特許5918569IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

糸状菌の形態変化制御方法と、この方法を利用した胞子の生産方法

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

ところで、バイオ燃料生産等のバイオプロセスにおいて糸状菌を利用する際には、長期保存性や遺伝子均一性の観点から、糸状菌を胞子(分生子)の形態で供することが望ましいと考えられる。 また、糸状菌の胞子は、菌糸と比較するとハンドリング性が圧倒的に優れている。したがって、胞子を植菌源とすれば、植菌操作自体を容易なものとできる。また、培地の単位容積当たりの細胞数を早期に増加させ易い。このように、ハンドリング性や植菌源としての有利性の観点からも、バイオプロセスにおいて糸状菌を利用する際には、糸状菌を胞子の形態で供することが望ましいと考えられる。 さらに、糸状菌の胞子の細胞表面には多様な酵素が常発現しているのに対し、菌糸の細胞表面における酵素の発現は、菌糸に基質が接近することによって誘導される(Enzyme Microb. Technol, vol15, 90-99, 1993)。したがって、菌糸を植菌源とした培地よりも、胞子を植菌源とした培地の方が、基質の分解処理開始時間をより早くできる。このように、基質の分解処理開始時間の早期化の観点からも、バイオプロセスにおいて糸状菌を利用する際には、糸状菌を胞子の形態で供することが望ましいと考えられる。 しかしながら、糸状菌の中には、胞子形成能が低いものも存在している。このような糸状菌の胞子をバイオプロセスに供するに際し、糸状菌に胞子を効率よく形成させることのできる技術を確立することが望ましいと考えられる。 また、糸状菌が胞子を形成する場合には、菌糸の分化過程(気中菌糸の形成過程)を経ることが一般的である。したがって、糸状菌に胞子を形成させるためには、糸状菌の分化を誘導することが必要となる。 また、糸状菌については、分化(気中菌糸の形成)を抑制することで、胞子形成を抑制することが可能となる。 本発明は、糸状菌の分化を制御する方法を提供することを目的とする。 さらに、本発明は、糸状菌の胞子を効率よく生産する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

かかる目的を達成するため、本願発明者等は、セルロースをバイオエタノールに変換する際に必要となるセルロースの分解による糖化(グルコース化)のプロセスに利用して極めて有用な、高いセルロース分解能を有する糸状菌であるTrichoderma longibrachiatum KFA-2(以下、単にKFA−2株と呼ぶこともある)を対象として各種培養試験を重ねた。その結果、以下の新たな知見を得るに至った。・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明の糸状菌の形態変化制御方法によれば、糸状菌について、菌糸の分化を誘導して胞子形成を促進することや、菌糸の分化を抑制して胞子形成を抑制することが可能となる。 さらに、本発明の糸状菌胞子の生産方法によれば、糸状菌の分化を誘導して胞子形成能を高めた状態として、糸状菌の胞子を回収するようにしているので、糸状菌の胞子を効率よく生産することが可能となる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】固体培地を用いたゲル型電気培養装置の一例を示す図である。

【図2】ゲル型電気培養装置の電位制御領域を示す斜視図である。

【図3】ゲル型電気培養装置の電位制御領域を示す断面図である。

【図4】糸状菌の分生子(胞子)形成過程を示す図である。

【図5】糸状菌を固体培地上で培養した場合の成長過程を示す図である。

【図6】液体培地を用いた電気培養装置の一例を示す図である。

【図7】KFA−2株について、2種の培養条件による培養試験結果を示す図である。

【図8】電子メディエータ(CuSO4、メチレンブルー、ニュートラルレッド、フェリシアン化カリウム)の添加効果について検討した結果を示す図である。

【図9】電子メディエータ(PMS、AQDS、Fe(III)−EDTA、チオニン)の添加効果について検討した結果を示す図である。

【図10】KFA−2株と電極との間での電子メディエータを介した電子授受の概念を示す図である。

【図11】実験に使用した培養装置(培地:ゲル)を示す図である。

【図12】作用電極と対電極の間の培地表面に植菌した場合の通電培養試験結果を示す図である。

【図13】作用電極上のゲル培地表面と対電極上のゲル培地表面の双方に植菌した場合の通電培養試験結果を示す図である。

【図14】電子メディエータをFe(III)−EDTAとして通電培養試験を実施した結果を示す図である。

【図15】実験に使用した培養装置(培地:液体)を示す図である。(a)が上から見た図であり、(b)が横から見た図である。

【図16】培養液中で非通電条件下でKFA−2株を培養した場合の胞子(分生子)及び菌糸の顕微鏡写真である。

【図17】培養液中で通電条件下でKFA−2株を培養した場合の胞子(分生子)及び菌糸の顕微鏡写真である。

【図18】培養対象微生物をアスペルギルス属の糸状菌として通電培養試験を行った結果を示す図である。

【図19】培養対象微生物を Trichoderma reesei(トリコデルマ・リーゼイ)QM9414株として、電子メディエータの添加効果を検討した結果を示す図である。

【図20】培養対象微生物を Trichoderma reesei(トリコデルマ・リーゼイ)QM9414株とした場合の通電培養試験結果を示す図である。

【図21】培養対象微生物をKFA−2株として、電位条件を変化させることによる生育への影響を検討した結果を示す図である。

【図22】図21の結果について、菌糸到達半径を測定した結果を示す図である。

【図23】図21の結果について、陽極上と陽極上以外の分生子数のカウント結果を示す図である。

【図24】陽極の面積を大きくした実験装置を示す図である。

【図25】図24の実験装置を使用して培養試験を行った結果を示す図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

2、4a 培地(ゲル培地、培養液)

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