特許第5919130号(P5919130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919130
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】発光ダイオードを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/06 20060101AFI20160428BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20160428BHJP
   C08G 77/14 20060101ALI20160428BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20160428BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   C08L83/06
   C08K3/22
   C08G77/14
   H01L23/30 R
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-173346(P2012-173346)
(22)【出願日】2012年8月3日
(65)【公開番号】特開2013-49848(P2013-49848A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2015年7月1日
(31)【優先権主張番号】13/211,378
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ライアンズ
(72)【発明者】
【氏名】ビンゲ・グ
(72)【発明者】
【氏名】アレン・エス.ブリック
(72)【発明者】
【氏名】ウェイジュン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.ポーパ
(72)【発明者】
【氏名】ガロ・ハーナリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール.エル
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−102297(JP,A)
【文献】 特開2008−138207(JP,A)
【文献】 特開平07−331173(JP,A)
【文献】 特開2005−298800(JP,A)
【文献】 特開2007−116139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/06
C08K 3/22
C08G 77/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)式R(R)Si(ORを有するD単位、
(ii)式RSi(ORを有するT単位、
(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位、および
(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位
を提供し;
式中、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され;各Rはフェノキシフェニル基であり;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基であり;
(b)非プロトン性溶媒中で前記D単位、前記T単位、任意のM単位および任意のQ単位を一緒にし;
(c)前記(b)の一緒にしたものに、水およびアルコールの混和性混合物中の酸を添加して反応混合物を形成し;
(d)前記反応混合物を反応させ;
(e)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(d)の反応させられた反応混合物に添加し;
(f)前記(e)の生成物に水を添加し;
(g)前記(f)の生成物を加熱して、それを反応させ;並びに
(h)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(g)の生成物を精製する;
ことを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下の屈折率を示し、かつ前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および大気圧で液体であり;
面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;
前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ;並びに、
前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントの少なくとも一部分が前記面に隣接する;
ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法。
【請求項2】
前記(a)において非プロトン性溶媒中で、84.95〜99.95モル%のD単位、0.05〜10モル%のT単位、0〜0.5モル%のM単位、および0〜15モル%のQ単位が一緒にされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体が全固形分を基準にして20〜60モル%のTiOを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
空洞を有する型を提供し;
前記空洞を前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体で満たし;
前記空洞内で前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ;
前記光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止する;
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コンポーネントレンズを提供し;並びに、
前記コンポーネントレンズを前記光学エレメントに結合する;
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
空洞を有する型を提供し;
前記半導体発光ダイオードダイを前記空洞内に配置し;
前記空洞内に前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を注入し;
前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて前記光学エレメントを形成し;
前記光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止する;
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コンポーネントレンズを提供し;並びに、
前記コンポーネントレンズを前記光学エレメントに結合する;
ことをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの空洞を有する型を提供し;
前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体で前記少なくとも1つの空洞を満たし;
前記半導体発光ダイオードダイを提供することが、複数の個々の半導体発光ダイオードダイを有する支持構造を提供することを含み、各半導体発光ダイオードダイは面を有し、各半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;
前記少なくとも1つの空洞内に収容された前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体中に、前記複数の個々の半導体発光ダイオードダイがそれぞれ少なくとも部分的に浸漬されるように、前記支持構造および前記型が配置され;
前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化することが少なくとも1つの光学エレメントを形成し;並びに
前記少なくとも1つの光学エレメントの少なくとも一部分が、それぞれの個々の半導体発光ダイオードダイの前記面に隣接する;
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光学エレメントがレンズである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を前記少なくとも1つの空洞内に注入するのを容易にする複数のフィードチャンネルを前記型がさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1.61より大きく1.7以下の屈折率を示しかつ室温および大気圧で液体である硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し;面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ;並びに前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントの少なくとも一部分が前記面に隣接する;ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)デバイスは典型的には、光学的に透明でかつ熱的に安定な材料によって封止されるLEDダイを含む。この封止材料は概して以下の3つの機能の少なくとも1つに役立つ:すなわち、(1)それは発光ダイオードをデバイスへ組み込むのを容易にする;(2)それは発光ダイオードの脆い配線に対する保護を提供する;並びに(3)それは高屈折率のダイと低屈折率の空気との間の屈折率的中間物として挙動する。あるLEDデバイスにおいては、あらかじめ成形されたプラスチックレンズもしくはガラスレンズが、LEDダイが搭載されるパッケージに固定されるかまたは結合される。次いで、LEDダイとプラスチックレンズ(または、ガラスレンズ)との間の空洞に硬化性液体封止材料が注入され、その後硬化されて、LEDダイを完全に密封する。
【0003】
よって、高屈折率ポリマーは発光ダイオードデバイス用途における使用のためのレンズおよび封止材料として興味深い。例えば、LEDデバイスの製造においては、製造者は可視領域において高い透明度で、高屈折率(すなわち、約1.60以上の屈折率)で、および何万もの操作時間にわたって優れた熱安定性の光学ポリマーを望んでいる。高屈折率材料の使用は、同じ駆動電流でLEDダイからの光取り出し効率(light extraction efficiency)を著しく向上させることができ、よってLEDデバイスをよりエネルギー効率的にする。さらに、LEDデバイス産業は液体プレポリマーを使用し、次いで、これはそのデバイスの大部分がすでに組立てられた後で所定の場所で硬化される。よって、この硬化性ポリマーシステムは最小限の収縮を示さなければならず、かつこの組立てられたデバイスに害を与えない条件下で硬化可能でなければならない。
【0004】
LEDダイを封止するのに従来使用されてきた材料には、エポキシ樹脂およびシリコーンが挙げられる。従来のエポキシ樹脂は紫外光へのまたは高温条件への長期にわたる曝露後に、劣った光安定性を示す傾向がある(すなわち、それらは時間の経過と共に黄変する傾向がある)。この黄変は時間の経過によるLEDデバイスからの光出力の低下をもたらす。一方、従来のシリコーンはかなり良好な熱および光安定性を示す。その結果、シリコーンはLEDデバイスにおける使用のために優勢な封止材となってきている。しかし、従来のシリコーン封止材は1.41〜1.57(550nmで測定)の範囲の屈折率を示す。さらに、未硬化状態での流動性のような他の鍵となる性能特性を悪化させることなく、約1.6より高い屈折率(550nmで測定)を達成するのは困難であることが証明されていた。
【0005】
液体プレポリマーの1つのグループがコーナー(Conner)らによって米国特許出願公開第2009/0039313号に開示されている。コーナーらは、式I
【化1】
を有する(チオ)フェノキシフェニルフェニルシランを含む(チオ)フェノキシフェニルフェニルシラン組成物を開示する:式中、Phは置換基としてPh−Q−、−Si(Ph)(OR)および4つの水素原子を有するフェニル環であり;Ph−Qは、PhがフェニルでありかつQが酸素原子、硫黄原子およびこの組み合わせから選択される(チオ)フェノキシ基であり;Ph−QはPhフェニル環上でSi原子に対してオルト−、メタ−もしくはパラ−の位置にあり;Phはフェニルであり;並びにRは独立して水素原子、C1−10炭化水素基およびこの組み合わせから選択され;C1−10炭化水素基は独立して、線状、分岐もしくは環式C1−10アルキル、フェニル、置換フェニル、アリールアルキルおよびこの組み合わせから選択される。
【0006】
半導体発光ダイオード(LED)ダイが、例えば、固体照明、航空照明、自動車照明(例えば、ブレーキランプ、方向変換シグナルおよび指示器)並びに信号機をはじめとする様々な用途におけるこれまでに増大している用途を見いだしているので、改良された製造方法、特にそれらを製造するための大量生産方法についての継続した必要性が存在している。その結果、インライン成形プロセスを使用してLEDダイ上に硬化性液体封止材料を直接成形する傾向が増大している。これらインライン成形プロセスにおいては、硬化性液体封止材料は、LEDダイを収容する型の空洞(mold cavity)内に注入されもしくは入れられて(または、LEDダイがその中に浸漬されて)、次いで、この封止材料を硬化させ、この封止材料はLEDダイを封止すると共に、LEDダイから出る光を形作るためのレンズを形成する。このインライン成形プロセスはLEDデバイスへのレンズの予備製造および組立を不要にする。その結果、このようなインライン成形プロセスは、LEDデバイスの、さらなるコスト効果的な大量生産を約束する。
【0007】
インライン成形プロセスはバーシン(Basin)らによって米国特許第7,344,902号に開示されている。バーシンらは支持構造上に搭載されている1以上のLEDダイが、この支持構造上のLEDダイの位置に対応したくぼみを有する型を用いて正しい位置に置かれ;この型の中のくぼみが液体で光学的に透明な材料で満たされ、この材料は硬化されて固化したレンズ材料を形成するオーバーモールディング(over molding)プロセスを開示する。バーシンらは、各LEDダイが関連するくぼみ内の液体レンズ材料内に存在するようにこの型およびLEDダイ支持構造が一緒にされることをさらに開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0039313号明細書
【特許文献2】米国特許第7,344,902号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それにもかかわらず、高い屈折率、良好な熱安定性、透明性を有し、並びにその未硬化状態で(一時的な溶媒(fugitive solvent)の添加の必要なしに)液体であって、半導体発光ダイオード(LED)ダイの大量生産を容易にする液体硬化性材料を用いて半導体発光ダイオード(LED)ダイを製造する改良された方法についての必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(a)(i)式R(R)Si(ORを有するD単位、(ii)式RSi(ORを有するT単位、(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位、および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位を提供し;式中、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され;各Rはフェノキシフェニル基であり;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基であり;(b)非プロトン性溶媒中で前記D単位、前記T単位、任意のM単位および任意のQ単位を一緒にし;(c)前記(b)の一緒にしたものに、水およびアルコールの混和性混合物中の酸を添加して反応混合物を形成し;(d)前記反応混合物を反応させ;(e)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(d)の反応させられた反応混合物に添加し;(f)前記(e)の生成物に水を添加し;(g)前記(f)の生成物を加熱して、それを反応させ;並びに(h)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(g)の生成物を精製する;ことを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下の屈折率を示し、かつ前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および大気圧で液体であり;面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ;並びに、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントの少なくとも一部分が前記面に隣接する;ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法を提供する。
【0011】
本発明は、また、(a)(i)式R(R)Si(ORを有するD単位、(ii)式RSi(ORを有するT単位、(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位、および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位を提供し;式中、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され;各Rはフェノキシフェニル基であり;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基であり;(b)非プロトン性溶媒中で前記D単位、前記T単位、任意のM単位および任意のQ単位を一緒にし;(c)前記(b)の一緒にしたものに、水およびアルコールの混和性混合物中の酸を添加して反応混合物を形成し;(d)前記反応混合物を反応させ;(e)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(d)の反応させられた反応混合物に添加し;(f)前記(e)の生成物に水を添加し;(g)前記(f)の生成物を加熱して、それを反応させ;並びに(h)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(g)の生成物を精製する;ことを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下の屈折率を示し、かつ前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および大気圧で液体であり;面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;空洞を有する型を提供し;前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体で前記空洞を満たし;前記空洞内で前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ;並びに、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止する;ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法を提供する。
【0012】
本発明は、また、(a)(i)式R(R)Si(ORを有するD単位、(ii)式RSi(ORを有するT単位、(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位、および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位を提供し;式中、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され;各Rはフェノキシフェニル基であり;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基であり;(b)非プロトン性溶媒中で前記D単位、前記T単位、任意のM単位および任意のQ単位を一緒にし;(c)前記(b)の一緒にしたものに、水およびアルコールの混和性混合物中の酸を添加して反応混合物を形成し;(d)前記反応混合物を反応させ;(e)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(d)の反応させられた反応混合物に添加し;(f)前記(e)の生成物に水を添加し;(g)前記(f)の生成物を加熱して、それを反応させ;並びに(h)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(g)の生成物を精製する;ことを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下の屈折率を示し、かつ前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および大気圧で液体であり;面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;空洞を有する型を提供し;前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体で前記空洞を満たし;前記空洞内で前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ、前記半導体発光ダイオードダイは前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体中に浸漬され;並びに、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止する;ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法を提供する。
【0013】
本発明は、(a)(i)式R(R)Si(ORを有するD単位、(ii)式RSi(ORを有するT単位、(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位、および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位を提供し;式中、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され;各Rはフェノキシフェニル基であり;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基であり;(b)非プロトン性溶媒中で前記D単位、前記T単位、任意のM単位および任意のQ単位を一緒にし;(c)前記(b)の一緒にしたものに、水およびアルコールの混和性混合物中の酸を添加して反応混合物を形成し;(d)前記反応混合物を反応させ;(e)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(d)の反応させられた反応混合物に添加し;(f)前記(e)の生成物に水を添加し;(g)前記(f)の生成物を加熱して、それを反応させ;並びに(h)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(g)の生成物を精製する;ことを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下の屈折率を示し、かつ前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および大気圧で液体であり;面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;空洞を有する型を提供し;前記半導体発光ダイオードダイを前記空洞内に配置し;前記空洞内に前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を注入し;前記空洞内で前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ、前記半導体発光ダイオードダイは前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体中に浸漬され;並びに、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止する;ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法を提供する。
【0014】
本発明は、(a)(i)式R(R)Si(ORを有するD単位、(ii)式RSi(ORを有するT単位、(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位、および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位を提供し;式中、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され;各Rはフェノキシフェニル基であり;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基であり;(b)非プロトン性溶媒中で前記D単位、前記T単位、任意のM単位および任意のQ単位を一緒にし;(c)前記(b)の一緒にしたものに、水およびアルコールの混和性混合物中の酸を添加して反応混合物を形成し;(d)前記反応混合物を反応させ;(e)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(d)の反応させられた反応混合物に添加し;(f)前記(e)の生成物に水を添加し;(g)前記(f)の生成物を加熱して、それを反応させ;並びに(h)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(g)の生成物を精製する;ことを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下の屈折率を示し、かつ前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および大気圧で液体であり;面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;空洞を有する型を提供し;前記半導体発光ダイオードダイを前記空洞内に配置し;前記空洞内に前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を注入し;前記空洞内で前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ、前記半導体発光ダイオードダイは前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体中に浸漬され;前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止し;コンポーネントレンズ(component lens)を提供し;並びに、前記コンポーネントレンズを前記光学エレメントに結合する;ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法を提供する。
【0015】
本発明は、(a)(i)式R(R)Si(ORを有するD単位、(ii)式RSi(ORを有するT単位、(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位、および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位を提供し;式中、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され;各Rはフェノキシフェニル基であり;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基であり;(b)非プロトン性溶媒中で前記D単位、前記T単位、任意のM単位および任意のQ単位を一緒にし;(c)前記(b)の一緒にしたものに、水およびアルコールの混和性混合物中の酸を添加して反応混合物を形成し;(d)前記反応混合物を反応させ;(e)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(d)の反応させられた反応混合物に添加し;(f)前記(e)の生成物に水を添加し;(g)前記(f)の生成物を加熱して、それを反応させ;並びに(h)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(g)の生成物を精製する;ことを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下の屈折率を示し、かつ前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および大気圧で液体であり;複数の個々の半導体発光ダイオードダイを有する支持構造を提供し、各半導体発光ダイオードダイは面を有し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;少なくとも1つの空洞を有する型を提供し;前記少なくとも1つの空洞を前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体で満たし;前記少なくとも1つの空洞内に収容された前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体中に、前記複数の個々の半導体発光ダイオードダイがそれぞれ少なくとも部分的に浸漬されるように、前記支持構造および前記型が配置され;並びに、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントが前記複数の個々の半導体発光ダイオードダイを封止し、かつ前記少なくとも1つの光学エレメントの少なくとも一部分がそれぞれの個々の半導体発光ダイオードダイの前記面に隣接する;ことを含む、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、例えば、自動車ヘッドライトアセンブリおよびディスプレイにおける使用のための、複数の個々の半導体発光ダイオードダイを収容するように設計されたマニホルドの製造を容易にする。本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、個々の半導体発光ダイオードの大量生産も容易にする。すなわち、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の硬化の際に、この型はアセンブリから分離されることができ、そして基体上で硬化した硬化性ポリシロキサン/TiO複合体によって封止された複数の個々の半導体発光ダイオードダイは複数の個々の半導体発光ダイオードダイに、または複数の個々の半導体発光ダイオードダイを収容する複数のマニホルドにダイス切断される(diced)ことができる。
【0017】
本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、一時的な溶媒を最小限しか添加せず(4重量%未満、好ましくは2.5重量%未満)または全く添加することなしに(すなわち、ニート)室内温度および圧力で液体形態を維持しつつ、1つには高TiO添加量(全固形分基準で20モル%以上)によって可能にされる高屈折率(>1.61)を驚くべきことに示す、硬化した硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体内に半導体発光ダイオードダイが少なくとも部分的に封止される、閉じた型を用いた半導体発光ダイオード(LED)の製造を容易にするように設計される。一時的な溶媒材料の組み込みは結果的に、硬化の際のガス排気および望ましくない泡形成をもたらす傾向があるのでこれは重要である。このような泡形成は典型的には形成される半導体発光ダイオード(LED)についての性能特性の望ましくない損失を生じさせる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は、望まれない色形成を低減させまたは除去するために、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質(target contaminant)(式中、R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され、並びにR11はヒドロキシフェニル基である)を全部合わせて100ppm以下含むように処理されているD単位を用いて製造される。ポリシロキサン封止材についての問題ではないが、このターゲット不純物が、ポリシロキサン/TiO複合体の製造におけるTiOと相互作用することができ、望まれない色形成を引き起こしうることが驚くべきことに見いだされた。このターゲット混入物質はD単位から分離されるのが困難である。よって、望ましくない高濃度の少なくとも1種のターゲット混入物質を依然として含む高純度のD単位を入手する可能性がある。
【0019】
本発明の硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は周知の方法を用いて硬化可能である。好ましくは硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は(好ましくは、100〜200℃で10〜120分間の加熱によって)熱硬化可能である。
【0020】
本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は、透過型電子顕微鏡法(TEM)によって測定して5nm未満(好ましくは≦3nm)の平均ドメインサイズを有するTiOドメインを有するポリシロキサンを含み(好ましくは、このポリシロキサンから本質的になり);前記ポリシロキサンが平均組成式:
【化2】
を有し、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され(好ましくは、RおよびRは両方ともフェニル基である);各Rはフェノキシフェニル基であり、このフェノキシフェニル基はケイ素に結合されて、3種の異なる異性体、すなわち、オルト−フェノキシフェニルシラン基、メタ−フェノキシフェニルシラン基またはパラ−フェノキシフェニルシラン基のうちの少なくとも1種を形成しており;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基(好ましくは、C1−5アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびフェニル基;より好ましくはC1−5アルキル基およびフェニル基;最も好ましくはメチル基およびフェニル基)から選択され;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基、C6−10アリール基およびフェノキシフェニル基(好ましくは、C1−5アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基、フェニル基およびフェノキシフェニル基;より好ましくはC1−5アルキル基、フェニル基およびフェノキシフェニル基;最も好ましくは、メチル基、フェニル基およびフェノキシフェニル基)から選択され;各Zは独立してヒドロキシル基およびC1−10アルコキシ基(好ましくは、ヒドロキシル基およびC1−4アルコキシ基;より好ましくは、ヒドロキシル基およびC1−2アルコキシ基)から選択され;0≦a≦0.005であり;0.8495≦b≦0.9995であり(好ましくは、0.9≦b≦0.9995であり;より好ましくは、0.9≦b≦0.9992であり;最も好ましくは、0.95≦b≦0.9992である);0.0005≦c≦0.10であり(好ましくは、0.0008≦c≦0.10であり;より好ましくは、0.001≦c≦0.06であり;最も好ましくは、0.001≦c≦0.02である);0<d≦0.15であり(好ましくは、0<d≦0.099であり;より好ましくは、0<d≦0.04であり;最も好ましくは、0.0005≦d≦0.02である);前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体が(全固形分基準で)20〜60モル%(好ましくは20〜58モル%;より好ましくは30〜58モル%;最も好ましくは50〜58モル%)のTiOを含み;各xは独立して0、1および2から選択され(すなわち、各RSiO(4−x−y)/2基について、xは同じであって良く、または異なっていてよい);各yは独立して1、2および3から選択され(すなわち、各RSiO(4−x−y)/2基について、yは同じであって良く、または異なっていてよい);a+b+c+d=1であり;前記ポリシロキサンは当初成分として(i)式R(R)Si(ORを有するD単位;(ii)式RSi(ORを有するT単位;(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位;および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位を含み;各R、R、RおよびRは独立して、水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基から選択され;前記D単位は、R−O−(R)Si(OR、R−O−(R)Si(OR、R(R10)Si(OR、およびR(R11)Si(ORから選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下(好ましくは、50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、最も好ましくは10ppm以下;好ましくは1ppbを超える)で含み;R10はフェノール−オキシ−フェニル基およびフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基から選択され;(存在する場合には)このフェノール−オキシ−フェニル基はケイ素と結合されて、3種の異なる異性体、すなわち、オルトフェノール−オキシ−フェニルシラン基、メタフェノール−オキシ−フェニルシラン基、またはパラフェノール−オキシ−フェニルシラン基のうちの少なくとも1種を形成しており;(存在する場合には)このフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニル基はケイ素と結合されて、3種の異なる異性体、すなわち、オルトフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニルシラン基、メタフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニルシラン基、またはパラフェニル−オキシ−(ヒドロキシ)フェニルシラン基のうちの少なくとも1種を形成しており;並びに、R11はヒドロキシフェニル基であり;並びに、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体が室温および大気圧で液体である。好ましくは、本発明の方法において使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下、より好ましくは1.63〜1.66、最も好ましくは1.64〜1.66の屈折率を示す。好ましくは、本発明の方法において使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は、実施例において説明される条件下で測定して、600,000Pas未満、より好ましくは4〜100,000Pas、最も好ましくは4〜20,000Pasの粘度を示す。好ましくは、本発明の方法において使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は熱硬化可能であり、場合によっては触媒の添加を伴う。
【0021】
(f)における硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の形成は、エタノール、メタノール、イソプロパノールおよび水のような副生成物の形成ももたらす。これら副生成物は、(g)において硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体から有利に除去される。好ましくは、これら副生成物は(g)において、蒸留および回転エバポレーション(roto−evaporation)の少なくとも一方によって、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体から除去される。場合によっては、これら副生成物の除去を助けるために抽出溶媒が使用されうる。抽出溶媒の例には、C5−12線状、分岐および環式アルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサン);エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエーテルエーテルおよびエチレングリコールジメチルエーテル);ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン);エステル(例えば、酢酸ブチル、乳酸エチルおよびプロピレングリコールメチルエーテルアセタート);ハロゲン化溶媒(例えば、トリクロロエタン、ブロモベンゼンおよびクロロベンゼン);シリコーン溶媒(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサン);並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0022】
好ましくは、本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造に使用されるD単位は、ターゲット混入物質の含量を最小限にするように特に処理される。好ましくは、D単位はターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下(好ましくは、50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、最も好ましくは10ppm以下;好ましくは1ppbを超える)で含む。好ましくは、D単位はタイプAおよびタイプB混入物質を除去するために再結晶化によって処理される。より好ましくは、D単位はタイプAおよびタイプB混入物質を除去するために複数回再結晶化によって処理される。最も好ましくは、タイプAおよびタイプB混入物質を除去するために、D単位は少なくとも3回の連続再結晶化によって精製される。好ましくは、式R−O−(R)Si(ORおよびR−O−(R)Si(OR、を有するターゲット混入物質を、従来の蒸留技術を用いてD単位からより容易に分離される物質に変換するために、D単位は求核試薬(例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド)で処理されうる。
【0023】
好ましくは、本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造に使用されるD単位は下記式を有し
【化3】
このD単位は、ターゲット混入物質を全部合わせて1ppbを超えて100ppm以下(好ましくは、50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、最も好ましくは10以下;好ましくは1ppbを超える)含み;このターゲット混入物質は
【化4】
から選択される式を有し、式中、各Rは独立して水素およびC1−4アルキル基から選択される。
【0024】
好ましくは、本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造に使用されるT単位は下記式を有する:
【化5】
式中、各Rは独立して水素およびC1−4アルキル基から選択される(より好ましくは、各Rはメチル基である)。
【0025】
好ましくは、本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造に使用される酸はブレンステッド酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、塩酸、硫酸およびリン酸)から選択される。より好ましくは、使用される酸はは塩酸である。
【0026】
好ましくは、本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造に使用される有機チタナートは、式(R12O)Ti(f−1)、(式中、各R12は独立してC1−20アルキル基、C6−10アリール基、C7−20アルキルアリール基およびC7−20アリールアルキル基から選択され;fは1、2、3、4および5から選択され;並びに、e=2(f+1)である)に従う有機チタナートから選択される。より好ましくは、使用される有機チタナートはテトラエチルチタナート、テトライソプロピルチタナート、テトラ−n−プロピルチタナート、テトラ−n−ブチルチタナート、テトライソオクチルチタナート、テトライソステアロイルチタナート、テトラオクチレングリコールチタナート、エトキシビス(ペンタン−2,4−ジオナト−0,0’)プロパン−2−オラト)チタニウム、およびチタンテトラブタノラートポリマーから選択される。最も好ましくは、使用される有機チタナートはチタンテトラブタノラートポリマー(例えば、デュポンから入手可能なタイザー(Tyzor(登録商標))BTP)である。
【0027】
好ましくは、本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は95重量%以上(より好ましくは98重量%以上)の純度を有する。好ましくは、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の純度を上げるために、本発明の方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造に使用される原料は精製される。使用される原料は、例えば、結晶化、蒸留、クロマトグラフィ、溶媒抽出、膜分離および他の周知の精製プロセスによって精製されうる。
【0028】
場合によっては、本発明の発光ダイオード(LED)を製造する方法に使用される硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は、不活性希釈剤、反応性希釈剤、ヒンダードアミン光安定化剤(HALS)、潤滑添加剤、殺菌剤、難燃剤、コントラスト向上剤(contrast enhancer)、UV安定化剤、光安定化剤、界面活性剤、接着調節剤、レオロジー調節剤、蛍光体、吸収染料、蛍光染料、電気もしくは熱伝導性添加剤、キレート化もしくは金属イオン封鎖剤、酸スカベンジャー、塩基スカベンジャー、金属不動態化剤および金属強化剤(metal fortifier)からなる群から選択される添加剤をさらに含む。
【0029】
本発明の、光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、(a)非プロトン性溶媒中で(i)式R(R)Si(ORを有するD単位(好ましくは84.95〜99.95モル%、より好ましくは90〜99.95モル%、さらにより好ましくは90〜99.92モル%、最も好ましくは95〜99.92モル%のD単位)、(ii)式RSi(ORを有するT単位(好ましくは0.05〜10モル%、より好ましくは0.08〜10モル%、さらにより好ましくは0.1〜6モル%、最も好ましくは0.1〜2モル%のT単位)、(iii)場合によって、式RSiORを有するM単位(好ましくは、0〜0.5モル%のM単位)、および(iv)場合によって、式Si(ORを有するQ単位(好ましくは0〜15モル%、より好ましくは0〜9.9モル%、さらにより好ましくは0〜4モル%、最も好ましくは0.05〜2モル%のQ単位)を一緒にし;ここで、各RおよびRは独立してC6−10アリール基およびC7−20アルキルアリール基から選択され、好ましくはRおよびRは両方ともフェニル基であり;各Rはフェノキシフェニル基であり、このフェノキシフェニル基はケイ素に結合されて、3種の異なる異性体、すなわち、オルト−フェノキシフェニルシラン基、メタ−フェノキシフェニルシラン基またはパラ−フェノキシフェニルシラン基のうちの少なくとも1種を形成しており;各Rは独立してC1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基(好ましくは、C1−5アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびフェニル基;より好ましくはC1−5アルキル基およびフェニル基;最も好ましくはメチル基およびフェニル基)から選択され;各R、R、RおよびRは独立して水素原子、C1−10アルキル基、C7−10アリールアルキル基、C7−10アルキルアリール基およびC6−10アリール基(好ましくは水素およびC1−5アルキル基;より好ましくは水素およびメチル基;最も好ましくはメチル基)から選択される;(b)前記(a)の一緒にしたものに、水およびアルコール(好ましくは、C1−8アルキルヒドロキシドから選択されるアルコール、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールから選択されるアルコール)の混和性混合物中の酸(好ましくは、鉱酸;より好ましくは、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸および臭化水素酸から選択される鉱酸;さらにより好ましくは、塩酸、硝酸および硫酸から選択される鉱酸;最も好ましくは塩酸)を(好ましくは、滴下添加によって;より好ましくは、温度を0〜80℃に維持しながらの滴下添加によって;最も好ましくは、温度を15〜70℃に維持しながらの滴下添加によって)添加して反応混合物を形成し;(c)前記反応混合物を(好ましくは、0〜80℃の温度で前記反応混合物を維持しつつ;より好ましくは、15〜70℃の温度で前記反応混合物を維持しつつ)反応させ;(d)非プロトン性溶媒中の有機チタナートを前記(c)の反応させられた反応混合物に(好ましくは、滴下添加によって;より好ましくは、温度を30〜100℃に維持しながらの滴下添加によって;最も好ましくは、温度を70℃に維持しながらの滴下添加によって)添加し;(e)前記(d)の生成物に水を(好ましくは、滴下添加によって;より好ましくは、温度を30〜100℃に維持しながらの滴下添加によって;最も好ましくは、温度を70℃に維持しながらの滴下添加によって)添加し;(f)前記(e)の生成物を加熱して(好ましくは、前記(e)の生成物は60℃以上の温度に、より好ましくは60〜150℃に加熱されて)、それを反応させて、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を形成し;並びに(g)硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供するように前記(f)の生成物を精製することを含んで、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を提供し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は全固形分基準で20〜60モル%のTiOを含み、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は1.61より大きく1.7以下(好ましくは1.63〜1.66、より好ましくは1.64〜1.66)の屈折率を示し、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は室温および圧力で液体であり(好ましくは、実施例において説明される条件下で測定して、600,000Pas未満、より好ましくは4〜100,000Pas、最も好ましくは4〜20,000Pasの粘度を示す)、並びに、好ましくは前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は(場合によっては触媒の添加を伴って)熱硬化可能であり;面を有する半導体発光ダイオードダイを提供し、前記半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;前記半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ;並びに、前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて光学エレメントを形成し、前記光学エレメントの少なくとも一部分が前記面に隣接する。
【0030】
好ましくは、本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、空洞を有する型を提供し;硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体で前記空洞を満たし;前記空洞内で半導体発光ダイオードダイを前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体と接触させ;光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止する(好ましくは、前記光学エレメントを形成するための硬化の前に、前記半導体発光ダイオードダイは前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体中に浸漬される);ことをさらに含む。好ましくは、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体から形成される光学エレメントはインテグラルレンズ(integral lens)である。
【0031】
好ましくは、本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、コンポーネントレンズ(すなわち、当該硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体以外の材料から形成されるレンズ)を提供し;並びに、前記コンポーネントレンズを光学エレメントと一緒にすることをさらに含む。コンポーネントレンズは硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の硬化と同時に光学エレメントに硬化されることができる。例えば、コンポーネントレンズは型の一部分を形成していて良い。コンポーネントレンズは、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の硬化の後で(例えば、機械的コネクタまたは光学的に透明な接着剤を用いて)、光学エレメントと一緒にされていても良い。
【0032】
好ましくは、本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、空洞を有する型を提供し;半導体発光ダイオードダイを前記空洞内に配置し;前記空洞内に硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を注入し;前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて(好ましくは、100〜200℃で10〜120分間加熱することによって前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を硬化させて)光学エレメントを形成し;前記光学エレメントが前記半導体発光ダイオードダイを封止する;ことをさらに含む。好ましくは、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は、硬化されると、個々の半導体発光ダイオードダイを封止すると共に、ダイから取り出される光を方向付けするように設計されたレンズとして機能する。
【0033】
好ましくは、本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、コンポーネントレンズを提供し;並びに、(例えば、機械的コネクタまたは光学的に透明な接着剤を用いて)前記コンポーネントレンズを光学エレメントと一緒にすることをさらに含む。好ましくは、コンポーネントレンズは製造される半導体発光ダイオード(LED)の光取り出しまたは方向付け(directing)特性を向上させるように設計されうる。好ましくは、コンポーネントレンズは当該技術分野において周知の技術(例えば、リン光物質の使用)を用いて生じる発光ダイオード(LED)から取り出される光の波長を変えるように設計されうる。
【0034】
好ましくは、本発明の光学エレメントを有する発光ダイオード(LED)を製造する方法は、少なくとも1つの空洞を有する型を提供し(好ましくは、複数の個々の半導体発光ダイオードダイと対応した複数の空洞を有する型を提供し);硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体で前記少なくとも1つの空洞を満たし(好ましくは、複数の空洞を満たし);半導体発光ダイオードダイを提供することが、複数の個々の半導体発光ダイオードダイを有する支持構造を提供することを含み、各半導体発光ダイオードダイは面を有し、各半導体発光ダイオードダイは前記面から光を放射するものであり;前記少なくとも1つの空洞内に収容された前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体中に、前記複数の個々の半導体発光ダイオードダイがそれぞれ少なくとも部分的に浸漬されるように、前記支持構造および前記型が配置され;前記硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の硬化は少なくとも1つの光学エレメントを形成し;並びに、前記少なくとも1つの光学エレメントの少なくとも一部分が、それぞれの個々の半導体発光ダイオードダイの前記面に隣接する;ことをさらに含む。好ましくは、硬化した硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体は、複数の個々の半導体発光ダイオードダイに対応する複数の光学エレメントを形成し、および複数の光学エレメントの1つは各半導体発光ダイオードダイの前記面に隣接する。2以上の半導体発光ダイオードダイの前記面は、形成される複数の光学エレメントの一つ一つのに隣接することができる。硬化した硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を用いて形成されるレンズは単純なレンズまたは複合レンズ(例えば、フレネルレンズおよび非球面レンズ)であり得る。好ましくは、硬化した硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体はレンズアレイ(好ましくは、アレイにおける各レンズは複数の個々の半導体発光ダイオードダイ一つ一つに対応する)を形成する。
【0035】
好ましくは、型は、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を少なくとも1つの空洞内に注入するのを容易にする複数のフィードチャンネルをさらに含む。好ましくは、型は、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体を型における複数の空洞内に注入するのを容易にする複数のフィードチャンネルをさらに含む。
【0036】
ここで、本発明のいくつかの実施形態が以下の実施例において詳細に説明される。
【実施例】
【0037】
下記構造式
【化6】
を有するシロキサンモノマーは以下の実施例においては「POP」と称される。以下の実施例において使用されるこのPOPモノマーは実施例1に記載される基本的な手順に従って製造された。
【0038】
下記構造式
【化7】
を有するシロキサンモノマーは以下の実施例においてPTMSと称され、これはゲレスト(Gelest)インコーポレーティドから市販されている。
【0039】
実施例1:蒸留されたPOPモノマー製造
500mLシュレンクフラスコにジエチルエーテル(400mL)、マグネシウム金属粉体(3.3g、135mmol)およびヨウ化メチル(0.1mL)を入れた。次いで、このフラスコにさらに4−ブロモジフェニルエーテル(32.161g、129mmol)を入れて、この反応混合物を4時間攪拌した。次いで、このフラスコにフェニルトリメトキシシラン(25.601g、129mmol)を添加して、次いで内容物をさらに1時間攪拌した。次いで、このフラスコの内容物を1L分離漏斗に移し、この物質を400mLの蒸留水で2回洗浄した。エーテル層を集め、減圧下で揮発性物質を除去した。この粗生成物はショートパス蒸留によって処理されて、蒸留されたPOP材料を得た。
【0040】
実施例2:蒸留されたPOPモノマーの精製
実施例1で製造された蒸留されたPOP材料が3連続再結晶化によって精製された。実施例1で製造された蒸留されたPOP(6g)が30mLのバイアル中に入れられ、次いでそのバイアルに15mLのペンタン(HPLCグレード、フィッシャーサイエンティフィックより)が室温で加えられた。このバイアルは蓋をされて、50℃に暖められて、次いで振とうさせられて、蒸留されたPOP材料を溶解させた。次いで、蓋をされたバイアルは−20℃の冷凍庫の中に入れられた。蓋をされたバイアルはバイアルの内容物が溶液から結晶化するまで冷凍庫内に置いておかれた。次いで、液体がデカントで結晶から除かれ、このプロセスがさらに2回繰り返された。次いで、この結晶は真空下、室温で1時間にわたって乾燥させられて、生成物POP材料を得た。
【0041】
次いで、ガスクロマトグラフィ飛行時間型質量分析(アジレント7890GC/LECO MS)を用いることにより、およびガスクロマトグラフィ炎イオン化検出(アジレント7890)を用いることにより、この生成物POP材料が分析された。このGC−MS分離はDB−5カラム(DB−5、30m×0.32mm×0.25μm、アジレントより)およびRtx−200カラム(Rtx−200、30mm×0.25mm×1.0μm、レステク(Restek)より)を用いて行われた。DB−5カラムについては、使用された温度プロファイルは200℃で2分間、次いで200℃から300℃まで5℃/分の温度勾配、次いで300℃で2分間であり、1.5mL/分のカラム流量であった。Rtx−200カラムについては、使用された温度プロファイルは200℃で2分間、次いで200℃から285℃まで2℃/分の温度勾配、次いで285℃で2分間であり、1.0mL/分のカラム流量であった。インジェクション体積は1.0μLであり、スプリット比(split ratio)は50:1であった。このサンプルは0.10gの生成物POP材料を10mLのヘプタンに溶かすことにより調製された。GC−FIDクロマトグラムの面積パーセント分析が行われて、それぞれの不純物の量を決定した。分析の結果は、生成物POP材料が、以下から選択される式を有するターゲット混入物質を全部合わせて20ppm含んでいたことを示した:
【化8】
【0042】
実施例3:蒸留されたPOPモノマーの精製
実施例1に従って製造された蒸留されたPOP材料が求核試薬での処理によって精製された。蒸留されたPOP(33.15g)および100mLのジメトキシエタンが250mLの丸底フラスコに入れられた。次いで、このフラスコに求核試薬溶液(トルエン中0.1NのKOCHを2.4mL)が加えられた。フラスコ内容物は室温で3時間反応させられた。次いで、塩酸(フィッシャーサイエンティフィックからの37重量%塩酸溶液を24.6mg)がこのフラスコに加えられた。フラスコ内容物は室温で1時間反応させられた。次いで、真空下、60℃で溶媒がこのフラスコから除去された。次いで、残りのフラスコ内容物が100mTorrおよび200℃でショートパス蒸留にかけられて、生成物POP材料を得た。次いで、この生成物POP材料は実施例2に記載されるようなGC−MSおよびGC−FIDによって、記載される方法に従って分析された。分析の結果は、生成物POP材料が、実施例2に示された式を有するターゲット混入物質を全部合わせて50ppm含んでいたことを示した。
【0043】
比較例Aおよび実施例4〜6
硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造
以下の一般的な手順を用いて、表1に示される具体的な量を用いて、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体が製造された。具体的には、PTMSおよび実施例1に従って製造された蒸留されたPOPが表1に示された量で、100mL3ッ口丸底フラスコ内の13.2gのプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)に添加された。次いで、このフラスコに、5.0gのメタノール、1.0gの水および0.16gの濃塩酸(水中37%、フィッシャーサイエンティフィックより)の溶液が滴下添加された。次いで、フラスコの内容物が70℃に加熱され、温度プローブおよび還流凝縮器を備えた定温加熱マントルを用いてその温度で1.5時間維持された。8.8gのPGMEAおよび1mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中に溶かされた表1に示される量のチタンテトラブタノラートポリマー(デュポンからタイザー(Tyzor(登録商標))BTPとして入手可能)が、次いで、フラスコ内容物の温度を70℃に維持しつつ、1時間にわたって添加漏斗を介してこのフラスコに滴下添加された。次いで、水(0.1mL)およびPGMEA(4.4g)がこのフラスコに添加された。次いで、このフラスコの内容物が100℃に加熱され1時間にわたって反応させられた。次いで、揮発性物質はショートパス蒸留カラムでフラスコから蒸留除去された。次いで、回転エバポレーションによって、その後、60℃で高真空(25mTorr)の吸引によってこのフラスコ内容物から揮発性物質がさらに除去された。次いで、この生成物である、実施例4〜6の光学的に透明な硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体がこのフラスコから回収された。なお、比較例Aに記載される反応は、乳白色2相混合物を生じさせ、これはコロイドTiO粒子の形成および凝集を示す。
【0044】
【表1】
ζシロキサンモノマー(POP+PTMS)の合計モル数を基準にする。
дタイザー(登録商標)BPT組み込みによって導入されたTiO相当モル量(すなわち、タイザー(登録商標)BPTの1モルあたり3モルのTiO)および両方のシロキサンモノマー(POP+PTMS)の全合計モル数を基準にする。
【0045】
比較例Bおよび実施例7〜10
硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造
以下の一般的な手順を用いて、表2に示される具体的な量を用いて、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体が製造された。具体的には、PTMSおよび表1に従って製造された蒸留されたPOPが表2に示された量で、100mL3ッ口丸底フラスコ内の6.6gのプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)に添加された。次いで、このフラスコに、2.5gのメタノール、0.5gの水および0.08gの濃塩酸(水中37%、フィッシャーサイエンティフィックより)の溶液が滴下添加された。次いで、フラスコの内容物が70℃に加熱され、温度プローブおよび還流凝縮器を備えた定温加熱マントルを用いてその温度で1.5時間維持された。4.4gのPGMEAおよび0.5mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中に溶かされた表2に示される量のチタンテトラブタノラートポリマー(デュポンからタイザー(Tyzor(登録商標))BTPとして入手可能)が、次いで、このフラスコに、フラスコ内容物の温度を70℃に維持しつつ、1時間にわたって添加漏斗を介して滴下添加された。次いで、水(0.05mL)およびPGMEA(2.2g)がこのフラスコに添加された。次いで、このフラスコの内容物が100℃に加熱され1時間にわたって反応させられた。次いで、揮発性物質はショートパス蒸留カラムを用いてフラスコから蒸留除去された。次いで、回転エバポレーションによって、その後60℃で高真空(25mTorr)の吸引によってこのフラスコ内容物から揮発性物質がさらに除去された。次いで、この生成物である光学的に透明な硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体がこのフラスコから回収された。
【0046】
【表2】
ζシロキサンモノマー(POP+PTMS)の合計モル数を基準にする。
дタイザー(登録商標)BPT組み込みによって導入されたTiO相当モル量(すなわち、タイザー(登録商標)BPTの1モルあたり3モルのTiO)および両方のシロキサンモノマー(POP+PTMS)の全合計モル数を基準にする。
【0047】
実施例11〜14:硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体の製造
以下の一般的な手順を用いて、表3に示される具体的な量を用いて、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体が製造された。具体的には、PTMSおよび実施例1に従って製造された蒸留されたPOPが表3に示された量で、100mL3ッ口丸底フラスコ内の15mLのプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)に添加された。次いで、このフラスコに、5gのメタノール、1gの水および0.16gの濃塩酸(水中37%、フィッシャーサイエンティフィックより)の溶液が滴下添加された。次いで、フラスコの内容物が70℃に加熱され、温度プローブおよび還流凝縮器を備えた定温加熱マントルを用いてその温度で1.5時間維持された。10mLのPGMEAおよび1mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中に溶かされた表3に示される量のチタンテトラブタノラートポリマー(デュポンからタイザー(Tyzor(登録商標))BTPとして入手可能)が、次いで、このフラスコに、フラスコ内容物の温度を70℃に維持しつつ、1時間にわたって添加漏斗を介して滴下添加された。次いで、水(0.1mL)およびPGMEA(5mL)がこのフラスコに添加された。次いで、このフラスコの内容物が100℃に加熱され1時間にわたって反応させられた。次いで、60℃で高真空下で、回転エバポレーションによって、このフラスコ内容物から揮発性物質がさらに除去された。次いで、生成物である光学的に透明な硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体がこのフラスコから回収された。
【0048】
【表3】
T4.7μLのPTMS材料がこの溶液に添加され、その量は約0.0035gのそのモノマーを含んでいた。
ζシロキサンモノマー(POP+PTMS)の合計モル数を基準にする。
дタイザー(登録商標)BPT組み込みによって導入されたTiO相当モル量(すなわち、タイザー(登録商標)BPTの1モルあたり3モルのTiO)および両方のシロキサンモノマー(POP+PTMS)全合計モル数を基準にする。
【0049】
比較例C〜D
以下の一般的な手順を用いて、表4に示される具体的な量を用いて、複合体が製造された。具体的には、表4に示された量のPOPモノマーが、100mL3ッ口丸底フラスコ内の6.6gのプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)に添加された。次いで、このフラスコに、2.5gのメタノール、0.5gの水および0.08gの濃塩酸(水中37%、フィッシャーサイエンティフィックより)の溶液が滴下添加された。次いで、フラスコの内容物が70℃に加熱され、温度プローブおよび還流凝縮器を備えた定温加熱マントルを用いてその温度で1.5時間維持された。4.4gのPGMEAおよび0.5mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中に溶かされた表4に示される量のチタンテトラブタノラートポリマー(デュポンからタイザー(Tyzor(登録商標))BTPとして入手可能)が、次いで、フラスコ内容物の温度を70℃に維持しつつ、1時間にわたって添加漏斗を介してこのフラスコに滴下添加された。次いで、水(0.05mL)およびPGMEA(2.2g)がこのフラスコに添加された。次いで、このフラスコの内容物が100℃に加熱され1時間にわたって反応させられた。比較例CおよびDのそれぞれにおいて得られた生成物は乳白色で完全に不透明であり、これはコロイドTiO粒子の形成および凝集を示す。
【0050】
【表4】
дPOPのモル数およびタイザー(登録商標)BPT組み込みによって導入されたTiO相当モル量(すなわち、タイザー(登録商標)BPTの1モルあたり3モルのTiO)を基準にする。
【0051】
比較例E:一工程製造
6.6グラムのプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解されたPOP(2.9g)およびPTMS(0.09g)、並びに4.4gのPGMEAおよび0.5mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)に溶解されたタイザー(登録商標)BTP(0.72g)が100mLの丸底フラスコに入れられた。次いで、このフラスコに、2.5gのメタノール、0.5gの水および0.08gの濃塩酸(水中37%、フィッシャーサイエンティフィックより)の溶液が滴下添加された。次いで、フラスコの内容物が70℃に加熱され、温度プローブおよび還流凝縮器を備えた定温加熱マントルを用いてその温度で1.5時間維持された。得られた生成物は乳白色で完全に不透明であり、これはコロイドTiO粒子の形成および凝集を示す。
【0052】
比較例VAおよびVC〜VE、並びに実施例V4〜V13
以下の一般的手順を使用し、レオメトリックサイエンティフィックインコーポレーティド(デラウェア州、ニューカッスルの現TAインスツルメンツ)により製造されたレオメトリクスメカニカルスペクトロメーター(RMS−800)を用いて、比較例AおよびC〜E、並びに実施例4〜13からの生成物のそれぞれの粘度が比較例VAおよびVC〜VE、並びに実施例V4〜V13においてそれぞれ評価された。具体的には、各例において、8mm直径の2枚のアルミニウム平行プレートの間に試験されるべき材料のサンプルがロードされ挟まれた。このレオメータ固定具およびプレートは60℃に予備加熱され、この温度で15分間平衡化され、その後プレート間の隙間をゼロに設定した。次いで、100Pa・sより大きい粘度を有する液体サンプルについては、サンプルロードを容易にするために平行プレートの温度が90℃に上げられた。サンプル材料を下部プレート上にロードした後で、そのオーブンが60℃に冷却されるまでこの装置はホールド(HOLD)の状態で置いておかれた。次いで、このサンプル隙間は0.5mmに調節された。隙間設定中に平行プレートの端から出てきた下部プレート上にロードされた余分なサンプルはへらを用いて除去された。温度が平衡に到達したら(約15分後)、次いで、このサンプル隙間は装置マイクロメーターから記録された。次いで、動的周波数掃引が100rad/sから0.1rad/sまで、線形粘弾性範囲内の歪みレベルで開始された。この複素剪断粘度は周波数の関数として記録された。60℃および10rad/sでの粘度データは、各サンプル材料が流動する相対的容易さを示すために表5に報告される。
【0053】
【表5】
【0054】
比較例RBおよび実施例R4〜R14:屈折率
比較例Bおよび実施例4〜14からの生成物の屈折率が、ナトリウムD線で、アタゴデジタル屈折計(モデル:RX−7000α)を用いて、それぞれ比較例RBおよび実施例R4〜R14における目視観察によって決定された。結果は表6に報告される。
【0055】
【表6】
【0056】
実施例S4
実施例5に従って製造された硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体における平均TiOドメインサイズは、ブルカー(Bruker)XFlash(登録商標)5030SDDシリコンドリフトエネルギー分散型x線検出器を備えた、200keVで操作するJEOL2010F電界放射型透過型電子顕微鏡を用いて、透過型電子顕微鏡法(TEM)によって約3nmであると決定された。
【0057】
実施例S11
実施例11に従って製造された硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体における平均TiOドメインサイズは、100kV加速電圧で操作するJEOL JEM1230透過型電子顕微鏡を用いて、−70℃で明るいフィールド像を撮るためにガタン(Gatan)791およびガタン794デジタルカメラを使用し、そしてその像をアドビフォトショップ7.0を用いて後加工して、5nm未満であると決定された。
【0058】
実施例C11〜C14
実施例C11〜C14においては、実施例11〜14のそれぞれに従って製造された硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体のサンプルは、それぞれ、熱で硬化させられた。実施例C11〜C14のそれぞれにおいては、硬化性液体ポリシロキサン/TiO複合体材料のサンプルは120℃で設定された対流オーブン内に1時間にわたって置いておかれた。実施例C11〜C14のそれぞれにおいては、対流オーブン内での熱処理の後で、当初液体複合体材料は完全に硬化して剛性固体となった。