは下側の張出部77から離間している。他方の圧接部93f’の湾曲面93gは、脚部93a’の上方への弾性変形により下側の張出部77に摺動可能に常時弾性的に圧接し、該他方の圧接部93f’は上側の張出部77から離間している。
【0049】
組み付け時には、右側の圧接部93fの上端と左側の圧接部93f’の下端とを張出部77,77に圧接させることにより両者の間隔D2を弾性的に狭めながら両圧接部93f,93f’を切欠部75内に挿入できる。したがって、右側の圧接部93fの上端と左側の圧接部93f’の下端との間隔D2の寸法誤差が、脚部93a,93a’の弾性変形により変化可能な範囲だけ許容され、リンクアーム93の製造が容易になる。
【0050】
また、各圧接部93f,93f’を両張出部77,77の一方のみに圧接させるので、各圧接部93f,93f’を両張出部77,77に圧接させる場合に比べ、各圧接部93f,93f’の上下方向の寸法を高くせずに済み、リンクアーム93の製造が容易になる。
【0051】
さらに、両張出部77の圧接部93f,93f’への圧接力が脚部93a,93a’前端近傍を支点として脚部93a,93a’にかかるので、圧接部93f,93f’自体を弾性変形させる場合に比べ、てこの原理により比較的小さい圧接力で脚部93a,93a’を弾性変形させることができる。したがって、圧接部93f,93f’の切欠部75への挿入作業が容易になる。
【0052】
(レジスタの動作)
次に、上記シャッタを開けた状態で調和空気の吹出方向を上下左右に調整する方法について説明する。
【0053】
まず、調和空気の吹出方向を上下に調整する場合について、図7を参照しながら説明する。
【0054】
前ブレード5が水平状態にあるとき(図7(a)の状態)から調和空気の吹出方向を下向きに調整するには、操作ノブ91を下方向に回動させる。これにより、操作ノブ91が装着された前ブレード5が該前ブレード5の前側部分が下側に、後側部分が上側になるように上記軸A周りに回動し、それに連動して他の全ての前ブレード5,5,・・・も同様に、前側部分が下側に、後側部分が上側になるように回動する。このとき、リンクアーム93と操作ノブ91との連結部JT(連結片91bと連結突起93d)が図7(a)に示す位置から斜め前方上側に移動するため、リンクアーム93は、軸C周りに回動しながら前方に移動する。この際、リンクアーム93の圧接部93f,93f’は、後ブレード7の両張出部77,77と摺動しながら前方に移動する。こうして、図7(b)に示す調和空気の吹出方向が下向きに調整された状態になる。
【0055】
また、前ブレード5が水平状態にあるとき(図7(a)の状態)から調和空気の吹出方向を上向きに調整するには、操作ノブ91を上記とは逆に上方向に回動させる。これにより、操作ノブ91が装着された前ブレード5が該前ブレード5の前側部分が上側に、後側部分が下側になるように上記軸A周りに回動し、それに連動して他の全ての前ブレード5,5,・・・も同様に、前側部分が上側に、後側部分が下側になるように回動する。このとき、リンクアーム93と操作ノブ91との連結部JTが図7(a)に示す位置から斜め前方下側に移動するため、リンクアーム93は、軸C周りに回動しながら前方に移動する。こうして、図7(c)に示す調和空気の吹出方向が上向きに調整された状態になる。
【0056】
一方、調和空気の吹出方向を左右に調整する際には、操作ノブ91を左右方向にスライド移動させる。これにより、操作ノブ91の移動力がリンクアーム93の脚部93aから後ブレード7に伝動して該後ブレード7が軸B周り(左右方向)に回動し、それに連動して他の全ての後ブレード7が左右方向に回動し、調和空気の吹出方向が左右に調整される。
【0057】
したがって、本実施形態1では、リンクアーム93の両圧接部93f,93f’が両張出部77,77に常時圧接している。そのため、操作ノブ91の嵌合孔91cやリンクアーム93の連結突起93d,93dが摩耗して、操作ノブ91とリンクアーム93との連結が緩んだとしても、空調装置からの調和空気等によりリンクアーム93が軸C周り(上下方向)に回動して切欠部75内でバタつくことはない。
【0058】
また、上述したように、調和空気の吹出方向を調整する際にはリンクアーム93の圧接部93f,93f’と後ブレード7の両張出部77,77とが摺動するが、圧接部93f,93f’が円盤状に形成されているため、(例えば、前ブレード5,5,・・・を極端に上向きや下向きにした場合であっても)圧接部93f,93f’と両張出部77,77とはスムーズに摺動する。そのため、レジスタ1の使用者は、無理なく調和空気の吹出方向を調整することができ、良好な操作感を得ることができる。
【0059】
(実施形態1の変形例)
なお、実施形態1において、図8に示すように、両圧接部93f,93f’を略半円形
の板状に形成してもよい。つまり、図8中右側の圧接部93fを実施形態1の圧接部93fの下半部分で構成し、図8中左側の圧接部93f’を実施形態1の圧接部93f’の上半部分で構成してもよい。これにより、実施形態1に比べて各圧接部93f,93f’を小型化し、リンクアーム93を軽量化できる。
【0060】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係るレジスタ1のリンクアーム93を示す。この実施形態2では、各圧接部93f,93f’が、脚部93a,93a’にその延長線上で連続する分割部93jと、該分割部の上下に形成された略半円形状の一対の刳抜部93kとを有し、上記分割部93jに上記補強部93iが連結されている。また、各補強部93iが、略三角形の板状に形成され、延出部93cの延出基端から屈曲箇所近傍までの部分と、脚部93a,93a’及び分割部93jの外側の面とを連結している。これにより、両脚部93a,93a’周りの剛性が実施形態1に比べて高められ、両脚部93a,93a’が殆ど弾性変形しないようになっている。
【0061】
そして、各圧接部93f,93f’は、刳抜部93kを上下方向に狭めるように弾性変形することにより両張出部77,77に摺動可能に弾性的に圧接している。
【0062】
また、上記両圧接部93f,93f’を切欠部75内に挿入していない状態では、各圧接部93f,93f’の上下方向の幅W1が、互いに等しく、かつ両張出部77,77の間隔D1よりも長くなる。
【0063】
したがって、本実施形態2では、圧接部93f,93f’の重量を刳抜部93k相当分低減できるので、リンクアーム93を軽量化できる。
【0064】
(実施形態2の変形例)
なお、実施形態2において、図10に示すように、圧接部93f,93f’を、脚部9
3a,93a’に連続する内側円盤部93mと、刳抜部93kを挟んで内側円盤部93mを囲む円環部93nとで構成し、内側円盤部93mに上記補強部93iを連結してもよい。このようにした場合でも、実施形態2と同様の効果が得られる。
【0065】
(その他の変形例)
なお、上記実施形態1、2及びそれらの変形例において、操作ノブ91とリンクアーム93の連結構造は、上述の構成に限られず、例えば、リンクアーム93の連結突起93d,93dを延出部93c,93c前端部の内側部分に設け、該延出部93c,93c前端部を操作ノブ91の連結片91b,91b外側に配置し、両延出部93c,93cの連結突起93d,93dを連結片91b,91bの外側から嵌合孔91c,91cに嵌合してもよい。
【0066】
また、圧接部93f,93f’の形状を、上記実施形態1,2及び実施形態2の変形例では円盤状、実施形態1の変形例では半円形の板状とした。しかし、圧接部93f,93f’の形状はこれらの例に限られず、例えば、両張出部77,77と摺接する摺接部分(圧接部分)のみを前後方向に湾曲させた形状や、楕円形の板状としてもよい。圧接部93f,93f’の上記摺接部分(圧接部分)を前後方向に湾曲した形状にすることにより、風向き変更時の操作性をよりスムーズにできる。
【0067】
また、一対の張出部77,77を切欠部75の周縁部に沿って連続させて一体化してもよい。
【0068】
また、上記実施形態1及びその変形例において、両脚部93a,93a’のうちのいずれか一方のみを弾性変形可能に構成し、該一方の弾性変形により両圧接部93f,93f’をそれぞれ対応する張出部77に常時弾性的に圧接させてもよい。
【0069】
また、上記実施形態2及びその変形例において、両脚部93a,93a’のうちのいずれか一方の後端のみに圧接部93f,93f’を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、操作ノブを操作することにより調和空気等の吹出方向を調節することができるレジスタとして有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 レジスタ
3 枠体
5 前ブレード
7 後ブレード
9 回動機構
75 切欠部
77 張出部
79 ガイド柱
91 操作ノブ
91b 連結片
91c 嵌合孔
91d 規制突起
93 リンクアーム
93a,93a’ 脚部
93b 位置決め部
93c 延出部
93d 連結突起
93f,93f’ 圧接部
93k 刳抜部
A 軸(第1軸)
B 軸(第2軸)
C 軸(第3軸)
S 吹出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10