特許第5918661号(P5918661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918661
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】設備診断装置および設定変更督促方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   G05B23/02 T
   G05B23/02 X
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-193885(P2012-193885)
(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2014-49067(P2014-49067A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】平松 利治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小柳 隆
(72)【発明者】
【氏名】潮田 尚史
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−265425(JP,A)
【文献】 特開2012−203689(JP,A)
【文献】 特開2004−310161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00−23/02
G05B 19/04−19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置であって、
前記診断の対象となる設備に関する情報であって、当該設備の管理ポイントに関するポイント属性情報を含む設備情報を記憶する記憶部と、
前記設備を管理する施設管理装置から、前記各設備の管理ポイントの属性を示すポイント属性情報を取得するデータ取得部と、
前記記憶部から読み出した前記設備情報に含まれるポイント属性情報を、前記データ取得部で取得したポイント属性情報と比較し、その変更有無に応じて前記設備の変更有無を判定する設備変更判定部と、
前記設備変更判定部で設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促部と
を備えることを特徴とする設備診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設備診断装置において、
前記記憶部は、前記診断の対象となる設備が属する設備系統ごとに、設備変更の判定を行う処理タイミングを示す処理実行定義情報を記憶し、
前記データ取得部は、前記処理実行定義情報に登録されている処理タイミングの到来に応じて、対応する設備系統に属する設備のポイント属性情報を、前記施設管理装置から取得する
ことを特徴とする設備診断装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の設備診断装置において、
前記設備の動作状況を診断する際に、前記データ取得部により前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録部をさらに備え、
前記記憶部は、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶し、
前記設備変更判定部は、前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する
ことを特徴とする設備診断装置。
【請求項4】
施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置であって、
前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶する記憶部と、
前記設備を管理する施設管理装置から、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで計測された計測値データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部により前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録部と、
前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する設備変更判定部と、
前記設備変更判定部で設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促部と
を備えることを特徴とする設備診断装置。
【請求項5】
施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置で用いられる設定変更督促方法であって、
記憶部が、前記診断の対象となる設備に関する情報であって、当該設備の管理ポイントに関するポイント属性情報を含む設備情報を記憶する記憶ステップと、
データ取得部が、前記設備を管理する施設管理装置から、前記各設備の管理ポイントの属性を示すポイント属性情報を取得するデータ取得ステップと、
設備変更判定部が、前記記憶部から読み出した前記設備情報に含まれるポイント属性情報を、前記データ取得ステップで取得したポイント属性情報と比較し、その変更有無に応じて前記設備の変更有無を判定する設備変更判定ステップと、
設定変更督促部が、前記設備変更判定ステップで設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促ステップと
を備えることを特徴とする設定変更督促方法。
【請求項6】
請求項5に記載の設定変更督促方法において、
前記記憶部は、前記診断の対象となる設備が属する設備系統ごとに、設備変更の判定を行う処理タイミングを示す処理実行定義情報を記憶し、
前記データ取得ステップは、前記処理実行定義情報に登録されている処理タイミングの到来に応じて、対応する設備系統に属する設備のポイント属性情報を、前記施設管理装置から取得する
ことを特徴とする設定変更督促方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の設定変更督促方法において、
計測値データ記録部が、前記設備の動作状況を診断する際に、前記データ取得ステップにより前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録ステップをさらに備え、
前記記憶部は、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶し、
前記設備変更判定ステップは、前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する
ことを特徴とする設定変更督促方法。
【請求項8】
施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置で用いられる設定変更督促方法であって、
記憶部が、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶する記憶ステップと、
データ取得部が、前記設備を管理する施設管理装置から、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで計測された計測値データを取得するデータ取得ステップと、
計測値データ記録部が、前記データ取得ステップにより前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録ステップと、
設備変更判定部が、前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する設備変更判定ステップと、
設定変更督促部が、前記設備変更判定ステップで設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促ステップと
を備えることを特徴とする設定変更督促方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備診断技術に関し、特に診断対象となる設備の変更を検知して設定変更を管理者に督促する設定変更督促技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、エネルギー消費の増加を続ける民生部門に対して、エネルギー消費の削減が強く求められており、建物における省エネルギーに対する意識が高まっている。
従来から導入されていた、設備の運転操作や運転状態を監視する設備監視システム(BAS)やエネルギー消費状況を見える化するエネルギー管理システム(BEMS)の他に、省エネルギー余地を検知するフォルト検知システムや建物の空調システムの運転状況を診断するシステムといった設備診断装置を導入する建物が増えつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−216715号公報
【特許文献2】特開2007−293489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設備改修や修繕により設備の構成や属性が変更された場合、BASやBEMSにおいては管理ポイントを含む設備情報の設定変更が行われる。一方、設備診断装置では、監視対象となる管理ポイントを各設備に予め設定し、これら管理ポイントから取得したデータを、設備の状況を監視画面に表示するものとなっている。
【0005】
したがって、BASやBEMSにおいて設備情報の設定変更が行われた場合、設備診断装置においても、対応した設定変更を実施する必要があるが、この設定変更を忘れてしまう場合があり、設備情報が更新されるとは限らない。このため、設定変更が実施されない場合、設備診断装置は誤った設定情報を元に動作してしまい、診断の漏れや誤った診断が発生してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、設備改修や修繕により設備の構成や属性が変更されたことを自動検知して、設備情報の設定変更を管理者に督促することができる設定変更督促技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる設備診断装置は、施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置であって、前記診断の対象となる設備に関する情報であって、当該設備の管理ポイントに関するポイント属性情報を含む設備情報を記憶する記憶部と、前記設備を管理する施設管理装置から、前記各設備の管理ポイントの属性を示すポイント属性情報を取得するデータ取得部と、前記記憶部から読み出した前記設備情報に含まれるポイント属性情報を、前記データ取得部で取得したポイント属性情報と比較し、その変更有無に応じて前記設備の変更有無を判定する設備変更判定部と、前記設備変更判定部で設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促部とを備えている。
【0008】
また、上記設備診断装置にかかる一構成例は、前記記憶部が、前記診断の対象となる設備が属する設備系統ごとに、設備変更の判定を行う処理タイミングを示す処理実行定義情報を記憶し、前記データ取得部は、前記処理実行定義情報に登録されている処理タイミングの到来に応じて、対応する設備系統に属する設備のポイント属性情報を、前記施設管理装置から取得するようにしたものである。
【0009】
また、上記設備診断装置にかかる一構成例は、前記設備の動作状況を診断する際に、前記データ取得部により前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録部をさらに備え、前記記憶部は、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶し、前記設備変更判定部は、前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定するようにしたものである。
【0010】
また、本発明にかかる他の設備診断装置は、施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置であって、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶する記憶部と、前記設備を管理する施設管理装置から、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで計測された計測値データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部により前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録部と、前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する設備変更判定部と、前記設備変更判定部で設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促部とを備えている。
【0011】
また、本発明にかかる設定変更督促方法は、施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置で用いられる設定変更督促方法であって、記憶部が、前記診断の対象となる設備に関する情報であって、当該設備の管理ポイントに関するポイント属性情報を含む設備情報を記憶する記憶ステップと、データ取得部が、前記設備を管理する施設管理装置から、前記各設備の管理ポイントの属性を示すポイント属性情報を取得するデータ取得ステップと、設備変更判定部が、前記記憶部から読み出した前記設備情報に含まれるポイント属性情報を、前記データ取得ステップで取得したポイント属性情報と比較し、その変更有無に応じて前記設備の変更有無を判定する設備変更判定ステップと、設定変更督促部が、前記設備変更判定ステップで設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促ステップとを備えている。
【0012】
また、上記設定変更督促方法にかかる一構成例は、前記記憶が、前記診断の対象となる設備が属する設備系統ごとに、設備変更の判定を行う処理タイミングを示す処理実行定義情報を記憶し、前記データ取得ステップは、前記処理実行定義情報に登録されている処理タイミングの到来に応じて、対応する設備系統に属する設備のポイント属性情報を、前記施設管理装置から取得するようにしたものである。
【0013】
また、上記設定変更督促方法にかかる一構成例は、計測値データ記録部が、前記設備の動作状況を診断する際に、前記データ取得ステップにより前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録ステップをさらに備え、前記記憶部は、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶し、前記設備変更判定ステップは、前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定するようにしたものである。
【0014】
また、本発明にかかる他の設定変更督促方法は、施設内の各設備に設定されている管理ポイントで計測された計測値データに基づいて、前記設備の動作状況を診断する設備診断装置で用いられる設定変更督促方法であって、記憶部が、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶する記憶ステップと、データ取得部が、前記設備を管理する施設管理装置から、前記診断の対象となる設備の管理ポイントで計測された計測値データを取得するデータ取得ステップと、計測値データ記録部が、前記データ取得部により前記施設管理装置から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DBに記録する計測値データ記録ステップと、設備変更判定部が、前記計測値DBから読み出した各計測値データについて、前記記憶部のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する設備変更判定ステップと、設定変更督促部が、前記設備変更判定部で設備変更ありと判定された場合、前記設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部で表示する設定変更督促ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設備改修や修繕により設備の構成や属性が変更されたことを自動検知して、設備情報の設定変更を管理者に督促することができる。したがって、BASやBEMSにおいて設備情報の設定変更が行われた際に、設備診断装置での設備情報の設定変更を忘れてしまった場合でも、設定変更の督促に応じて、設備情報を設定変更することができる。これにより、設備情報の設定変更が実施されないことが原因で発生する、診断の漏れや誤った診断を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態にかかる設備診断装置の構成を示すブロック図である。
図2】ポイント属性情報の構成例である。
図3】ポイント属性情報の変更例である。
図4】第1の実施の形態にかかる設定変更督促処理を示すフローチャートである。
図5】設定変更督促画面の構成例である。
図6】設備情報履歴DBの構成例である。
図7】第2の実施の形態にかかる設備診断装置の構成を示すブロック図である。
図8】第2の実施の形態にかかる設定変更督促処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の原理]
まず、本発明の原理について説明する。
設備改修や修繕により設備の構成や属性が変更された場合、BASやBEMSなどの施設管理装置において、管理ポイントの属性を示すポイント属性情報の設定変更が行われる。この際、施設管理装置における施設管理処理は、設備を安定して運転するために必要に情報であるため、ポイント属性情報の設定変更は、設備変更時に直ちに実施される。
一方、設備診断装置では、省エネルギーを目的として設備の運転状況を診断するため、設備変更に応じた設備情報の設定変更について、施設管理装置に比べて緊急性は低い。
【0018】
本発明は、このような、設備変更が施設管理装置のポイント属性情報に直ちに反映されることに着目し、設備診断装置から、施設管理装置のポイント属性情報を参照し、このポイント属性情報の変更に応じて設備変更の有無を判定し、設備変更があった場合に、設備診断装置で用いる設備情報の設定変更を管理者へ督促するようにしたものである。
【0019】
また、施設管理装置のポイント属性情報を過剰に参照すると、施設管理装置の新たな処理負担が発生する。本発明は、このような施設管理装置に対する処理負担の発生に着目し、設備系統ごとに、設備変更の判定を行う処理タイミングを定義し、この処理タイミングの到来に応じて、対応する設備系統に属する設備のポイント属性情報を、施設管理装置から取得するようにしたものである。
【0020】
また、施設管理装置で設備から得られた計測値データが、設備変更に応じて変化することに着目し、この計測値データにある程度の変化が見られた場合、施設管理装置のポイント属性情報を参照するようにしたものである。
【0021】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる設備診断装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる設備診断装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
この設備診断装置10は、全体としてサーバ装置やパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、通信回線L1を介したデータ通信により、施設管理装置30から取得した計測値データ32に基づいて、施設に設置されている各設備の運転状況を診断する機能と、施設管理装置30から取得したポイント属性情報に基づいて、設備40の変更を判定して、設備情報の設定変更を督促する機能とを有している。
【0023】
施設管理装置30は、全体としてサーバ装置やパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、通信回線L3を介したデータ通信により、設備40に設定した各管理ポイントで、これら設備40の状況を示す計測値データ32を取得する機能を有している。
【0024】
この設備診断装置10には、主な機能部として、通信I/F部11、操作入力部12、画面表示部13、記憶部14、設備情報履歴DB15、データ取得部21、設備診断部22、設備変更判定部23、設定変更督促部24、設備情報記録部25、および設備情報設定部26が設けられている。
【0025】
通信I/F部11は、通信回線L1を介して施設管理装置30などの外部装置とデータ通信を行う機能を有している。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、設備管理者の操作を検出する機能を有している。
画面表示部13は、LCDなどの画面表示装置からなり、操作メニューや管理ポイント設定画面など、各機能部から出力されたデータを画面表示する機能を有している。
【0026】
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、設備診断処理などの各種処理に用いる処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
プログラムは、CPUに読み込まれて実行されることにより、設備診断処理などの各種処理を実現するプログラムであり、外部装置や記録媒体から通信I/F部11を介して予め読み込まれ、記憶部14に格納される。
【0027】
記憶部14が記憶する主な処理情報として、施設管理装置30から取得したポイント属性情報31や計測値データ32のほか、施設管理装置30から取得すべき情報を定義した取得データ定義情報、設備診断対象となる設備40に関する設備情報、さらには、設備診断に用いる判定条件などを含む設備診断ロジックがある。このうち、設備情報には、設備診断対象となるすべての設備40について、これら設備の管理ポイントの属性を示すポイント属性情報が含まれている。
【0028】
図2は、ポイント属性情報の構成例である。ここでは、管理ポイントごとに、管理ポイントの名称、管理ポイントで計測されるデータの単位、管理ポイントで計測されるデータの種別を示すポイント種別、および管理ポイントのポイントアドレスが含まれている。このポイント属性情報については、記憶部14の設備情報にも同様の情報が含まれている。
図3は、ポイント属性情報の変更例である。ここでは、インバータに関する新たな管理ポイントに関する情報が追加されている。
【0029】
設備情報履歴DB15は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、設備変更判定部23により検出されたポイント属性情報の変更内容を、履歴として記録するデータベースである。
【0030】
データ取得部21は、設備診断処理を実行する際、通信I/F部11から通信回線L1を介して施設管理装置30とデータ通信を行うことにより、施設管理装置30から、計測値データ32を取得して記憶部14に保存する機能と、設備変更を判定する際、同じく施設管理装置30から、ポイント属性情報31を取得して記憶部14に保存する機能とを有している。この際、データ取得部21は、記憶部14に設定されている取得データ定義情報に基づいて、ポイント属性情報31や計測値データ32のうちから、処理に用いる特定の情報を取得する。
【0031】
設備診断部22は、記憶部14の計測値データ32を設備診断ロジックに基づき集計し、得られた集計結果を記憶部14の設備診断ロジックに含まれている判定条件と比較することにより、各設備40の状況を診断する機能を有している。
【0032】
設備変更判定部23は、記憶部14から読み出した自装置の設備情報に含まれるポイント属性情報を、データ取得部21で取得して記憶部14に保存されているポイント属性情報31と比較し、その変更有無に応じて設備の変更有無を判定する機能を有している。通常、記憶部14の設備情報に含まれるポイント属性情報は、データ取得部21のポイント属性情報31と一致しており、設備に変更があってポイント属性情報31が変更された場合、この変更が記憶部14の設備情報に反映されるまで、両者は不一致となる。
【0033】
設定変更督促部24は、設備変更判定部23により、設備変更ありと判定された場合、設備情報の変更内容を含む、設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部13で表示する機能を有している。
【0034】
設備情報記録部25は、設備変更判定部23により検出されたポイント属性情報の変更内容を、設備情報履歴DB15に記録する機能を有している。この設備情報履歴DB15に記録されたポイント属性情報の変更内容は、管理者が確認することができ、設備情報を設定変更する際などに利用できる。
設備情報設定部26は、操作入力部12で検出された操作に応じて、記憶部14に設定されている自装置の設備情報を編集して設定する機能を有している。
【0035】
これら機能部のうち、データ取得部21、設備診断部22、設備変更判定部23、設定変更督促部24、設備情報記録部25、および設備情報設定部26は、CPUが記憶部14からプログラムを読み込んで実行することにより実現される。
【0036】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる設備診断装置10の設定変更督促処理について説明する。図4は、第1の実施の形態にかかる設定変更督促処理を示すフローチャートである。
【0037】
設備診断装置10は、操作入力部12で検出した管理者による処理開始操作に応じて、図4の設定変更督促処理を実行する。なお、この設定変更督促処理に先だって、記憶部14の設備情報のポイント属性情報は、施設管理装置30のポイント属性情報31の内容と一致しているものとする。
【0038】
まず、データ取得部21は、通信I/F部11から通信回線L1を介して施設管理装置30とデータ通信を行うことにより、記憶部14に設定されている取得データ定義情報に基づいて、施設管理装置30からポイント属性情報31を取得して記憶部14に保存する(ステップ100)。
【0039】
続いて、設備変更判定部23は、記憶部14からポイント属性情報31と設備情報とを読み出して比較する(ステップ101)。
ここで、設備情報に設定されているポイント属性情報が、ポイント属性情報31の内容と一致するため、設備変更なしと判定された場合(ステップ102:NO)、督促画面を表示せず、一連の処理を終了する。
【0040】
一方、設備情報に含まれているポイント属性情報が、ポイント属性情報31の内容と異なるため、設備変更ありと判定された場合(ステップ102:YES)、設定変更督促部24は、ポイント属性情報の変更内容を含む、設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部13で画面表示する(ステップ103)。
【0041】
図5は、設定変更督促画面の構成例である。ここでは、設備情報の設定変更を督促するメッセージと、ポイント属性情報の変更内容とが画面表示されている。ポイント属性情報の変更内容については、ポイント属性情報の変更を検出した検出日、設備グループ、対象設備と、ポイント属性情報の変更内容と、設備変更ありと判定した推定根拠として、ポイント属性情報の変更を検出したポイントアドレスとが表示されている。
【0042】
また、ポイントアドレスは、設備管理上の意味付けに基づき、各桁が構成されている。例えば、図5に示した各ポイントアドレスは、[3桁].[4桁].[2桁]という3つ桁区分を有しており、このうち[4桁]の桁区分は、当該管理ポイントの設備が属する設備グループの識別情報を示している。したがって、同一設備に設定されている管理ポイントは、同一設備グループに登録されることが多い。このため、2次ポンプが登録されていた設備グループに、インバータ(INV)に関する管理ポイントが追加されている場合、2次ポンプにインバータが設置されたと推定することができる。このような推定結果に基づき設定変更督促画面を作成して表示することにより、管理者は、設定変更すべき内容を容易に把握することができる。
【0043】
この後、設備情報記録部25は、設備変更判定部23により検出されたポイント属性情報の変更内容を、設備情報履歴DB15に記録し(ステップ104)、一連の処理を終了する。
図6は、設備情報履歴DBの構成例である。ここでは、ポイント属性情報の変更検出ごとに、ポイント属性情報の変更を検出した検出日、設備グループ、対象設備と、ポイント属性情報の変更内容と、設備変更ありと判定した推定根拠として、ポイント属性情報の変更を検出したポイントアドレスとが登録されている。
【0044】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、設備変更判定部23が、記憶部14から読み出した設備情報に含まれるポイント属性情報を、データ取得部21で施設管理装置30から取得したポイント属性情報31と比較し、その変更有無に応じて設備の変更有無を判定し、設備変更判定部23で設備変更ありと判定された場合、設定変更督促部24が、設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部13で表示するようにしたものである。
【0045】
これにより、設備改修や修繕により設備の構成や属性が変更されたことを自動検知して、設備情報の設定変更を管理者に督促することができる。したがって、BASやBEMSにおいて設備情報の設定変更が行われた際に、設備診断装置10での設備情報の設定変更を忘れてしまった場合でも、設定変更の督促に応じて、設備情報を設定変更することができる。これにより、設備情報の設定変更が実施されないことが原因で発生する、診断の漏れや誤った診断を回避することが可能となる。
【0046】
また、本実施の形態において、前述した図4の設定変更督促処理については、操作入力部12で検出した管理者による処理開始操作に応じて、実行する場合を例として説明したが、所定の間隔で定期的に実行してもよい。
この際、設定変更督促処理を実行するごとに、設備診断装置10での設備診断処理に用いるすべての設備40に関するポイント属性情報を一括して取得した場合、施設管理装置30の処理負担が増大する。したがって、設備40が属する設備系統ごとに設定変更督促処理の実行タイミングを個別に設定してもよい。
【0047】
具体的には、設備40が属する設備系統ごとに、設定変更督促処理の実行タイミングを示す処理実行定義情報を記憶部14に予め登録しておき、設備変更判定部23が、この処理実行定義情報に基づき、設定変更督促処理の実行タイミングを管理する。そして、いずれかの設備系統において、設定変更督促処理の実行タイミングが到来した際、データ取得部21が、記憶部14からの読み出した取得データ定義情報のうち、当該処理対象系統に属する管理ポイントのポイント属性情報31を、施設管理装置30から取得するようにすればよい。
【0048】
これにより、施設管理装置30から取得するポイント属性情報31のデータ量を削減でき、施設管理装置30の処理負担を軽減することが可能となる。なお、設定変更督促処理については、設備系統ではなく、任意に定義した設備グループごとに、実行タイミングを個別に設定してもよい。
【0049】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる設備診断装置10について説明する。図7は、第2の実施の形態にかかる設備診断装置の構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、施設管理装置30のポイント属性情報31を参照して、設備変更の有無を判定する場合を例として説明した。本実施の形態では、施設管理装置30計測値データ32を参照して、設備変更の有無を判定する場合を例として説明する。
【0050】
本実施の形態において、記憶部14は、診断対象となる管理ポイントで得られる計測値データのうち、設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶する。
計測値DB16は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、施設管理装置30から取得した計測値データ32を記録するデータベースである。
【0051】
計測値データ記録部27は、設備診断部22が設備を診断する際に、データ取得部21で施設管理装置30から取得した、診断対象となる管理ポイントの計測値データを、計測値DB16に記録する機能を有している。
【0052】
設備変更判定部23は、計測値DB16から読み出した診断対象となる管理ポイントの各計測値データについて、記憶部14のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する機能を有している。
本実施の形態にかかるその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0053】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図8を参照して、本実施の形態にかかる設備診断装置10の設定変更督促処理について説明する。図8は、第2の実施の形態にかかる設定変更督促処理を示すフローチャートである。
【0054】
設備診断装置10は、操作入力部12で検出した管理者による処理開始操作に応じて、図8の設定変更督促処理を実行する。なお、この設定変更督促処理に先だって、計測値DB16には、設備診断装置10で診断する設備40の管理ポイントで得られた計測値データが記録されているものとする。
【0055】
まず、設備変更判定部23は、計測値DB16から計測値データを取得して(ステップ200)、記憶部14のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定する(ステップ201)。
【0056】
計測値データは、設備の変更に伴いその値が変化する。例えば、空調設備において、2次ポンプにインバータが追加された場合、2次ポンプのポンプ電力量は低下する。この低下は、ポンプ定格電力量から任意のしきい値だけ減算した値を基準として判定することができる。したがって、このように計測値データに対して、
ポンプ電力量<ポンプ定格電力−しきい値
という判定基準を設定しておけば、インバータ追加という設備変更の有無を判定できる。
【0057】
上記判定基準の例は、ポンプにインバータを設置するという設備変更をした場合、ポンプ運転台数に対して、電力量が定格電力量と大きく乖離するという、計測値データの変化を利用したものであるが、この設備変更では、電力量だけでなく、流量も大きく定格流量と大きく乖離するため、電力量に代えて流量に対する判定基準を用いてもよい。
このほか、空調機の給気ファンにインバータを設置するという設備変更をした場合、給気風量を絞るため、給気温度が下がるという、計測値データの変化が生じる。したがって、給気温度を基準給気温度と比較するという判定基準を設定しておけば、インバータ追加という設備変更の有無を判定できる。
【0058】
ここで、計測値データが判定基準を満足するため、設備変更なしと判定された場合(ステップ202:NO)、督促画面を表示せず、一連の処理を終了する。
一方、計測値データが判定基準を満足せず、設備変更ありと判定された場合(ステップ202:YES)、設定変更督促部24は、当該計測値データが得られた管理ポイントのポイント属性情報や計測値データの変化を含む、設備情報の設定変更を督促する督促画面を画面表示部13で画面表示する(ステップ203)。
【0059】
この後、設備情報記録部25は、設備変更判定部23により検出された管理ポイントのポイント属性情報や計測値データの変化を、設備情報履歴DB15に記録し(ステップ204)、一連の処理を終了する。
【0060】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、計測値データ記録部27が、設備の動作状況を診断する際に、データ取得部21により施設管理装置30から取得した管理ポイントの計測値データを計測値DB16に記録し、記憶部14が、診断の対象となる設備の管理ポイントで得られる計測値データのうち、当該設備の変更に応じて値が変化する計測値データごとに、当該計測値データに対する設備変更有無の判定基準を設定したデータ判定定義情報を記憶し、設備変更判定部23が、計測値DB16から読み出した各計測値データについて、記憶部14のデータ判定定義情報に設定されている当該計測値データに対する判定基準と比較することにより、設備の変更有無を判定するようにしたものである。
【0061】
これにより、管理ポイントのポイント属性情報の変化ではなく、管理ポイントで得られた計測値データの変化に基づいて、設備変更の有無を判定することができる。したがって、設備の動作状況を診断する際に、施設管理装置30から取得する計測値データを、設備変更有無の判定に用いることができる。このため、計測値データ32に加えて管理ポイントのポイント属性情報31を取得する場合と比較して、施設管理装置30の処理負担を軽減することができる。
【0062】
また、計測値データによっては、設備の変更に応じて値が変化しないもの、あるいはその変化を検出することが難しいものもある。このため、このような計測値データが得られる管理ポイントについては、第1の実施の形態で説明した、ポイント属性情報を用いた設備変更有無の判定を組み合わせて実行すればよい。
【0063】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…設備診断装置、11…通信I/F部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…記憶部、15…設備情報履歴DB、16…計測値DB、21…データ取得部、22…設備診断部、23…設備変更判定部、24…設定変更督促部、25…設備情報記録部、26…設備情報設定部、27…計測値データ記録部、30…施設管理装置、31…ポイント属性情報、32…計測値データ、40…設備、L1,L3…通信回線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8