【実施例】
【0028】
次に、実施例にて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。従って、農薬活性成分、保護コロイド剤、増粘剤を前述した種々のものに置き換えて、以下の実施例と同様な方法で調製することにより、蓄圧式散布機からの散布飛距離が長く、面積の大きい水田に有効成分を均一に拡散させることができ、かつ薬剤が稲体へ付着しにくい水性懸濁農薬製剤とすることができる。
なお、実施例中の「部」とあるのは、すべて重量部を示す。
【0029】
また、ずり速度5000〜10000(1/s)における20℃の粘度は、レオメーター(RHEOSTRESS 6000(Thermo社製))を使用し、ずり速度を0から10000まで5分かけて上げていき、ずり速度38.4(1/s)、5000(1/s)および10000(1/s)の粘度を測定した。ずり速度38.4(1/s)は、本願発明におけるずり速度の範囲ではないが、B型粘度計でも測定可能なずり速度の範囲から、一般的なずり速度の対照として測定した。あわせて5000〜10000(1/s)のずり速度全域の粘度を確認した。
【0030】
[実施例1]
水89.80部にポリビニルアルコール1.00部、カスガマイシン原体4.00部を添加し、スリーワンモーター(HEIDON製)でよく攪拌し溶解する。その後、大豆油5.00部を添加しTKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて混合し、キサンタンガム0.20部を添加し、スリーワンモーター(HEIDON製)でよく攪拌して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は200mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は40mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は35mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0031】
[実施例2]
実施例1のポリビニルアルコール1.00部をアラビアガム2.00部、キサンタンガム0.20部を0.10部、水89.80部を88.90部とした以外は実施例1に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は220mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は38mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は37mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0032】
[実施例3]
実施例1のポリビニルアルコール1.00部をヒドロキシプロピルメチルセルロース1.50部、キサンタンガム0.20部をコロイド性含水ケイ酸アルミニウム0.30部とウエランガム0.10部、水89.80部を89.10部とした以外は実施例1に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は180mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は31mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は30mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0033】
[実施例4]
実施例1のポリビニルアルコール1.00部を5.00部、キサンタンガム0.20部を0.10部、水89.80部を85.90部とした以外は実施例1に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は190mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は42mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は40mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0034】
[実施例5]
実施例1のポリビニルアルコール1.00部を0.05部、水89.80部を90.75部とした以外は実施例1に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は275mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は38mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は35mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0035】
[実施例6]
水76.85部にポリビニルアルコール3.00部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌し溶解する。その後、MEP原体20.00部を添加しTKホモミキサーにて混合し、キサンタンガム0.15部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は280mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は40mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は38mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0036】
[実施例7]
実施例6のポリビニルアルコール3.00部をメチルセルロース0.10部、キサンタンガム0.15部をラムザンガム0.10部、水76.85部を79.80部とした以外は実施例6に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は350mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は49mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は46mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0037】
[実施例8]
実施例6のポリビニルアルコール3.00部を水溶性大豆多糖類3.00部、キサンタンガム0.15部を0.05部、水76.85部を76.90部とした以外は実施例6に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は250mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は45mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は41mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0038】
[実施例9]
水94.00部にヒドロキシエチルセルロース2.50部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌し溶解する。その後、シメトリン原体3.00部、コロイド性含水ケイ酸マグネシウム0.40部を添加しTKホモミキサーにて混合し、キサンタンガム0.10部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は220mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は35mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は32mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0039】
[実施例10]
水95.70部にポリビニルアルコール1.00部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌し溶解する。その後、シメトリン原体3.00部、結晶セルロース0.30部を添加しTKホモミキサーにて混合して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は380mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は48mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は45mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0040】
[実施例11]
水82.90部にアラビアガム7.00部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌し溶解する。その後、ブタクロール原体10.0部を添加しTKホモミキサーにて混合し、キサンタンガム0.10部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は300mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は43mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は41mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0041】
[実施例12]
実施例11のアラビアガム7.00部をポリビニルアルコール2.00部、キサンタンガム0.10部を0.15部、水82.90部を87.85部とした以外は実施例11に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は230mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は39mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は37mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0042】
[実施例13]
水70.80部にポリビニルアルコール1.00部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌し溶解する。その後、ピロキロン原体24.00部とエチレングリコール4.00部を添加しTKホモミキサーにて混合し、ラムザンガム0.20部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は180mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は33mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は31mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0043】
[実施例14]
実施例13のポリビニルアルコール1.00部をアラビアガム2.00部、ラムザンガム0.20部を0.15部、水70.80部を69.85部とした以外は実施例13に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は195mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は36mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は34mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0044】
[実施例15]
水73.85部にアラビアガム2.00部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌し溶解する。その後、ブプロフェジン原体20.00部とプロピレングリコール4.00部を添加しTKホモミキサーにて混合し、ウエランガム0.15部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は210mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は38mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は36mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0045】
[実施例16]
実施例15のアラビアガム2.00部をヒドロキシプロピルメチルセルロース1.50部、水73.85部を74.35部とした以外は実施例15に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は200mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は36mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は35mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0046】
[実施例17]
水81.35部にポリビニルアルコール1.50部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌し溶解する。その後、ブロモブチド原体17.00部を添加しTKホモミキサーにて混合し、結晶セルロース0.15部を添加し、スリーワンモーターでよく攪拌して、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は325mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は42mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は41mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0047】
[実施例18]
実施例17のポリビニルアルコール1.50部を水溶性大豆多糖類3.00部、結晶セルロース0.15部をラムザンガム0.10部、水81.35部を79.90部とした以外は実施例17に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は300mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は40mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は39mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0048】
[比較例1]
実施例1のポリビニルアルコール1.00部をポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル1.00部とした以外は実施例1に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は210mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は38mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は36mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0049】
[比較例2]
実施例1のキサンタンガム0.20部を0.30部、水89.80部を89.70部とした以外は実施例1に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は270mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は57mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は55mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0050】
[比較例3]
実施例2のアラビアガム2.00部を4.00部、水88.90部を86.90部とした以外は実施例2に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は250mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は78mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は64mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0051】
[比較例4]
実施例7のメチルセルロース0.10部をポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー5.00部、水79.80部を74.90部とした以外は実施例7に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は220mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は37mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は34mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0052】
[比較例5]
実施例6のポリビニルアルコール3.00部を5.00部、キサンタンガム0.15部を0.10部、水76.85部を74.90部とした以外は実施例6に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は320mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は75mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は71mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0053】
[比較例6]
実施例9のコロイド性含水ケイ酸マグネシウム0.40部を0.30部、キサンタンガム0.10部を0.20部とした以外は実施例9に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は220mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は61mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は57mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0054】
[比較例7]
実施例10のポリビニルアルコール1.00部をポリオキシエチレンアルキルエーテル0.50部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.50部、結晶セルロース0.30部を0.50部、水95.70部を95.50部とした以外は実施例10に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は280mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は60mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は55mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0055】
[比較例8]
実施例11のアラビアガム7.00部を15.00部、キサンタンガム0.10部を0.05部、水82.90部を74.90部とした以外は実施例11に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は400mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は80mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は75mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0056】
[比較例9]
実施例12のポリビニルアルコール2.00部を3.00部、キサンタンガム0.15部を結晶セルロース0.50部、水87.85部を86.50部とした以外は実施例12に準じて調製し、水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は330mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は72mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は65mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0057】
[比較例10]
実施例13のポリビニルアルコール1.00部を15.00部、水70.80部を56.80部とした以外は実施例13に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は450mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は73mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は71mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0058】
[比較例11]
実施例13のポリビニルアルコール1.00部を除き、エチレングリコール4.00部をPOEスチリルフェニルエーテル1.00部、水70.80部を74.80部とした以外は実施例13に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は250mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は41mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は40mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0059】
[比較例12]
実施例15のアラビアガム2.00部を0.01部、水73.85部を75.84部とした以外は実施例15に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は150mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は25mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は22mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0060】
[比較例13]
実施例15のアラビアガム2.00部を13.00部、水73.85部を62.85部とした以外は実施例15に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は1122mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は96mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は94mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0061】
[比較例14]
実施例17のポリビニルアルコール1.50部を除き、POEアルキルエーテル0.50部とドデシルベンゼンスルホン酸Na0.50部を添加し、水81.35部を81.85部とした以外は実施例17に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は285mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は42mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は40mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に5〜50mPa・sであった。
【0062】
[比較例15]
実施例17の結晶セルロース0.15部をラムザンガム1.00部、水80.00部を80.50部とした以外は実施例17に準じて調製し、本発明の水性懸濁農薬製剤を得た。得られた水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、ずり速度38.4(1/s)の時は875mPa・s、ずり速度5000(1/s)の時は87mPa・s、ずり速度10000(1/s)の時は85mPa・sであった。なお、レオメーターにてずり速度5000〜10000(1/s)にずり速度を上げて測定している間の水性懸濁農薬製剤の20℃の粘度は、常に50mPa・sより高かった。
【0063】
次に、試験例により、本発明の水性懸濁農薬製剤の有用性を示す。
<試験例1 散布飛距離確認試験>
直噴専用の径1.0mmの丸孔を有するノズル(ミスターオートHS−401X:工進社製)を取り付けた5リットル容の蓄圧式散布機(ミスターオートHS−503W:工進社製)の容器内に実施例に準じて調製した水性懸濁農薬製剤2リットルを入れ、蓋を閉めて、ピストンポンプを上下させることで加圧した。蓄圧式散布機内の圧力を0.05MPa、0.10MPa、0.30MPaの3条件で水性懸濁農薬製剤を散布し、それぞれの条件における散布飛距離を測定した。結果は、表1、2のとおりである。
なお、蓄圧式散布機内の圧力を0.05MPa、0.10MPaにピストンポンプを用いて加圧するのは容易であったが、0.10MPa以上に加圧するためにはピストンポンプを上下させるのにかなりの労力が必要である。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
<試験例2 水中拡散性試験>
水田に1.5m×15mの試験区を作り水深5cmとなるように水を入れた。その後、ピペットを用いて、実施例に準じて調製した水性懸濁農薬製剤11.25mlを高さ1m地点から
図1のA点に滴下した。24時間経過後、A〜I点から採水し農薬活性成分濃度を測定し、水中拡散性を確認した。なお、水中拡散性は、次式のとおり、容器内に農薬活性成分が均一に拡散した場合の理論水中濃度に対する割合で示した。
【0067】
【数1】
【0068】
水中拡散性は、各地点(A〜Iの地点)の値が100%に近いほど良好となる。結果は表1、2のとおりである。
【0069】
<試験例3 稲体への付着性試験>
1/5000アールのワグネルポットに水田土壌を充填し、水を加えて化学肥料を混入し代かきを行った後、2.5葉期の水稲苗をポットあたり2本移植した。試験は1処理区3ポット(合計6本)で実施し、水稲移植5日後に実施例に準じて調製した水性懸濁農薬製剤50μLを水稲の第2葉の葉身中央部に葉面より1cmの高さからマイクロシリンジにて滴下して、葉身に水性懸濁農薬製剤が付着した稲体数を調査した。稲体に水性懸濁農薬製剤が付着しやすい場合は、水田中に所定量の薬量が投下されにくいことになる。結果は表1、2のとおりである。
【0070】
表1、2の内容から明らかなように、実施例1〜18の水性懸濁農薬製剤の散布飛距離は、蓄圧式散布機内の圧力が0.05MPaの場合でも6〜8mとなり散布飛距離が長く、農薬活性成分の水中での拡散性も良好に維持され、付着性試験も良好な結果であった。一方、ずり速度5000または10000(1/s)における20℃の粘度が50mPa・sより高い比較例2、3および5〜10、13、15の製剤の場合は、散布機内の圧力が0.3MPaと高いときは散布距離が8mと比較的良好な比較例製剤もあったが、圧力が0.05MPaの場合は、これらの比較例製剤は散布飛距離が2〜4mと短かった。また、保護コロイド剤の製剤重量部が0.05〜10.0重量部の範囲にない比較例8、12、13の製剤の場合は、拡散性がやや劣る結果となり、保護コロイド剤を使用していない比較例1、4、7、11および14の場合は、稲体への付着性が高くなり(6株すべてに付着)、実施例1〜18とは顕著な差が認められた。