【実施例】
【0032】
[緩衝特性評価試験とその結果]
[実施例1]
(座屈を開始する加速度の計測)
緩衝材の側面が座屈を開始する加速度を計測するため、JISZ0235の「包装用緩衝材料―評価試験方法」に準拠した緩衝特性評価試験を行った。緩衝材の作成には、段の数が30cmあたり約34段ある、JISZ1516に準拠したAフルートの段ボールを使用した。段ボールを、カッターで切り抜き、折り曲げて、
図2(a)及び
図2(b)のように形成し、X方向の長さ10cm、Y方向の長さ20cm、Z方向の長さ3cmのものを12個用意した。それらの側面の両端部に頂角60°の二等辺三角形の切り欠きを形成し、一方の切り欠きの頂部から他方の切り欠きの頂部まで距離L(
図4参照)を170mm、180mm、190mmとした緩衝材10を4個ずつ作成した。また、段ボールの水分率を約10%とした。緩衝材評価試験装置として神栄テクノロジー製ACST−200を使用した。
図6に示すように、試験装置100のテーブル101の上に収容物に見立てたブロック102を載せ、そのブロック102の上に緩衝材10を載せた。緩衝材10の上方92cmから、測定装置103に接続された加速度センサー104を備えた3kgのおもり105を自由落下させ、テーブル101が受ける衝撃加速度、すなわち緩衝材10の側面が座屈を開始する加速度を計測した。
【0033】
図7(a)は、この実験結果(頂部間の距離L−加速度)を示している。
図7(a)の第1の一次関数f1(L)に示すように、頂部間の距離Lと加速度は、概ね比例した。
【0034】
(座屈の最大変位量の計測)
緩衝材の側面における座屈の最大変位量を計測するため、JISZ0235の「包装用緩衝材料―評価試験方法」に準拠した緩衝特性評価試験を行った。緩衝材として、上記試験と同じものを同じ数、用意した。また、段ボールの水分率を10%とした。上記試験と同様の試験装置100を使用し、上記試験と同様の試験方法で、3kgのおもり103を自由落下させて、緩衝材10の側面の最大変位量を計測した。
【0035】
図7(b)は、この実験結果(頂部間の距離L−最大変位量)を示している。
図7(b)の第2の一次関数f2(L)に示すように、頂部間の距離Lと最大変位量とは、概ね比例した。
【0036】
[実施例2]
(座屈を開始する加速度の計測)
緩衝材10は、金型によって打ち抜かれた段ボールで形成されている以外は、実施例1と同様に形成されている。実施例1と同様の試験方法で、緩衝材10の側面が座屈を開始する加速度を計測した。尚、段ボールは、金型によって打ち抜かれると、圧縮されて一部がつぶれた状態となる。
【0037】
図8(a)は、この実験結果(頂部間の距離L−加速度)を示している。緩衝材10の側面が座屈を開始する加速度は、実施例1より小さかった。また、
図8(a)の第3の一次関数f3(L)に示すように、頂部間の距離Lと加速度は、概ね比例した。
【0038】
(座屈の最大変位量の計測)
緩衝材10は、金型によって打ち抜かれた段ボールで形成されている以外は、実施例1と同様に形成されている。実施例1と同様の試験方法で、緩衝材10の側面の最大変位量を計測した。
【0039】
図8(b)は、この実験結果(頂部間の距離L−加速度)を示している。緩衝材10の側面の最大変位量は、実施例1より大きかった。また、
図8(b)の第4の一次関数f4(L)に示すように、頂部間の距離Lと加速度は、概ね比例した。
【0040】
[実施例3]
(座屈を開始する加速度の計測)
緩衝材10は、段ボールの水分率が約15%である以外は、実施例2と同様に形成されている。実施例1と同様の試験方法で、緩衝材10の側面が座屈を開始する加速度を計測した。
【0041】
図9(a)は、この実験結果(頂部間の距離L−加速度)を示している。緩衝材10の側面が座屈を開始する加速度は、実施例2とほぼ同じであった。また、
図9(a)の第5の一次関数f5(L)に示すように、頂部間の距離Lと加速度は、概ね比例した。
【0042】
(座屈の最大変位量の計測)
緩衝材10は、段ボールの水分率が約15%である以外は、実施例2と同様に形成されている。実施例1と同様の試験方法で、緩衝材10の側面の最大変位量を計測した。
【0043】
図9(b)は、この実験結果(頂部間の距離L−
最大変位量)を示している。緩衝材10の側面の最大変位量は、実施例2より大きかった。また、
図9(b)の第6の一次関数f6(L)に示すように、頂部間の距離Lと
最大変位量は、概ね比例した。
【0044】
以上の試験結果に基づけば、以下のように適切な寸法の緩衝材を得ることができる。
【0045】
例えば、収容物のX方向の長さが100mm、Y方向の長さが200mm、収容物が破損するときの加速度を70Gとする。この場合、まず、緩衝材のX方向の長さを100mm、緩衝材のY方向の長さ、すなわち全長A(
図4参照)を200mmとする。そして、加速度が70Gの場合、
図7(a)の第1の一次関数f1(L)によれば、座屈が始まる頂部間の距離Lはおよそ182mmであるので、緩衝材の頂部間の距離Lを182mm以下、例えば180mmとする。これにより、収容物が70Gの加速度を受けても、収容物が破損する前に緩衝材が座屈して、収容物に伝わる力を減少させる。
【0046】
次に、頂部間の距離Lが180mmの場合、
図7(b)の第2の一次関数f2(L)によれば、最大変位量は約10.8mmである。この最大変位量の10.8mmに、収容物が破損しないように緩衝能力を残すため、予め設定された所定の係数を加える。これにより、緩衝材の高さHが求まる。
【0047】
以上のようにして、輸送試験を行うことなく、緩衝材の全長A、頂部間の距離L、及び緩衝材の高さHを求めることができる。また、段ボールの製造条件を考慮する場合は、
図8(a)及び
図8(b)の各一次関数を利用し、段ボールの水分率を考慮する場合は、
図9(a)及び
図9(b)の各一次関数を利用することで、適切な寸法の緩衝材を得ることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態の段ボール緩衝材10は、側面の両端部に、楔状の切り欠きを形成しているので、一方の切り欠きの頂部と他方の切り欠きの頂部とを結ぶ領域Sで確実に座屈させることができる。
【0049】
本実施の形態の段ボール緩衝材10は、側面の両端部に、楔状の切り欠きを形成しているので、側面が座屈を開始する加速度と、側面の最小幅とが比例することになり、輸送中の想定最大荷重がかかった場合でも、収容物に許容最大荷重以上の荷重がかからず、かつ、その場合に緩衝能力を残すことができる段ボール製緩衝材を提供することができる。
【0050】
頂部間の距離Lと、段ボール緩衝材10の座屈が始まる加速度は、概ね比例する。また、頂部間の距離Lと、段ボール緩衝材10の座屈の最大変位量は、概ね比例する。これにより、輸送試験を行わなくても、最小限の大きさで、収容物80の輸送中に通常加わると想定される最大の衝撃でも完全につぶれることはなく、収容物80が底付きせずに、緩衝力を残すことができる緩衝材を得ることができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上述した実施の形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。例えば、上述した実施の形態では、緩衝材10は、2つの四角筒の側面を当接させて構成されていたが、
図10に示すように、緩衝材100は、1つの四角筒で構成されていてもよい。
【0052】
上述した実施の形態では、切り欠き45は、頂角が60°であったが、これに限定されるものではない。切り欠き45は頂角を有していればよく、頂角は60°〜120°であってもよい。切り欠きが頂角を有していれば、切り欠きの頂角を挟む両辺は、直線でなくても構わない。その場合、頂角は、頂点における両辺の接線のなす角度である。本発明では、切り欠きの両辺が曲線、例えば円弧の場合も、楔状の範疇に含むものとする。
【0053】
また、上述した実施の形態では、最大変位量に収容物が破損しないように予め設定された所定の係数を加えたが、これに限定されるものではなく、最大変位量に所定の係数を乗じてもよい。
【0054】
尚、上述した実施の形態では、緩衝材10の第1の上面21及び第2の上面22を収容物80と当接する面としたが、これに限定されるものではなく、下面30を収容物80と当接する面としてもよい。