特許第5918809号(P5918809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918809
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法および配線基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20160428BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   H01L23/12 F
   H01L23/12 D
   H05K3/28 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-138850(P2014-138850)
(22)【出願日】2014年7月4日
(65)【公開番号】特開2016-18815(P2016-18815A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2014年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】592214450
【氏名又は名称】株式会社イースタン
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】成沢 良明
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−194079(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/104506(WO,A1)
【文献】 特開2001−267452(JP,A)
【文献】 特開2010−141018(JP,A)
【文献】 特開2001−133974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H05K 1/18
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1表面領域と、該第1表面領域の周囲の第2表面領域とを有し、配線が形成された基体を準備する工程と、
(b)前記第1表面領域を覆うレジストを形成する工程と、
(c)前記レジストを内包するように、前記第1および第2表面領域を樹脂体で覆う工程と、
(d)前記樹脂体から前記レジストを露出させる工程と、
(e)露出した前記レジストを除去することで、前記第1表面領域における前記基体を露出させる樹脂開口部を前記樹脂体に形成する工程と
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法において、
前記(d)工程では、前記樹脂体を半硬化の状態で用い、
前記(d)工程の後、前記(e)工程の前に、前記樹脂体を完全に硬化する。
【請求項3】
請求項1または2記載の配線基板の製造方法において、
前記(b)工程では、前記レジストとして感光性樹脂を用い、
前記(c)工程では、前記樹脂体として感熱性樹脂を用いる。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法において、
前記(a)工程では、前記配線と電気的に接続された電極パッドが前記第1表面領域に形成された前記基板を準備し、
前記(e)工程では、前記樹脂開口部から前記電極パッドを露出させる。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法において、
(f)前記(c)工程の後、前記(d)工程の前に、前記第1表面領域の上方に第1開口部を有するマスクを前記樹脂体上に形成する工程を更に含み、
前記(d)工程では、前記レジストを露出させるまで前記第1開口部から前記樹脂体を除去し、
前記(d)工程の後、前記マスクを除去する。
【請求項6】
請求項5記載の配線基板の製造方法において、
前記(f)工程では、前記第1開口部の前記レジストに対する面積が該レジストよりも大きい前記マスクを用い、
前記(d)工程では、前記レジスト上の前記樹脂体の部分と、該部分の周囲部分とを除去し、
前記(e)工程では、前記樹脂開口部において該樹脂開口部の底面側より開口側が大きくなる段差を形成する。
【請求項7】
請求項5または6記載の配線基板の製造方法において、
前記(a)工程では、前記第1表面領域とは異なる第3表面領域と、該第3表面領域の周囲の第4表面領域とを更に有する前記基板を準備し、
前記(c)工程では、前記第1および第2表面領域と共に、前記第3および第4表面領域を前記樹脂体で覆い、
前記(f)工程では、前記第3表面領域の上方に第2開口部を更に有する前記マスクを前記樹脂体上に形成し、
前記(d)工程では、前記第2開口部から前記樹脂体を除去し、樹脂凹部を前記樹脂体に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010−199240号公報(以下、「特許文献1」という。)には、配線基板の製造技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−199240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体素子(半導体チップ)の高密度化、小型化、薄型化が進むにつれて、半導体素子を保持する配線基板の薄型化、高密度化が要求されるようになり、配線基板の直進性、剛性を確保するのが困難になっている。例えば、特許文献1に記載の技術によれば、配線基板の最表層として絶縁性樹脂を密着させることで、反りを抑制し、剛性のある配線基板を製造することが可能となる。
【0005】
しかしながら、半導体素子用の接続端子開口部など所望形状の樹脂開口部を形成するにあたり、特許文献1に記載の技術のようなレーザ照射による形成では、生産性が悪く、コストを削減するのが困難である。また、レーザ照射では、例えば、最表層の絶縁性樹脂に段差を付けるなどの特異的な形状を形成することが困難である。
【0006】
本発明の目的は、容易に所望形状の樹脂開口部を形成することのできる技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法は、(a)第1表面領域と、該第1表面領域の周囲の第2表面領域とを有し、配線が形成された基体を準備する工程と、(b)前記第1表面領域を覆うレジストを形成する工程と、(c)前記レジストを内包するように、前記第1および第2表面領域を樹脂体で覆う工程と、(d)前記樹脂体から前記レジストを露出させる工程と、(e)露出した前記レジストを除去することで、前記第1表面領域における前記基体を露出させる樹脂開口部を前記樹脂体に形成する工程とを含むことを特徴とする。これによれば、レジストの形状が型となって、容易に所望形状の樹脂開口部を樹脂体に形成することができる。
【0009】
前記一実施形態に係る配線基板の製造方法において、前記(d)工程では、前記樹脂体を半硬化の状態で用い、前記(d)工程の後、前記(e)工程の前に、前記樹脂体を完全に硬化することがより好ましい。これによれば、(d)工程では、樹脂体が半硬化状態であるため、容易に前記樹脂体の一部を除去してレジストを露出させることができる。また、(e)工程では、樹脂体が完全に硬化した状態であるため、レジストを除去する際の樹脂体が受けるダメージを低減させることができる。
【0010】
また、前記一実施形態に係る配線基板の製造方法において、前記(b)工程では、前記レジストとして感光性樹脂を用い、前記(c)工程では、前記樹脂体として感熱性樹脂を用いることがより好ましい。これによれば、異なる樹脂材料を用いることで選択比を高くし、生産性を向上させることができる。
【0011】
また、前記一実施形態に係る配線基板の製造方法において、前記(a)工程では、前記配線と電気的に接続された電極パッドが前記第1表面領域に形成された前記基板を準備し、前記(e)工程では、前記樹脂開口部から前記電極パッドを露出させることがより好ましい。これによれば、容易に電極パッドを露出させることができる。
【0012】
また、前記一実施形態に係る配線基板の製造方法において、(f)前記(c)工程の後、前記(d)工程の前に、前記第1表面領域の上方に第1開口部を有するマスクを前記樹脂体上に形成する工程を更に含み、前記(d)工程では、前記レジストを露出させるまで前記第1開口部から前記樹脂体を除去し、前記(d)工程の後、前記マスクを除去することがより好ましい。これによれば、レジスト自身による形状と、マスクの第1開口部による形状とを組み合わせて特異的な形状の樹脂開口部を樹脂体に形成することができる。
【0013】
ここで、前記(f)工程では、前記第1開口部の前記レジストに対する面積が該レジストよりも大きい前記マスクを用い、前記(d)工程では、前記レジスト上の前記樹脂体の部分と、該部分の周囲部分とを除去し、前記(e)工程では、前記樹脂開口部において該樹脂開口部の底面側より開口側が大きくなる段差を形成する。これによれば、段差のある樹脂開口部を樹脂体に形成することができる。
【0014】
また、前記(a)工程では、前記第1表面領域とは異なる第3表面領域と、該第3表面領域の周囲の第4表面領域とを更に有する前記基板を準備し、前記(c)工程では、前記第1および第2表面領域と共に、前記第3および第4表面領域を前記樹脂体で覆い、前記(f)工程では、前記第3表面領域の上方に第2開口部を更に有する前記マスクを前記樹脂体上に形成し、前記(d)工程では、前記第2開口部から前記樹脂体を除去し、樹脂凹部を前記樹脂体に形成することがより好ましい。これによれば、樹脂開口部とは異なる形状の樹脂凹部を樹脂体に形成することができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る配線基板は、配線が形成され、該配線と電気的に接続された電極パッドを表面に有する基体と、前記電極パッドを露出する樹脂開口部を有し、前記基体の表面に形成された樹脂体とを備え、前記樹脂開口部は、前記樹脂体の表面から所定深さまでの第1樹脂開口部と、前記所定深さから前記基体の表面までの第2樹脂開口部とを有し、前記樹脂開口部には、前記第2樹脂開口部の開口面積より前記第1樹脂開口部の開口面積が大きくなって段差が形成されることを特徴とする。これによれば、例えば、電極パッドにボンディングワイヤを接続する際に、樹脂開口部の開口縁でボンディングワイヤが接触し、電極パッドとの接続信頼性が低下するのを防止することができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る配線基板において、前記樹脂体は、前記樹脂開口部とは異なる位置で前記樹脂体の表面から前記所定深さまでの樹脂凹部を更に有することがより好ましい。これによれば、例えば、配線基板に実装された半導体素子に保護材を塗布したとしても、樹脂凹部がダムとなって、保護材が実装領域以外の樹脂体表面に広がるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
本発明の一実施形態に係る配線基板の製造方法によれば、レジストの形状が型となって、容易に所望形状の樹脂開口部を樹脂体に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態1に係る製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図2図1に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図3図2に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図4図3に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図5図4に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図6図5に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図7】本発明の実施形態2に係る製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図8図7に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図9図8に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図10図9に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図11図10に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図12】本発明の実施形態2に係る配線基板を備えた半導体装置の一例の要部模式的断面図である。
図13】本発明の実施形態2に係る配線基板を備えた半導体装置の他の一例の要部模式的断面図である。
図14】本発明の実施形態3に係る製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図15図14に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図16図15に続く製造工程中の配線基板の要部模式的断面図である。
図17】本発明の実施形態3に係る配線基板の変形例の要部模式的断面図である。
図18】本発明の実施形態3に係る配線基板の変形例の要部模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0021】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る配線基板10の製造方法について、図1図6を参照して説明する。図1図6は、本実施形態に係る製造工程中の配線基板10の要部模式的断面図である。なお、この配線基板10の表面(実装面)に電子部品(例えば、半導体素子、チップコンデンサなど)が実装されて、半導体装置(半導体パッケージ)が構成される。
【0022】
まず、図1に示すように、第1表面領域12と、第1表面領域12の周囲の第2表面領域14とを有し、配線16が形成された基体18を準備する。基体18は、例えば、ガラスクロスを内包したコア基板を用いずに、絶縁層の間に回路を構成するための複数の配線層がビアを介して電気的に接続(回路形成)された、いわゆるコアレス基板である。本実施形態では、配線層の1層を構成する配線16(例えば、銅配線)を基体18の表面で露出する最上層(最外層)として説明する。
【0023】
第1表面領域12は、後述するが、樹脂開口部24(図6参照)が形成される領域(露出領域)で、第2表面領域14は、樹脂開口部24が形成されない領域(被覆領域)となる。このため、第1表面領域12にある配線16は、例えば、実装される電子部品と接続するための電極パッド(接続端子)や、外部に露出させたい配線パターンとなる。
【0024】
続いて、基体18に表面処理を施した後、図2に示すように、第1表面領域12および第2表面領域14を覆うレジスト20を形成する。レジスト20は、例えば、感光性レジスト(ドライフィルム、液状レジストなど)である。ドライフィルムでのレジスト20は、第1表面領域12および第2表面領域14の配線16を内包する(埋め込む)ように基体18の表面に張り付けられる(付着される)。
【0025】
続いて、図3に示すように、レジスト20をパターニングして、第1表面領域12のみを覆うレジスト20を形成する。具体的には、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、図2に示す状態のレジスト20に対して露光および現像を行い、図3に示すパターニングされたレジスト20を形成する。このパターニングされたレジスト20の形状(例えば、円柱形状)は、後で形成される樹脂開口部24の形状を構成するものとなる。なお、露光および現像工程を経たレジスト20は、完全に硬化されたものとなる。
【0026】
続いて、図4に示すように、レジスト20を内包する(埋め込む)ように、第1表面領域12および第2表面領域14を樹脂体22で覆う。樹脂体22は、例えば、感熱性樹脂(例えば、シート状のエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂)である。シート状熱硬化性樹脂での樹脂体22は、第1表面領域12のレジスト20および第2表面領域14の配線16を内包する(埋め込む)ように基体18の表面に張り付けられ(密着される)、半硬化(Bステージ)の状態となるように熱が加えられる。
【0027】
続いて、図5に示すように、例えば、物理的研磨や化学的研磨によって樹脂体22からレジスト20を露出させる。具体的には、樹脂体22の表面(上面)側からレジスト20側へ向かって研削したり、エッチング液(樹脂体22がエポキシ系樹脂ならば、例えば、過マンガン酸塩エッチング液など)を用いてエッチングしたりして、レジスト20の表面(上面)を露出させる。ここで、樹脂体22が半硬化状態であるため、容易に樹脂体22の一部を除去してレジスト20を露出させることができる。
【0028】
次いで、レジスト20が露出した半硬化状態の樹脂体22を完全に硬化させる。樹脂体22が熱硬化性樹脂であるならば、熱硬化される。
【0029】
続いて、図6に示すように、例えば、エッチングや剥離によって、露出しているレジスト20を樹脂体22に対して選択的に除去することで、第1表面領域12における基体18を露出させる樹脂開口部24を樹脂体22に形成する。本実施形態では、レジスト20として感光性樹脂材料を用い、樹脂体22として感光性樹脂材料とは異なる感熱性樹脂材料を用いているので、選択比を高くすることができ、生産性を向上させることができる。
【0030】
具体的には、レジスト20の表面(上面)側から基体18の表面側に向かってエッチング液(レジスト20がドライフィルムならば、例えば、アンモニア系アルカリエッチング液)を用いてエッチングしたり、物理的にレジスト20を剥離させたりして、基体18の第1表面領域12を露出させる。ここで、樹脂体22が完全に硬化した状態であるため、レジスト20を除去する際の樹脂体22が受けるダメージを低減させることができる。
【0031】
このようにして、配線基板10が略完成する。第1表面領域12では、例えば電極パッドとして用いられる配線16が樹脂体22の樹脂開口部24から露出する。また、第2表面領域14では、外部に露出させずに保護される配線16が樹脂体22で内包される。すなわち、本実施形態によれば、配線基板10において露出させたくない部分が、配線基板10の表面保護層としての樹脂体22(例えば、エポキシ系樹脂)により覆われているため、基板剛性が確保され、反りが抑制された配線基板10を提供することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、レジスト20の形状が樹脂開口部24の型となるため、特許文献1に記載のようなレーザ加工技術を用いなくとも、容易に所望形状の樹脂開口部24を樹脂体22に形成することができる。そして、この樹脂開口部24から電極パッドとなる第1表面領域12の配線16を容易に露出させることができる。
【0033】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る配線基板10の製造方法について、図7図11を参照して説明する。図7図11は、本実施形態に係る製造工程中の配線基板10の要部模式的断面図である。
【0034】
まず、図7に示すように、第1表面領域12と、第1表面領域12の周囲の第2表面領域14と、第1表面領域12とは異なる第3表面領域26と、第3表面領域26の周囲の第4表面領域28を有し、配線16が形成された基体18を準備する。ここでの第1表面領域12と第3表面領域26との間では、第2表面領域14と第4表面領域28とが重複している。そして、前記実施形態1において、図1図4を参照して説明した工程を経ることで、レジスト20を内包するように、第1表面領域12、第2表面領域14、第3表面領域26および第4表面領域28を覆う樹脂体22を基体18の表面に形成する。
【0035】
次いで、図7に示すように、樹脂体22上にマスク30を形成する。マスク30は、例えば、メタルマスク(例えば、銅、アルミニウムなど)である。例えば、銅箔でのマスク30は、第1表面領域12、第2表面領域14、第3表面領域26および第4表面領域28を覆うように樹脂体22の表面に貼り付けられる。
【0036】
続いて、図8に示すように、第1表面領域12の上方に所望の大きさの第1開口部32と、第3表面領域26の上方に所望の大きさの第2開口部34とを有するマスク30を樹脂体22上に形成する。具体的には、フォトリソグラフィ技術(露光)およびエッチング技術(現像)を用いて、ガイドエッチ(ガイドパターン開口)をマスク30上に形成して、マスク30を所望の形状にパターニングする。ここで、第1開口部32は、開口面積(レジスト20に対する面積)がレジスト20(すなわち、第1表面領域12)よりも大きくなるように形成される。
【0037】
続いて、図9に示すように、マスク30を用いて、例えば、物理的研磨や化学的研磨によって、レジスト20を露出させるまで第1開口部32から樹脂体22の一部を除去する。樹脂体22の一部としては、レジスト20上の樹脂体22の部分およびこの周囲部分が該当する。この際、第2開口部34からも樹脂体22の一部を除去し、樹脂凹部36を樹脂体22に形成する。
【0038】
例えば、マスク30の第1開口部32、第2開口部34から露出する樹脂体22の表面(上面)側からレジスト20側へ向かって、エッチング液(樹脂体22がエポキシ系樹脂ならば、例えば、過マンガン酸塩エッチング液など)を用いてエッチングする。ここで、樹脂体22が半硬化状態であるため、容易に樹脂体22の一部を除去することができる。
【0039】
次いで、レジスト22が露出した半硬化状態の樹脂体22を完全に硬化させる。樹脂体22が熱硬化性樹脂であるならば、熱硬化される。
【0040】
続いて、図10に示すように、マスク30を除去する。マスク30が銅箔ならば、例えば、硫酸過酸化水素系のエッチング液や過硫酸塩素系のエッチング液などを用いたエッチングにより除去することができる。
【0041】
続いて、図11に示すように、例えば、エッチングや剥離によって、露出しているレジスト20を樹脂体22に対して選択的に除去することで、第1表面領域12における基体18を露出させる樹脂開口部24を樹脂体22に形成する。この工程は、前記実施形態1において図6を参照して説明した工程と同様である。
【0042】
これにより、樹脂開口部24において樹脂開口部24の底面側より開口側が大きくなる段差が形成される。具体的には、樹脂開口部24は、樹脂体22の表面から所定深さd1までの第1樹脂開口部24aと、所定深さd1から基体18の表面(所定深さd2)までの第2樹脂開口部24bとを有する。そして、樹脂開口部24には、第2樹脂開口部24bの開口面積より第1樹脂開口部24aの開口面積が大きくなって段差が形成される。
【0043】
樹脂開口部24の段差形状は、図9を参照して説明した工程において、物理的研磨や化学的研磨を行う深さを変えることで制御される。また、レジスト20の厚み(深さd2に相当する)によっても樹脂開口部24の段差形状を制御することができる。
【0044】
このようにして、配線基板10が略完成する。本実施形態によれば、前記実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、レジスト20自身による形状と、マスク30の第1開口部32による形状とを組み合わせて特異的な形状の樹脂開口部24を樹脂体22に形成することができる。
【0045】
また、配線基板10は、樹脂開口部24とは異なる位置で樹脂体22の表面から所定深さd1までの樹脂凹部36を有する。例えば、この樹脂凹部36は、電極パッドとなる配線16が露出される樹脂開口部24とは異なる位置で、電極パッドのない特性箇所に形成される。このように、配線基板10には、樹脂開口部24と異なる形状の樹脂凹部36を樹脂体22に形成することができる。すなわち、本実施形態によれば、配線基板10の表面保護層としての樹脂体22に、特異的な形状の加工を行うことができる。
【0046】
ここで、本実施形態に係る配線基板10を用いて構成される半導体装置100について、図12を参照して説明する。図12は、配線基板10を備えた半導体装置100の一例の要部模式的断面図である。
【0047】
図12に示す配線基板10は、実装領域においてチップ状の半導体素子101,102が積層された状態で実装される。半導体素子101は、半導体素子102よりもチップサイズが大きく、半導体素子102周囲の配線基板10の表面と、半導体素子101との間には空間が形成される。この配線基板10は、実装領域の周囲を平面視リング状に形成された樹脂凹部36(周溝部)と、電極パッドとなる配線16を露出する複数の樹脂開口部24とを有する。
【0048】
配線基板10に実装された半導体素子101は、その表面に形成された電極パッド(図示せず)と樹脂開口部24で露出する配線16(電極パッド)とをボンディングワイヤ103を介して、配線基板10と電気的に接続される。本実施形態では、樹脂開口部24が、第2樹脂開口部24bの開口面積より第1樹脂開口部24aの開口面積が大きくなって段差が形成されている。すなわち、樹脂開口部24の開口縁が広くなっている。このため、配線16(電極パッド)にボンディングワイヤ103を接続する際に、樹脂開口部24の開口縁でボンディングワイヤ103が接触し、配線16(電極パッド)との接続信頼性が低下するのを防止することができる。
【0049】
そして、実装された半導体素子101,102を保護するために、実装領域における配線基板10の表面と半導体素子101との間の空間を埋めるように、保護材104が塗布(アンダーフィル)される。本実施形態では、配線基板10に平面視リング状の樹脂凹部36が形成されているので、樹脂凹部36がダムとなって、保護材104が配線基板10(樹脂体22)の実装領域以外の表面に広がるのを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る配線基板10を用いて構成される半導体装置105について、図13を参照して説明する。図13は、配線基板10を備えた半導体装置105の一例の要部模式的断面図である。
【0051】
図13に示す配線基板10は、実装領域においてチップ状の半導体素子106がフリップチップ実装される。この配線基板10は、実装領域を露出する樹脂開口部24と、実装領域の周囲を平面視リング状に形成された樹脂凹部36(周溝部)とを有する。
【0052】
配線基板10に実装された半導体素子106は、その主面(下面)に形成された複数の電極バンプ107と樹脂開口部24で露出する複数の配線16(電極パッド)とを接合して、配線基板10と電気的に接続される。そして、実装された半導体素子106を保護するために、実装領域における配線基板10の表面と半導体素子106との間の空間を埋めるように、保護材104が塗布(アンダーフィル)される。
【0053】
本実施形態では、樹脂開口部24が、第2樹脂開口部24bの開口面積より第1樹脂開口部24aの開口面積が大きくなって段差が形成されている。すなわち、樹脂開口部24の開口縁が広くなっている。このため、第1樹脂開口部24aがダムとなって、保護材104が配線基板10(樹脂体22)の実装領域以外の表面に広がるのを防止することができる。また、本実施形態では、配線基板10に平面視リング状の樹脂凹部36が形成されているので、樹脂凹部36もダムとなって、保護材104が配線基板10(樹脂体22)の実装領域以外の表面に広がるのをより防止することができる。
【0054】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る配線基板10の製造方法について、図14図16を参照して説明する。図14図16は、本実施形態に係る製造工程中の配線基板10の要部模式的断面図である。なお、本実施形態に係る配線基板10の製造方法は、前記実施形態2において、図7を参照して説明した工程までは同じ工程を経るため、以下では、それ以降の工程について説明する。
【0055】
図14に示すように、第1表面領域12の上方に所望の大きさの第1開口部32と、第3表面領域26の上方に所望の大きさの第2開口部34とを有するマスク30を樹脂体22上に形成する。ここで、第1開口部32は、開口面積(レジスト20に対する面積)がレジスト20(すなわち、第1表面領域12)よりも大きくなるように形成するものの、図14に示すように、第1開口部32の一内周面(第2開口部34側の内周面)は、レジスト20の一側面に面合わせして形成される。
【0056】
続いて、図15に示すように、マスク30を用いて、例えば、物理的研磨や化学的研磨によって、レジスト20を露出させるまで第1開口部32から樹脂体22の一部を除去すると共に、第2開口部34からも樹脂体22の一部を除去する。例えば、マスク30の第1開口部32、第2開口部34から露出する樹脂体22の表面(上面)側からレジスト20側へ向かって、エッチング液を用いてエッチングする。
【0057】
次いで、レジスト22が露出した半硬化状態の樹脂体22は完全に硬化させた後、マスク30を除去する。続いて、図16に示すように、例えば、エッチングや剥離によって、露出しているレジスト20を樹脂体22に対して選択的に除去することで、第1表面領域12における基体18を露出させる樹脂開口部24を樹脂体22に形成する。これにより、樹脂開口部24の底面側より開口側が大きくなる段差が、樹脂開口部24の開口縁の一部(図16では片側のみ)に形成される。
【0058】
このようにして、配線基板10が略完成する。本実施形態によれば、前記実施形態1,2と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、レジスト20自身による形状と、マスク30の第1開口部32による形状とを組み合わせて特異的な形状の樹脂開口部24を樹脂体22に形成することができる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、図17および図18に示すような配線基板10を製造することもできる。図17および図18は、本実施形態に係る配線基板10の変形例の要部模式的断面図である。これらのように、特異的な形状の樹脂開口部24や樹脂凹部36を組み合わせることができる。
【0060】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0061】
例えば、前記実施形態1では、基体としてコアレス基板に適用した場合について説明した。これに限らず、一般的なコア基板を用いたビルドアップ基板(ガラスエポキシ基板)にも適用することができる。
【0062】
また、例えば、前記実施形態1では、第1表面領域を覆うレジストとしてドライフィルムのパターニング工程を経るものに適用した場合について説明した。これに限らず、印刷技術を用いて直接的に第1表面領域を覆うレジストにも適用することができる。
【0063】
また、例えば、前記実施形態1では、第1表面領域として、配線よりも広い領域を含むものに適用した場合について説明した。これに限らず、第1表面領域として配線よりも狭い領域にも適用することができ、例えば、配線上に樹脂開口部を形成して、電極パッドとして樹脂開口部から露出させることもできる。
【0064】
また、例えば、前記実施形態1では、レジストを除去して樹脂体に樹脂開口部を形成する前に、半硬化状態の樹脂体を完全に硬化させる場合について説明した。これに限らず、樹脂開口部を形成した後に、樹脂体を完全に硬化させることもできる。
【符号の説明】
【0065】
10 配線基板
12 第1表面領域
14 第2表面領域
16 配線
18 基体
20 レジスト
22 樹脂体
24 樹脂開口部
24a 第1樹脂開口部
24b 第2樹脂開口部
26 第3表面領域
28 第4表面領域
30 マスク
32 第1開口部
34 第2開口部
36 樹脂凹部
100 半導体装置
101,102 半導体素子
103 ボンディングワイヤ
104 保護材
105 半導体装置
106 半導体素子
107 電極バンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図11
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