(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記衝撃吸収部材は、前記支持部材を取り囲む一繋がりの部分であって前記固定部材と密着する固定部材密着部と、前記支持部材を取り囲む一繋がりの部分であって前記支持部材と密着する支持部材密着部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油劣化センサー。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る機械としての産業用ロボットの構成について説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係る産業用ロボット100の側面図である。
【0029】
図1に示すように、産業用ロボット100は、床、天井などの設置部分900に取り付けられる取付部111と、アーム112〜116と、取付部111およびアーム112を接続する関節部120と、アーム112およびアーム113を接続する関節部130と、アーム113およびアーム114を接続する関節部140と、アーム114およびアーム115を接続する関節部150と、アーム115およびアーム116を接続する関節部160と、アーム116および図示していないハンドを接続する関節部170とを備えている。
【0030】
なお、産業用ロボット100のうち、後述の潤滑油131aなどの潤滑油と、後述の潤滑油劣化センサー137a、137b、139a、139bなどの潤滑油劣化センサーとを除いた部分は、産業用ロボット100が本発明の機械である場合に本発明の機械本体を構成している。
【0031】
図2は、関節部130の断面図である。なお、以下においては、関節部130について説明するが、関節部120、140〜170についても同様である。
【0032】
図2に示すように、関節部130は、アーム112およびアーム113を接続する産業用ロボット用減速機である減速機131と、ボルト138aによってアーム112に固定されたモーター138と、減速機131の可動部に生じる摩擦を軽減するための潤滑油131aの劣化を検出するための潤滑油劣化センサー139aおよび潤滑油劣化センサー139bとを備えている。
【0033】
減速機131は、減速機本体132と、減速機本体132の潤滑油131aの劣化を検出するための潤滑油劣化センサー137aおよび潤滑油劣化センサー137bとを備えている。減速機本体132は、減速機131が本発明の機械である場合に本発明の機械本体を構成している。
【0034】
減速機本体132は、ボルト133aによってアーム112に固定されたケース133と、ボルト134aによってアーム113に固定された支持体134と、モーター138の出力軸に固定された歯車135aと、減速機131の中心軸の周りに等間隔に3個配置されていて歯車135aと噛み合う歯車135bと、減速機131の中心軸の周りに等間隔に3個配置されていて歯車135bに固定されたクランク軸135cと、ケース133に設けられた内歯歯車と噛み合う2個の外歯歯車136とを備えている。
【0035】
支持体134は、ケース133に軸受133bを介して回転可能に支持されている。ケース133と、支持体134との間には、潤滑油131aの漏れを防止するためのシール部材133cが設けられている。
【0036】
クランク軸135cは、支持体134に軸受134bを介して回転可能に支持されているとともに、外歯歯車136に軸受136aを介して回転可能に支持されている。
【0037】
潤滑油劣化センサー137aおよび潤滑油劣化センサー137bは、ケース133に固定されている。潤滑油劣化センサー139aは、アーム112に固定されている。潤滑油劣化センサー139bは、アーム113に固定されている。
【0038】
図3は、潤滑油劣化センサー139bの正面図である。
図4は、アーム113に取り付けられた状態での潤滑油劣化センサー139bの正面断面図である。
図5(a)は、潤滑油劣化センサー139bの平面図である。
図5(b)は、潤滑油劣化センサー139bの底面図である。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0039】
図3〜
図5に示すように、潤滑油劣化センサー139bは、潤滑油劣化センサー139bの各部品を支持するアルミニウム合金製の筐体20と、隙間形成部材60を支持する支持部材30と、支持部材30に保持された隙間形成部材60と、電子部品群70と、筐体20および支持部材30の間に配置されて衝撃を吸収する軟質ゴム製の衝撃吸収部材80とを備えている。
【0040】
支持部材30は、筐体20に六角穴付ボルト11によって固定されている。支持部材30は、アルミニウム合金製のホルダー40と、ホルダー40に六角穴付ボルト12によって固定されたアルミニウム合金製のホルダーキャップ50とを備えている。
【0041】
隙間形成部材60は、2つのガラス製の直角プリズム61、62によって構成されており、潤滑油131aが侵入するための隙間である油用隙間60aが2つの直角プリズム61、62の間に形成されている。
【0042】
電子部品群70は、スペーサー13を介して六角穴付ボルト14によって支持部材30に固定された回路基板71と、回路基板71に実装された白色LED72と、回路基板71に実装されたRGBセンサー73と、白色LED72およびRGBセンサー73側とは反対側に回路基板71に実装されたコネクター74と、コネクター74に電気的に接続されることが可能であるコネクター75と、ホルダーキャップ50に固定された防水コネクター76と、コネクター75および防水コネクター76を電気的に接続する複数本のリード線77とを備えている。回路基板71には、白色LED72、RGBセンサー73およびコネクター74以外にも、白色LED72およびRGBセンサー73の信号を処理する電子部品などの複数の電子部品が実装されている。防水コネクター76は、潤滑油劣化センサー139bの外部の装置のコネクターが接続されて、外部の装置のコネクターを介して外部の装置から電力が供給されるとともに、潤滑油劣化センサー139bの検出結果を電気信号として外部の装置のコネクターを介して外部の装置に出力するようになっている。
【0043】
潤滑油劣化センサー139bは、筐体20およびアーム113の間からの潤滑油131aの漏れを防止するOリング15を備えている。
【0044】
六角穴付ボルト11は、支持部材30および筐体20の両方に接触することによって筐体20に対する支持部材30の回転を防止するようになっている。六角穴付ボルト11は、六角レンチなどの工具と接触するための工具接触部11aを備えている。工具接触部11aは、支持部材30および筐体20の両方に接触するための駆動力を接触力によって外部から受ける部分である。工具接触部11aは、筐体20がアーム113に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に配置されている。
【0045】
図6(a)は、筐体20の正面図である。
図6(b)は、筐体20の正面断面図である。
図7(a)は、筐体20の側面図である。
図7(b)は、筐体20の側面断面図である。
図8(a)は、筐体20の平面図である。
図8(b)は、筐体20の底面図である。
【0046】
図3〜
図8に示すように、筐体20は、アーム113のネジ穴113aに固定されるためのネジ部21と、アーム113のネジ穴113aに対してネジ部21が回転させられるときにスパナなどの工具によって掴まれるための工具接触部22と、ホルダー40が収納されるホルダー収納部23とを備えている。また、筐体20は、六角穴付ボルト11がねじ込まれるためのネジ穴24と、Oリング15が嵌る溝25とが形成されている。
【0047】
筐体20は、産業用ロボット100のアーム113、すなわち、機械本体に固定されるようになっており、本発明の固定部材を構成している。また、ネジ部21は、アーム113のネジ穴113aに挿し込まれて外側でネジ穴113aに固定されるようになっており、本発明の接触部を構成している。
【0048】
なお、アーム113のネジ穴113aは、潤滑油劣化センサー139bが取り外されている状態のときに、減速機131への潤滑油131aの供給と、減速機131からの潤滑油131aの廃棄とに利用されても良い。
【0049】
図9(a)は、ホルダー40の正面図である。
図9(b)は、ホルダー40の正面断面図である。
図10(a)は、ホルダー40の側面図である。
図10(b)は、ホルダー40の側面断面図である。
図11(a)は、ホルダー40の平面図である。
図11(b)は、ホルダー40の底面図である。
図12は、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aを示す図である。
【0050】
図3〜
図5および
図9〜
図12に示すように、ホルダー40は、直角プリズム61が収納されるプリズム収納部41と、直角プリズム62が収納されるプリズム収納部42と、白色LED72が収納されるLED収納部43と、RGBセンサー73が収納されるRGBセンサー収納部44とを備えている。また、ホルダー40は、プリズム収納部41およびLED収納部43を連通する穴45と、プリズム収納部42およびRGBセンサー収納部44を連通する穴46と、六角穴付ボルト14がねじ込まれるためのネジ穴47と、六角穴付ボルト12がねじ込まれるためのネジ穴48とが形成されている。
【0051】
プリズム収納部41は、直角プリズム61を挟み込む2つの壁41aを備えており、壁41aにおいて接着剤によって直角プリズム61を固定している。プリズム収納部42は、直角プリズム62を挟み込む2つの壁42aを備えており、壁42aにおいて接着剤によって直角プリズム62を固定している。
【0052】
ホルダー40は、LED収納部43、穴45、プリズム収納部41、プリズム収納部42、穴46およびRGBセンサー収納部44によって、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aの少なくとも一部を囲んでいる。
【0053】
ホルダー40は、例えば艶消しの黒アルマイト処理のように、光の反射を防止する処理が表面に施されている。
【0054】
なお、ホルダー40は、回路基板71を介して白色LED72およびRGBセンサー73を支持している。ホルダー40は、スペーサー13および六角穴付ボルト14を介して回路基板71が取り付けられる基板取付部30aを備えている。また、ホルダー40は、隙間形成部材60を直接支持している。
【0055】
図12に示すように、隙間形成部材60の油用隙間60aは、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10a上に配置されている。
【0056】
直角プリズム61、62は、白色LED72によって発せられる光を透過させる。直角プリズム61は、白色LED72によって発せられる光が入射する入射面61aと、入射面61aから入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面61bと、反射面61bで反射した光が出射する出射面61cとが形成されている。直角プリズム62は、直角プリズム61の出射面61cから出射した光が入射する入射面62aと、入射面62aから入射した光を反射して光の進行方向を90度曲げる反射面62bと、反射面62bで反射した光が出射する出射面62cとが形成されている。
【0057】
直角プリズム61の入射面61a、反射面61bおよび出射面61cと、直角プリズム62の入射面62a、反射面62bおよび出射面62cとは、光学研磨されている。また、直角プリズム61の反射面61bと、直角プリズム62の反射面62bとは、アルミ蒸着膜が施されている。そして、硬度や密着力が弱いアルミ蒸着膜を保護するために、SiO2膜がアルミ蒸着膜上に更に施されている。
【0058】
光路10aは、直角プリズム61の反射面61bで90度曲げられていて、直角プリズム62の反射面62bでも90度曲げられている。すなわち、光路10aは、隙間形成部材60によって180度曲げられている。
【0059】
直角プリズム61の出射面61cと、直角プリズム62の入射面62aとの距離、すなわち、油用隙間60aの長さは、例えば1mmである。油用隙間60aの長さが短過ぎる場合、潤滑油131a中の汚染物質が油用隙間60aを適切に流通し難いので、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。一方、油用隙間60aの長さが長過ぎる場合、白色LED72から発せられた光が油用隙間60a内の潤滑油131a中の汚染物質によって吸収され過ぎてRGBセンサー73まで届き難いので、やはり潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が落ちる。したがって、油用隙間60aの長さは、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が高くなるように、適切に設定されることが好ましい。
【0060】
白色LED72は、白色の光を発する電子部品であり、本発明の発光素子を構成している。白色LED72として、例えば、日亜化学工業株式会社製のNSPW500GS-K1が使用されても良い。
【0061】
RGBセンサー73は、受けた光の色を検出する電子部品であり、本発明のカラー受光素子を構成している。RGBセンサー73として、例えば、浜松ホトニクス株式会社製のS9032-02が使用されても良い。
【0062】
図13(a)は、ホルダーキャップ50の正面図である。
図13(b)は、ホルダーキャップ50の正面断面図である。
図14(a)は、ホルダーキャップ50の平面図である。
図14(b)は、ホルダーキャップ50の底面図である。
【0063】
図3〜
図5、
図13および
図14に示すように、ホルダーキャップ50は、筐体20に対して支持部材30が回転させられるときに六角レンチなどの工具と接触するための工具接触部51を備えている。工具接触部51は、筐体20に対する支持部材30の回転の駆動力を接触力によって外部から受ける部分である。工具接触部51は、筐体20がアーム113に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に配置されている。また、ホルダーキャップ50は、防水コネクター76が挿入される穴52と、六角穴付ボルト12が挿入されるための穴53とが形成されている。
【0064】
ホルダーキャップ50は、例えば艶消しの黒アルマイト処理のように、光の反射を防止する処理が表面に施されている。
【0065】
図15(a)は、衝撃吸収部材80の正面図である。
図15(b)は、衝撃吸収部材80の正面断面図である。
【0066】
図15に示すように、衝撃吸収部材80は、六角穴付ボルト11が挿入されるための穴81が形成されている。衝撃吸収部材80は、厚みがほぼ均一の膜状の部材である。衝撃吸収部材80は、筐体20およびホルダー40の間にホルダー40の基板取付部30aを取り囲んで形成された基板取付部周囲空間10bに配置されている。衝撃吸収部材80は、支持部材30を取り囲む一繋がりの部分であって筐体20と密着する固定部材密着部82と、支持部材30を取り囲む一繋がりの部分であって支持部材30と密着する支持部材密着部83とを備えている。なお、衝撃吸収部材80は、衝撃を吸収する材質であれば、軟質ゴム以外の材質によって形成されていても良い。
【0067】
次に、潤滑油劣化センサー139bの組立方法について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0068】
まず、ホルダー40のプリズム収納部41のうち直角プリズム61の入射面61aと接触する面と、直角プリズム61の面のうちプリズム収納部41の2つの壁41aとそれぞれ接触する2つの面とに接着剤が塗られ、その接着剤によってプリズム収納部41に直角プリズム61が固定される。また、ホルダー40のプリズム収納部42のうち直角プリズム62の出射面62cと接触する面と、直角プリズム62の面のうちプリズム収納部42の2つの壁42aとそれぞれ接触する2つの面とに接着剤が塗られ、その接着剤によってプリズム収納部42に直角プリズム62が固定される。また、ホルダー40のLED収納部43に白色LED72が接着剤によって固定される。
【0069】
次いで、RGBセンサー73およびコネクター74が実装された回路基板71がホルダー40にスペーサー13を介して六角穴付ボルト14によって固定され、白色LED72が回路基板71にハンダによって固定される。
【0070】
次いで、ホルダーキャップ50に固定された防水コネクター76にリード線77を介して接続されたコネクター75が、回路基板71上のコネクター74に接続される。
【0071】
次いで、ホルダーキャップ50がホルダー40に六角穴付ボルト12によって固定される。以上のようにして、隙間形成部材60および電子部品群70が取り付けられた支持部材30が組み立てられる。
【0072】
最後に、支持部材30が、Oリング15および衝撃吸収部材80が取り付けられた筐体20のホルダー収納部23に六角穴付ボルト11によって固定される。
【0073】
次に、アーム113への潤滑油劣化センサー139bの設置方法について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0074】
まず、筐体20の工具接触部22が工具によって掴まれて、アーム113のネジ穴113aに筐体20のネジ部21が挿し込まれて固定される、すなわち、ねじ込まれることによって、アーム113に潤滑油劣化センサー139bが固定される。
【0075】
そして、潤滑油劣化センサー139bの外部の装置のコネクターが防水コネクター76に接続される。
【0076】
次に、産業用ロボット100の動作について説明する。
【0077】
まず、関節部130の動作について説明する。なお、以下においては、関節部130について説明するが、関節部120、140〜170についても同様である。
【0078】
関節部130のモーター138の出力軸が回転すると、モーター138の回転力は、減速機131によって減速されて、減速機131のケース133に固定されたアーム112に対して、減速機131の支持体134に固定されたアーム113を動かす。
【0079】
次に、潤滑油劣化センサー139bの動作について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0080】
潤滑油劣化センサー139bは、防水コネクター76を介して外部の装置から供給される電力によって白色LED72から白色の光を発する。
【0081】
そして、潤滑油劣化センサー139bは、RGBセンサー73によって受けた光のRGBの各色の光量を電気信号として防水コネクター76を介して外部の装置に出力する。
【0082】
なお、潤滑油劣化センサー139bは、RGBセンサー73以外のセンサーを別途搭載していても良い。例えば、潤滑油劣化センサー139bは、潤滑油131aの温度を検出する温度センサーが電子部品群70に含まれている場合には、温度センサーによって検出された温度も電気信号として防水コネクター76を介して外部の装置に出力することができる。
【0083】
次に、潤滑油劣化センサー139bの油用隙間60aの開口60bの方向の調整方法について説明する。なお、以下においては、潤滑油劣化センサー139bについて説明するが、潤滑油劣化センサー137a、137b、139aなど、潤滑油劣化センサー139b以外の潤滑油劣化センサーについても同様である。
【0084】
潤滑油劣化センサー139bの外部の装置は、RGBセンサー73によって検出された色に基づいて減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の種類および量を特定することができる。すなわち、潤滑油劣化センサー139bは、潤滑油131a中の汚染物質の色を検出することによって、潤滑油131aの劣化の程度を検出することができる。
【0085】
図16は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向と、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEとの関係の一例を示す図である。
図17(a)は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が0°である状態を示す図である。
図17(b)は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が45°である状態を示す図である。
図17(c)は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が90°である状態を示す図である。
【0086】
なお、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEは、RGBセンサー73によって検出された色のR、G、Bの各値を使用して、次の数1で示す式で計算することができる。
【数1】
【0087】
図16に示す関係を導き出した実験において、潤滑油131aは、劣化の程度が少ない新油が使用されている。
【0088】
また、
図16において、「静止時」とは、潤滑油131aの流れが止まっている時を示している。潤滑油131aの流れが止まっている時、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向は、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEに影響を与えない。したがって、「静止時」においてRGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEは、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向と、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEとの関係の判断基準となる。
【0089】
また、
図16において、36[rpm]および45[rpm]は、アーム112に対するアーム113の回転速度を1分間当たりの回転数で示している。潤滑油劣化センサー139bは、アーム113に取り付けられているので、アーム112に対するアーム113の回転によって潤滑油131a中を移動することになる。すなわち、36[rpm]および45[rpm]は、潤滑油劣化センサー139bに対する潤滑油131aの流れの速さを間接的に表している。
【0090】
図17において、油用隙間60aを表す矢印以外の矢印は、潤滑油131aの流れを示している。
【0091】
潤滑油131aの劣化の検出の精度は、RGBセンサー73によって検出された色の黒色に対する色差ΔEで判断されることができる。すなわち、
図16において、潤滑油131aの劣化の検出の精度は、アーム112に対するアーム113の回転数が45[rpm]である場合であって、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向が0°および45°である場合に低下している。このように、潤滑油131aの劣化の検出の精度は、潤滑油131aの流れに対する油用隙間60aの開口60bの方向によって低下する場合がある。
【0092】
潤滑油劣化センサー139bは、油用隙間60aの開口60bの方向が調整されることが可能である。
【0093】
まず、筐体20に対して支持部材30が回転可能となるように、工具接触部11aに差し込まれた工具によって六角穴付ボルト11が緩められる。
【0094】
次いで、筐体20の工具接触部22が工具によって掴まれることによってアーム113に対する筐体20の回転が防止された状態で、工具接触部51に挿し込まれた工具によって筐体20に対して支持部材30が回転させられる。油用隙間60aの開口60bの方向は、筐体20に対する支持部材30の回転によって変化する。
【0095】
最後に、筐体20に対して支持部材30が回転不可能となるように、工具接触部11aに差し込まれた工具によって六角穴付ボルト11が締められる。
【0096】
以上に説明したように、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、白色LED72によって発せられた白色の光のうち油用隙間60aにおいて潤滑油131a中の汚染物質によって吸収されなかった波長の光に対して、RGBセンサー73によって色を検出するので、減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の色を即時に検出することができる。つまり、各潤滑油劣化センサーは、RGBセンサー73によって検出した色に基づいて減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の種類および量をコンピューターなどの外部の装置によって即時に特定可能にすることができる。なお、各潤滑油劣化センサーは、RGBセンサー73によって検出した色に基づいて潤滑油中の汚染物質の種類および量を特定する電子部品が電子部品群70に含まれていても良い。
【0097】
一般的に、産業用ロボットは、関節部に使用されている減速機の性能によってアームの軌跡の精度などが大きく左右される。したがって、産業用ロボット用の減速機は、性能が落ちた場合に適切に交換されることが大切である。しかしながら、産業用ロボット用の減速機が交換される場合、その減速機を備えている産業用ロボットや、その産業用ロボットが設置されている生産ラインが停止されなければならない。そこで、産業用ロボット用の減速機の交換時期を把握するために、産業用ロボット用の減速機の故障が適切に予知されることは非常に重要である。ここで、産業用ロボット100の各潤滑油劣化センサーは、上述したように、RGBセンサー73によって検出した色に基づいて減速機131の潤滑油131a中の汚染物質の種類および量をコンピューターなどの外部の装置によって即時に特定可能にすることができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、即時の故障の予知を可能にすることができる。
【0098】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、筐体20がアーム113から衝撃を受けた場合に、筐体20および支持部材30の間に配置されている衝撃吸収部材80によって、筐体20から支持部材30の基板取付部30aに伝わる衝撃を吸収することができるので、基板取付部30aに取り付けられている回路基板71に搭載されている電子部品が衝撃によって損傷する可能性を抑えることができる。したがって、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、筐体20がアーム113から衝撃を受けた場合に故障する可能性を抑えることができる。すなわち、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、潤滑油131a中の汚染物質の種類および量を即時に特定可能にすることができる潤滑油劣化センサーの故障の可能性を抑えることができるので、即時の故障の予知の正確性を長期間維持することができる。
【0099】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、筐体20がアーム113から衝撃を受けた場合に、筐体20および支持部材30の間に配置されている衝撃吸収部材80によって、筐体20から支持部材30の基板取付部30aに伝わる衝撃を吸収することができるので、基板取付部30aに取り付けられている回路基板71に搭載されている白色LED72およびRGBセンサー73の位置関係が衝撃によってずれる可能性を抑えることができる。したがって、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、筐体20がアーム113から衝撃を受けた場合にアーム113の潤滑油131aの劣化の検出の精度が低下する可能性を抑えることができる。
【0100】
産業用ロボット100は、産業用ロボット100自身の動作に伴って潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーに加速度を与えたり、産業用ロボット100自身の振動によって潤滑油劣化センサーに振動を与えたり、モーター138などの各モーターの振動によって潤滑油劣化センサーに振動を与えたりするので、これらの加速度および振動による衝撃を長期に亘って滑油劣化センサーに与えることになる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、潤滑油劣化センサーが機械本体から衝撃を受けた場合に潤滑油劣化センサーが故障する可能性や、潤滑油劣化センサーによる機械本体の潤滑油の劣化の検出の精度が低下する可能性を抑えることができるという効果が大きい。
【0101】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、衝撃吸収部材80が固定部材密着部82および支持部材密着部83を備えているので、衝撃吸収部材80によって筐体20から支持部材30に伝わる衝撃を吸収することができるだけでなく、衝撃吸収部材80によって筐体20および支持部材30の間からの潤滑油131aの漏れを防止することもできる。
【0102】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、ネジ部21の内側に光路10aの一部が配置されるように支持部材30がネジ部21の内側に配置されているとともに、ネジ部21と支持部材30との間に衝撃吸収部材80の一部が配置されているので、例えばネジ部21と比較してネジ穴113aなどのネジ穴が小さく形成されている場合に、筐体20のネジ部21がアーム113のネジ穴113aなどの機械本体のネジ穴に外側で接触して内側に変形したとしても、ネジ部21と支持部材30との間に配置されている衝撃吸収部材80によって支持部材30にネジ部21の変形が伝わり難く、支持部材30の変形による光路10aの変化が生じ難い。したがって、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、ネジ部21によって機械本体に固定される場合に機械本体の潤滑油131aの劣化の検出の精度が低下することを抑えることができる。
【0103】
潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、ネジ部21が機械本体のネジ穴にねじ込まれて機械本体に接触することによってネジ部21が内側に変形し易いので、ネジ部21が機械本体に固定される場合に機械本体の潤滑油の劣化の検出の精度が低下することを抑えることができる効果が大きい。
【0104】
なお、筐体20は、ネジ部21以外にアーム113などの機械本体に固定される構成を備えている場合、
図3に示すネジ部21の部分が単に外側で機械本体に接触する接触部であっても良い。例えば、筐体20は、ネジ部21の部分がネジの無い単なる円筒状の部分であっても良い。潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、接触部が機器本体の穴に挿し込まれる部分である場合、接触部が機械本体の穴に挿し込まれて機械本体に接触することによって接触部が内側に変形し易いので、接触部がネジ部21である構成と同様に、接触部が機械本体に接触する場合に機械本体の潤滑油の劣化の検出の精度が低下することを抑えることができる効果が大きい。潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、接触部が機器本体の穴に挿し込まれずに機器本体に接触する構成であっても、接触部が機械本体に外側で接触して内側に変形したとしても、接触部と支持部材30との間に配置されている衝撃吸収部材80によって支持部材30に接触部の変形が伝わり難いので、接触部が機械本体に接触する場合に機械本体の潤滑油の劣化の検出の精度が低下することを抑えることができる。
【0105】
潤滑油131aには、摩擦面の摩擦を低減するためのモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)などの有機モリブデン(Mo)などの摩擦低減剤、摩擦面の焼き付きを抑える性能である極圧性を向上するためのSP系添加剤などの極圧添加剤、スラッジの発生や付着を抑えるためのCaスルフォネートなどの分散剤など、各種の添加剤が添加される場合がある。これらの添加剤は、潤滑油131aの劣化とともに、例えば、産業用ロボット100および減速機の金属表面に付着、結合したり、沈降したりして潤滑油131aから分離される。各潤滑油劣化センサーは、潤滑油131a中の鉄粉の量だけでなく、潤滑油131aに添加されている各種の添加剤の減少に伴う基油の劣化度やスラッジ等の汚染物質の増加を、検出した色に基づいて特定することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、鉄粉濃度のみに基づいて減速機の故障を予知する技術と比較して、故障の予知の精度を向上することができる。
【0106】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーは、支持部材30が回転する場合に油用隙間60aの開口60bの方向が変化するように支持部材30を回転可能に筐体20が支持しているので、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合に産業用ロボット100の潤滑油131aの劣化の検出の精度が高くなるように、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合の油用隙間60aの開口60bの方向が調整されることができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、精度の高い故障の予知を可能にすることができる。
【0107】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーにおいて、支持部材30は、筐体20に対する回転の駆動力を接触力によって外部から受ける部分である工具接触部51を、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に備えている。したがって、各潤滑油劣化センサーは、筐体20が産業用ロボット100に固定された後で、産業用ロボット100の潤滑油131aの劣化の検出の精度が高くなるように、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合の油用隙間60aの開口60bの方向が調整されることができる。
【0108】
また、潤滑油劣化センサー139bなどの各潤滑油劣化センサーにおいて、支持部材30および筐体20の両方に接触することによって筐体20に対する支持部材30の回転を防止する六角穴付ボルト11は、支持部材30および筐体20の両方に接触するための駆動力を接触力によって外部から受ける部分である工具接触部11aを、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合に潤滑油131aに触れない位置に備えている。したがって、各潤滑油劣化センサーは、筐体20が産業用ロボット100に固定された後で、産業用ロボット100の潤滑油131aの劣化の検出の精度が高くなるように、筐体20が産業用ロボット100に固定された場合の油用隙間60aの開口60bの方向が固定されることができる。
【0109】
また、各潤滑油劣化センサーは、発光素子が白色の光を発する白色LEDであるので、発光素子が例えばLED以外のランプである構成と比較して、小型化することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、小型化することができる。なお、本発明の発光素子は、白色LED以外のものであっても良い。例えば、発光素子は、LED以外のランプであっても良い。また、発光素子は、赤色のLED、あるいは、LED以外の赤色のランプと、緑色のLED、あるいは、LED以外の緑色のランプと、青色のLED、あるいは、LED以外の青色のランプとを備えており、それらのLED、あるいは、LED以外のランプから発せられる各色の光を合成して白色の光を発するものであっても良い。
【0110】
また、各潤滑油劣化センサーは、隙間形成部材60に光路10aを曲げる反射面61b、62bが形成されているので、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aが一直線である構成と比較して、白色LED72およびRGBセンサー73を近くに配置して全体を小型化することができる。また、各潤滑油劣化センサーは、隙間形成部材60が油用隙間60aを形成する役割だけでなく、光路10aを曲げる役割も備えているので、隙間形成部材60の代わりに光路10aを曲げる部材を別途備える構成と比較して、部品点数を減らすことができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、小型化することができるとともに、部品点数を減らすことができる。
【0111】
特に、各潤滑油劣化センサーは、光路10aを90度曲げる反射面61b、62bがそれぞれ形成されている2つの直角プリズム61、62によって隙間形成部材60が構成されており、2つの直角プリズム61、62の反射面61b、62bによって光路10aを180度曲げ、2つの直角プリズム61、62の間に油用隙間60aが形成されている構成であるので、部品点数の少ない簡単な構成で小型化することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、部品点数の少ない簡単な構成で小型化することができる。
【0112】
また、各潤滑油劣化センサーは、光路10aの少なくとも一部を囲むホルダー40を備えており、光の反射を防止する処理がホルダー40の表面に施されている構成であるので、不要な反射光をRGBセンサー73が受けることを防止することができる。そのため、各潤滑油劣化センサーは、不要な反射光をRGBセンサー73が受ける構成と比較して、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、故障の予知の精度を向上することができる。
【0113】
また、各潤滑油劣化センサーは、隙間形成部材60のうち油用隙間60aを形成する面、すなわち、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに撥油処理が施されていても良い。各潤滑油劣化センサーは、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに撥油処理が施されている場合、潤滑油131aに油用隙間60aを容易に流通させるので、潤滑油131aが油用隙間60aに滞り易い構成と比較して、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度を向上することができる。また、各潤滑油劣化センサーは、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに撥油処理が施されている場合、直角プリズム61の出射面61cおよび直角プリズム62の入射面62aに汚れが付着し難いので、潤滑油131a中の汚染物質の色の検出精度が汚れの付着によって低下することを抑えることができる。したがって、産業用ロボット100および産業用ロボット100の各減速機は、故障の予知の精度を向上することができる。
【0114】
減速機の故障の予知の精度は、本発明の潤滑油劣化センサーと、潤滑油の温度を測定する温度センサーやモーターの電流値等のモニタリング機構などとが併用されることによって、向上させられることができる。
【0115】
なお、隙間形成部材60の直角プリズム61、62は、本実施の形態においてガラス製であるが、例えばシリコン樹脂など、ガラス以外の材質で形成されていても良い。シリコン樹脂でプリズム61、62を形成することにより、油用隙間60aを形成する面に汚れが付着し難くすることができる。
【0116】
また、隙間形成部材60は、本実施の形態において2つの直角プリズム61、62によって構成されているが、3つ以上のプリズムによって構成されていても良い。
【0117】
なお、各潤滑油劣化センサーは、白色LED72およびRGBセンサー73の配置が本実施の形態において説明した配置以外の配置であっても良い。例えば、各潤滑油劣化センサーは、白色LED72からRGBセンサー73までの光路10aが一直線であっても良い。
【0118】
また、各潤滑油劣化センサーは、直角プリズム以外の構成によって、光路10aを曲げるようになっていても良い。
【0119】
また、各潤滑油劣化センサーは、電力の供給手段として、例えば、電池などのバッテリーを使用し、外部の装置への検出結果の出力手段として、例えば、ワイヤレス通信を使用しても良い。
【0120】
(第2の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る機械としての産業用ロボットの構成について説明する。
【0121】
本実施の形態に係る産業用ロボットの構成は、第1の実施の形態に係る産業用ロボット100(
図1参照。)が潤滑油劣化センサー139b(
図3参照。)などの各潤滑油劣化センサーに代えて
図18に示す潤滑油劣化センサー200を備えている構成と同様である。したがって、本実施の形態に係る産業用ロボットの構成のうち、潤滑油劣化センサー200以外の構成については、産業用ロボット100の構成と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0122】
図18は、アーム113に取り付けられた状態での潤滑油劣化センサー200の正面断面図である。
図19(a)は、潤滑油劣化センサー200の平面図である。
図19(b)は、潤滑油劣化センサー200の底面図である。
図20は、
図18のI−I矢視断面図である。
【0123】
図18〜
図20に示すように、潤滑油劣化センサー200の構成は、潤滑油劣化センサー139b(
図4参照。)が潤滑油劣化センサー200の各部品を支持するアルミニウム合金製の筐体220と、隙間形成部材60を支持する支持部材230と、筐体220および支持部材230の間に配置されて衝撃を吸収する軟質ゴム製の衝撃吸収部材281、282とを筐体20(
図4参照。)、支持部材30(
図4参照。)および衝撃吸収部材80(
図4参照。)に代えて備えているとともに、潤滑油劣化センサー139bが筐体220および支持部材230の間に配置されたOリング211、212を新たに備えている構成と同様である。
【0124】
支持部材230の構成は、支持部材30(
図4参照。)がホルダー40(
図4参照。)に代えてアルミニウム合金製のホルダー240を備えている構成と同様である。
【0125】
衝撃吸収部材281、282は、断面の形状が正方形である棒状の部材である。衝撃吸収部材281、282は、筐体220およびホルダー240の間にホルダー240の基板取付部30aを取り囲んで形成された基板取付部周囲空間200aに配置されている。なお、衝撃吸収部材281、282は、衝撃を吸収する材質であれば、軟質ゴム以外の材質によって形成されていても良い。
【0126】
図21(a)は、筐体220の正面断面図である。
図21(b)は、筐体220の側面断面図である。
図22(a)は、筐体220の平面図である。
図22(b)は、筐体220の底面図である。
【0127】
図21および
図22に示すように、筐体220の構成は、筐体20(
図6参照。)にOリング211が嵌る溝221と、Oリング212が嵌る溝222と、衝撃吸収部材281が嵌る4つの溝223と、衝撃吸収部材282が嵌る4つの溝224と、ネジ部21および支持部材230の間に隙間200b(
図18参照。)を形成するための開口225とが形成されている。
【0128】
図23(a)は、ホルダー240の正面図である。
図23(b)は、ホルダー240の側面図である。
図24は、ホルダー240の底面図である。
【0129】
図23および
図24に示すように、ホルダー240の構成は、ホルダー40(
図9参照。)が衝撃吸収部材281と接触する衝撃吸収部材接触部241と、衝撃吸収部材282と接触する衝撃吸収部材接触部242とを備えている構成と同様である。
【0130】
ホルダー240は、筐体220のネジ部21の内側に光路10aの一部が配置されるように、ネジ部21の内側にネジ部21とは離隔して配置されている。すなわち、筐体220のネジ部21と、ホルダー240との間には、隙間200b(
図18参照。)が形成されている。
【0131】
次に、潤滑油劣化センサー200の組立方法について説明する。
【0132】
まず、第1の実施の形態と同様に隙間形成部材60および電子部品群70が取り付けられた支持部材230が組み立てられる。
【0133】
そして、支持部材230が、Oリング15、Oリング211、Oリング212、衝撃吸収部材281および衝撃吸収部材282が取り付けられた筐体220のホルダー収納部23に六角穴付ボルト11によって固定される。
【0134】
以上に説明したように、潤滑油劣化センサー200は、筐体220がアーム113から衝撃を受けた場合に、筐体220および支持部材230の間に配置されている衝撃吸収部材281、282によって、筐体220から支持部材230の基板取付部30aに伝わる衝撃を吸収することができるので、基板取付部30aに取り付けられている回路基板71に搭載されている電子部品が衝撃によって損傷する可能性を抑えることができる。したがって、潤滑油劣化センサー200は、筐体220がアーム113から衝撃を受けた場合に故障する可能性を抑えることができる。
【0135】
また、潤滑油劣化センサー200は、筐体220がアーム113から衝撃を受けた場合に、筐体220および支持部材230の間に配置されている衝撃吸収部材281、282によって、筐体220から支持部材230の基板取付部30aに伝わる衝撃を吸収することができるので、基板取付部30aに取り付けられている回路基板71に搭載されている白色LED72およびRGBセンサー73の位置関係が衝撃によってずれる可能性を抑えることができる。したがって、潤滑油劣化センサー200は、筐体220がアーム113から衝撃を受けた場合にアーム113の潤滑油131aの劣化の検出の精度が低下する可能性を抑えることができる。
【0136】
また、潤滑油劣化センサー200は、ネジ部21の内側に光路10aの一部が配置されるように支持部材230がネジ部21の内側にネジ部21とは離隔して配置されているので、例えばネジ部21と比較してネジ穴113aなどのネジ穴が小さく形成されている場合に、筐体220のネジ部21がアーム113のネジ穴113aなどの機械本体のネジ穴に外側で接触して内側に変形したとしても、ネジ部21とは離隔して配置されている支持部材230にネジ部21の変形が伝わり難く、支持部材230の変形による光路10aの変化が生じ難い。したがって、潤滑油劣化センサー200は、ネジ部21によって機械本体に固定される場合に機械本体の潤滑油131aの劣化の検出の精度が低下することを抑えることができる。
【0137】
潤滑油劣化センサー200の作用効果のうち上述した作用効果以外の作用効果については、第1の実施の形態に係る潤滑油劣化センサー139bの作用効果と同様であるので、説明を省略する。
【0138】
(第3の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る機械としての産業用ロボットの構成について説明する。
【0139】
本実施の形態に係る産業用ロボットの構成は、第2の実施の形態に係る産業用ロボットが潤滑油劣化センサー200(
図18参照。)に代えて
図25に示す潤滑油劣化センサー300を備えている構成と同様である。したがって、本実施の形態に係る産業用ロボットの構成のうち、潤滑油劣化センサー300以外の構成については、第2の実施の形態に係る産業用ロボットの構成と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0140】
図25は、アーム113に取り付けられた状態での潤滑油劣化センサー300の正面断面図である。
【0141】
図25に示すように、潤滑油劣化センサー300の構成は、潤滑油劣化センサー200(
図18参照。)が潤滑油劣化センサー300の各部品を支持するアルミニウム合金製の筐体320と、隙間形成部材60を支持する支持部材330と、筐体320および支持部材330の間に配置されて衝撃を吸収する軟質ゴム製の衝撃吸収部材381、382、383とを筐体220(
図18参照。)、支持部材230(
図18参照。)および衝撃吸収部材281、282(
図18参照。)に代えて備えている構成と同様である。
【0142】
支持部材330の構成は、支持部材230(
図18参照。)がホルダー240(
図18参照。)に代えてアルミニウム合金製のホルダー340を備えている構成と同様である。
【0143】
衝撃吸収部材381、382、383は、断面の形状が正方形である環状の部材である。衝撃吸収部材381、382、383は、筐体320およびホルダー340の間にホルダー340の基板取付部30aを取り囲んで形成された基板取付部周囲空間300aに配置されている。衝撃吸収部材381、382、383は、それぞれ、支持部材330を取り囲む一繋がりの部分であって筐体320と密着する固定部材密着部381a、382a、383aと、支持部材330を取り囲む一繋がりの部分であって支持部材330と密着する支持部材密着部381b、382b、383bとを備えている。なお、衝撃吸収部材381、382、383は、衝撃を吸収する材質であれば、軟質ゴム以外の材質によって形成されていても良い。
【0144】
図26(a)は、筐体320の正面断面図である。
図26(b)は、筐体320の平面図である。
【0145】
図26に示すように、筐体320の構成は、筐体220(
図21参照。)に衝撃吸収部材381が嵌る環状の溝321と、衝撃吸収部材382が嵌る環状の溝322と、衝撃吸収部材383が嵌る環状の溝323とが溝223(
図21参照。)および溝224(
図21参照。)に代えて形成されている。
【0146】
図27(a)は、ホルダー340の正面図である。
図27(b)は、ホルダー340の正面断面図である。
図28は、ホルダー340の底面図である。
【0147】
図27および
図28に示すように、ホルダー340の構成は、ホルダー240(
図23参照。)が衝撃吸収部材381が嵌る環状の溝341と、衝撃吸収部材382が嵌る環状の溝342と、衝撃吸収部材383が嵌る環状の溝343とが形成されているとともに、衝撃吸収部材接触部241(
図23参照。)および衝撃吸収部材接触部242(
図23参照。)を備えていない構成と同様である。
【0148】
次に、潤滑油劣化センサー300の組立方法について説明する。
【0149】
まず、第1の実施の形態と同様に隙間形成部材60および電子部品群70が取り付けられた支持部材330が組み立てられる。
【0150】
そして、衝撃吸収部材381および衝撃吸収部材383が取り付けられた支持部材330が、Oリング15、Oリング211、Oリング212および衝撃吸収部材382が取り付けられた筐体320のホルダー収納部23に六角穴付ボルト11によって固定される。
【0151】
以上に説明したように、潤滑油劣化センサー300は、筐体320がアーム113から衝撃を受けた場合に、筐体320および支持部材330の間に配置されている衝撃吸収部材381、382、383によって、筐体320から支持部材330の基板取付部30aに伝わる衝撃を吸収することができるので、基板取付部30aに取り付けられている回路基板71に搭載されている電子部品が衝撃によって損傷する可能性を抑えることができる。したがって、潤滑油劣化センサー300は、筐体320がアーム113から衝撃を受けた場合に故障する可能性を抑えることができる。
【0152】
また、潤滑油劣化センサー300は、筐体320がアーム113から衝撃を受けた場合に、筐体320および支持部材330の間に配置されている衝撃吸収部材381、382、383によって、筐体320から支持部材330の基板取付部30aに伝わる衝撃を吸収することができるので、基板取付部30aに取り付けられている回路基板71に搭載されている白色LED72およびRGBセンサー73の位置関係が衝撃によってずれる可能性を抑えることができる。したがって、潤滑油劣化センサー300は、筐体320がアーム113から衝撃を受けた場合にアーム113の潤滑油131aの劣化の検出の精度が低下する可能性を抑えることができる。
【0153】
また、潤滑油劣化センサー300は、衝撃吸収部材381、382、383がそれぞれ固定部材密着部381a、382a、383aおよび支持部材密着部381b、382b、383bを備えているので、衝撃吸収部材381、382、383によって筐体320から支持部材330に伝わる衝撃を吸収することができるだけでなく、衝撃吸収部材381、382、383によって筐体320および支持部材330の間からの潤滑油131aの漏れを防止することもできる。
【0154】
潤滑油劣化センサー300の作用効果のうち上述した作用効果以外の作用効果については、第2の実施の形態に係る潤滑油劣化センサー200の作用効果と同様であるので、説明を省略する。
【0155】
(第4の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る機械としての産業用ロボットの構成について説明する。
【0156】
本実施の形態に係る産業用ロボットの構成は、第4の実施の形態に係る産業用ロボットが潤滑油劣化センサー300(
図25参照。)に代えて
図29に示す潤滑油劣化センサー400を備えている構成と同様である。したがって、本実施の形態に係る産業用ロボットの構成のうち、潤滑油劣化センサー400以外の構成については、第3の実施の形態に係る産業用ロボットの構成と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0157】
図29は、アーム113に取り付けられた状態での潤滑油劣化センサー400の正面断面図である。
【0158】
図29に示すように、潤滑油劣化センサー400の構成は、潤滑油劣化センサー300(
図25参照。)が潤滑油劣化センサー400の各部品を支持するアルミニウム合金製の筐体420と、隙間形成部材60を支持する支持部材430と、筐体420および支持部材430の間に配置されて衝撃を吸収する軟質ゴム製の衝撃吸収部材481、482、483とを筐体320(
図25参照。)、支持部材330(
図25参照。)および衝撃吸収部材381、382、383(
図25参照。)に代えて備えている構成と同様である。
【0159】
支持部材430の構成は、支持部材330(
図25参照。)がホルダー340(
図25参照。)に代えてアルミニウム合金製のホルダー440を備えている構成と同様である。
【0160】
衝撃吸収部材481、482、483は、断面の形状が円形である環状の部材である。衝撃吸収部材481、482、483は、筐体420およびホルダー440の間にホルダー440の基板取付部30aを取り囲んで形成された基板取付部周囲空間400aに配置されている。衝撃吸収部材481、482、483は、それぞれ、支持部材430を取り囲む一繋がりの部分であって筐体420と密着する固定部材密着部481a、482a、483aと、支持部材430を取り囲む一繋がりの部分であって支持部材430と密着する支持部材密着部481b、482b、483bとを備えている。なお、衝撃吸収部材481、482、483は、衝撃を吸収する材質であれば、軟質ゴム以外の材質によって形成されていても良い。
【0161】
図30(a)は、筐体420の正面断面図である。
図30(b)は、筐体420の平面図である。
【0162】
図30に示すように、筐体420の構成は、筐体320(
図26参照。)に衝撃吸収部材481が嵌る環状の溝421と、衝撃吸収部材482が嵌る環状の溝422と、衝撃吸収部材483が嵌る環状の溝423とが溝321(
図26参照。)、溝322(
図26参照。)および溝323(
図26参照。)に代えて形成されている。
【0163】
図31(a)は、ホルダー440の正面図である。
図31(b)は、ホルダー440の正面断面図である。
図32は、ホルダー440の底面図である。
【0164】
図31および
図32に示すように、ホルダー440の構成は、ホルダー340(
図27参照。)に衝撃吸収部材481が嵌る環状の溝441と、衝撃吸収部材482が嵌る環状の溝442と、衝撃吸収部材483が嵌る環状の溝443とが溝341(
図27参照。)、溝342(
図27参照。)および溝343(
図27参照。)に形成されている構成と同様である。
【0165】
潤滑油劣化センサー400の作用効果については、第3の実施の形態に係る潤滑油劣化センサー300の作用効果と同様であるので、説明を省略する。
【0166】
なお、各潤滑油劣化センサーの設置位置は、上述の各実施の形態において示した位置に限らず、産業用ロボットの用途などに合わせて適宜設定されることが好ましい。
【0167】
また、本発明の機械は、上述の各実施の形態において産業用ロボット用減速機または産業用ロボットであるが、これら以外の機械であっても良い。