(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2制御部は、前記設定情報を受信した場合に、前記設定情報に基づいて、前記第1検体分析装置と同じ設定条件で、前記第2検体分析装置の動作設定を行うように構成されている、
請求項2に記載の検体分析システム。
前記第2制御部は、前記設定情報を受信した場合に、前記設定情報に基づいて、前記第1検体分析装置とは異なる設定条件で、前記第2検体分析装置の動作設定を行うように構成されている、
請求項2に記載の検体分析システム。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
(実施の形態1)
[検体分析システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析システムの全体構成を示す模式図である。本実施の形態に係る検体分析システム100は、第1検体分析装置1と、第2検体分析装置2とを備えている。この検体分析システム100は、病院又は検査センター等の1つの施設内に設置されている。
【0037】
第1検体分析装置1及び第2検体分析装置2は、同一の種類の検体分析装置である。即ち、第1検体分析装置1は、血液検体に含まれる血球を白血球、赤血球、血小板等を検出し、各血球を計数する多項目血球分析装置であり、第2検体分析装置2も、多項目血球分析装置である。
【0038】
第1検体分析装置1は、測定ユニット11と、測定ユニット11の前面側に配置された検体搬送ユニット12と、測定ユニット11及び検体搬送ユニット12を制御可能な情報処理ユニット13とを備えており、さらに第1検体分析装置1は、無線通信ユニット14を備えている。第2検体分析装置2は、無線通信ユニット24を備えている。無線通信ユニット14、24は、共通の無線通信規格IEEE802.11に準拠しており、相互に通信可能である。
【0039】
図2は、第1検体分析装置1の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、第1検体分析装置1は、複数の検体容器を保持した検体ラックを検体搬送ユニット12によって搬送し、測定ユニット11によって検体容器から検体を吸引し、当該検体を分析する。検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部により密封されている。検体容器Tの側面には、バーコードラベルが貼付されている。このバーコードラベルには、検体IDを示すバーコードが印刷されている。検体ラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。検体ラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、検体ラックLの側面には、バーコードラベルが貼付されている。このバーコードラベルには、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0040】
<第1検体分析装置の構成>
以下、第1検体分析装置1の構成について説明する。
【0041】
<測定ユニットの構成>
次に、測定ユニットの構成について説明する。
図2に示すように、測定ユニット11の前面には、検体容器Tを測定ユニット11の内部に取り込むための取込口と、検体ラックLから検体容器Tを測定ユニット11の内部に取り込み、検体吸引部による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器取込部11aとを有している。この検体容器取込部11aには、検体容器Tを設置可能な設置部11bが設けられている。後述するサンプラモードでは、検体搬送ユニット12によって搬送された検体容器Tが検体容器取込部11aによって自動的に測定ユニット11の内部に取り込まれ、検体測定が行われる。他方、マニュアルモードでは、検体容器取込部11aが取込口から前方へ移動し、オペレータが検体容器Tを設置部11bに設置し、測定ユニット11の前面に設けられた測定開始スイッチをオンすることにより、検体容器Tが測定ユニット11の内部に取り込まれ、検体測定が行われる。
【0042】
図3は、測定ユニット11の構成の一部を示すブロック図である。
図3に示すように、測定ユニット11は、検出部111と、電流計112と、漏水センサ113と、圧力センサ114と、試薬容器115と、気泡センサ116と、排液タンク117と、液量センサ118と、通信部119とを有している。検出部111は、WBC測定(白血球計数)及びDIFF測定(白血球分類)を行うことができる光学検出器として構成されている。この検出部111は、WBC(白血球)、NEUT(好中球)、LYMPH(リンパ球)、EO(好酸球)、BASO(好塩基球)、及びMONO(単球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。染色試薬と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定がこの検出部111により行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット13が解析処理することによりNEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が行われる。
【0043】
検出部111は、フローセルを有しており、当該フローセル中に送り込まれた測定試料に対して半導体レーザ光を照射し、このときに発生した前方散乱光、側方散乱光、及び側方蛍光を受光して、前方散乱光強度、側方散乱光強度、及び側方蛍光強度を検出するようになっている。このようにして得られた前方散乱光強度、側方散乱光強度、及び側方蛍光強度の各光学情報を含む測定データが、測定ユニット11から情報処理ユニット13へと送信され、情報処理ユニット13により解析される。
【0044】
電流計112は、検出部111が有する半導体レーザ照射部の出力電流を計測する。このレーザ出力電流の計測値は情報処理ユニット13に与えられ、レーザ出力電流値が所定値を越えた場合、レーザ出力異常が発生したと判断される。
【0045】
漏水センサ113は、測定ユニット11の内部の漏水を検出する。漏水センサ113が漏水を検出した場合、検出信号が情報処理ユニット13に与えられ、漏水異常が発生したと判断される。
【0046】
圧力センサ114は、測定ユニット11の内部の所定箇所における圧力を検出する。圧力センサが検出した圧力値のデータは情報処理ユニット13に与えられ、圧力値が正常範囲から逸脱する場合、圧力異常が発生したと判断される。
【0047】
試薬容器115には、検体測定に使用される試薬(染色試薬、溶血剤、希釈液等)が収容されている。かかる試薬容器115は、測定ユニット11の内部に設置され、前記検出部111に繋がる流体回路に接続される。試薬容器につながる試薬の流通ラインには気泡センサ116が取り付けられている。この気泡センサ116は、前記流通ラインにおける気泡を検出する。気泡センサ116が気泡を検出した場合、検出信号が情報処理ユニット13に与えられ、試薬容器115の試薬残量異常が発生したと判断される。
【0048】
排液タンク117は、検体の測定により生じた排液(使用済の検体と試薬との混合液等)を収容する。検出部111から排液タンク117へは排液の流通ラインが設けられており、検出部111によって生じた排液は排液タンク117へと排出される。
【0049】
液量センサ118は、排液タンク117内に設置されており、排液タンク117の液量を検出する。液量センサ118の検出信号は情報処理ユニット13に与えられ、液量が所定値を越えた場合、排液異常(排液満杯)が発生したと判断される。
【0050】
通信部119は、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等の入出力インタフェースにより構成されている。この通信部119は、電流計112、漏水センサ113、圧力センサ114、気泡センサ116、液量センサ118と接続されており、これらのセンサから出力された信号を受信するように構成されている。また、通信部119は、情報処理ユニット13に接続されており、情報処理ユニット13と測定ユニット11とが通信可能となっている。
【0051】
測定ユニット11の内部には、バーコード読取部11cが設けられている。バーコード読取部11cは、測定ユニット11の内部に取り込まれた検体容器Tの検体バーコードから検体IDが読み取られる。バーコード読取部12aは通信部119と接続されており、読み取られた検体IDは通信部119を通じて情報処理ユニット13へ与えられる。情報処理ユニット13は、検体IDをキーとして測定オーダを取得し、この測定オーダにおいて指定された項目の検体測定を行うよう、測定ユニット11が制御される。検体IDが読み取られた検体容器Tからは、測定ユニット11の内部において検体が吸引され、この検体が試薬と混合されて、検体測定が行われる。
【0052】
<検体搬送ユニットの構成>
次に、検体搬送ユニット12の構成について説明する。
図2に示すように、第1検体分析装置1の測定ユニット11の前方には、検体搬送ユニット12が配置されている。かかる検体搬送ユニット12は、測定ユニット11へ検体を供給するために、検体ラックLを搬送することが可能である。
【0053】
検体搬送ユニット12は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数の検体ラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部121と、測定ユニット11によって検体が吸引された検体容器Tを保持する複数の検体ラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部122と、検体を測定ユニット11に供給するために、検体ラックLを測定ユニット11の前を横切るように水平に直線移動させ、分析前ラック保持部121から受け付けた検体ラックLを分析後ラック保持部122へ搬送するラック搬送部123とを備えている。また、検体搬送ユニット12のラック搬送部123の近傍には、ラックバーコードからラックIDを読み取るためのバーコード読取部12aが設けられている(
図3参照)。このバーコード読取部12aは、測定ユニット11の通信部119に接続されており、読み取られたラックIDは通信部119を通じて情報処理ユニット13へ与えられる。サンプラモードにおいて、分析前ラック保持部121にセットされた検体ラックLは、ラック搬送部123により移動され、ラック搬送部123上の検体ラックLからラックバーコード読取部12aによりラックIDが読み取られる。読み取られたラックIDは、情報処理ユニット13に与えられる。ラック搬送部123の所定位置にある検体容器Tが、検体容器取込部11aにより測定ユニット11の内部に取り込まれ、検体の測定が行われる。検体が吸引された後の検体容器Tは、測定ユニット11から排出され、検体ラックLの元の位置に戻される。検体ラックLに保持された全ての検体容器から検体が吸引されると、検体ラックLは分析後ラック保持部121に移送される。
【0054】
<情報処理ユニットの構成>
次に、情報処理ユニット13の構成について説明する。情報処理ユニット13は、コンピュータにより構成されている。
図4は、情報処理ユニット13の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、コンピュータ13aは、本体31と、表示部132と、入力部133とを備えている。本体31は、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hを備えており、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hは、バス31jによって接続されている。
【0055】
CPU31aは、RAM31cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに測定ユニット11及び検体搬送ユニット12の制御用のコンピュータプログラム34aを当該CPU31aが実行することにより、コンピュータ13aが情報処理ユニット13として機能する。
【0056】
ROM31bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU31aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。RAM31cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM31cは、ハードディスク31dに記録されているコンピュータプログラム34aの読み出しに用いられる。また、CPU31aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU31aの作業領域として利用される。
【0057】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0058】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体34には、コンピュータを情報処理ユニット13として機能させるためのコンピュータプログラム34aが格納されており、コンピュータ13aが当該可搬型記録媒体34からコンピュータプログラム34aを読み出し、当該コンピュータプログラム34aをハードディスク31dにインストールすることが可能である。
【0059】
また、ハードディスク31dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム34aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0060】
ハードディスク31dには、試薬残量情報34b及び設定情報34cが記憶されている。
図5は、試薬残量情報34bの構成を示す模式図である。試薬残量情報34bとして、試薬の種類(希釈液、白血球分類用溶血剤、及び白血球分類用染色液)毎に、試薬の残量が記憶される。試薬の残量は、あと何回測定可能かを示す測定回数により表される。
【0061】
後述するように、第1検体分析装置1が検体分析に使用され、第2検体分析装置2が検体分析に使用されず、予備用とされる場合に、第1検体分析装置1に特定の異常が発生したときには、第2検体分析装置2が自動的に起動される。つまり、第1検体分析装置1に特定の異常が発生した場合には、第2検体分析装置2が起動されるが、第1検体分析装置1に前記特定の異常以外の異常が発生した場合には、第2検体分析装置2は起動されない。ハードディスク31dには、第2検体分析装置を起動する異常を規定するデータを格納する第1異常データベースDB1及び第2異常データベースDB2が設けられている。
【0062】
図6は、第1異常データベースDB1の構成を示す模式図であり、
図7は、第2異常データベースDB2の構成を示す模式図である。第1異常データベースDB1は、第2検体分析装置2を起動する異常を規定するためのデータベースである。当該第1異常データベースDB1には、復旧にサービスマンを呼ぶ必要のある異常を識別するための情報(エラーコード)が予め格納されている。例えば、レーザー出力異常及び漏水異常は、サービスマンを呼ぶ必要のある異常であり、これらのエラーコードが第1異常データベースDB1に登録されている。第1検体分析装置1に異常が発生した場合、第1異常データベースDB1が参照され、発生している異常のエラーコードが第1異常データベースDB1に登録されているエラーコードと一致した場合には、第2検体分析装置2が自動的に起動される。これは、この種の異常が発生したときには、復旧に比較的時間を要することから、第2検体分析装置2が起動することで検体処理が滞ることを可及的に抑制するためである。第1異常データベースDB1に登録されている異常は、ユーザによって設定変更することができない。
【0063】
第2異常データベースDB2は、ユーザによって設定変更が可能なデータベースである。当該第2異常データベースDB2には、ユーザのみで復旧が可能な異常を識別するための情報(エラーコード)を格納するためのフィールドと、第2検体分析装置2の起動に使用するか否かを示す情報(使用設定値)を格納するためのフィールドとが設けられている。対応する異常が発生した場合に第2検体分析装置2を起動させる場合には、使用設定値は“1”に設定され、対応する異常が発生した場合に第2検体分析装置2を起動させない場合には、使用設定値は“0”に設定される。使用設定値は、ユーザによって設定変更が可能である。例えば、圧力異常、試薬残量なし、及び廃液満杯の異常は、ユーザのみで対応可能な異常でありl、これらのエラーコードが第2異常データベースDB2に格納されている。また、
図7に示す例では、“圧力異常”及び“試薬残量なし”に対しては、使用設定値が“1”に設定され、“廃液満杯”に対しては、使用設定値が“0”に設定されている。第1検体分析装置1に異常が発生した場合、第2異常データベースDB2が参照され、発生している異常のエラーコードが第2異常データベースDB2に登録されているエラーコードと一致し、且つ、その使用設定値が“1”であるときには、第2検体分析装置2が自動的に起動される。他方、第1検体分析装置1に発生している異常のエラーコードが第2異常データベースDB2に登録されているエラーコードと一致し、且つ、その使用設定値が“0”であるときには、第2検体分析装置2は起動されない。この種の異常には、ユーザの施設により、復旧に比較的時間を要する異常と、復旧に比較的時間を要しない異常とがある。そこで、本実施の形態においては、第2異常データベースDB2に登録されている異常毎に、第2検体分析装置2を起動させか否かをユーザが自由に設定可能としている。
【0064】
入出力インタフェース31fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース31fには、キーボード及びマウスからなる入力部133が接続されており、オペレータが当該入力部133を使用することにより、コンピュータ13aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース31fは、測定ユニット11及び検体搬送ユニット12に接続されている。これにより、情報処理ユニット13は、測定ユニット11及び検体搬送ユニット12のそれぞれを制御可能となっている。
【0065】
また、入出力インタフェース31fは、無線通信ユニット14に接続されている。情報処理ユニット13は、この無線通信ユニット14を通じて、第2検体分析装置2にデータの送受信が可能である。
【0066】
通信インタフェース31gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース31gはLANを介して図示しないホストコンピュータに接続されている。コンピュータ13aは、通信インタフェース31gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信が可能である。
【0067】
画像出力インタフェース31hは、LCDまたはCRT等で構成された表示部132に接続されており、CPU31aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部132に出力するようになっている。表示部132は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0068】
<第2検体分析装置の構成>
以下、第2検体分析装置2の構成について説明する。
【0069】
第2検体分析装置2は、第1検体分析装置1と同じく多項目血球分析装置である。したがって、第2検体分析装置2は、第1検体分析装置1と共通する測定項目について検体分析が可能である。即ち、第2検体分析装置2は、NEUT、LYMPH、EO、BASO、MONO、及びWBCの測定が可能な構成となっている。
【0070】
第2検体分析装置2も、第1検体分析装置1と同じく、測定ユニット21、検体搬送ユニット、及び情報処理ユニット23を備えている。なお、第2検体分析装置2の測定ユニット21及び検体搬送ユニットの構成は、第1検体分析装置1の測定ユニット11及び検体搬送ユニット12の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0071】
図8は、第2検体分析装置2の情報処理ユニット23の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット23は、コンピュータにより構成されている。
図8に示すように、コンピュータ23aは、本体41と、表示部232と、入力部233とを備えている。本体41は、CPU41a、ROM41b、RAM41c、ハードディスク41d、読出装置41e、入出力インタフェース41f、通信インタフェース41g、及び画像出力インタフェース41hを備えており、CPU41a、ROM41b、RAM41c、ハードディスク41d、読出装置41e、入出力インタフェース41f、通信インタフェース41g、及び画像出力インタフェース41hは、バス41jによって接続されている。
【0072】
入出力インタフェース41fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース41fには、キーボード及びマウスからなる入力部233が接続されており、オペレータが当該入力部133を使用することにより、コンピュータ23aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース41fは、測定ユニット21及び検体搬送ユニット22に接続されている。これにより、情報処理ユニット13は、測定ユニット21及び検体搬送ユニット22のそれぞれを制御可能となっている。
【0073】
また、入出力インタフェース41fは、無線通信ユニット24に接続されている。情報処理ユニット23は、この無線通信ユニット24を通じて、第1検体分析装置1との間でデータの送受信が可能である。無線通信ユニット24は、所定の起動信号を受信することで、シャットダウン状態の第2検体分析装置2を起動することが可能である。ここで、シャットダウン状態とは、測定ユニット21、検体搬送ユニット22、及び情報処理ユニット23には電力が供給されていないが、入出力インタフェース41f及び無線通信ユニット24には電力が供給されている状態をいう。この状態では、無線通信ユニット24は起動信号を受信することができ、無線通信ユニット24が起動信号を受信した場合に、入出力インタフェース41fを介して、自動的に情報処理ユニット23が起動する。情報処理ユニット23が起動すると、これに応じて測定ユニット21及び検体搬送ユニット22も起動し、第2検体分析装置2全体が起動することとなる。即ち、シャットダウン状態は、第2検体分析装置2が起動信号の受信を待機する待機状態でもある。そして、起動信号が送信されると、待機状態から稼働状態へ第2検体分析装置2の状態が変更される。
【0074】
なお、情報処理ユニット23のその他の構成は、情報処理ユニット13の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0075】
[検体分析システムの動作]
次に、本実施の形態に係る検体分析システム100の動作について説明する。以下では、第1検体分析装置1を主に使用する検体分析装置(以下、「メイン機」という。)とし、第2検体分析装置2を予備の検体分析装置(以下、「サブ機」という。)とする場合について説明する。
【0076】
第1検体分析装置1により検体分析が行われる場合、第1検体分析装置1は動作モードが設定される。動作モードには、サンプラモードとマニュアルモードとがあり、オペレータが情報処理ユニット13の入力部133を操作することで設定される。
【0077】
サンプラモードが設定されている場合には、検体容器Tを保持した検体ラックLがオペレータによって検体搬送ユニット12の分析前ラック保持部121に載置される。分析前ラック保持部121に載置された検体ラックLは、検体搬送ユニット12によって自動搬送され、ラック搬送部123上を移送される。この途中で、バーコード読取部12aによって検体ラックLのラックバーコードからラックIDが読み取られ、その時点において検体分析を行っている検体容器が保持された検体ラックLのラックIDとして、情報処理ユニット13のRAM31cに格納される。
【0078】
ラック搬送部123にある検体ラックLからは、検体容器取込部11aにより測定ユニット11の内部に取り込まれる。このとき、検体容器Tが取り出された検体ラックLの保持位置の情報が、その時点において検体分析を行っている検体容器が保持された保持位置として、情報処理ユニット13のRAM31cに格納される。つまり、その時点において検体分析の対象である検体についてのラックID及び保持位置の情報が、RAM31cに記憶される。測定ユニット11の内部では、バーコード読取部11cが検体容器Tの検体バーコードから検体IDを読み取る。情報処理ユニット13のCPU31aは、ハードディスク31dに予め登録されているジョブリスト又は通信ネットワークを介して接続されたホストコンピュータから当該検体IDに対応するオーダ情報を取得する。
【0079】
オーダ情報が取得されると、検体容器Tから検体が吸引され、このオーダ情報において指定されている項目の検体測定が測定ユニット11によって行われる。検体の吸引が完了した検体容器Tは、測定ユニット11から排出され、検体ラックLの元の保持位置に戻される。検体測定においては、試薬と検体とが混合されて測定試料が調整され、測定試料が光学的又は電気的に測定される。測定によって得られた測定データ(生データ)は、情報処理ユニット13に与えられ、情報処理ユニット13のCPU31aが解析処理を行い、分析結果が得られる。得られた分析結果は、表示部132に表示される。
【0080】
上記のような検体測定が、検体ラックLの全ての検体容器Tについて行われる。検体ラックLに最後の検体容器Tが戻された後は、検体ラックLがラック搬送部123から分析後ラック保持部122に移送される。このような動作が、分析前ラック保持部121に載置されている全ての検体ラックLについて行われる。
【0081】
マニュアルモードが設定されている場合には、オペレータが検体容器Tの取込を指示する取込ボタン(測定ユニット11の前面に設けられたボタンスイッチ)を押下する。これにより、検体容器取込部11aが取込口から前方へ移動する。オペレータは検体容器Tを設置部11bに設置し、測定ユニット11の前面に設けられた測定開始スイッチをオンする。これにより、検体容器Tが測定ユニット11の内部に取り込まれる。
【0082】
検体容器Tが測定ユニット11の内部に取り込まれると、サンプルモードのときと同様に、検体IDの読み取り、オーダ情報の取得、検体の吸引、検体の測定が行われる。検体が吸引された検体容器Tは、検体容器取込部11aが取込口から前方へ移動することで、測定ユニット11の外部に排出される。オペレータは、検体容器取込部11aから検体容器Tを取り外し、次に測定する検体を収容した検体容器Tを検体容器取込部11aに設置し、測定開始スイッチをオンする。これにより次の検体容器Tが測定ユニット11の内部に取り込まれ、検体測定が行われる。
【0083】
第1検体分析装置1の情報処理ユニット13は、第1検体分析装置1の異常発生を監視する。
図9は、このときの第1検体分析装置1の情報処理ユニット13の動作の手順を示すフローチャートである。第1検体分析装置1の異常発生の監視は、電流計112,漏水センサ113,圧力センサ114,液量センサ118の出力信号をCPU31aが監視することにより行われる。CPU31aは、エラーが検出されたか否かを判別し(ステップS101)、エラーが検出されない場合には(ステップS101においてNO)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0084】
他方、ステップS101においてエラーが検出された場合には(ステップS101においてYES)、CPU31aは、第1異常データベースDB1及び第2異常データベースDB2を参照し、検出された異常がサブ機である第2検体分析装置2を起動する異常であるか否かを判別する(ステップS102)。検出された異常がサブ機起動用の異常でない場合には(ステップS102においてNO)、CPU31aは、処理を終了する。
【0085】
検出された異常がサブ機起動用の異常に該当する場合には(ステップS102においてYES)、CPU31aは、サブ機を起動するための起動信号を無線通信ユニット14に送信させる(ステップS103)。その後、CPU31aは、サブ機である第2検体分析装置2に対して、起動したことを確認するための起動確認データを無線通信ユニット14に送信させる(ステップS104)。起動確認データの送信後、CPU31aは第2検体分析装置2から応答データを受信したか否かを判別し(ステップS105)、応答データを受信しない場合には(ステップS105においてNO)、起動信号を送信してから所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106において、起動信号を送信してから所定時間が経過していない場合には(ステップS106においてNO)、CPU31aは、ステップS104に処理を戻し、再度起動確認データを無線通信ユニット14に送信させる。
【0086】
ここで、サブ機である第2検体分析装置2の動作を説明する。
図10は、第2検体分析装置2の情報処理ユニット23の動作の手順を示すフローチャートである。無線通信ユニット24が起動信号を受信すると(ステップS201)、入出力インタフェース41fを介して、CPU41aにより起動処理が実行される(ステップS202)。この起動処理により、測定ユニット21、検体搬送ユニット22、及び情報処理ユニット23が起動する。起動処理が終了すると、無線通信ユニット24により起動確認データが受信され、CPU41aに与えられる(ステップS203)。起動確認データを受信すると、CPU41aは、起動確認データに対するACK信号である応答データを無線通信ユニット24に送信させる(ステップS204)。
【0087】
メイン機である第1検体分析装置1の動作の説明に戻る。サブ機から応答データを無線通信ユニット24が受信した場合には、この応答データがCPU31aに与えられる(ステップS105においてYES)。この場合、CPU31aは、サブ機の設定に使用される設定情報を、無線通信ユニット14に送信させる(ステップS108)。
【0088】
設定情報には、モード設定を指示する設定情報と、オーダ登録を指示する設定情報とが含まれる場合と、モード設定を指示する設定情報のみが含まれる場合とがある。
図11は、設定情報を説明するための図である。モード設定を指示する設定情報(以下、「モード設定情報」という。)は、モード設定指示識別子“SU”から始まる。このモード設定指示識別子の後に、データの区切りを示す符号“¥”が続き、さらにモード情報が続く。モード情報は、サブ機に設定するモードを示す情報であり、サンプラモードの場合には“Sampler”、マニュアルモードの場合には“Manual”である。
【0089】
モード設定情報がサブ機にサンプラモードの設定を指示する情報である場合、設定情報には、オーダ登録を指示する設定情報(以下、「オーダ登録情報」という。)が含まれる。このオーダ登録情報は、オーダ登録指示識別子“JR”から始まる。このオーダ登録指示識別子の後に、データ区切り符号“¥”が続き、さらにラックID、検体容器の位置、検体ID、患者ID、測定項目及びそのオーダ有無の各情報が続く。各情報の間には、データ区切り符号“¥”が挿入される。
図11に示すオーダ登録情報の例では、ラックIDが“10001”、検体容器の位置が“01”、検体IDが“20111124 101 Sampler001”、患者IDが“Patient ID000001”測定項目が“WBC”、そのオーダ有無が“1”、次の測定項目が“HGB”、そのオーダ有無が“1”、次の測定項目が“HCT”、そのオーダ有無が“0”…となっている。
【0090】
上記のオーダ登録情報は、エラーが発生した時点において(つまり、ステップS108を実行する時点において)、ラック搬送部123上にある検体ラックLに保持された全検体についてのオーダ情報が含まれる。つまり、上述したように、サンプラモードにおいて第1検体分析装置1が動作している場合、情報処理ユニット13のRAM31cには、その時点においてラック搬送部123上にある検体ラックLのラックIDが記憶されている。このようなサンプラモードが設定されている状態で第1検体分析装置1にエラーが発生したとき、CPU31aは、サブ機にサンプラモードの設定を指示するモード設定情報と、その時点において検体測定の途中であった検体ラックLのオーダ情報を含むオーダ登録情報とを有する設定情報を生成する。さらに詳しくは、CPU31aが、その時点においてRAM31cに記憶されているラックIDをキーとして、情報処理ユニット13のハードディスク31dからこのラックIDを含むオーダ情報を読み出し、このオーダ情報に含まれる検体ID、患者ID、及び測定が指定された測定項目から、上記のオーダ登録情報を生成する。
【0091】
他方、第1検体分析装置1がマニュアルモードに設定されている状態でエラーが発生した場合には、CPU31aは、サブ機にマニュアルモードの設定を指示するモード設定情報のみを含む設定情報を生成する。
【0092】
このようにして生成された設定情報が無線通信ユニット14により送信された後、CPU31aは、サブ機の起動が完了したことをオペレータに通知するためのサブ機起動通知画面を表示部132に表示させ(ステップS109)、処理を終了する。
【0093】
他方、サブ機から応答データを受信しないまま、起動信号送信から所定時間が経過した場合には(ステップS106においてNO)、CPU31aは、サブ機の起動が失敗したことを通知するための起動エラー情報を表示部132に表示させ(ステップS107)、処理を終了する。オペレータは、起動エラー情報を確認することで、第2検体分析装置2の近くまで移動して確認することなく、サブ機である第2検体分析装置2の起動が失敗したことを知ることができる。
【0094】
サブ機である第2検体分析装置2の動作説明に戻る。起動確認データに対する応答データを無線通信ユニット24に送信させた後、第1検体分析装置1から設定情報が送信される。無線通信ユニット24により設定情報は受信され、CPU41aに与えられる(ステップS205)。CPU41aは、設定情報においてサンプラモード及びマニュアルモードの何れの動作モードの設定が指示されているかを判別する(ステップS206)。サンプラモードの設定が指示されている場合(ステップS206において「サンプラモード」)、CPU41aは、動作モードをサンプラモードに設定する(ステップS207)。またこの場合、CPU41aは設定情報にオーダ登録指示情報が含まれているか否かを判別し(ステップS208)、設定情報にオーダ登録指示情報が含まれている場合には(ステップS208においてYES)、オーダ登録指示情報にしたがって、ハードディスク41dにオーダ情報を登録し(ステップS209)、処理を終了する。設定情報にオーダ登録指示情報が含まれていなければ(ステップS208においてNO)、CPU41aは、そのまま処理を終了する。
【0095】
他方、設定情報においてマニュアルモードの設定が指示されている場合には(ステップS206において「マニュアルモード」)、CPU41aは、動作モードをマニュアルモードに設定し(ステップS210)、処理を終了する。
【0096】
ここで、サブ機起動通知画面について説明する。ステップS109においては、エラーが発生した時点における第1検体分析装置1の動作設定状態に応じて、表示される情報が変化する。
図12は、サブ機起動通知画面の一例を示す図である。第1検体分析装置1にエラーが発生した時点において、サンプラモードが設定されており、検体搬送ユニット12により検体ラックLが自動搬送されている場合には、ラック搬送部123上にある検体ラックLを、サブ機に移動させる旨を通知する情報が表示される。当該サブ機起動通知画面D1では、ラック搬送部123上にある検体ラックLのラックIDが示され、当該検体ラックLをサブ機に移動すべきことを通知するメッセージが示される。また、サブ機起動通知画面D1では、まだ測定に供されていない検体ラックL、即ち、分析前ラック保持部121に保持されている検体ラックLをサブ機に移動すべきことを通知するメッセージが示される。さらに、これらのメッセージと共に、メイン機からサブ機へ検体ラックLを移動することを示すイラストであるグラフィック情報G1が表示される。このサブ機起動通知画面D1は、RAM31cに記憶されているラックIDを用いて作成される。かかるサブ機起動通知画面D1には、ボタンコントロールであるOKボタンC1が表示され、オペレータがマウスのクリック操作等でOKボタンC1を選択すると、サブ機起動通知画面D1が閉じられる。
【0097】
これ以外にも、マニュアルモードで動作している第1検体分析装置1にエラーが発生した場合には、サブ機が起動したことを示すメッセージを含むサブ機起動通知画面が表示される。
【0098】
こうしてサブ機である第2検体分析装置2が起動されると、オペレータは第2検体分析装置2を使用して検体分析を継続する。また、第2検体分析装置2において検体分析を行っている間、オペレータ又はサービスマンが、第1検体分析装置の復旧作業を行うことができる。
【0099】
第1検体分析装置1が復旧した後には、再び第1検体分析装置1によって検体分析を行うことが可能である。この場合、予備用である第2検体分析装置2を再度シャットダウン状態とすることが行われることがある。本実施の形態に係る検体分析システム100では、このような場合に第1検体分析装置1から、第2検体分析装置2を遠隔でシャットダウンすることが可能である。以下、この遠隔シャットダウン動作について説明する。
【0100】
図13は、遠隔シャットダウン動作における第1検体分析装置1の情報処理ユニット13の動作の手順を示すフローチャートであり、
図14は、遠隔シャットダウン動作における第2検体分析装置2の情報処理ユニット23の動作の手順を示すフローチャートである。情報処理ユニット13では、サブ機のシャットダウンを遠隔指示するための画面を表示することが可能である。この画面において、オペレータは、サブ機のシャットダウンを指示することができる。第1検体分析装置1の復旧作業が終了した後、オペレータは、情報処理ユニット13の入力部133を操作して、サブ機の遠隔シャットダウンを指示する。CPU31aは、サブ機のシャットダウン指示を受け付けたか否かを判別し(ステップS301)、サブ機のシャットダウン指示を受け付けた場合には(ステップS301においてYES)、シャットダウンを指示するシャットダウン指示データを無線通信ユニット14に送信させ(ステップS302)、処理を終了する。他方、サブ機のシャットダウン指示を受け付けなかった場合には(ステップS301においてNO)、CPU41aは、そのまま処理を終了する。
【0101】
サブ機である第2検体分析装置2のCPU41aは、無線通信ユニット24によってシャットダウン指示データが受信されたか否かを判別する(ステップS401)。無線通信ユニット24によってシャットダウン指示データが受信されない場合には(ステップS401においてNO)、CPU41aは再度ステップS401の処理を実行する。これを繰り返すことで、CPU41aはシャットダウン指示データの受信を待機する。
【0102】
シャットダウン指示データが無線通信ユニット24により受信されると、当該シャットダウン指示データがCPU41aに与えられる。この場合(ステップS401においてYES)、CPU41aは、第2検体分析装置2のシャットダウン処理を実行し(ステップS402)、処理を終了する。
【0103】
以上の如き構成とすることにより、メイン機である第1検体分析装置に特定の異常というトラブルが発生した場合に、自動的にサブ機である第2検体分析装置が起動されるので、従来に比して迅速に第2検体分析装置を起動することが可能となる。また、オペレータが、第1検体分析装置に異常が発生したことに気付かない、又は復旧に時間がかかる異常であるかどうかの判断に時間を要するような場合にも、第2検体分析装置が自動的に起動され、検体処理が滞ることを抑制することができる。
【0104】
また、第1検体分析装置1が、エラー発生の時点における動作設定に基づいて設定情報を送信し、第2検体分析装置2が受信した設定情報にしたがって第2検体分析装置2の動作設定を行うため、起動した後の第2検体分析装置を、その時点において好ましい状態に設定することが可能となる。例えば、第1検体分析装置1がサンプラモードで動作している場合に、設定情報において第2検体分析装置の動作モードをサンプラモードに設定するように指示され、第1検体分析装置1がマニュアルモードで動作している場合に、設定情報において第2検体分析装置の動作モードをマニュアルモードに設定するように指示される。このため、オペレータは、エラー発生前の第1検体分析装置1と同様に、第2検体分析装置2を使用することが可能となる。
【0105】
また、第1検体分析装置1がサンプラモードで動作している場合に、ラック搬送部123に搬送途中の検体ラックLに保持されている検体のオーダ情報が設定情報によって第2検体分析装置2に送信され、第2検体分析装置2が、受信した設定情報にしたがってオーダを登録する。これにより、オペレータは、第1検体分析装置1のラック搬送部123上にある検体ラックLを第2検体分析装置2に移動すれば、第2検体分析装置2にオーダ情報を登録することなく、搬送途中であった検体ラックLの検体の分析を行うことができる。
【0106】
また、第1検体分析装置1の表示部132に、サブ機起動通知画面が表示されるので、オペレータはこの画面を確認すれば、どの検体ラックLを第2検体分析装置2に移動させればよいかを容易に確認することができる。
【0107】
(実施の形態2)
[検体分析システムの構成]
図15は、本実施の形態に係る検体分析システムの全体構成を示す模式図である。本実施の形態に係る検体分析システム200は、第1検体分析装置1と、第2検体分析装置2と、検査情報管理装置5とを備えている。第1検体分析装置1は、無線通信ユニット14を備えており、第2検体分析装置2は、無線通信ユニット24を備えている。なお、第1検体分析装置1、第2検体分析装置2、無線通信ユニット14,24の構成は、実施の形態1における構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0108】
検査情報管理装置5は、第1検体分析装置1及び第2検体分析装置の検査情報(オーダ情報及び検体分析結果等)を管理するための装置である。
図16は、検査情報管理装置5の構成を示すブロック図である。検査情報管理装置5は、コンピュータにより構成されている。
図16に示すように、コンピュータ5aは、本体51と、表示部52と、入力部53とを備えている。本体51は、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hを備えており、CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、及び画像出力インタフェース51hは、バス51jによって接続されている。
【0109】
通信インタフェース51gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース51gはLANを介して第1検体分析装置1及び第2検体分析装置2に接続されている。コンピュータ5aは、通信インタフェース51gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された第1検体分析装置1及び第2検体分析装置2との間でデータの送受信が可能である。
【0110】
ハードディスク51dには、オーダ情報データベースDB3と、分析結果データベースDB4が設けられている。オーダ情報データベースDB3には、オペレータから入力されたオーダ情報が登録される。また、分析結果データベースDB4には、第1検体分析装置1及び第2検体分析装置2の分析結果が格納される。
【0111】
なお、検査情報管理装置5のその他の構成は、実施の形態1において説明した情報処理ユニット13の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
[検体分析システムの動作]
検査情報管理装置5は、オペレータからの入力によりオーダ情報を登録することができる。第1検体分析装置1又は第2検体分析装置2は検体容器Tから検体IDを読み取ると、検査情報管理装置5に当該検体IDをキーとしてオーダ問合せを行う。検査情報管理装置5は、このオーダ問合せに対して、検体IDが一致するオーダ情報をオーダ情報データベースDB3検索し、検索されたオーダ情報を問合せ元の検体分析装置へ送信する。このようにして、オーダ情報が検体分析装置に与えられる。
【0113】
第1検体分析装置1又は第2検体分析装置2は、取得したオーダ情報にしたがって、検体分析を行い、検体分析結果を検査情報管理装置5へ送信する。検査情報管理装置5は、検体分析結果を受信すると、受信した検体分析結果を分析結果データベースDB4に登録する。
【0114】
以下では、第1検体分析装置1をメイン機とし、第2検体分析装置2をサブ機とする場合について説明する。
【0115】
図17は、本実施の形態に係る検査情報管理装置5の動作の手順を示すフローチャートである。この場合、検査情報管理装置5からは、メイン機である第1検体分析装置1に対してのみオーダ情報が送信される。そこで、検査情報管理装置5のCPU51aは、オーダ情報データベースDB3に登録されているオーダ情報の数(以下、「オーダ登録数」という。)を算出し、オーダ登録数が所定の基準値以上であるか否かを判別する(ステップS501)。オーダ登録数が基準値以上である場合には(ステップS501においてYES)、CPU51aは、オーダ登録数を示すオーダ数通知データをメイン機である第1検体分析装置1へ送信し(ステップS502)、処理を終了する。他方、オーダ登録数が基準値未満の場合には(ステップS501においてNO)、CPU51aは、そのまま処理を終了する。
【0116】
図18は、本実施の形態に係る第1検体分析装置1の情報処理ユニット13の動作の手順を示すフローチャートである。メイン機である第1検体分析装置1のCPU31aは、検査情報管理装置から送信されたオーダ数通知データを受信したか否かを判別する(ステップS601)。情報処理ユニット13がオーダ数通知データを受信しない場合には(ステップS601においてNO)、CPU31aは再度ステップS601の処理を実行する。これを繰り返すことで、CPU31aは、オーダ数通知データの受信を待機する。
【0117】
オーダ数通知データが情報処理ユニット13により受信されると、当該オーダ数通知データがCPU31aに与えられる。この場合(ステップS601においてYES)、CPU31aは、試薬残量情報34bを参照して、試薬の残量がオーダ登録数の検体分析に対して不足するか否かを判別する(ステップS602)。試薬残量が不足すると判別されなかった場合には(ステップS602においてNO)、CPU31aは、そのまま処理を終了する。
【0118】
他方、試薬残量が不足すると判断された場合には(ステップS602においてYES)、第1検体分析装置1だけではオーダ登録数が過大であると判断できるため、CPU31aは、サブ機を起動するための起動信号を無線通信ユニット14に送信させる(ステップS603)。
【0119】
なお、ステップS604〜S609の処理は、実施の形態1で説明したステップS104〜S109の処理と同様であるので、その説明を省略する。ここで、ステップS609において表示されるサブ機起動通知画面では、移動する検体ラックLのラックIDは表示されず、サブ機が起動完了したこと、及びサブ機に未測定の検体を保持した検体ラックLを移動することを示すメッセージ等が表示される。
【0120】
また、本実施の形態に係る第2検体分析装置2の動作は、実施の形態1に係る第2検体分析装置2の動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0121】
以上の如き構成とすることにより、メイン機である第1検体分析装置1の処理能力ではオーダ登録数が過大である場合には、サブ機である第2検体分析装置2が自動的に起動されるため、効率的にサブ機が起動され、検体分析システム200全体の検体処理能力を迅速に増大させることができる。
【0122】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る第2検体分析装置2は、シャットダウン状態において通信インタフェース41gには電力が供給されている。この状態では、通信インタフェース41gは起動信号を受信することができ、通信インタフェース41gが起動信号を受信した場合に、情報処理ユニット23の電源を投入することができる。これによって、自動的に情報処理ユニット23が起動する。情報処理ユニット23が起動すると、これに応じて測定ユニット21及び検体搬送ユニット22も起動し、第2検体分析装置2全体が起動することとなる。本実施の形態に係る検体分析システムのその他の構成は、実施の形態2に係る検体分析システム200の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
図19は、本実施の形態に係る検査情報管理装置5の動作の手順を示すフローチャートである。この場合、検査情報管理装置5からは、メイン機である第1検体分析装置1に対してのみオーダ情報が送信される。そこで、検査情報管理装置5のCPU51aは、オーダ情報データベースDB3のオーダ登録数を算出し、オーダ登録数が所定の基準値以上であるか否かを判別する(ステップS701)。オーダ登録数が基準値未満の場合には(ステップS701においてNO)、CPU51aは、そのまま処理を終了する。他方、オーダ登録数が基準値以上である場合には(ステップS701においてYES)、CPU51aは、サブ機を起動するための起動信号を通信インタフェース51gに送信させる(ステップS702)。
【0124】
なお、ステップS703〜S708の処理は、検査情報管理装置5のCPU51aによって実行される処理であるが、実施の形態1で説明したステップS104〜S109の処理と概ね同様であるので、その詳細な説明を省略する。ここで、ステップS703においては、起動確認データが通信インタフェース51gによって送信され、ステップS705においては、応答データが通信インタフェース51gによって受信される。また、ステップS707においては、CPU51aは所定の設定情報を通信インタフェース51gに送信させる。さらに、ステップS708においては、サブ機起動通知画面が検査情報管理装置5の表示部52に表示され、ステップS706においては、起動エラー情報が表示部52に表示される。ステップS708において表示されるサブ機起動通知画面では、移動する検体ラックLのラックIDは表示されず、サブ機が起動完了したこと、及びサブ機に未測定の検体を保持した検体ラックLを移動することを示すメッセージ等が表示される。
【0125】
また、本実施の形態に係る第2検体分析装置2の動作は、実施の形態1に係る第2検体分析装置2の動作と概ね同様であるので、その詳細な説明を省略する。ここで、ステップS201においては、起動信号が通信インタフェース41gによって受信され、ステップS203においては、起動確認データが通信インタフェース41gによって受信され、ステップS204においては、応答データが通信インタフェース41gによって送信され、ステップ205においては、設定情報が通信インタフェース41gによって受信される。
【0126】
以上の如き構成とすることにより、メイン機である第1検体分析装置1の処理能力ではオーダ登録数が過大である場合、即ち、メイン機である第1検体分析装置1だけでは検体処理能力が不足するというトラブルが発生した場合には、サブ機である第2検体分析装置2が自動的に起動されるため、効率的にサブ機が起動され、検体分析システム200全体の検体処理能力を迅速に増大させることができる。
【0127】
(実施の形態4)
本実施の形態に係る検体分析システムの構成は、実施の形態1に係る検体分析システム100の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0128】
本実施の形態では、1日を0時〜12時と、12時〜24時の2つの期間に分割し、一方の期間では第1検体分析装置1によって検体分析を行い、他方の期間では第2検体分析装置2によって検体分析を行う。
【0129】
図20は、本実施の形態に係る第1検体分析装置1の情報処理ユニット13の動作の手順を示すフローチャートである。第1検体分析装置1によって検体分析を行っている場合、オペレータは第2検体分析装置2への切替時刻に到達したかを確認し、切替時刻に到達すると、入力部133を操作して、第1検体分析装置1のシャットダウン指示を情報処理ユニット13に与える。CPU31aは、シャットダウン指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS801)。シャットダウン指示を受け付けていない場合には(ステップS801においてNO)、CPU31aは再度ステップS301の処理を実行する。これを繰り返すことで、CPU31aは、シャットダウンの指示を待機する。
【0130】
シャットダウンの指示を受け付けた場合(ステップS801においてYES)、CPU31aは、サブ機の起動を確認するためのサブ機起動確認画面を表示部132に表示させる(ステップS802)。
図21は、サブ機起動確認画面を示す図である。
図21に示すように、サブ機起動確認画面D2には、“サブ機を起動しますか”の文字列が含まれる。また、このサブ機起動確認画面D2には、サブ機の起動を指示するためのボタンC21と、サブ機の起動を指示しないためのボタンC22とが設けられている。オペレータは、マウスのクリック操作により、ボタンC21及びC22の何れかを選択することができる。
【0131】
サブ機起動確認画面D2を表示させた後、CPU31aは、サブ機起動の指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS803)。オペレータがボタンC22を選択し、CPU31aがサブ機起動の指示を受け付けなかった場合には(ステップS803においてNO)、CPU31aは、そのまま処理を終了する。他方、オペレータがボタンC21を選択し、CPU31aがサブ機起動の指示を受け付けた場合には(ステップS803においてYES)、CPU31aは、サブ機を起動するための起動信号を無線通信ユニット14に送信させる(ステップS804)。
【0132】
なお、ステップS804〜S810の処理は、実施の形態1で説明したステップS104〜S109の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0133】
ステップS810において、サブ機起動通知画面を表示した後、CPU31aは、第1検体分析装置1のシャットダウン処理を実行し(ステップS811)、処理を終了する。
【0134】
また、本実施の形態に係る第2検体分析装置2の動作は、実施の形態1に係る第2検体分析装置2の動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0135】
以上の如き構成とすることにより、メイン機である第1検体分析装置1の使用から、サブ機である第2検体分析装置2の使用へ切り替える場合に、オペレータが第1検体分析装置1のシャットダウンを指示し、第2検体分析装置の起動を指示すれば、第2検体分析装置2が自動的に起動されるため、効率的に第2検体分析装置2が起動され、切替作業を効率的に行うことが可能となる。
【0136】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態1においては、サンプラモードで動作している第1検体分析装置1にエラーが発生した場合には、第2検体分析装置2をサンプラモードに設定し、マニュアルモードで動作している第1検体分析装置1にエラーが発生した場合には、第2検体分析装置2をマニュアルモードに設定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。サンプラモードで動作している第1検体分析装置1にエラーが発生した場合に、マニュアルモードの設定指示情報を含む設定情報を第2検体分析装置2に送信し、第2検体分析装置2をマニュアルモードに設定する構成とすることもできる。第1検体分析装置1がサンプラモードで動作している場合には、検体ラックLに保持されている検体容器から検体が自動吸引されるが、この場合において検体が吸引された後、検体測定が完了する前にエラーが発生し、検体測定が完了しなかったときには、検体容器Tにはオーダ情報で指定されている全ての項目について検体測定を行うことができるだけの検体が残っていないことがある。このような場合には、マニュアルでオーダ情報を再登録し、マニュアル測定を行う必要があるため、第2検体分析装置2がマニュアルモードに設定されていれば、かかる検体を効率的に測定することが可能となる。
【0137】
また、上述した実施の形態1においては、第2異常データベースDB2において、第2検体分析装置2の起動に使用するか否かを異常毎にユーザ設定可能な構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、第1異常データベースDB1に登録されている異常が発生した場合には第2検体分析装置2を起動し、第2異常データベースDB2に登録されている異常が発生した場合には第2検体分析装置2を起動しないこととし、第2異常データベースDB2をユーザによって設定変更することができない構成とすることもできる。
【0138】
また、上述した実施の形態1〜4においては、第1検体分析装置1が1つの測定ユニット11を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。2以上の測定ユニットと1つの情報処理ユニットとによって検体分析装置が構成されていてもよい。測定ユニットと情報処理ユニットとが別々に設けられている構成でなくてもよく、測定ユニットに相当する機能と情報処理ユニットに相当する機能とを1つの筐体内に備える検体分析装置であってもよい。第2検体分析装置2についても同様である。
【0139】
また、上述した実施の形態1〜4においては、測定ユニット11にはCPU等の演算部を設けず、情報処理ユニット13のCPU31aによって測定ユニット11の動作制御を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットにCPU及びメモリ等からなる制御部を設け、この制御部によって測定機構の動作制御を行う構成としてもよい。第2検体分析装置2についても同様である。
【0140】
また、上述した実施の形態1〜4においては、第1検体分析装置1が無線通信ユニット14により起動信号を送信し、無線通信ユニット24により起動信号が受信されると、第2検体分析装置2が起動する構成について述べたが、これに限定されるものではない。有線LANにより第1検体分析装置1及び第2検体分析装置2が通信可能であり、第1検体分析装置1の通信インタフェース31gから起動信号を送信し、第2検体分析装置2の通信インタフェース41gにより起動信号が受信されると、第2検体分析装置2が起動する構成としてもよい。
【0141】
また、上述した実施の形態1〜4においては、測定ユニット21、検体搬送ユニット22、及び情報処理ユニット23には電力が供給されていないが、入出力インタフェース41f及び無線通信ユニット24には電力が供給されている状態を第2検体分析装置2のシャットダウン状態とする構成を述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニット21、検体搬送ユニット22への電力供給されていないが、情報処理ユニット23、入出力インタフェース41f及び無線通信ユニット24には電力が供給されており、さらに情報処理ユニット23のオペレーティングシステムは起動しているが、第2検体分析装置2を制御するためのアプリケーションプログラムは起動していない状態を第2検体分析装置2のシャットダウン状態とする構成としてもよい。
【0142】
また、上述した実施の形態1〜4においては、血液検体に含まれる血球を白血球、赤血球、血小板等を検出し、各血球を計数する多項目血球分析装置によって第1検体分析装置1と第2検体分析装置2を構成する例を述べたが、これに限定されるものではない。例えば、第1検体分析装置1と第2検体分析装置2は血液凝固分析装置、免疫分析装置、生化学分析装置でもよい。また、それらの装置において試薬等を冷却するための冷却部を備えているような場合、第2検体分析装置2のシャットダウン状態とは、入出力インタフェース41f及び無線通信ユニット24及び試薬の冷却部には電力が供給されており、冷却部の温度を一定に保つ事が可能な状態としてもよい。
【0143】
また、上述した実施の形態1〜4においては、単一のコンピュータ13aによりコンピュータプログラム34aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム34aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。第2検体分析装置2及び検査情報管理装置5についても同様である。