特許第5918864号(P5918864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5918864流動層における吸水性ポリマー粒子の熱処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918864
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】流動層における吸水性ポリマー粒子の熱処理
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/24 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   C08J3/24 ZCEY
【請求項の数】11
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2014-553649(P2014-553649)
(86)(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公表番号】特表2015-504956(P2015-504956A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2012075900
(87)【国際公開番号】WO2013110415
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年7月31日
(31)【優先権主張番号】12152803.8
(32)【優先日】2012年1月27日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(72)【発明者】
【氏名】ガルトネル,ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲル,マルク
(72)【発明者】
【氏名】プレチンゲル,ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】アウエルニック,サビン
(72)【発明者】
【氏名】コーレル,ハンス−ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ラッカー,エリーザベト
【審査官】 中尾 奈穂子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/028568(WO,A1)
【文献】 特開昭61−035900(JP,A)
【文献】 特開平09−089457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00− 3/28
B29B 7/00− 9/16
B29B 13/00− 13/10
B01J 20/00− 20/34
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層乾燥機中の乾燥室における流動化室(1)内で、100℃から320℃の範囲の温度Tgを有する少なくとも1つの高温ガス流と、熱処理の前にポリマー粒子の表面をポリマー粒子の総重量に基づいて0.3から7重量%の範囲の量の水で湿潤させたポリマー粒子を接触させることにより、前記流動層乾燥機において100℃から250℃の範囲の温度Tpで、吸水性の前記ポリマー粒子を熱処理する方法であって、前記乾燥室は少なくとも1つの流動化室(1)を含み、該少なくとも1つの流動化室(1)は、少なくとも1つの下部プレナム室(2)から前記流動化室(1)内への上向きのガス流のために形成された開口部を有する少なくとも1つのガス分配底板(3)を介して、前記少なくとも1つの下部プレナム室(2)に下方に開口し、流動層内の前記高温ガス流の表面のガス速度は、0.1m/sから0.57m/sの範囲内であり、
ガス分配底板(3)による圧力低下が、100Paから900Paの範囲であり、前記ガス分配底板(3)及び前記流動層の両方による合計の圧力低下が、2500Paから5000Paであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ポリマー粒子は、少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1種類の架橋剤と、少なくとも1種類の開始剤と、を含むモノマー混合物を重合することにより得られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー粒子は、EDANA標準試験法WSP230.3(10)によって測定される組成を基準にして、残留水分量を12重量%未満含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
熱処理の間に、前記流動層中の前記ポリマー粒子が、前記流動化室の実質的に水平な長手軸に沿って移動し、前記下部プレナム室中の少なくとも1つのガス流は、前記水平な軸に対して、実質的に、直角な方向にある前記ガス分配底板に指向され、15°から165°の角度で、生成物流を通過させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー粒子は、前記流動層乾燥機内で、まず、100℃から320℃の範囲の温度Tg1を有するガス流と接触させ、その後、100℃から280℃の範囲の温度Tg2を有するガス流と接触させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記流動層の高さが、10cmから80cmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子が前記流動層乾燥機内で100℃から280℃の範囲の温度Tに加熱される前に、0℃から99℃の範囲の温度で噴霧されることにより、少なくとも1つの有機又は無機架橋剤を含む溶液を前記ポリマー粒子の表面に塗布することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶液が、水性溶媒中に、多価アルコール類、ポリグリシジル化合物、環状カルボナート類、ポリアミン類、アルコキシシリル化合物、ポリアジリジン類、ポリアミドアミン類、オキサゾリドン類、ビスオキサゾリン類、水溶性の多価金属塩類、金属酸化物類またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法で、連続モード又はバッチモードにて吸水性ポリマー粒子を熱処理するための流動層乾燥機の使用であって、
前記流動層乾燥機は、
i)実質的に水平な長手軸を有する乾燥室と、
ii)処理される前記粒子を前記流動化室(1)に供給するための粒子導入口(5)と、
iii)前記乾燥機からの処理された粒子を除去するための粒子排気口(6)と、
iv)ガスを下部プレナム室(2)に供給するための該下部プレナム室(2)中の少なくとも1つのガス供給導入口と、
v)粒子層を流動させ通過させた後に、前記ガス流を前記乾燥室から排出するための少なくとも1つのガス排気口と、を含み、
前記乾燥室は、
−下部プレナム室(2)に下方に開口した流動化室(1)と、
−少なくとも1つのガス分配底板(3)を介する下部プレナム室(2)と、
−前記下部プレナム室(2)から前記流動化室(1)内への上向きのガス流のために形成された開口部を有する少なくとも1つのガス分配底板(3)と、
を含み、
前記流動化室の高さに対する前記ガス分配底板(3)の面積の比は、2.5から5.5の範囲であり、
前記ガス分配底板(3)中の前記開口部は、0.1mmから0.5mmの範囲の寸法を有し、前記ガス分配底板(3)は、微細孔シートであることを特徴とする流動層乾燥機の使用。
【請求項10】
前記流動層乾燥機は、前記流動化室に隣接する冷却室(4)をさらに含み、前記流動化室を通過させた後に、熱処理されたポリマー粒子が前記冷却室(4)に排出され、前記冷却室は、堰によって、前記流動化室から部分的に分離され、ガス送風機及び熱交換器(12)を備えることを特徴とする請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記流動層乾燥機が、一乃至複数の
(i)前記粒子導入口を加熱するための装置、
(ii)一乃至複数のサイクロン、又はフィルター、又はそれらの組合せにより形成され、前記流動化室(1)から排出されたガス流から浄化された微粒子を分離するための装置、
(iii)逆混合を最小限にするための前記流動化室内のバッフル板;
(iv)前記ガス分配底板、前記流動層及び/又は前記ガス流から浄化された微粒子を分離させるための前記装置による前記圧力低下を監視するための手段、
(v)前記流動化室内の少なくとも1つの照射源、
(vi)流動化室(ベントストリーム)を離れたガス流、及び所望により、前記プレナム(供給流)中に供給された高温ガス流中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素の濃度を測定するための手段、
(vii)窒素又は希ガスで前記流動層乾燥機の少なくとも前記乾燥室を洗浄する手段、
を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動層乾燥機中で、特別に適合した装置や方法での条件の下で、100℃から250℃までの範囲にある温度で吸水性ポリマー粒子を熱処理する方法、連続的又はバッチモードで吸水性ポリマー粒子を熱処理するための流動層乾燥機の使用、及び本発明の方法によって得られる熱処理されたポリマー粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性ポリマー、すなわち、例えば、水、血液又は尿などの水性液体を吸収するポリマーが、例えば、使い捨てのおむつ、成人用失禁製品、生理用品又は救急絆などの現代の使い捨ての衛生物品の重要な要素である。特に、有用な物は、水分子との水素結合によって、(脱イオン水及び蒸留水を基準として)自重の少なくとも50倍の量の水及び水溶液を吸収することのできる、いわゆる高吸水性ポリマー(superabsorbent polymers;SAP)、すなわち、通常のハイドロゲル形成用吸水性ポリマーである。多くのSAPは、それらの重量の100倍を超える量の水を吸収することができ、圧力下においても、相当量の吸収された水を保持することができる。
【0003】
かかる吸水性ポリマーは、通常、少量の少なくとも1種類の架橋剤、すなわち、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリラート、エチレングリコールジ(メタクリラート)又はトリアリルアミンなどの二官能性又は多官能性モノマーの存在下で、通常、例えば、アクリル酸、それらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩又はそれらの混合物などの例えば、α,β−不飽和カルボン酸などのエチレン性不飽和モノマーを重合することによって調製される。これらの二官能性又は多官能性モノマーは、ポリマー鎖中に、軽度の架橋を導入し、吸水性ポリマーを不水溶性にするが、吸水性にする。
【0004】
粉末状で微細な超吸収体は、2つの主な方法によって製造される。第1の方法により、モノマーの水溶液(いわゆる、溶液重合)中で、ラジカル重合が実施され、粉砕され、乾燥され、粉末にし、篩にかけ、所望の粒子サイズにしたゲルを生じさせる。第2の方法により、モノマー(又はその水溶液)は、(懸濁重合と称される)乳化剤又はコロイド重合及びラジカル重合が行われる手段によって、疎水性有機溶媒中に分散させる。前記反応混合物から残留水を共沸脱水した後に、ポリマー生成物が濾過され、乾燥される。
【0005】
例えば、保持能力、ゲル強度、吸収速度、負荷下での吸収性などの吸水性ポリマーのさらなる特性を改善し、及び/又は微調整を行うために、上述のように得られる研磨され、篩過され、乾燥されたポリマー粒子は、表面改質剤の存在下で、場合によってはさらに熱処理される。かかる熱処理プロセスが、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載されている。
【0006】
ポリマー粒子を加熱するために、例えば、熱風乾燥器、加熱スクリュー装置、プレート乾燥機、流動層加熱器/乾燥機及び接触乾燥機などのいくつかの装置及び方法が、これらの出願及び特許に記載されており、好ましくは、接触乾燥機が表面SAP粒子のために使用される。しかし、接触乾燥機はやや低い昇温温度しか提供しないため、乾燥機の中でやや長い生成物の滞留時間が必要とされ、攪拌及びせん断によって、好ましくない磨耗及び生成物の劣化が発生する場合がある。
【0007】
他方で、優れた吸収性のポリマー粒子を熱処理する目的のための既知の流動層乾燥機では、種々の側面で、熱処理が非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許発明第4020780号明細書
【特許文献2】欧州特許第0979250号明細書
【特許文献3】国際公開第94/20547号
【特許文献4】国際公開第2006/082241号
【特許文献5】国際公開第2007/074108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
まず、好適な熱処理のために必要とされる温度範囲は、SAPの発熱自己分解が頻繁に生じる温度範囲(約200℃を超える)と非常に近く、重複する場合もある。前記流動層内での熱交換の条件によっては、これは、制御できない発熱反応につながる場合があり、発火につながる可能性もある。特にこのような状況は、粒子が適切に流動化しないか、(例えば凝集化している)より大きい粒子が流動層乾燥機に入るか、または流動層乾燥機内で形成される場合に、流動層乾燥機(fluidized bed dryers;FBD)の区域で発生する可能性があり、どちらの場合も吸水性ポリマー粒子の原料が流動層乾燥機の高温の底板に残留し、そこで加熱され、発熱反応が開始する。システムのどこかに凝縮物が形成されると凝集が起こる。底板からの気流が不十分であったり、空気分配が不適切であったりすると、底板よりも上方で生成物の流動化が不足し、深刻な粒子分解を引き起こす可能性がある。
【0010】
第2に、250μm未満の粒子サイズを有するSAPの大部分は、適切に加熱処理される前に、流動層乾燥機から洗浄されてしまう。よって、この洗浄された画分を単に処理された原料と混合することはできない。むしろ、熱処理された生成物と混合される前に、さらなるプロセスで混合されなければならないか、または代替として、重合プロセスのための微粒子として再利用される場合がある。いずれにせよ、さらなる処理が必要であり、生成物の全収量及び品質と、生成物の処理量とが低減するので、洗浄する原料が高画分であることは望ましくない。
【0011】
第3に、通常、熱処理の際中、遠心分離後に遠心保持能力(centrifuge retention capacity;CRC」)によって測定される食塩水中の液体保持能力は顕著に低下し、圧力に対する吸着性(adsorption against pressure;AAP)は所望のレベルに達しない。よって、一般に、高いCRC及び高いAAPの両方を有する生成物を得ることは困難である。
【0012】
よって、本発明の目的は吸水ポリマー粒子を熱処理するための方法を提供することであって、これによってポリマーが発熱分解する危険を冒さず、高温でポリマー粒子を実質的に均一に処理することを可能にすることができる。好ましくは当該方法によって、高吸収ポリマー粒子の熱処理は、連続的モードにおいて短い滞留時間で可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、この目的は、流動層乾燥機の吸水性ポリマー粒子を熱処理するための本発明の方法と、前記流動層乾燥機を使用することによってそれぞれ達成されることが判明した。
【0014】
本発明は、乾燥室の流動化室内部において100℃から320℃までの範囲内にある温度Tgを有する少なくとも1つのガス流と接触させることで、吸水性ポリマー粒子を流動層乾燥機において100℃から250℃までの範囲にある温度Tpで熱処理するための方法を提供し、前記乾燥室は前記下部プレナム室から前記流動化室への上向きのガス流のために形成された開口部を有する少なくとも1つのガス分配底板、を通って少なくとも1つの下部プレナム室に下方に開口している流動化室を少なくとも1つ備え、流動層における高温ガス流の表面ガス速度は、約0.1から約0.57m/sまでの範囲内である。好ましくは、表面ガス速度は約0.15から約0.55m/sまでの範囲内であって、さらに好ましくは約0.2から約0.5m/sまでの範囲内、最も好ましくは約0.3から約0.4m/sまでの範囲内にある。表面ガス速度vは、底板下の流入ガス速度vと所定の圧力低下に対する微細孔板の種類に基づいて算出される:
【0015】
【数1】
【0016】
ここでvcorはある所定の底板、ある所定の圧力低下に対する補正因子である。補正因子は、底板メーカーによって提供される適当な型の底シートに対する特定の圧力低下曲線から得られる。
【0017】
メートル毎秒での流入速度vは、次の等式に従って与えられる。
【0018】
【数2】
【0019】
ここでVは作動温度における立方メートル毎時でのガス体積流速度であり、またAは平方メートルの底板面積である。
【0020】
前記範囲内の表面ガス速度を採用することによって、ポリマー粒子を該ポリマーの分解温度近く、あるいは当該分解温度を超えるの温度を有する高温ガス流で処理することが可能になり、よって200℃を超える粒子温度および/またはポリマー粒子の速い昇温、例えば毎分15℃以上の速度が可能になるが、数か月にわたって作動する連続的な処理であっても生成物の分解の問題に直面しない。
【0021】
さらに、本発明の方法を用いれば、優れたCRCおよびAAP値の両方を有するポリマー粒子を得ることが得られる。
【0022】
また、所望の生成物の仕様にしたがい、前記範囲における表面ガス速度を変化させることによって、熱処理中に洗浄される微粒子の寸法や量を調節することが可能であるので、全体の製品収率を必要以上に下げることなく、その後のサイズ調整の手間を省くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明において「熱処理」という用語は、表面架橋(後架橋ともよばれる)用の架橋剤のあるなしに関わらず、吸水性ポリマー粒子の熱処理を含む。
【0024】
ポリマー粒子は、45μmから850μmまでの範囲内の粒子サイズを持っていることが好ましい。好ましくは、前記ポリマー粒子は高吸水性粒子と呼ばれる粒子で、例えば、自重の15倍の0,9%食塩水を吸収するポリマー粒子である。
【0025】
粒子温度Tpは、好ましくは150℃から250℃までの範囲にあり、より好ましくは180℃から245℃まで、さらに好ましくは200℃から240℃までの範囲にあり、最も好ましくは210℃から235℃までの範囲にある。
前記粒子温度は、流動化生成物の中心にある少なくとも1つのPTF熱電対によって垂直方向に測定される。好適な熱電対は、例えばABB Automation Products GmbH (アルツェナウ,ドイツ)からSENSYCONの商標名で市販されている。
【0026】
ポリマー粒子を前記温度Tpまで加熱するために、ポリマー粒子は流動層乾燥機の流動化室の内部で、少なくとも1つのガス流と接触し、前記高温ガス流は100℃から320℃までの範囲、好ましくは150℃から300℃までの範囲、さらに好ましくは180℃から295℃まで、最も好ましくは210℃から290℃までの範囲の温度を有し、前記温度は底板よりも40cm下方に位置する少なくとも1つのPTF熱電対によって測定される。連続的に作動する流動層乾燥機において、熱電対は流動化室の下部プレナム室に位置し、一方バッチ作動する流動層乾燥機では通常(熱電対は)底板よりも下方のプレナムに位置するだけでなく、高温ガスをプレナムへと送る導管に位置してもよい。
【0027】
驚くべきことに、ポリマー粒子の全材料が均一にかつ常に混ぜられていれば、表面架橋剤等の表面改質剤の有る無し関わらず、約200℃(ここで、SAPの発熱自己分解反応が通常観測される)を越える温度であったとしても、高吸収ポリマー粒子を連続過程で、安全で信頼できる方法で熱処理することが可能であることが判明した。本発明の方法と流動層乾燥機を用いれば、連続過程の熱処理も可能である。
【0028】
したがって、本発明の方法は、生成物を均等に流動化することによって適切な熱交換を確実にし、分解反応の自己加速を防止することによって、SAPの発熱自己分解を約240℃の温度まで制御することを可能にする。
【0029】
さらに、本発明の方法と前記方法に特別適合した流動層乾燥機によって、所望の粒子温度Tにかなり短時間のうちに到達することが可能になる。これは、ポリマー粒子の生成物流における前記温度Tと、流動化室での滞留時間が注意深く監視されれば、所望の粒子温度Tを優に超えるガス温度Tを有する少なくとも1つの高温ガス流を用いることによって達成される。
【0030】
本発明の連続的に作動する流動層乾燥機において、流動層のポリマー粒子は、好ましくは熱処理をする間、流動化室の略水平長手軸にそって移動していき、その間、生成物導入口から生成物排出口へと運ばれてゆく。最先端の技術にみられる熱処理吸水性ポリマー粒子のための流動層乾燥機、例えばWurster型やGlatt−Zeller型などの乾燥機では、高温ガス流とポリマー粒子のフローは実質的に平行に流入するが、本発明において、ポリマー粒子の流れと、少なくとも1つの高温ガス流は、互いに実質的に交差することが好ましい。流動化室内部のポリマー粒子生成物流の方向と、少なくとも1つのガス分配底板における下部プレナム室からの開口部を通って流動化室に入る少なくとも1種類の高温ガス流の方向の交差角度は、15°から165°までの範囲、好ましくは20°から160°までの範囲内が好ましく、30°から150°までの範囲がさらに好ましく、45°から135°までの範囲が最も好ましい。ポリマー粒子の生成物流の方向は、ポリマー粒子のかたまりが動く方向として理解され、当該方向は、導入口より流動化室を通って粒子排出口に至る方向であって、ある特定のポリマー粒子が流動層の中を移動する方向ではない。
【0031】
本発明の方法に特別適合する好適な流動層乾燥機は図1で示され、以下に詳細に述べる。
【0032】
本発明の方法と、特別適合する流動層乾燥機を用いれば、200℃を越える温度であったとしても、連続モードで、吸水ポリマー粒子の安全で信頼できる熱処理が可能となる。さらに、洗浄されたポリマー粒子の画分を抑えることができ、流動層乾燥機にあるポリマー粒子の短い滞留時間分布は、CRCやAAP、そして加圧下での透水性(permeability under load;PUL)や、生理食塩水流れ誘導性(saline flow conductivity;SFC)に対して高性能、高品質な製品を保証する。また、流動層乾燥機の設計および操作上の詳細の改善によりガス流が減少したことによって、エネルギー消費をより少なく済ませられ、200℃を越える温度を採用したとしても、ポリマー粒子の発熱分解を回避することが可能となる。
【0033】
本発明の方法によって熱処理されたポリマー粒子は、少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマー類と、少なくとも1種類の架橋剤と、少なくとも1種類の開始剤と、を含むモノマー混合物を重合させることによって得られることが好ましい。
【0034】
好適なエチレン性不飽和モノマー類は、α−、β−不飽和酸類であって、好ましくはα−、β−不飽和カルボン酸またはスルホン酸類であり、それにはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸および2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸が含まれる。これら酸類は酸の形態で利用できるが、α,β−エチレン性不飽和酸を、ナトリウム塩やカリウム塩などの金属塩、および/またはアンモニウム塩などの形で、少なくとも一部を中和する形で利用する方が好ましい。
【0035】
重合は、中和されていないか、全部または一部が重合の前に中和されている酸性モノマーを利用して実行可能である。中和は、好適には、当該モノマー水溶液を、酸性モノマー類に存在する酸性基のうち10%から95%を中和するのに十分な塩基の量と接触させることによって達成される。好ましくは、塩基の量は40%から85%の中和で十分であって、当該モノマーに存在する塩基類のうち55%から80%の中和が最も好ましい。モノマー類の酸性基を中和するのに都合がよく好適な化合物類は、重合プロセスに悪影響を及ぼさずに、酸性基を十分に中和するような塩基類が含まれる。このような化合物類の例として、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩が含まれる。
【0036】
高吸収ポリマー粒子は、好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約25重量%、さらに好ましくは、約45%から約99.9重量%までのα−,β−不飽和カルボン酸類および/またはスルホン酸類からなるモノマー混合物を重合させることによって得ることが可能であって、前記酸性基は好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、および/またはアンモニウム塩としての形態で、少なくとも部分的に存在することが可能である。
【0037】
好ましくは、酸性基の少なくとも約25モル%までが中和され、より好ましくは少なくとも約50モル%まで、さらに好ましくは50モル%から90モル%未満まで、より好ましくは約50モル%から80モル%未満までが中和される。前記モノマー混合物は、前記好適なモノマー類の混合物から構成されていてもよい。また、モノマー混合物は、60重量%までの量のさらなるエチレン性不飽和モノマー類、例えばアクリルアミド、メタアクリルアミド、無水マレイン酸、または上記のモノマー類のアルキルエステル類やアルキルアミド類、例えばメチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、またはポリエチレングリコールメチルエーテルの(メタ)アクリラート類から構成されていてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記モノマー混合物は、ポリマーのネットワークを架橋するための少なくとも1種類の架橋剤、つまりネットワーク架橋剤をさらに含む。好適な架橋剤は、少なくとも2つのエチレン性不飽和2重結合を有するものであるか、少なくとも1つのエチレン性不飽和2重結合と酸性基に反応性のある少なくとも1つの官能基を有するか、酸性基に反応性のある少なくとも2つの官能基を有するものであるか、それらの混合物である。
【0039】
好適な共有ネットワーク架橋剤は、1つの分子に対して、CH=CHCO−,CH=C(CH)CO−およびCH=CH−CH−からなるグループの中から選択された2つから4つまでの官能基を有する化合物を含む。架橋剤の例としては、ジアリルアミン;トリアリルアミン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールのジアクリル酸およびジメタクリル酸類;トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールのトリアクリラートとトリメタクリラート類;ペンタエリトリトールのテトラアクリラートおよびテトラメタクリラート;アリルメタクリラート;3から30のエチレンオキシドユニットを有するトリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールの高度にエトキシ化された誘導体のテトラアリルオキシエタンおよびアクリラート類、例えば高度にエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラートまたはペンタエリトリトールのテトラアクリラートおよびテトラメタクリラートが含まれる。その他の架橋剤としてはポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリラート(polyethylene glycol monoallyl ether acrylate;PEG-MAE-AE)などのモノアリルエーテルポリエーテルモノアクリラート類が好適である。特に好適であるものはエステル型の架橋剤であって、1分子あたり約3から約30のEO−ユニットの範囲にある高度にエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(highly ethoxylated trimethylolpropane triacrylate;HE-TMPTA)、アリル型架橋剤および同一分子にアクリラートとアリル型の機能を持つ架橋剤、例えばポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリラート(polyethyleneglycol monoallyl ether acrylate;PEG-MAE-AE)などが含まれる。
【0040】
高温でポリマー骨格の酸性基と反応することにより架橋を形成することのできる2官能または多官能の薬剤としては、ポリエチレングリコールを採用可能で、PEG600などのように、ポリエチレングリコールは常温(23+/−2℃)で液体であるか、ペースト状であることが好ましい。
【0041】
これらのネットワーク架橋剤は以下に述べる表面架橋剤とは区別されるべきであって、混同すべきではない。すでに述べたネットワーク架橋剤の混合物も採用可能である。
【0042】
前記ネットワーク架橋剤によって吸水性ポリマーは不水溶性となるが、同時に膨潤可能にもなる。架橋剤の好ましい量は、所望とする吸水容量の程度と吸収された液体を保持するために望まれる強度、すなわち所望の圧力に対する吸着性(adsorption against pressure;AAP)または加圧下吸水性(absorption under load;AUL)によってそれぞれ決められる。架橋剤は、使用するエチレン性不飽和モノマーの全重量を基準に、有利には0.0005重量%から5重量%の範囲での量が使用される。より好ましくは、当該量は、0.1重量%から1重量%までの範囲である。5重量%より多い量を使用した場合には通常、ポリマーは高すぎる架橋密度を保有することとなり、低い吸水能力を示す。使用する架橋剤の量が0.0005重量%未満であった場合には通常、ポリマーは低すぎる架橋密度を保有することとなり、吸収される液体に接触すると、ポリマーが粘つき、質の悪い初期吸収速度を示す。
【0043】
ネットワーク架橋剤は、好ましくは、エチレン性不飽和モノマーの水溶液に溶解可能であるが、選択的には分散剤の存在下で前記溶液に分散しているだけでもよい。分散剤として適切なものの例としては、カルボキシメチルセルロース懸濁助剤、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールが含まれる。これらの分散剤は有利には、エチレン性不飽和モノマーの全重量を基準として0.0005重量%から0.1重量%までの濃縮度で提供される。
【0044】
好ましくは、一乃至複数の上記架橋剤は、少なくとも少量の多価アルコールと組み合わせて使用できる。好ましくは,当該モノマー混合物はさらに、添加の架橋剤として少なくとも1種類の多価アルコールを含み、当該架橋剤の量はエチレン性不飽和モノマーの全重量を基準として少なくとも50ppm、より好ましくは100から1000ppmの量である。より好ましくは、グリセリンが追加架橋剤として、好ましくは100ppmから1000ppmの量が使用される。
【0045】
前記ポリマー粒子が得られるモノマー混合物はさらに、少なくとも1種類の重合開始剤を含む。
【0046】
従来からのビニル付加重合開始剤を、水溶性モノマー類の重合や架橋剤に利用することができる。重合を開始するためには、モノマー溶液に十分に溶解するフリーラジカル重合が好ましい。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの水溶性の過硫酸塩類や、さらなるアルカリ金属過硫酸塩類、過酸化水素、水溶性アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)塩酸塩などが利用可能である。レドックス開始剤系と呼ばれ、酸化成分として使用可能な過酸化水素またはナトリウム過硫酸塩、等は亜硫酸類、アミン類、またはアスコルビン酸などの還元剤と併用可能である。開始剤の量は、好ましくはエチレン性不飽和モノマーの全重量を基準として0.01重量%から約1重量%までの範囲で使用され、好ましくは約0.01重量%から0.5重量%までの範囲で使用される。
【0047】
また、モノマー混合物は、開始速度や重合速度を制御するために一乃至複数のキレート剤を含むことができ、そうでない場合には、モノマー混合物に存在する不純物、特に鉄イオンなどの重金属イオンなどによって、不所望なレベルにまで上がってしまう。キレート剤は、好ましくは、有機ポリ酸類、リン酸ポリ酸類およびそれらの塩類から選択できる。前記キレート剤は、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレングリコール−ビス−(アミノエチルエーテル)−N,N,N’−三酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、酒石酸、クエン酸、イミノ二コハク酸、グルコン酸、およびそれらの塩類から選択することが好ましい。最も好ましいキレート剤はジエチレントリアミン五酢酸の5ナトリウム塩であって、水溶液の形態で、Dow Chemical社よりVersenexTM80の商標名で市販されている。
【0048】
また、モノマー混合物はポリビニルアルコール、でんぷん、および水溶性または水膨潤性のセルロースエーテル類などのグラフトポリマー類を含んでいてもよい。このようなグラフトポリマーを採用する際には、グラフトポリマーは好ましくはエチレン性不飽和モノマーの全重量を基準として、約10重量%までの量が使用可能である。
【0049】
さらに、当該モノマー混合物は高吸収性ポリマーの再利用微粒子を含んでいてもよい。微粒子とは、生成物の仕様によって定められた所望の利用に対して、小さすぎる粒子と考えられている。微粒子は、重合後の乾燥したポリマーゲルを粉砕することによって生成されるか、乾燥ポリマーの摩砕によって生成される。したがって前記不所望な生成物画分は篩過によってポリマーから除去されるが、重合前のモノマー混合物に混入することによって再利用することもできる。
【0050】
微粒子の画分は、EDANA標準試験法WSP220.3(10)を用いた篩過によって決定することができる。微粒子は、流動層乾燥機のSAP粒子を熱処理するための方法、好ましくは本発明の方法で粒子高吸水性ポリマーを熱処理するための流動層を適用することによって、洗浄された画分から得ることもできる。高温ガス流によって、粒子は約250μmの径を有するようになるまで洗浄される。250μm未満、好ましくは200μm未満の粒子サイズを有するポリマー粒子は、本発明では微粒子と定められる。
【0051】
さらに、モノマー混合物に対して他の添加剤を添加することもできる。前記他の添加剤は、アルカリ金属塩素酸塩類、シリカ酸化物や亜鉛酸化物など、不水溶性金属酸化物の有機あるいは無機の不水溶性粉末、界面活性剤、分散剤、銀塩類等の異臭を抑える薬剤、硫酸アルミニウムや乳酸アルミニウム、マグネシウム塩やカルシウム塩などの水溶性金属塩、または変性非イオンポリプロピレンワックスなどのさらなる加工助剤、等が可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
これらモノマー混合物を重合させ、吸水性ポリマー粒子、特にSAP粒子を得るための適切な方法は、当業者によく知られている。好ましくは、本発明の方法で熱処理されたポリマー粒子は、同時係属出願中の欧州特許出願10003452.9に記述されている方法により、モノマー混合物を重合させることによって得ることができる。
【0053】
重合反応は、バッチモードあるいは連続モードで、水溶液中あるいは分散相(つまり溶液重合や懸濁重合)で起こすことができる。
【0054】
特に、重合反応が水溶液中において行われた場合、得られたポリマーは、好ましくは摩砕などによって粉砕されるが、粒子サイズが45μm未満あるいは850μm以上の粒子を熱処理前に除去するために、ふるいかけする選択肢もある。
【0055】
また前記ポリマー粒子は、本発明の方法による熱処理が施される前に乾燥されることが好ましい。
【0056】
好ましくは、本発明の方法によって熱処理されたポリマー粒子は、熱処理が施される際、EDANA標準試験法WSP230.3(10)によって測定されるような全組成量を基準として、その残留の水分量が12重量%未満、より好ましくは、0.5重量%から6重量%までの範囲、さらには0.5重量%から5重量%の範囲が含まれていることが好ましい。
【0057】
流動層乾燥機の下部プレナム室に、少なくとも1つの高温ガス流が、少なくとも1つのガス分配底板に向けられていることが好ましく、その方向は水平長手軸に対して実質的に直交する方向であって、連続的に運転している流動層乾燥機の中で熱処理されている間、流動層の中にあるポリマー粒子は止まることなく移動する。本発明において、「略直交」との用語は60度から120度までのすべての角度を含む。
【0058】
本発明の方法で用いられる連続作動する流動層乾燥機の底板は、多孔板であることが好ましく、当該板の孔は特異な形状を有し、孔は通常の円筒状の丸型形状ではなく、また流路方向も通常と異なる。前記多孔底板の孔は、どちらかというと三角形から半楕円形の形状をしており、流路方向に円錐形の孔を持つことが好ましい。好ましくは、底板として使用する多孔板またはその一部は、(長孔シートに対して)微細孔シートであるか、微細孔シートの集合体である。適当な微細孔シートは、Hein, Lehmann,Trenn- und Fordertechnik GmbH(クレーフェルト、ドイツ)より「CONIDUR(登録商標)」の商標名で市販されている。これらシートにおいて特別な方向を持つ孔の形状は、水平気流成分を有し、ポリマー粒子を流動化室の略水平長手軸に沿って指向することを可能にする。このように指向された孔を持つ多孔底板の代わりに、または当該多孔底板に加えて、熱処理中、ポリマー粒子を流動化室の略水平長手軸に沿って移動させるために、振動乾燥室を利用することも可能である。
【0059】
少なくとも1つのガス分配底板を通過した後、少なくとも1つの高温ガス流が流動化室に侵入し、そこでポリマー粒子と接触し、それらを加熱、流動化させる。ガス分配底板で好適に用いられる指向された孔によって、流動化室の略水平長手軸に沿って移動するポリマー粒子の流れに少なくとも1つの高温ガス流が通過することができて、その角度は15°から165°、好ましくは30°から150°、より好ましくは45°から135°であって、さらに60°から120°でもよく、最も好ましくは75°から105°までの範囲にある。
【0060】
バッチモードにて運転する流動層乾燥機では、指向された孔を持たない微細孔シートが好適である。
【0061】
特に連続的に運転する流動層乾燥機では、本発明の方法において、好ましくは、複数の高温ガス流がポリマー粒子と接触可能である。熱処理の際、好ましくは、当該ポリマー粒子はまず流動層乾燥機の内部で、第1の加熱として150℃から320℃までの範囲の温度Tg1を有するガス流と接触し、その後温度を保持するために150℃から280℃までの範囲の温度Tg2を有するガス流と接触する。したがって、連続的に運転する流動層乾燥機の流動化室は、昇温区域と、さらに温度を保持するための、少なくとももう1つの区域を備えていることが好ましい。
【0062】
第1のガス流は、ポリマー粒子を短時間に所望の粒子温度Tとなるまで加熱するために利用可能である。前記第1のガス流の温度Tg1は、好ましくは所望の粒子温度Tよりも30℃、または50℃をも超えるように設定される。しかし、前記粒子が所望の粒子温度よりも約30℃、あるいは50℃もの高い温度を有するガス流に長すぎる時間接触した場合、分解が起こる可能性がある。したがって、粒子が所望の粒子温度Tに(ほぼ)達したら、Tg1より低いが、好ましくはTp1よりもまだ高い温度Tg2を有する第2のガス流をポリマー粒子に接触させることが好ましい。前記温度Tg2は、好ましくは100℃から280℃までの範囲内にあって、好ましくは所望の粒子温度Tを20℃より超えず、さらに好ましくは10℃より超えない。温度Tp1に達すると、ポリマー粒子は残りの滞留時間、つまり流動層乾燥機の流動化室に滞留する時間にわたって前記温度に保たれるか、加熱して温度Tp2に保たれるが、ここでTp1とTp2は互いに異なるが、どちらとも170℃から245℃までの範囲内、より好ましくは190℃から235℃までの範囲内であることが好ましい。
【0063】
本発明の流動層乾燥機内部におけるポリマー粒子の全滞留時間、つまりポリマー粒子が流動化室の昇温区域および温度保持区域に存在する平均時間は、約2分から数時間の範囲内であることが好ましく、より好ましくは約4分から約60分、さらに好ましくは約10分から約40分の範囲内である。全滞留時間は、昇温期と実際の熱処理時間とから構成される。昇温期、つまりポリマー粒子が、所望の生成物温度Tを優に越える第1の温度Tg1を有するガス流を用いて、所望の温度Tまで加熱されるまでの第1の時間帯は、好ましくは約数秒間、例えば2秒から約10分の間だけ続き、より好ましくは1分から約9分までの間、最も好ましくは約2分から約8分までの間だけ続く。生成物が所望の粒子温度Tに達すると、実際の熱処理時間が開始され、所望の生成物温度を維持するため、ガス流Tg2の温度が随時調節される。実際の熱処理は、好ましくは約1分から60分続き、より好ましくは約2.5分から45分、さらに好ましくは約10分から30分続く。
【0064】
温度Tg1を有するガス流と温度Tg2を有するガス流は、同一のまたは異なる組成を持っており、同一のまたは異なる導入口を介して下部室に供給可能である。また、ポリマー粒子はさらに温度Tgnを有する一乃至複数のガス流で処理可能であり、ここでnとは3,4,5などであって、温度TgnはTg1やTg2とは異なる。
【0065】
本発明の方法によって、短い残留時間分布を持つ熱処理粒子を得ることが可能になる。熱処理後、流動層乾燥機かの流動化室から排出されたポリマー粒子のうち、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%が、計画熱処理時間t±5%のうちに熱処理された。
【0066】
本発明の方法において、ガス分配底板にわたる圧力低下、つまり前記板のプレナム側の圧力と流動化室側の圧力との差異は、好ましくは100Paから900Paまでの範囲内であって、より好ましくは150Paから400Paまでの範囲内であって、最も好ましくは200Paから300Paまでの間にある。接近ガス速度と運転温度を考慮し、所望の圧力低下を得るための適当な底板を選出するために、底板メーカーは圧力低下曲線を提供している。底板と流動層との両方の圧力低下は、好ましくは2500Paから5000Paまでの範囲が可能である。全圧力低下は、流動層乾燥機外部の気圧に対し、底板よりも60cm下方に設けられた少なくとも1つの差圧伝送器によって測定される。好適な差圧伝送器は、例えばEmerson Process Management GmbH & Co. OHG (ヴェスリング,ドイツ)からROSEMOUNTの商標名で市販されている。圧力低下は、とりわけ使用するガス分配底板、ガスの温度、流入速度に依存し、これは当業者によく知られている。所定の温度および所定の流入速度において、特定の圧力低下を得るための特別な多孔底板を選出するための指針(Guides)は、前記多孔底板のメーカーから手に入れることができる。
【0067】
本発明の方法において、流動層の高さは好ましくは10cmから80cmまで、より好ましくは約30cmから約60cmまでの範囲にある。流動層の高さは、とりわけ1時間あたりの接近ガスの体積量と圧力低下によって管理可能であって、これは当業者によく知られている。
【0068】
ガスとしては、採用する条件下において当該ポリマーに不活性な任意のガスが利用可能で、例えば窒素、二酸化炭素、希ガス類、空気、等やそれらの混合体などである。水分の凝縮が防止され、かつ熱処理されるポリマー粒子と凝縮物との接触が防止されるのであれば、水蒸気を利用してもよい。本発明の方法において、経済的な理由からは空気が好ましいガスとなる。ポリマー粒子の層を通過して流動化した後に、ガス流は濾過され流動化室に向けることによって、少なくともその一部が再利用されるが、その他の部分は大気に放出されることが好ましい。
【0069】
本発明の方法を用いれば、(i)「未処理」のポリマー粒子、つまり、重合、乾燥、粉砕、篩過によって形成された後に、さらなる固体または液体物質と接触していなかったポリマー粒子、(ii)純水によって表面が再湿潤したポリマー粒子、(iii)表面架橋材を一切含んでいないコーティング溶液で処理されたポリマー粒子、(iv)表面架橋材を含む溶液で処理されたポリマー粒子、を処理することが可能となる。
【0070】
好ましくは、前記粒子が本発明の方法によって熱処理される前に、少なくとも1つの有機および/または無機架橋剤を含む溶液がポリマー粒子の表面に塗布可能である。前記溶液は、前記ポリマー粒子の表面に噴霧することによって塗布されることが好ましく、さらには0℃から99℃までの範囲の温度での噴霧がより好ましい。
【0071】
驚くべきことに、熱処理において、表面架橋材が存在せずとも、熱処理前にポリマー粒子の表面を水溶液で再湿潤させることで生成物の特性が改善可能であることがわかり、蒸留水、脱イオン水、または水道水などの「純水」、つまり毒性成分、架橋成分、その他活性成分などの余計な成分を相当量含んでいない水を用いるのが好ましく、相当量とは、好ましくは100ppm未満の量である。したがって、本発明の方法において、熱処理前にポリマー粒子をポリマー粒子の全重量を基準に、好ましくは0.3重量%から7重量%、好ましくは1重量%から5重量%より好ましくは1.5重量%から3.5重量%までの範囲の量の水で表面を湿らせる。
【0072】
驚くべきことに、水や、コーティング剤および/または表面架橋剤を含む溶液を塗布するためのステップを二段階にわたって実行すると、つまり粒子を流動層乾燥機の内部ではなく、流動層乾燥機の中で流動し熱処理粒子する前にWurster型やGlatt−Zeller型の流動層乾燥機などを用いて水や各溶液を粒子に塗布すれば、よりいっそう良い結果を得られるということが判明した。
【0073】
液体または溶液がすべてポリマー粒子の表面に実質的に均一に分散されなければならない。好適な方法の1つに、適当なミキサーの中で液体/溶液を添加する方法があり、好ましくは攪拌されたポリマー粒子に噴霧される。文献には様々な好適なミキサー、たとえばスクリューミキサー、パドルミキサー、円盤型混合機、プローシェアミキサー及びショベルミキサーなどが述べられている。特に好適なものは縦型ミキサー、とりわけプローシェアミキサーやショベルミキサーである。好適なミキサーは、Lodige(登録商標)ミキサー、Bepex(登録商標)ミキサー、Nauta(登録商標)ミキサー、Processall(登録商標)ミキサー、Schugi(登録商標)ミキサーなどの商標名で市販されている。好適な噴霧ノズルおよび霧化システムは従来技術でもよく知られており、例えばZerstaubungstechnik, Springer Verlag, VDI-Reihe, Giinter Wotzmer (2002)に記述されている。単分散および多分散の霧化システムとして圧力ノズル、回転式霧化装置、超音波式霧化装置およびインパクトノズルなどが利用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
コーティング溶液は、好ましくは水性溶媒つまり水と少なくとも1つの水溶性有機溶媒からなる混合物において表面架橋剤を含み、当該表面架橋剤は好ましくは多価アルコール類、ポリグリシジル化合物類、環状カルボナート類、ポリアミン類、アルコキシシリル化合物、ポリアジリジン類、ポリアミドアミン類、オキサゾリドン類、ビスオキサゾリン類、水溶性多価金属塩類、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミの乳酸塩類、水酸化物類、炭酸塩類、または重炭酸塩類、あるいはこれらの混合物、好ましくは、乳酸アルミニウム、金属酸化物またはそれらの混合物から構成されるグループから選択される。
【0075】
本発明において、水性溶媒は“純”水と、水と水溶性助溶剤の混合物との両方から構成され、当該水溶性助溶剤にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのC−Cアルコール類や、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールおよび1,4−ブタンジオールなどのC−Cジオールや、アセトン、等から構成される。
【0076】
表面架橋剤はポリマー粒子に水溶液の形態で塗布されることが好ましく、前記溶液は100ppmから10000ppmまで、より好ましくは500ppmから5000ppmまでの一乃至複数の表面架橋剤を含んでいる。好ましくは、ポリマー粒子の全重量を基準に、約0.3重量%から約10重量%の量の前記水溶液が、より好ましくは約1重量%から約6重量%の量の前記水溶液が、さらに好ましくは約2重量%から約4重量%の前記水溶液がポリマー粒子に添加される。助溶剤や、その他の液体添加剤または溶解添加剤は、水溶液の一部として、または表面架橋剤を含む水溶液を添加する前後に別の段階としてポリマー粒子に添加することが可能である。
【0077】
さらにコーティング溶液は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラートなどを含む解砕補助剤などの追加成分を含んでいてもよい。
【0078】
上記のようにコーティング溶液で処理された後、コーティングされたポリマー粒子はただちに本発明の熱処理方法が施されるか、または本発明の熱処理方法が施される前に0から99℃の温度、好ましくは常温(23±2℃)で保持される。前記定温放置は別個の容器、つまり流動層乾燥機の内部以外の容器にて混合する下で、実行されるのが好ましい。
【0079】
多くの場合、このような保持期間(定温放置)によってコーティング溶液が粒子表面に確実に拡散し、またポリマー粒子表面における架橋剤がより均一に分散することになる。保持している間、温度は0℃から99℃までの範囲にあることが好ましく、保持時間は10秒から10時間までの範囲にあることが好ましい。10秒未満の保持時間では通常、コーティング溶液の均一的な分散および/またはコーティング溶液が粒子表面に十分に浸透することを保証できない。また、コーティングされたポリマー粒子はまだ湿りすぎている可能性があるため、流動層乾燥機内部を効果的に流動化することができない。一方、保持時間が10時間を超過した場合、表面架橋剤は通常ポリマー粒子の中核まで拡散し、該表面から離れすぎているので、その後の熱処理の後に低品質となることにつながる。
【0080】
本発明はさらに、特に本発明の方法の利用に特別適合する流動層乾燥機を提供する。したがって、本発明はさらに、吸水性ポリマー粒子を連続モードあるいはバッチモードで、好ましくは上記のような本発明の方法で熱処理するための流動層乾燥機の使用に関し、前記流動層乾燥機は、
i)実質的に水平な長手軸を有する乾燥室と、
ii)処理される粒子を前記流動化室に供給するための粒子導入口と、
iii)処理された粒子を前記乾燥機から除去するための粒子排出口と、
iv)ガスをプレナムに供給するための、プレナム内の少なくとも1つのガス供給導入口と、
v)粒子層を流動させ通過させた後にガス流を乾燥室から排出するための少なくとも1つのガス排気口と、
を含み、前記乾燥室は、
−下部プレナム室に下方に開口した流動化室と、
−少なくとも1つのガス分配底板を介する下部プレナム室と、
−前記下部プレナム室から前記流動化室内への上向きのガス流のために形成された開口部を有する少なくとも1つのガス分配底板と、
を含む。
【0081】
特に、まだ表面が粘着していて、表面コーティングされたばかりのポリマー粒子が流動層乾燥機に供給された場合には、前記粒子の凝縮が起こり、生成物の流動化が不十分となる可能性がある。その結果、ポリマー粒子材料は高温ガス分配底板に残留して過熱し、流動化の乱れによって適切な熱交換がすべて阻害され、発熱分解が開始してしまう。これは最終的に生成物の分解につながり、場合によっては発火に至る可能性がある。これらのリスクは、吸水性ポリマー粒子を熱処理するための本発明の流動層乾燥機を用いて回避され、その一例は図1に示される。
【0082】
該流動層乾燥機は一般には、流動化室1、多孔底板3、好ましくはCONIDUR(登録商標)板などの微細孔板、および底板3の下部にある熱風分配室(プレナム2)を備えている。該乾燥機は、生成物充填システム5と生成物排出システム6、少なくとも1つの高温ガス加熱器7、適当な高温ガス導管9および流動化層を通過したガス流の排気システムを具備している。前記排気システムは排気ガス流にある洗浄されたポリマー粒子を回収するための適当な濾過システム8を備えている。当該システムは、異なる流動層の区域に異なる温度を設定できるように、複数のガス加熱器7aと7bを備えていることが好ましい。
【0083】
ガスは、所望の温度まで加熱された後にプレナム2へと導かれ、そこで均一に分散し、流動化室1のポリマー材料を均一的に流動化し加熱するため、底板3の開口部を通って所望の速度で均一的に流れるようになっている。流動層のポリマー層を流動化し通過した後、ガス流は濾過され、その一部は再利用されるがその他の部分は大気に放出される。
【0084】
経済的な理由から、ポリマー粒子の熱処理は連続的モードで行われる方が好ましいが、流動層乾燥機はバッチモードでも作動可能である。
【0085】
流動層乾燥機は通常鋼鉄からできているが、原理的には、使用される高い温度に耐え、機械的に安定している不活性材料ならどのようなものでもよい。流動化室の形状としては円筒形、円錐形、あるいは長方形が可能である。長方形の乾燥機が特に好ましい。生産規模の長方形の流動化室の適切なサイズは、例えば約4mから約8mまでの長さ、好ましくは約5mから約7mまで、より好ましくは約5.75mから約6.25mまでの長さである。幅は、例えば約0.7mから約2.1mまでの範囲、好ましくは1.0mから1.8mまでの範囲、より好ましくは1.3mから1.5mまでの範囲に及ぶ。流動化室の高さは、約1mから3mまでの範囲が好ましく、好ましくは約1.5mから2.5mまでの範囲、より好ましくは約1.85mから約2.15mまでの範囲にある。ガス分配底板の幅に対する長さの比率は、好ましくは3から5.5の範囲内であって、流動化室の高さに対する前記底板の面積の比率は2.5から5.5までの範囲内が好ましい。
【0086】
連続的モードにおいて、生成物は必要に応じて重量流や体積流によって、必要に応じ長方形をしている流動化室の一端へと絶えず供給され、そこから特定の振動および/または特別な底板孔の設計によって与えられる方法づけされたガス流によって、流動化室に沿って反対側まで運ばれていき、そこから隣接する冷却室へと放出可能である。場合によっては別個の生成物冷却器を使用してもよい。冷却後、生成物は冷却室または生成物冷却器より回収され、出荷用にこん包するか、さらなる処理を行ってもよい。
【0087】
底板は、好ましくは上ですでに述べた少なくとも1つの微細孔シートであってよく、流動化室の粒子を保持し、高温ガス流を分配するために機能する。底板は該プレナムと流動化室を仕切り、金属製もしくは必要とされる安定性を提供するようなその他の耐熱素材でできており、高温ガス流を通過させるために穿孔されている。当該複数の孔は、粒子が該板を通ってプレナムへと侵入しないように、上記のような特別な寸法および形状をしていることが好ましい。単位面積あたりの孔の数および底板に設けられる開き断面は、所要のエネルギーを生成物へと伝達して該板の生成物の層を流動化させるため、所望の量のガスが必要とされる速度で開口部を通過するようになっている。
【0088】
流動層乾燥機の底板は、孔の寸法、孔の設計、単位体積あたりの孔の数などに関し全域にわたって均一な構造を有する単体のシートからできているか、流動層乾燥機の異なる各区域で特定の流動化や生成物の動きを与えるため、当該底板は、各区分が必要に応じそれぞれ異なる設計をしている複数の区分から組み立てられてもよい。
【0089】
底板の肉厚は0.3〜5mmの範囲にあることが好ましい。底板の開口部は球形、長方形、楕円形、等の形状を持つことができ、ガス流を指向することで、流動化した生成物を所望の方向に向けるのに適した形状を有していることが好ましい。これらの寸法は処理される生成物の粒子サイズと必要とされる条件に依存し、通常は0.1mmと0.5mmとの間の範囲にあり、好ましくは0.2mmから0.4mm、さらに好ましくは0.3mmから0.35mmまでの範囲にある。孔の寸法、数および設計は、底板を通過する流動化ガスのガス速度および圧力低下が、最適で均一な流動化のため、適切な範囲に収まるように選択されなければならず、これは当業者によく知られている。
【0090】
既に述べたように、流動化室のすべての材料は、底板の領域全てに渡って均一にかつ常時流動化されている点が重要である。ポリマー粒子の発熱自己分解は、生成物層が均等に流動化されることによって適切な熱交換がなされ、分解の自己加速が防止されれば、約240℃の温度までであれば確実に制御できる。
【0091】
流動化室内部のポリマーが分解する可能性があるだけでなく、プレナムにたまたま侵入し、流動化されていないポリマー材料が発火するリスクも高い。プレナム内部の生成物はさらに、前記板に吹き付けられた際、底板の開口部を下から塞ぐ可能性があるので、底板上部での流動化を阻害する。欠陥や不適切なベントストリームフィルターによって、生成物が上部の流動化室からプレナムへ漏出したり、再利用された気流によって生成物がプレナムへ運びこまれたりしないように、あらゆる配慮がなされなければならない。底板下方にあるプレナム内の圧力監視器および/または主空気循環ライン内の微粒子監視器のような適切な装置は、あらゆる処理困難性を逐一知らせていく上で役に立つもので、これは生成物が分解する可能性を防止するのに不可欠である。
【0092】
流動化室に侵入し、或いは前記流動化室で形成された、大きな生成物粒子やすべての生成物凝集体は、自重により流動化されないままとなる。それらは高温の底板と接触したまま留まり、逐次除去されなければ分解するか、発火する。したがって、以下に述べるように、このような大きな粒子や塊をシステムから除去するか、内部での形成を阻止しなければならない。
【0093】
ポリマー粒子は流動化室に所望の速度で絶えず充填され、当該速度は回転バルブまたは他の適当なシステムによって制御可能である。供給ポリマーは、流動層の供給区域に入る際に、約50℃以下の温度を有していることが好ましい。供給区域が高温となる条件では、粒子の残留水分(つまりEDANA法WSP230.3(10)で12重量%未満、通常は約0.5〜6重量%の水分量)は、ほぼすべて急速に失われる。水分は通常高温ガスに吸収され、ベントストリームによって放出される。流動化室に存在可能な冷却区域または面によって水分が凝縮するリスクが発生し、これによって湿潤した場所が生じ、それにポリマーダストやポリマー微粒子が吸着し、凝集体や塊を形成する。これらの塊は時折はがれおち、底板へと落下する。流動化室の内部または少なくともそれに接触して設置するそのような供給システム(供給管や回転バルブ、等)の一部は、供給材料によって常時冷却されているので、凝縮や凝集を引き起こし、塊を形成するための冷却面を提供する。冷却した生成物流そのものが凝縮のための冷却域を与えるので、不所望な凝集をもたらす危険性がある。供給区域における凝集体の形成を防止するためには、しかるべき配慮がなされなければならない。まず、供給流を高温流動層の広域にわたって均一に分散させるのを補助するような装置を設置することが可能である。次に、流動化室の内部または少なくともそれに接触して設置するそのような供給システム(供給管や回転バルブ、等)の一部は、表面の冷却を防止するためのトレース加熱(trace heating)を備えることができる。さらに、乾燥した気流を導入口の領域に向けることで、凝縮の発生をさらに防止することも可能である。
【0094】
均一的に供給を分散させるための特別な装置は、例えば「唐人笠(Chinese hat)」15のような形状をしていて、流動化室内部において、粒子供給流導入口の真下に設置される。前記装置は図2に示すように、電気的トレーシングのためのジャケットと並ぶ半円錐の板を備える。
【0095】
運転を確実にするためには、上に明記されたような寸法を持つ流動層乾燥機には単位mあたりの底板で、約50kg/hから約2000kg/hまで、好ましくは約100kg/hから約1000kg/hまで、より好ましくは約125kg/hから約450kg/hまでの生成物の供給流が充填され、また、単位mあたり約300kg/hから約3000kg/hまで、好ましくは約500kg/hから約2500kg/hまでの全高温ガス体積流が充填される。ガス流は生成物層を通過した後でもまだかなりのエネルギーフラクションを持ち、好ましくは粒子を加熱するために再生される。したがって、洗浄された物体を適当な耐熱フィルターやサイクロンで濾過することで分離した後に、ガス流の一部は加熱器に送り返される(再利用される)。しかし、高温ガス流に含まれる水分量が供給材料からの水蒸気により増加することに伴って、ガス流の一部をベントストリームに放出し、乾燥した新気ガスを再充填しなければならない。新気ガスは、生成物層を通過した高温ガス流と混合する前に、冷却室の高温SAPを流動化して冷却するために利用することができる。流動化室を出ていくガス量のうち放出されるガス量の割合は、約10%から約40%までの範囲、好ましくは約20%から約30%までの範囲内である。
【0096】
通常、1重量%から15重量%の割合の生成物流がガス流によって運ばれ(洗浄され;elutriated)、ガスから分離される必要がある。全ての粒子を効率的にかつ確実にガス流から分離することが非常に重要であり、そうでなければ再利用された熱風によって粒子はプレナムへと運搬され、時間の経過とともにそこに凝縮される。ガス流からの分離は一乃至複数のサイクロン、適当なフィルター、またはこれら両方の組み合わせによって達成可能である。
【0097】
微粒子をガス流からうまく分離するためには、190℃を超える温度に適した特別なポリイミドフィルターまたはテフロン(登録商標)フィルターを備えるフィルターサイクロンが利用可能である。フィルター間の圧力低下、つまりフィルター前後の圧力は、使用するフィルターの種類およびフィルターのクリーニング周期によって定められる。圧力低下が高すぎると全空気循環流の速度に悪影響を与え、結局、不十分な流動化と熱伝熱効率を引き起こす。生成物の分解を防止するためには、フィルターの機能は常に適切に管理されなければならない。
【0098】
驚くべきことに、多くの応用例において、昇温期における生成物の昇温速度は、CRC値やAAPに対するCRCの割合に著しく影響を及ぼすことが判明した。ネットワーク架橋剤としてグリセリンが使用されたり、ポリマー粒子を熱処理の前に純水を用いて再湿潤させたりする場合には、速い昇温速度が好ましい。
【0099】
したがって、本発明の方法においては10分未満の昇温時間、より好ましくは約3分から8分までの範囲にある昇温時間が好ましい。高すぎるガス温度が必要とされ、これによって生成物の機能が低下し、ポリマーが分解してしまうか、または流動化室の充填の程度を非常に低くする必要があって経済的でないために以下に説明するその他の問題を引き起こしてしまうので、より短い昇温時間も重要である。
【0100】
ポリマーの昇温速度は高温ガス流によって与えられるエネルギー摂取速度や生成物層の肉厚に依存する。エネルギー摂取速度(ガス温度、ガス速度)に関する上記の制限のために、昇温速度は通常、層の厚さによって管理される。流動層の好ましい厚さは、流動層乾燥機の寸法や形状に依存する。プラント規模で連続運転をする長方形の流動層乾燥機は、好ましくは10cmから80cmまで、好ましくは30cmから60cmまでの範囲にある(流動化)層の高さを有する。層の高さは、好ましくは、流動化室の排出端にある堰によって管理できる。ベッドの高さが80cmを越える場合には昇温速度が小さくなりすぎ、生成物の品質が不十分なものとなる。層の高さが低すぎるとプレナムと生成物層の圧力低下が不十分なものとなるため、流動化が不均一なものとなる。
【0101】
放射によるエネルギー供給によって流動層の昇温を促進することもできる。例えば、一乃至複数の紫外(UV)または赤外(IR)線照射源を流動化室に取り付けることができる。生成物の昇温速度を加速するために、前記照射源は流動化室の供給区域に取り付けることが好ましい。このような熱源は、高温ガス流が、適切な昇温速度のために十分な熱供給を与えることができないような作動条件があてはまる場合に、特に望ましい。
【0102】
粒子は1つずつ流動化室でほぼ同じように処理されることが好ましく、したがって各粒子が前記流動化室の中で同じ滞留時間を有していることが望ましい。したがって、準栓流が望ましい。標準的な流動化室では、かなりの逆混合が起こり、不都合に広い生成物の滞留時間分布が生じ、望ましい時間幅で熱処理される前の粒子画分が流動層乾燥機から放出される一方、他の画分はポリマーの分解限界にある高温に長時間晒される。
【0103】
逆混合を最小限に抑えるためには、強制粒子流の方向と準栓流を達成するためにバッフル板16を流動化室1に挿入することが可能であって、流動化室にて狭い滞留時間分布(図3)が供給される。
【0104】
流動層の高さは流動化室1の排出側にある調節可能な堰17によって管理することができる。流動層乾燥機は好ましくはさらに流動化室1に隣接する冷却室4を備え、前記流動化室1を通過した後、熱処理されたポリマー粒子がそこに放出される。好ましくは、冷却室4は流動化室1から上記の堰17によって部分的に隔てられていて、溢れ出る材料が直接冷却室4に侵入するようになっており、そこで50℃未満の温度まで冷却される(図3)。冷却室は、新気ガス送風機と熱交換器12、例えば多管式水冷熱交換器を備えることができる(図1)。冷却用の新気は、冷却室4の高温生成物を通過し冷却した後、高温ベントストリームへと供給され、流動層乾燥機を出ていく。
【0105】
流動層乾燥機におけるポリマー粒子の効果的な熱処理のために、所望の熱移動、生成物品質そして最小限の微粒子の洗浄を手に入れ、また生成物の適切な流動化と安全な運転を保証するためには、生成物流に体するガス流の比率は慎重に調節されなければならない。これらの要件をすべて満たすために、連続的な運転をする生産規模の流動層乾燥機は、底板1mあたり100〜2000kg/hの生成物流、および底板1mあたり300〜3000kg/hの高温ガス流の供給が好ましい。
【0106】
生産スケールの流動層乾燥機は、例えば以下の条件で運転できる。
Conidur(登録商標)の底板面積:約8.4m、全気流:約7000〜18000kg/h、生成物押出量:約3200〜3500kg/hである。
【0107】
流動層乾燥機は複数のサブ区域(図1〜2の乾燥室では縦線で表示)に分割でき、運転条件を個々に設置し管理することができる。各区域はそれぞれ専用のガス加熱システム7a〜7xおよび高温ガス流9a〜9xを備えることができる。このようなサブシステムを利用することによって、特定のプロファイル、たとえば特定の温度プロファイル、個々のベッド高、等を流動層乾燥機に沿って目標設定することができる。
【0108】
早い昇温速度が必要とされる場合、流動化室やプレナムを複数の区域に分割することも望ましい。このような場合、第1の区域は、ポリマー粒子の速い昇温を達成するために使用することが好ましい。よって、導入口の高温ガス流速度および(ガス)流9aの温度は許される限り高く設定されるべきであるが、第2の区域(ガス流9b)は流動化された生成物を所望の熱処理温度に保持するためだけに使用されるため、第2の区域の条件は比較的緩く設定される。当該区域の分離は、別々に管理された2つの異なる熱風供給システムによって達成される。
【0109】
その他にも、単一のバーナーを用いて高温ガス流を与え、その後、前記高温ガス流を分流し、第2の区域の流量の一部を温度の低い新気ガスと混合させることで分離することも可能である。プレナム(供給流)に供給されるガス流を加熱するためには、電子加熱器、ガス加熱器、蒸気圧熱交換器、または適当な熱交換器を持つ他の加熱器が利用できる。
【0110】
ポリマー粒子の分解が起こる場合には、COガスおよびCOガスが放出される。不所望な分解反応をただちに検知するためには、流動化室を出ていく少なくともベントストリーム内部のCO/CO濃度を監視するため、高感度な赤外線CO/CO探知システムを設置することができる。ガス供給流およびベントストリーム内部のCO/CO濃度は常時監視され、両者の差分が算出されることが好ましい。CO/COレベルがトリガー濃度を上回ると、ただちに措置がとれるよう、当該システムは生産管理システムを介して警報を発することができる。例えば、流動層内部の制御できない分解反応あるいは発火を直ちに抑制するため、この場合、流動層乾燥機は窒素で洗浄することができる(図1の11)。分解の可能性を検知するとシステムが冷却され、窒素で洗浄された状態となり、安全性の条件が得られると同時に、安全手順および安全の手引きにしたがってシステムが再開する。
【0111】
微細孔板の圧力低下と流動化生成物は常に監視することもできる。望ましくない圧力上昇は、微細孔板の微細孔が詰まっているか、微細孔板に形成された堆積物によって熱風が閉塞していることを意味している。所定のレベルになると警告が発せられ、生成物の分解が発生するのを防止するために必要とされる緊急の措置がとられる。
【0112】
フィルターの圧力低下は安全のためにも常に監視されることが好ましい。一方、フィルターが閉塞することによって通常起こる高すぎる圧力によって、高温ガス流が閉塞するリスクが生じ、生成物の流動化が不十分となることにつながり、他方、急に生じる可能性のある低い圧力低下は通常、フィルター組織損傷の兆しである。このような場合、ある特定の材料が高温ガス流へと漏出して、微細孔板の下方でプレナムへと運ばれていき、その際に適切な措置がとられなかった場合には生成物の分解の原因となる。
【0113】
したがって、本発明において使用される流動層乾燥機はさらに一乃至複数の
(i)粒子導入口を加熱するための装置、
(ii)好ましくは一乃至複数のサイクロン、又はフィルター、又はそれらの組み合わせにより形成され、前記流動化室から排出されたガス流から浄化された微粒子を分離するための装置、
(iii)逆混合を最小限に抑える流動化室内の複数のバッフル板;
(iv)前記ガス分配底板、前記流動層及び/又は前記ガス流から浄化された微粒子を分離させるための前記装置による前記圧力低下を監視するための手段、
(v)流動化室内の少なくとも1つの照射源、
(vi)流動化室(ベントストリーム)を離れたガス流、及び所望により、前記プレナム(供給流)中に供給された高温ガス流中の一酸化炭素及び/又は二酸化炭素の濃度を測定するための手段、
(vii)窒素又は希ガスで前記流動層乾燥機の少なくとも前記乾燥室を洗浄する手段、
を備えていることが好ましい。
【0114】
本発明の方法と、特別に適合した流動層乾燥機を用いれば、流動層における吸水性ポリマー粒子の連続的な熱処理を行うことが可能で、これにより高性能で高品質な生成物が得られる。特に、以下の例が示すように、CRC、AAPに対するCRC(またはAULに対するCRC)の比率、SFCやPULなどの特性に対する生成物の品質について顕著な改善が得られる。
【0115】
したがって本発明のさらなる目的は、本発明の方法によって得られる熱処理されたポリマー粒子である。
【0116】
また、本発明の方法と、本発明に特別に適合した流動層乾燥機を用いれば、熱処理の際、洗浄物の画分とエネルギー消費の削減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1図1は、本発明の方法に特別適合した流動層乾燥機を示している。前記流動層乾燥機は、流動化室1に形成され、プレナム室2にガス分配底板3を通って下向きに開口している乾燥室を備える。冷却室4は、前記乾燥室の前記端部に隣接し、これは生成物充填システム5の生成物導入口の反対側にある。冷却室は熱交換器12を備える。前記冷却室から、生成物が生成物排出システム6によって排出される。乾燥室のプレナム2に入るガス流を加熱するためにガス加熱器7aおよび7bが使用され、そこから高温ガス流が乾燥室へと供給される。流動化室1の流動層を通過した後、ベントストリームが濾過システム8へと向けられ、そこで洗浄されたポリマー粒子がガスと分離され、回収される。濾過されたベントストリーム9の一部はガス加熱器7aおよび7bへと再利用されるが、他の部分10は大気へと排出される。流動層乾燥機はさらに乾燥室を窒素または希ガスで洗浄するための手段11を備えることができる。流動層乾燥機はさらに、乾燥ガス14を冷却室4へと導入するための手段を備える。
図2図2は流動化室1の中で均等に分配するための特別な装置15を示したものである。
図3図3は、ポリマー粒子の準栓流を得るための流動化室1におけるバッフル板16の機能を示している。堰17は、流動化室1における流動層の高さを調節し、流動化室1を冷却室4と分離するために機能する。
図4図4は、4a〜4cの例にしたがって、粒子量が昇温速度に与える影響を示したものである。
【符号の説明】
【0118】
1 流動化室
2 プレナム室
3 ガス分配底板
4 冷却室
5 生成物充填システム/生成物導入口
6 生成物排出システム/生成物排出口
7 ガス加熱器
8 濾過システム
9 リサイクル濾過ガス流
10 排出ガス流
11 乾燥室を窒素または希ガスで洗浄するための手段
12 熱交換器
13 ベントストリームから分離され洗浄された微粒子
14 乾燥ガス
15 均等分配するための装置
16 バッフル板
17 堰
・実施例
【0119】
1. 分析方法
・遠心保持能力(CRC)
EDANA標準試験WSP241.3(10)によって遠心分離された後の食塩水での液体保持能力の重力測定
【0120】
・圧力に対する吸着性(AAP)/加圧下吸水性(AUP)
粒子サイズが150μmから850μmまでの範囲内にあるポリマー粒子を用いて0.3psiまたは0.7psi/21mbarから49mbarの圧力での加圧下吸水性の重力測定はEDANA標準試験WSP242.3(10)によって測定された。
【0121】
・0.9psiでの加圧下吸水性(AUL0.9psi
ナイロンスクリーン(50x50mm;100メッシュ/149μm)を多孔金属板の上に設置し、続いてフィルター紙、最後に内径26mm、外径37mm、高さ50mmの中空ステンレス鋼シリンダーを設置した。167mgの吸水性ポリマー粒子がシリンダーにおかれ、均等に分配された。26mmの径を持つ不織シートがポリマーを覆い、重しを備える26mm径のプラスチックピストンで押下された。ピストンの重量とピストン頂部の重しとの合計重量は328.2グラムであって、0.9psi(62.1mbar)の負荷を与える。シリンダーは、ナイロンスクリーンと溶液の表面が同じ高さを持ち、フィルター紙と吸水性ポリマー粒子による液体の吸収が水圧を受けることがないように、0.9%の食塩水に浸された。粒子は一時間浸された。該板は水槽から取り除かれ、金属板の孔およびナイロンスクリーンに残った液体は紙製ティッシュで吸い上げられた。その後重しは膨潤したゲルから取り除かれ、ゲルが秤量された。1グラムの吸水性ポリマー粒子が加圧下にて吸収された水食塩水の重量は、加圧下吸水性(AUI0.9 psi)とよばれる。
【0122】
・可溶分成分(Extractables;Extr.)
電位差滴定によって抽出可能なポリマー含有量の測定はEDANA標準試験WSP270.3(10)を用いて実行された。
【0123】
・残留アクリル酸(Res.AA)
高吸水性材料における残留モノマー類の量、つまりポリアクリル高吸水性粒子における残留アクリル酸の量は、EDANA標準試験WSP210.3(10)を用いて測定された。
【0124】
・加圧下での透水性(permeability under load;PUL)
加圧化での透水性を測定するために用いる方法は、上記のAAPを測定する方法と類似している。PULを測定するためには上記のAAP法が実行され、AAP0.7psi(0.9g)の値を得るために0.9gの高吸水性粒子がAAPセルの中に設置された。この方法はその後、AAP0.7psi(5g)の値を得るため、試験をする同じ高吸収材料から5g±0.005gの重量で繰り返された。PUL値は、AAP0.7psi(0.9g)/AAP0.7psi(5g)x100の割合によって定められる。
【0125】
・生理食塩水流れ誘導性(SFC)
米国特許第5,562,646号明細書および米国特許第5,559,335号明細書に記載の方法が用いられた。各毎の試験で、150μmから850μmまでの粒子サイズを有する0.9g分割量の高吸収ポリマー粒子が使用された。
【0126】
・粒子サイズ分布(PSD)
850μmまでのサイズをもつ高吸収材料のサイズ分布がEDANA標準試験WSP220.3(10)を用いて測定された。
【0127】
・水分量(Moisture)
高吸収材料の残留水分量、つまり加熱に伴う質量損失の評価は、EDANA標準試験WSP230.3(10)を用いて測定された。
【0128】
・ハンター色(Color L,a,b)
ハンター色はASTMのE1164−94およびE1347−97によって測定された。この方法において、材料の色(反射率)はハンター色差計を用いて測定される。標本色は、三つの値を用いて説明される。Lは「明度」と相関関係があり、aとbは色彩軸を意味する。aの値は赤みを、負であらば緑みを示し、またbは黄色み、負であらば青みを表す。
【0129】
2.高吸水性ポリマーの調製
・ポリマー1の調製
モノマー溶液は、724.44kgの水酸化ナトリウム、3717.73kgの工程水(部分的な脱塩地下水)、および1401.3kgの氷アクリル酸(AA)(99,8%)をバッチモードにて丁寧に混ぜることによって調製された。この溶液に、3.63kgのジエチレントリアミン五酢酸ペンタナトリウム塩(Dow Chemical CompanyよりVersenexTM80の商標名で市販)の40.2%活性溶液が添加され、これはアクリル酸を基準として(based on acrylic acid;b.o.AA)750ppmに相当し、10.32kgの5%塩化ナトリウム活性溶液(265ppm b.o.AA)と、11.68kgのPEG600(6000 ppm b.o.AA)と、598kgの氷アクリル酸(99.8%)および6.23kgの1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(3200ppm b.o.AA)との混合物が添加された。混合中、溶液の温度は35℃未満に管理された。
【0130】
モノマー溶液はその後、水平1軸混練反応機へと移された。反応機への移動中、1.3kgの30%過酸化水素活性溶液(200ppm b.o.AA)および42.82kgの10%過硫酸ナトリウム活性溶液(2200ppm b.o.AA)が当該モノマー溶液へと混合された。368.1kgの高吸収微粒子(18.4% b.o.AA)がモノマー溶液へと添加され、均一に混合された。得られた混合物は、窒素で洗浄することによって脱酸素化された。温度はその後30℃に調節された。攪拌の下、反応機に36.1kgの1%エリトルビン酸ナトリウム活性溶液(185ppm b.o.AA)を添加することによって重合が開始された。重合を開始すると、反応機のジャケットおよびシャフトの温度が70℃に調節された。反応混合物が85℃付近の温度に達すると、ピーク温度を85℃に保持するように反応機の圧力が低下した。前記ピーク温度に達すると、ポリマーゲルは反応機の圧力をさらに減少させることによって70℃まで冷却された。蒸気は反応機上の凝縮器にて凝縮され、反応機内部のゲルに向けられた。ピーク温度に達してから10分後、顆粒状のポリマーゲルは、平均滞留時間として100分の間、緩やかに攪拌された保持タンクへと移り、そこから押出機のなかでさらなるサイズ調整をするために連続的に取り出され、ベルト乾燥機のベルトへと広げられ、170℃の熱風のなかで20分乾燥させられた。得られたポリマー層は粉砕され、圧延機(Bauermeister)のなかですり潰され、ふるいにかけられて(0.15から1.18mm)ポリマー1が得られた。
【0131】
・ポリマー2の調製
ポリマー1の調製に記載された手順を繰り返したが、ここでは5.84kgのHE-TMPTA(3000ppm b.o.AA)を使用した。
【0132】
・ポリマー3の調製
ポリマー1の調製に記載された手順を繰り返したが、ここでは1分子あたり平均15EO−ユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(1900ppm b.o.AA)を4.28kg使用した。
【0133】
ポリマー1から3までの特性は表1aにまとめられる。
【0134】
表1a:ポリマー1〜3の熱処理前の特性
【表1a】
【0135】
・ポリマー4の調製
ポリマー3の調製に記載された手順を繰り返したが、モノマー製剤は塩素酸を含まず、40.2%のジエチレントリアミン五酢酸ペンタナトリウム塩の活性溶液を1.06kg(220ppm b.o.AA)含んでいた。30%の過酸化水素活性溶液(350ppm b.o.AA)が2.28kg、10%の過硫酸ナトリウム活性溶液(1400ppm b.o.AA)が27.25kg、および1%のエリトルビン酸ナトリウム活性溶液(220ppm b.o.AA)が42.82kg使用された。
【0136】
・ポリマー5の調製
ポリマー4の調製に記載された手順を繰り返したが、架橋剤として、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(1443 ppm b.o.AA)を2.8kg使用し、追加のネットワーク架橋剤として1分子あたり平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(1950 ppm b.o.AA)が5.42kg添加された。
【0137】
・ポリマー6の調製
ポリマー4の調製に記載された手順を繰り返したが、架橋剤として、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(1235ppm b.o.AA)を2.4kg使用し、1分子あたり平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(2030ppm b.o.AA)が5.64kg添加された。
【0138】
・ポリマー7の調製
ポリマー4の調製に記載された手順を繰り返したが、架橋剤として、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(1685ppm b.o.AA)を3.27kg使用し、1分子あたり平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(2330ppm b.o.AA)が6.47kg添加された。
【0139】
・ポリマー8の調製
ポリマー4の調製に記載された手順を繰り返したが、架橋剤として、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(2420ppm b.o.AA)を4.7kg使用し、平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(2860ppm b.o.AA)が7.9kg添加された。
【0140】
熱処理前のポリマー4〜8の特性を表1bにまとめた。
【0141】
表1b:熱処理前のポリマー4〜8の特性
【表1b】
【0142】
・ポリマー9の調製
ポリマー4の調製に記載された手順を繰り返したが、当該モノマー製剤は、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(ethoxylated trimethylolpropane triacrylate;HE-TMPTA)(1443ppm b.o.AA)を2.8kgと、平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(polyethylenglycol monoallyl ether acrylacrylic acid ester;PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(1950ppm b.o.AA)を5.42kg含んでいた。さらに11% b.o.AAの高吸収微粒子がモノマー溶液に添加され、均一に混合された。
【0143】
・ポリマー10の調製
ポリマー9の調製に記載された手順を繰り返したが、当該モノマー製剤は、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(HE-TMPTA)(1235ppm b.o.AA)を2.4kgと、平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(2030ppm b.o.AA)を5.64kg含んでいた。
【0144】
・ポリマー11の調製
ポリマー9の調製に記載された手順を繰り返したが、当該モノマー製剤は、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(HE-TMPTA)(1685 ppm b.o.AA)を3.27kgと、1分子あたり平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(2330ppm b.o.AA)を6.47kg含んでいた。
【0145】
・ポリマー12の調製
ポリマー9の調製に記載された手順を繰り返したが、当該モノマー製剤は、1分子あたり平均15EOユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(HE-TMPTA)(2420ppm b.o.AA)を4.7kgと、平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(2860ppm b.o.AA)を7.9kg含んでいた。
【0146】
・ポリマー13の調製
ポリマー12の調製に記載された手順を繰り返したが、当該モノマー製剤は、1分子あたり平均10EOユニットのポリエチレングリコールモノアリルエトアクリルアクリル酸エステル(PEG-MAE-AE)の70%活性溶液(3580ppm b.o.AA)を9.88kg含み、PEG600は含めなかった。
【0147】
ポリマー4およびポリマー9から13までの特性を、表1cにまとめた。
【0148】
表1c:ポリマー4およびポリマー9からポリマー13の特性
【表1c】
【0149】
・ポリマー14の調製
ポリマー3の調製に記載された手順を繰り返したが、エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(HE-TMPTA)の濃度を2200ppm b.o.AAに変更し、200ppm b.o.AAのグリセリンをモノマー溶液に添加した。
【0150】
・ポリマー15の調製
ポリマー3の調製に記載された手順を繰り返したが、エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(HE-TMPTA)の濃度は2700ppm b.o.AAに変更され、600ppm b.o.AAのグリセリンをモノマー溶液に添加した。
【0151】
ポリマー14およびポリマー15の特性を、表1dにまとめた。
【0152】
表1d:ポリマー14および15の特性
【表1d】
【0153】
・ポリマー16の調製
モノマー溶液が、2925.67kgの25%活性水酸化ナトリウム溶液と、1495.13kgのプロセス水(部分的に脱塩された地下水)と、1357.8kgの氷アクリル酸(AA)(99,9%活性)を丁寧に混合することによって調製された。この溶液に、3.62kgの40.2%VersenexTM80活性溶液と、1.71kgの5%塩化ナトリウム(265ppm b.o.AA)活性溶液と、22.61kgの60%PEG600(7000ppm b.o.AA)活性溶液と、581.9kgの氷アクリル酸(99.9%活性)と4.84kgの1分子あたり平均15EO−ユニットのエトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリラート(2500ppm b.o.AA)との混合物、が添加された。このモノマー溶液のなかで、68.6%のアクリル酸が中和された。混合の際、溶液の温度は35℃未満に管理された。
【0154】
モノマー溶液はその後、水平な単軸の混練反応機へと移された。移動中、1.3kgの30%過酸化水素活性溶液(200ppm b.o.AA)および42.82kgの10%過硫酸ナトリウム活性溶液(2200ppm b.o.AA)が当該モノマー溶液と混合された。319.72kgの高吸収微粒子(16.5% b.o.AA)がモノマー溶液へと添加され、均一に混合された。混合物は、窒素でパージすることによって脱酸素化された。温度は30℃に調節され、最後に重合は攪拌の下で、36.1kgの1%エリトルビン酸ナトリウム活性溶液を添加することによって開始された。
【0155】
重合の開始後、反応機のジャケットとシャフトの温度が70℃に調節された。反応物が85℃付近の温度に達すると、ピーク温度を85℃に管理するように反応機の圧力が減少した。前記ピーク温度に達すると、ポリマーゲルは反応機の圧力をさらに減少させることによって70℃まで冷却された。蒸気は反応機上の凝縮器にて凝縮され、反応機内部のゲルに向けられた。ピーク温度に達してから約10分後、顆粒状のポリマーゲルは、平均滞留時間として約100分の間、緩やかに攪拌された保持タンクへと移り、そこから押出機のなかでさらなるサイズ調整をするために連続的に取り出され、ベルト乾燥機のベルトへと広げられ、約170℃の熱風のなかで20分乾燥された。得られたポリマー層は粉砕され、圧延機(Bauermeister)のなかですり潰され、粒子サイズ100μmから800μmまでの粒子サイズを有するポリマー16が得られるように分類された。
【0156】
・ポリマー17の調製
ポリマー16の調製に記載の手順が繰り返されたが、中和の度合いは65%に調節され、PEG600の濃度は5000ppmまで、再利用された微粒子の濃度は11%まで(すべてb.o.AA)低減された。
【0157】
・ポリマー18の調製
ポリマー16の調製に記載の手順が繰り返されたが、濃度は以下のように変更された。
PEG600は8000ppmに、HE-TMPTAは2700ppmに、Versenex(登録商標)80は500ppmに、過酸化水素は350ppmに、そして過硫酸ナトリウムは1700ppmに変更された。さらに、200ppmのグリセリン(全濃度b.o.AA)が添加されたが、微粒子は添加されなかった。
【0158】
・ポリマー19の調製
モノマー溶液は、すべて100部の最終モノマー溶液を基準にして、31.74部のアクリル酸(活性含量99.9%)、アクリル酸を65%程度まで中和する43.85部の25%水酸化ナトリウム活性水溶液、および15.63部の水から連続的に調製された。この混合物に、0.48部の5%VersenexTM80活性水溶液(750ppm b.o.AA)、0.17部の5%塩化ナトリウム活性水溶液(265ppm b.o.AA)、0.07部のHE-TMPTA(2200ppm b.o.AA)、0.37部の60%PEG600活性水溶液(7000ppm b.o.AA)および0.00636部のグリセリン(200ppm b.o.AA)が添加された。このモノマー溶液は、約28℃の温度および約38%の全固形分を有し、2軸反応機へと6500kg/hの供給速度で連続的に運搬された。前記供給流に、0.26部の3%過酸化水素活性水溶液(250ppm b.o.AA)、0.79部の10%過酸化ナトリウム活性水溶液(2500ppm活性b.o.AA)、7%の高吸収微粒子および約13.5kg/hの窒素流が連続的に注入された。反応機の供給区域には、0.84部の0.7%エリトルビン酸ナトリウム水溶液が連続的に添加された(それぞれ最終モノマー溶液を100部の基準とした)。さらに、70kg/hの水蒸気が反応機の底バルブから注入された。反応機の圧力を850mbarに減少させることで、反応機内部の重合反応が管理され、ピーク温度は85℃に管理された。蒸発した水は反応機上部の凝縮器で凝縮し、反応機の区域3のゲルへと向けられた。自由に流動する顆粒状のゲルは、反応機から保持タンクへと連続的に排出され、そこで約1時間の間、85℃で滞留し、放射状に配置している6mm幅の切れ目を有するダイプレートを通って切り刻まれ、170℃の温度を有する気流で20分間、ベルト乾燥機の上で乾燥された。乾燥後、150mmから800mmまでの粒子サイズを有する粒子状ポリマーを得るため、ポリマー層は圧延機のなかですり潰され、ふるいにかけられた。
【0159】
ポリマー16〜19の特性を表1eにまとめた。
【0160】
表1e:ポリマー16〜19の特性
【表1e】
【0161】
・ポリマー20〜22の調製
モノマー溶液は、混合物の温度が常に35℃未満になるように、1263.67部の99.9%活性アクリル酸および1993.66部の24%活性NaOH(結果的に、68%程の中和となる)を冷却のもとで丁寧に混練することによって調製された。この混合物に、236.91部の水と、18.94部の硫酸ナトリウムと、2.9部のHE-TMPTA(2300ppm b.o.AA)と、12.62部の60%PEG600活性溶液(6000ppm b.o.AA)と、グリセリン(ポリマー20に対して250mg/200ppm b.o.AA、ポリマー21に対して500ppm、およびポリマー22に対して1000ppm)が添加された。その後、126.2部のSAP微粒子(10% b.o.AA)および0.25部のVersenexTM80(10ppm b.o.AA)が添加された。
【0162】
混合物は22℃に保たれ、その間、開始剤溶液が調製され脱酸素された。これら開始剤溶液はその後、T字継手を介してモノマーフィードに供給された。重合反応機のヘッドスペースの雰囲気は200L/hの窒素流で連続的にパージすることによって不活性に保たれた。反応機ジャケットの温度は90℃に設定された。モノマー溶液は、この反応機に温度22℃、6.5kg/h(全反応機体積の2.1kg/L)の速度で連続的に供給され、これは気泡塔のなかで、20L/hの窒素流と、35%過酸化水素活性水溶液(350ppm 活性 b.o.AA)と、10%過硫酸ナトリウム活性水溶液(1700ppm 活性 b.o.AA)と、10%の炭酸ナトリウムと2%のNaOHと0.7%のエリトルビン酸ナトリウム活性水溶液(200ppm b.o.AA)を含む20%のスクラバー水と、を用いて脱酸素された。スクラバー水の炭酸塩が脱酸素を仕上げ、アスコルビン酸ナトリウムは最後、重合反応の迅速な開始を引き起こした。
【0163】
定常状態条件で、モノマーフィードは、反応機に存在するポリマーゲル(平均1.7kg)と少なくとも部分的に混合し、ポリマーゲルは、該開口部や末端板の排出管を通ってゲル容器へと連続的に排出された。排出されたゲルは窒素のもとでさらに60分間保持され、その後さらに加工される。
【0164】
60℃よりも高い温度を有する反応機から排出された顆粒状のゲルは、さらに8mmの開口部を有するダイプレートを備えているキッチン型の肉挽き器から押し出された。押し出されたゲルの一部800gはその後、2mmのメッシュサイズを有する金属製スクリーンからなるバスケットに入れられる。前記バスケットはラボサイズのゲル乾燥機に入れられ、20分間180℃の温度にて、5m/sの熱風のなかで乾燥された。得られた乾燥ポリマーは、圧延機のなかですり潰され、850μmおよび150μmの目開きを有する篩を備えたレッチェの篩過塔の中で篩過された。ポリマー20から22の特性を表1fにまとめた。
【0165】
表1f:ポリマー20〜22の特性
【表1f】
【0166】
3.連続作動する流動層乾燥機での熱処理
・比較例1:標準条件を用いての連続的FBDでのポリマー2の熱処理
ポリマー2は10か月の通常生成で生成され、8mの板面積と0.35mmの孔を有する微細孔板(Conidur板,101型,Hein&Lehmann,ドイツ)を備える略水平長手軸を持った流動層乾燥機で熱処理され、温度260℃の熱風によって270Paの圧力低下を与え、前記板は2つの区域に分割されており、空気加熱のための2つの熱交換機(各区域に1つずつ)と冷却室を備える。冷却室への堰は、高さ40cmの流動層を与えるように構成された。流動層乾燥機は、流動ガスとしての空気で作動した。生成物温度は、第1の区域において220℃に設定され、第2の区域において230℃に設定された。これらの温度に到達させるため、区域1のプレナムに空気が5650kg/hの供給速度(供給流)、温度260℃で供給され、また区域2のプレナムに空気が3350kg/hの供給速度(供給流)、温度235℃で供給された。周辺温度の空気は1450kg/hの速度で冷却室へと導入され、同量が周囲に排出された。ポリマー2は流動層乾燥機に1754kg/hの供給速度で供給された。加熱室での平均滞留時間40分の後、生成物は冷却室にて約50℃の温度まで冷却された。
【0167】
10か月間の生成期間において24件の生成物分解が、すべて流動層乾燥機の区域1にて発生したので、分解を食い止め、システムを洗浄し、茶色や黒色の分解した生成物粒子で汚れた生成物を分離するため、プラントは停止させた。これらの望ましくない停止によって、全生産量を基準として5%の生産能力、2.9%の生産量が低減する。
【0168】
・実施例1:本発明による連続的FBDでのポリマー2の熱処理
底板をより適切な型、例えば孔のサイズが0.3mmあり、260℃の温度を有する熱風で530Paの圧力低下を提供するような上記のCONIDUR(登録商標)微細孔シートの型:1〜8に交換し、流動層乾燥機の設計を最適化した後、比較例1に記載のFBDでの熱処理を、ポリマー2にさらに7か月続けた。その他の条件はそのままに保たれたが、区域1のプレナムに空気が5260kg/hの供給速度で供給され、260℃の温度にて0.35m/sの表面空気速度を供給し、また区域2のプレナムに空気が2240kg/hの供給速度、235℃の温度で供給された。7か月にわたる連続的な生産活動において、分解反応は観測されず、生産能力も生産量もどちらも減少しなかった。
【0169】
・実施例2:本発明による連続的FBDでのポリマー1の熱処理
実施例1に記載の条件の下でポリマー1を流動層乾燥機にて熱処理したが、ポリマーは流動層乾燥機に1050kg/hの供給速度で供給され、また第1の区域における生成物温度は205度に設定され、第2の区域では215℃に設定された。前記生成物温度へと到達させるため、区域1のプレナムに空気を5469kg/hの供給速度で246度の温度で送り、また区域2のプレナムへと3017kg/hの供給速度、235℃の温度で送った。加熱室における40分の平均滞留時間の後、生成物は冷却室にて約50℃の温度まで冷却された。流動層乾燥機の排出口にて代表サンプルが取られた。
【0170】
・実施例3:本発明による連続的FBDでのポリマー2の熱処理
実施例1の手順を繰り返したが、ポリマー2は流動層乾燥機に1050kg/hの供給速度で供給され、第1の区域において、生成物温度は230℃に調節され、また第2の区域は228℃に調節された。これらの温度を得るために区域1への空気は287℃まで加熱され、区域2への空気は232℃まで加熱される。生成物の加熱室における平均滞留時間は40分であった。得られた生成物の生成物特性は表2および3にまとめてある。
【0171】
表2:熱処理後におけるポリマー1およびポリマー2の特性
【表2】
【0172】
表3:熱処理後におけるポリマー1およびポリマー2の粒子サイズ分布
【表3】
【0173】
驚くべきことに、本発明の方法を利用することにより、望ましい吸収能力と、好ましいAAPに対するCRCの比率および可溶分成分に対するCRCとをそれぞれ有し、さらに残留モノマー量が小さい生成物を得ることが可能であることが、実験によって示されている。特に実施例3はさらに、優に200℃を超える高温ガス流の温度を使用し、昇温速度を上げることによる利点を示している。実施例2と比べて架橋剤濃度が僅かに減少したにも拘らず、高いCRC値およびAAP値が達成された。
【0174】
4.昇温速度の変化
実施例4および実施例5は、実験スケール、タイプCTL(Allgaier-Werke KG, ウーインゲン, ドイツ)のバッチ作動の流動層乾燥機にて実施され、該ドライヤーは底部側に20cmの径を有するConidur(登録商標)微細孔板を備える円錐状の流動化室と、ベンチレーターと、空気加熱器と、新気フィルターおよび排気フィルターとコントロールボックスとを備え、該フィルターは、必要に応じ、圧縮空気ブラストで脱じんすることができる。この乾燥機では気流が循環しない。
【0175】
バッチ作動する流動層乾燥機は、以下に示す温度(吸気温度)を有する5m/sの熱風によって予熱された。加熱器の生成物区域が所望の温度に達すると、熱処理されるポリマー粒子のサンプルが充填され、前記熱風によって昇温、流動化された。生成物サンプルが(230℃、等の)目標温度Tに達すると、流動化と熱処理が所望の熱処理時間、例えば追加の40分間続けられた。熱処理のとき、生成物が所望の熱処理温度±2℃に保持されるように吸気温度が調節された。該熱処理時間が経過すると、熱処理された生成物は金属トレイに排出され、常温まで冷却された。下記の例で与えられる熱処理時間は、生成物が目標温度に達してから、流動化が終わり冷却のために粒子が排出されるまでの時間範囲として定められる。
【0176】
・実施例4a〜4c:処理されるポリマー量による昇温速度の変化
異なる量のポリマー2(a:100g,b:500g,c:1,000g)が、項目4.1の下で述べられている熱処理の手順に従って40分間熱処理された。流動層乾燥機の生成物区域における温度を記録し、図4に図示した。実施例4a〜4cの結果を表4にまとめた。
【0177】
結果は、速い昇温速度が吸収能力にプラスの影響を与えていることを明示している。図4に示されているように、昇温速度は流動化室における粒子量と層の高さの変化に、それぞれ効果的に影響を受ける。
【0178】
表4:実施例4a〜4cで得られた結果
【表4】
【0179】
・実施例5a〜5c:吸気温度による昇温速度の変化
ポリマー2のサンプル(各500g)が、実施例4に記載の熱処理の手順に従って25分熱処理されたが、ただし吸気温度を表5に示す通りに変化させた。
【0180】
表5:実施例5a〜5cの結果
【表5】
【0181】
この結果においても、昇温温度が生成物の吸収能力に及ぼす影響が確認された。これらの実験が示すように、吸気温度は該速度を管理するためのもう一つの手段となる。
【0182】
5.乾燥したポリマー粒子の表面架橋
・5.1エチレンカーボネート(EC)水溶液による表面コーティング
乾燥され、すり潰されたSAPの一部1kg、が総体積6.1Lを有するプローシェアミキサ(Lodige)へと充填された。激しい攪拌のもと、31.6gの30%エチレンカーボネート水溶液(乾燥SAPを基準にして9500 ppm)が時間噴霧ノズルを用いて攪拌された生成物へと常温で噴霧された。添加剤や後架橋剤はこれ以上添加されなかった。添加が終わると、攪拌機の回転速度が減少し、湿潤した生成物は緩やかな攪拌のもとでさらに15分間保持された。
【0183】
・5.2 実験用小型流動層乾燥機での熱処理
実験用小型流動層乾燥機でサンプルが熱処理され、熱風銃(Bosch,ゲルリンゲン,ドイツ)によって熱風が与えられた。流動化室は円錐状に設計され、下部の径が35mm、上部の径が60mmあり、底板として100μmの金属スクリーンを有している。流動化室は開口部を有する蓋で覆われ、これは100μmの金属スクリーンで覆われた。2つの熱電対が温度測定のために取り付けられ、1つは熱風吸気温度を測定するために、底板よりも1cm下方にある熱風管の中に入り、もう1つは流動化した生成物の温度を測定するために、底板から3cm上方にある流動化室に入る。吸気温度と生成物温度は、何れも±約1℃の範囲内に管理可能であった。
【0184】
熱処理のため、流動層乾燥機は熱風を与えることによって所望の温度(230℃、等)に予熱された。流動化室の温度が前記温度に到達すると、(特に明記しない限り)50gの生成物サンプルが前記流動化室へと充填され、サンプルは適当な吸気温度を持つ熱風によって流動化された。第1の時間帯の間、粒子は所望の熱処理温度になるまで昇温された(昇温期)。当該粒子が所望の熱処理温度Tに達すると、実際の熱処理時間が開始し、吸気温度は所望の粒子温度Tを維持するように調節された。所望の温度での該熱処理条件は、特に明記しない限り20分間維持された。当該熱処理の時間最後に熱風銃は電源オフとなり、生成物が排出され、速やかに冷却するため板の上へ広げられた。
【0185】
・5.3 油槽で加熱された三角フラスコでのサンプル熱処理(油浴法)
熱処理は、磁気攪拌棒(60mmx10mm)を含む300mL三角フラスコのなかで行われ、フラスコは油槽で加熱された。全熱処理システムは同一の2つの構成要素からなり、各構成要素は、ポリマーサンプルをそれぞれのフラスコで加熱、攪拌するために、磁気攪拌棒を備えた油槽をそれぞれ備えていた。油槽と生成物の温度を望ましいように設定し管理する(±2℃)ため、温度管理システムが用いられた。通常、2つの油槽の温度は異なる。1つはポリマーサンプルの昇温に用いられ、もう1つは熱処理の際、サンプルを所望の温度Tに保つために用いられる。
【0186】
コーティングされた高吸収ポリマーの一部50gはフラスコへと充填され、その後、予熱された第1の油槽へと入れられた。緩やかに攪拌されている間、ポリマーは指示された温度まで昇温され、その後、直ちに油槽1から予熱されている油槽2へと移動し、ここで指示された温度Tで指示された時間の間、熱処理が行われた。その後、生成物がフラスコから取り出され、冷却のため板の上へと広げられた。
・実施例1
【0187】
ポリマー3のサンプルは項目5.1に記載のようにコーティングされ、項目5.2に記載の方法を応用して、180℃の粒子温度Tで熱処理された。使用したサンプルの量と適応された熱処理時間は、表6に与えてある。
【0188】
表6:実施例6aおよび実施例6bの条件と結果
【表6】
【0189】
結果は、表面後架橋することにより、塩素酸を含むポリマーを高品質のSAPの生成にうまく利用することが可能であることを示している。サンプルが多いとより長い昇温時間や熱処理時間が必要となる。よって比率CRC/AAP0.7Psiはわずかに劣る。
【0190】
・実施例2〜11
ポリマー4〜8のサンプル(各50g)は、上記の項目5.1に記載のようにコーティングされ、項目5.2に記載の方法を用いて熱処理された。詳細は表7にまとめてある。
【0191】
・比較例7〜11
実施例7〜11が繰り返されたが、ただし熱処理は項目5.3に記載の方法を用いて行われた。条件や結果は表8にまとめてある。ここで、省略文字ExおよびCEはそれぞれ、実施例(Example)および比較例(Comparative Example)を意味する。また実施例6〜11で得られたポリマーの平均パラメタ(表7にΦEx6−11と参照されている)は、それぞれ比較例の平均パラメタ(表7にΦCE6−11と参照)と比較して、それぞれ図示してある。
【0192】
表7:実施例6〜11および比較例6〜11における条件と結果
【表7】
【0193】
これらの結果は流動層乾燥機での熱処理の利点を明示している。流動層乾燥機において、(多価金属塩の添加がなくとも)飛躍的に改善したAAP0.7psi、PULおよびSFCの各値が得られた。
【0194】
・実施例12〜19
実施例6〜11に記載のコーティング手順が用いられたが、ただし表面架橋剤としてエチレングリコール(EG)またはグリセリン(Gly)を、表8に示してある濃度で用いた。これらの例において、ポリマー5が用いられた。
【0195】
・比較例12及び16
実施例12および実施例16の手順がそれぞれ繰り返されたが、熱処理は項目5.3に記載の方法を用いて行われた。実験の温度条件および結果が表8にまとめてある。
【0196】
表8:実施例12〜19と、比較例12および比較例16における条件および結果
【表8】
【0197】
これらのデータは、流動層での熱処理によって、高品質の生成物が(後)架橋剤が存在していても取得可能であることを示している。特に、流動層乾燥機を用いることによって、CRC、AAPまたは比率CRC/AAPに妥協することなく、優れたPUL値およびSFC値を得ることができることが見てとれる。
【0198】
・実施例20〜22
ポリマー7のサンプルが、上の実施例7−11に記載されているようにコーティングされ、熱処理されたが、ただしコーティング溶液はさらに乳酸アルミニウムを、ポリマーの乾燥重量を基準に濃度2,500ppm含んでいた。実験の温度および結果は表9にまとめてある。
【0199】
・比較例20
実施例20の手順が繰り返されたが、ただし項目5.3に記載の方法を用いて熱処理が施された。実験の温度および結果は表9にまとめてある。
【0200】
表9:実施例20〜22および比較例20の条件および結果
【表9】
【0201】
結果は依然として、流動層乾燥機を熱処理に用いることの利点を示している。特にPULとSFCの値が増加し、これはポリマーの透水性が向上していることを示している。これらのデータは、(高い吸気温度Tg1により与えられる)より高い昇温温度によって生成物の透水性が飛躍的に向上することも示している。
【0202】
上の実験結果は概して、流動層乾燥機を熱処理に用いることにより、アルミニウム塩類やシリカなどの表面改質添加剤が必須ではなくなることも示している。これはコストや工程の複雑さの観点から重要な点である。また、パドルドライヤーでの熱処理のため、熱処理の際のせん断力を低減させるための添加剤を必要としない。これらの添加剤を使用しないさらなる重要な利点は、再利用する気流を汚さないことである。
【0203】
6.すでに乾燥したポリマー粒子の表面湿潤
・実施例23〜34
【0204】
乾燥され、すり潰されたポリマー粒子の一部である1kgが、総体積6.1Lを有するプローシェアミキサ(Lodige)へと常温にて充填された。激しい攪拌のもと、30gの水が噴霧ノズルを用いて攪拌された生成物へと噴霧された。添加剤や後架橋剤は、これ以上生成物に添加されなかった。攪拌機の回転速度はその後減少し、湿潤した生成物は緩やかな攪拌のもとでさらに15分間保持された。
【0205】
サンプルはその後、項目5.2に記載されているように実験用小型流動層乾燥機で熱処理されたが、ただし20gの生成物サンプルが使用され、各サンプルは20分間熱処理された。採用した条件は表10に与えてある。比較例23〜29および比較例33、比較例34において、ポリマーの湿潤は施されなかった。
【0206】
表10:実施例23〜34および比較例23〜34で採用した条件
【表10】
【0207】
様々な実験から得られた生成物サンプルが分析され、その結果は表11a−11cに与えてある。
【0208】
表11a:実施例23〜34および比較例23〜34の結果
【表11a】
【0209】
これらの結果は、熱処理中にAAPとSFCを向上させるため、熱処理前にポリマー粒子を事前湿潤させることの驚くべき効果を示している。
【0210】
表11b:実施例25〜32および比較例25〜32の結果
【表11b】
【0211】
この結果もまた本発明の利点を示している。比較例23〜29の平均と実施例23〜32の平均とを比較すると、流動層乾燥機において、熱処理前に粒子表面を湿らすことによって、熱処理後のAAPはほぼ4g/g増加し、PULは21点増加し、SFCの値は倍にもなり(透水性を促進させる表面添加剤は一切含まない!)、その一方でCRCは実質一定のまま保たれる。
【0212】
180℃の熱処理温度は多くの場合、望ましい効果を有する生成物を与えないが、生成物の分解温度に近い、より高い温度が多くの場合に必要とされることを比較例30が示している。
【0213】
高い昇温速度を用いることの有益な効果は、実施例26および実施例30の結果を比較することで見てとれる。実施例26で用いたより高い吸気温度は、より高い昇温速度を提供し、AAP、PULおよびSFCの値の増加につながる。また、可溶分成分のレベルまでも下がる。
【0214】
表11c:実施例33〜34および比較例33〜34の結果
【表11c】
【0215】
実施例23および実施例24で用いたポリマーと同様に、実施例33および実施例34で採用されたポリマーは塩素酸を含む。実施例23および実施例24の結果と比較して、これらの例は少量のグリセリンの添加でも、熱処理されたポリマー粒子の可溶分成分濃度やSFCの値にプラスの影響を与えることを示している。
【0216】
7.少量のグリセリンを用いたネットワーク架橋
【0217】
・実施例35
100gのポリマー18が項目4に記載の方法を用いて、230℃で15分間熱処理された。
【0218】
・比較例35
500gのポリマー16が項目4に記載の方法を用いて、230℃で40分間熱処理された。
【0219】
・実施例36
500gのポリマー18が項目4に記載の方法を用いて、230℃で15分間熱処理された。
【0220】
・比較例36
比較例35が繰り返されたが、8m/sのガス速度を持つ熱風が用いられた。
【0221】
・実施例37
実施例35が繰り返されたが、8m/sのガス速度を持つ熱風が用いられた。
【0222】
・比較例37
500gのポリマー17が項目4に記載の方法を用いて230℃で20分間熱処理された。
【0223】
・実施例38
実施例38が繰り返されたが、500gのポリマーが用いられた。
【0224】
・比較例38
比較例35が繰り返されたが、8m/sのガス速度を持つ熱風が用いられた。
【0225】
実施例35〜38および比較例35〜38の結果が表12に示してある。
【0226】
表12:実施例35〜38および比較例35〜38の結果
【表12】
【0227】
・実施例39
ポリマー19が流動層乾燥機へと2400kg/hの速度で連続的に供給され、実施例1に記載の方法にしたがって、温度230℃、100mmの堰の高さで熱処理されたが、これは230℃で約10分から20分の滞留時間となる。得られたポリマー粒子は以下の特性を保有している:CRC28.3g/g、AUL0.9psi23.3g/g、ResAA282ppm,Extr6.5%。
【0228】
この実施例は、ネットワーク架橋材として少量のグリセリンを使用し、200℃を超える熱処理温度で速い昇温速度を使用することによって、本発明の連続的に作動する熱処理過程でも、高いAUL0.9psiを有する吸水性ポリマー粒子が取得可能であることを示している。該熱処理された生成物はさらに、ごくわずかな可溶分成分および残留モノマーしか含まない。
【0229】
・実施例40−46
塩素酸がなく、グリセリンを含む20gの量のポリマー20〜22が項目4に記載のように熱処理され、255℃の吸気ガス温度Tg1と230℃の粒子温度Tが、表13に示されている時間tの間、与えられた。
【0230】
表13:実施例40〜46で得られた結果
【表13】
【0231】
これらの結果と実施例35〜38(表12)における塩素酸を含んでいるポリマー16〜18のそれとを比べると、実施例40〜46では、CRC値は低いが、AAP0.7Psiは良い値が得られていることがわかる。また、多価金属イオン類、等の表面改質剤を添加することなく、良好ないし優れたPULおよびSFCの値を得ることができ、また熱処理されたグリセリンを含むポリマーの可溶分成分は低量とすることができる。
【0232】
さらに、ネットワーク架橋剤としてグリセリンを含むポリマーを用いれば、非常に短い滞留時間しか必要としない。
【0233】
・実施例47〜52
実施例40〜46が繰り返されたが、ただし熱処理を受けるすぐ前に、項目6に記載の方法に従って、ポリマー粒子の表面を3重量%の量の水を用いて湿らせた。結果は表14に示してある。
【0234】
表14:実施例47〜52で得られた結果
【表14】
【0235】
表15に提示されている結果からみてわかるように、熱処理前にポリマー粒子の表面を湿らせると、粒子の吸水性能が向上する。特にPUL値やSFC値によって示されるような、生成物透水性が飛躍的に向上する。
【0236】
・実施例53
ポリマー22のサンプルが項目5.1に記載の方法を用いて表面コーティングされた。50gのコーティングされたポリマー粒子は、190℃の吸気ガス温度Tg1と180℃の粒子温度Tを用いて項目4に記載のように20分間熱処理された。
【0237】
・比較例53
実施例53が繰り返されたが、ただし表面コーティングされたポリマー粒子の75gのサンプル量は項目5.3に記載通りに熱処理された。第1および第2の油槽中の温度はどちらも180℃に設定され、熱処理が69分間施された。
【0238】
実施例53および比較例53の結果は表15に示してある。
【0239】
表15:実施例53および比較例53で得られた結果
【表15】

3倍の熱処理時間を与えたとしても、本発明の方法を用いて得られる、PUL値やSFC値で示される優れた生成物の浸水性は、表面接触による熱処理で得ることはできない。

図1
図2
図3
図4