(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
熱切断加工をする加工装置として、プラズマ,ガス,あるいはレーザを用いた加工装置がある。例えば、レーザ加工装置の場合、レーザ光を照射する加工ヘッドとワークとを直交方向にそれぞれ移動させることで、ワークに対して二次元的な加工を施すようになっている。
そして、加工ヘッドの移動経路に対応した開口部を有するように設けられた一対のカッティングプレートと、加工ヘッドから照射されたレーザ光によりワークから切断された製品を排出するシュータと、を備えたものが知られており、一例が、パンチ・レーザ複合加工機として特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された加工装置において、一対のカッティングプレートはシュータに設けられており、そのシュータは、ヒンジを介して斜め下方へ傾斜する方向に開閉可能とされている。
カッティングプレートは、長尺の直方体状に形成されており、その一対を所定の間隔で離隔させることで開口部が形成されている。
そして、その開口部から、加工時の熱により生じたスラグ,スパッタ,粉塵等を、下方に配置されたスクラップボックスに落下させて回収するようになっている。
加工装置によっては、スラグをワークから良好に分離させると共にスパッタ及び粉塵の回収効率を高めるために、吸引装置によって開口部から下方のスクラップボックスへの空気吸引が行われる。
また、シュータは、傾斜した開状態となることで、テーブル上に排出口を形成し、製品を傾斜に沿って落下排出し、下方で待機する搬出経路へと導くようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の一対のカッティングプレートは、シュータの上面部において、開口部の幅が常に一定となるように設けられている。
従って、製品の形状やサイズによっては、製品を排出するためシュータを傾斜させた際に、その傾斜に沿ってシュータの上面を落下せずに開口部から落下し、下方に配置されたスクラップボックス内でスクラップや粉塵と混ざってしまう場合があった。
この場合、製品に傷や汚れが付着するばかりでなく、シュータに沿う正規の経路での製品排出を検出するセンサで製品が検出されないため、エラーとなって加工装置が停止してしまうという問題が生じる。
【0006】
また、加工において、ワークはクランパで保持されてテーブル上を移動するが、特にワークが薄い場合、その移動に伴ってワークの縁部が支えのない開口部内に入った際に自重で開口部内に垂れ下がる可能性がある。
そしてその状態のまま移動が継続すると、テーブル側の部材と垂れ下がったワークの縁部とが衝突してワークが変形したり、あるいはテーブル側の部材が破損する、という問題が生じる虞があった。
そのため、一対のカッティングプレートの対向間隔である開口部の幅を、ラック&ピニオン等の駆動機構を用いて拡縮調節できるようにした加工装置も提案されている。しかしながら、この調節は加工装置を停止させて行うものであるため生産効率の低下に繋がる可能性がある。
また、開口部は加工ヘッドの直線移動の経路に沿った長孔であるから、加工していない部分も開口して開口面積が大きくなっている。従って、上述の空気吸引を行う場合の吸引効率を向上させることが難しくなっており、改善が望まれている。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、製品を確実にシュータにより排出でき、ワークあるいは装置側部材の変形や破損を防止し、吸引効率を向上させることができる、熱切断加工装置及び熱切断加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成及び手順を有する。
1) 一軸方向に移動してワークに熱切断加工を施す加工ヘッドと、
前記加工ヘッドの移動に同期して前記加工ヘッドに対応した位置にのみ開口部を形成するカッティングプレート部と、
を備え、
前記カッティングプレート部は、
一方が他方に対して離接するよう前記一軸方向と交わる方向に移動可能とされた一対の単プレートが前記一軸方向に複数対並設されてなり、
前記開口部は
、前記一対の単プレート
の互いに離れ
る移動
でのみ形成され
、
前記カッティングプレート部における前記開口部以外の部分は閉口している熱切断加工装置である。
2)
前記カッティングプレート部は、
前記単プレートに対して前記加工ヘッドが通る平面とは反対側に配設された前記一軸方向に延びる目隠しパネルと、
前記単プレートを前記一軸方向と交わる方向に移動させる駆動部と、
を有し、
前記単プレートは、
前記駆動部に連結された基部と、
前記基部の上面に前記目隠しパネルと重なるよう取り付けられ、前記駆動部による移動に伴い前記目隠しパネルと上下方向の重なり具合を変化させてスライドするトップパネルと、
を有することを特徴とする1)に記載の熱切断加工装置である。
3)
一軸方向に移動してワークに熱切断加工を施す加工ヘッドと、
前記ワークを支持するテーブルと、
上面部が前記テーブルの一部となるよう前記テーブルに取り付けられたシュータと、
前記シュータの前記上面部に取り付けられ、前記加工ヘッドの移動に同期して前記加工ヘッドに対応した位置にのみ開口部を形成するカッティングプレート部と、
を備え、
前記シュータは、前記カッティングプレート部と共に前記テーブルに対し下方に回動して、前記ワークから熱切断加工により分離された製品を排出するための排出口を前記テーブルの一部に形成するよう構成されており、
前記カッティングプレート部は、一方が他方に対して離接するよう前記一軸方向と交わる方向に移動可能とされた一対の単プレートが前記一軸方向に複数対並設した構成とされており、
前記開口部を、少なくとも前記加工ヘッドに対応した位置の前記一対の単プレートが互いに離れるよう移動することで形成すると共に、前記シュータが回動する際に
、互いに離れるように移動していた前記一対の単プレート
を、前記開口部
を形成
しないよう移動させることを特徴とする熱切断加工装置である。
4) 一軸方向に移動
してワークに熱切断加工を施す加工ヘッドと、
前記ワークを支持するテーブルと、上面部が前記テーブルの一部となるよう前記テーブルに取り付けられたシュータと、前記シュータの前記上面部に取り付けられたカッティングプレート部と、を備えた熱切断加工装置によって前記ワークを熱切断する熱切断加工方法であって、
前記シュータは、前記カッティングプレート部と共に前記テーブルに対し下方に回動して、前記ワークから熱切断加工により分離された製品を排出するための排出口を前記テーブルの一部に形成するよう構成されており、
前記カッティングプレート部は、一方が他方に対して離接するよう前記一軸方向と交わる方向に移動可能とされた一対の単プレートが前記一軸方向に複数対並設されると共に、前記単プレート毎に前記単プレートを移動させる駆動部を備えており、
前記一軸方向における前記加工ヘッドの位置を検出する位置検出ステップと、
前記位置検出ステップで検出された前記加工ヘッドの位置に基づいて、前記ワークの切断部位に対応する位置にある前記一対の単プレートを選定する単プレート選定ステップと、
選定した前記一対の単プレートが互いに離隔した状態になるよう前記駆動部を動作させる単プレート離隔ステップと、
前記単プレート離隔ステップで互いに離隔した状態になるように移動していた前記一対の単プレートを、前記シュータが回動する際に開口部が形成されない閉状態に移動させる単プレート閉移動ステップと、
を含むことを特徴とする熱切断加工方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製品を確実にシュータから排出でき、ワークあるいは装置側部材の変形や破損を防止し、吸引効率を向上させることができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により
図1〜
図11を用いて説明する。
各図において、上下方向(Z軸方向),左右方向(X軸方向),及び前後方向(Y軸方向)は、基本的に
図1に示された方向で規定する。
【0012】
<実施例>
まず、
図1〜
図2を参照して、本発明の熱切断加工装置の実施例であるレーザ加工装置51の概略を説明する。
図1は、レーザ加工装置51の外観斜視図であり、
図2はその主な構成を説明するためのブロック図である。
【0013】
レーザ加工装置51は、ベース1と、ベース1により支持されたテーブル2と、ベース1からテーブル2の上方側に至り立設する支柱3と、テーブル2の上方において支柱3からY軸方向に延出したオーバーヘッドビーム4と、を有している。また、作業者が指示を入力するためのキーボードやタッチパネル等の入力手段を備えた入力部NRが備えられている。この入力部NRは外部に設けられていてもよい。
オーバーヘッドビーム4には、Y軸方向に延びるガイドレール5が取り付けられている。ガイドレール5には、キャリッジ6がY軸方向に移動可能に取り付けられている。キャリッジ6には、下方に向けてレーザ光を出射するヘッド部7が取り付けられている(以下、ヘッド部7は、レーザ光を鉛直下方に照射する例を説明する)。従って、ヘッド部7は、Y軸方向に移動可能とされている。
【0014】
キャリッジ6は、モータ等からなるヘッド駆動部HKDによって、ガイドレール5上をY軸方向に移動すると共に、Y軸方向の任意の位置で位置決めされるようになっている。ヘッド部7のY軸方向の位置は、センサ又はエンコーダ等によるヘッド位置検出部HIKにより検出され、ヘッド部位置情報JH1として制御部SGに供給される。
キャリッジ6の移動とヘッド部7のY軸方向における位置決め等の制御は、制御部SGによって行われる。制御部SGは、レーザ加工装置51に対し外部に設けられていてもよく、その場合、制御部SGとレーザ加工装置51との間は、有線又は無線で接続されて信号の授受が行われる。
尚、ヘッド部7のY軸方向の位置情報であるヘッド部位置情報JH1は、ヘッド位置検出部HIKにより取得するものに限らず、例えば、加工プログラムに含まれる、ヘッド部7の位置指令情報あるいは制御部SGにより行われるヘッド部7の位置決めのための位置決め制御情報、などに基づいて取得してもよい。
【0015】
テーブル2には、柔軟な樹脂繊維が束ねられてなるブラシBSが先端を上方として複数植設されたワーク支持部8が設けられている。
また、テーブル2の後部側には、X軸方向に延びるガイドレール9が設けられている。ガイドレール9にはX軸方向に移動可能に複数のクランパ10,10が取り付けられており、その移動はモータ等からなるクランパ駆動部KKDによって行われる。
クランパ10,10はワークWの縁部をクランプし、そのクランプ状態でワークWと共にX軸方向に移動する。この移動は制御部SGにより制御される。ワークWは、直接的にはブラシBSにより支持される。従って、クランパによる移動においてもワークWへの傷付きは高度に防止される。
このように、レーザ加工装置51は、クランパ駆動部KKDの動作によりワークWをX軸方向に移動させると共に、ヘッド駆動部HKDの動作によりヘッド部7をY軸方向に移動させるものであり、これにより、ワークWに対して二次元的な加工を施せるようになっている。
【0016】
ワーク支持部8は、中央部にシュータ部STが設けられている。また、シュータ部STには、ヘッド部7の移動経路に対応してカッティングプレート部CPが設けられている。また、シュータ部STの下方には、フレキシブルなダクト11と、集塵ボックス12を格納した吸引本体部13と、を有する吸引部KYが配設されている。ダクト11の開口側の形状は、描画が煩雑になるので
図1では省略されており、その詳細は後述する。
【0017】
次に、カッティングプレート部CPについて
図1〜
図6を参照して説明する。
図3(a),
図3(b)は、
図1におけるS1−S1位置でのシュータ部ST近傍の断面図であり、ワークWを支持していない状態が示されている。S1−S1位置は、ヘッド部7を通るX軸を含む面である。
図4は、
図3(a)及び
図3(b)に示されるカッティングプレート部CPの動作を説明するための、要部の斜視図である。
図5(a),
図5(b)は、カッティングプレート部CPの動作を説明するための平面図である。
図6は、カッティングプレート部CPの動作を説明するための部分斜視図であり、ワークWを支持していない状態で、ヘッド部7及び出射された際のレーザ光LSの光束が記載されている。
【0018】
カッティングプレート部CPは、X軸に直交してヘッド部7を通る平面7xjを境として、左側に配置された左プレート部PLと右側に配置された右プレート部PRとを有する。
さらに、左プレート部PL及び右プレート部PRは、Y軸方向にn個(n:2以上の整数)に分割された複数の単プレートPL1〜PLnと単プレートPR1〜PRnとをそれぞれ有して構成されている。
【0019】
ここで、
図1には、後部側を単プレートPL1,PR1とし、前部側をPL12,PR12としたn=12の例が記載されている。
また、
図3(a),
図3(b)には、PL5,PR5が示されており、
図4には左プレート部PLのn=1〜5の単プレートPL1〜PL5が示されている。
【0020】
X軸方向において対向する一対の単プレートPLk,PRk(ただし1≦k≦n)同士は、CP駆動部14により、水平面内にあってY軸に直交又は斜交にて交わる軸線方向に所定のストロークで移動する。詳しくは、一方が他方に対して離接するように移動する。以下、この移動はY軸に直交するX軸方向の移動として説明する。この移動は、一対の単プレートを同期して離接させるものでもよい。
CP駆動部14は、単プレートPLk,PRkそれぞれに対応して単プレートの数だけ備えられている。以下、単プレートPLk,PRkの対を駆動するCP駆動部14を、CP駆動部14−kとも称する。CP駆動部14−kは単プレートPLkと単プレートPRkとに対応して一対設けられている。
CP駆動部14は、例えばエア又は電動のシリンダである。各単プレートPLk,PRkは、シリンダのロッド14aの先端に連結されており、ロッド14aの伸縮動作に伴ってX軸方向に移動する。
【0021】
単プレートPLk,PRkの駆動(例えば同期駆動)において、所定のストロークの一方端である単プレートPLk,PRk同士が離隔した位置(以下、開位置とも称する。
図3(b)参照)で、両プレートPLk,PRk間に開口部15が形成される。
また、所定のストロークの他方端である単プレートPLk,PRk同士が接近した位置(以下、閉位置とも称する。
図3(a)参照)で、両プレートPLk,PRkは、当接あるいは近接した位置にある。この位置において、開口部15は実質的に形成されず、閉口状態となっている。
図4では、単プレートPL5が開位置にあり、単プレートPL1〜PL4が閉位置にある状態が示されている。
図5(a)では、単プレートPL6,PR6が開位置にあり、
図5(b)では、単プレートPL6,PL7,PR6,PR7が開位置にある状態が示されている。
図6では、単プレートPL5,PR5が開位置にあり、他の単プレートが閉位置にある状態が示されている。
【0022】
この単プレートPLkと単プレートPRkとの離接動作は、ヘッド部7のY軸方向の位置と対応づけられて制御部SGにより制御される。
具体的には、ヘッド位置検出部HIKがヘッド部7のY軸方向の位置を検出し、ヘッド部位置情報JH1として出力する。
制御部SGは、このヘッド部位置情報JH1に基づき、ヘッド部7により照射されるレーザ光LSによって加工されるワークWの加工部位を特定し、この加工部位に対応する位置にある一対の単プレートを選定する。
そして、選定した一対の単プレートが互いに離隔して開口部が形成されるようにCP駆動部14を制御する。
すなわち、ヘッド部7のY軸方向の位置に対応してCP駆動部14の動作を制御する。
実施例では、少なくともヘッド部7の直下に対応した一対の単プレートPLk,PRkが、CP駆動部14−kにより開位置とされて開口部15が形成され、ヘッド部7の直下から離れた位置にある単プレートは閉位置とされる。
【0023】
図5(b)に示されるように、ヘッド部7の直下のY軸方向の位置が、隣接する単プレートPLk,PRkと単プレートPLk+1,PRk+1の境界にある場合は、少なくとも隣接する二対の単プレートPLk,PRk,PLk+1,PRk+1がCP駆動部14−k,14−(k+1)により開位置とされ、開口部15が形成される。
これにより、ヘッド部7がY軸方向に移動すると、その移動に伴い、ヘッド部7の直下に対応した位置にある単プレートPLk,PRkの対が、順次開位置となり、開位置となった単プレートPLk,PRkは、ヘッド部7が直上位置から外れると閉位置となる。
従って、レーザ加工装置51のカッティングプレート部CPは、ワークWの加工位置に対応した部分のみが開口し、それ以外の部分は閉口している。
【0024】
次にシュータ部STについて、
図1,
図3,及び
図7を参照して説明する。
図7は、シュータ部STの動作を説明するための模式図である。
各図に示されるように、シュータ部STは、カッティングプレート部CPを上面側に有し、テーブル2におけるワーク支持部8の一部を占めるように備えられている。
【0025】
カッティングプレート部CPの左プレート部PL及び右プレート部PRは、それぞれ断面形状を概ね矩形とされてY軸方向に延びたベースフレーム16L,16Rを有している。ベースフレーム16Lとベースフレーム16Rとは一体化されており、Y軸方向に延びる回動軸線を有してテーブル2に設けられたヒンジ2aに連結され、
図7における矢印DR2のように回動可能とされている。
ベースフレーム16L,16Rの上面には、サポートフレーム17を介してブラシBSが植設されたワーク支持パネル18と、CP駆動部14とが取り付けられている。
ワーク支持パネル18に対して内側となる平面7xj側には、目隠しパネル19が取り付けられている。
ワーク支持パネル18及び目隠しパネル19は、各Y軸方向に延びる一部品として左右それぞれに配設されている。
【0026】
単プレートPLk,PRkは、それぞれ、ロッド14aに連結された基部20kと、基部20kの上面に取り付けられたトップパネル20a及びブラシBSが植設されたワーク支持パネル20bと、を有している。
トップパネル20aは、目隠しパネル19と常に上下方向に重なるように配置され、CP駆動部14の作動によるロッド14aの伸縮により、目隠しパネルとの重なり度合いを変化させてスライドする。
従って、カッティングプレート部CPは、単プレートPLk,PRkの開閉動作において、開口部15以外に開口が生じないようになっている。
【0027】
ベースフレーム16Lとベースフレーム16Rとの間には、ダクトガイド21が取り付けられている。
ダクトガイド21は、平面7xjを中心としヘッド部7による加工可能範囲に概ね対応してY軸方向に沿った長孔の枠として形成されている。ダクトガイド21のX軸方向の幅W21は、開口部15の開位置での幅W15よりも広く(W15<W21)設定されている。
【0028】
ベースフレーム16Lにおける右下端部には、Y軸方向に延びる回動軸線を有するヒンジ16aが設けられており、ヒンジ16aにはダクト11の先端部が連結されている。
ダクト11の先端のダクト口11aには、ダクトガイド21の端部が挿入されており、開口部15から落下したスラグ等を確実にダクト11内に誘導するようになっている。
ベースフレーム16Lにおけるヒンジ2aとは反対側の端部には、下方に配置されたシリンダ22のロッド22aの先端部が連結されている。シリンダ22の下方端は、X軸に平行な面内でのシリンダ22の回動を、所定角度範囲で許容するようにベース1側に支持されている。
ロッド22aはシリンダ22の作動により伸縮する。
図3は、ロッド22aが伸びた状態が示されている。
【0029】
この構成において、加工が終了しワークWから分離した製品Wsを正規のルートとなるシュータ部STの傾斜を利用して排出させる場合、制御部SGからの指示によりシリンダ22を作動させてロッド22aを縮ませる。
この縮み動作により、シュータ部STは、ヒンジ2aを中心として
図7における反時計回り(矢印DR2)に所定角度回動する。この回動に伴い、ダクト11のダクト口11a側がヒンジ16aを中心として時計回り(矢印DR3)に回動するようになっており、これによりダクト11とダクトガイド21との嵌合が解消され、シュータ部STの回動はスムースに行われる。
【0030】
シュータ部STの回動により、テーブル2のワーク支持部8の一部に排出口25が形成される。シュータ部STのワーク支持パネル18,20bに載置されていた排出すべき製品Wsは、排出口25内において、矢印DR4の方向にシュータ部STの傾斜した上面からすべり落ち、左下方に待機している排出誘導部23を介して外部に排出される。
製品Wsの排出が完了したら、シリンダ22を作動させてロッド22aを伸ばす。この伸び動作により、シュータ部STは元の位置まで回動し、この回動に伴いダクト11のダクト口11a内にダクトガイド21が入り込んで、元の状態に姿勢復帰される。制御部SGは、シュータ部STが回動する際に開口部15が全く形成されないよう各単プレートPLk,PRkを閉状態に移動させてもよい。
【0031】
レーザ加工装置51は、上述した構成により、製品Wsを排出するためにシュータ部STを傾斜させた際に、製品Wsが開口部15から落下してしまう可能性がほとんどない。
従って、製品Wsがスクラップボックス内に落下することに起因する傷及び汚れの付着や、正規の経路で排出が行われなかったことに起因する加工装置の停止、という問題はほぼ解消する。
また、ワークWの端辺の長さに対してカッティングプレート部CPにおいて開口している範囲長は一部となるので、ワークWの厚さに拘わらず、ワークWの移動に伴いその縁部が開口部15内に入り込んでしまうことはない。
従って、ワークWが変形したり、テーブル2側の部材が破損する、という問題は生じない。
また、単プレートPLk,PRkの離接動作による開口部15の開閉動作は、ヘッド部7のY軸方向の位置に応じて制御部SGにより自動的に行われるので、レーザ加工装置51を停止させる必要はない。
従って、生産効率は低下しない。
また、開口部15はヘッド部7の直動経路に沿った開口面積の大きい長孔ではなく、限定された小さい面積の孔となるので、空気吸引を行う場合の吸引効率が極めて高くなっている。
【0032】
<変形例>
単プレートPLk,PRkの離接動作(開閉動作)は、シリンダにより駆動されるものに限らず、周知の駆動手段を適用してよい。
例えば、
図8に示されるように(
図8では代表として左プレート部PLのみを図示)、各単プレートPLk,PRkの下面側にローラ41を設けると共に、互いに接近する方向に力Fで付勢するバネ等の付勢部材(図示せず)を設ける。さらに、ドグ駆動部(図示せず)によりヘッド部7の位置に同期してY軸方向に移動するドグ42を設け、ドグ42の移動において付勢されたローラ41が当接するように両者の位置を設定する。すなわち、ローラ41は、各単プレートPLk,PRkにおいてドグ42に当接する当接部とされる。
このドグ42の移動により、ローラ41を、単プレートPLk,PRkが互いに開位置と閉位置とになるよう付勢力に抗して選択的に移動させる。詳しくは、単プレートPLk,PRkは、ドグ42がローラ41に当接した状態で開位置となり、非当接の状態で閉位置となるように構成する。
【0033】
この変形例では、同時に開状態となる単プレートPLk,PRkの数が予め固定される。
従って、ワークWの加工内容や製品形状に応じて移動する単プレートPLk,PRkの数を変える場合や、メンテナンス等の都合により、ヘッド部7の位置とは関係なく例えばすべての単プレートを開状態とする場合にも対応可能となる単プレートPLk,PRk毎にCP駆動部14−kを備える構造の方が好ましい。
ドグ42を移動させる駆動力は、制御部SGがドグ駆動部を制御することで発揮される。もちろん、ドグ駆動部を備えずに、ベルト等を用い、ヘッド部7を駆動するヘッド駆動部HKDから支柱3を介して機械的に伝達するように構成してもよい。
【0034】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において更に別の変形例としてもよい。
【0035】
分割した単プレートPLk,PRkのY軸方向の幅は、
図9に示されるように、各単プレート同士同じでなくてもよい。
図9では、n=3,6の単プレートの幅が他よりも広くなっている例が示されている。これにより、Y軸方向において単プレートを必要以上に細幅としなくてよい部分がある加工内容の場合に、省電力等のコストメリットが得られる。
【0036】
また、単プレートPLk,PRkは、互いに対向する縁部の幅と位置が完全に一致するものでなくてもよい。例えば、
図10に模式的に示されるように、Y軸方向で互い違いになるようになっていてもよい。
一対の単プレートPLk,PRkは、少なくともY軸方向において重なって対向する範囲(例えばPL2とPR2における範囲t)が存在すればよい。
図10では、PL5,PL6,PR5が互いに離れる方向に移動して開口部15aが形成されている。この例でも明らかなように、開口部15,15aの開口形状は、必ずしも矩形に限定されるものではない。
【0037】
単プレートPLk,PRkの駆動にシリンダを用いる場合は、多段階ストロークのシリンダとして、開口部のX軸方向の幅を適宜選択できるようにしてもよい。
図11は、Y軸方向において、ヘッド部7から遠くなるに従って開口部15bの幅を狭くした例が示されている。具体的には、ヘッド部7がn=6の位置にあって、PL6,PR6が最大離隔位置にあり、PL5,PR5及びPL7,PR7がそれよりも開口幅が狭い離隔位置にあり、PL4,PR4及びPL8,PR8がさらに開口幅が狭い離隔位置にある例を示している。
これにより、開口部15の開口面積を、ワークWの加工内容や製品形状に応じてきめ細かく調整して最小化できるのでより望ましい。
また、ヘッド部7の進行方向とその逆の方向とで離隔幅を変えてもよく、これによりスラグ等の回収をよりきめ細かに良好に行うことができる。
本発明は、レーザ光で切断加工するものに限らず、例えばプラズマやガスなどによりワークを熱切断するものにも適用できるものである。