(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような両面印刷装置において、両面印刷処理の終了後、更に、増刷のための両面印刷処理を行う場合、再度、第1印刷画像が形成された第1製版マスターを印刷ドラムに装着して、用紙の一方の面に前記第1印刷画像を印刷処理し、次に、第2印刷画像が形成された第2製版マスターを前記印刷ドラムに装着して、前記用紙の他方の面に前記第2印刷画像を印刷処理するようになっている。
【0005】
したがって、増刷のための両面印刷処理であっても、第1印刷処理及び第2印刷処理を行うために、再度、第1製版マスター及び第2製版マスターを製版する必要があり、その結果、2版分の孔版原紙を消費してしまう。
【0006】
そこで本発明の目的は、両面印刷処理の終了後、更に、増刷のための両面印刷処理を行う場合において、孔版原紙の消費量を低減できる、両面印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1印刷画像が形成された第1製版マスターを印刷ドラムに装着して、用紙の一方の面に前記第1印刷画像を印刷処理し、次に、第2印刷画像が形成された第2製版マスターを前記印刷ドラムに装着して、用紙の他方の面に前記第2印刷画像を印刷処理し、これにより任意の設定枚数の両面印刷処理を行う、両面印刷モードと、前記両面印刷処理後、更に、前記第1印刷画像及び前記第2印刷画像を用紙に両面印刷処理し、これにより任意の設定枚数の両面増刷処理を行う、両面増刷モードと、を備える両面印刷装置であって、前記両面増刷処理において、前記両面増刷処理を実行する直前の、前記印刷ドラムに装着されている、前記第1製版マスター又は前記第2製版マスターの一方を用いて、用紙の一方の面に、前記第1印刷画像又は前記第2印刷画像の一方を印刷処理し、その後、前記第1印刷画像又は前記第2印刷画像の他方が再形成された第3製版マスターを前記印刷ドラムに装着して、用紙の他方の面に、前記第1印刷画像又は前記第2印刷画像の他方を印刷処理することを特徴とする。
【0008】
前記構成によれば、両面印刷処理後の両面増刷処理において、両面増刷処理を実行する直前の、印刷ドラムに装着されている、第1製版マスター又は第2製版マスターの一方を用いて、用紙の一方の面に印刷処理するので、両面増刷処理における孔版原紙の消費量は第3製版マスターの1版分となり、孔版原紙の消費量を低減することができる。
【0009】
本発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記製版マスターを製版する製版ユニットと、第1印刷画像データ及び第2印刷画像データを記憶する記憶部と、前記両面増刷モードの作動を制御する制御部と、を備えており、前記記憶部は、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、前記第1印刷画像又は前記第2印刷画像のどちらであるかを記憶するようになっており、前記両面増刷処理において、前記制御部は、前記記憶部から、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、前記第1印刷画像又は前記第2印刷画像のどちらであるかを認識し、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、前記第1印刷画像である場合、前記制御部は、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターを用いて、用紙の一方の面へ、前記第1印刷画像を印刷処理し、その後、前記記憶部から前記第2印刷画像データを取り出し、前記製版ユニットに前記第3製版マスターを製版するよう、前記製版ユニットを制御し、前記第3製版マスターを用いて、用紙の他方の面へ、前記第2印刷画像を印刷処理するようになっており、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、前記第2印刷画像である場合、前記制御部は、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターを用いて、用紙の一方の面へ、前記第2印刷画像を印刷処理し、その後、前記記憶部から前記第1印刷画像データを取り出し、前記製版ユニットに前記第3製版マスターを製版するよう、前記製版ユニットを制御し、前記第3製版マスターを用いて、用紙の他方の面へ、前記第1印刷画像を印刷処理するようになっている。
(2)前記構成(1)において、前記記憶部は、前記第1印刷画像を印刷処理するための第1印刷位置情報と、前記第2印刷画像を印刷処理するための第2印刷位置情報と、を記憶するようになっており、前記両面増刷処理において、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、前記第1印刷画像である場合、前記制御部は、前記第1印刷位置情報に基づき、用紙の一方の面へ、前記第1印刷画像を印刷処理し、その後、前記第3製版マスターを用いて、前記第2印刷位置情報に基づき、用紙の他方の面へ、前記第2印刷画像を印刷処理するようになっており、前記両面増刷処理を実行する直前の前記印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、前記第2印刷画像である場合、前記制御部は、前記第2印刷位置情報に基づき、用紙の一方の面へ、前記第2印刷画像を印刷処理し、その後、前記第3製版マスターを用いて、前記第1印刷位置情報に基づき、用紙の他方の面へ、前記第1印刷画像を印刷処理するようになっている。
【0010】
前記構成(1)によれば、第1印刷画像データ及び第2印刷画像データが記憶されており、且つ、両面増刷処理を実行する直前の印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、第1印刷画像又は第2印刷画像のどちらであるかが記憶されているので、第3製版マスターを製版するために、原稿画像から印刷画像データを作成する必要がなく、両面印刷処理後の両面増刷処理において、印刷画像データを作成する時間を省略することができる。すなわち、両面増刷処理の所要時間を短縮することができる。
【0011】
前記構成(2)によれば、両面増刷処理において、用紙の一方の面又は他方の面に、第1印刷画像又は第2印刷画像が印刷処理されるが、第1印刷画像を印刷処理する場合には第1印刷位置情報が用いられ、第2印刷画像を印刷処理する場合には第2印刷位置情報が用いられるので、両面増刷処理された用紙の印刷画像の位置を両面印刷処理された用紙の印刷画像の位置と一致させることができる。
【発明の効果】
【0012】
要するに本発明によると、両面印刷処理の終了後、更に、増刷のための両面印刷処理を行う場合において、孔版原紙の消費量を低減できる、両面印刷装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る両面印刷装置10の概略図である。説明の都合上、用紙の給紙方向及び搬送方向M1の上流側を「前側」、給紙方向及び搬送方向M1の下流側を「後側」として、以下、説明する。
【0015】
図1に示されるように、両面印刷装置10では、印刷機本体1の前下部には給紙ユニット2が配置され、印刷機本体1の後下部には排紙ユニット3が配置されている。そして、給紙ユニット2と排紙ユニット3との前後方向の間には、印刷ユニット4が配置され、排紙ユニット3の前方であって、印刷ユニット4の下方には、再給紙ユニット5が配置されている。また、印刷機本体1の前上部には製版ユニット6が配置され、印刷機本体1の後上部には排版ユニット7が配置されている。そして、印刷機本体1の上側には、画像読取ユニット8が配置されている。両面印刷装置10は、給紙ユニット2にある用紙を、印刷ユニット4に搬送し、印刷ユニット4で第1印刷処理して排紙ユニット3に搬送し、排紙ユニット3から再給紙ユニット5を経て印刷ユニット4に搬送し、印刷ユニット4で第2印刷処理して排紙ユニット5に搬送する、ようになっている。また、両面印刷装置10は、印刷機本体1内に、両面印刷装置10の作動を制御する、制御部(図示せず)と、両面印刷装置10からの印刷情報の入力及び両面印刷装置10の印刷情報の表示を行う操作パネル(図示せず)と、両面印刷装置10の印刷情報や印刷画像を記憶する記憶部(図示せず)と、を備えている。記憶部は、更に、第1印刷処理において印刷画像を用紙に印刷処理する際の印刷位置を示す第1印刷位置情報、及び、第2印刷処理において印刷画像を用紙に印刷処理する際の印刷位置を示す第2印刷位置情報、を記憶するようになっている。第1印刷位置情報及び第2印刷位置情報は、制御部が自動的に設定するが、ユーザーがその設定を変更することも可能となっている。
【0016】
給紙ユニット2は、給紙トレイ21と、給紙トレイ21の後端部に配置された給紙ローラ22及びサバキ部材23と、給紙ローラ22の後方に配置された一対のタイミングローラ24と、を備えている。給紙ローラ22及びサバキ部材23は、給紙トレイ21に積載された用紙を最上位から1枚ずつ取り出すようになっている。タイミングローラ24は、用紙の所定位置に印刷できるように、印刷ユニット4の印刷ドラム41の回転と同期して適宜タイミングで作動し、給紙ローラ22及びサバキ部材23によって取り出された用紙を、印刷ドラム41へ送り込むようになっている。
【0017】
排紙ユニット3は、エア吸引式の搬送ベルト機構31と排紙トレイ32とベースガイド33とを備えている。排紙ユニット3は、印刷ユニット4で印刷された用紙を、搬送ベルト機構31によってエア吸引しながら後方に搬送し、排紙トレイ32上へ排出するようになっている。
【0018】
排紙トレイ32は、エンドプレート322を備えており、エンドプレート322は、前方に移動することによって、排紙トレイ32上の用紙を再給紙ユニット5に受け渡すようになっている。ベースガイド33は、上下方向に移動可能となっており、搬送ベルト機構31によって排紙トレイ32へ用紙を搬送する際には、下方の、排紙ユニット3と再給紙ユニット5との間の開口を閉止する、閉止位置に位置し、排紙トレイ32から再給紙ユニット5へ用紙を搬送する際には、上方の、排紙ユニット3と再給紙ユニット5との間の開口を開放する、開放位置に位置するようになっている。
【0019】
印刷ユニット4は、製版マスターが外周面に装着される円筒状の印刷ドラム41と、印刷ドラム41に下方から当接離反自在に対向する押圧ローラ42と、を備えている。印刷ユニット4は、回転する印刷ドラム41と押圧ローラ42との間で用紙を挟持し、M1方向に用紙を搬送しつつ、印刷ドラム41内から供給されるインクによって、製版マスターの画像を用紙の上面に転写(第1印刷処理、第2印刷処理)するようになっている。
【0020】
再給紙ユニット5は、排紙トレイ32上に積載された第1印刷処理された用紙を排紙ユニット3から受け入れる再給紙トレイ51と、再給紙トレイ51上の用紙を最上位から1枚ずつ取り出し搬送する再給紙ローラ52及びサバキ部材54と、再給紙ローラ52から搬送されてきた用紙を印刷ユニット4に向けて搬送する1以上の一対の中間搬送ローラ53と、を備えている。再給紙ユニット5は、再給紙ローラ52、中間搬送ローラ53及びサバキ部材54によって、再給紙トレイ51上の用紙を、最上位から1枚ずつ、給紙ユニット2のタイミングローラ24へ搬送するようになっている。
【0021】
製版ユニット6は、孔版原紙ロール61と、サーマルヘッド62と、サーマルヘッド62に当接するプラテンローラ63と、を備えている。製版ユニット6は、画像読取ユニット8で読み取られた印刷画像のデータ又は記憶部から読み出した印刷画像データに基づき、孔版原紙ロール61から取り出した孔版原紙をサーマルヘッド62で製版し、製版マスターを印刷ユニット4の印刷ドラム41の外周面に装着するようになっている。
【0022】
排版ユニット7は、排版用のハウジング71と、ハウジング71の前上端部に取り付けられた上下一対の引き込みローラ72と、ハウジング71内に挿入された原紙収納ロール73と、を備えている。引き込みローラ72は、印刷ドラム41の後上端部に対応する位置に位置しており、印刷ドラム41の外周面に装着されている印刷使用後の製版マスターの先端部を挟持して回転することにより、印刷使用後の製版マスターが、ハウジング71内の原紙収納ロール73に巻き付けられるようになっている。
【0023】
画像読取ユニット8は、原稿の表面と裏面の画像を読み取るようになっており、制御部は、画像読取ユニット8で読み取られた印刷画像データを、記憶部に記憶させるようになっている。画像読取ユニット8は、原稿の表面と裏面とをそれぞれ読み取る固定原稿台(スキャナー)を備えるものでも良く、原稿の表面と裏面とを連続して読み取る原稿自動給紙装置(ADF)を備えるものでも良い。また、記憶部に記憶される印刷画像データについては、画像読取ユニット8で読み取られたものに限定されず、両面印刷装置10とオンラインで接続されたインターフェースから両面印刷装置10へ送信されたものや外部メモリから読み出したものでも良い。
【0024】
図2〜
図4は、両面印刷モードにおける両面印刷装置10の作動を説明する図である。ここで、両面印刷モードとは、原稿の表面画像(第1印刷画像)及び原稿の裏面画像(第2印刷画像)を読み取り、用紙の一方の面に第1印刷画像を印刷処理し、用紙の他方の面に第2印刷画像を印刷処理して、これにより任意の設定枚数の両面印刷処理を行うモードのことである。以下、
図1〜
図4を用いて、両面印刷モードにおける両面印刷装置の作動の概要を説明する。
【0025】
図1に示されるように、製版ユニット6は、画像読取ユニット8で読み取られた表面画像(第1印刷画像)のデータに基づき、孔版原紙ロール61から取り出した孔版原紙をサーマルヘッド62で製版し、製版された第1製版マスターN1を印刷ユニット4の印刷ドラム41の外周面に装着する。
【0026】
次に、給紙ローラ22及びサバキ部材23は、給紙トレイ21に積載された用紙P1(表面裏面共に、印刷されていない)を、最上位から1枚ずつ取り出す。タイミングローラ24は、用紙P1の所定位置に印刷できるように、印刷ユニット4の印刷ドラム41の回転と同期して適宜タイミングで作動し、取り出された用紙P1を印刷ユニット4の印刷ドラム41へ送り込む。
【0027】
そして、印刷ユニット4は、回転する印刷ドラム41と押圧ローラ42との間で用紙P1を挟持し、M1方向に用紙P1を搬送しつつ、第1印刷位置情報に基づき、印刷ドラム41内から供給されるインクにより、第1製版マスターN1に形成された第1印刷画像を用紙P1の上面(表面)に任意の設定枚数だけ転写(第1印刷処理)する。
【0028】
そして、
図2に示されるように、排紙ユニット3は、印刷ユニット4で第1印刷処理された用紙P2を、搬送ベルト機構31により後方に搬送し、排紙トレイ32上へ排出する。この際、ベースガイド33は、閉止位置に位置し、排紙トレイ32上に積載された用紙P2の前端(M1方向基端)を揃える。
【0029】
一方、排版ユニット7では、引き込みローラ72が、印刷ドラム41の外周面に装着されている製版マスターN1の先端部を挟持して回転することによって、第1製版マスターN1は、ハウジング71の原紙収納ロール73に巻き付けられる。
【0030】
印刷ドラム41から第1製版マスターN1が取り除かれた後、製版ユニット6は、画像読取ユニット8で読み取られた裏面画像(第2印刷画像)のデータに基づき、孔版原紙ロール61から取り出した孔版原紙をサーマルヘッド62で製版し、製版された第2製版マスターN2を印刷ユニット4の印刷ドラム41の外周面に装着する。
【0031】
そして、
図3に示されるように、エンドプレート322の前方への移動によって、排紙ユニット3は、排紙トレイ32上に積載された第1印刷処理された用紙P2を、再給紙方向(M2方向)に向けて、再給紙ユニット5に受け渡す。この際、ベースガイド33は、開放位置に位置する。そして、
図4に示されるように、ベースガイド33は閉止位置に移動し、再給紙ローラ52及びサバキ部材54は、排紙ユニット3から受け取った用紙P2を最上位から1枚ずつ取り出し、再給紙ローラ52及び中間搬送ローラ53は、取り出された用紙P2を、印刷された表面が下面に、印刷されていない裏面が上面となるように、給紙ユニット2のタイミングローラ24に搬送する。
【0032】
タイミングローラ24は、印刷ユニット4の印刷ドラム41の回転と同期して適宜タイミングで作動し、印刷ユニット4の印刷ドラム41へ、印刷されていない裏面を上面として用紙P2を送り込む。印刷ユニット4は、回転する印刷ドラム41と押圧ローラ42との間で用紙P2を挟持し、搬送方向M1に搬送しつつ、第2印刷位置情報に基づき、印刷ドラム41内から供給されるインクにより、第2製版マスターN2に形成された第2印刷画像を用紙P2の上面(裏面)に任意の設定枚数だけ転写(第2印刷処理)する。
【0033】
印刷ユニット4で第2印刷処理された用紙P3は、搬送ベルト機構31により後方に搬送され、排紙トレイ32上へ排出される。
【0034】
図5及び
図6は、両面増刷モードにおける両面印刷装置10の作動を示すフローチャートである。ここで、両面増刷モードとは、上記両面印刷処理(第1印刷処理及び第2印刷処理)終了後、更に、同じ画像(第1印刷画像及び第2印刷画像)について任意の設定枚数の両面印刷処理(以下、「両面増刷処理」という)を行うモードのことである。以下、
図5及び
図6を用いて、両面増刷モードにおける両面印刷装置10の作動を説明する。
【0035】
図5に示されるように、両面印刷処理終了後(ステップ(以下、Sと示す)101)、使用者が、操作パネルにおいて、再製版機能を設定する(再製版機能をON状態とする)(S102)と、記憶部に記憶された、第1印刷画像データ、第1印刷位置情報、及び、第2印刷画像データ、第2印刷位置情報を用いて、両面印刷処理が行われることになる。再製版機能とは、直前の両面印刷処理の印刷画像データを記憶部に記憶しておき、記憶部に記憶された印刷画像を読み出して再度製版することができる機能のことであり、再製版機能がON状態とされることによって、両面印刷装置10は、両面印刷モードから両面増刷モードに変更される。
【0036】
そして、使用者が操作パネルの印刷キーをタッチする(S103)と、
図6に示されるように、操作パネルに「両面を増刷しますか?」と表示される(S201)。ここで、使用者が「いいえ」をタッチすると両面増刷処理が中止される(S202)。両面増刷処理の中止には、用紙の一方の面への第1印刷画像又は第2印刷画像の印刷処理、すなわち片面印刷処理、及び、増刷のための印刷処理自体の中止、が含まれる。一方、使用者が「はい」をタッチすると両面増刷処理が開始される。
【0037】
使用者が「はい」をタッチすると、制御部は、現在、印刷ドラム41に装着されている製版マスターの印刷画像が、第1印刷画像か第2印刷画像かのどちらであるかを認識する(S203)。そして、現在、印刷ドラム41に装着されている製版マスターの印刷画像が第1印刷画像である場合、すなわち、印刷ドラム41に装着されている製版マスターが第1製版マスターの場合、制御部は、記憶部に記憶された第1印刷位置情報を基づき、印刷ドラム41に装着されている第1製版マスターを使用して、増刷のための用紙(第2印刷用紙)の一方の面に第1印刷画像を任意の設定枚数だけ印刷処理する(S211)。
【0038】
第2印刷用紙の一方の面への印刷処理が終了すると、制御部は、記憶部に記憶された第2印刷画像データを使用して、第2印刷画像が形成された第3製版マスターを製版する(S212)。そして、第3製版マスターを印刷ドラム41に装着する(S213)。
【0039】
次に、記憶部に記憶された第2印刷位置情報を基づき、印刷ドラム41に装着されている第3製版マスターを使用して、第2印刷用紙の他方の面に任意の設定枚数だけ第2印刷画像を印刷処理する(S214)。
【0040】
そして、第2印刷用紙の一方の面に第1印刷画像を印刷処理し、第2印刷用紙の他方の面に第2印刷画像を印刷処理する、両面増刷処理が終了する(S215)。
【0041】
また、両面増刷処理前に、印刷ドラム41に装着されている製版マスターの印刷画像が第2印刷画像である場合、すなわち、印刷ドラム41に装着されている製版マスターが第2製版マスターの場合、制御部は、記憶部に記憶された第2印刷位置情報を基づき、印刷ドラム41に装着されている第2製版マスターを使用して、増刷のための用紙(第2印刷用紙)の一方の面に第2印刷画像を任意の設定枚数だけ印刷処理する(S221)。
【0042】
第2印刷用紙の一方の面への印刷処理が終了すると、制御部は、記憶部に記憶された第1印刷画像データを使用して、第1印刷画像が形成された第3製版マスターを製版する(S222)。そして、第3製版マスターを印刷ドラム41に装着する(S223)。
【0043】
次に、記憶部に記憶された第1印刷位置情報を基づき、印刷ドラム41に装着されている第3製版マスターを使用して、第2印刷用紙の他方の面に第1印刷画像を任意の設定枚数だけ印刷処理する(S224)。
【0044】
そして、第2印刷用紙の一方の面に第2印刷画像を印刷処理し、第2印刷用紙の他方の面に第1印刷画像を印刷処理する、両面増刷処理が終了する(S225)。
【0045】
一方、
図5に示されるように、使用者が再製版機能を設定後、操作パネルの印刷キーをタッチせず、製版キーをタッチする(S104)と、現在、印刷ドラム41に装着されている印刷画像が、第1印刷画像か第2印刷画像かのどちらであるかに関わらず、再度、第1製版マスター及び第2製版マスターを製版して、両面増刷処理を行う。
【0046】
すなわち、制御部は、記憶部に記憶された第1印刷画像データを使用して、第1印刷画像が形成された第1製版マスターを製版する(S105)。そして、第1製版マスターを印刷ドラム41に装着する(S106)。
【0047】
次に、記憶部に記憶された第1印刷位置情報を基づき、印刷ドラム41に装着されている第1製版マスターを使用して、第2印刷用紙の一方の面に第1印刷画像を任意の設定枚数だけ印刷処理する(S107)。
【0048】
次に、制御部は、記憶部に記憶された第2印刷画像データを使用して、第2印刷画像が形成された第2製版マスターを製版する(S108)。そして、第2製版マスターを印刷ドラム41に装着する(S109)。
【0049】
次に、記憶部に記憶された第2印刷位置情報を基づき、印刷ドラム41に装着されている第2製版マスターを使用して、第2印刷用紙の他方の面に第2印刷画像を任意の設定枚数だけ印刷処理する(S110)。
【0050】
そして、第2印刷用紙の一方の面に第1印刷画像を印刷処理し、第2印刷用紙の他方の面に第2印刷画像を印刷処理する、両面増刷処理が終了する(S111)。
【0051】
なお、例えば、上記両面増刷処理(S225)後に、更に、両面増刷処理する場合、印刷ドラム41に装着されている製版マスターは、第1印刷画像が形成されたものであるので、まず、用紙の一方の面(表面)に第1印刷画像を印刷処理後、第2印刷画像に基づき製版マスターを製版し、用紙の他方の面(裏面)に第2印刷画像を印刷処理することになる。すなわち、両面増刷処理を繰り返す場合、両面増刷処理毎に、用紙の表面と裏面とに印刷処理される印刷画像が入れ替わることとなる。ただし、印刷物の仕上がり品としては同じといえる。そして、「両面印刷処理の終了後、更に、増刷のための両面印刷処理する」という記載には、「最初の両面印刷処理の終了後の、増刷のための両面印刷処理」だけでなく、「最初の両面印刷処理後に行われる1以上の増刷のための両面印刷処理の終了後の、増刷のための両面印刷処理」も含まれる。
【0052】
また、排紙トレイ32上に排出された、両面印刷処理された用紙が取り除かれるまで、使用者が、再製版機能が設定された状態において印刷キー又は製版キーをタッチしても、両面印刷装置10は、両面増刷処理を行うことはない。すなわち、排紙トレイ32には、排紙トレイ32上の用紙の有無を検知する光学センサ(図示せず)が設けられており、光学センサが排紙トレイ32上の用紙を検知している場合には、使用者が、再製版機能が設定された状態において印刷キー又は製版キーをタッチすると、制御部は、両面増刷処理を行わず、排紙トレイ32上の用紙を取り除くよう、操作パネルに警告を表示するようになっている。
【0053】
また、両面印刷装置10は、排紙トレイ32上に両面印刷処理された用紙が存在する場合であっても、新たに両面印刷処理を開始可能となるよう構成されても良い。この場合、新たに第1印刷処理された用紙は、排紙トレイ32上に残る両面印刷処理された用紙の上に載り、両面印刷処理された用紙と共に再給紙ユニット5に送られる。そして、第1印刷処理された用紙のみが、再給紙ユニット5から印刷ユニット4に搬送されて、第2印刷処理されて排紙トレイ32に排出される。その際、再給紙ユニット5に残る両面印刷処理された用紙は、再給紙ユニット5から使用者によって取り出されることになる。
【0054】
前記構成の両面印刷装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0055】
(1)両面印刷装置10は、両面印刷処理後の両面増刷処理において、両面増刷処理を実行する直前の、印刷ドラム41に装着されている第1製版マスター又は第2製版マスターの一方を用いて、用紙の一方の面に印刷処理するようになっている。したがって、両面増刷処理における、孔版原紙の消費量は、第3製版マスターの1版分となり、新たに第1製版マスター及び第2製版マスターの2版分を製版する場合と比べて、孔版原紙の消費量を半減させることができる。
【0056】
(2)第1印刷画像データ及び第2印刷画像データが記憶部に記憶されており、且つ、両面増刷処理を実行する直前の印刷ドラムに装着されている製版マスターの印刷画像が、第1印刷画像又は第2印刷画像のどちらであるかが記憶部に記憶されているので、記憶部に記憶された、両面増刷処理を実行する直前における印刷ドラム41に装着されていない方の、第1印刷画像又は第2印刷画像から、第3製版マスターを製版することができる。その結果、第3製版マスターを製版するために、原稿画像から印刷画像データを作成する必要がなく、両面印刷処理後の両面増刷処理において、印刷画像データを作成する時間を省略することができる。すなわち、両面増刷処理の所要時間を短縮することができる。
【0057】
(3)上述したように、両面増刷処理では、両面増刷処理毎に、用紙の表面と裏面とに印刷処理される印刷画像が入れ替わることとなる。したがって、用紙の表面に印刷処理する場合の印刷位置情報と用紙の裏面に印刷処理する場合の印刷位置情報とが入れ替わるようになっていないと、印刷処理される印刷画像とその印刷画像に対応させるべき印刷位置情報とが対応しなくなってしまう。ここで、前記構成の両面印刷装置によれば、両面増刷処理において、用紙の一方の面又は他方の面に、第1印刷画像又は第2印刷画像が印刷処理されるが、第1印刷画像を印刷処理する場合には第1印刷位置情報が用いられ、第2印刷画像を印刷処理する場合には第2印刷位置情報が用いられるので、両面増刷処理された用紙の印刷画像の位置を両面印刷処理された用紙の印刷画像の位置と一致させることができる。そして本発明は、上記構成を備えることによって、「両面増刷処理毎に、用紙の表面と裏面とに印刷処理される印刷画像が入れ替わるのに対応して、印刷位置情報を入れ替える」という構成も含んでいる。
【0058】
なお、両面印刷装置10は、印刷画像が形成された製版マスターを1つだけ用いて、当該印刷画像を用紙の両面に印刷する印刷モード(1製版両面印刷モード)も備えている。両面印刷装置10が1製版両面印刷モードである場合、用紙の表面と裏面とに印刷処理される印刷画像が同じであるので、両面増刷処理において、両面増刷処理毎に、用紙の表面と裏面とに印刷処理される印刷画像が入れ替わるのに対応して、印刷位置情報を入れ替える必要はない。
【0059】
上記実施形態では、再製版機能が設定された状態で、使用者が印刷キー又は製版キーをタッチすることによって、両面増刷処理を行うようになっているが、両面印刷処理装置10において、再製版機能を設ける代わりに、両面増刷処理を行うキーを別途設けても良い。
【0060】
なお、両面印刷装置10は、両面増刷処理を行う両面増刷モード以外に、耐刷処理を行う「耐刷モード」を有していても良い。耐刷処理とは、孔版原紙の耐刷性の問題に対応するために、耐刷処理直前に、印刷ドラム41に装着されている製版マスターの印刷画像と同じ印刷画像の製版マスターを再製版した上で、印刷ドラム41に装着し直し、印刷処理を行うものである。なお、他の実施形態として、両面印刷装置10は、第1印刷画像又は第2印刷画像のどちらかが使用者によって選択されると、選択された印刷画像の製版マスターを再製版するように構成されても良い。
【0061】
また、上述したように、両面増刷処理では、両面増刷処理毎に、用紙の表面と裏面とに印刷処理される印刷画像が入れ替わることとなる。しかし、耐刷処理では、耐刷処理直前に、印刷ドラム41に装着されている製版マスターの印刷画像と同じ印刷画像の製版マスターを再製版した上で、印刷処理を行うので、耐刷処理される用紙の表面と裏面の印刷画像を、耐刷処理直前に両面印刷処理された用紙の表面と裏面の印刷画像に、それぞれ一致させることができる。なお、記憶部に印刷画像が記憶されていれば、耐刷モードの設定が可能であるので、両面印刷処理時において、印刷用紙の一方の面に印刷処理された後であっても、また、印刷用紙の両方の面に印刷処理された後であっても、耐刷モードによる耐刷処理を行うことができる。
【0062】
本発明は、上記実施形態で説明した構成には限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱することなく、当業者が考え得る各種変形例を含むことができる。