(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気流路の上流側にある前記風仕切り板の面積よりも、下流側にある前記風仕切り板の面積が小さくなるように構成されていること、を特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る回転電機の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、
図1〜
図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態の回転電機を模式的に示した概略正面図であって、上半分を断面で示す。
図2は、
図1の回転電機のII−II矢視の概略側面図である。
図3は、
図1の回転子20および固定子30を部分的に拡大した部分拡大正面図である。
【0015】
先ず、本実施形態の回転電機の構成について説明する。
【0016】
本実施形態の回転電機は、回転軸2と、リブ10と、回転子20と、固定子30と、回転軸2および固定子30等を収容するフレーム40と、を有する。
【0017】
回転軸2は、水平な軸周りを回転する円柱状の部材で、軸受6により回転自在に支持されている。回転軸2には、回転軸2と共に回転する内部ファン4が取り付けられている。
【0018】
リブ10は、取付け部11と、支持部12と、円環部13と、を有する(
図2)。
【0019】
取付け部11は、回転軸2の外周面を取り囲んで回転軸2に取り付けられる部材である。支持部12は、取付け部11から放射状に円環部13の内周面まで延びる棒状で、周方向に等間隔(90度ごと)に、すなわち4箇所に形成される(
図2)。周方向に隣り合う支持部12の間には、風仕切り板8が配置される。風仕切り板8については、後で説明する。
【0020】
円環部13は、支持部12に支持されて、回転軸2の外周面に所定の半径方向空隙60を保ちながら取り囲むように構成されている。
【0021】
回転子20は、リブ10の円環部13の半径方向外側を取り囲むように固定されて、回転軸2と共に回転する。この回転子20は、回転子鉄心21と、導体の回転子バー23と、を有する。回転子鉄心21は、鋼板が軸方向に複数積層されてなる複数の鋼板群25と、軸方向に隣り合う鋼板群25の間それぞれに配置された複数の間隔板26と、を有する(
図3)。固定子鉄心21には、軸方向に延びるスロット24が形成されている。間隔板26には、半径方向に貫通する回転子ダクト22が形成されている。この例では、間隔板26が軸方向に複数配列されているため、回転子ダクト22は、軸方向に複数形成される。
【0022】
回転子バー23は、スロット24を貫通するように配置される部材である。
【0023】
固定子30は、回転子20を半径方向外側から取り囲む円環状の部材である。この固定子30は、固定子鉄心31および固定子巻線35等からなる。固定子鉄心31は、詳細な図示は省略するが、複数の鋼板群32と、複数の間隔板33と、を有する。
【0024】
鋼板群32は、鋼板が軸方向に複数積層されてなる部材である。間隔板33は、軸方向に互いに隣接する鋼板群32の間に配置される部材である。この間隔板33には、空気が半径方向に流通可能な流路(固定子ダクト34)が形成されている。固定子巻線35は、固定子鉄心31に形成されたスロット(図示せず)に巻きまわされる。
【0025】
フレーム40は、本体部41および風道部42を有する。本体部41は、軸受6等が固定されて、固定子30を半径方向外側から取り囲み、回転子20および固定子30を収容する。
【0026】
風道部42は、本体部41と互いに連通するように形成されて、本体部41内の空気が流入可能で、且つ風道部42の内部の空気が本体部41内に流出可能に構成されている。空気の流路等については、後述する。
【0027】
風道部42内には、熱交換器43が配置されている。この熱交換器43は、フレーム40内の空気を冷却する機能を有し、冷却された空気によって固定子30等を冷却する。当該熱交換器43は、固定子30等を冷却するための空気の流路上に配置される。この例では、熱交換器43は、固定子30の上方に配置される。
【0028】
この熱交換器43の周囲には、複数の板からなり空気の流路を形成する複数の板群が配置されている。
【0029】
これらの板群には、固定子30と熱交換器43を仕切る第1板群51と、本体部41から風道部42への入口部を形成する第2板群52と、熱交換器43に空気を流入させるための第3板群53と、を含む。
【0030】
第1板群51は、固定子30の上方で且つ熱交換器43の下方に取り付けられて、固定子30および熱交換器43を仕切るように配置される。この第1板群51の下方は、固定子30内を通り抜けた空気が流れる流路(固定子上方流路61)が形成されて、第1板群51の上方は、熱交換器43を通り抜けた空気が流れる流路(熱交換器下方流路62)が形成される。
【0031】
第2板群52は、固定子30と内部ファン4との間に配置されて、風道部入口流路63を形成する。この風道部入口流路63は、固定子上方流路61から流れる空気が流入し、その後、内部ファン4を通り抜けて風道部42に流れるように形成されている。
【0032】
第3板群53は、熱交換器43の軸方向両側の端部の上方それぞれに配置されて、曲面が形成された板である。この第3板群53により、風道部入口流路63から流れる空気が流れる熱交換器上流側流路64を形成する。
【0033】
風仕切り板8は、回転軸2に垂直な方向に広がる面が形成されている板状の部材であって、リブ10の軸方向中央よりも
図1における左側で、回転子20の左側端部よりも右側に配置される。
【0034】
この風仕切り板8は、周方向に隣り合う支持部12の周方向間隙それぞれに取り付けられ、この例では、4枚の風仕切り板8が回転軸2の外周を取り囲むように配置される(
図2)。なお、
図1では、風仕切り板8を固定するための支持部12や取付け部11の図示は省略している。
【0035】
このように構成することで、各風仕切り板8は、半径方向空隙60の一部を塞ぎ、半径方向間隙を通り抜けようとする空気の流れを阻害することができる。
【0036】
続いて、冷却空気の流路について説明する。
【0037】
回転電機に電力が供給されると、回転軸2および回転子20が回転し、固定子巻線35から熱が発生し、その熱は、固定子鉄心31等に伝わる。
【0038】
回転軸2の回転に伴い、内部ファン4が回転する。内部ファン4の回転により、フレーム40内に空気の流れが発生する。この例では、
図1における複数の矢印Aで示すように空気が流れる。すなわち、内部ファン4は、
図1における内部ファン4の左側の半径方向空隙60および固定子上方流路61の空気を吸い込むように回転する。
【0039】
内部ファン4によって吸い込まれた空気は、風道部入口流路63を経て、熱交換器上流側流路64に流れ込む。その後、当該空気は、熱交換器43を通り抜ける。熱交換器43を通り抜けている間に、当該空気は冷却される。
【0040】
詳細な図示は省略するが、熱交換器43には、内部に冷却水配管が配置されている。この冷却水配管は、風道部42の外部から冷却水を供給し、熱交換後に再び風道部42の外部に流れるように構成されている。
【0041】
熱交換器43により冷却された空気は、熱交換器下方流路62に流れ込んで、回転子20および固定子30の軸方向外側(
図1の左側)を経て、一部は半径方向空隙60に流れ込む。半径方向空隙60に流れ込んだ空気の多くは、風仕切り板8に吹き付けられる。
【0042】
風仕切り板8に吹き付けられた空気の一部は、風仕切り板8よりも下流側(
図1の右側)に流れて、そのまま半径方向空隙60を通り抜けて、内部ファン4に向かって流れる。
【0043】
風仕切り板8に吹き付けられた空気の一部は、回転子ダクト22を半径方向外側に通り抜けて、固定子鉄心31の固定子ダクト34に流れ込む。このとき、風仕切り板8の
図1の右側にある鋼板群32等を冷却することができる。風仕切り板8の
図1の右側にある鋼板群25、32等を冷却した空気は、固定子上方流路61に流れ出て、内部ファン4に向かって流れる。
【0044】
仮に風仕切り板8がない場合には、半径方向空隙60に流れ込んだ空気は、その多くが半径方向空隙60の下流側(
図1の右側)に向かって流れてしまう。その結果、特に上流側の回転子ダクト22および固定子ダクト34の半径方向流路に流れる空気は、少なくなる。この場合、回転子20および固定子30を冷却する効果が低くなる。特に上流側の固定子鉄心31の冷却効率は低くなってしまう。
【0045】
これに対して、本実施形態では、風仕切り板8を配置することによって、固定子30内の軸方向の上流側を効率よく冷却できる。
【0046】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、冷却されにくい軸方向の上流側の固定子鉄心31の冷却効果を向上させることで、固定子鉄心31等を軸方向に均一に冷却できるようにすることが可能になる。
【0047】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態の回転電機を模式的に示した概略正面図である。なお、
図4では、リブ10の支持部12および取付け部11について、回転子20の軸方向中央よりも上流側(
図4における左側)のみ示し、下流側は省略している。本実施形態は、第1の実施形態(
図1〜
図3)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0048】
本実施形態の風仕切り板8は、回転子20の軸方向中央よりも、上流側、すなわち、
図4における左側に、風仕切り板8が軸方向に複数(この例では、二つ)配置されている。
【0049】
これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ると共に、第1の実施形態よりも、半径方向空隙60内において上流側の固定子30等を冷却しやすくなる。
【0050】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について
図5および
図6を用いて説明する。
図5は、本実施形態の回転電機の風仕切り板8等を模式的に示した部分側面図である。
図6は、
図5の風仕切り板8よりも、半径方向空隙60内の気流の下流側に配置された風仕切り板8等を模式的に示した部分側面図である。
【0051】
なお、本実施形態は、第1の実施形態(
図1〜
図3)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の回転電機の全体の構成は、第1の実施形態で説明した
図1に示すものと同様である。
【0052】
本実施形態の回転子20は、支持部12が軸方向に複数配列されて支持されている。この例では、軸方向に配列された全ての支持部12に風仕切り板8が取り付けられている。このとき、風仕切り板8の面積が上流側と下流側で異なるように構成される。
【0053】
この例では、上流側が下流側よりも面積が大きくなるように、すなわち、半径方向空隙60に占める割合が大きくなるように構成されている。
図5に示す風仕切り板8が取り付けられる軸方向位置は、
図6に示す風仕切り板8が取り付けられる軸方向位置よりも、上流側である。
【0054】
このように構成することで、第1の実施形態よりも、半径方向空隙60から各間隔板33の半径方向流路に流す空気の量を細かく調整することが可能になり、固定子30等を均一に冷却することが可能になる。
【0055】
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0056】
上述した実施形態では、内部ファン4でフレーム40内の空気を流通させているが、これに限らない。他の電源で回転する外部ファンで、フレーム40内の空気を循環させてもよい。
【0057】
また、第3の実施形態では、風仕切り板8の外寸で面積を調整しているが、これに限らない。所定の形状の穴(例えば、円形や矩形)で面積を調整してもよい。