(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
児収容室の両側方に配置される各処置扉に、左右に並んで開口部が二つずつ形成されるとともに、これら開口部に手入れ窓ユニットがそれぞれ設けられてなる保育器であり、各手入れ窓ユニットは、前記処置扉における前記開口部の周縁部に取り付けられる環状のベース枠と、このベース枠の内周縁に取り付けられ手入れ窓を形成する環状のパッキンと、該パッキンに当接して前記手入れ窓を閉止可能な手入れ扉と、前記ベース枠の一端部に設けられ前記手入れ扉を軸により回動自在に支持するヒンジ部と、前記ベース枠の他端部に設けられ前記手入れ扉を閉止状態に保持可能なロック部とを備え、前記処置扉の開口部及び前記手入れ窓ユニットは、前記処置扉に並ぶ両開口部の間の左右方向の中間位置を通る垂直線と両開口部の上下方向の中間位置を通る水平線との交点を中心として前記処置扉の表面と平行な面内で点対称となる形状に形成され、前記ヒンジ部の前記軸は、前記処置扉の表面と平行で上下方向に配置され、前記ロック部には、前記手入れ扉の閉止状態を解除する解除レバーが設けられ、該解除レバーは、前記閉止状態を解除するための操作方向が前記処置扉の厚さ方向に設定されていることを特徴とする保育器。
前記児収容室の端部側に配置される端部側処置扉に、少なくとも一つの端部側開口部が形成されるとともに、該端部側開口部に端部側手入れ窓ユニットが設けられており、該端部側開口部は前記児収容室の側方の処置扉に形成される前記開口部と同じ平面形状を有しており、前記端部側手入れ窓ユニットは、前記児収容室の側方の処置扉に設けられる前記手入れ窓ユニットと同じ形状の少なくとも前記パッキン、前記ベース枠、前記ヒンジ部及び前記ロック部を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の保育器。
前記ロック部には、前記手入れ窓を閉止状態としたときに前記手入れ扉の先端部を係止可能なラッチ部材が設けられ、前記解除レバーには、一対の側板部と、これら側板部の間に前記手入れ扉の先端部を通過可能な空間部を形成して配置される天板部とが備えられ、前記ラッチ部材は、前記解除レバーの両側板部の間に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の保育器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、手入れ窓は、少なくとも児収容室の両側方に配置される2面の処置扉にそれぞれ設けられており、しかも、医師や看護士の両手を児収容室に入れられるように両処置扉に二つずつ設けられる。また、児の足側に配置される処置扉にも手入れ窓を設ける場合がある。このため、これら複数の手入れ窓への取り付け作業性をより向上させ、コスト低減を図ることができる保育器が望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の手入れ窓への手入れ扉の取り付けを容易にして、取り付け作業性を向上し、コスト低減を図ることができる保育器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の保育器は、児収容室の両側方に配置される各処置扉に、左右に並んで開口部が二つずつ形成されるとともに、これら開口部に手入れ窓ユニットがそれぞれ設けられてなる保育器であり、各手入れ窓ユニットは、前記処置扉における前記開口部の周縁部に取り付けられる環状のベース枠と、このベース枠の内周縁に取り付けられ手入れ窓を形成する環状のパッキンと、該パッキンに当接して前記手入れ窓を閉止可能な手入れ扉と、前記ベース枠の一端部に設けられ前記手入れ扉を軸により回動自在に支持するヒンジ部と、前記ベース枠の他端部に設けられ前記手入れ扉を閉止状態に保持可能なロック部とを備え、前記処置扉の開口部及び前記手入れ窓ユニットは、前記処置扉に並ぶ両開口部の間の左右方向の中間位置を通る垂直線と両開口部の上下方向の中間位置を通る水平線との交点を中心として前記処置扉の表面と平行な面内で点対称となる形状に形成され、前記ヒンジ部の前記軸は、前記処置扉の表面と平行
で上下方向に配置され、前記ロック部には、前記手入れ扉の閉止状態を解除する解除レバーが設けられ、該解除レバーは、前記閉止状態を解除するための操作方向が前記処置扉の厚さ方向に設定されていることを特徴とする。
【0009】
手入れ窓ユニットを処置扉と平行な面内で点対称となる形状に形成したから、処置扉に形成された二つの開口部において、その一方の開口部に取り付けられる手入れ窓ユニットを180°回転させて他方の開口部に取り付けることが可能である。このため、二つの開口部に同じ形状の手入れ窓ユニットを使用することができ、部品等の共通化により、コスト低減を図ることができる。
また、ヒンジ部の軸が処置扉と平行で、ロック部の解除レバーの操作方向が処置扉の厚さ方向とされているから、手入れ窓ユニットを左右入れ替えて取り付けたとしても、手入れ扉の開閉のための操作方向を変える必要はない。したがって、左右の手入れ窓とも同じ操作感で開閉することができ、操作性がよい。
【0010】
本発明の保育器において、前記開口部及び手入れ窓ユニットは、前記児収容室の両側方に配置される二つの処置扉とも同じ形状であるとよい。
また、前記児収容室の端部側に配置される端部側処置扉に、少なくとも一つの端部側開口部が形成されるとともに、該端部側開口部に端部側手入れ窓ユニットが設けられており、該端部側開口部は前記児収容室の側方の処置扉に形成される前記開口部と同じ平面形状を有しており、前記端部側手入れ窓ユニットは、前記児収容室の側方の処置扉に設けられる前記手入れ窓ユニットと同じ形状の少なくとも前記パッキン、前記ベース枠、前記ヒンジ部及び前記ロック部を有しているとよい。
このような構成とすることにより、部品の共通化を促進して、コストをより低減することができる。
【0011】
本発明の保育器において、前記ロック部には、前記手入れ窓を閉止状態としたときに前記手入れ扉の先端部を係止可能なラッチ部材が設けられ、前記解除レバーには、一対の側板部と、これら側板部の間に前記手入れ扉の先端部を通過可能な空間部を形成して配置される天板部とが備えられ、前記ラッチ部材は、前記解除レバーの両側板部の間に配置されているとよい。ラッチ部材が解除レバーにより覆われるように設けられるので、意匠性にも優れたものとなる。
【0012】
また、本発明の保育器において、前記ラッチ部材には、前記手入れ扉に当接する位置にクッション部材が設けられているとよく、手入れ扉の開閉操作時の衝撃音をクッション部材により緩和することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の保育器によれば、処置扉の異なる開口部に同じ手入れ窓ユニットを取り付けることができるため、部品等の共通化により、コスト低減を図ることができ、その場合に、ヒンジ部の軸を処置扉と平行で、ロック部の解除レバーの操作方向を処置扉の厚さ方向としたから、手入れ窓ユニットを左右入れ替えて取り付けたとしても、同じ操作感で開閉することができ、操作性がよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の保育器の一実施形態について説明する。
[保育器の全体構成]
保育器1は、
図9〜
図11に全体を示したように、キャスター2により移動自在な架台3と、この架台3の上に垂直に立設された支柱4と、この支柱4の上端に設けられたフレーム5と、このフレーム5の上に設置された基台6と、この基台6の上に設けられ児収容室7を囲むフード8と、フレーム5の一端部でフード8の側方位置に垂直に設けられた2本のガイド柱9,10と、これらガイド柱の一方(ガイド柱10)の上端に設けられた加熱器11とを備えており、ガイド柱の他方(ガイド柱9)の上端には、フード8の天井を構成するキャノピー(天蓋)12が取り付けられている。
支柱4は内部にフレーム5を上下移動する昇降機構を内蔵しており、架台3の側部に、昇降機構を操作するためのペダル13が設けられている。
【0016】
フード8は、児を寝かせる臥床台15が設置される床板16と、児の左右に配置される左側処置扉17及び右側処置扉18と、児の足側に配置される足側処置扉19と、児の頭側に配置される頭側処置扉20と、これら左右側処置扉17,18、足側処置扉19及び頭側処置扉20により囲まれた児収容室7の上方を閉塞するキャノピー12とにより、ほぼ直方体状に構成される。左側処置扉17、右側処置扉18、足側処置扉19、頭側処置扉20及びキャノピー12は、ほぼ全体が透明樹脂によって構成されており、外部から児収容室7内の児を目視確認できる。
また、
図9〜
図11ではキャノピー12を下降させてフード8を閉じた状態、
図13はキャノピー12を上昇させて児収容室7の上方を開放した状態を示している。また、この
図13においては、加熱器11も上昇させ、児収容室7を加熱した状態を示している。
このように、この保育器1は、
図9〜
図11に示す閉鎖型保育器、及び
図13に示す開放型保育器の両方の形態の機能を有している。
【0017】
各処置扉17〜20のうち、頭側処置扉20は、児収容室7の頭側に立設した垂直姿勢に維持される。これに対して、左右側処置扉17,18及び足側処置扉19は、その下端部が基台6に対して水平な軸(図示略)を中心に揺動自在に取り付けられており、児に対する診察、処置などを任意の方向から行えるようにするために、これら処置扉17〜19の一つあるいは複数を下方に倒すことにより、児収容室7の側方の一部又は三方を開放状態とすることができる。
図12は左側処置扉17を回動させて、児収容室7の一側方を開放状態としている。
閉鎖型保育器として使用する場合は、各処置扉17〜19とも閉鎖した状態とされ、児のケアのために左右側処置扉17,18を開閉する。開放型保育器として使用する場合は、児のケアのために左側処置扉17、右側処置扉18及び足側処置扉19の三方を開閉することができる。
【0018】
さらに、左側処置扉17、右側処置扉18及び足側処置扉19には手入れ窓ユニット25,26が設けられ、閉鎖型保育器として使用する際に、処置扉17〜19を起立させた状態のまま手入れ窓27を手入れ扉28,29により開閉することができるようになっている。頭側処置扉20には、ケーブルやチューブ等を挿通させるためのスリットを有するグロメット部材30が取り付けられている。
また、児収容室7内の床板16の上には、児を載せる臥床台15が設けられている。この臥床台15は、長さ方向の中央部が水平な軸(図示略)により揺動自在に支持されるとともに、頭側の一端部が昇降機構31に支持され、この一端部を持ち上げることにより、水平方向に対して傾斜した姿勢に保持できるようになっている。その昇降機構31は、フード8の外側に設けられる。
【0019】
ガイド柱9,10は、同軸上にロッド32が収容され、このロッド32を上下移動させる昇降機構が内蔵されている。キャノピー12は、ガイド柱9のロッド32の上端に取り付けられており、その下降位置で各処置扉17〜20の上端に当接して児収容室7を閉鎖し、上昇位置では、
図13に示すように、処置扉17〜20から児の処置のための十分な間隔を明けて退避できるようになっている。加熱器11は、他方のガイド柱10のロッド(図には見えないが、
図13のガイド柱9と同様に設けられる)の上端に水平な軸33を中心に回動可能に取り付けられており、その下降位置では、
図9等に示すように、ガイド柱10とほぼ平行な垂直方向に折り畳まれた収納姿勢とされ、上昇位置では、垂直方向に対して所定の角度に起こされて児収容室7に上方から熱線を供給する加熱姿勢とされる。
【0020】
[処置扉及び手入れ窓用開口部の構成]
足側処置扉19及び頭側処置扉20は一枚の壁により構成されるが、左側処置扉17、右側処置扉18は、二重壁構造の内壁35と外壁36とを備えており、これら内壁35と外壁36との間に、基台6内から送風される温風を下方から上方に向けて流して児収容室7内に供給するための隙間37が形成されている。
これら左側処置扉17及び右側処置扉18には、内壁35と外壁36とを貫通する開口部41,42が、各処置扉17,18においてその正面視で左右に並んで二つずつ形成されており、一方、足側処置扉19には、その壁を貫通する一つの開口部42が形成されている。後述するように、左右側処置扉17,18の外壁36に形成される開口部42と足側処置扉19に形成される開口部42とはいずれも同じ形状、同じ大きさに形成されており、これら開口部42に手入れ窓ユニット25,26がそれぞれ設けられている。左右側処置扉17,18の内壁35に形成される開口部41は、外壁36の開口部42より小さい面積で相似形状に形成される。
【0021】
左右側処置扉17,18の外壁36に形成される二つの開口部42は、
図1に示すように、いずれも、正面視では上下方向よりも水平方向に長く、複数の曲率半径R1〜R4の曲線を連続させてなる全体として卵形に形成され、上側縁及び下側縁の曲率半径R1は、左側縁及び右側縁の曲率半径R2,R3より、全体として大きく形成されている。一方、左側縁及び右側縁は、その一方の曲率半径R2が他方の曲率半径R3より大きく形成されている。これら左側縁及び右側縁は、その曲率半径が全体として大きい側縁の円弧部を大円弧部43、曲率半径が全体として小さい側縁の円弧部を小円弧部44とする。そして、各開口部42は、その周縁が上下方向の中心を通る水平線Hを中心として線対称となる曲線に形成されている。
【0022】
また、両開口部42は、これを正面視して左側に配置される開口部42では、その左側縁に大円弧部43、右側縁に小円弧部44が配置され、一方、右側に配置される開口部42では、逆に、右側縁に大円弧部43、左側縁に小円弧部44が配置されている。つまり、左側処置扉17に設けられる二つの開口部42、あるいは右側処置扉18に設けられる二つの開口部42は、それぞれ左右方向の向きが逆になっており、両開口部42の間の左右方向の中間位置を通る垂直線Vと両開口部42の上下方向の中間位置を通る水平線Hとの交点Pを中心として点対称の形状に形成されている。また、これら処置扉17,18に形成される開口部42は、左右側のいずれかの処置扉17,18の左右の二つの開口部42が対称に形成されるだけでなく、左側処置扉17の二つの開口部42と右側処置扉18の二つの開口部42は、向きが異なるだけで、すべて同じ大きさ、同じ形状に形成されている。さらには足側処置扉19の一つの開口部42も、これら左右側処置扉17,18の両開口部42と同じ大きさ、同じ形状に形成されており、例えば、左右側の処置扉17,18の右側に配置される開口部42と同じ向きに配置される。
【0023】
[手入れ窓ユニットの構成]
このような形状の開口部42に取り付けられる手入れ窓ユニット25,26は、開口部42がすべて同じ大きさ、同じ形状に形成されていることから、向きが異なるだけで、正面視での形状は、すべて同じ大きさ、同じ形状に形成される。
また、左側処置扉17と右側処置扉18に2個ずつ取り付けられる各手入れ窓ユニット25は、開口部42と同様に、各処置扉17,18において両開口部42の間の左右方向の中間位置を通る垂直線Vと両開口部42の上下方向の中間位置を通る水平線Hとの交点Pを中心として点対称の形状、構造に形成されている。
一方、足側処置扉19の手入れ窓ユニット26は、手入れ扉29が正面視での形状は左右側処置扉17,18の手入れ窓ユニット25の手入れ扉28と同じであるが、足側処置扉19が一枚構造であることから、構造が左右側処置扉17,18の手入れ窓ユニット25の手入れ扉28とは一部異なっている。
まず、左右側処置扉17,18に取り付けられる手入れ窓ユニット25について説明し、足側処置扉19に取り付けられる手入れ窓ユニット26は後述する。
【0024】
左側処置扉17及び右側処置扉18の開口部42に取り付けられる手入れ窓ユニット25は、
図3及び
図4に示すように、開口部42に固定される戸当たり枠体45と、この戸当たり枠体45に回動自在に支持される手入れ扉28とから構成される。
戸当たり枠体45は、開口部42の内周縁に取り付けられる環状のベース枠46と、このベース枠46の内周縁に取り付けられるパッキン47と、ベース枠46の一端部に設けられ手入れ扉28を支持するヒンジ部48と、ベース枠46の他端部に設けられ手入れ扉28を閉止状態に保持可能なロック部49とから構成される。
【0025】
ベース枠46は、
図14に示すように、全体が硬質樹脂により環状に形成され、開口部42の内側に嵌合される枠体部51に、処置扉17,18の表面に配置され枠体部51と開口部42との隙間を塞ぐフランジ部52が一体に形成されており、ヒンジ部48及びロック部49の取り付け箇所においてはフランジ部52から延びるように比較的広い面積の板状部53,54が形成されている。そして、これら板状部53,54を開口部42の大円弧部43及び小円弧部44の周辺における処置扉17,18の表面に当接させ、この処置扉17,18にビス止め等により固定され、この取り付け構造において、
図3及び
図4に示すように開口部42の内周縁に沿って枠体部51が配置される。枠体部51の内周部には、パッキン47に嵌まり込む二つの凸条55が周方向に沿って形成されている。その一方の凸条55は、水平方向内方に向けて形成され、他方の凸条55は、処置扉17,18の表面に垂直に形成されていることにより、これら二つの凸条55が90°の角度で交差するアングル状に形成されている。
【0026】
パッキン47は、
図15及び
図16に示すように、ベース枠46の枠体部51に取り付けられる環状の取付部56と、この取付部56の内周部から内周面を延長するように延びるシール片57とが一体に形成されている。取付部56は、シール片57に比べて剛性を有する樹脂により形成されており、その外周部に、ベース枠46の枠体部51における二つの凸条55に被さるように嵌合する凹溝58が周方向に沿って形成されている。取付部56の内周面は、その厚さ方向の断面が滑らかな円弧状となるように形成される。シール片57は軟質の樹脂により薄肉に形成されており、その内周面は、取付部56の内周面の円弧を延長するように、取付部56の内周面から面一に延びる滑らかな円弧状に形成されている。そして、このパッキン47の内側開口により手入れ窓27が構成される。
【0027】
ベース枠46の一方の板状部53にヒンジ部48が設けられ、他方の板状部54にロック部49が設けられている。
ヒンジ部48は、手入れ扉28に設けられた軸61と、この軸61の両端部を回動自在に支持する軸受部62と、手入れ扉28の回動に制動力を作用するブレーキ部材63と、軸61の回りに巻きつけられるねじりコイルばね(付勢部材)64と、軸受部62等を覆うカバー部材65とを有している。軸61は、手入れ扉28の端部の軸保持部66に、両端部を軸保持部66の両端から突出させた状態に固定されている。また、軸受部62は、ベース枠46の板状部53に一体に形成されており、軸保持部66から突出する軸61の両端部を板状部53の表面と平行に配置してそれぞれ回転自在に支持する。また、軸61に巻き付けられたねじりコイルばね64の一端部が手入れ扉28の軸保持部66に、他端部がベース枠46の軸受部62にそれぞれ固定されている。このねじりコイルばね64は、巻き込み方向に付勢力を作用させるように取り付けられており、手入れ扉28を開いたときに閉じる方向に付勢する。
【0028】
ブレーキ部材63は、ベース枠46の板状部53と手入れ扉28の軸保持部66との間に装着されており、
図17に示すように、板状部53に固定される一対の取付け部71の間に、帯板状の支持バー72を介して摩擦部材73が一体に形成されている。この摩擦部材73は、横断面コ字状に形成され、その一側板部74が支持バー72により取付け部71と連結状態とされるとともに、
図6に示すように、ベース枠46の板状部53に形成した溝75内に支持バー72とともに嵌合状態に固定されている。他側板部76は板状部53から浮かせられた状態とされ、これら両側板部74,76の間に手入れ扉28の軸保持部66に対峙する傾斜した摩擦板部77が形成されている。
【0029】
この摩擦板部77の上面(手入れ扉28の軸保持部66との対峙面)は、固定状態の一側板部74から自由端部の他側板部76に向けて上昇する傾斜面に形成され、この傾斜面に対峙する手入れ扉28の軸保持部66は、その外周部の一部を切り欠いてなる切欠面78が形成されるとともに、この切欠面78を除く外周面は、
図3及び
図6の左回りに沿って軸心からの距離が徐々に大きくなるように形成されている。そして、手入れ扉28が閉じた状態では、摩擦板部77の表面との間に間隔をおいて切欠面78が対峙し、手入れ扉28を開いた状態とすると、
図6に示すように軸保持部66の外周面により摩擦板部77が押圧され、その摩擦板部77表面の摩擦力と押圧されたときのブレーキ部材63の弾性変形力とにより手入れ扉28に制動力を作用させるようになっている。この制動力は、軸保持部66の外周面における軸心からの距離が回動角度が大きくなるにしたがって徐々に大きくなるように形成されていることにより、手入れ扉28の回動角度にしたがって徐々に大きくなる。また、ブレーキ部材63の弾性変形力は、主として、ベース枠46の溝75内に保持された一側板部74の撓み変形によって生じる。
カバー部材65は、ベース枠46の板状部53に取り付けられ、板状部53と手入れ扉28の軸保持部66との間を側方から覆うとともに、軸保持部66の両端方向に配置される両軸受部62を覆う形状とされる。
【0030】
ロック部49は、手入れ扉28の自由端部に突出して形成された舌片部81を係止するものであり、ベース枠46の板状部54に固定された基枠82と、この基枠82に回転自在に支持された軸83に固定され、手入れ扉28の舌片部81を係止可能なラッチ部材84と、このラッチ部材84と手入れ扉28の舌片部81との係止状態を解除するための解除レバー85とを備えている。
【0031】
基枠82は、
図18に示すように、一対の側板部86の間を後方板部87により一体に連結してなり、両側板部86の間に軸83が回転自在に支持されている。この軸83は、基枠82をベース枠46の板状部54に固定したときに板状部54と平行となるように配置され、両端部が側板部86よりも突出している。また、後方板部87の上端部には、三つの切欠部88と、その中央の切欠部88内に配置される突起部89とが形成されている。
【0032】
ラッチ部材84は、基枠82の両側板部86の内側に配置され、その軸保持部90に軸83が貫通状態に固定されており、
図21及び
図22に示すように、軸保持部90の側部に手入れ扉28の舌片部81を係止するフック部91と、このフック部91の背部から相互に平行に延びる一対の突出片92とが一体に形成されている。フック部91は、ねじりコイルばね(付勢部材)93により、フック部91を手入れ扉28の舌片部81を係止する位置に向けて回動する方向(
図3、
図7、
図8では左回り)に付勢されている。また、フック部91の先端部の上面部及び軸保持部90の前面部にはシリコーン樹脂等の軟質樹脂からなるクッション部材94が取り付けられている。これらクッション部材94は、後述する手入れ窓27の開閉操作時に、フック部91の先端部の上面に手入れ扉28の舌片部81の先端部下面が当接し、また、軸保持部90の前面に手入れ扉28の舌片部81の裏面が当接するので、当接時の衝撃音を緩和するために設けられる。
【0033】
解除レバー85は、
図19及び
図20に示すように、基枠82の両側板部86よりも外側に配置される一対の側板部95の間にレバー部96が一体に形成されている。両側板部95は、基枠82の両側板部86から突出している軸83の両端部に固定されており、この軸83より上方の部分がほぼ半円形に形成されるが、下方の部分は、その下端面に、板状部54の表面に当接するフラット面97に対して、軸83よりも後方側(ヒンジ部とは反対側)を斜めに切欠してなる傾斜面98を有している。フラット面97と傾斜面98との間は軸83を中心とする円弧面99により連続している。したがって、この解除レバー85は、フラット面97が板状部54に当接した姿勢から、円弧面99を介して傾斜面98が板状部54に当接する姿勢まで回動することができる。後述するように、前者がロック維持姿勢、後者がロック解除姿勢となる。
【0034】
レバー部96は、半円形の板状に形成され、側板部95のフラット面97が板状部54に当接した状態でほぼ板状部54と平行な姿勢で両側板部95から後方に向けて突出するように形成され、その前方に、両側板部95の間の後方部分を覆うように天板部100が延長して形成され、この天板部の前方に手入れ扉28の舌片部81を通過可能な空間部101を形成している。また、このレバー部96の裏面と基枠82における後方板部87の突起部89との間には、基枠82の切欠部88内に配置されるようにコイルばね(付勢部材)102が設けられており、解除レバー85をフラット面97が板状部54に当接する姿勢(ロック維持姿勢)に向けて回動する方向(
図3、
図7、
図8では左回り)に付勢している。このロック維持姿勢においては、手入れ窓27を閉止状態とした手入れ扉28の舌片部81がラッチ部材84のフック部91に係止される。
【0035】
また、天板部100の裏面には、ラッチ部材84の突出片92に上方から当接する押圧部103が形成されている。この押圧部103は、両突出片92に対応して二箇所に設けられており、
図19及び
図20に示す例では、天板部100から下方に突出する複数のリブ状に形成されている。そして、解除レバー85をロック解除姿勢に回動したときに、押圧部103がラッチ部材84の突出片92を押圧してフック部91が手入れ扉28の舌片部81から離間する方向(
図3、
図7、
図8では右回り)に回動するようになっている。
このように、この解除レバー85は、基枠82の外側で、手入れ扉28の舌片部81を通過させる空間部101を残してロック部49の全体を覆うようにしており、ラッチ部材84やコイルばね102等を外部から見えにくくして、意匠性を高めている。
【0036】
手入れ扉28は、手入れ窓27を閉鎖した時にパッキン47のシール片57に当接される板状部104と、この板状部104におけるパッキン47への当接部を除く中央部分を突出させパッキン47の内側に挿入される突起部105と、板状部104の一端部に設けられる前述した軸保持部66と、他端部に設けられる舌片部81とから構成される。板状部104は突起部105に対してフランジ状に張り出しており、突起部105は、手入れ窓27を閉鎖状態としたときに左右側処置扉17,18の内壁35の開口部41内に入り込み、この内壁35の内面とほぼ面一となる寸法に形成される。
【0037】
このように構成された手入れ窓ユニット25に対して、足側処置扉19に取り付けられる手入れ窓ユニット26は、この足側処置扉19が一枚の壁により構成されているため、
図5に示すように、手入れ扉29が、左右側処置扉17,18の手入れ窓ユニット25における手入れ扉28のような突起部105がなく、手入れ窓27の全体を覆うほぼ平坦な板状部106を有している点が異なるが、この板状部106に形成される軸保持部66及び舌片部81は手入れ扉28と同じ形状であり、戸当たり枠体45の構成も手入れ窓ユニット25と全く同じである。
図9及び
図13に示す例では、左右側処置扉17,18における二つの手入れ窓ユニット26のうちの右側に配置されている手入れ窓ユニット25と同じ向きで足側処置扉19に手入れ窓ユニット26が配置されている。
【0038】
[手入れ窓の開閉操作]
手入れ窓の開閉操作について、左右側処置扉17,18に設けられている手入れ扉28により手入れ窓27を開閉する場合について説明する。
手入れ扉28により手入れ窓27を閉じた状態から、手入れ窓27を開放する場合、
図7の鎖線矢印で示すように、ロック部49における解除レバー85のレバー部96を処置扉17,18に向けて押圧すると、解除レバー85が軸83を中心に
図7の右回りに回動して、ラッチ部材84の突出片92を押圧する。このラッチ部材84は、フック部91に手入れ扉28の舌片部81を係止しており、解除レバー85により押圧されると、軸83を中心に
図7の右回りに回動してフック部91による舌片部81の係止状態を解除する。手入れ扉28は、閉止状態ではパッキン47のシール片57を弾性変形させながら押圧しており、また、ヒンジ部48の軸61に取り付けられたねじりコイルばね64により開く方向に付勢されているので、ロック部49によりロック状態が解除されると、パッキン47の弾性力及びねじりコイルばね64の付勢力により、開く方向に回動し、手入れ窓27を開放する。
手入れ扉28の回動角度が大きくなると、ヒンジ部48において軸保持部66がブレーキ部材63の摩擦板部77を押圧しながら摺動することにより制動される。
【0039】
一方、開放した手入れ窓27を閉じる場合は、手入れ扉28を回動して、
図8の矢印で示すように舌片部81をロック部49に上方から処置扉17,18に向けて押圧するように押し込むと、舌片部81は、解除レバー85の空間部101からラッチ部材84のフック部91の先端部に当接し、このフック部91を退避させるように
図8の右回りに回動させる。さらに手入れ扉28を回動して、舌片部81がフック部91の先端より下方に通り過ぎると、フック部91がねじりコイルばね93の付勢力により逆方向(
図8の左回り)に回動して、舌片部81を係止し、手入れ扉28を閉止状態にロックする。
【0040】
この手入れ窓27の開閉操作において、ロック部49によるロック状態を解除する操作は、解除レバー85を処置扉17,18に向けて押圧する操作であり、開いた手入れ扉28をロック状態に保持する操作も、手入れ扉28の舌片部81を処置扉17,18に向けて押圧する操作によって行われる。
また、手入れ扉28をロック状態とする場合には、手入れ扉28の舌片部81の先端部がラッチ部材84のフック部91に当接するが、フック部91の上面にはクッション部材94が設けられているため、当接時の衝撃音が緩和される。また、このフック部91を舌片部81が通過する際、あるいは、ロック解除時にラッチ部材84が回動させられた際に、ラッチ部材84の前面が手入れ扉28の舌片部81の下面に当接することがあるが、このラッチ8部材84の前面にもクッション部材94が設けられているため、その衝撃音も緩和することができる。
【0041】
そして、前述したように左右側処置扉17,18のそれぞれに設けられる二つの開口部42及び手入れ窓ユニット25が、それぞれ同じ大きさ、同じ形状に形成され、両開口部42の間の左右方向の中間位置を通る垂直線Vと両開口部42の上下方向の中間位置を通る水平線Hとの交点Pを中心として点対称の形状に形成されていることから、そのいずれかの手入れ窓ユニット25を他の開口部42に取り付けることができ、その場合でも、同じ開閉操作により手入れ窓27を開閉することができる。
また、足側処置扉19に設けられている手入れ窓ユニット26も、左右側処置扉17,18に設けられている手入れ窓ユニット25と手入れ扉29の構造の一部が異なるだけであり、その手入れ窓27の開閉操作は、左右側処置扉17,18の手入れ窓27の場合と全く同じである。
【0042】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前述の実施形態では、左右側処置扉17,18に対して足側処置扉19及び頭側処置扉20を
図9等に示すように配置したが、足側と頭側とを逆にして使用する場合も想定される。その場合は、手入れ窓ユニット26を取り付けた足側処置扉19が児の頭側となる。本発明では、この足側処置扉19を端部側処置扉とし、その開口部42を端部側開口部、手入れ窓ユニット26を端部側手入れ窓ユニットと称している。