特許第5919119号(P5919119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5919119-ドア装置 図000002
  • 特許5919119-ドア装置 図000003
  • 特許5919119-ドア装置 図000004
  • 特許5919119-ドア装置 図000005
  • 特許5919119-ドア装置 図000006
  • 特許5919119-ドア装置 図000007
  • 特許5919119-ドア装置 図000008
  • 特許5919119-ドア装置 図000009
  • 特許5919119-ドア装置 図000010
  • 特許5919119-ドア装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919119
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/36 20060101AFI20160428BHJP
   E05D 7/081 20060101ALI20160428BHJP
   E05D 7/04 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   E06B3/36
   E05D7/081
   E05D7/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-164368(P2012-164368)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-25214(P2014-25214A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕一
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−275439(JP,A)
【文献】 実開昭57−050568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/36
E05D 7/081
E05D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体の上端面の戸尻側部位から上方に突出するピボット軸と、ドア枠の上枠に形成された軸受と、からなるピボットヒンジを備えたドア装置において、
前記ピボット軸は、上板と、下板と、上板と下板とを連結する側板と、からなり、扉体の戸尻側上方部位に設けられたブラケットに上下動可能に支持されており、
前記ピボット軸の周面には、扉体の上端面より下方に位置して周縁部が延出形成されており、
前記ピボット軸は、前記周縁部と前記下板との間に設けたバネによって扉体の上端面から上方に突出した上動位置を保持することで前記軸受に受け入れられており、
前記扉体の戸尻側端面の上方部位には、上動位置にあるピボット軸の周縁部に対応して開口が形成されており、前記バネを圧縮するように前記周縁部を下方に移動させることで、前記ピボット軸が下動して前記ピボット軸が前記軸受から脱する下動位置を取るようになっており、
前記側板には、螺子孔を備えた取付片がピボット軸に対向するように形成されており、前記螺子孔に螺合させた螺子の軸部を前記周縁部の直ぐ下に位置させることで、前記ピボット軸が下動位置となることを規制しており、
前記扉体の前記戸尻側端面において、前記開口が形成された部位は、扉体が閉鎖姿勢にある時には、ドア枠の戸尻側縦枠内に隠れており、扉体が開放姿勢となると、前記戸尻側縦枠から出て建物開口部に面するようになっている、
ドア装置。
【請求項2】
前記戸尻側端面の上方部位には、前記開口を塞ぐようにキャップが着脱可能に取り付けられている、請求項1に記載のドア装置。
【請求項3】
前記キャップは、面部と、面部の裏面側に設けた係止突起と、を備え、前記開口に着脱可能に係合する、請求項2に記載のドア装置。
【請求項4】
前記螺子は、前記キャップの取付用螺子を兼用している、請求項2に記載のドア装置。
【請求項5】
前記扉体の戸尻側端面は、扉体面部に対して直角状の第1面と、第1面に対して傾斜する第2面と、からなり、前記第2面は、扉体が開放姿勢にある時に建物開口部に面するようになっており、前記開口は、前記第2面に形成されている、請求項1〜4いずれか1項に記載のドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピボットヒンジを用いてドア枠に回動可能に取り付けられた開き戸からなるドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピボット軸を備えた扉体をドア枠に吊り込む時には、扉体の上端面の戸尻側部位から突出するピボット軸を下方に退避させた状態で、ピボット軸をドア枠側の軸受の直下に位置させ、下方に退避させたピボット軸を再び上方へ突出させて軸受に係止させる必要がある。従来は、螺子等を回転させることで、ピボット軸の下方への退避・上方への突出を行うものが多く、吊り込み作業に手間がかかっていた。
【0003】
上下動可能なピボット軸を備えた扉体の場合、扉体を吊り込んだ後の通常の使用状態において、何らかの力が作用することでピボット軸が下動して軸受から外れることによる扉体の脱落を防止する必要がある。特許文献1のものでは、レバーを回動させることで、ピボット軸の下方への退避・上方への突出、及び、扉体の脱落の防止を行っているが、構成要素が多く、機構が複雑となっている。
【特許文献1】特開2008−248495
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シンプルな構成でありながら、ピボット軸の下方への退避・上方への突出、及び、扉体の脱落の防止を行うことができるドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
扉体の上端面の戸尻側部位から上方に突出するピボット軸と、ドア枠の上枠に形成された軸受と、からなるピボットヒンジを備えたドア装置において、
前記ピボット軸は、上板と、下板と、上板と下板とを連結する側板と、からなり、扉体の戸尻側上方部位に設けられたブラケットに上下動可能に支持されており、
前記ピボット軸の周面には、扉体の上端面より下方に位置して周縁部が延出形成されており、
前記ピボット軸は、前記周縁部と前記下板との間に設けたバネによって扉体の上端面から上方に突出した上動位置を保持することで前記軸受に受け入れられており、
前記扉体の戸尻側端面の上方部位には、上動位置にあるピボット軸の周縁部に対応して開口が形成されており、前記バネを圧縮するように前記周縁部を下方に移動させることで、前記ピボット軸が下動して前記ピボット軸が前記軸受から脱する下動位置を取るようになっており、
前記側板には、螺子孔を備えた取付片がピボット軸に対向するように形成されており、前記螺子孔に螺合させた螺子の軸部を前記周縁部の直ぐ下に位置させることで、前記ピボット軸が下動位置となることを規制しており、
前記扉体の前記戸尻側端面において、前記開口が形成された部位は、扉体が閉鎖姿勢にある時には、ドア枠の戸尻側縦枠内に隠れており、扉体が開放姿勢となると、前記戸尻側縦枠から出て建物開口部に面するようになっている、ドア装置、である。
1つの態様では、前記戸尻側端面の上方部位には、前記開口を塞ぐようにキャップが着脱可能に取り付けられている。
【0006】
1つの態様では、前記扉体の戸尻側端面は、扉体面部に対して直角状の第1面と、第1面に対して傾斜する第2面と、からなり、前記第2面は、扉体が開放姿勢にある時に建物開口部に面するようになっており、前記開口は、前記第2面に形成されている。
【0007】
1つの態様では、前記キャップは、面部と、面部の裏面側に設けた係止突起と、を備え、前記開口に着脱可能に係合する。このものでは、キャップの装着に螺子等を用いないので美観上も良好である。
【0008】
1つの態様では、前記螺子は、前記キャップの取付用螺子を兼用している。より具体的な態様では、キャップには螺子孔が形成されており、キャップを開口にあてがった状態で、キャップの螺子孔と取付片の螺子孔とが一致しており、螺子を締めることで、キャップが取付片に固着され、同時に、螺子の軸部が前記周縁部の直ぐ下まで前進することになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ピボット軸は常にバネの力で扉体の上端面から突出しており、扉体の吊り込み時に、突出するピボット軸を手で下方に押し込みながら、あるいは、戸尻側端面に形成した開口に工具等を差し込んでピボット軸の周縁部を下方に押し込みながら扉体をドア枠に取り付ければよく、扉体の吊り込み作業が簡単である。
【0010】
取付片に装着した螺子の軸部をピボット軸の周縁部の直ぐ下に位置させることによって、ピボット軸の下方への移動を規制し、もって、扉体の脱落を防止することができる。また、戸尻側端面に形成した開口をキャップによって塞ぐものでは、ピボット軸、周縁部、バネ等の構成要素が外部に露出することがなく、意匠上良好である。
【0011】
扉体の戸尻側端面が、扉体面部に対して直角状の第1面と、第1面に対して傾斜する第2面と、からなり、前記第2面は、扉体の開放状態で建物開口部に面するようになっており、前記開口は、前記第2面に形成されているものでは、開口への工具等の挿入、開口に対するキャップの脱着の作業性が良好である。
【0012】
ピボット軸の下動規制用の螺子を、開口を塞ぐためのキャップの取付螺子に兼用することで、当該螺子の締め忘れが視認で確認できるため、締め忘れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】室外側から見たドア装置の正面図である。
図2図1のドア装置の戸尻側の上方部位、下方部位の部分拡大図である。
図3】扉体が閉鎖姿勢にあるドア装置の横断面図である。
図4】扉体が開放姿勢にあるドア装置の部分横断面図である。
図5】扉体が閉鎖姿勢にあるドア装置の部分縦断面図である。
図6】ピボット軸アセンブリを示す図である。
図7】第1の実施形態に係るキャップを備えた扉体の戸尻側部位を示す図であり、左図は開口が開放された状態、右図は開口をキャップで塞いだ状態を示している。
図8】第1の実施形態に係るキャップを示す図である。
図9】第2の実施形態に係るキャップを備えた扉体の戸尻側部位を示す図であり、左図は開口が開放された状態、右図は開口をキャップで塞いだ状態を示している。
図10】第2の実施形態に係るキャップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図5に示すように、ドア装置は開き戸であって、ドア枠1と、ドア枠1に対して回動可能に取り付けられた扉体2とからなる。ドア装置のドア枠1は、戸先側縦枠10、戸尻側縦枠11、上枠12、下枠13から構成されており、ドア枠1によって建物開口部が形成されている。扉体2は、室外側面部20、室内側面部21、戸先側端面22、戸尻側端面23、上端面24、下端面25、を備えている。扉体2の上方部位にはドアクローザ200が設けてあり、開放した扉体2はドアクローザ200によって自動的に閉鎖する。
【0015】
戸先側端面22の室外側端部には、高さ方向に亘って、戸先側端面22から突出するように延出片220が形成されている。扉体2の閉鎖状態では、延出片220の先端側は、戸先側縦枠10の室外側見付面に対向するようになっている。図7図9に示すように、扉体2の戸尻側端面23は、室外側面部20、室内側面部21に対して直角状の第1面23Aと、第1面23Aに対して室内側面部21側に位置し、第1面23Aから室内側面部21に対して戸先側に向かって傾斜状に延びる第2面23Bと、からなる。
【0016】
戸尻側縦枠11は、平面視において室内外方向に延びる見込片110と、見込片110の室内側部位から建物開口部に向かって突出する室内側見付片111と、見込片110の室外側部位から建物開口部に向かって突出する室外側見付片112と、を備えている。扉体2が閉鎖姿勢にある時には、見込片110は、扉体2の戸尻側端面23に対して離間対向すると共に、扉体2の室内側面部21を越えて延びている。室内側見付片111は、扉体2の室内側面部21の戸尻側部位に対して離間対向して延びており、室内側見付片111の先端には、室外側に向かって突出すると共に扉体2の高さ方向に延びる気密材11Aが装着されている。室外側見付片112は、見込片110から扉体2の戸尻側端面23に向かって突出している。図3に示すように、扉体2が閉鎖姿勢にある時には、戸尻側縦枠11に装着した高さ方向に延びる気密材11Aが扉体2の室内側面部21の戸尻側端部に接触しており、室内側見付片111と扉体2の室内側面部21の戸尻側部位との間の隙間を塞いでいる。図4に示すように、扉体2が開放姿勢にある時には、戸尻側縦枠11に装着した高さ方向に延びる気密材が扉体2の戸尻側端面23の第1面23Aに接触ないし近接しており、戸尻側端面23の第2面23Bは建物開口部に面している。
【0017】
扉体2は、上部ピボットヒンジ3A、下部ピボットヒンジ3Bによって、ドア枠1に対して回動可能となっている。上部ピボットヒンジ3Aは、扉体2側のピボット軸4と、上枠12側の軸受120と、を備えており、ピボット軸4が軸受120に受け入れられることで、扉体2の上端面24の戸尻側部位はドア枠1の上枠12に回動可能に取り付けられている。下部ピボットヒンジ3Bは、扉体2側の軸受251と、下枠13側のピボット軸131と、を備えており、ピボット軸131が軸受251に受け入れられることで、扉体2の下端面25の戸尻側部位はドア枠1の下枠13に回動可能に取り付けられている。
【0018】
図6に示すように、ピボット軸4は垂直状に延びており、ブラケット5に上下動可能に支持されている。ブラケット5は、水平状の上板50と、水平状の下板51と、上板50と下板51とを一体的に連結する垂直状の側板52と、を備えている。上板50には、ピボット軸4の上端側を挿通させる挿通孔が形成されており、下板51には、ピボット軸4の下端側を挿通させる挿通孔が形成されており、ピボット軸4は、上下端部がそれぞれ上板50、下板51に挿通された状態で、上板50と下板51間で垂直姿勢に支持されている。上板50の下面には、上板50の挿通孔に位置する挿通孔が形成された補強板50Aが螺子で固着されている。
【0019】
ピボット軸4は、垂直状に延びる円柱体であり、常時扉体2の上端面24よりも下方に位置する部位、図示の態様では高さ方向の略中間位置には、ピボット軸4の周面から水平状に延出する周縁部40が形成されている。図示の態様では、周縁部40はピボット軸4の周面全体から放射状に延出する円板状であるが、周縁部40の形状は円板状に限定されるものではなく、例えば、四角形等の多角形状であってもよい。1つの態様では、周縁部40は、プッシュナットから形成されるが、周縁部とピボット軸4の円柱体とを一体形成してもよい。
【0020】
ピボット軸4の下端近傍には止め輪(1つの態様では、Eリングから形成される)41が固定されており、止め輪41が下板51の下面に当接することで、その位置より上方への軸4の上動が規制されている。すなわち、ピボット軸4に固定された止め輪41が下板51の下面に当接した状態が、ピボット軸4の上動位置であり、ピボット軸4が上動位置にある時には、ピボット軸4の上端側は上板50から突出している。
【0021】
ブラケット5の上板50、下板51間に支持されたピボット軸4の下半部には、周縁部40と下板51との間に位置してバネ6が外装されている。バネ6のスプリング力が周縁部40を常時上方に付勢することで、ピボット軸4は外力が作用しない自然状態で常時上動位置を維持するようになっている。上枠12の戸尻側の下面に固定されたプレート121には、軸受120が設けてあり、ピボット軸4が上動位置にある時には、ピボット軸4の上端部位が上枠12の軸受120内に突出して受け入れられている。
【0022】
ピボット軸4が上動位置にある時に、バネ6を圧縮するように周縁部40を下方に移動させると、ピボット軸4は下方に移動して、ピボット軸4の上端部位が上枠12の軸受120から脱して下動位置となる。下動位置にあるピボット軸4の下端部位が、図2上図に点線で示してある。
【0023】
側板52は縦長方形状であり、垂直状に延びる第1の側縁520と第2の側縁521とを備えており、第2の側縁521には、高さ方向の略中央部位に位置して、取付片522が延出形成されている。延出片522は、垂直状に延びる板状片であると共に、平面視において、側板52に対して傾斜状に延出している。取付片522は、周縁部40よりも下方の高さ位置で、ピボット軸4に対向している。
【0024】
取付片522には螺子孔523が形成されており、螺子7を螺子孔523に螺入させると、螺子7の軸部の先端側が前進して周縁部40の下方に位置することになる。この状態において、バネ6を圧縮するように周縁部40を下方に移動させる力が作用したとしても、周縁部40が当該周縁部40の下方に位置する螺子7の軸部の先端側に当接することで、それ以上の下動が規制され、ピボット軸4の上端側が上枠12の軸受120から脱して外れるようなことがない。すなわち、螺子7はピボット軸4の下動規制用螺子である。
【0025】
ピボット軸4と、ブラケット5と、ばね6とから、いわゆるピボット軸アセンブリが構成されており、ピボット軸アセンブリは、ブラケット5を介して扉体2に装着されている。より具体的には、ブラケット5の上板50は、扉体2の上端面24の戸尻側部位に当接させてなり、上板50を扉体2の上端面24に設けた固定プレートに対して螺子で固定されている。ブラケット5の側板52は、扉体2の戸尻側端面23の第1面23Aの上方部位に内側から当接させてなり、螺子で固定されている。ブラケット5の側板52の取付片522は、第2面23Bの内側において、当該第2面23Bに沿って延びている。図6に示すように、ブラケット5の上板50は第2面23Bに対応する傾斜縁を備えており、上板50の平面形状は、扉体2の戸尻側の平面形状に対応するような形状となっている。
【0026】
図7図9に示すように、第2面23Bの上方部位には、ピボット軸アセンブリのピボット軸4の周縁部40を含む部位から下方に亘る部位、及び当該部位に外装されたバネ6、取付片522に対応して、縦長の開口230が形成されている。第2面23Bには、開口230を塞ぐようにキャップ8(図7図8)、キャップ9(図9図10)が着脱可能に取り付けられる。開口230は、ピボット軸4を操作するための開口であって、高さ寸法H、幅寸法Wを備えており、高さ寸法Hは、周縁部40を押し下げることで、ピボット軸4が上動位置から下動位置まで下動できるような寸法であり、幅寸法Wは、工具等が挿入できる寸法となっている。また、図7左図、図9左図から明らかなように、開口230の幅方向において、ピボット軸4、バネ6、取付片522は一側に偏倚しており、取付片522が周縁部40の押し下げ動作を妨げることがないようになっている。
【0027】
図3に示すように、扉体2の戸尻側端面23において、開口230が形成された部位(第2面23B)は、扉体2が閉鎖姿勢にある時には、ドア枠の戸尻側縦枠11内に隠れている(見込片110、室内側見付片111、気密材11Aで囲まれた空間に面している)。扉体2は閉鎖姿勢にある時間が殆どであると考えられ、仮にキャップ8、9を設けずに開口230が露出した状態であったとしても、多くの場合、開口230は戸尻側縦枠11内に隠蔽された状態にある。図4に示すように、扉体2が開放姿勢(少なくとも閉鎖姿勢から90度回動した姿勢)となると、開口230が形成された部位(第2面23B)は、戸尻側縦枠11内から出て建物開口部に面するようになっている。
【0028】
図7図8に示すように、第1の実施形態では、キャップ8は、平板状の面部80と、面部80の裏面において周縁に近い側に突成された係合片81と、を備え、キャップ8は、係合片81を開口230の周縁部の裏面側に係合させることで、第2面23Bに着脱可能に取り付けられる。
【0029】
図9図10に示すように、第2の実施形態では、キャップ9は、周縁部90と、中央の凹部91、とを備え、凹部91の底面には螺子孔92が形成されている。周縁部90を第2面23Bの開口230の周縁に当接させた状態で、凹部91の底面は取付片522に当接ないし近接しており、螺子7を螺子孔92及び螺子孔523に螺合させることで、キャップ9は第2面23Bに着脱可能に取り付けられる。螺子7は、ピボット軸4の下動規制用螺子とキャップ9の取付用螺子を兼用している。
【0030】
図2下図を参照しながら、下部ピボットヒンジ3Bについて説明する。扉体2の下端面25の戸尻側に固定されたL形状の固定プレート250の水平片には、軸受251が形成されている。一方、ドア枠1の下枠13の上面に固定されたプレート130には、ピボット軸131が上方に向かって突成されており、軸受251にピボット軸131が受け入れられている。固定プレート250の垂直片は、扉体2の戸尻側端面23の第1面23Aの下方部位に内側から当接して螺子で固定されており、固定プレート250の水平片は、扉体2の下端面25に固定されたプレート252に対して螺子で固定されている。
【0031】
叙上のように構成されたドア装置において、扉体2をドア枠1に取り付ける時には、キャップ8ないし9を外した状態で開口230が開放状の扉体2を、扉体2の上端面24から上方に突出したピボット軸4を手で下方に押し下げた状態で(開口230から差し込んだ工具等で周縁部40を下方に押し下げてもよい)、下端面25の戸尻側の軸受251に、下枠13のピボット軸131を差し込むように吊り込み、上枠12の軸受120の直下にピボット軸4を位置させて、ピボット軸4の押し下げを解除することで、バネ6の力によってピボット軸4を上方に突出させて軸受120に係止させる。
【0032】
扉体2をドア枠1に取り付けた状態で、螺子7を締めて螺子7の軸部を前進させて、螺子7の軸部を周縁部40の真下に位置させることで、周縁部40の下方への移動が規制される。そして、キャップ8を開口230の周縁に係合させて開口230を塞ぐ。キャップ8によって開口230を塞ぐことで、ピボット軸アセンブリの要素が外部に露出することがなく、意匠的に優れる。
【0033】
キャップ9を用いる場合には、キャップ9を開口230にあてがった状態で、キャップ9の凹部91の螺子孔92と取付片522の螺子孔523が一致しており、螺子7によってキャップ9を取付片522に固定すると同時に、螺子7の軸部が前進して、螺子7の軸部が周縁部40の真下に位置することになって、周縁部40の下方への移動が規制される。このものでは、キャップ9の取付用螺子がピボット軸の下動規制用螺子を兼用するので、螺子7の締め忘れを防止することができる。
【0034】
扉体2を取り外す時には、扉体2を開放姿勢(図4参照)として、扉体2の戸尻側端面23の第2面23Bが建物開口部に面するようにし、キャップ8を取り外して、開口230を開放し、螺子7を軸部が後退するように緩めて、軸部が周縁部40の下方の位置から退避させ、開口230に工具等を挿入して周縁部40を押し下げることで、ピボット軸4を軸受120から離脱させる。そして、扉体2の下側のピボットヒンジ構造を離脱させることで扉体2をドア枠1から取り外すことができる。
【0035】
キャップ9を用いる場合には、螺子7を軸部が後退するように緩めてキャップ9を取付片522から離脱させることで、同時に軸部が周縁部40の下方の位置から退避する。開口230に工具等を挿入して周縁部40を押し下げることで、ピボット軸4を軸受120から離脱させる。そして、扉体2の下側のピボットヒンジ構造を離脱させることで扉体2をドア枠1から取り外すことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ドア枠
11 戸尻側縦枠
12 上枠
120 軸受
2 扉体
23 戸尻側端面
24 上端面
4 ピボット軸
40 周縁部
5 ブラケット
50 上板
51 下板
52 側板
522 取付片
523 螺子孔
7 螺子
8 キャップ
9 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10