特許第5919078号(P5919078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コンパンプレイスケープの特許一覧

<>
  • 特許5919078-遊戯具 図000002
  • 特許5919078-遊戯具 図000003
  • 特許5919078-遊戯具 図000004
  • 特許5919078-遊戯具 図000005
  • 特許5919078-遊戯具 図000006
  • 特許5919078-遊戯具 図000007
  • 特許5919078-遊戯具 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919078
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】遊戯具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20160428BHJP
   A63B 5/11 20060101ALI20160428BHJP
   E04H 4/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   A63H33/00 Z
   A63B5/11
   E04H4/00 501A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-97330(P2012-97330)
(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公開番号】特開2013-223618(P2013-223618A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2014年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021547
【氏名又は名称】株式会社コンパンプレイスケープ
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】中西 将之
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6071213(US,A)
【文献】 登録実用新案第3105958(JP,U)
【文献】 特開2006−95132(JP,A)
【文献】 実開昭49−94732(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3018867(JP,U)
【文献】 特開2002−166066(JP,A)
【文献】 インフレータブルトランポリン,ビーズ株式会社,2012年 4月14日,URL,https://web.archive.org/web/20120414165153/http://www.doppelganger-sports.jp/product/dtr01/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
A63B 5/11
E04H 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気注入によって環形状が維持される環状支持壁部(2)と、
前記環状支持壁部(2)の一端側を閉じるように覆うシート部(3)と、を有し、
前記シート部(3)を下面として設置して該下面および側面で囲まれる内部空間(18)を形成してプールとし、さらに、前記シート部(3)を上面(3a)として設置したとき、前記シート部(3)の上面(3a)の上方からの設定加重負荷(W)に対して、前記シート部(3)の環状支持壁部(2)の高さ方向の変形量(H1)が、前記環状支持壁部(2)の高さ(H0)よりも小さく設定され、前記シート部(3)の上面(3a)がトランポリンの飛び跳ね面として利用可能に構成され
前記環状支持壁部(2)の外周側面には、他の部材と連結可能な連結部(6)が突設されていると共に前記連結部(6)を覆う連結部カバー部材(15)が設けられたことを特徴とする遊戯具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊戯具に関し、特に、トランポリンやボールプールを含む複数の遊戯具として使用することができる遊戯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、簡易プールやトランポリンなど遊戯具は、一般家庭用から簡易遊園地など様々な用途に対応するものが各種提案され商品化されている。
この種の遊戯具において、例えば、特許文献1に開示されているプール用の遊戯具は、環状に形成した気室本体の開口部の上面側をシート材により全面的に被覆し、この気室本体の開口部内にシート材を下方から支承する支承気室を架設し、気室本体をプールの水面に浮べた状態で定置せしめる定置手段を設けて成る構造である。そして、水面に浮ぶ気室本体のシート材の弾性を利用して幼児が飛んだり跳ねたり、滑ったりしながら自然と水に慣れ、プールの遊びの楽しさを体験できるように構成されている。したがって、特許文献1に開示された遊戯具は、幼児用の比較的水深の浅いプール等に設置して、幼児が安全に且つ楽しく遊びながら水に慣れることのできるプール用の遊戯具を提供しようとしたものである。
【0003】
また、特許文献2には、遊戯具としてのトランポリンが記載されている。
この特許文献2に開示されたトランポリンは、飛び跳ねする面の中央に直立させた支柱を軸心にして旋回可能に該支柱上部に支えた円環状のリングを設け、このリングの周方向に適切な隔接間隔をもって当該リングから吊り下げた複数の伸縮自在な紐状部材それぞれに連結する吊輪が設置された構造となっている。
したがって、特許文献2に開示された遊戯具は、トランポリンの飛び跳ねする面の上方位置に吊輪が設けられたもので、この吊輪を持って遊戯者が飛び跳ねられるようにした構造であり、大人は勿論、体力未熟な児童や幼児も安全に、且つ楽しく吊輪を持ってその場で、あるいは周方向に回転移動しながら飛び跳ねて、種々の遊びや演技を集団で面白く行うことのできる遊戯具を提供しようとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2002−166066号公報
【特許文献2】2003−126289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲の遊戯具においては、何れも多数の部品を備えており組み立て構造が複雑である。したがって、それらの遊戯具を組み立てる際には、その固定・設置に多くの作業がかかるという課題があった。
また、特に特許文献2に記載されたトランポリンにおいては、重量物も多く使用されているために、設置や解体には、専門的な業者等が必要になり多くの作業時間を要する構造となっている。
また、前掲の遊戯具においては、その使用用途は、特許文献1に開示されたものはプール用の専用の遊戯具であり、特許文献2に開示されたものは、トランポリンとしてのみ使用する専用の遊戯具であり、夫々が単一の機能しか有していない。このため、他の機能を有する遊戯具を同じ場所に設置するときは、先に設置されていた遊戯具を解体撤去して改めて異なった遊戯具を設置しなければならない。また、他の遊戯具を追加設置するためには、設置スペースを確保する必要があるなど、遊戯具の種類を増やすなど顧客要望に答えるためには多くの課題があった。
また、前掲の遊戯具にあっては、安全性については、その使用対象が幼児や子供であるために、従来以上に高い安全性が求められている。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性に優れ、軽量であり且つ設置や解体が容易であること、複数の遊具として使用でき汎用性に優れている遊戯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、発明は、空気注入によって環形状が維持される環状支持壁部と、前記環状支持壁部の一端側を閉じるように覆うシート部と、を有し、前記シート部を下面として設置して該下面および側面で囲まれる内部空間を形成してプールとし、さらに、前記シート部を上面として設置したとき、前記シート部の上面の上方からの設定加重負荷に対して、前記シート部の環状支持壁部の高さ方向の変形量が、前記環状支持壁部の高さよりも小さく設定され、前記シート部の上面がトランポリンの飛び跳ね面として利用可能に構成され、前記環状支持壁部の外周側面には、他の部材と連結可能な連結部が突設されていると共に前記連結部を覆う連結部カバー部材が設けられたことを特徴とする遊戯具である。
【発明の効果】
【0008】
発明によれば、環状支持壁部を外周の支持枠としてシート部の上面を飛び跳ね面とするトランポリンとしたときに、シート部の上方からの所定の設定重量の負荷に対して、シート部の下方側(環状支持壁部の高さ方向)への変形量が、環状支持壁部の高さよりも小さく設定されているので、所定重量の人が飛び跳ねたときの重量による重量負荷がかかっても、シート部が床面に触れることなくトランポリンとして機能することができる。しかも、シート部を下面として設置したときは、シート部と環状支持壁部によって形成される内部空間にボール等を入れたボールプールとしても使用することができる。また、プールとトランポリンの使用形態を変更するには、上下を逆さまに設置し直すだけでよく、極めて容易に変更でき使い勝手に優れ且つ汎用性の高い遊戯具を提供することができる。
【0009】
また、本発明によれば、環状支持壁部の外周側面に、他の部材と連結可能な連結部が突設されていることにより、例えば、連結部に牽引用のロープ等を繋げることにより、水上牽引ボートとしても使用することができる。また、この連結部が連結部カバー部材によって覆われることにより、プールならびにトランポリンとして使用しているときには、連結部が露出しないので、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る遊戯具の一実施形態であって、ボールプールとして使用した時の斜視図である。
図2図1に示す遊戯具を上方から見た平面図である。
図3図1に示す遊戯具を側方から見た側面図である。
図4】本発明に係る遊戯具に用いる開口カバー部材の平面図である。
図5】本発明に係る遊戯具の一実施形態であって、トランポリンとして使用した時の斜視図である。
図6図5におけるJ−J線に沿った部分の断面図である。
図7】本発明に係る遊戯具の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図1図7を参照しながら説明する。
なお、本実施形態の添付図面については、符号の向きに見るものとし、本実施形態における説明における上下については、図2および図4以外は図面の符号の向きにみて上下として説明する。
【0012】
本実施形態の遊戯具1は、図1に示すように、例えば平面視で8角形の環形状の環状支持壁部2と、この環状支持壁部2の上下端の一端側を閉じるように覆うシート部3と、を有して構成されている。
そして、この環状支持壁部2は、空気注入によって浮き袋状に膨らむ、例えば合成樹脂製やゴム製の中空部材にて形成されている。また、環状支持壁部2の横断面形状は、例えば図6に示すように円形として形成されている。
また、環状支持壁部2の一端側を閉じるシート部3は、その材質について特に制限するものではないが、例えば合成樹脂、ゴム等にて形成することができ、図1に示す状態における表面が何の出っ張りも無い平らな面に形成されている。したがって、この中に子供が入って遊んでも安全性が確保されている。また、シート部3は、その材質としては、さらには強化繊維等を適宜織り込み或いはインサート成形して高弾力性且つ高強度の素材にて形成することがより望ましい。また、シート部3と環状支持壁部2との接続部分は、大きな引っ張り荷重にも耐えられるようしっかりと接続されている。
【0013】
なお、図1に示す使用形態では、シート部3を底面(下面)として設置されており、上方の開口5を備えて底面および側面(環状支持壁部2)を閉じる内部空間18が形成されて、この内部空間18内に、例えば合成樹脂製あるいはゴム製の弾性を有するボール11が多数入れられた遊戯用のボールプールとして設置されている。
【0014】
本実施形態においては、環状支持壁部2には、図2および図3にも示すように、その外周側に、空気の注入および排出を行う注排口4が複数設けられている。この注排口4は、図示は省略するが、逆止弁機能を持った構造である。すなわち、この注排口4から所定以上の空気圧によって空気を圧入できると共に注入を停止或いは完了した場合には、環状支持壁部2からの空気の排出が自動的に阻止される構造となっている。また、この注排口4は、所定の操作を行うことで、注排口4からの空気の排出が容易にできるように構成されている。
【0015】
また、本実施形態における環状支持壁部2の大きさは、特に制限するものではないが、例えば平面視での径方向の大きさ(D1)が数メートル程度、高さ(H0)が数十センチメートル程度にして、幼児や子供が遊びやすい大きさに構成することができる。
なお、この環状支持壁部2に空気を注入するには、例えば電動の送風ポンプや送風ファン等を内蔵した送風装置20を用いて、所定気圧以上の空気を送風パイプ21に送り、送風パイプ21から注排口4を介して注入する。
この注排口4は前述のように複数個設けられているが、本実施形態では、例えば、八角形の一つ置きの4辺に1つずつ設けられて合計4個設けられている。
【0016】
このように、本実施形態において、環状支持壁部2内への空気の注入あるいは排出する注排口4が4個(複数)設けられていることにより、作業性を向上させることができる。すなわち、遊戯具1の設置作業において、設置場所によっては注排口4が壁際などで作業しにくい場合もあるが、空気注入の場所を適宜選択することができるので、空気注入の作業性の悪化を回避でき作業性が良い。また、遊戯具1の撤去作業等においては、複数の注排口4を利用することで空気の排出の時間を短くでき、撤去作業を迅速に行うことができる。
【0017】
本実施形態においては、環状支持壁部2の外面には表示部13および表示部14が設けられている。この表示部13および表示部14は、例えば、遊戯具1の名称やロゴマーク、さらには必要な説明書き等の文字や図柄を示す部分である。そして、表示部13と表示部14とでは、その表示の仕方が相違し、上下逆さの文字等の表示がなされている。
すなわち、遊戯具1を、図1に示すようにボールプールとして使用しているときには、例えば、表示部14が正常な文字や図柄として認識できるように表示されている一方、他の表示部13には、表示部14とは上下逆さ(後述するトランポリンとして使用するときに正常に認識できるように)表示がなされている。
【0018】
このように本実施形態においては、環状支持壁部2の表示部13,14において、上下逆さの表示がなされていることにより、ボールプール(図1に示す使用形態)として使用するときやトランポリン(図5に示す使用形態)としてボールプールとは上下逆さに使用するときにおいて、いずれか一方の表示が認識し易い表示部13,14として機能し、文字や図柄を容易に認識することができる。
【0019】
本実施形態においては、環状支持壁部2には、シート部3とは反対側の開口5を覆う、例えば図3および図4に示すような開口カバー部材8が着脱自在に設けられる。
この開口カバー部材8は、図4に示すように、環状支持壁部2の平面形状(図2参照)に対応した略八角形状に構成されている。そして、開口カバー部材8には、環状支持壁部2の径D1にほぼ一致する八角形の覆い面部8bと、覆い面部8bの外周縁部に設けられた8個の長方形の固定部8aを備えている。
【0020】
この固定部8aは、長方形の短辺に沿った方向(環状支持壁部2の径方向)において環状支持壁部2の外周面に若干巻きつくようにしてしっかりと固定される。すなわち、この8つの固定部8aには、その長方形状の2つの短辺側のところに面ファスナー9,9が設けられており、環状支持壁部2の表面には、少なくとも面ファスナー9,9に対応する部位に、面ファスナー9,9を係止可能な他方の面ファスナー素材からなる表面材が設けられている。このように構成されることで、開口カバー部材8により開口5を容易に閉じたり空けたりすることができる。
なお、開口カバー部材8は、面ファスナー9,9が環状支持壁部2の外周面に巻きつくよう固定されることでしっかりと固定されるが、面ファスナーは図示のごとく短辺に沿った部分に限らず更に多くの係止部分を有するように構成してもよい。
【0021】
以下、図5および図6を参照して、本実施形態における遊戯具1をトランポリンとして使用するときの説明をする。
遊戯具1を図5および図6に示すトランポリンとして使用するには、シート部3の上面3aを飛び跳ね面として設置したとき、図6に示すように、シート部3の上面3aをその上方から押す力が加わるが、このときの想定の力を設定加重負荷Wとし、その設定加重負荷Wに対して、シート部3の下方側(環状支持壁部2の高さ方向)への変形量H1(図6における一点鎖線にて示す上面3cの位置)の最大変形量が、環状支持壁部2の高さH0よりも小さく設定されている。このように構成されていることで、シート部3が床30に接触しないことが保障され、トランポリンとして安全に使用することができる。
【0022】
なお、ここで云う飛び跳ね面である上面3aに加わる設定加重負荷Wとは、例えば、以下のように定義することができる。すなわち、例えば、50kgの体重の人10が1mの上下動(飛び跳ね)したときに加わる荷重負荷とし、かつこの飛び跳ねを、例えば一人で上面3aの中央(変形量H1が最も大きくなる位置)において行なう時というように定義することができる。したがって、設定加重負荷Wによる変形量H1が、環状支持壁部2の高さH0よりも小さく設定されていれば、遊戯具1はトランポリンとして機能することになる。
【0023】
なお、ここに示す前掲の体重や上下動の大きさの設定数値、さらには、人員数などの設定数は単なる一例であって、これに限定されるものではなく、安全を期するために十分な数値設定を行うものであり、使用する人が大人か子供或いは幼児か等に加えて、遊戯具1の大きさや素材等によって適宜設定されるものである。すなわち、設定加重負荷Wによる変形量H1は、前掲の設定加重負荷Wの条件に加えて、シート部3の伸び量(素材により特定される)や環状支持壁部2の実質的剛性(環状支持壁部2の素材および空気圧によって確定される変形し難さなど)に左右されるものである。
【0024】
本実施形態においては、シート部3の伸び量ならびに環状支持壁部2内の空気圧等については、その最適値が適宜設定されている。したがって、シート部3の上面3aを飛び跳ね面として設置してトランポリンとしたときに、シート部3の上方からの人10が飛び跳ねたときに、シート部3の下方への変形量H1が、環状支持壁部2の高さよりも小さくなっており、シート部3が床面30に触れることなく安全に飛び跳ねることができる。
【0025】
以下、本実施形態において、ボールプールとして使用した後にトランポリンとして使用するときの使用形態変更作業について説明する。
まず、ボールプール(図1に示す使用状態)として使用した遊戯具1を、図5に示すように上下逆さまにしてトランポリンとするのであるが、このとき、図3に示すように、開口カバー部材8を、ボール11を入れたまま開口5に被せる。
【0026】
次に、開口カバー部材8を環状支持壁部2にしっかりと固定し、この状態の遊戯具1を、上下逆様に反転させて設置し直す。この作業で、ボールプールからトランポリンへの設置変更が完了する。この遊戯具1は非常に軽く構成されているので、これを反転させる作業は、例えば、女性2名程度で行うことができ、極めて簡単に行うことができる。
【0027】
このように環状支持壁部2に、シート部3とは反対側の開口5を覆う開口カバー部材8が着脱自在に構成されていることにより、環状支持壁部2の内部空間18を閉塞する空間とすることができ、ボール11を入れたままの状態で遊戯具1を反転することができ、極めて容易にトランポリンとして設置し直すことができる。また、トランポリンからボールプールとして設置し直す場合は、遊戯具1を上下反転させてから開口カバー部材8を取り外すだけでよい。
【0028】
このように本実施形態においては、ボール11を、ボールプールから出して別のところに片付ける必要がなく、図6に示すような状態でトランポリンとして使用するので、ボール11の片付け作業もなく設置変更作業を迅速にできるとともに、図1に示すようなボールプールとして使用する場合にも極めて簡単な作業のみでよい。
【0029】
また、本実施形態においては、遊戯具1をトランポリンとして使用しているときにおいては、シート部3の下方への負荷がかかり、環状支持壁部2には、例えば、環状支持壁部2の上面外側を内側に引っ張り込むような引張り力F1(図6参照)が作用する。このように環状支持壁部2の開口5側が外側に引っ張られるような引張り力F1が加わるが、本実施形態では開口カバー部材8をしっかりと張るように取り付けられていることにより、この引張り力F1に対抗する反力を付与することができ、トランポリンとしての剛性を高めることができトランポリンとしての安定感を向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、開口カバー部材8を取り付けて形成された内部空間18に弾性を有する多数のボール11が収納されていることで、新たな機能を発揮することができる。
これは、内部空間18に弾性を有する多数のボール11が収納されていると、遊戯具1を図6に示すようなトランポリンとして使用したとき、例えば、環状支持壁部2内の空気圧の減少等によりシート部3が所定の変形量H1よりも大きく変形して沈み込んだときに、シート部3aの床30への接触が回避される。すなわち、シート部3が床30に接触しそうな状態(図6における2点鎖線にて示すように飛び跳ね面である上面3iが下がった状態)になってしまった場合でも、シート部3と床30の間にボール11があるので、ボール11が緩衝部材として機能する。この結果、シート部3が床30に当接することが回避され、遊戯具1の安全性を高めることができる。
【0031】
本実施形態においては、図1および図7に示すように、環状支持壁部2の外周側面には、他の部材と連結可能な一対の連結部6,6が突設されている。さらに、この連結部6,6は、連結部カバー部材15により覆われるように構成されている。
本実施形態においては、連結部6,6は、例えば縦方向が貫通した貫通穴6aを備えた断面半円環状の構造で横に並んで設けられている。この一対の連結部6,6は、環状支持壁部2の外周側面から径方向外側に突出する構造となっている。そして、例えば、この貫通穴6aにロープなどの連結手段を通して他のものと繋げることができる。
【0032】
また、この連結部6,6は、例えば布や他の柔らかいフレキシブルな部材にて構成された連結部カバー部材15により覆われている。すなわち、この連結部6,6は、連結を維持するために比較的硬い合成樹脂等により形成されているために、連結部カバー部材15にて覆うことで、遊戯具1としての安全性を保障している。この連結部カバー部材15は、その上側の一端部が環状支持壁部2の外周側面に取り付けられており、先端側(図7において下側)の内側には、例えば面ファスナー15aが設けられており、この面ファスナー15aを連結部6,6の下側に取り付けるようにして連結部6,6を覆うようになされ、先端側を取り外す(図7中の矢印に捲り上げる)ことで連結部6,6が露出して連結が可能なる。
【0033】
このように環状支持壁部2の外周側面に、他の部材と連結可能な連結部6,6が突設されていることで、連結部6,6に牽引用のロープ等を繋げることができる構成により、例えば、水上牽引ボートとしても使用することができ、また、この連結部6,6が連結部カバー部材15によって覆われることにより、プールならびにトランポリンとして使用しているときには、連結部6,6が露出せず安全性が高められている。
【0034】
以上、本発明の前掲の実施形態における遊戯具1の環状支持壁部2の平面形状については8角形としたが、本発明においてはこれになんら限定されるものではなく、3角形以上の多角形、円形とすることができる。また、前掲の実施形態においては、環状支持壁部2の横断面形状を円形としたが、これに限らず四角形やその他多角形にしても良い。また、注排口4の数に関しても前掲の実施形態に限らす適宜設定でき、また、環状支持壁部2を一つの中空空間としたが、複数の中空空間に分けるような構造であってもよい。また、本発明においては、連結部6,6の形状においても前掲の実施形態に限らず種々変更できるものである。
【符号の説明】
【0035】
1 遊戯具
2 環状支持壁部
3 シート部
3a 上面(飛び跳ね面)
4 注排口
5 開口
6 連結部
8 開口カバー部材
9 面ファスナー
10 人
11 ボール
13,14 表示部
15 連結部カバー部材
20 送風装置
21 送風パイプ
30 床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7