(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
体内に取り込まれた酸素の一部は、代謝過程において活性酸素と呼ばれる反応性が高い状態に変換されることがある。活性酸素は以下のような悪影響を人体に及ぼす。
【0003】
1.過酸化脂質の生成;水に不溶性の脂質(エステル型コレステロール、中性脂肪)は、血液中を、アポ蛋白を結合してリポ蛋白になって運搬される。リポ蛋白のうち低比重リポ蛋白(LDL)の90%が脂質であり、酸化後は最も多くの過酸化脂質を含むことになる。このようにして酸化LDLが形成されると、動脈硬化を来たす。
2.酵素活性の低下:酵素蛋白が酸化変性すると、酵素活性が低下し、細胞の機能が低下する。
3.動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の発症:酸化LDLは血管内皮細胞を障害し動脈硬化を起こし、血栓を作りやすい体質になる。
4.発癌:すべての活性酸素は核酸を障害する。細胞は、DNAが酸化され、障害を受けると癌化し、さらに、細胞死にいたる。
5.老化の促進
6.寿命の短縮
7.白内障
8.皮膚のシミ
9.アルツハイマー病
10.腎障害
11.レドックス制御:活性酸素は最終的にインスリン分泌抑制に作用し、糖尿病等の原因となる。
【0004】
一方、水素分子は人体に無害であり、還元性があるので、水素水は活性酸素消去に適していると考えられる。
【0005】
しかし、水の中の溶存分子状水素は不安定であり、速やかに水から揮散して溶存水素濃度が低下してしまう。
【0006】
水素分子を水に溶解させて水素水を製造する方法としては、水を電気分解して水素分子を生成する電解法または水素ガスを多孔質管を通して水中でバブリングし水素ガスを注入する水素ガス注入法が知られている。
【0007】
活性酸素を効率的に消去するためには、水素水の溶存水素濃度を高める必要がある。しかし、電解法または水素ガス溶解法にかかわらず、溶存水素濃度を上げることは困難である。
【0008】
一般的には、常温常圧の定常状態で水素水の溶存水素濃度は0.5ppm以下である。もちろん、過渡的にはより高い溶存水素濃度となる場合があるが、製造後1日後の準定常状態では水素水の溶存水素濃度は、0.5ppm以下である。
【0009】
水素分子と水素イオンを共存させて水素水を安定化および活性化する方法として特許文献1があるが、この特許文献1によっても、溶存水素濃度は0.8ppm程度である。
【0010】
溶存水素濃度が低くなる原因として、カソード極で生成した水素ガスの微細気泡が合体して水素ガスが揮散してしまうためと考えられる。
【0011】
図11における2室型電解槽3で発生した水素ガス微細気泡の合体の様子を説明する。
【0012】
水素ガスは電解槽でカソード電解により生成するが、電解槽はカソード極4を有するカソード室5とアノード極7を有するアノード室8がカチオン交換樹脂からなる隔膜6で仕切られた2室型電解槽3であり、生成した水素水は貯水タンク13に貯蔵される。カソード極で発生した水素ガスの微細気泡はマイナスに帯電しており、これらの帯電した水素ガスの微細気泡と、カソード電解により水中の溶存窒素ガスの還元により生成されたアンモニ
ウムイオンがコンプレックスを形成する。コンプレックスの表面電荷が低減して、コンプレックスを合体しやすくなり、水素ガスの微細気泡が合体してより大きな水素ガスの気泡となり、水素ガスが揮散して、溶存水素濃度が低下するものと思われる。
図12に水素ガスの微小気泡の合体とカチオン帯電体の効果を示した。
【0013】
なお、水素ガス注入法で多孔質管を通し水中に水素ガスを注入した場合、多孔質管の材質にもよるが、水素ガスが多孔質管を通過する際に摩擦により、水素ガス微細気泡の表面がマイナスに帯電する。不純物イオンが多い水中でマイナスに帯電した水素ガス微細気泡が生成すると、不純物のプラスイオンが水素ガス微細気泡の周囲に集まる。その結果、水素ガス微細気泡が容易に合体し、溶存水素濃度が低下する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、水素水を製造する装置において、
図1に示したように、水素注入手段または水素発生手段1の下流部にプラス電荷体を除去するプラス電荷体除去手段2を配置することを特徴とするものである。
【0023】
本発明において、プラス電荷体を除去するプラス電荷体除去手段とは、以下方法があげられる。アンモニウムイオン等のプラス荷電体を除去するためには、以下の方法があげられる。
【0024】
(1)有機物質であるカチオン交換樹脂を使用する。
(2)カチオンを吸着する無機物質であるゼオライトを使用する。
【0025】
本発明の水素水の原料となる水は、pHが9.5以下、8.6以下が好ましい。カソード電解による水素水はアルカリ性となる。飲料水として活用する場合、飲料水基準によりpHの範囲が5.5〜8.6の範囲である。このために、pH8.6以下が好ましい。清涼飲料水そのものでは、より酸性に領域が広がるが、pH3.5以上がのぞましい。またアルカリイオン整水器協議会では適したpHが9.5と定められている。pHが9.5を超えると、飲用に注意が必要になるので、好ましくない。これらの点での点でHが9.5以下、8.6以下が好ましい。
【0026】
本発明の水素水の原料となる水は、電導度が100μS/cm以下が好ましい。電導度が100μS/cmを超えると、原水中の不純物イオン濃度が大きくなる。不純物イオンの中にはアルカリ金属およびアルカリ土類金属イオンが含まれるので、カソード電解すると、カソード電解水である水素水のpHがより強いアルカリ性となる危険性が高まる。この点で好ましくない。
【0027】
水素発生手段としての電解槽の下流側にプラス荷電体除去手段を採用していない従来の水素水製造装置用いてカソード電解水である水素水における溶存水素濃度を測定した。電解槽に組み込んだ電極の大きさは6×5cm
2で電流を2.5Aとし、流量を0.4l/min.とした。そのときの溶存水素濃度を測定した。溶存水素濃度の測定には共栄電子研究所製KM2100DHを使用した。この水素濃度センサーは隔膜ポーラロ方式で、隔膜を透過した水素分子をポーラロ方式で測定した。その結果、溶存水素濃度は約0.6ppmであった。従って、本発明の水素水製造装置で得られる水素水は、溶存水素濃度が0.6ppm以上である。
【0028】
本発明の水素水製造装置で用いられる水素発生手段としては、電解槽を挙げることができる。
【0029】
また、本発明の水素水製造装置で用いられる水素注入手段としては、水素ガスを水中にバブリングして水素ガスを水に溶存させる水素ガス注入法が挙げられる。水素ガスは多孔質膜フィルターや多孔質管を介して微細気泡として供給し、水素ガスを水に溶存させる。
【0030】
本発明の水素水製造装置で用いられる水素発生手段として用いられる電解槽としては、水の電気分解によりカソード極より水素ガスが生成するものであれば、特に限定されない。
【0031】
図2に通常の2室型電解槽3の模式図を示す。2室型電解槽3はフッ素系カチオン交換膜からなる隔膜6により、カソード極4を納めたカソード室5とアノード極7を納めたアノード室8に分かれている。原料水はカソード分解され水素ガスが溶存した水素水が生成する。
【0032】
電解槽は、上述の通常の2室型電解槽に限定されるものではなく、
図3に示したようにフッ素系カチオン交換膜からなる隔膜6の両側に多孔性のカソード極4と多孔性のカソード極7を密着させた構造の2室型電解槽であってもよい。多孔性の電極とは、
図5に示したように電極板10に複数の貫通孔11を設けて、電極板に通水性を付与したものである。開口(貫通孔)は電極板の全体に対して通水抵抗をできるだけ平均化させるように設けられることがよく、一般的には電極板に均等に分布するように設けられる。開口の大きさ、電極板の全体に対する面積比率などは、必ずしも一律に決められるものではなく、装置に求められる電流密度、通水抵抗の性能などに応じて決められる。
【0033】
図3に示したような隔膜6の両面に多孔性の電極板を密着させた構造の2室型電解槽は、できる限り高純度の水を原水として電解することを目的としている。原水の純度が高くなると、原水の電導度が下がり、電解電圧が高くなり、電解が困難となる。高純度の原水を電解するためには、フッ素系のカチオン交換膜の利用が望ましい。この電解槽では、隔膜としてフッ素系カチオン交換膜を活用し、その両側にアノ−ド極とカソード極を密着する。フッ素系カチオン交換膜では、フッ素系分子骨格にイオン交換基−SO
3Hが結合している。フッ素系分子骨格雰囲気では、この−SO
3-とH
+が乖離しやすく、乖離したH
+がキャリアーとして作用する。
【0034】
2H
2O - 4e
- → O
2 + 4H
+ (4)
2H
2O + 2e
- → H
2 + 2OH
- (5)
【0035】
電解によるpHの変化も小さくなり、飲料水の場合、pHが5.5〜8.6に制限されているので、小さなpH変化はメリットとなる。
【0036】
また、
図4に示したように、フッ素系カチオン交換膜からなる隔膜6に多孔性のアノード極7を密着させ、多孔性のカソード極4と隔膜6が離間するように多孔性のカソード極4を設けたカソード室5にイオン交換樹脂9を充填した構造の2室型電解槽3であってもよい。
【0037】
イオン交換樹脂は、カチオンを補足するカチオン交換樹脂とアニオンを補足するアニオン交換樹脂がある。前述のようにカソード電解用の水には窒素分子が溶解している。このような水をカソード電解すると、アンモニ
ウムイオンのプラス荷電体の化合物が生成される。これらの補足するためにはカチオン交換樹脂が有効である。一般的にカチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂単独で使用すると、水のpHが酸性又はアルカリ性にシフトすることがあるので、水のpH変化を抑制するために、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した混床式を採用する場合が多い。
【0038】
高純度水を電解するには、
図4に示したようなカソード室5にイオン交換樹脂9を充填した構造の2室型電解槽1を用いることが好ましい。
【0039】
高純度水を電解する場合、フッ素系のカチオン交換膜の両側に多孔性(通水性)アノ−ド電極とカソード電極を接触させて通電すれば、容易に電解が可能となる。しかし、電解反応はフッ素系カチオン交換膜と電極の間で起こるので、水素ガスは多孔室カソード電極の孔をとうしてカソード電解水中に供給される。水素ガスは、生成直後微少な微粒子状であったが、多孔質カソード電極を通過するとき、微粒子が合体して大きな粒子となる。このような水素ガスは、空気中に揮散するので、溶存水素濃度は高くならない。
【0040】
本発明で使用する電解槽では、フッ素系カチオン交換膜とカソード電極の間にイオン交換樹脂を充填する。アノ−ド極で生成されたキャリアーである水素イオンがイオン交換ン樹脂を介してカソード極に到達し、電解が可能となる。この構造の電解槽を用いることにより、カソード電解水をカソード電極とフッ素系カチオン交換膜の間に通水することが可能となる。さらに、この結果、生成された微少な水素ガス微粒子が溶解したカソード電解水が電解槽から採水される。
【0041】
本発明の水素水製造装置において水素発生手段の電解槽として、アノ−ド室とカソード室の間にフッ素系カチオン交換膜製の隔膜で仕切られた中間室を設けた3室型電解槽を用いてもよい。
【0042】
3室型電解槽の構造を模式図で
図8に示す。3室型電解槽は、カソード室5とアノード室8がフッ素系カチオン交換からなる隔膜6で仕切られ、中間室14が形成されている。カソード室5と中間室12にはイオン交換樹脂が充填されている。
図8に示した3室型電解槽には以下の利点がある。カソード電解水のpHをコントロールしたいとき、中間室に有機酸等を添加することによりカソード電解水がアルカリ性にシフトすることを防ぐことが容易に可能となる。このように原水をコントロールせずに、中間室をコントロールすることによりカソード電解水をコントロールすることが可能となる。
【0043】
溶存水素濃度の高い水素水を製造する装置として、
図10に示すように、水素発生手段とプラス電荷体除去手段を一体化した電解槽としてもよい。本実施形態の電解槽は、カソード室5に、プラス電荷体除去手段としてのイオン交換樹脂9が充填された2室型電解槽であるが、カソード極4の全長はカソード室5の長手方向の長さより短くなっており、原料水流入側に配置されている。従って、カソード室下流部は、カソード極がなく、イオン交換樹脂が充填されている。このような構造の電解槽を用いることにより、カソード電解で生成したアンモニウムイオン等のプラス電荷体がカソード室下流部のイオン交換樹脂により吸着除去され、溶存水素濃度の高い水素水を製造することができる。プラス電荷体除去手段を一体化したことにより、溶存水素濃度が高い水素水の製造装置をコンパクトにできる。
【実施例1】
【0044】
図2、3および4に示す構造の2室型電解槽を用いて水素水を生成した。
図6に示すようなシステムフローを用いた。すなわち2室型電解槽3のカソード室5に原料水を供給してカソード極4でカソード分解し、カソード室5から流出した水素水をイオン交換樹脂カラム12に通液し、貯水タンク13に貯めた。
【0045】
カソード電極またはアノード電極は
図5に示すように多数の貫通孔を設けた透通水性の電極を使用した。電解槽の有効外形面積は5×6cm
2である。電解槽への原水として逆浸透膜フィルターで処理した電導度が8μS/cmの水を使用した。原水をカソード室に0.4l/minで供給した。電解電流として2〜4A/cm
2を通電した。電解槽の出口側に取り付けた4φ×15cmのイオン交換樹脂カラムには、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を混合した混床式カラムを用いた。イオン交換樹脂の比率は容積比で2:1とした。
【0046】
溶存水素濃度の測定には共栄電子研究所製KM2100DHを使用した。この水素濃度センサーは、隔膜を透過した水素分子をポーラロ方式で測定するものである。表1に溶存水素濃度の測定結果を示した。表1の結果から明らかなように、イオン交換樹脂カラムを電解槽の下流(出口側)に配置することにより溶存水素濃度が増加することが明らかとなった。
【0047】
【表1】
【実施例2】
【0048】
次に、電解により生成したアンモニ
ウムイオン等のカチオンを吸着する性能を有する天然ゼオライトを用いて、溶存水素濃度増加効果を確認した。4φ×15cm
3のカラムに天然ゼオライト微粒子を充填した。電解槽は
図8に示す3室型電解槽を用いた。システムフローを
図9に示す。
図9に示したように、3室型電解槽のカソード室5から流出する水素水はゼオライト充填カラム18によりプラス電荷体が除去され、貯水タンク13に貯蔵される。3室型電解槽では、フッ素系カチオン交換膜を隔膜として用いて、アノ−ド室8とカソード室5の間に中間室12を設ける。中間室12およびカソード室5にカチオン交換樹脂を充填して逆浸透膜フィルター処理をした水以上の高純度の処理水をカソード室5および中間室12に供給した。中間室12には、中間室液タンク19と中間室液循環ポンプ20により高純度の処理水を循環した。有効電解反応外形面積5×6cm
2のアノ−ド電極およびカソード電極は
図5に示すように多数の貫通孔を設けた多孔性の電極を用い、電解電流は2〜4A/cm
2とした。カソード室5には、逆浸透膜フィルター処理をした水を0.5l/minで供給した。中間室12にはアスコルビン酸水溶液(濃度1%)を充填して中間室12に循環した。実験結果を表2に示した。表2の結果から明らかなように、電解槽から流出した水素水をゼオライト充填カラムに通水することにより溶存水素濃度が増加した。このように本発明の効果が明らかとなった。
【0049】
【表2】
【実施例3】
【0050】
次に
図10に示すような、水素発生手段とプラス電荷体除去手段を一体化した電解槽を試験した。カソード極4の全長は、カソード室5の長手方向の長さよりみじかくし、原料水流入口側に設置してある。
図10に示す構造のイオン交換樹脂充填型電解槽において、5×6cm
2の多孔性の電極を使用した。電解槽の各室の内表面積は6×12cm
2である。カソード室5には、混床型イオン交換樹脂を充填した。原水として、逆浸透膜フィルター処理した水を用い、電解電流を2〜4A/cm
2Aとした。表3に溶存水素濃度の測定結果を示す。このように本発明の効果が明らかとなった。
【0051】
【表3】
【実施例4】
【0052】
水素注入手段として水素ガス注入法を用いて溶存水素濃度を測定した。
図7にシステムフロー図を示した。
図7に示すように、水素ガスボンベ15から圧力計17で圧力を測定しながら注入用の減圧弁16で注入圧をコントロールして水素ガス圧入フィルター18を介して水素ガスを供給した。逆浸透膜フィルター処理水を0.5l/minで供給した。水素ガス圧入フィルターとしてポリプレン製の精密ろ過膜を用いた。
【0053】
精密ろか膜は、平均径0.1μmの多孔質フィルター(6.4Φ×10.5cm
2)であり、注入圧力は0.2MPaとした。逆浸透膜フィルター処理水に水素ガスを注入した。表4に溶存水素濃度の増加結果を示す。このように本発明の効果が明らかとなった。
【0054】
【表4】
【実施例5】
【0055】
本発明の装置で製造した水素水の血圧降下作用を調べた。
【0056】
まず、水素水摂取前の最高血圧を測定した。
図2の2室型電解槽のみ利用し、イオン交換樹脂カラムを使用しないシステムを用いて製造した溶存水素濃度0.2ppmの水素水(水素水A)を3ヶ月間毎日1l摂取した後、最高血圧を測定した。ついで、
図3の電解槽とイオン交換樹脂カラムを組み込んだシステムを利用して生成した0.9ppmの水素水(水素水B)を3ヶ月毎日1l摂取した後最高血圧を測定した。その結果を表5にまとめる。表5からわかるように、溶存水素濃度が低い水素水Aを摂取したときより本発明の溶存水素濃度が高い水素水Bを摂取することにより血圧降下効果が大きくなることがわかる。
【0057】
【表5】
【実施例6】
【0058】
本発明の装置で製造した水素水の血糖値低下作用を調べた。
まず、水素水摂取前の血糖値を測定した。
図2の2室型電解槽のみ利用し、イオン交換樹脂カラムを使用しないシステムを用いて製造した溶存水素濃度0.2ppmの水素水(水素水A)を3ヶ月間毎日1l摂取した後、血糖値を測定した。ついで、
図3の電解槽とイオン交換樹脂カラムを組み込んだシステムを利用して生成した0.9ppmの水素水(水素水B)を3ヶ月毎日1l毎日摂取した後血糖値を測定した。その結果を表6にまとめる。表6から分かるように、本発明の装置で製造した溶存水素濃度が高い水素水を摂取することにより、血糖値がより低下することが分かる。
【0059】
【表6】
【実施例7】
【0060】
本発明の装置で製造した水素水を摂取してLDLコレステロールおよび中性脂肪がどのように変化するかを試験した。
【0061】
まず、水素水摂取前の血液のLDLコレステロールおよび中性脂肪値を測定した。
図2の電解槽のみ利用し、イオン交換樹脂カラムを使用しないシステムを用いて製造した溶存水素濃度0.2ppmの水素水(水素水A)を3ヶ月間毎日1l摂取した後、血液のLDLコレステロールおよび中性脂肪値を測定した。次のステップで、
図3の電解槽とイオン交換樹脂カラムを組み込んだシステムを利用して生成した溶存水素濃度0.9ppmの水素水(水素水B)を3ヶ月毎日1l毎日摂取した後血圧を測定した。その結果を表7にまとめる。表7からわかるように、溶存水素濃度が低い水素水Aを摂取したときより、本発明の溶存水素濃度が高い水素水Bを摂取することによりLDLコレステロールおよび中性脂肪値低下の効果が大きくなることがわかる。
【0062】
【表7】
【0063】
実施例8
株式会社フューチャーウェイブ製BCチェッカーを用いて、血管の柔軟性を調べた。BCチェッカーでは抹消血管の脈波を二次微分した波形を利用している。波形によりA〜Gまで類型化し、年代と波形との相関関係をまとめ、測定値から血管年齢を判定している。尚、BCチェッカー用の波形と年齢との相関関係を表8に示す。そして、水素水製造装置で生成した水素水(pH:5.5,ORP:−440mV,溶存水素濃度:0.2ppm)を毎日1〜2L飲用し、3カ月経過した場合の血管年齢をBCチェッカーで調べた。その後、この水素水製造装置に本発明のイオン交換樹脂カラムをつけて生成した水素水(pH:6.1、ORP:−510mV、溶存水素濃度:0.9ppm)を3ヶ月摂取した。その結果を表9に示す。血管若返りランクがよりよい方向に変化する。溶存水素濃度が0.6ppmに比較して、溶存水素濃度1.0ppmの方がランクの差が大きくなった。
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
表9に示した結果から、明らかなように、本発明を用いて生成した高濃度のB水素水を飲用することにより、より血管年齢が若返ることが分かる。