(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919081
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20160428BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
H02G3/14
B60R16/02 610A
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-98073(P2012-98073)
(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公開番号】特開2013-226019(P2013-226019A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】池田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】酒井 太志
【審査官】
岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−143200(JP,A)
【文献】
特開2007−188794(JP,A)
【文献】
特開2007−195319(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0211284(US,A1)
【文献】
特開平10−50408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
B60R 16/02
H05K 5/03
H05K 7/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にジャンクションボックスを収容できる空間と側壁にコネクタ挿通孔を備えた、上部開口を有するシールドケースと、前記収容空間に収容されたジャンクションボックスと、前記コネクタ挿通孔に設けられた外部接続用高圧コネクタと、前記シールドケースの前記上部開口を塞ぐケースカバーと、前記外部接続用高圧コネクタに嵌合される相手側コネクタと、を備えた電気接続箱であって、
(a)前記ジャンクションボックス側にジャンクションボックス側インターロックコネクタと前記ケースカバー側にケースカバー側インターロックコネクタとを設け、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着されている状態でのみ前記ケースカバー側インターロックコネクタと前記ジャンクションボックス側インターロックコネクタとが嵌合して前記ジャンクションボックス内に電流が流れ、
(b)前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合状態をロックするコネクタロック部を前記相手側コネクタのハウジングの水平方向一側の側壁に嵌合・離脱方向にスライド可能に設け、前記コネクタロック部が前記嵌合・離脱方向の嵌合側に押し込まれたロック位置にあるときに前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除不能とし、前記コネクタロック部が前記ロック位置から前記嵌合・離脱方向の離脱側にスライドさせたときにのみ前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除可能とし、
(c)前記コネクタロック部へのアクセスを邪魔する第1邪魔板を前記ケースカバーに設け、前記第1邪魔板は、前記ケースカバーの端部から延出して成る長尺状延出部から前記嵌合・離脱方向及び上下方向に平行に下方に向けて延びる平板であり、前記第1邪魔板は、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着され、且つ、前記コネクタロック部が前記ロック位置にある状態にて、前記コネクタロック部の前記水平方向一側の側方を覆うように配置されたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
内部にジャンクションボックスを収容できる空間と側壁にコネクタ挿通孔を備えた、上部開口を有するシールドケースと、前記収容空間に収容されたジャンクションボックスと、前記コネクタ挿通孔に設けられた外部接続用高圧コネクタと、前記シールドケースの前記上部開口を塞ぐケースカバーと、前記外部接続用高圧コネクタに嵌合される相手側コネクタと、を備えた電気接続箱であって、
(a)前記ジャンクションボックス側にジャンクションボックス側インターロックコネクタと前記ケースカバー側にケースカバー側インターロックコネクタとを設け、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着されている状態でのみ前記ケースカバー側インターロックコネクタと前記ジャンクションボックス側インターロックコネクタとが嵌合して前記ジャンクションボックス内に電流が流れ、
(b)前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合状態をロックするコネクタロック部を前記相手側コネクタのハウジングの水平方向一側の側壁に嵌合・離脱方向にスライド可能に設け、前記コネクタロック部が前記嵌合・離脱方向の嵌合側に押し込まれたロック位置にあるときに前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除不能とし、前記コネクタロック部が前記ロック位置から前記嵌合・離脱方向の離脱側にスライドさせたときにのみ前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除可能とし、
(c)前記コネクタロック部のスライドを邪魔する第2邪魔板を前記ケースカバーに設け、前記第2邪魔板は、前記ケースカバーの端部から延出して成る長尺状延出部から前記嵌合・離脱方向と垂直に下方に向けて延びる平板であり、前記第2邪魔板は、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着され、且つ、前記コネクタロック部が前記ロック位置にある状態にて、前記コネクタロック部の前記嵌合・離脱方向の離脱側の端部を覆うように配置されたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項3】
前記各邪魔板は前記長尺状延出部の先端に一体に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーやヒューズなどの電気部品を装着する電気接続箱に関し、特に、安全性の向上を図った電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車を含む電気自動車には、バッテリとインバータなどを相互に電気的に接続するために、従来から電気接続箱が搭載されてきた(特許文献1参照)。
本発明が対象としている電気接続箱は、シールドケースと、シールドケース内に収容されるジャンクションボックスと、ジャンクションボックスに備えられるヒューズやリレーなどの電気部品を外部のバッテリやインバータなどの電子機器と電気接続するワイヤハーネスと、シールドケースの上部開口を塞ぐケースカバーを備えている。
【0003】
〈従来の電気接続箱〉
図12は従来の電気接続箱の分解斜視図である。
図12において、従来の電気接続箱1’は、シールドケース10と、シールドケース10内に収容されるジャンクションボックス20と、ジャンクションボックス20に設けられるヒューズやリレーなどの電気部品を外部のバッテリとインバータなどの電子機器を電気的接続するワイヤハーネス30と、シールドケース10の上部開口を塞ぐケースカバー40’とから成っている。
【0004】
〈シールドケース10〉
シールドケース10は立方体状をした金属製の箱で、内部に大きな収容空間があり、この収容空間にジャンクションボックス20が収納される。シールドケース10の一側壁に3つのコネクタ挿通孔10S1、10S2、10S3と、これと対向する側壁にコネクタ挿通孔10S4が設けられ、さらに底部にはボルト締結用ボス10Bが立設されている。
【0005】
〈ジャンクションボックス20〉
ジャンクションボックス20(
図12)は、ヒューズやリレーなどの電気部品、およびこれらの電気部品に給電するコネクタ等を装着している。
ジャンクションボックス20をシールドケース10の内部空間に収容し、固定するためにボルト孔20Bが3箇所に設けられており、このボルト孔20Bがボルト締結用ボス10Bの上に重ねられ、ボルトBをねじ込むことで両者が締結される。
さらに、ジャンクションボックス20には、後述するジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lが隅部に1個設けられている。
【0006】
〈ワイヤハーネス30〉
ワイヤハーネス30は、4個のワイヤハーネス31、32、33、34から成る。
各ワイヤハーネス31、32、33、34は、それぞれジャンクションボックス20内のコネクタと接続されるためのコネクタ31C、32C、33C、34Cと、各コネクタ31C、32C、33C、34Cに接続された各電線31W、32W、33W、34Wと、各電線31W、32W、33W、34Wに接続された外部接続用高圧コネクタ31S、32S、33S、34Sとから構成されている。特に、コネクタ31C、32C、33Cはオス側高圧コネクタである。
【0007】
〈ケースカバー40’〉
ケースカバー40’は、シールドケース10の上部開口を塞ぐ金属製薄板で、シールドケース10の上部外周とほぼ同じ形状をしており、周囲にある複数のネジ孔40NにネジNを通してシールドケース10のネジ孔10Nに固定される。
さらに、ケースカバー40’の裏側(シールドケース側)には、ケースカバー側インタロックコネクタ40Lが、前述のジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lに対向する部位に1個設けられている。
【0008】
《インタロックコネクタ20Lと40Lの機能》
ケースカバー40’がシールドケース10に装着されると、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lは嵌合するようになり、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lが嵌合した状態でのみジャンクションボックス20内に電流が流れるようになる。
この機能は、例えば、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lとのそれぞれに金属接触端子を備えており、それぞれの金属接触端子が接触すると検知電流が流れるようにしておく。一方、ワイヤハーネスに流れる電流を入り切りするための常開接点をワイヤハーネス電流主回路中に設けておき、検知電流が流れるとその常開接点が閉じてワイヤハーネスに電流が流れ、逆に、検知電流が流れなくなると常開接点が開いてワイヤハーネスに電流が流れなくなる。
このようにしておくと、シールドケース10にケースカバー40’が装着されるとジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lが嵌合するので、それぞれの金属接触端子が接触して検知電流が流れて常開接点が閉じ、ジャンクションボックス20内に電流が流れるが、シールドケース10からケースカバー40’を外すとジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lが離脱するので、金属接触端子が非接触となり、検知電流が流なくなるため常開接点が開き、ジャンクションボックス20内に電流が流れなくなる。
【0009】
〈メス側高圧コネクタ50〉
メス側高圧コネクタ50を構成する各メス側高圧コネクタ51、52、53は、ワイヤハーネス31、32、33のオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sと嵌合する。各メス側高圧コネクタ51、52、53には次のようなコネクタロック部51R、52R、53Rが備わっている。
【0010】
《コネクタロック部51R、52R、53R》
コネクタロック部51R、52R、53Rは、メス側高圧コネクタ51、52、53のハウジング51H、52H、53H内のコネクタ嵌合部近傍にスライド可能に設けられた長尺部材であり、コネクタロック部51R、52R、53Rがハウジング51H、52H、53H内に押し込まれた状態では、メス側高圧コネクタ51、52、53はオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから外すことができなくなっており、コネクタロック部51R、52R、53Rがハウジング51H、52H、53Hから引き出された状態ではじめてメス側高圧コネクタ51、52、53はオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから取り外すことができるようになっている。
このようにメス側高圧コネクタ51、52、53とオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sの嵌合はワンアクションでは外れないようになっており、コネクタロック部51R、52R、53Rをハウジング51H、52H、53Hから前方にスライドさせる動作がなされてようやくメス側高圧コネクタ51、52、53をオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから取り外すことができる。
【0011】
〈従来の電気接続箱1’の安全性〉
図14は
図13のシールドケースを
図13のケースカバーで覆った従来の電気接続箱の斜視図である。
図14において、シールドケース10にはケースカバー40’が装着された従来の電気接続箱1’を示している。
図14の電気接続箱1’においては、シールドケース10にケースカバー40’が装着されているので、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20L(
図13)とケースカバー側インタロックコネクタ40L(
図13)が嵌合しており、ジャンクションボックス20内には電流が流れることが可能となる。
また、コネクタロック部51R、52R、53Rは、ハウジング51H、52H、53H内に押し込まれた状態にあるので、
図14の状態ではメス側高圧コネクタ51、52、53はオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから外れなくなっており、電気接続箱1’の安全性が保たれている。
【0012】
〈従来の電気接続箱1’の問題点〉
ところが、ハウジング51H、52H、53H内に押し込まれた状態にあるコネクタロック部51R、52R、53Rを摘んで前方にスライドさせることは、いつでも可能なので、
図14の状態の電気接続箱1’において、コネクタロック部51R、52R、53Rを前方にスライドさせることは可能であり、そうするとシールドケース10にケースカバー40’が装着されたまま(すなわち、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lが嵌合したまま)なのでジャンクションボックス20内に電流が流れた状態で、メス側高圧コネクタ51、52、53をオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから外すことができてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−168218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
〈本発明の課題〉
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、ジャンクションボックス内に電流が流れているときはコネクタロック部が動けないようにして、メス側高圧コネクタとオス側高圧コネクタコネクタとの嵌合を離脱できないようにした電気接続箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気接続箱(1)〜(3)は次のことを特徴としている。
(1)内部にジャンクションボックスを収容できる空間と側壁にコネクタ挿通孔を備えた
、上部開口を有するシールドケースと、前記収容空間に収容されたジャンクションボックスと、前記コネクタ挿通孔に設けられた外部接続用高圧コネクタと、前記シールドケースの
前記上部開口を塞ぐケースカバーと、前記外部接続用高圧コネクタに嵌合される相手側コネクタと、を備えた電気接続箱であって、
(a)前記ジャンクションボックス側にジャンクションボックス側インターロックコネクタと前記ケースカバー側にケースカバー側インターロックコネクタとを設け、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着されている状態でのみ前記ケースカバー側インターロックコネクタと前記ジャンクションボックス側インターロックコネクタとが嵌合して前記ジャンクションボックス内に電流が流れ、
(b)前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合状態をロックする
コネクタロック部を前記相手側コネクタのハウジングの水平方向一側の側壁に嵌合・離脱方向にスライド可能に設け、前記コネクタロック部が前記嵌合・離脱方向の嵌合側に押し込まれたロック位置にあるときに前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除不能とし、前記コネクタロック部が前記ロック位置から前記嵌合・離脱方向の離脱側にスライドさせたときにのみ前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除可能とし、
(c)前記コネクタロック部へのアクセスを邪魔する第1邪魔板を前記ケースカバーに設け
、前記第1邪魔板は、前記ケースカバーの端部から延出して成る長尺状延出部から前記嵌合・離脱方向及び上下方向に平行に下方に向けて延びる平板であり、前記第1邪魔板は、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着され、且つ、前記コネクタロック部が前記ロック位置にある状態にて、前記コネクタロック部の前記水平方向一側の側方を覆うように配置されたこと。
(2)内部にジャンクションボックスを収容できる空間と側壁にコネクタ挿通孔を備えた
、上部開口を有するシールドケースと、前記収容空間に収容されたジャンクションボックスと、前記コネクタ挿通孔に設けられた外部接続用高圧コネクタと、前記シールドケースの
前記上部開口を塞ぐケースカバーと、前記外部接続用高圧コネクタに嵌合される相手側コネクタと、を備えた電気接続箱であって、
(a)前記ジャンクションボックス側にジャンクションボックス側インターロックコネクタと前記ケースカバー側にケースカバー側インターロックコネクタとを設け、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着されている状態でのみ前記ケースカバー側インターロックコネクタと前記ジャンクションボックス側インターロックコネクタとが嵌合して前記ジャンクションボックス内に電流が流れ、
(b)前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合状態をロックする
コネクタロック部を前記相手側コネクタのハウジングの水平方向一側の側壁に嵌合・離脱方向にスライド可能に設け、前記コネクタロック部が前記嵌合・離脱方向の嵌合側に押し込まれたロック位置にあるときに前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除不能とし、前記コネクタロック部が前記ロック位置から前記嵌合・離脱方向の離脱側にスライドさせたときにのみ前記外部接続用高圧コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合を解除可能とし、
(c)前記コネクタロック部のスライドを邪魔する第2邪魔板を前記ケースカバーに設け
、前記第2邪魔板は、前記ケースカバーの端部から延出して成る長尺状延出部から前記嵌合・離脱方向と垂直に下方に向けて延びる平板であり、前記第2邪魔板は、前記ケースカバーが前記シールドケースに装着され、且つ、前記コネクタロック部が前記ロック位置にある状態にて、前記コネクタロック部の前記嵌合・離脱方向の離脱側の端部を覆うように配置されたこと。
(3)前記各邪魔板は、上記(1)または(2)記載の電気接続箱において、前
記長尺状延出部の先端に一体に形成されていること。
【発明の効果】
【0016】
上記発明によれば、ジャンクションボックス内に電流が流れているときはケースカバーがシールドケースに装着されているので、ケースカバーの邪魔板がコネクタロック部へのアクセスまたはコネクタロック部のスライドを邪魔しているため、コネクタロック部がスライドできず、したがって、メス側高圧コネクタとオス側高圧コネクタコネクタとの嵌合を離脱することができない。これによって、電流が流れている状態でメス側高圧コネクタとオス側高圧コネクタコネクタを外すことがなくなり、安全性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
【
図2】
図2はジャンクションボックスとワイヤハーネスを収容したシールドケースと、このシールドケースを覆う第1実施形態に係るケースカバーとを離した状態で示す斜視図である。
【
図3】
図3は
図2のシールドケースを
図2のケースカバーで覆った完成品としての電気接続箱の斜視図である。
【
図4】
図4はコネクタロックが分かるように
図3の電気接続箱をより正面側から見た斜視図である。
【
図6】
図6(A)は第1実施形態に係るケースカバーの作用を説明する側面図で、
図6(B)は
図6(A)矩形部分の拡大図である。
【
図7】
図7は本発明の第2実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
【
図8】
図8はジャンクションボックスとワイヤハーネスを収容したシールドケースと、このシールドケースを覆う第2実施形態に係るケースカバーとを離した状態で示す斜視図である。
【
図9】
図9は
図8のシールドケースを
図8のケースカバーで覆った完成品としての電気接続箱の斜視図である。
【
図11】
図11(A)は第2実施形態に係るケースカバーの作用を説明する側面図で、
図11(B)は
図11(A)矩形部分の拡大図である。
【
図13】
図13はジャンクションボックスとワイヤハーネスを収容したシールドケースと、このシールドケースを覆う従来のケースカバーとを離した状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ジャンクションボックス内に電流が流れているときはメス側高圧コネクタとオス側高圧コネクタコネクタとの嵌合を離脱することができないようにした本発明に係る電気接続箱について、その第1実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明し、第2実施形態については
図7〜
図11に基づいてそれぞれ説明する。
【0019】
〈本発明の第1実施形態〉
図1は本発明の第1実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
図1において、本発明の第1実施形態に係る電気接続箱1Aは、シールドケース10と、シールドケース10内に収容されるジャンクションボックス20と、ジャンクションボックス20に設けられるヒューズやリレーなどの電気部品を外部のバッテリとインバータなどの電子機器を電気的接続するワイヤハーネス30と、シールドケース10の上部開口を塞ぐ本発明に係るケースカバー40Aとから成っている。
【0020】
〈シールドケース10〉
シールドケース10は立方体状をした金属製の箱で、内部に大きな収容空間があり、この収容空間にジャンクションボックス20が収納される。シールドケース10の一側壁に3つのコネクタ挿通孔10S1、10S2、10S3と、これと対向する側壁にコネクタ挿通孔10S4が設けられ、さらに底部にはボルト締結用ボス10Bが立設されている。
【0021】
〈ジャンクションボックス20〉
ジャンクションボックス20は、ヒューズやリレーなどの電気部品、およびこれらの電気部品に給電するコネクタ等を装着している。
ジャンクションボックス20をシールドケース10の内部空間に収容し、固定するためにボルト孔20Bが3箇所に設けられており、このボルト孔20Bがボルト締結用ボス10Bの上に重ねられ、ボルトBをねじ込むことで両者が締結される。
さらに、ジャンクションボックス20には、後述するジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lが隅部に1個設けられている。
【0022】
〈ワイヤハーネス30〉
ワイヤハーネス30は、4個のワイヤハーネス31、32、33、34から成る。
各ワイヤハーネス31、32、33、34は、それぞれジャンクションボックス20内のコネクタと接続されるためのコネクタ31C、32C、33C、34Cと、各コネクタ31C、32C、33C、34Cに接続された各電線31W、32W、33W、34Wと、各電線31W、32W、33W、34Wに接続された外部接続用高圧コネクタ31S、32S、33S、34Sとから構成されている。特に、31S、32S、33Sはオス側高圧コネクタである。
【0023】
〈第1実施形態に係るケースカバー40A〉
第1実施形態に係るケースカバー40Aは、シールドケース10の上部開口を塞ぐ金属製薄板で、シールドケース10の上部外周とほぼ同じ形状をしており、周囲にある複数のネジ孔40NにネジNを通してシールドケース10のネジ孔10Nに固定される。
さらに、ケースカバー40Aの裏側(シールドケース側)には、ケースカバー側インタロックコネクタ40Lが、前述のジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lに対向する部位に1個設けられている。ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lの機能は次のとおりである。
【0024】
《インタロックコネクタ20Lと40Lの機能》
ケースカバー40Aがシールドケース10に装着されると、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lは嵌合するようになり、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lが嵌合した状態でのみジャンクションボックス20内に電流が流れるようになる。
この機能は、例えば、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lとのそれぞれに金属接触端子を備えて、それぞれの金属接触端子が互いに接触すると検知電流が流れるようにしておく。一方、ワイヤハーネスに流れる電流を入り切りするための常開接点をワイヤハーネス電流回路中に設けておき、検知電流が流れるとその常開接点が閉じてワイヤハーネスに電流が流れ、逆に、検知電流が流れなくなると常開接点が開いてワイヤハーネスに電流が流れなくなるようにしている。
このようにしておくと、シールドケース10にケースカバー40Aが装着されるとジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lが嵌合するので、それぞれの金属接触端子が接触して検知電流が流れて常開接点が閉じ、ジャンクションボックス20内に電流が流れる。また、シールドケース10からケースカバー40Aを外すとジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lが離脱するので、金属接触端子が非接触となり、検知電流が流れなくなるため常開接点が開き、ジャンクションボックス20内に電流が流れなくなる。以上の構成は従来のケースカバー40’(
図12)と同じである。
第1実施形態に係るケースカバー40Aが従来のケースカバー40’と異なるのは、ケースカバー40Aには、コネクタロック部51R、52R、53Rへのアクセスを邪魔する第1邪魔板40V1、40V2、40V3が、ケースカバー40Aの端部40Eから延出して成る長尺状延出部40Pの先端側部を下方に曲折して形成されている点である。
第1邪魔板40V1、40V2、40V3については、後述する。
【0025】
〈メス側高圧コネクタ50〉
メス側高圧コネクタ50を構成する各メス側高圧コネクタ51、52、53は、ワイヤハーネス31、32、33のオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sと嵌合する。各メス側高圧コネクタ51、52、53には次のようなコネクタロック部51R、52R、53Rが備わっている。
【0026】
《コネクタロック部51R、52R、53R》
図2はジャンクションボックスとワイヤハーネスを収容したシールドケースと、このシールドケースを覆う第1実施形態に係るケースカバーとを離した状態で示す斜視図である。
図2において、コネクタロック部51R、52R、53Rは、メス側高圧コネクタ51、52、53のハウジング51H、52H、53H内のコネクタ嵌合部近傍にスライド可能に設けられた長尺部材であり、コネクタロック部51R、52R、53Rがハウジング51H、52H、53H内に押し込まれた状態では、メス側高圧コネクタ51、52、53はオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから外すことができなくなっており、コネクタロック部51R、52R、53Rがハウジング51H、52H、53Hから引き出された状態ではじめてメス側高圧コネクタ51、52、53はオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから取り外すことができるようになっている。
このようにメス側高圧コネクタ51、52、53とオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sの嵌合はワンアクションでは外れないようになっており、コネクタロック部51R、52R、53Rをハウジング51H、52H、53Hから前方にスライドさせる動作がなされて、ようやくメス側高圧コネクタ51、52、53をオス側高圧コネクタコネクタ31S、32S、33Sから取り外すことができる。
【0027】
《第1邪魔板40V1、40V2、40V3の形状》
第1実施形態に係るケースカバー40Aは略矩形をしており、嵌合方向前方側(
図2で左手前側)の辺40Eから所定の長さL1だけ前方に平坦に延びる長尺状の平坦延出部40Pがあり、この平坦延出部40Pの前方側方から下方に向けて3個の第1邪魔板40V1、40V2、40V3が曲折して形成されている。3個の第1邪魔板40V1、40V2、40V3の間隔は、コネクタロック部51R、52R、53Rの間隔と一致している。所定の長さL1は、ケースカバー40Aがシールドケース10に装着された
図3の状態で、第1邪魔板40V1、40V2、40V3の下方先端がコネクタロック部51R、52R、53Rの側方を塞ぐ長さである。
【0028】
《第1邪魔板40V1、40V2、40V3の機能》
図3は
図2のシールドケースを第1実施形態に係るケースカバーで覆った完成品としての電気接続箱の斜視図、
図4はコネクタロックが分かるように
図3の電気接続箱をより正面側から見た斜視図、
図5は
図3および
図4の電気接続箱の正面図である。
3個の第1邪魔板40V1、40V2、40V3の下方へ延びる長さL2は、ケースカバー40Aがシールドケース10に装着された
図3の状態で、第1邪魔板40V1、40V2、40V3の下方先端がコネクタロック部51R、52R、53Rの側方かそれよりも若干下方まで達する長さである。
そこで、第1実施形態に係るケースカバー40Aがシールドケース10に装着されると、
図3〜
図5から判るように、ケースカバー40Aに延出された3個の第1邪魔板40V1、40V2、40V3の下方先端がそれぞれコネクタロック部51R1、52R、53Rの側方を塞いだ状態になる。
したがって、例えばコネクタロック部53Rを手で摘んで前方にスライドさせようとしても、第1邪魔板40V3が邪魔になってコネクタロック部53Rを摘むことができない。
【0029】
《第1邪魔板40V1、40V2、40V3の機能の具体的説明》
図6(A)は第1実施形態に係るケースカバーの上記機能を説明する側面図で、
図6(B)は
図6(A)矩形部分の拡大図である。シールドケース10にケースカバー40Aが装着されると、ケースカバー40Aに延出された3個の第1邪魔板40V1、40V2、40V3の下方先端は、
図6のように、コネクタロック部51R1、52R、53Rの側方を塞いだ状態(
図6はコネクタロック部53Rの例で示してる。)になっている。したがって、コネクタロック部53Rを摘んで矢印方向にスライドさせようとしても、第1邪魔板40V3が邪魔になってコネクタロック部53Rをそもそも摘むことすらできない。
したがって、電流が流れている(シールドケース10にケースカバー40Aが装着されている)状態でメス側高圧コネクタ53をオス側高圧コネクタコネクタ33Sから取り外すことができないため、安全が確保されている。
メス側高圧コネクタ53をオス側高圧コネクタコネクタ33Sから取り外すことができるようになるのは、第1邪魔板40V3がコネクタロック部53Rの側方を覆わなくなったとき、すなわちシールドケース10からケースカバー40Aが外されたときであり、これはとりもなおさず、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20L(
図2)とケースカバー側インタロックコネクタ40L(
図2)が離脱しているので、電流が流れなくなっており、これにより安全性が確保される。
【0030】
〈変形例〉
第1邪魔板40V1、40V2、40V3はケースカバー40Aの金属板と一体に打ち抜き成形して製作したが、もちろん別部品として作って、後でケースカバー40Aに取り付けて一体にしてもよい。
【0031】
〈本発明の第2実施形態〉
図7は本発明の第2実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
図7において、本発明の第2実施形態に係る電気接続箱1Bは、シールドケース10と、シールドケース10内に収容されるジャンクションボックス20と、ジャンクションボックス20に設けられるヒューズやリレーなどの電気部品を外部のバッテリとインバータなどの電子機器を電気的接続するワイヤハーネス30と、シールドケース10の上部開口を塞ぐ本発明に係るケースカバー40Bとから成っている。
シールドケース10、ジャンクションボックス20、ワイヤハーネス30、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20Lとケースカバー側インタロックコネクタ40Lの機能、メス側高圧コネクタ50、コネクタロック部51R、52R、53Rは、第1実施形態と同じなので、説明は割愛する。
【0032】
〈第2実施形態に係るケースカバー40B〉
第1実施形態に係るケースカバー40Aと第2実施形態に係るケースカバー40Bが異なるのは、長尺状延出部の先端から下方に曲折する下方先端の曲折位置である。
【0033】
《第2邪魔板40R1、40R2、40R3の形状》
第2実施形態に係るケースカバー40Bは略矩形をしており、嵌合方向前方側(
図8で左手前側)の辺40Eから所定の長さL1だけ前方に平坦に延びる長尺状の平坦延出部40Pがあり、この平坦延出部40Pの前方から下方に向けて3個の第2邪魔板40R1、40R2、40R3が曲折して形成されている。一方、第1実施形態では平坦延出部40Pの側方から下方に向けて形成されていた。
3個の第2邪魔板40R1、40R2、40R3の間隔は、コネクタロック部51R、52R、53Rの間隔と一致している。所定の長さL1は、ケースカバー40Bがシールドケース10に装着された
図9の状態で、第2邪魔板40R1、40R2、40R3の下方先端がコネクタロック部51R、52R、53Rの直前を塞ぐ長さである。
【0034】
《第2邪魔板40R1、40R2、40R3の機能》
図9は
図8のシールドケースを第2実施形態に係るケースカバーで覆った完成品としての電気接続箱の斜視図、
図10は
図9の電気接続箱の正面図である。
3個の第2邪魔板40R1、40R2、40R3の下方へ延びる長さL2は、ケースカバー40Bがシールドケース10に装着された
図9の状態で、第2邪魔板40R1、40R2、40R3の下方先端がコネクタロック部51R、52R、53Rのスライドする位置かそれよりも若干下方まで達する長さである。
そこで、第2実施形態に係るケースカバー40Bがシールドケース10に装着されると、
図9および
図10から判るように、ケースカバー40Bに延出された3個の第2邪魔板40R1、40R2、40R3の下方先端がコネクタロック部51R、52R、53Rの直前を塞いだ状態になる。したがって、コネクタロック部53Rを摘んで図で手前にスライドさせようとしても、第2邪魔板40R3が邪魔になってコネクタロック部53Rスライドさせることができない。
【0035】
《第2邪魔板40R1、40R2、40R3の機能の具体的説明》
図11(A)は第2実施形態に係るケースカバーの上記機能を説明する側面図で、
図11(B)は
図11(A)矩形部分の拡大図である。シールドケース10にケースカバー40Bが装着されると、ケースカバー40Bに延出された3個の第2邪魔板40R1、40R2、40R3の下方先端は、
図11のように、コネクタロック部51R、52R、53Rの直前を塞いだ状態(
図11はコネクタロック部53Rの例で示してる。)になっている。したがって、コネクタロック部53Rを摘んで矢印方向にスライドさせようとしても、第2邪魔板40R3が邪魔になってコネクタロック部53Rを矢印方向にスライドさせることができない。したがって、電流が流れている(シールドケース10にケースカバー40Bが装着されている)状態でメス側高圧コネクタ53をオス側高圧コネクタコネクタ33Sから取り外すことができないため、安全が確保されている。
したがって、メス側高圧コネクタ53をオス側高圧コネクタコネクタ33Sから取り外すことができるようになるのは、第2邪魔板40R3がコネクタロック部53Rの前方を覆わなくなったとき、すなわちシールドケース10からケースカバー40Bが外されたときであり、これはとりもなおさず、ジャンクションボックス側インタロックコネクタ20L(
図8)とケースカバー側インタロックコネクタ40L(
図8)が離脱したときなので、電流が流れなくなっており、これにより安全性が確保される。
【0036】
〈変形例〉
第2邪魔板40R1、40R2、40R3はケースカバー40Bの金属板と一体に打ち抜き成形して製作したが、もちろん別部品として作って、後でケースカバー40Bに取り付けて一体にしてもよい。
【0037】
〈まとめ〉
上記のように、本発明によれば、ケースカバーがシールドケースに装着されるとケースカバーの邪魔板がコネクタロック部の動きを邪魔するため、メス側高圧コネクタとオス側高圧コネクタとの嵌合を離脱することができない。これによって、電流が流れている状態でメス側高圧コネクタとオス側高圧コネクタコネクタを外すことがなくなり、安全性が確保される。
【符号の説明】
【0038】
1A 第1実施形態に係る電気接続箱
1B 第1実施形態に係る電気接続箱
10 シールドケース
10B ボルト締結用ボス
10S1、10S2、10S3、10S4 コネクタ挿通孔
20 ジャンクションボックス
20L ジャンクションボックス側インタロックコネクタ
30、31、32、33、34 ワイヤハーネス
31S、32S、33S、34S 外部接続用高圧コネクタ(オス側高圧コネクタ)
31C、32C、33C、34C ワイヤハーネス側コネクタ
31W、32W、33W、34W 電線
40A 第1実施形態に係るケースカバー
40B 第2実施形態に係るケースカバー
40V1、40V2、40V3 第1邪魔板
40R1、40R2、40R3 第2邪魔板
40L ケースカバー側インタロックコネクタ
51、52、53 相手側コネクタ(メス側高圧コネクタ)
51R、52R、53R コネクタロック部