(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記第1ひずみセンサから前記第4ひずみセンサは、ホイーストンブリッジ回路を構成する少なくとも2つのひずみゲージ素子をそれぞれ有する、請求項3に記載の踏力計測装置。
  前記干渉抑制部は、前記クランクアームの長手方向の中心位置よりも前記ペダルが装着される前記起歪部の前記一端部側に形成され、前記長手方向と直交する断面の面積が他の部分と異なる、請求項1から14のいずれか1項に記載の踏力計測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  従来の踏力計測装置では、一つのパラメータ、たとえば、曲げモーメントの分力に関して、別のパラメータの影響を受けて精度が高い計測を行えない。
【0005】
  本発明の課題は、踏力のパラメータを精度良く計測できるようにすることにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  発明1に係る踏力計測装置は、一端部にペダルを、他端部にクランク軸をそれぞれ取付可能なクランクアームに、ペダルを踏むことにより作用する踏力の複数のパラメータを計測する。踏力計測装置は、起歪部と、パラメータ検出部と、干渉抑制部と、を備える。起歪部は、クランクアームに作用するひずみが伝達される。パラメータ検出部は、起歪部に配置され、起歪部に伝達されたひずみから複数のパラメータを検出する。干渉抑制部は、パラメータ検出部によって検出される一つのパラメータにおける他のパラメータからの干渉を抑制する。
【0007】
  この踏力計測装置では、クランクアームの他端部にクランク軸に装着し、かつクランクアームの一端部にペダルを装着してペダルを踏むと、踏力の複数のパラメータが検出され、計測される。このとき、一つのパラメータが他のパラメータからの干渉を受けることによって、一つのパラメータの検出出力に誤差が生じる場合がある。この干渉が干渉抑制部によって抑制される。このため、踏力のパラメータを精度良く計測できる。
【0008】
  発明2に係る踏力計測装置は、発明1に記載の踏力計測装置において、複数のパラメータは、
長手方向分力と、
軸方向分力と、を含み、パラメータ検出部は、
長手方向分力を検出するための第2ひずみセンサと、
軸方向分力を検出する第3ひずみセンサと、を含む。
長手方向分力は、クランクアームに作用する荷重の曲げモーメントのクランクアームの長手方向の分力である。
軸方向分力は、クランクアームに作用する荷重の曲げモーメントのペダルの軸方向の分力である。この場合には、長手方向、すなわち引っ張り方向の分力である
長手方向分力を第2ひずみセンサで、ペダルの軸方向の分力である
軸方向分力を第3ひずみセンサで検出できる。
【0009】
  発明3に係る踏力計測装置は、発明2に記載の踏力計測装置において、複数のパラメータは、
回転方向分力と、荷重位置と、をさらに含み、パラメータ検出部は、
回転方向分力を検出するための第1ひずみセンサと、荷重位置を求めるためにクランクアームに作用する荷重のせん断力を検出するための第4ひずみセンサと、を含む。
回転方向分力は、クランクアームに作用する荷重の曲げモーメントの回転方向の分力である。荷重位置は、使用者がペダルを踏むペダルの軸方向の荷重位置である。この場合には、
長手方向分力と
軸方向分力に加えてクランクアームの回転方向の分力である
回転方向分力と使用者がペダルを踏む荷重位置とを検出できる。このため、ペダリング時に作用する力の方向などを多角的に検出可能になる。
【0010】
  発明4に係る踏力計測装置は、発明3に記載の踏力計測装置において、第1ひずみセンサから第4ひずみセンサは、ホイートストンブリッジ回路を構成する少なくとも2つのひずみゲージ素子をそれぞれ有する。これにより、2つのひずみゲージ素子によって第1から軸方向分力および荷重位置を検出できる。
【0011】
  発明5に係る踏力計測装置は、発明4に記載の踏力計測装置において、第1ひずみセンサから第4ひずみセンサは、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つのひずみゲージ素子をそれぞれ有する。これにより、ひずみゲージ素子の温度補償が可能となり、温度変化に対する検出精度の変動を抑えることができる。
【0012】
  発明6に係る踏力計測装置は、発明5に記載の踏力計測装置において、起歪部は、クランクアームの長手方向に延びる第1面、第2面、第3面、および第4面を有する。第1面および第4面は、ペダルの軸に実質的に垂直である。第2面および第3面は、ペダルの軸に実質的に平行である。この場合には、ペダルの軸と実質的に平行な面にひずみゲージ素子を設けることで回転方向の曲げモーメントの
回転方向分力を検出可能であり、ペダル軸に実質的に垂直な面にひずみゲージ素子を設けることでせん断モーメント、ペダルの軸方向の曲げモーメントの
軸方向分力およびクランクアームの長手方向の曲げモーメントの
長手方向分力を検出可能である。
【0013】
  発明7に係る踏力計測装置は、発明6に記載の踏力計測装置において、起歪部は、四角柱を有している。この場合には、四角柱の各面にひずみゲージ素子を容易に貼り付けでき生産性を向上できる。
【0014】
  発明8に係る踏力計測装置は、発明6または7に記載の踏力計測装置において、第3ひずみセンサを構成する4つのひずみゲージ素子は、第1面または第4面に配置される。第3ひずみセンサのホイートストンブリッジ回路の4辺のうち、対向する一方の2辺に配置されるひずみゲージ素子と、対向する他方の2辺に配置されるひずみゲージ素子とは、クランクアームの長手方向に離間して配置される。対向する2辺に配置されるひずみゲージ素子は、それぞれが起歪部の中立軸に関して対称に配置される。
【0015】
  この場合には、長手方向に離間して配置される各ひずみゲージ素子の位置における曲げモーメントの差に基づいて
軸方向分力を計測して、
軸方向分力を、
回転方向分力、
長手方向分力およびせん断力に干渉されることなく、独立して計測することができる。
【0016】
  発明9に係る踏力計測装置は、発明6または7に記載の踏力計測装置において、第3ひずみセンサを構成する4つのひずみゲージ素子は、第1面または第4面に配置される。第3ひずみセンサにおけるホイートストンブリッジ回路の4辺のうち、第1辺に配置されるひずみゲージ素子および第1辺に対向する第2辺に配置されるひずみゲージ素子は、起歪部の他端部側に、それぞれ配置される。第1辺と第2辺との間の第3辺および第4辺に配置されるひずみゲージ素子は、起歪部の一端部側に、それぞれ配置される。起歪部の一端部側および他端部側にそれぞれにおいて2つのひずみゲージ素子は、起歪部の中立軸に対して対称に配置される。
【0017】
  この場合には長手方向に離間して配置される各ひずみゲージ素子の位置における曲げモーメントの差に基づいて
軸方向分力を計測することができる。
軸方向分力を、
回転方向分力、
長手方向分力およびせん断力に干渉されることなく、独立して計測することができる。また、第3ひずみセンサのひずみゲージ素子を起歪部の両端部に配置したので、センサの出力を大きくすることができる。
【0018】
  発明10に係る踏力計測装置は、発明6から9のいずれかに記載の踏力計測装置において、第1ひずみセンサを構成する4つのひずみゲージ素子は、起歪部の他端部に配置される。第1ひずみセンサにおけるホイートストンブリッジ回路の4辺のうち、第1辺に配置されるひずみゲージ素子および第1辺に対向する第2辺に配置されるひずみゲージ素子は、第2面および第3面の一方に、それぞれ配置される。第1辺と第2辺との間の第3辺および第4辺に配置されるひずみゲージ素子は、第2面および第3面の他方に、それぞれ配置される。同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、それぞれが起歪部の中立軸に関して対称に配置される。
【0019】
  この場合には、クランクアームの曲げモーメントの回転方向の分力である
回転方向分力が大きくなる起歪部の他端側に第1ひずみセンサが配置されるので、ひずみゲージ素子の出力を大きくすることができる。
【0020】
  発明11に係る踏力計測装置は、発明6から9のいずれかに記載の踏力計測装置において、第1ひずみセンサを構成する4つのひずみゲージ素子は、起歪部の他端部に配置される。第1ひずみセンサにおけるホイートストンブリッジ回路の4辺のうち、第1辺に配置されるひずみゲージ素子および第1辺に対向する第2辺に配置されるひずみゲージ素子は、第2面および第3面の一方に、それぞれ配置される。第1辺と第2辺との間の第3辺および第4辺に配置されるひずみゲージ素子は、第2面および第3面の他方に、それぞれ配置される。同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、起歪部の長手方向に並んで配
置される。
【0021】
  この場合には、クランクアームの曲げモーメントの回転方向の分力である
回転方向分力が大きくなる起歪部の他端側に第1ひずみセンサが配置されるので、ひずみゲージ素子の出力を大きくすることができる。
【0022】
  発明12に係る踏力計測装置は、発明6から11のいずれかに記載の踏力計測装置において、第2ひずみセンサを構成する4つのひずみゲージ素子は、前記起歪部の一端部に配置される。第2ひずみセンサにおけるホイートストンブリッジ回路の4辺のうち、第1辺に配置されるひずみゲージ素子および1辺に対向する第2辺に配置されるひずみゲージ素子は、第1面および第4面の一方に、それぞれ配置される。第1辺と第2辺との間の第3辺および第4辺に配置されるひずみゲージ素子は、第1面および第4面の他方に、それぞれ配置される。同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、それぞれが起歪部の中立
軸に関して対称に配置される。
【0023】
  この場合には、クランクアームの曲げモーメントの長手方向の分力である
長手方向分力を検出する第2ひずセンサの出力が、クランクアームに作用する荷重の曲げモーメントの
ペダルの軸方向の分力からの干渉を受けにくくなる。
【0024】
  発明13に係る踏力計測装置は、発明6から12のいずれかに記載の踏力計測装置において、第4ひずみセンサを構成する4つのひずみゲージ素子は、起歪部の長手方向の実質的に中央部に配置される。第4ひずみセンサにおけるホイートストンブリッジ回路の4辺のうち、隣接している第1辺および第3辺に配置されるひずみゲージ素子は、第1面および第4面の一方に、第1辺および第3辺と対向する第2辺および第4辺に配置されるひずみゲージ素子は、第1面および第4面の他方に、それぞれ配置される。同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、それぞれが起歪部の中立軸に関して対称に配置される。
【0025】
  この場合には、
回転方向分力、
長手方向分力および
軸方向分力の干渉を受けにくくなり、クランクアームに作用する荷重のせん断モーメントのせん断力を計測することができる。
【0026】
  発明14に係る踏力計測装置は、発明6から12のいずれかに記載の踏力計測装置において、第4ひずみセンサを構成する4つのひずみゲージ素子は、起歪部の長手方向の実質的に中央部に配置される。第4ひずみセンサにおけるホイートストンブリッジ回路の4辺のうち、隣接している第1辺および第3辺に配置されるひずみゲージ素子と、第1辺および第3辺と対向する第2辺および第4辺に配置されるひずみゲージ素子とは、第1面または第4面に、配置される。第1辺および第3辺に配置されるひずみゲージ素子と、第2辺および第4辺に配置されるひずみゲージ素子とは、起歪部の中立軸に関して対称に配置さ
れる。
【0027】
  この場合には、
回転方向分力、
長手方向分力および
軸方向分力の干渉を受けにくくなり、クランクアームに作用する荷重のせん断モーメントのせん断力を計測することができる。
【0028】
  発明15に係る踏力計測装置は、発明1から14のいずれかに記載の踏力計測装置において、干渉抑制部は、クランクアームの長手方向の中心位置よりもペダルが装着される起歪部の一端部側に形成され、長手方向と直交する断面の面積が他の部分と異なる。この場合には、断面の面積を異ならせるだけで、干渉を容易に抑制できる。
【0029】
  発明16に係る踏力計測装置は、発明15に記載の踏力計測装置において、干渉抑制部は、貫通孔を形成することにより構成する。この場合には、干渉抑制部を形成しやすくなる。
【0030】
  発明17に係る踏力計測装置は、発明2から16のいずれかに記載の踏力計測装置において、干渉抑制部は
、第2ひずみセンサの出力に基づいて、
長手方向分力を検出するに当たって、第3ひずみセンサの出力に基づいて
軸方向分力が検出されると、
軸方向分力の干渉抑制する演算処理を行う。この場合には演算処理によって、
長手方向分力に含まれる
軸方向分力の干渉の成分を抑制できるので、精度よく
長手方向分力を計測できる。
【0031】
  発明18に係る踏力計測装置は、発明3から17のいずれかに記載の踏力計測装置において、干渉抑制部は、
軸方向分力の干渉を抑制する演算処理を、前記第1、第2、第3および第4ひずみセンサの出力に基づいて行う。この場合には、4つのひずみセンサの出力によって演算処理を行うので、さらに精度よく干渉を抑制できる。
【0032】
  発明19に係る踏力計測装置は、発明1から18のいずれかに記載の踏力計測装置において、起歪部は、クランクアームと別体で設けられる。この場合には、起歪部がクランクアームと別体で設けられるので、形状の複雑なクランクアームであっても起歪部を設けやすい。また、種々の形状のクランクアームに対して同じ起歪部を用いることができるようになるので、起歪部の標準化を図れる。さらに、クランクアームと起歪部とを別体で製造することができるので、生産性およびメンテナンス性などを向上できる。
【0033】
  発明20に係る踏力計測装置は、発明1から18のいずれかに記載の踏力計測装置において、クランクアームをさらに備える。
【0034】
  発明21に係る踏力計測装置は、発明20に記載の踏力計測装置において、クランクアームは、ペダルを取付可能なペダル取付部と、クランク軸を取付可能なクランク軸取付部と、クランク長さ調整機構と、を備える。クランク長さ調整機構は、クランクアームの長手方向において、ペダル取付部とクランク軸取付部との相対位置を変更可能である。この場合には、ペダル取付部とクランク軸取付部との相対位置を変更して踏力の複数のパラメータを計測できるので、使用者にとって最適なクランク長さを得ることができる。
【0035】
  発明22に係る踏力計測装置は、発明21に記載の踏力計測装置において、起歪部は、ペダル取付部に設けられる。この場合には、ペダル取付位置と起歪部との相対位置が変化しないので、ペダル取付部とクランク軸取付部との相対位置を変更することに基づく、パラメータ検出部の出力への影響を抑制することができる。
【0036】
  発明23に係る踏力計測装置は、発明1から18のいずれかに記載の踏力計測装置において、起歪部は、クランクアームと一体で構成される。この場合には、起歪部を別に設ける必要がないため、踏力計測装置の構成が簡素になる。
 
【発明の効果】
【0037】
  本発明によれば、ペダルを踏むことによりクランクアームに作用する踏力の複数のパラメータのうち、あるパラメータに別のパラメータが干渉することを抑制して、検出したパラメータに誤差が生じてしまうことを抑制することができる。このため、踏力のパラメータを精度良く計測できる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0039】
  図1において、本発明の第1実施形態を採用したクランク組立体10は、第1端部12aおよび第2端部12bを有するクランク軸12と、第1踏力計測装置14aと、第2踏力計測装置14bと、スプロケット15と、を備える。第1踏力計測装置14aは、クランク軸12の第1端部12aに、クランク軸12と一体回転可能に連結される。第2踏力計測装置14bは、クランク軸12の第2端部12bに、クランク軸12と一体回転可能に連結される。ここで、クランク軸12の第1端部12aは、自転車にクランク組立体10が装着されたときに、自転車を後方から見て右側に配置され、第2端部12bは、左側
に配置される。本実施の形態では、クランク軸12は、中空の円筒形状に形成されている
。
 
【0040】
  第1踏力計測装置14aは、クランク軸12の第1端部12aに、クランク軸12と一体で回転可能に連結可能な第1クランクアーム20aを有する。第1クランクアーム20aは、長手方向の一端部31a1 に第1ペダル16aを、長手方向の他端部31a2にクランク軸12の第1端部12aを取付可能である。第1踏力計測装置14aは、第1ペダル16aを踏むことにより、第1クランクアーム20aに作用する踏力の複数のパラメータを計測する装置である。第1踏力計測装置14aは、第1クランクアーム20aと、起歪部22と、パラメータ検出部24と、干渉抑制部26としての貫通孔26 と、を備える。起歪部22は、第1クランクアーム20aに着脱可能に設けられ、第1クランクアーム20aに作用するひずみが伝達される。パラメータ検出部24は、起歪部22に配置され、起歪部22に伝達されたひずみから複数のパラメータを検出する。干渉抑制部26は、パラメータ検出部24によって検出される一つのパラメータにおける他のパラメータからの干渉を抑制する。
 
【0041】
  スプロケット15は、スプロケット取付部75を介して第1クランクアーム20aに固定される。スプロケット取付部75は、図示しないボルトなどの固定部材によって第1クランクアーム20aに固定される。スプロケット取付部75はクランク軸12を挿通する挿通孔と、放射状に延びる複数本のアーム部とを有する。アーム部には、スプロケット15の内周部を固定するボルトなどの固定部が設けられ、スプロケット15はアーム部に着脱可能に固定される。スプロケット取付部75は、クランク軸12に圧入されてもよく、
また第1クランクアーム20aに一体で形成されてもよい。
 
【0042】
  第2踏力計測装置14bは、第1踏力計測装置14aと同様な構成であり、第2ペダル16bを踏むことにより、第2クランクアーム20bに作用する踏力の複数のパラメータを計測する装置である。第2踏力計測装置14bは、第2クランクアーム20bと、第1踏力計測装置14aと同じ構成の図示しない起歪部22、パラメータ検出部24、および干渉抑制部26と、備える。したがって、以下の説明では、第2踏力計測装置14bの第1踏力計測装置14aと同様な構成の説明を省略し、
図1において第1踏力計測装置14aと同様の構成には同様の参照番号を用い、その添え字をaからbに変更して示している
。
 
【0043】
  <第1クランクアームおよび第2クランクアーム>
  第1クランクアーム20aおよび第2クランクアーム20bは、それぞれ長手方向に延びる棒状の部材である。第1クランクアーム20aおよび第2クランクアーム20bの両端は半円形に丸められているが、両端の形状は特に限定されない。第1クランクアーム20aは、第1アーム本体30aと、第1アーム本体30aを覆う第1アームカバー32aと、を有する。第2クランクアーム20bは、第2アーム本体30bと、第2アームカバー32bと、を有する。
 
【0044】
  第1アーム本体30aは、
図2に示すように、長手方向の一端部31a1に第1ペダル16aを取付可能な第1ペダル取付部34aを有する。第1アーム本体30aは、長手方向の他端部31a2に、たとえば圧入またはボルト等の適宜の固定手段によってクランク軸12の第1端部12aに固定可能な第1クランク軸取付部36aを有する。本実施の形態では、クランク軸12の第1端部12aは、第1クランク軸取付部36aに圧入によって固定される。第1ペダル取付部34aには、第1ペダル16aのペダル軸17aが着脱自在に固定可能である。第1ペダル取付部34aは、たとえばペダル軸17aが螺合する
第1ネジ孔35aを有する。第1クランク軸取付部36aは、第1取付孔37aを有する。第1クランク軸取付部36aの第1取付孔37aに臨む内周部には、セレーションが形成され、第1取付孔37aにクランク軸12の第1端部12aに圧入固定される。ここでは、第1取付孔37aは貫通孔であるが、第1取付孔37aは、凹部によって形成されてもよい。
 
【0045】
  また、第1アーム本体30aは、第1ペダル取付部34aと第1クランク軸取付部36aの間に起歪部22aが収納される第1収納部38aを有する。第1収納部38aは、凹部によって形成される。本実施の形態では、第1収納部38aは、クランク組立体10を自転車に取り付けたときに、クランク軸の延びる方向で自転車と反対に開口して形成される。第1収納部38aは、第1クランクアーム20aの長手方向に沿う両側に起歪部22aを第1クランクアーム20aに固定するための第1取付部39aを有する。2つの第1取付部39aには、起歪部22aを固定するための固定ボルト42がねじ込まれるそれぞれ2つの固定孔40aが形成される。第1取付部39aにおける各固定孔40aは、ペダル軸17aおよびクランク軸12を含む平面に関して対称となるように配置される。本実施の形態では、固定孔40aは、ネジ孔である。第1アーム本体30aの外周部には、第1アームカバー32aを装着するための環状の第1段差部41a が形成される。第1段差部41aは、第1アームカバー32aの後述する第1縁部44a の厚みと同じ寸法で外側面から凹んで形成される。
 
【0046】
  図1に示すように、第1アームカバー32aは、第1収納部38aを覆う第1カバー部43aと、第1カバー部43aの周縁部に第1アーム本体30aに向けて環状に突出する第1縁部44a と、を有する。第1縁部44aの内周部が第1アーム本体30aの第1段差部41a に嵌合する。第1カバー部43aは、第1アーム本体30aの一側面の全体を覆うように、第1クランクアーム20aの長手方向の一端部31a1から他端部31a2に亘って設けられる。このため、第1カバー部43aには、第1ネジ孔35aに連なり第1ペダル16aのペダル軸17aが通過可能な第1貫通孔47aと、第1取付孔37aに連なる第2貫通孔46a と、を有する。第2貫通孔46aは、第1取付孔37aと同様の直径に形成される。ここでは、第2貫通孔46aを形成しているが、第2貫通孔46aは形成しなくてもよい。第1アームカバー32aは、第1アーム本体30aに、複数(たとえば、4本)のねじ部材45aによって固定される。なお、固定方法はねじ止めに限定されず、接着または弾性係合等の他の固定方法であってもよい。
 
【0047】
  図1に示すように、第2クランクアーム20bは、第2アーム本体30bと、第2アームカバー32bと、を有する。第2アーム本体30bは、第1アーム本体30aと第2クランク軸取付部36bの構成が異なる。第2クランク軸取付部36bは、セレーションが形成された第2取付孔37bにスリット37cが形成される。スリット37cは、第2アーム本体30bの外側面まで延びる。また、スリット37cは、スリット37cと交差する方向から挿入される締め付けボルト46bによって幅が狭められる。これにより、第2クランクアーム20bがクランク軸12の第2端部12bに固定される。その他の構成は
第1クランクアーム20aと同じであるため説明を省略する。
 
【0048】
  <起歪部>
  起歪部22は、
図2、
図3、
図4および
図5に示すように、第1クランクアーム20aの長手方向に延びる起歪部本体50と、起歪部本体50の長手方向の両端部から起歪部本体50と直交する方向で、起歪部本体50から離反する方向に延びる固定部51と、を有する。起歪部22は、扁平H字形状である。起歪部本体50は四角柱で形成される。
 
【0049】
  図6は、起歪部本体50の断面を示す。起歪部本体50は、
図6に示すように、第1クランクアーム20aの長手方向に延びる第1面52a、第2面52b、第3面52c、および第4面52dを有する。本実施の形態では起歪部本体50の第1面52a、第2面52b、第3面52c、および第4面52dの大きさは等しい。第1面52aと、第1面52aに対向する第4面52dとは、
図1に示す第1ペダル16aのペダル軸17aに実質的に垂直である。第2面52bと、第2面52bに対向する第3面52cとは、
図1に示す第1ペダル16aのペダル軸17aに実質的に平行である。この起歪部本体50の曲げ
およびせん断をパラメータ検出部24によって検出することにより、複数のパラメータを計測できる。
 
【0050】
  固定部51には、長手方向と直交する方向に間隔を隔てて2つの固定孔51aが形成される。固定孔51aは、起歪部本体50を挟んで対称に設けられる。固定孔51aは貫通孔によって形成され、ペダル16aの軸17aと実質的に並行に延びる。起歪部22を第1収納部38aに固定する固定ボルト42が、固定孔51aを貫通して固定孔40aにねじ込まれる。
 
【0051】
  起歪部本体50は、起歪部22をクランクアーム20aに固定した状態で、第1アーム本体30aと第1アームカバー32aとに接触しないように設けられる。
 
【0052】
  <パラメータ検出部>
  パラメータ検出部24は、
図2、
図3、および
図4に示すように、第1分力Fθを検出するための第1ひずみセンサ54と、第2分力Frを検出するための第2ひずみセンサ56と、第3分力Fzを検出するための第3ひずみセンサ58と、荷重位置Lを求めるために第1クランクアーム20aに作用する荷重のせん断力を検出するための第4ひずみセンサ60と、を有する。
 
【0053】
  図1に示すように、第1分力Fθは、第1クランクアーム20aに作用する荷重の曲げモーメントの回転方向の分力である。第2分力Frは、第1クランクアーム20aに作用する荷重の曲げモーメントの第1クランクアーム20aの長手方向の分力である。第3分力Fzは、第1クランクアーム20aに作用する荷重の曲げモーメントの第1ペダル16aの軸方向の分力である。荷重位置Lは、使用者が第1ペダル16aを踏む第1ペダル16aの軸方向の位置であり、第1クランクアーム20aの外側面から第1ペダル16aの荷重が作用する位置までの軸方向長さである。
第1分力Fθは、回転方向分力の一例である。第2分力Frは、長手方向分力の一例である。第3分力Fzは軸方向分力の一例である。
 
【0054】
  第1ひずみセンサ54、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つのひずみゲージ素子B1、B2、B3およびB4を有する。第2ひずみセンサ56は、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つのひずみゲージ素子P1、P2、P3およびP4を有する。第3ひずみセンサ58は、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つのひずみゲージ素子A1、A2、A3およびA4を有する。第4ひずみセンサ60は、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つのひずみゲージ素子T1、T2、T3およびT4をそれぞれ有する。
 
【0055】
  <第1ひずみセンサ>
  第1ひずみセンサ54を構成する4つのひずみゲージ素子B1,B2,B3およびB4は、起歪部22の他端部(
図3において右端部)に配置される。ひずみゲージ素子B1,B2,B3およびB4は、起歪部本体50の他端部で、クランクアーム20aに接触しない位置に配置される。
図7に示すように、第1ひずみセンサ54におけるホイートストンブリッジ回路62の4辺のうち、第1辺62aに配置されるひずみゲージ素子B1および第1辺62aに対向する第2辺62bに配置されるひずみゲージ素子B3は、
図3及び
図6に示すように、第2面52bに、それぞれ配置される。ホイートストンブリッジ回路6
2の第1辺62aと第2辺62bとの間の第3辺62cに配置されるひずみゲージ素子B2と、第1辺62aと第2辺62bとの間の第4辺62dに配置されるひずみゲージ素子B4とは、
図3および
図6に示すように、第3面52cに、それぞれ配置される。
 
【0056】
  第2面52bに配置される2つのひずみゲージ素子B1およびB3は、起歪部22の中立軸CX上で長手方向に並べて配置される。第3面52cに配置される2つのひずみゲージ素子B2およびB4は、起歪部22の中立軸CX上で長手方向に並べて配置される。すなわち第1ひずみセンサ54において、同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、起歪部22の中立軸CX上で長手方向に並べて配置される。各ひずみゲージ素子B1,B2,B3およびB4はそのひずみの検出方向が、クランクアーム20aの長手方向に沿うように配置される。
 
【0057】
  ひずみゲージ素子B1とひずみゲージ素子B2とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。またひずみゲージ素子B3とひずみゲージ素子B4とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。
 
【0058】
  なお、
図18に示すように、第2面52bに配置されるひずみゲージ素子B1とひずみゲージ素子B3とが、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置され、第3面52cに配置されるひずみゲージ素子B2とひずみゲージ素子B4とが、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置されてもよい。すなわち第1ひずみセンサ54において、同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、それぞれが起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置されてもよい。またひずみゲージ素子B1とひずみゲージ素子B2とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。またひずみゲージ素子B3とひずみゲージ素子B
4とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。
 
【0059】
  <第2ひずみセンサ>
  第2ひずみセンサ56を構成する4つのひずみゲージ素子P1、P2、P3およびP4は、起歪部22の一端部(
図4において左端部)に配置される。ひずみゲージ素子P1、P2、P3およびP4は、起歪部本体50の一端部で、クランクアーム20aに接触しない位置に配置される。
図8に示すように、第2ひずみセンサ56におけるホイートストンブリッジ回路64の4辺のうち、第1辺64aに配置されるひずみゲージ素子P2および第1辺64aに対向する第2辺64bに配置されるひずみゲージ素子P4は、第4面52dに、それぞれ配置される。ホイートストンブリッジ回路64の第1辺64aと第2辺6
4bとの間の第3辺64cに配置されるひずみゲージ素子P1と、第1辺64aと第2辺64bとの間の第4辺64dに配置されるひずみゲージ素子P3は、
図4および
図5に示すように第1面52aに、それぞれ配置される。第1面52aに配置される2つのひずみゲージ素子P1およびP3は、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。第4面52dに配置される2つのひずみゲージ素子P2およびP4は、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。すなわち第2ひずみセンサ56において同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、それぞれが起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置さ
れる。各ひずみゲージ素子P1、P2、P3およびP4はそのひずみの検出方向が、クランクアーム20aの長手方向に沿うように配置される。ひずみゲージ素子P1とひずみゲージ素子P2とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。またひずみゲージ素子P3とひずみゲージ素子P4とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。
 
【0060】
  <第3ひずみセンサ>
  第3ひずみセンサ58を構成する4つのひずみゲージ素子A1、A2、A3およびA4は、第1面52aに配置される。ただし、第3ひずみセンサ58は第4面52dに配置されてもよい。
図9に示すように、第3ひずみセンサ58におけるホイートストンブリッジ回路66の4辺のうち、第1辺66aに配置されるひずみゲージ素子A2および第1辺66aに対向する第2辺66bに配置されるひずみゲージ素子A4は、
図5に示すように、起歪部22の他端部(
図5において右端部)に、それぞれ配置される。ひずみゲージ素子A2およびA4は、起歪部本体50の他端部で、クランクアーム20aに接触しない位置に配置される。
 
【0061】
  ホイートストンブリッジ回路66の第1辺66aと第2辺66bとの間の第3辺66cに配置されるひずみゲージ素子A1と、第1辺66aと第2辺66bとの間の第4辺66dに配置されるひずみゲージ素子A3とは、起歪部22の一端部(
図5において左端部)に、それぞれ配置される。ひずみゲージ素子A1およびA3は、起歪部本体50の一端部で、クランクアーム20aに接触しない位置に配置される。
 
【0062】
  起歪部22の一端部において、2つのひずみゲージ素子A1及びA3は、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。また起歪部22の他端部において、2つのひずみゲージ素子A2およびA4は、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。各ひずみゲージ素子A1、A2、A3およびA4はそのひずみの検出方向が、クランクアーム20aの長手方向に沿うように配置される。ひずみゲージ素子A1とひずみゲージ素子A2とは、クランクアーム20aの長手方向に垂直な方向において起歪部22の中立軸CXの一方に配置される。またひずみゲージ素子A3とひずみゲージ
素子A4とは、クランクアーム20aの長手方向に垂直な方向において起歪部22の中立軸CXの他方に配置される。
 
【0063】
  <第4ひずみセンサ>
  第4ひずみセンサ60を構成する4つのひずみゲージ素子T1、T2、T3およびT4は、
図4に示すように、起歪部22の長手方向の実質的に中央部CPに配置される。中央部CPは、中央および中央付近を含む。ひずみゲージ素子T1、T2、T3およびT4は、起歪部本体50の長手方向の中央部に配置される。
図10に示すように、第4ひずみセンサ60におけるホイートストンブリッジ回路68の4辺のうち、隣接している第1辺68aおよび第3辺68cに配置されるひずみゲージ素子T2およびひずみゲージ素子T1は、
図4に示すように、第4面52dに配置される。第1辺68aと対向する第2辺68
bに配置されるひずみゲージ素子T4と、第3辺68cと対向する第4辺6dに配置されるひずみゲージ素子T3は、
図5に示すように、第1面52aに、それぞれ配置される。
 
【0064】
  第1面52aに配置される2つのひずみゲージ素子T3およびT4は、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。また第4面52dに配置される2つのひずみゲージ素子T1およびT2は、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。すなわち第4ひずみセンサ60において同一面に配置される2つのひずみゲージ素子は、それぞれが起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。
 
【0065】
  ひずみゲージ素子T1は、そのひずみの検出方向がクランクアーム20aの長手方向に45°傾斜するように配置される。ひずみゲージ素子T2は、そのひずみの検出方向がクランクアーム20aの長手方向に45°傾斜するように配置され、かつひずみゲージ素子T1のひずみの検出方向と直交するように配置される。
 
【0066】
  ひずみゲージ素子T3は、そのひずみの検出方向がクランクアーム20aの長手方向に45°傾斜するように配置され、かつひずみゲージ素子T2のひずみの検出方向に実質的に平行となるように配置される。ひずみゲージ素子T4は、そのひずみの検出方向がクランクアーム20aの長手方向に45°傾斜するように配置され、ひずみゲージ素子T2のひずみの検出方向と直交するように配置され、かつひずみゲージ素子T3のひずみの検出方向に実質的に平行となるように配置される。
 
【0067】
  ひずみゲージ素子T1とひずみゲージ素子T4とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。またひずみゲージ素子T2とひずみゲージ素子T3とは、起歪部本体50を挟んで重なる位置に配置される。
 
【0068】
  なお、第4ひずみセンサ60の各ひずみゲージ素子T1、T2、T3およびT4は、
図19に示すように、第1面52aまたは第4面52dにまとめて配置してもよい。ホイートストンブリッジ回路68の第1辺68aに配置されるひずみゲージ素子T2および第3辺68cに配置されるひずみゲージ素子T1と、第2辺68bに配置されるひずみゲージ素子T4および第4辺68dに配置されるひずみゲージ素子T3とは、起歪部22の中立軸CXに関して対称に配置される。またひずみゲージ素子T1とひずみゲージ素子T2とは、起歪部22の長手方向の中央を挟んで対称に配置され、ひずみゲージ素子T3とひず
みゲージ素子T4とは、起歪部22の長手方向の中央を挟んで対称に配置される。
 
【0069】
  <干渉抑制部>
  干渉抑制部26は、たとえば、第2ひずみセンサ56が検出する第2分力Frに含まれる、第3分力Fzの干渉を抑制する。干渉抑制部26は、干渉を演算処理によって抑制する
図11に示す第1干渉抑制部70と、干渉を起歪部22の構造によって抑制する
図3に示す第2干渉抑制部72と、を有する。
 
【0070】
  <第1干渉抑制部>
  第1干渉抑制部70は、マイクロコンピュータを含む演算処理部76によってソフトウェアを実行することによって実現される。演算処理部76は、第1クランクアーム20aおよび第2クランクアーム20bのそれぞれに形成される凹部などの収容空間に収容されてもよく、
図1に示すように、第2クランクアーム20bの側面にケース部材74を設けて、このケース部材74に収納してもよい。本実施の形態では、演算処理部76はケース部材74に設けられる。
 
【0071】
  演算処理部76には、第1クランクアーム20aおよび第2クランクアーム20bに設けられる、第1ひずみセンサ54、第2ひずみセンサ56、第3ひずみセンサ58、および第4ひずみセンサ60が接続される。演算処理部76と各ひずみセンサ54、56、58および60とは、電気ケーブル、プリント配線などの配線を介して電気的に接続される。演算処理部76と各ひずみセンサ54、56、58および60とは、信号を増幅する中継回路を介して接続されてもよい。本実施の形態では、演算処理部76がケース部材74に設けられるので、クランク軸12に第1クランクアーム20aの各ひずみセンサ54、
56、58および60と演算処理部76とを接続する配線を設けている。第1クランクアーム20a、第2クランクアーム20bおよびクランク軸12には、配線を通過させるための孔(図示せず)が適宜設けられる。
 
【0072】
  また、演算処理部76には、第1クランクアーム20aに設けられ、第1クランクアーム20aの回転速度を計測するケイデンスセンサ78が接続される。ケイデンスセンサ78はスプロケット取付部75のアーム部に設けられてもよい。ケイデンスセンサ78は、たとえばリードスイッチによって実現される。さらに、演算処理部76には第2クランクアーム20bに設けられ、第2クランクアーム20bの回転速度計測用のケイデンスセンサ78と、電池からなる電源71と、演算したデータを、パーソナルコンピュータを含む外部装置に送信可能な無線通信部73と、が接続される。電源71は、第1クランクアーム20aまたは第2クランクアーム20bに形成される凹部などの収容空間、クランク軸12およびケース部材74のいずれかに設けられる。ケイデンスセンサ78は、クランク軸12の周囲において、自転車のフレームに設けられる少なくとも一つの磁石に対向可能に配置される。
 
【0073】
  無線通信部73は、ケース部材74に設けられる。ケース部74は、電波を遮蔽しない合成樹脂によって形成されている。ケース部74は、ボルト、接着剤またはバンドによって実現される固定手段によって第2クランクアーム20bに、着脱可能または着脱不能に固定される。ケース部材74は、クランク組立体10を自転車に取り付けたときに、第2クランクアーム20bの自転車フレーム側となる側面に取り付けられるのが好ましい。
 
【0074】
  第1干渉抑制部70は、ソフトウェアによって実現される機能構成として、第1分力算出部80と、荷重位置算出部82と、第2分力算出部84と、第3分力算出部86と、を有する。第2分力算出部84は、干渉成分算出部88と、干渉成分除去部90と、を有する。
 
【0075】
  第1ひずみセンサ54の出力OP1(Fθ)は、第1クランクアーム20aの回転方向の曲げモーメントM(Fθ)に応じたものある。このため、
図3に示すように、第1ひずみセンサ54の曲げモーメントM(Fθ)は、第1分力Fθに距離L1を乗算した値(Fθ×L1)である。ここで距離L1は、第1ひずみセンサ54の4つのひずみゲージ素子B1−B4の長手方向の中心位置と第1ペダル16aの軸芯との間の距離である。したがって、第1分力算出部80は、第1ひずみセンサ54の曲げモーメントM(Fθ)を距離L1で除算して第1分力Fθを算出する。すなわち、Fθ=OP1=M(Fθ)/L1となる。
 
【0076】
  第4ひずみセンサ60の出力OP4(=L)は、荷重位置Lにおける第1分力FθのトルクT(Fθ)に応じたものであるので、
図3に示すように、トルクT(Fθ)は、第1分力Fθに荷重位置Lを乗算した値(Fθ×L)である。したがって、荷重位置算出部82は、第4ひずみセンサ60の出力OP4を第1分力Fθで除算して荷重位置Lを算出する。すなわち、L=OP4=T(Fθ)/Fθとなる。
 
【0077】
  第2ひずみセンサ56の出力OP2(Fr’)は、荷重位置LにおけるFr曲げモーメントM(Fr’)に応じたものである。出力OP2(Fr’)は、第2ひずみセンサの曲げモーメントM(Fr’)を荷重位置Lで除算して求めることができる。すなわち、Fr=OP2=M(Fr’)/Lとなる。
 
【0078】
  第3ひずみセンサ58の出力OP3(Fz)は、第1クランクアーム20aの曲げモーメントM(Fz)に応じたものである。第3ひずみセンサ58の曲げモーメントM(Fz)は、第3分力Fzに、
図3に示す他端側のひずみガージ素子A2,A4から第1ペダル16aの軸芯までの距離L4から、一端側のひずみゲージ素子A1、A3から第1ペダル16aの軸芯までの距離L3を引いた距離L2を乗算したものである。したがって、第3分力算出部86は、第3ひずみセンサ58の出力OP3曲げモーメントM(Fz)で除算して第3分力Fzを算出する。すなわち、Fz=OP3=M(Fz)/L2となる。
 
【0079】
  第2分力算出部84において、干渉成分算出部88は、第2ひずみセンサ56の出力OP2に対する第3分力のFzの干渉成分を算出する。第2ひずみセンサ56に対する第3分力Fzの干渉成分IFは、第3分力Fzの第2ひずみセンサ56から第1ペダル16aの軸芯までの距離L5のモーメントである。したがって、干渉成分算出部88では、算出された第3分力Fzに距離L5を乗算したFz×L5を算出する。すなわちIF=Fz×L5となる。
 
【0080】
  第2分力算出部84の干渉成分除去部90では、第2ひずみセンサ56の曲げモーメントM(Fr’)に含まれる第3分力Fzの干渉成分IFを除去する。具体的には、第2ひずみセンサ56の出力OP2から第3分力算出部86で算出された第3分力Fzに距離L5を乗算して算出された干渉成分Fz×L5を引いて真の第2分力FrのモーメントM(Fr)を求め、求めたモーメントを荷重位置Lで除算して真の第2分力Frを算出する。
すなわち、Fr=(M(Fr’)−IF)/Lとなる。これにより、第3分力Fzの干渉を抑制できる。
 
【0081】
  なお、各センサの出力と、各分力および荷重位置と、の関係は、実験等によって予め定められる。したがって、上記の説明では、各センサの出力を各分力および荷重位置として扱っている。
 
【0082】
  <第2干渉抑制部>
  第2干渉抑制部72は、起歪部22の構造によって第2ひずみセンサ56の出力OP3に対する第2分力Frの干渉を抑制する。第2干渉抑制部72は、
図3に示すように、第1クランクアーム20aの長手方向の中心位置よりも起歪部22の一端部側、すなわちペダル取付部34a側に形成される。第2干渉抑制部72は起歪部本体50に形成される。
第2干渉抑制部72の長手方向と直交する断面の面積は、起歪部本体50の他の部分と異なり、本実施の形態では、断面の面積が起歪部本体50の他の部分と異なる。第1実施形態では、第2干渉抑制部72は、貫通孔72aを形成することにより構成される。貫通孔72aは、
図6に示すように、第2面52bと第3面52cを貫通して形成される。第2干渉抑制部72は、第2ひずみセンサ56の近傍に配置される。貫通孔72aは、孔の延びる方向に垂直な断面が真円であってもよく、長穴形状であっても、楕円形であっても、
多角形形状であってもよい。
 
【0083】
  本実施の形態では、第1干渉抑制部70と第2干渉抑制部72によって、第2分力Fr’に含まれる干渉成分IFが抑制されるので、第2分力Frを精度よく計測できる。たとえば、シミュレーションによって負荷を第1クランクアーム20aに与えたところ、干渉抑制部26を設けない場合は干渉率が−165%であったものが、干渉抑制部26を設けることによって干渉率が−2.3%に減少した。ここで、干渉率は、第1クランクアーム20aの引っ張り方向に所定の負荷を作用させたときの第3ひずみセンサ58の出力と、ペダル軸の軸方向に所定の負荷を作用させたときの第3ひずみセンサ58の出力とに測定された第2分力(Fr)を測定された第3分力(Fz)で除算したときのパーセンテージである。
 
【0084】
  計測結果は、無線通信部73により、外部装置に送信される。外部装置での各分力荷重位置およびクランク回転速度を用いた表示内容の一例を
図12に示す。
 
【0085】
  図12では、第1踏力計測装置14aおよび第2踏力計測装置14bを備えるクランク組立体10が装着された自転車を走行させるか、前記自転車の後輪の回転に回転負荷を与える回転負荷装置にセットしてペダリングすると、計測された3つの分力、荷重位置、およびクランク回転速度などに基づいて以下の表示が行われる。
 
【0086】
  表示画面の上から順に1.三次元ペダリング効率、2.パワー、3.最大パワー、4.最大速度、5.クランク回転速度、6.脈拍、7.測定時間の項目の結果が表示される。
また、その下方には、右足と左足に分けた、8.パワーおよび9.三次元ペダリング効率が数値表示される。さらにその下方には、10.平均荷重位置、11.平均荷重位置のずれ、12.バックペダリング効率、13.ピークトルククランク角、14.平均ペダリングパターンが図形表示される。これにより使用者は、自身に最適なペダリング方法を習得したり、最適なクランク長さを選択したりすることができるようになる。
 
【0087】
  1.三次元ペダリング効率D、および9.左クランクの三次元ペダリング効率DLおよび右クランクの三次元ペダリング効率DRは、たとえば、
図20に示した式を用いて算出される。画面では、計算値に100を乗算して%で表示している。
 
【0088】
  2.パワーおよび、8.左クランクのパワーおよび右クランクのパワーは、クランクアームの回転トルクと回転数との積によって求められる。クランクアームの回転トルクは、
第1分力Fθとクランクアームの長さによって求められる。クランクアームの長さについての情報は、演算処理部に記憶されていてもよく、外部装置において設定してもよい。回転数はケイデンスセンサ78から得られた値である。左クランクのパワーと右クランクのパワーとを積算したものがパワーとして表示される。
 
【0089】
  3.最大パワーは、パワーが最大となったときの値である。
 
【0090】
  4.最大速度は、速度が最大となったときの値である。速度は、自転車に設けられる一般的な速度メータからの情報を得てもよく、ケイデンスとギア比とタイヤ径とから、演算処理部76が算出してもよい。この場合ギア比に関する情報は、無線通信部73によって受信される。タイヤ径に関する情報は予め設定される。
 
【0091】
  5.クランク回転速度は、ケイデンスセンサ78に基づいて算出される。
 
【0092】
  6.脈拍は、ライダーがハートレートセンサを装着しているときに、ハートレートセンサから無線などで送信される情報である。
 
【0093】
  7.測定時間は、測定した時間である。たとえば外部装置によって計測の開始および終了が指示される。
 
【0094】
  10.平均荷重位置は、測定時間内の一定時間ごとに計測される荷重位置Lを平均した値である。平均荷重位置は、ペダルを表す図とともに表示され、ペダルを表す図に重ねて三角印(▽)で表される。平均荷重位置を表す図の下には、荷重位置の分布図が示されている。またペダルを表す図に重ねて、荷重位置の動いた範囲を示す移動範囲バーが表示される。
 
【0095】
  11.平均荷重位置のずれは、ペダルの中心位置からの平均荷重位置のずれを表す。外部装置において、ペダルの中心位置は予め設定しておく。
 
【0096】
  12.バックペダリング効率は、クランクアームを表す図とともに表示され、クランクアームの正回転方向に与えられた力と、逆回転方向に与えられた力との比率を表す。たとえば
図12では、右クランクアームにおいて正回転方向に与えられた力の割合が96%であり、逆回転方向に与えられた力の割合が4%であることを示す。
 
【0097】
  13.ピークトルククランク角は、トルクが最大となるときのクランク角度を表す。ケイデンスセンサからの情報に基づいて、トルクが最大となるクランクの角度を算出する。
 
【0098】
  14.平均ペダリングパターンは、FθとFrとの合成ベクトルを示す。
 
【0099】
  <第2実施形態>
  第1実施形態では、クランク長さが一定のクランクアームを例に、本発明を説明したが
、第2実施形態では、クランク長さが可変のクラックアームを例に本発明を説明する。
 
【0100】
  図13に示すように、第2実施形態では、第2踏力計測装置114aが図の手前側に描かれる。
 
【0101】
  本発明の第2実施形態を採用したクランク組立体110は、第1端部112aと第2端部112bとを有する第1実施形態と同様な構成のクランク軸112と、第1踏力計測装置114aと、第2踏力計測装置114bと、スプロケット115と、を備える。スプロケット115が設けられる第1クランクアーム120aの第2クランクアーム120b側の面にケイデンスセンサ78が設けられる。第2クランクアーム120bの第1クランクアーム120a側の面にもケイデンスセンサ78が同様に設けられる。第1踏力計測装置114aは、クランク軸112の第1端部112aに、クランク軸112と一体で回転可
能に連結される。第2踏力計測装置114bは、クランク軸112の第2端部112bに、クランク軸112と一体で回転可能に連結される。ここで、クランク軸112の第1端部112aは、自転車にクランク組立体110が装着されたときに、自転車を後方から見て右側に配置され、第2端部112bは、左側に配置される。
 
【0102】
  第1踏力計測装置114aは、第1クランクアーム120aと、起歪部と、パラメータ検出部と、干渉抑制部とを有する。第2踏力計測装置114bは、第2クランクアーム1
20bと、起歪部と、パラメータ検出部と、干渉抑制部とを有する。起歪部、パラメータ検出部および干渉抑制部の構成は、第1実施形態と同様な構成であるため説明を省略する
。なお、以降の説明では、第2踏力計測装置114bの第2クランクアーム120bについて説明し、第1クランクアーム120aについては、第2クランクアーム120bと異なる部分について説明する。
 
【0103】
  図13に手前側に配置された第2クランクアーム120bは、
図14に示すように、第2ペダル取付部134bと、第2クランク軸取付部136bと、第2クランク長さ調整機構138bと、を備える。
 
【0104】
  第2ペダル取付部134bは、第2ペダル取付用の雌ネジ部が形成されたペダル取付孔135bを一端部に有する。第2ペダル取付部134bの内部には、起歪部122を収納可能な収納凹部138bが形成される。収納凹部138bは、第2ペダル取付部134bの他端面134cから矩形板状に凹んで形成される。収納凹部138bは、他端面134cに装着された図示しない蓋部材によって塞がれる。起歪部122は、4本の固定ボルト142によって第21収納凹部138bに固定される。
 
【0105】
  第2ペダル取付部134bには、第1の実施の形態と同様のケース部材が設けられて、ケース部材に演算処理部76および無線通信部が収容される。前述の実施の形態と同様に、演算処理部76と第1クランクアーム120aおよび第2クランクアーム120bとの各ひずみセンサとは、電気ケーブル、プリント配線などの配線を介して接続される。第2クランク軸取付部136bには内部に配線を配置するための空間が設けられ、本実施の形態では、この空間にケイデンスセンサ78も設けられる。
 
【0106】
  第2クランク軸取付部136bには内部に配線を配置するための空間が設けられる。また一方の第2ガイド軸191bにも内部に配線を配置するための空間が設けられる。第2クランク軸取付部136bとクランク軸112が接触する部分にクランク軸の中空の空間と第2クランク軸取付部136bの内部に設けられる空間を連通する孔が形成される。また第2クランク軸取付部136bと第2ガイド軸191bとが接触する部分に、第2クランク軸取付部136bの内部に設けられる空間と、一方の第2ガイド軸191bに設けられる空間とを連通する孔が形成される。さらに一方の第2ガイド軸191bと、第2ペダ
ル取付部134bとが接触する部分に、一方の第2ガイド軸191bに形成される空間と、収納凹部138が形成する収納孔を連通する孔が形成される。
 
【0107】
  クランク軸112の中空部分を通る配線は、第2クランクアーム114bにおいて第2クランク軸取付部136bの内部に形成される空間、第2ガイド軸191bの一方の内部に形成される空間を通って、第2ペダル取付部134bまで引き回される。第1クランクアーム114aにおいても同様の構成であるので、説明を省略する。
 
【0108】
  第2クランク軸取付部136bは、セレーションが形成された第2取付孔137bに第1スリット137cが形成される。第1スリット137cは、第2取付孔137bから第2クランク軸取付部136bの外側面まで径方向に延びる。また、第1スリット137cは、第1スリット137cと交差する方向から挿入される締め付けボルト146bによって幅が狭められる。これにより、第2クランクアーム120bがクランク軸112の第2端部112bに固定される。第2クランク軸取付部136bにおいて、長手方向と直交する方向の両端には、第1クランク軸取付部136bを長手方向位置を固定するための第2
固定孔137dが形成される。また、第2固定孔137dが形成される部分には、第2スリット137e(
図13参照)が形成される。第2固定孔137dには、第2クランク軸取付部136bの固定用のボルト部材145が螺合する。
 
【0109】
  第2クランク長さ調整機構138bは、第2クランクアーム120bの長手方向において、第2ペダル取付部134bと第2クランク軸取付部136bとの相対位置を変更可能な機構である。第2クランク長さ調整機構138bは、一対の第2ガイド軸191bと、一対の第2ガイド孔192bと、第2位置決め機構193bと、を有する。
 
【0110】
  一対の第2ガイド軸191bは、第2ペダル取付部134bの他端面に長手方向と直交する方向に間隔を隔てて設けられ、たとえば、圧入によって他端面に固定される。一対の第2ガイド孔192bは、第2クランク軸取付部136bに設けられ、これにより、第2クランク軸取付部136bは第2ガイド軸191bに案内される。
 
【0111】
  第2位置決め機構193bは、一対の第2ガイド軸191bの一方に固定されるラック194bと、ラック194bに係合する爪部材195bと、を有する。
図15および
図16に示すように、ラック194bは、長手方向に延びて配置され、第2ガイド軸191bの外側面に固定される。好ましくは、ラック194bと爪部材195bとの係合ピッチは2.5mmに設定される。クランクアーム全長の調整可能範囲は、例えば、155mm〜180mmに設定される。
 
【0112】
  爪部材195bは、ラック194bに係合する爪部195cと、クランク軸取付部136bの外側面に露出する押圧操作部195dと、を有する。爪部材195bは、ラック194bに爪部195cが係合する
図16に示す係合位置と、押圧操作部195dの押圧操作によってラック194bとの係合が解除される
図15に示す解除位置とに移動可能である。爪部材195bは、第2クランク軸取付部136bに設けられるガイド部材196によって係合位置と解除位置とに案内される。
図15に示すように、爪部材195bは、たとえばコイルバネの形態の付勢部材197によって係合位置に向けて付勢される。爪部1
95cには、係合位置でラック194bに当接する位置決め突起195eが設けられる。
 
【0113】
  このような構成の第2位置決め機構193bでは、ボルト部材145を緩め、さらに押圧操作部195dを押圧して爪部材195bを解除位置に移動させると、爪部材195bとラック194bとの係合が解除され、第2クランク軸取付部136bが第2ペダル取付部134bに対して長手方向に移動可能になる。そして、所望のクランク長さに第2クランク軸取付部136bを移動させると、押圧操作部195dから指を離す。押圧操作部195dから手を離すと付勢部材197によって爪部材195bが係合位置に戻る。最後に2本のボルト部材145を締め付けてクランクアーム長さ調整を終了する。このように、
第2クランクアーム120bの長さを調整できるため、使用者にとって最適なクランク長さを得ることができる。
 
【0114】
  第1クランクアーム120aに関しては、図示しないクランク軸取付部が締め付けボルト146bによる第1スリット137cのクランク軸112への締付ではなく、クランク軸112の第1端部112aが圧入、若しくは、接着によって固定される。その他の全ての構成は第2クランクアーム120bと同様であり、第1クランクアーム120aの長さも同様に調整可能である。
 
【0115】
  本実施例における第2クランクアーム120bは、ボルト部材145を緩めて押圧操作部195dを押圧するだけで第2クランクアーム120bの長手方向の長さ調整が可能である。このため、使用者にとって簡便な操作でクランクアームの長さ調整を行うことができる。また、位置決め機構として、ラック194bと爪部材195bを用いているため、必要に応じて微細な長さ調整が可能となる。
 
【0116】
    <他の実施形態>
  以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
 
【0117】
  (a)上記実施形態では、起歪部を第1クランクアームと別体で設けたが、
図17に示すように、第1踏力計測装置214aにおいて、第1クランクアーム220aと一体で起歪部が構成されてもよい。
図17では、第1ひずみセンサ254、第2ひずみセンサ256、第3ひずみセンサ258および第4ひずみセンサ260のひずみゲージ素子を第1クランクアーム220aの外側面に貼り付けている。しかし、中空のクランクアーム、例えば2つ割りのクランクアームの場合、クランクアームの内側面にひずみゲージ素子を貼り付けてもよい。
 
【0118】
  (b)ひずみセンサを構成するひずみゲージ素子は、薄膜型、静電容量型、半導体型に限定されず、クランクアームや起歪部のひずみを検出することができるものであれば種類を問わない。
 
【0119】
  (c)上記実施形態では、起歪部本体を四角柱で構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、互いに直交して配置される少なくとも2つの面を有するものであればどのようなものでもよい。例えば、起歪部本体は、角パイプまたは八角柱でもよい。さらに起歪部本体は、長手方向に垂直な断面がT字形、I字形、H字形または略U字形であって、長手方向に延びる部材であってもよい。
 
【0120】
  (d)上記実施形態では、自転車用の踏力計測装置を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、フィットネスバイクのように体力維持または体力増強のためのペダルなどの操作具を装着可能なクランクアームを有する健康器具にも適用できる。
 
【0121】
  (e)上記実施形態では、ひずみセンサの検出値を演算することによって干渉を演算によって抑制する第1干渉抑制部と、干渉を物理的に抑制する第2干渉抑制部との両方を含んで干渉抑制部を構成したが、本発明はこれに限定されない。踏力計測装置は、第1干渉抑制部および第2干渉抑制部の少なくともいずれか一方を備える構成としてもよい。
 
【0122】
  (f)上記実施形態では、温度補償ように、それぞれのひずみセンサを4つのひずみゲージ素子で構成したが、温度補償の必要がない場合には、2つのひずみゲージ素子でそれぞれのひずみセンサを構成してもよい。またこの場合、温度保証は温度センサなどのことなるセンサで行ってもよい。
 
【0123】
  (g)上記実施形態では、第1クランクアーム20aを第1踏力計測装置14aの構成要件としたが、第1クランクアーム20aを第1踏力計測装置14aの構成要件としなくてもよい。
 
【0124】
  (h)上記実施形態では、起歪部22は、第1クランクアーム20aに着脱可能に設けられているが、起歪部22と第1クランクアーム20aとは接着剤などで着脱不能に固定されてもよい。
 
【0125】
  (i)上記実施形態では、第1カバー部43aは、第1アーム本体30aの一側面の全体を覆うように、第1クランクアーム20aの長手方向の一端部31a1から他端部31aに亘って設けられているが、第1カバー部43aは、第1収納部38aのみを覆う構成としてもよい。
 
【0126】
  (j)上記実施形態では、固定孔40aをネジ孔で形成しているが、固定孔40aは貫通孔で形成されてもよい。この場合、固定部51の固定孔51aをネジ孔で形成して、ボルトの頭と固定部51との間に第1アーム本体30aを挟むようにして固定すればよい。
 
【0127】
  (k)第1の実施形態では、クランク組立体10を自転車に取り付けたときに、クランク軸の延びる方向で自転車と反対に開口して形成されているが、第1収納部38aは、自転車に向かって開口するように形成されてもよい。
 
【0128】
  さらに前記第1収納部38aは、第1クランクアーム20aの回転方向の上流側または下流側に向かって開口するように形成されてもよく、すなわちクランクアームの長手方向およびペダル軸に垂直な方向のいずれかに開口するように形成されてもよい。この場合、第2の実施形態と同様な方法で第1収納部38aに起歪部22を固定すればよい。
 
【0129】
  (l)上記実施形態では、ケイデンスセンサが各クランクアームにそれぞれ設けられているが、ケイデンスセンサは一方のクランクアームのみに設けられていてもよい。またケイデンスセンサに変えて、クランクアームの回転位置を検出するセンサをクランクアームに設けてもよい。
 
【0130】
  (m)上記実施形態では、演算処理部、無線通信部および電源を1つずつ備えているが、各クランクアームにそれぞれ算処理部、無線通信部および電源を備える構成としてもよい。
 
【0131】
  (n)上記第2実施形態において、別のバネ部材或いはボールプランジャ機構等を用いて、爪部195cをラック194bに向かって付勢することにより、長さ調整の際に使用者にクリック感を与えるように構成することが好ましい。この場合、別の付勢機構を用いて爪部195cをラック194bに向かって付勢する代わりに、ラック194bに直接係合するボールプランジャ機構を爪部材195bに設けるようにしてもよい。
 
【0132】
  (o)上記第2実施形態では、ラック194bを第2ガイド軸191bに固定される別部材で構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば。第2ガイド軸191bの表面に複数の溝を直接形成して、ラック194bを第2ガイド軸191bと一体的に形成してもよい。
 
【0133】
  (p)上記第2実施形態では、ボルト部材145を用いて最終的にクランクアーム長さを固定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ボルト部材に代えて、自転車ホイールのフレームからの着脱に用いられるクイックレリーズ機構を使用してもよい。