(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918863
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】ファスナ・レセプタクル・ストリップ
(51)【国際特許分類】
F16B 5/06 20060101AFI20160428BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20160428BHJP
B64C 1/12 20060101ALI20160428BHJP
F16B 5/00 20060101ALI20160428BHJP
F16B 11/00 20060101ALI20160428BHJP
F16B 37/06 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
F16B5/06 Q
B64C1/00 A
B64C1/00 B
B64C1/12
F16B5/00 F
F16B11/00 B
F16B37/06 Z
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-552687(P2014-552687)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2015-513326(P2015-513326A)
(43)【公表日】2015年5月7日
(86)【国際出願番号】GB2013050049
(87)【国際公開番号】WO2013108013
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】1200912.2
(32)【優先日】2012年1月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510286488
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ハドレイ ポール
(72)【発明者】
【氏名】グリーヴ ジョン
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−515278(JP,A)
【文献】
特開2002−234463(JP,A)
【文献】
特開2009−138887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/06
B64C 1/00
B64C 1/12
F16B 5/00
F16B 11/00
F16B 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成部品と、第2の構成部品と、前記第1の構成部品を前記第2の構成部品に締結するファスナ・アセンブリと、を備える構造アセンブリであって、
前記第1の構成部品は、第1の方向に相互に傾斜した少なくとも2つの領域によって形成される傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記第1の構成部品における前記第1の方向の構造的な厚さの変化を伴うものであり、
前記ファスナ・アセンブリは、前記傾斜面の輪郭に沿うように前記第1の構成部品の前記傾斜面に装着されて前記第1の方向に延在する弾性変形可能な材料のレセプタクル・ストリップと、前記レセプタクル・ストリップに装着された複数のファスナ・レセプタクルのそれぞれに挿入された、前記第1と第2の構成部品を貫通する複数のファスナと、を有する、
構造アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の構成部品は、好ましくは炭素繊維強化ポリマである複合材料を含む、
請求項1に記載の構造アセンブリ。
【請求項3】
前記レセプタクル・ストリップは、石英ガラス材料を含む、
請求項1または請求項2に記載の構造アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の構成部品は積層体であり、前記傾斜面はプライドロップにより形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項5】
前記レセプタクル・ストリップは、前記第1の構成部品に接着されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項6】
前記レセプタクル・ストリップは、低粘着接着剤を用いて接着されている、
請求項5に記載の構造アセンブリ。
【請求項7】
前記ファスナ・レセプタクルは、前記レセプタクル・ストリップにリベット締めされている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項8】
前記ファスナ・アセンブリは、取り外し可能なファスナを含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項9】
前記第1と第2の構成部品は、当接してオーバラップしており、かつ、それぞれの当接面を有し、前記第1の構成部品の前記当接面は、前記第1の構成部品の前記傾斜面とは反対側にある、
請求項1から8のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項10】
前記第1と第2の構成部品の当接面は、略平面状である、
請求項9に記載の構造アセンブリ。
【請求項11】
前記第1の構成部品は、前記ファスナ・アセンブリに隣接したジョグルを有する、
請求項9または請求項10に記載の構造アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の構成部品および/または前記第2の構成部品は、パネルである、
請求項9から11のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の構成部品は、航空機の翼外板であり、前記第2の構成部品は、航空機の取り外し可能な翼パネルである、
請求項9から12のいずれか一項に記載の構造アセンブリ。
【請求項14】
第1の構成部品を第2の構成部品に締結する方法であって、該方法は、
第1の方向に相互に傾斜した少なくとも2つの領域によって形成される傾斜面を有する第1の構成部品であって、前記傾斜面は、該第1の構成部品における前記第1の方向の構造厚さの変化を伴うものである、第1の構成部品を準備し、
弾性変形可能な材料のレセプタクル・ストリップと、前記レセプタクル・ストリップに装着された複数のファスナ・レセプタクルと、を有するファスナ・アセンブリを準備し、
前記レセプタクル・ストリップを、前記第1の方向に延在するとともに前記傾斜面の輪郭に沿うようにして、前記第1の構成部品の前記傾斜面に装着し、
前記第1の構成部品を前記第2の構成部品に締結するように、ファスナを前記第1と第2の構成部品に貫通させてそれぞれの前記ファスナ・レセプタクルに差し込む、
第1の構成部品を第2の構成部品に締結する方法。
【請求項15】
前記レセプタクル・ストリップは、接着剤で前記第1の構成部品に接着され、前記接着剤が硬化するまでの間、前記傾斜面に対して保持される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記レセプタクル・ストリップと前記ファスナ・レセプタクルは、前記レセプタクル・ストリップに前記ファスナ・レセプタクルが予め取り付けられたサブアセンブリとして提供される、
請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記傾斜面に取り付けられる前の、最初の前記レセプタクル・ストリップは、略平面状である、
請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造アセンブリに関し、より具体的には、第1の構成部品を第2の構成部品に締結するためのファスナ・アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
取り外し可能なパネルを、複数のファスナを用いて航空機構造体に装着することが知られている。皿頭ファスナが、しばしばアンカーナット(ファスナ・レセプタクル)と組み合わせて用いられる。アンカーナットは航空機構造体の内面に装着され、それぞれの皿頭ファスナはパネルおよび航空機構造体を貫通して、皿頭ファスナの頭はパネルの空気力学的外表面と略同一平面とされる。
【0003】
部品点数を削減するために、複数のアンカーナットを平面型レセプタクル・ストリップ上に配置されたサブアセンブリとして提供することが知られており、これを、例えばリベット締めにより、航空機構造体に装着することができる。従来の金属製の航空機構造体では、航空機構造体にリベット締めされた金属製のレセプタクル・ストリップを用いることは、一般に問題はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機構造体における複合材料の利用が拡大するように移行するのに伴って、金属製のレセプタクル・ストリップの使用において、いくつかの欠点が確認されている。特に、局部荷重要件により良く適合するために、積層複合構造にわたって(プライドロップにより)厚さを変化させることが望ましい場合があり、その結果、従来の金属構造では一般に見られない傾斜が構造体の内表面に生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様により、構造アセンブリを提供し、これは、傾斜面を有する第1の構成部品と、第1の構成部品を第2の構成部品に締結するためのファスナ・アセンブリと、を備え、ファスナ・アセンブリは、傾斜面の輪郭に沿うように第1の構成部品の傾斜面に装着される弾性変形可能な材料のレセプタクル・ストリップと、個々のファスナを受けるためにレセプタクル・ストリップに装着された複数のファスナ・レセプタクルと、を有する。
【0006】
本発明のさらなる態様により、第1の構成部品を第2の構成部品に締結する方法を提供する。本方法は、傾斜面を有する第1の構成部品を準備することと、弾性変形可能な材料のレセプタクル・ストリップと該レセプタクル・ストリップに装着された複数のファスナ・レセプタクルとを有するファスナ・アセンブリを準備することと、レセプタクル・ストリップを、傾斜面の輪郭に沿うようにして第1の構成部品の傾斜面に装着することと、第1の構成部品を第2の構成部品に締結するようにファスナを第1と第2の構成部品に貫通させてそれぞれのファスナ・レセプタクルに差し込むことと、を含む。
【0007】
本発明は、弾性変形可能な材料のレセプタクル・ストリップを、様々に異なる構成部品の多様な輪郭に適合するように構成されたストック部品として供給することができるという点で、効果的である。これにより、部品点数、組立時間およびコストが削減される。
【0008】
第1の構成部品は、好ましくは炭素繊維強化ポリマである複合材料を含むことができる。レセプタクル・ストリップは、石英ガラス材料を含むことができる。石英ガラスは、炭素繊維強化ポリマ材料と、それらが類似の熱的および類似の剛性の材料特性であることから、良く適合する。レセプタクル・ストリップ材料としてガラスを利用することにより、従来の金属材料と比較して、重量が削減され、また、システムからの静電気放電や落雷に関連した電磁問題も軽減される。
【0009】
代替的に、第1の構成部品は、金属材料を含むことができ、さらに/または、レセプタクル・ストリップは、ゴムもしくは他のエラストマ材料を含むことができる。
【0010】
第1の構成部品の傾斜面は、第1の構成部品にわたる構造的な厚さの変化を伴い得る。第1の構成部品は、積層体とすることができ、また、傾斜面は、プライドロップによって形成されることができる。
【0011】
レセプタクル・ストリップは、第1の構成部品に接着されることができる。これは、第1と第2の構成部品が分解されたときであっても、ストリップが第1の構成部品に対して固定されたままであることを確保するのに役立つ。弾性変形可能なストリップは、接着剤が硬化/凝固する間、ストリップを第1の構成部品の輪郭に強制的に変形させるように、一時的に子ボルトで締結されることができる。低粘着接着剤が使用されてもよい。低粘着接着剤は、層の損傷を引き起こすことなく(必要であれば)ストリップを取り外すこともできるので、ストリップを積層複合部品に直接装着するために用いる場合は特に有効である。
【0012】
ファスナ・レセプタクルは、レセプタクル・ストリップにリベット締めされることができる。
【0013】
ファスナ・アセンブリは、取り外し可能なファスナを含むことができる。当該ファスナは、好ましくはクイックリリース・ファスナである。
【0014】
構造アセンブリは、さらに、ファスナを第1と第2の構成部品に貫通させてそれぞれのファスナ・レセプタクルに差し込むことにより第1の構成部品に締結された第2の構成部品を備えることができる。
【0015】
第1と第2の構成部品の当接面は、略平面状とすることができる。
【0016】
第1の構成部品は、ファスナ・アセンブリに隣接したジョグルを有することができる。ジョグルは、傾斜面とは異なる方向の傾斜を含むことができ、これにより複合傾斜面を提供する。
【0017】
第1の構成部品および/または第2の構成部品は、パネルとすることができる。一実施形態において、第1の構成部品は航空機の翼外板であり、第2の構成部品は航空機の取り外し可能な翼パネルである。
【0018】
レセプタクル・ストリップとファスナ・レセプタクルは、レセプタクル・ストリップにファスナ・レセプタクルが予め取り付けられたサブアセンブリとして提供され得る。
【0019】
レセプタクル・ストリップは、最初、すなわち傾斜面に取り付けられる前は、略平面状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、航空機の翼の前桁の斜視図を示している。
【
図2】
図2は、
図1の翼における翼外板と前縁パネルとの間の接合部の側断面図を示している(明確にするためにファスナ・アセンブリは取り除いた)。
【
図3】
図3は、翼外板の裏側の斜視図を示しており、内表面における翼長方向の傾斜と、翼弦方向のジョグルと、を示している。
【
図4】
図4は、
図3の翼外板の端面図を示しており、内表面における翼長方向の傾斜を示している。
【
図5】
図5は、ファスナ・アセンブリが取り付けられた、
図1の翼における翼外板と前縁パネルとの間の接合部の側断面図を示している。
【
図6】
図6は、取り付けられたファスナ・アセンブリの断面図の詳細を示している。
【
図7】
図7は、取り付けられたファスナ・アセンブリの裏側の平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
航空機の翼の前桁が
図1に示されている。桁は、ウェブ10と、上フランジ11と、下フランジ(図示せず)と、を有する。桁は、ウェブ10がフランジ11と交わるR部10aを有する。積層複合材の外板(スキン)12が、上フランジ11に装着され、桁の後部に広がって、翼ボックス(翼の一次構造要素)の上部境界を形成している。また、外板12は、
図1に示すように、桁の前方にわずかに突出している。
【0022】
外板12は、
図1に示す外側13と、
図3に示す内側14とを有する。外板12は、比較的厚い端部から比較的薄いエッジへと徐々に先細りになる楔形に予め形成されたエッジプロテクタ22と、好ましくは炭素繊維にエポキシ樹脂マトリクスを予め含浸させた複数の「プリプレグ」プライと、を含む。エッジプロテクタとプリプレグプライは、好ましくは同時硬化される。
【0023】
外板12におけるプライの積層は、エッジプロテクタ22に隣接した傾斜を有するZ形のいわゆる「ジョグル」プロファイルを、翼弦方向(すなわち、航空機の胴体中心線と平行な方向)に形成している。ジョグルは積層の厚さ方向全体にわたっており、よって、積層のそれぞれの層はジョグルを形成するような形状とされて、それぞれのジョグルは、第1の部分と、第1の部分に略平行に層が広がる第2の部分と、第1と第2の部分の間で層が第1と第2の部分に対して角度をなして広がる傾斜と、を有する。
【0024】
外板12におけるプライの積層は、さらに、
図3に最も良く示されているような、傾斜した内側14を形成している。外板の外側13の形状(「アウタ・モールドライン」もしくはOMLとして知られる)は、外板成形のプロセスにおいて型として機能し、最終的に翼の空気力学的表面の一部を形成するので、正確に制御される。外板の内側14の形状は、翼長方向(すなわち、航空機の胴体中心線に垂直な方向)におけるパネル厚さの変化に適応するように、傾斜している。
【0025】
図3は、翼長方向の傾斜領域14aを、隣接する領域14bと14cとの間に有する、外板12の内側14を示している。傾斜領域14aは、外板12を形成するプライの積層において厚さが変化する領域に対応しており、領域14bと14cは、外板12における厚さが一定の領域に対応している。傾斜領域14aでは、例えばプライのドロップオフによって、外板におけるプライの積層の厚さが変化している。翼長方向の傾斜は、例えば特定の位置で外板の強度を変化させるために、外板にわたる構造的変化を与えている。
【0026】
外板12の内側14の傾斜面は、相互に傾斜した少なくとも2つの領域によって特徴付けられる。外板の内側14の傾斜領域14aは、隣接する領域14bおよび14cに対して傾斜している。この特定の例では、領域14b、14cは、外板の厚さが一定の領域に対応しているので、外板の内側のこれらの領域はそれぞれ、外板12の外側13と略平行である。これに対し、領域14aは、外板の厚さが変化する領域に対応しているので、外板の外側に対しても傾斜している。外板の外側13は、略平面状であり、所望の翼型に適合するような形状である。この特定の実施形態では、翼長方向の傾斜は、翼弦方向のジョグルを横切って、複合傾斜面を形成している。他の実施形態では、外板が、ジョグルを有しておらず、その場合、単純な翼長方向の傾斜が形成される。
【0027】
図4は、外板12の端部34で後方を見た端面図を示しており、内側14に翼長方向の傾斜を示している。
【0028】
外板12は、桁にボルト締めされた後に、
図2の断面図に最も明確に示されているラップジョイントによって、前縁パネル15に接合される。パネル15は、類似の複合材料で形成されていてもよく、またはそうでなくてもよい。一例において、パネル15は、主にサンドイッチコア構造を有する。
【0029】
パネル15の内側は、
図2に示すように、外板12の外側13と部分的にオーバラップしている。エッジプロテクタ22と、パネル15および外板12の外側は、一緒になって、図示のような気流にさらされる略連続的な空気力学的外表面を形成している。ファスナ・アセンブリ40(
図2には示してない)は、外板12とパネル15を接合するために、これらがオーバラップする位置で外板12とパネル15を貫通するように、ライン31に沿って用いられる。点検または修理を目的として接合部が分解されることを可能とするために、ファスナ・アセンブリのファスナは取り外し可能である。ファスナ・アセンブリ40について、詳細は後述する。
【0030】
エッジプロテクタ22は、ジョグルとパネル15の後縁30との間に配置されて、ジョグルの傾斜26の下流側「頂上」において、(
図2に示す方向に進む)気流によって運ばれる粒子による浸食からエッジ32を保護する。エッジプロテクタ22とパネル15の後縁30との間の間隙は、最終組立時にエアロフィラー(図示せず)を用いて塞がれる。
【0031】
外板12の内側では、ジョグルの傾斜の「頂上」33は、できる限り桁11の近くに配置されており、このため、ジョグルの傾斜は、桁のR部10aと部分的にオーバラップしている(この場合の上下は、
図2に示す方向付けに関して定義される)。これによって、外板12の端部34を桁に比較的近接させて配置することが可能となる。
【0032】
あるいは、エッジプロテクタは、外板12ではなく、パネル15に予め装着されていてもよい。これによって、一次構造に影響を与えることなく、破損または摩耗した場合に交換可能なアイテムが形成される。
【0033】
次に、
図5〜7を参照して、ファスナ・アセンブリ40について詳細に説明する。ファスナ・アセンブリは、外板12の内側14の傾斜面に装着される弾性変形可能な材料のレセプタクル・ストリップ41を有する。レセプタクル・ストリップ41は、傾斜面の輪郭に沿うように翼弦方向に延在する。
【0034】
複数のファスナ・レセプタクル42が、ストリップの長さに沿った間隔をおいて、レセプタクル・ストリップ41に装着される。各ファスナ・レセプタクル42は、個々のファスナ43を受けるように構成されており、これにより、外板12とパネル15とがオーバラップする位置でライン31に沿って貫通するファスナの列を提供する。点検または修理を目的としてパネル15と外板12との間の接合部を分解するために、ファスナ43は、それらのそれぞれのファスナ・レセプタクル42から取り外し可能に構成されている。
【0035】
図6は、ファスナ・アセンブリ40のファスナの1つを詳細に示している。ファスナ43は、パネル15の外表面と略同一平面に配置される皿頭44を有する。分解しやすくするため、ファスナ43は、クイックリリース・ファスナである。ファスナ・レセプタクル42は、通常タイプのアンカーナットであり、取付フランジ46と直立タレット47とを有する。アンカーナットは、当業者に周知であるため、ここで詳細な説明は繰り返さない。ファスナ・レセプタクル42は、外板12に装着される前のレセプタクル・ストリップ41に予め取り付けられる。本実施形態では、
図7に示すように、ファスナ・レセプタクル42はそれぞれ、リベット位置45でレセプタクル・ストリップ41にリベット締めされる。
【0036】
レセプタクル・ストリップ41は、およそ1〜2mmの厚さを有し、石英ガラスを含んでいる。石英ガラスは、外板12の炭素繊維強化ポリマ材料と類似の熱特性を有し、よって、これらの部品間の良好な熱的適合性が確保される。石英ガラス材料は、外板12の内側14の傾斜面の輪郭に適合するように、十分に弾性変形可能である。あるいは、レセプタクル・ストリップ41は、例えばゴムなどの他の材料を含むことができる。ゴム製のレセプタクル・ストリップを用いることは、特にパネル12に炭素繊維強化ポリマ以外の材料が使用される場合に、望ましいことがある。例えば、ゴム製のレセプタクル・ストリップは、金属製の外板とともに使用され得る。
【0037】
積層複合材の外板12の層を損傷することなく、レセプタクル・ストリップ41が取り外されることを可能とするように、好ましくは低粘着接着剤48によって、ガラス製のレセプタクル・ストリップ41は炭素繊維強化ポリマの外板12に接着される。
【0038】
次に、ファスナ・アセンブリ40を取り付ける方法について詳細に説明する。予め装着されたファスナ・レセプタクル42を有するレセプタクル・ストリップ41は、ファスナライン31に沿って外板12の内側14に接着される。レセプタクル・ストリップ41は、ストック部品として供給され、外板12の幅に応じたサイズにカットされる。これにより、レセプタクル・ストリップ41は、ファスナライン31に沿って、外板12の内側14の傾斜および輪郭のすべてを横断する。レセプタクル・ストリップ41を外板12に接着するために用いられる接着剤が凝固または硬化するまで、レセプタクル・ストリップ41は、軽い圧力で外板12に対して保持される。ファスナ・レセプタクル42と位置合わせされたファスナ孔が、パネル15および外板12に穿設され、皿頭ファスナ43が、ファスナ孔に差し込まれて、ファスナ・レセプタクル42に確実に受け入れられることで、ファスナ・アセンブリ40が完成する。
【0039】
本発明について、1つ以上の好ましい実施形態を参照して上記で説明したが、添付の請求項で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更または変形が実施され得ることは、理解されるであろう。