(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態の熱電変換装置100の一例の斜視図である。
図2は、
図1の熱電変換装置100の平面模式図であり、あわせて内部構成の一部を示している。
図3は、
図1の熱電変換装置100の側面模式図であり、あわせて内部構成の一部を示している。
図4は、
図2のA−A断面から矢印で示す方向に観察した熱電変換装置100を示す模式図である。
図5は、
図3のB−B断面から矢印で示す方向に観察した熱電変換装置100を示す模式図である。
図6は、
図3のC−C断面から矢印で示す方向に観察した熱電変換装置100を示す模式図である。
【0016】
まず、本実施形態の熱電変換装置100の概要を説明する。
【0017】
図2及び3に示すように、熱電変換装置100は、本体10と、容器30と、熱電変換素子1と、フィン20と、を有する。
【0018】
本体10は、内部に冷却部を有する。例えば、本体10は内部空間を有し、当該内部空間内には、外部温度よりも低温の冷却流体90が流動している(
図4参照)。容器30は、底部が本体10の外面に接するように取り付けられている。そして、容器30の天井部側には、フィン20が取り付けられている。熱電変換素子1は、容器30の中に、一端が容器30の天井部側に位置し、他端が容器30の底部側に位置する状態で収容されている。
【0019】
本実施形態の熱電変換装置100は、例えば高温(例:600℃以上900℃以下)の空間内に設置される。すると、フィン20は、外部空間から熱を吸収し、高温状態になる。このようなフィン20側に位置する容器30の天井部も、高温状態になる。一方、本体10の内部は、冷却部により、外部空間の温度(外部温度)よりも低温に維持されている。このような本体10の外面に接する容器30の底部は、低温状態になる。すなわち、容器30の天井部(高温状態)と、底部(低温状態)との間に温度差が生じる。
【0020】
このような容器30の中に、一端が容器30の天井部側に位置し、他端が容器30の底部側に位置する状態で収容されている熱電変換素子1は、一端が高温状態となり、他端が低温状態となる。すなわち、熱電変換素子1の両端に温度差が生じ、起電力が生じる。本実施形態の熱電変換装置100は、複数の熱電変換素子1を直列に接続し、大きな電力を取り出せるようになっている。
【0021】
次に、熱電変換装置100の各構成要素について詳細に説明する。
【0022】
まず、熱電変換素子1について説明する。熱電変換素子1(
図2参照)は、第1及び第2の端部に温度差を生じさせると起電力が生じる。熱電変換素子1は、容器30内に気密封止されている。本実施形態においては、熱電変換素子1の構成は特段制限されず、従来技術に準じたあらゆる構成とすることができる。以下、図面を用いて熱電変換素子1の一例を説明するが、これに限定されるものではない。
【0023】
図7は、容器30内に複数の熱電変換素子1が気密封止されている状態を示す断面模式図の一例である。また、
図8は、
図7に示す一点鎖線I−Iの断面から図中矢印で示す方向に観察した平面図である。なお、
図7及び8においては、熱電変換素子1を模式的に四角で示している。
【0024】
図9は、容器30内に1対の熱電変換素子1が気密封止されている状態を示す断面模式図の一例である。
【0025】
図9に示す構造体は、熱電変換素子1と、熱電変換素子1を気密封止した容器30と、熱電変換素子1の一端と容器30の天井部6の内面(容器30の内部空間側の面)との間に挿入された第1熱伝導性絶縁体3と、熱電変換素子1の他端と容器30の土台部5の内面(容器30の内部空間側の面)との間に挿入された第2熱伝導性絶縁体4と、を有している。第1熱伝導性絶縁体3は、熱電変換素子1の一端と容器30の天井部6の内面とに密着し、第2熱伝導性絶縁体4は、熱電変換素子1の他端と容器30の土台部5の内面とに密着している。
【0026】
熱電変換素子1は、p型熱電変換素子(p型熱電変換半導体)11と、n型熱電変換素子(n型熱電変換半導体)12と、を有している。熱電変換素子1は、更に、p型熱電変換素子11の一端とn型熱電変換素子12の一端とを相互に電気的に接続している第1電極13と、p型熱電変換素子11の他端に接続されている第2電極14と、n型熱電変換素子12の他端に接続されている第3電極15と、を有している。
【0027】
p型熱電変換素子11及びn型熱電変換素子12を構成する熱電変換材料としては、Bi
2Te
3系、PbTe系、GeTe−AgSbTe
2系、SiGe系、Fe
2Si系、Zn
4Sb
3系、B
4C系、スクッテルダイト構造及びフィルドスクッテルダイト構造を有するRE
xM
4Sb
12(REは第1族のアルカリ元素、第2族のアルカリ土類元素、第3族の希土類元素、第4族元素、第13族元素からなる群から選択された少なくとも一種類以上の元素であり、0<x≦1であり、MはFe、Co、Ni等のFe族から選択された少なくとも一種以上の元素である)系材料、(Ti、Zr、Hf)NiSnを代表とするハーフホイスラー系材料、Mg
2Siを代表とするシリサイド系材料、Ba
8Ga
16Sn
30を代表とするクラスレート系材料、酸化物系材料などが挙げられる。
【0028】
第1電極13は、例えば、鉄系、チタン系、銅系、アルミニウム系等の金属材料により構成することができる。第2及び第3電極14、15は、例えば、銅系、アルミニウム系、鉄系、チタン系等の金属材料により構成することができる。
【0029】
熱電変換素子1は、更に、p型熱電変換素子11と第1電極13との間に介装されている第1バリアメタル16と、n型熱電変換素子12と第1電極13との間に介装されている第2バリアメタル17と、を有している。これら第1及び第2バリアメタル16、17は、p型熱電変換素子11及びn型熱電変換素子12を構成する元素の拡散を抑制するためのものであり、例えば、それぞれFe合金、Ti合金等により構成することができる。
【0030】
第1熱伝導性絶縁体3は、例えば、Al
2O
3、AlN(アルミナイトライド)、Si
3N
4(窒化珪素)、SiC等のセラミック材料からなるセラミック材料板31と、このセラミック材料板31と第1電極13との間に介装されたカーボンシート32と、セラミック材料板31と容器30の天井部6の内面との間に介装されたカーボンシート33と、を有している。
【0031】
第2熱伝導性絶縁体4は、例えば、Al
2O
3、AlN、Si
3N
4、SiC等のセラミック材料からなるセラミック材料板41と、このセラミック材料板41と第2電極14との間に介装されたカーボンシート42と、セラミック材料板41と第3電極15との間に介装されたカーボンシート43と、セラミック材料板41と容器30の土台部5との間に介装されたカーボンシート44と、を有している。
【0032】
セラミック材料板31を構成する材料、例えば、Al
2O
3、AlN、Si
3N
4、SiCは、高い熱伝導性と、絶縁性とを兼ね備える。なお、セラミック材料板31の材料としては、Al
2O
3、AlN、Si
3N
4、SiC以外でも、高い熱伝導性と、絶縁性とを兼ね備えるその他の材料を用いることができる。第1及び第2熱伝導性絶縁体3、4のカーボンシート32、33、42、43、44は、熱的な接触を良好にさせるとともに緩衝材として機能する。
【0033】
次に、容器30について説明する。容器30は、土台部5と、天井部6とを有する。そして、
図7乃至9に示す容器30は、土台部5から略垂直に延伸した側壁部62を介して、土台部5と天井部6とが繋がっている。なお、側壁部62と土台部5及び天井部6各々とは、その他の角度で繋がっていてもよい。また、天井部6と土台部5とが直接繋がり、天井部6がゆるやかな曲面を有したドーム状になっていてもよい。本実施形態では、天井部6が加熱されて高温状態となり、土台部5の少なくとも一部が冷却されて低温状態となる。
【0034】
土台部5は、平坦に形成されている。土台部5は、例えば
図7乃至9に示すように、周縁部を構成する枠状体5bと、その中央部を構成する熱伝導体5aと、を有してもよい。
図7乃至9に示す土台部5は、枠状体5bの中央部が所定形状(例:円形)にくり抜かれている。そして、熱伝導体5aは、平面形状が当該所定形状と略一致し、枠状体5bの中央部に嵌入される。枠状体5bと熱伝導体5aは、それぞれ平坦、且つ、互いに同程度の厚みに形成され、互いの上面及び下面がそれぞれ面一となるのが好ましい。
【0035】
枠状体5bは、ステンレス、ニッケル、炭素鋼或いはその他の金属材料により構成することができる。熱伝導体5aは、枠状体5bよりも熱伝導性の高い材料(例えば銅、アルミニウム、カーボンなど)により構成されている。
【0036】
そして、熱伝導体5a上に、第2熱伝導性絶縁体4を介して熱電変換素子1が配置され、更に、熱電変換素子1上に第1熱伝導性絶縁体3が配置されている。また、枠状体5b上に、側壁部62(または天井部6)が配置されている。このような構成の場合、土台部5の中の熱伝導体5aが、冷却されることとなる。
【0037】
なお、土台部5は、枠状体5bを備えず、熱伝導体5aのみで構成することもできる。このような場合、熱伝導体5aからなる土台部5と、側壁部62(または天井部6)とは、伝熱を抑制する材料(断熱材など)を介して接続してもよい。このような構成の場合、土台部5の全部(熱伝導体5a)が冷却され、低温状態になる。
【0038】
天井部6及び側壁部62は、ステンレス、ニッケル、炭素鋼或いはその他の耐熱性金属材料からなる板材により一体形成することができる。板材の板厚は、0.2mm以上とすることができる。
【0039】
天井部6は平坦であってもよい。側壁部62は筒状であり、その平断面形状は天井部6の平面形状と同じ形状とすることができる。なお、側壁部62の端部は、例えばフランジ状に張り出したフランジ部63となっていてもよい。そして、フランジ部63が、土台部5の上面(例えば、枠状体5bの上面)に対して溶接(例えば、レーザー溶接、電子ビーム溶接等)により固定されることによって、熱電変換素子1が容器30内に気密封止されてもよい。
【0040】
ここで、
図7及び9に示すように、土台部5及び天井部6を平坦にするとともに、土台部5から略垂直に延伸した側壁部62を介して、土台部5と天井部6とを繋いでいる容器30においては、天井部6側を所定温度以上(例:400℃以上)に昇温した後で室温に戻した場合、土台部5と天井部6との距離L(
図9参照)が小さくなり(
図10に示すL
1)、天井部6の外面から土台部5までの距離L
2(
図10参照)よりもL
1が小さくなるように(好ましくは0.01mm以上小さくなるように)、容器30の形状等の因子が設定されていてもよい。すなわち、天井部6側を所定温度以上(例:400℃以上)に昇温した後で室温に戻すことにより、天井部6が昇温前よりもマイナスZ方向(
図9及び10における下方向)に変位するように、土台部5及び天井部6を構成してもよい。
【0041】
このような構成とすることにより、昇温時においても、熱電変換素子1と第1熱伝導性絶縁体3との密着、並びに、第1熱伝導性絶縁体3と容器30の天井部6との密着を維持でき、十分な熱電変換効率を確保することができる。
【0042】
また、天井部6及び側壁部62の板厚を0.2mm以上とした場合、十分に多くの腐食しろ(腐食しても品質に影響を与えない寸法マージン)及び酸化しろ(酸化しても品質に影響を与えない寸法マージン)を確保することができる。なお、天井部6及び側壁部62の板厚は、熱ロスを軽減する観点から、1mm以下であることが好ましい。
【0043】
側壁部62の立ち上がりの高さT(
図9参照)は、例えば、2mm以上とすることができる。ここで、高さTは、土台部5の内面から天井部の内面までの距離から、フランジ部63の厚さを差し引いた値である。
【0044】
また、天井部6の平面視における外形線の曲率半径は、該外形線の全域に亘って15mm以上とすることができる。具体的には、天井部6の平面視における外形線は、例えば、円形若しくはその一部分が円形の一部分を含む形状とされ、その曲率半径は1mm以上とすることができる。
【0045】
容器30内は、例えば、真空とされているか、或いは、使用温度で大気圧以下の圧力になるように不活性ガス(窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンのうちの少なくとも何れか1種のガス)が充填されている。
【0046】
なお、
図9に示すように、土台部5には、土台部5の表裏を貫通するように一対の絶縁体53が埋め込まれていてもよい。第2電極14には、第1リード51の一端が接続され、この第1リード51は、絶縁体53の内部を通して、容器30の外部に導出されている。同様に、第3電極15には、第2リード52の一端が接続され、この第2リード52は、絶縁体53の内部を通して、容器30の外部に導出されている。
【0047】
図7及び8に示す例においては、例えば
図9に示すような熱電変換素子1が容器30内でアレイ状に配置されるとともに、直列に接続されている。
図7及び8中の真空導入端子54は、
図9における第1リード51及び絶縁体53のアセンブリ、並びに、第2リード52及び絶縁体53のアセンブリに相当する。
図7及び8に示す例の場合、直列に接続された複数の熱電変換素子1の中の最前段の熱電変換素子1の第2電極14に、第1リード51の一端が接続される。また、直列に接続された複数の熱電変換素子1の中の最後段の熱電変換素子1の第3電極15に、第2リード52の一端が接続される。
【0048】
なお、容器30内に熱電変換素子1を収容する態様は、
図7乃至9に示す例に限定されず、熱電変換素子1の2つの端部の間に温度差を生じさせることが可能な態様であれば、その他の態様を採用することもできる。
【0049】
すなわち、本実施形態では、熱電変換素子1の第1の端部が、第2の端部よりも容器30の天井部6の近くに位置するとともに、熱電変換素子1の第2の端部が、第1の端部よりも容器30の土台部5の近くに位置する状態で熱電変換素子1を容器30内に収容すればよい。
図7乃至9と異なる例としては、
図9に示した第1熱伝導性絶縁体3及び第2熱伝導性絶縁体4を有さない構成とすることもできる。すなわち、土台部5と熱電変換素子1の一端とが直接接し、天井部6と熱電変換素子1の他端とが直接接してもよい。その他の例として、熱電変換素子1の一端が土台部5と直接接して固定され、熱電変換素子1の他端は天井部6の近辺に位置し、天井部6とは直接接しなくてもよい。しかし、熱電変換効率を高める観点から、
図7乃至9に示す態様が好ましい。
【0050】
次に、本体10について説明する。
図2及び3に示すように、本体10の外面には、1つ又は複数の容器30が取付けられる。容器30は、土台部5の外面が本体10の外面に接する状態で取付けられる。
【0051】
図示する例の場合、本体10の形状は直方体形状である。そして、長手方向に沿って複数の容器30が配列されている。すなわち、長手方向に沿って複数の熱電変換素子1が配列されている。また、本体10を挟んで対峙するように、本体10の対向する2つの面各々に、複数の容器30が取付けられている。すなわち、本体10を挟んで対峙するように、複数の熱電変換素子1が配列されている。
【0052】
本体10は例えば耐熱耐食性を有するステンレス等の板材で構成することができる。当該板材の厚さは、1mm以上10mm以下である。また、本体10の大きさは、熱源の空間寸法に応じ、制限なく自由に設定することができ、例えば、高さ50mm以上5000mm以下の範囲で任意の寸法とすることができる。また、本体10の形状を四角柱とする場合、縦50mm以上5000mm以下、横50mm以上5000mm以下、高さ50mm以上5000mm以下の範囲で任意の寸法とすることができる。
【0053】
本体10の内部には、本体10の外部温度よりも低温に維持されている冷却部が位置する。例えば、本体10の内部は空間となっており、当該内部空間内を、冷却流体90が流動していてもよい(
図4乃至6参照)。冷却流体90は、本体10の外部温度よりも低温、または、本体10の少なくとも一つの面よりも低温に維持されている。例えば、冷却流体90の温度は、0℃以上100℃以下に維持されていてもよい。冷却流体は、水などの液体であってもよいし、空気等の気体であってもよい。なお、内部空間に冷却流体90を流動させる手段は特段制限されず、例えば、内部空間と繋がる流入口21及び流出口22を設けておき、流入口21を介して内部空間に冷却流体を流入させるとともに、流出口22を介して内部空間から冷却流体を流出させることで、冷却流体を流動させてもよい。
【0054】
このような構成の本体10は、冷却部により冷却される。そして、本体10の外面と接する容器30の土台部5も冷却される。
【0055】
本体10の形状は、複数の容器30を配列できる面を有するとともに、内部に冷却部を位置させることができる形状であればよく、直方体形状のほか、立方体、三角柱、その他の多角柱などとすることができる。しかし、複数の容器30を配列できる面を2つ有し、これらの面が互いに平行に対峙している形状が好ましい(この理由は、以下で述べる。)。このような形状としては、四角柱のほか、四角柱を基に部分的に変形させた形状(互いに大きさの異なる2つの四角柱をくっつけた形状等)等が考えられる。
【0056】
なお、本体10は、本体10の周囲を覆うカバー18で保護されていてもよい。そして、本体10とカバー18との間には、断熱材19が位置してもよい。すなわち、本体10は、断熱材19で覆われていてもよい。なお、カバー18は、本体10の外面に取り付けられた容器30の天井部が露出するための開口を有する。断熱材19は、例えば、本体10の外面における容器30と接する領域を除くその他の領域の少なくとも一部を覆う。このような断熱材19により、本体10の内部に位置する冷却部が、外部空間の温度により加熱される不都合を軽減することができる。また、カバー18により、本体10の破損などを抑制することができる。
【0057】
カバー18は、例えばステンレス等耐熱耐食性を有する材料で構成することができる。また、断熱材19は、熱源の最高温度に耐えられる断熱材であって、例えば発泡スチロールなどのプラスチック系、ガラス繊維などの鉱物系で構成することができる。
【0058】
次に、フィン20について説明する。フィン20は、例えばステンレス等耐熱耐食性を有する材料で構成することができる。そして、フィン20は、一方向に延在することで表面積を大きくし、外部空間から熱を吸収し易くなっている。
図2に示すフィン20は、図中左右方向に延在している。
図3及び4に示すフィン20は、紙面に対して垂直な方向に延在している。フィン20は、図示するように、伝熱材40(伝熱材40については、以下で説明する)を介して、容器30の天井部の外面に取り付けられる。なお、伝熱材40を介さず、天井部の外面に直接フィン20を取り付けることもできる。
【0059】
そして、複数のフィン20は、延在する方向が平行になるように取り付けられる。例えば、図示するように、フィン20が延在する方向が本体10の長手方向と垂直に交わるように、フィン20が取り付けられてもよい。
【0060】
フィン20は、
図3に示すように、伝熱材40と接する底部、及び、当該底部から起立した2つの起立部を含む。2つの起立部は、底部から同一方向に起立しており、延在する方向から観察したフィン20の断面形状は、
図3に示すようにU字形状となる。
【0061】
なお、フィン20の底部と、伝熱材40との接触面積は大きいのが好ましい。このため、フィン20の底部の表面形状は、伝熱材40の表面の形状に合わせた形状とすることができる。例えば伝熱材40の表面形状が平坦である場合、フィン20の底部の表面形状も平坦とするのが好ましい。また、伝熱材40の表面が曲面を有する場合、フィン20の底部の表面も当該曲面と同様の曲面を有するのが好ましい。当然、伝熱材40の表面が凸部となっている場合、フィン20の底部の表面は凹部となる。
【0062】
このようなフィン20は、例えば、長手方向を有する板材を用意し、長手方向と平行な直線を回転軸として、平板の両端部を同一方向に折り曲げることで形成してもよい。折り曲げ方は特段制限されず、例えば、
図3に示すように、フィン20の底部と起立部の境界部が丸みを帯びていてもよいし、または、直角(不図示)になっていてもよい。また、折り曲げる量(角度)は特段制限されない。なお、フィン20の底部となる部品及び起立部となる部品を別々に用意し、従来技術を用いてこれらを接合することで、フィン20を形成してもよい。
【0063】
なお、フィン20の厚さは、2mm以上10mm以下とすることができる。
【0064】
伝熱材40は、容器30の天井部とフィン20との間に位置することができる。伝熱材40は、フィン20の熱を容器30に伝える。このような伝熱材40は、容器30と接触しているのが好ましい。このため、伝熱材40は、容器30に向かって付勢されている。このように構成することで、伝熱材40と容器30との接触を確保することができる。なお、容器30が伝熱材40に向かって付勢されていてもよい。または、フィン20が容器30に向かって付勢されており、結果、伝熱材40が容器30に向かって付勢されていてもよい。かかる場合、フィン20と伝熱材40との接触も確保できて好ましい。
【0065】
上述のような付勢を実現する構成は特段制限されず、従来技術に準じたあらゆる構成を採用することができる。一例として、容器30、伝熱材40、及び、フィン20は、接合用部品を用いて互いに付勢し合うよう一体接続されていてもよい。
図3及び6に示す例の場合、容器30、伝熱材40、及び、フィン20は、取り付けボルト及びナット50を用いて、互いに付勢し合うように一体接続されている。また、本体10の両端面各々に取り付けられた容器30、伝熱材40、及び、フィン20は、取り付けボルト及びナット50と、介在部材23とを用いて、互いに引き付け合うように接続されている。
【0066】
なお、伝熱材40は、例えば、耐熱耐食性を有するステンレス、耐熱鋼、耐熱合金、貴金属Ag、Au、Pd、Pt、Ir及びセラミックス等の材料で構成された板材、多孔質材料若しくは粉状材料とすることができる。
【0067】
ここで、伝熱材40の平面の大きさは、
図2に示すように、容器30の天井部の平面の大きさより小さいのが好ましい。そして、
図2に示すように、伝熱材40及び容器30を平面視で観察した場合、伝熱材40のすべてが、容器30の天井部と重なっているのが好ましい。なお、
図2に示すように、伝熱材40及び容器30を平面視で観察した場合、伝熱材40は、容器30の天井部の外縁と接していないのがさらに好ましい。以下、この理由を述べる。
【0068】
図9及び10を用いて説明したとおり、本実施形態の容器30は、天井部6側を所定温度以上(例:400℃以上)に昇温した後で室温に戻すことにより、天井部6が昇温前よりもマイナスZ方向(
図9及び10における下方向)に変位するように構成することができる。すなわち、加熱前は天井部6の外面が平坦であっても(
図9参照)、加熱後室温に戻すことにより、天井部6の外面は
図10に示すようにマイナスZ方向に変位し、曲面を有することとなる。
【0069】
本実施形態では、例えば取り付けボルト及びナット50等を用いて、伝熱材40を容器30に向かって付勢することで、伝熱材40と容器30の接触を確保する。
【0070】
ここで、伝熱材40の平面の大きさが容器30の天井部の平面の大きさよりも大きい場合(
図11(A))、及び、小さい場合(
図11(B))各々における、伝熱材40と容器30の接触を確保するために伝熱材40を曲げる量H
1及びH
2の違いを示す。図示するとおり、伝熱材40の平面の大きさが容器30の天井部の平面の大きさよりも大きいと(
図11(A))、小さい場合(
図11(B))に比べて、伝熱材40と容器30の接触を確保するために伝熱材40を曲げる量は大きくなる。
【0071】
なお、図示しないが、伝熱材40及び容器30を平面視で観察した場合に伝熱材40が容器30の天井部の外縁と接する場合、及び、接していない場合各々における、伝熱材40と容器30の接触を確保するために伝熱材40を曲げる量を比較すると、上記と同様の理由により、接する場合は、接しない場合に比べて、伝熱材40を曲げる量は大きくなる。
【0072】
伝熱材40を曲げる量が大きくなると、伝熱材40や、伝熱材40を容器30に向かって付勢する部品(取り付けボルト及びナット50等の接合用部品等)等に無理な力が加わり、故障の原因になってしまう。伝熱材40の平面の大きさ、及び、伝熱材40及び容器30を平面視で観察した場合の位置関係を上述のようにすることで、このような不都合を抑制できる。
【0073】
ここで、第1の容器30内に気密封止された熱電変換素子1と、第1の容器30とは異なる第2の容器30内に気密封止された熱電変換素子1とは、直列に接続されていてもよい。そして、第1の容器30内に気密封止された熱電変換素子1に繋がるリード線(第1リード51又は第2リード52、
図2参照)と、第2の容器30内に気密封止された熱電変換素子1に繋がるリード線(第1リード51又は第2リード52、
図2参照)とは、接続端子70、及び、接続端子70間を結ぶリード線60(
図3及び5参照)を介して接続されていてもよい。接続端子70は、本体10の外部空間に引き出されている。このため、リード線60と接続端子70の接続及び接続解除を容易に行うことができる。
【0074】
例えば、複数の容器30の中のある容器30内に気密封止された熱電変換素子1に不具合が発生した場合、リード線60及び接続端子70の接続関係を変更して、不具合が発生した熱電変換素子1を、直列接続の中から切り離すことができる。すなわち、ある熱電変換素子1に不具合が発生しても、比較的簡単な処置で、熱電変換装置100の使用を継続することができる。
【0075】
ここで、
図12乃至19に、熱電変換装置100の変形例を示す。
図12は、変形例の熱電変換装置100の斜視図である。
図13は、
図12の熱電変換装置100の平面模式図である。
図14及び15は、
図13と同じ方向から観察した熱電変換装置100の平面模式図であり、あわせて内部構成の一部を示している。
図16は、
図12の熱電変換装置100の側面模式図であり、あわせて内部構成の一部を示している。
図17は、
図16のB−B断面から矢印で示す方向に観察した熱電変換装置100を示す模式図である。
図18は、
図13のA−A断面から矢印で示す方向に観察した熱電変換装置100を示す模式図である。
図19は、
図16のC−C断面から矢印で示す方向に観察した熱電変換装置100を示す模式図である。
【0076】
当該変形例は、
図1乃至5を用いて説明した熱電変換装置100と比べて、1つの容器30の中に気密封止する熱電変換素子1の数が多い点で相違する。また、
図1乃至5を用いて説明した熱電変換装置100では、複数のフィン20の形状及び大きさが同一であったが、当該変形例では、形状及び大きさが異なる複数種類のフィン20を使用している点で相違する。当該変形例のその他の基本的な構成は、
図1乃至5を用いて説明した熱電変換装置と同様である。
【0077】
次に、本実施形態の熱電変換装置100の効果について説明する。なお、すでに述べた効果の説明は省略する。
【0078】
本実施形態の熱電変換装置100は、複数のフィン20の存在により、外部空間と接触する面積を大きくすることができる。結果、外部空間から効率的に熱を吸収することができる。
【0079】
また、延在する方向から観察した断面形状がU字形状となっているフィン20は、起立部がストッパーの役目を果たすため、延在する方向の長さが短くなる方向には折り曲がりにくい。このようなフィン20複数を、延在する方向が互いに平行になるように本体10に取り付けた本実施形態の熱電変換装置100の場合、本体10は、フィン20の延在する方向の長さが短くなる方向には折り曲がりにくくなる。すなわち、このような変形が抑制される。
【0080】
ここで、本実施形態の熱電変換装置100を、廃熱管内に設置して利用する形態を考えてみる。廃熱管は、ある場所で発生した廃熱を他の場所に移動させるための管であり、廃熱管内では、一定の方向に廃熱が流れている。
【0081】
図20は、このような廃熱管内に熱電変換装置100を設置した一例を示している。熱電変換装置100は、支持部材80により、廃熱管内に吊り下げられている。なお、廃熱管内の床面に載置することもできる。廃熱管内には、矢印Mで示す方向に廃熱が流れている。
【0082】
本実施形態の熱電変換装置100が備えるフィン20は、延在する方向(
図20中、左右方向)から観察した断面形状がU字形状であり、複数のフィン20は、延在する方向が平行になるように配列されている。そして、熱電変換装置100は、フィン20の延在する方向と、廃熱の流れ方向とが略平行になるように取り付けられている。このため、熱電変換装置100は、廃熱の流れを妨げることを抑制しつつ、廃熱とフィン20との接触を十分に確保し、十分な熱を吸収することができる。
【0083】
また、本実施形態の熱電変換装置100は、フィン20が延在する方向(
図20中、左右方向)と、本体10の長手方向(
図20中、上下方向)とが垂直に交わるように、本体10にフィン20を取り付けることができる。このため、例えば廃熱管が地面に平行に横方向に延在している場合、長手方向が地面に対して垂直になるように熱電変換装置100を吊り下げる(
図20参照)、または、床面に載置するという比較的簡単な設置手段により、フィン20の長手方向と廃熱管内の廃熱の流れ方向とが略平行になるように、熱電変換装置100を設置できる。すなわち、廃熱の流れを妨げることを抑制できる熱電変換装置100の設置を、比較的簡単に実現することができる。
【0084】
また、本実施形態の熱電変換装置100は、本体10の形状を互いに平行に対峙する2面を有する形状とし、この2面に複数のフィン20を取り付けることができる。すなわち、本体を挟んで対峙するように、複数のフィン20を取り付けることができる。かかる場合、上記説明した、廃熱の流れを妨げることを抑制できる効果を実現しつつ、より多数のフィン20により、効率的に熱を吸収することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1及び第2の端部に温度差を生じさせると起電力が生じる熱電変換素子と、
土台部及び天井部を有し、前記第1の端部は前記第2の端部よりも前記天井部の近くに位置し、前記第2の端部は前記第1の端部よりも前記土台部の近くに位置する状態で、1つ又は複数の前記熱電変換素子を気密封止した容器と、
外面に、前記土台部の外面が接する状態で1つ又は複数の前記容器が取り付けられた本体と、
一方向に延在し、当該延在する方向が互いに平行になるよう、前記容器の前記天井部の外面に取り付けられた複数のフィンと、
を有し、
前記一方向から観察した前記フィンの断面形状はU字形状である熱電変換装置。
2. 1に記載の熱電変換装置において、
前記本体の内部に、前記本体の外部温度よりも低温に維持される冷却部を有する熱電変換装置。
3. 2に記載の熱電変換装置において、
前記本体は内部空間を有し、前記本体の少なくとも一つの面よりも低温の冷却流体が、前記内部空間を流動している熱電変換装置。
4. 1から3のいずれかに記載の熱電変換装置において、
前記容器と前記フィンとの間に位置し、前記容器に向かって付勢されている伝熱材をさらに有する熱電変換装置。
5 4に記載の熱電変換装置において、
前記フィンは、前記容器に向かって付勢されている熱電変換装置。
6. 4または5に記載の熱電変換装置において、
前記容器は、前記伝熱材に向かって付勢されている熱電変換装置。
7 4から6のいずれかに記載の熱電変換装置において、
前記容器、前記伝熱材、及び、前記フィンは、接合用部品を用いて互いに付勢し合うよう一体接続されている熱電変換装置。
8 4から7のいずれかに記載の熱電変換装置において、
前記容器は、前記土台部から略垂直に延伸し、前記土台部と前記天井部とを繋ぐ側壁部をさらに有し、
前記伝熱材の平面は前記容器の前記天井部の平面より小さく、平面視で観察した場合、前記伝熱材のすべてが前記容器の前記天井部と重なっている熱電変換装置。
9 8に記載の熱電変換装置において、
平面視で観察した場合、前記伝熱材は、前記容器の前記天井部の外縁と接しない熱電変換装置。
10 1から9のいずれかに記載の熱電変換装置において、
前記本体は長手方向を有し、前記長手方向に沿って複数の熱電変換素子が配列されている熱電変換装置。
11 10に記載の熱電変換装置において、
前記熱電変換素子は、前記本体を挟んで対峙するように、複数の熱電変換素子が配列されている熱電変換装置。
12 10または11に記載の熱電変換装置において、
前記フィンが延在する前記一方向と、前記本体の前記長手方向とは垂直に交わる熱電変換装置。
13 1から12のいずれかに記載の熱電変換装置において、
第1の前記容器内に気密封止された前記熱電変換素子と、第2の前記容器内に気密封止された前記熱電変換素子とが、直列に接続されている熱電変換装置。
14 13に記載の熱電変換装置において、
第1の前記容器内に気密封止された前記熱電変換素子に繋がるリード線と、第2の前記容器内に気密封止された前記熱電変換素子に繋がるリード線とを接続している接続端子を有し、前記接続端子は前記本体の外部に引き出されている熱電変換装置。