特許第5918704号(P5918704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918704
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】減速装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20160428BHJP
   F16H 57/033 20120101ALI20160428BHJP
   F16H 57/025 20120101ALI20160428BHJP
【FI】
   F16H1/32 A
   F16H57/033
   F16H57/025
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-24923(P2013-24923)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-152894(P2014-152894A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】光藤 栄
(72)【発明者】
【氏名】西部 慎一
(72)【発明者】
【氏名】西谷 祐一
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲三
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/075598(WO,A1)
【文献】 特開2012−117609(JP,A)
【文献】 特開2010−007841(JP,A)
【文献】 特開2004−084920(JP,A)
【文献】 特開2008−005576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 57/025
F16H 57/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機と、モータと、前記減速機と前記モータとの間に配置されるモータアダプタと、を備えた減速装置であって、
前記減速機は、該減速機のケーシングの外周に減速機フランジ部を備え、
該減速機フランジ部に前記モータアダプタが固定され、
前記モータアダプタは、相手部材取り付け用のアダプタフランジ部を備え、かつ
該アダプタフランジ部は、前記減速機フランジ部よりも径方向外側に延在し
前記モータアダプタは、前記アダプタフランジ部よりもモータ側に相手部材とのインロー部を備え、当該インロー部は、前記アダプタフランジ部よりも外径が小さい
ことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
請求項において、
前記インロー部の径が、前記モータの最外径よりも大きい
ことを特徴とする減速装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記モータアダプタおよび前記相手部材は、反モータ側から挿通したボルトによって、相互に固定される
ことを特徴とする減速装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ボルトの頭部の前記減速機のケーシングの軸心からの最小径は、前記減速機フランジ部の最外径よりも大きく、前記ボルトの頭部と前記減速機フランジ部とは径方向から見て重なる
ことを特徴とする減速装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記モータアダプタは、前記減速機フランジ部に固定される部分の径方向外側に前記アダプタフランジ部を有し、前記減速機フランジ部に固定される部分と前記アダプタフランジ部とは径方向から見て重なる
ことを特徴とする減速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、産業用ロボットに組み込んで使用する減速装置が開示されている。この減速装置は、減速機と、モータと、該減速機とモータとの間に配置されるモータアダプタと、を備えている。
【0003】
減速装置は、減速機のケーシングの外周に形成したフランジ部を介して産業用ロボットのアーム(相手部材)に取り付けられ、モータの回転を減速して出力することにより、次段のアームを、当該減速装置の取り付けられたアームに対して相対回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−263878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もとより、減速装置は、産業用ロボットのアームのほか、様々な相手部材に取り付けて使用される。特定の減速装置を、取り合い寸法の異なる相手部材に取り付けて使用しようとする場合、従来は、ケーシング外周のフランジ部の形状が異なる新たな減速機、すなわち、相手部材に取り付け得る形状のフランジ部を有するケーシングを備えた減速機を個別に設計・製作して対応するようにしていた。
【0006】
しかしながら、この手法は、換言するならば、相手部材が変わる度にケーシングを設計・製造する必要があることを意味し、ケーシングは、もともと大型でコストが高い部品であることから、コスト増大の要因となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、より低コストで、種々の相手部材に取り付けることを可能とした減速装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、減速機と、モータと、前記減速機と前記モータとの間に配置されるモータアダプタと、を備えた減速装置であって、前記減速機は、該減速機のケーシングの外周に減速機フランジ部を備え、該減速機フランジ部に前記モータアダプタが固定され、前記モータアダプタは、相手部材取り付け用のアダプタフランジ部を備え、かつ該アダプタフランジ部は、前記減速機フランジ部よりも径方向外側に延在し、前記モータアダプタは、前記アダプタフランジ部よりもモータ側に相手部材とのインロー部を備え、当該インロー部は、前記アダプタフランジ部よりも外径が小さい構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
【0009】
本発明においては、減速装置を相手部材に取り付けるために、減速機とモータとの間に配置されているモータアダプタを活用する。このため、本発明に係るモータアダプタは、相手部材取り付け用のアダプタフランジ部を備えている。このアダプタフランジ部は、減速機フランジ部よりも径方向外側に延在している。
【0010】
これにより、高コストな減速機のケーシングを新たに設計・製造することなく、また部品点数を増やすこともなく、モータアダプタを変えるだけで減速装置を、種々の寸法あるいは形状の相手部材に取り付けることができる。この結果、相手部材との取り合い確保のためのコストを低減でき、減速装置全体のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より低コストで、種々の相手部材に取り付けることを可能とした減速装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の一例に係る減速装置の全体断面図
図2図1の減速装置の減速機およびモータアダプタ部分の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態の一例に係る減速装置の全体断面図、図2は、図1の減速装置の減速機およびモータアダプタ部分の拡大断面図である。
【0015】
この減速装置10は、減速機11と、モータ12と、減速機11とモータ12との間に配置されるモータアダプタ14と、を備え、全体がベース(相手部材)16に取り付けられた状態で使用される。
【0016】
減速機11の入力軸18は、中空部18Aを有し、モータ12のモータ軸15が該中空部18Aに挿入されている。モータ軸15と入力軸18は、摩擦クランプ装置19のクランプ力にて連結されている。入力軸18には、3個の偏心体20が一体的に形成されている。偏心体20の外周には、ころ22を介して3枚の外歯歯車24が揺動自在に組み込まれている。各外歯歯車24は、内歯歯車26に内接噛合している。
【0017】
内歯歯車26は、ケーシング28(のケーシング本体28A)と一体化された内歯歯車本体26Aと、該内歯歯車本体26Aに回転自在に支持され、該内歯歯車26の内歯を構成する円柱状のピン26Bとで構成されている。このため、ケーシング28(ケーシング本体28A)には、当該ピン26Bを回転自在に保持するためのピン溝26Cが内歯の数(ピン26Bの数)だけ軸方向に沿って穿設されている。内歯歯車26の内歯の数は、外歯歯車24の外歯の数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
【0018】
外歯歯車24には、貫通孔24Aが形成されている。この貫通孔24Aを、ピン部材30(実際には、ピン部材30に外嵌されたローラ部材)が偏心体20の偏心量の2倍の隙間を有して貫通している。ピン部材30は、外歯歯車24の軸方向反モータ側に配置された第1キャリヤ32と一体化されている。第1キャリヤ32は、該ピン部材30を介して外歯歯車24の軸方向モータ側に配置された第2キャリヤ34とボルト31によって連結されている。第1、第2キャリヤ32、34は、アンギュラ玉軸受36、38によってケーシング28(のケーシング本体28A)に回転自在に支持されると共に、玉軸受40、41を介して前記入力軸18を回転自在に支持している。
【0019】
この実施形態では、反モータ側の第1キャリヤ32は、減速機11のケーシング28の出力側カバーの機能を兼ねており、また、この第1キャリヤ32が減速機11の出力部材を構成している。第1キャリヤ32にはタップ穴32Aを介してマガジン等の回転円盤(被動体)42が連結され、該第1キャリヤ32の回転により回転駆動される。
【0020】
ここで、この減速装置10のベース(相手部材)16への取り付けに関係する構成について詳細に説明する。
【0021】
減速機11は、ケーシング28の外周に減速機フランジ部50を備えている。減速機フランジ部50には、ボルト54を挿通するための取り付け孔50Aが形成されている。
【0022】
図1図2から明らかなように、本実施形態の減速機フランジ部50は、ベース16とは、取り合い寸法が合っておらず、当該減速機フランジ部50の取り付け孔50Aを用いて減速機11をベース16に直接取り付けることはできない。従来は、このような場合、ケーシングの減速機フランジ部をより大きく形成し直したものを製造して対応するようにしていたが、本実施形態では、このような手法で対応するのではなく、該減速機11とモータ12との間に(もともと)配置されるモータアダプタ14を活用した構成を採用している。
【0023】
すなわち、この実施形態では、減速機11と、モータ12との間には、モータアダプタ14が配置され、減速機11とモータ12とを連結している。
【0024】
具体的には、この連結を可能とするため、モータアダプタ14の軸方向減速機側の端部には、インロー部14Cが形成され、減速機11のケーシング28のインロー部28Dと係合している。モータアダプタ14は、このインロー部14C、28Dの係合を介してボルト54によって減速機11と連結されている。なお、ボルト54は、減速機フランジ部50の取り付け孔50Aに反モータ側から挿入されている。
【0025】
また、モータアダプタ14の軸方向モータ側の端部内周には、インロー部14Bが形成され、モータ12のインロー部12Bと係合している。モータアダプタ14は、このインロー部14B、12Bを介してモータアダプタ14に形成したタップ穴14Tに螺合するボルト(図示略:中心線C1のみ描写)によってモータ12と連結されている。
【0026】
なお、減速機11とモータアダプタ14のインロー部28D、14Cの間には、Oリング56が配置され、ここで減速機11内の潤滑剤が封止されている。すなわち、本実施形態に係るモータアダプタ14は、減速機11とモータ12とを連結する、という本来のモータアダプタ14の機能を有すると共に、減速機11のケーシング28の入力側カバーの機能も兼ねている。
【0027】
ここで、本実施形態に係るモータアダプタ14は、さらに、該モータアダプタ14の軸方向反モータ側の端部に、ベース(相手部材)16に取り付けるための(相手部材取り付け用の)アダプタフランジ部52を備えている。アダプタフランジ部52は、減速機フランジ部50よりも径方向外側にまで延在している。また、このアダプタフランジ部52は、モータアダプタ14がボルト54によって減速機フランジ部50に固定される部分の径方向外側に形成されている。すなわち、モータアダプタ14は、減速機フランジ部50に固定される部分の径方向外側にアダプタフランジ部52を有している。
【0028】
より詳細に説明すると、アダプタフランジ部52の最外径d1は、減速機フランジ部50の最外径d2よりも大きい(d1≧d2)。また、アダプタフランジ部52には、ベース16に取り付けるための取り付け孔52Aが形成されており、この実施形態では、該アダプタフランジ部52に形成された取り付け孔52Aに挿通されるボルト55(中心線C2)の頭部55Aの最小径(入力軸18の軸心O1に最も近い部分の径)d3も、減速機フランジ部50の最外径d2よりも大きい(d3≧d2)。すなわち、この実施形態に係るアダプタフランジ部52は、該取り付け孔52Aにボルト55が反モータ側から挿通できる態様で、減速機フランジ部50よりも径方向外側に延在している。
【0029】
さらに、モータアダプタ14は、そのアダプタフランジ部52よりも軸方向モータ側に、ベース16の開口インロー部16Aと係合するインロー部14Aを備えている。モータアダプタ14は、このインロー部16A、14Aの係合を介してボルト55によってベース16の表面16Fと連結可能である。
【0030】
モータアダプタ14の(ベース16の開口インロー部16Aに対する)インロー部14Aの径d5は、モータ12の最外径d6よりも大きい。これは、換言するならば、モータ12の全体が、ベース16の開口インロー部16Aを通って、該開口インロー部16Aよりも反減速機側に位置決めできることを意味している。
【0031】
これらの大小関係により、この実施形態に係る減速装置10では、モータアダプタ14およびベース16は、減速装置10をモータ12の側から開口インロー部16Aを通過させた状態で、反モータ側から挿通したボルト55によって相互に固定されている。
【0032】
次に、この減速装置10の作用を説明する。
【0033】
始めに、減速機11の駆動系の作用を簡単に説明する。
【0034】
モータ12のモータ軸15が回転すると、該モータ軸15に摩擦クランプ装置19を介して連結された入力軸18が一体的に回転する。入力軸18の回転によって偏心体20が回転すると、該偏心体20の外周にころ22を介して組み込まれている外歯歯車24が揺動する。外歯歯車24は、内歯歯車26に内接噛合しているため、この揺動によって内歯歯車26との噛合位置が順次ずれてゆく現象が発生する。
【0035】
これにより、外歯歯車24は、入力軸18が1回回転する毎に、固定状態にある内歯歯車26に対して歯数差分(1歯分)だけ位相がずれ、自転する。この自転成分が、該外歯歯車24を貫通しているピン部材30に伝達され、ピン部材30を支持している第1、第2キャリヤ32、34が回転する。第1、第2キャリヤ32、34の回転により、第1キャリヤ32にタップ穴32Aを介して連結されているマガジン等の回転円盤42が駆動される。なお、外歯歯車24の揺動成分は、ピン部材30と貫通孔24Aとの隙間によって吸収される。
【0036】
ここで、本実施形態に係る減速装置10においては、減速機11とモータアダプタ14とが、インロー部28D、14Cを介して、該減速機11の減速機フランジ部50の取り付け孔50Aに反モータ側から挿通したボルト54によって連結される。また、モータ12とモータアダプタ14とが、タップ穴14Tに螺合する図示せぬボルト(中心線C1)によって連結される。なお、この減速機11およびモータ12のモータアダプタ14に対する連結は、どちらを先に行っても良い。
【0037】
そして、モータ12の全部およびモータアダプタ14のほぼ全部をベース16の開口インロー部16Aを通過させてモータアダプタ14のアダプタフランジ部52をベース16の表面16Fに当接させ、取り付け孔52Aに反モータ側から挿通したボルト55によってモータアダプタ14およびベース16を相互に固定する。これにより、モータアダプタ14を介して、減速装置10を確実にベース16に固定することができる。
【0038】
本実施形態の構成によれば、減速装置10の減速機11の減速機フランジ部50の形状がベース(相手部材)16の取り合い寸法に適合していないにも拘わらず、モータアダプタ14を適切に設計・製造するだけで簡単に対応することができる。したがって、例えば「減速機(11)のケーシング(28)の減速機フランジ部(50)を相手部材(16)に適合させる」という従来の手法に比べ、低コスト化が図れる。
【0039】
とりわけ、本実施形態では、減速機11のケーシング28が、減速機構の内歯歯車26の内歯歯車本体26Aを兼ねており、該ケーシング28の内周側にピン26Bを回転自在に保持するためのピン溝26Cが形成されるような構成とされている。このため、ケーシング28の製造コストが特に高い。そのため、種々の相手部材に対して、単一(同一)の構成の減速機11をそのまま流用できる、というコスト低減効果が、特に大きい。
【0040】
なお、減速機フランジ部の形状が相手部材の取り合い寸法と適合しない場合には、該減速機フランジ部と相手部材との間に(橋渡しの機能を有する)アダプタを介在させる手法が考えられる。しかしながら、この手法は、減速機フランジ部とは別部材のアダプタを、ボルト等を介して該減速機フランジ部に連結した上で、相手部材に連結することになるため、必然的に部品点数、組み付け工数が多くなり、また、ボルトの緩み等の問題も、より発生し易くなるという問題がある。これに対し、本実施形態では、もともと存在しているモータアダプタ14を活用するため、部品点数や組み付け工数の増大がなく、また、モータアダプタ14を直接ベース16に固定できるため、ボルトの緩み等の問題も、(減速機フランジ部と相手部材との間に、別部材のアダプタを介在させる場合と比較して)生じにくい。
【0041】
なお、本実施形態では、モータアダプタ14が、アダプタフランジ部52よりもモータ12側にベース16とのインロー部14Aを備えるようにしてあるため、ベース16との連結を容易に行うことができている。
【0042】
また、このモータアダプタ14に形成した(ベース16に対する)インロー部14Aの径d5が、モータ12の最外径d6よりも大きく形成してあるため、モータ12全体をそっくりベース16の開口インロー部16Aを通過させて、該開口インロー部16Aよりも反減速機側に位置決めすることができている。これにより、ベース16から減速装置10が突出する寸法L1を小さくすることができ、また、減速装置10を該減速装置10の軸方向ほぼ中央に位置するモータアダプタ14の部分でベース16に連結できるため、減速装置10を安定した状態でベース16に固定することができる。
【0043】
また、メンテナンス時等において、モータ12を取り付けた状態のまま、減速装置10をベース16から取り外すことができるため作業性が良い。また、モータアダプタ14およびベース16が、反モータ側から挿通したボルト55によって相互に固定されるように構成したため、当該固定作業をベース16の減速機11側から行うことができ、この点でも作業性が良い。
【0044】
なお、上記実施形態では、モータアダプタ14に形成するベース16とのインロー部14Aは、アダプタフランジ部52よりもモータ12側に形成されていたが、このインロー部は、ベースの位置や形状によっては、該アダプタフランジ部よりも反モータ側に形成されていてもよい。もちろん、アダプタフランジ部のモータ側および反モータ側の双方に形成されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、モータアダプタ14に形成した(ベース16との)インロー部14Aの径d5が、モータ12の最外径d6よりも大きく形成され、モータ12全体をそっくりベース16の開口インロー部16Aよりも反減速機側に位置決めできるように構成していた。しかし、この構成も必ずしも必須の構成ではない。例えば、ベースと減速装置の位置関係によっては、ベースの開口インロー部に対して減速装置の減速機部分を通過させることによって、減速装置をベースに固定することができる場合がある。この場合には、モータアダプタに形成した(ベースとの)インロー部(14A)の径が、減速機の最外径よりも大きく形成されていれば、減速機全体を支障なくベースの開口インロー部を通過させて反モータ側に位置決めさせることができる。したがって、モータアダプタに形成した(ベースとの)インロー部(14A)の径は、必ずしもモータの最外径よりも大きく形成される必要はない。
【0046】
なお、このような態様で取り付けを行う場合には、モータアダプタおよび相手部材は、(反モータ側から挿通したボルトによって相互に固定されるのではなく)モータ側から挿通したボルトによって相互に固定される構成とした方が、作業性が向上することが多い。換言するならば、本発明では、モータアダプタおよび相手部材は、必ずしも反モータ側から挿通したボルトによって、相互に固定される構成とされる必要はない。
【0047】
また、上記実施形態では、偏心体を有する入力軸(偏心体軸)が内歯歯車の軸心(径方向中央)に1本のみ存在する中央クランクタイプと称される偏心揺動型減速機構を有する減速機が示されていたが、本発明に係る減速装置の減速機の減速機構は、特にこの例に限定されない。例えば、内歯歯車の軸心からオフセットした位置に、複数の偏心体軸を有し、この複数の偏心体軸に備えられた偏心体を同期して回転させることによって外歯歯車を揺動させる、いわゆる振り分けタイプと称される減速機構であってもよい。さらには、単純遊星減速機構であってもよいし、平行軸減速機構、直交軸減速機構等であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…減速装置
11…減速機
12…モータ
14…モータアダプタ
16…ベース(相手部材)
24…外歯歯車
26…内歯歯車
28…ケーシング
50…減速機フランジ部
52…アダプタフランジ部
図1
図2