(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1) 暖房経路内で熱媒体を循環させる駆動源であるポンプをさらに備え、暖房用バーナを燃焼させずに暖房端末で暖房運転を行っている間に給湯用バーナを燃焼させる給湯運転が行われる特定の場合に、ポンプを停止させることが好ましい。この構成によると、ポンプを停止させることで、暖房経路内の熱媒体が加熱装置を通過することを適切に抑制することができる。
【0011】
(特徴2) 暖房経路に設けられて、加熱装置の上流側と下流側とを接続するバイパス路と、バイパス路を開閉する開閉弁と、をさらに備え、上記の特定の場合に、開閉弁を開くことが好ましい。この構成によると、開閉弁を開いてバイパス路を開くことで、暖房経路内の熱媒体が加熱装置を通過することを適切に抑制することができる。
【0012】
(第1実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯暖房システム2は、タンク10と、給湯系統104と、ヒートポンプ系統106と、暖房系統108と、加熱装置120と、制御装置100とを備えている。
【0013】
タンク10は、水(温水)を貯える。タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク10内には満水まで水が貯留されている。タンク10には、サーミスタ12、14、16、18がタンク10の高さ方向に略均等間隔を取り付けられている。各サーミスタ12、14、16、18は、その取付位置の水の温度を測定する。
【0014】
ヒートポンプ系統106は、ヒートポンプ50と、蓄熱用タンク水循環路52とを備える。蓄熱用タンク水循環路52は、上流端がタンク10の下部に接続されており、下流端がタンク10の上部に接続されている。蓄熱用タンク水循環路52には、循環ポンプ54が介装されている。循環ポンプ54は、蓄熱用タンク水循環路52内の水を上流側から下流側へ送り出す。
【0015】
ヒートポンプ50は、外気から吸熱して、蓄熱用タンク水循環路52内の水を加熱する熱源である。ヒートポンプ50は、図示しないが、熱媒体(例えばCO
2等)を循環させる熱媒体循環路と、外気と熱媒体との間で熱交換を行う蒸発器と、熱媒体を圧縮して高温高圧にする圧縮器と、蓄熱用タンク水循環路52内の水と高温高圧の熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器と、熱交換を終えた後の熱媒体を減圧させて低温低圧にする膨張弁と、を備えている。ヒートポンプ50と循環ポンプ54を作動させると、タンク10下部の水が蓄熱用タンク水循環路52に導入され、導入された水はヒートポンプ50で加熱され、加熱された水がタンク10上部に戻される。
【0016】
給湯系統104は、水道水導入路24と、給湯経路36とを備える。水道水導入路24は、上流端が水道水供給源32に接続されている。水道水導入路24の下流側は、第1導入路24aと第2導入路24bに分岐している。第1導入路24aの下流端は、タンク10の下部に接続されている。第2導入路24bの下流端は、給湯経路36の途中に接続されている。接続部には、第1導入路24a(即ち給湯経路36)を流れる水の流量と第2導入路24bを流れる水の流量の比率を調整する混合弁36aが配置されている。第1導入路24aには、逆止弁26が介装されている。第2導入路24bには、逆止弁28と水量センサ30が介装されている。水量センサ30は、第2導入路24b内を流れる水道水の流量を検出する。
【0017】
給湯経路36は、上流端がタンク10の上部に接続されている。上述したように、給湯経路36の途中には、水道水導入路24の第2導入路24bが接続されている。第2導入路24bとの接続部より上流側の給湯経路36には、水量センサ34が介装されている。水量センサ34は、給湯経路36内を流れる水の流量を検出する。第2導入路24bとの接続部より下流側の給湯経路36は、加熱装置120のケース121及び燃焼室122を通過している。詳しくは後述するが、加熱装置120は、燃焼室122を通過する給湯経路36内の水を加熱する。給湯経路36の下流端は給湯栓38に接続されている。給湯経路36には、加熱装置120をバイパスする流路であるバイパス路36bが設けられている。また、バイパス路36bには、バイパス路36bの開度を調整するためのバイパス制御弁36cが介装されている。
【0018】
暖房系統108は、暖房用タンク水循環路20と、熱交換器60と、シスターン70と、暖房経路71と、暖房端末76と、を備えている。暖房経路71は、暖房往路72と、暖房復路84と、調整弁90と、熱回収路88と、バイパス路94と、循環流路96とを備えている。暖房用タンク水循環路20と熱回収路88は、熱交換器60を通過している。暖房経路71は、シスターン70内の水を循環させるための水路である。暖房経路71内の水は、熱交換器60、及び、加熱装置120によって加熱される。
【0019】
暖房用タンク水循環路20は、上流端がタンク10の上部に接続されており、下流端がタンク10の下部に接続されている。暖房用タンク水循環路20には、循環ポンプ22が介装されている。循環ポンプ22は、暖房用タンク水循環路20内の水(温水)を上流側から下流側へ送り出す。また、暖房用タンク水循環路20は、上記の通り、熱交換器60を通過している。そのため、熱交換器60では、暖房用タンク水循環路20を通過する水(温水)の熱によって、熱回収路88内の水が加熱される。熱交換器60を通過した後の水は、タンク10の下部に戻される。
【0020】
シスターン70は、上部が開放されている容器であり、内部に熱媒体である水を貯留している。シスターン70には、循環流路96の下流端と、暖房往路72の上流端とが接続されている。シスターン70内には、循環流路96から水が流入する。シスターン70内の水は、暖房往路72に導入される。
【0021】
暖房往路72は、上流端がシスターン70に接続され、下流端が暖房端末76の往き口に接続されている。暖房往路72には、循環ポンプ74が介装されている。循環ポンプ74は、暖房往路72内の水を下流側に送り出すポンプである。循環ポンプ74より下流側の暖房往路72は、加熱装置120のケース121及び燃焼室122を通過している。詳しくは後述するが、加熱装置120は、燃焼室122を通過する暖房往路72内の水を加熱する。加熱装置120で加熱された水は、暖房端末76に供給される。また、暖房往路72の加熱装置120の下流側には、サーミスタ78が介装されている。サーミスタ78は、加熱装置120を通過した後の暖房往路72内の水の温度を測定する。
【0022】
暖房端末76は、暖房往路72から供給される水の熱を利用して、居室を暖房する端末である。暖房往路72から供給される水は、暖房に利用されると、熱を奪われ、比較的低温の水となる。暖房に利用された後の比較的低温の水は、暖房復路84に導入される。
【0023】
暖房復路84は、上流端が暖房端末76の戻り口に接続され、下流端がバイパス路94の上流端及び熱回収路88の上流端に接続されている。暖房復路84には、サーミスタ86が介装されている。サーミスタ86は、暖房復路84内の水の温度(即ち、熱交換器60に送り込まれる水の温度)を測定する。
【0024】
熱回収路88は、上流端がバイパス路94の上流端及び暖房復路84の下流端に接続され、下流端がバイパス路94の下流端及び循環流路96の上流端に接続されている。熱回収路88は、熱交換器60を通過している。そのため、循環ポンプ74及び循環ポンプ22を作動させると、上記の通り、熱回収路88内の水が熱交換器60で加熱される。熱回収路88の熱交換器60の下流側には、サーミスタ92が介装されている。サーミスタ92は、熱交換器60を通過した後の熱回収路88内の水の温度を測定する。
【0025】
バイパス路94は、上流端が暖房復路84の下流端及び熱回収路88の上流端に接続され、下流端が熱回収路88の下流端及び循環流路96の上流端に接続されている。即ち、バイパス路94は、熱交換器60の上流側と下流側とをバイパスする。調整弁90は、暖房復路84の下流端と、熱回収路88の上流端と、バイパス路94の上流端との接続部分に取り付けられている。調整弁90は、その開度を変化させることによって、熱回収路88を通過する水の流量(熱交換器60を通過する水の流量)と、バイパス路94を通過する水の流量との割合を変化させることができる。
【0026】
循環流路96は、上流端が熱回収路88の下流端及びバイパス路94の下流端に接続され、下流端がシスターン70に接続されている。循環流路96には、サーミスタ98が介装されている。サーミスタ98は、循環流路96内の水の温度を測定する。
【0027】
加熱装置120は、ケース121と、燃焼室122と、給湯用加熱ユニット130と、暖房用加熱ユニット140とを備える。ケース121内には、燃焼室122が格納されており、その燃焼室122には、給湯用加熱ユニット130及び暖房用加熱ユニット140が備えられている。また、上述のように、給湯経路36のうち第2導入路24bとの接続部より下流側の部分は、ケース121及び燃焼室122内を通過している。また、暖房往路72のうち循環ポンプ74より下流側の部分も、ケース121及び燃焼室122内を通過している。
【0028】
給湯用加熱ユニット130は、給湯用バーナ132と、給湯用ファン134とを備える。給湯用バーナ132は、燃焼室122内に設けられており、燃焼室122内でガスを燃焼させて給湯経路36内の水を加熱する。給湯用ファン134は、燃焼室122の外壁に取り付けられており、燃焼室122内に給湯用バーナ132の燃焼用の空気を取り入れ、燃焼排ガスを燃焼室122外に送り出す。
【0029】
暖房用加熱ユニット140は、暖房用バーナ142と、暖房用ファン144とを備える。暖房用バーナ142は、燃焼室122内に設けられており、燃焼室122内でガスを燃焼させて暖房往路72内の水を加熱する。暖房用ファン144は、燃焼室122の外壁に取り付けられており、燃焼室122内に暖房用バーナ142の燃焼用の空気を取り入れ、燃焼排ガスを燃焼室122外に送り出す。
【0030】
燃焼室122の内壁には、図示しない断熱材が配置されている。これにより、給湯用加熱ユニット130及び暖房用加熱ユニット140の加熱効率が良好に保たれている。また、燃焼室122の上部には、給湯用バーナ132及び暖房用バーナ142で発生する燃焼排ガスを燃焼室122外に送り出すための排気口124が設けられている。排気口124は、ケース121を貫通して設けられている。排気口124の開口部は、ケース121の外側に突出している。また、燃焼室122内には、給湯用バーナ132の設置領域と暖房用バーナ142の設置領域とを区画する区画壁126が設けられている。このように、燃焼室122内部は区画壁126によって区画されているが、例えば、暖房用ファン144が停止している間に給湯用バーナ132及び給湯用ファン134を作動させると、給湯用バーナ132の燃焼排ガスが、暖房用バーナ142の設置領域内に流れ込んでしまうおそれがある。給湯用バーナ132の燃焼排ガスが暖房用バーナ142の設置領域内に流れ込むと、次回暖房用バーナ142を燃焼させる際に不完全燃焼が起こる可能性がある。さらに、暖房用ファン144の取り付け口等から燃焼排ガスが漏れ出ると、居室内への燃焼排ガス漏れが起こる可能性もある。また、暖房用ファン144の取り付け口等から漏れ出た燃焼排ガスが給湯用ファン134近傍に流れると、その燃焼排ガスが給湯用ファン134によって給湯用バーナ132に供給され、燃焼中の給湯用バーナ132の不完全燃焼が起こる可能性もある。そのため、本実施例の給湯暖房システム2では、給湯用バーナ132と給湯用ファン134を作動させる場合には、給湯用バーナ132の燃焼排ガスが暖房用バーナ142側に流れ込むのを防ぐために、併せて暖房用ファン144を作動させている。同様に、本実施例の給湯暖房システム2では、暖房用バーナ142と暖房用ファン144を作動させる場合には、暖房用バーナ142の燃焼排ガスが給湯用バーナ132側に流れ込むのを防ぐために、併せて給湯用ファン132を作動させている。
【0031】
制御装置100は、タンク10、給湯系統104、ヒートポンプ系統106、暖房系統108、及び、加熱装置120と電気的に接続されており、各構成要素の動作を制御する。
【0032】
(給湯暖房システムの動作)
次いで、本実施例の給湯暖房システム2の動作について説明する。給湯暖房システム2は、蓄熱運転、給湯運転、暖房運転を実行することができる。本実施例の給湯暖房システム2は、蓄熱運転、給湯運転、暖房運転のうち2つ以上の運転を同時に実行することもできる。以下、各運転について説明する。
【0033】
(蓄熱運転)
蓄熱運転は、ヒートポンプ50で生成した熱により、タンク10内の水を加熱する運転である。制御装置100によって蓄熱運転の実行が指示されると、ヒートポンプ50が作動するとともに、循環ポンプ54が回転する。その結果、タンク10から蓄熱用タンク水循環路52内に導入された水がヒートポンプ50によって加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。これにより、タンク10に高温の水が貯められる。タンク10の上部には、高温の水の層が形成され、下部には、低温の水の層が形成される。
【0034】
(給湯運転)
給湯運転は、タンク10内の水を給湯栓38に供給する運転である。給湯栓38が開かれると、制御装置100は、混合弁36aを開く。すると、水道水供給源32からの水圧によって、水道水導入路24(第1導入路24a)からタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の温水が、給湯経路36を介して給湯栓38に供給される。制御装置100は、タンク10から給湯経路36に供給される水の温度(即ち、サーミスタ12の検出温度)が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁36aを調整して、第2導入路24bから給湯経路36に水道水を導入する。制御装置100は、給湯栓38に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁36aの開度比率を調整する。一方、制御装置100は、タンク10から給湯経路36に供給される水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、給湯用加熱ユニット130を作動させる(
図1参照)。従って、給湯経路36を通過する水が給湯用バーナ132のガス燃焼熱によって加熱される。加熱された水は、バイパス制御弁36cで開度調整されたバイパス路36bからの水と混合されて、給湯栓38に供給される。制御装置100は、給湯栓38に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、給湯用バーナ132の出力を制御する。
【0035】
(暖房運転)
暖房運転は、暖房端末76を作動させて居室を暖房する運転である。制御装置100によって蓄熱運転の実行が指示されると、循環ポンプ22と循環ポンプ74とが回転する。これにより、タンク10の上部から暖房用タンク水循環路20に導入された水(温水)が、熱交換器60を通過して、タンク10下部に戻されるとともに、暖房経路71内の水が循環する。暖房運転の開始時点では、調整弁90の開度は、暖房経路71内の水の全量が熱回収路88(熱交換器60)を通過し、バイパス路94を全く通過しないように調整される。これにより、熱回収路88を通過する水は、熱交換器60を通過する際に、暖房用タンク水循環路20内の温水の熱によって加熱される。この結果、熱交換器60で加熱された水が暖房端末76に供給される。暖房端末76は、供給された水の熱を利用して、居室を暖房する。また、本実施例の給湯暖房システム2では、暖房運転を行う場合、制御装置100は、ヒートポンプ50及び循環ポンプ54をさらに作動させ、上記の蓄熱運転を合わせて行うことで、タンク10内に継続して温水を貯めるようにする。
【0036】
制御装置100は、サーミスタ78の検出温度が、暖房端末76での要求温度を賄うための暖房設定温度より低い場合には、暖房用加熱ユニット140を作動させる。その場合、暖房往路72を通過する水が、暖房用バーナ142のガス燃焼熱によって加熱される。加熱された水は、暖房端末76に供給される。制御装置100は、暖房端末76に供給される水の温度が、暖房設定温度と一致するように、暖房用バーナ142の出力を制御する。この際、上記の通り、制御装置100は、暖房用バーナ142の燃焼排ガスが給湯用バーナ132側に流れ込むのを防ぐために、暖房用加熱ユニット140(暖房用バーナ142、暖房用ファン144)の作動に併せて、給湯用ファン132を作動させる。
【0037】
(暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行う際に実行する処理)
図2は、本実施例の給湯暖房システム2において、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行う場合に、制御装置100が実行する処理を示すフローチャートである。制御装置100は、ユーザによって暖房運転開始指示が行われ、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を開始する場合、又は、
図2の処理以前に暖房用加熱ユニット140を作動させながら暖房運転を行っており、その状態から暖房用加熱ユニット140を停止させた場合に、
図2の処理を開始する。
【0038】
S10では、制御装置100は、循環ポンプ22、循環ポンプ74、ヒートポンプ50、及び、循環ポンプ54を作動させる。これにより、上記の通り、タンク10の温水の熱のみを熱源として利用する暖房運転が開始される。なお、
図2の処理が開始する前に、暖房用加熱ユニット140を作動させながら暖房運転が行われており、暖房用加熱ユニット140を停止させたことによって
図2の処理が開始された場合、S10では、制御装置100は、引き続き、循環ポンプ22、循環ポンプ74、ヒートポンプ50、及び、循環ポンプ54を作動させる。
【0039】
次いで、S12では、制御装置100は、暖房運転の終了指示が行われることを監視する。同時に、S13では、制御装置100は、暖房用加熱ユニット140が作動することを監視する。さらに同時に、S14では、制御装置100は、給湯用加熱ユニット130が作動することを監視する。
【0040】
ユーザによって暖房運転の終了指示が入力されると、制御装置100は、S12でYESと判断する。この場合、制御装置100は、
図2の処理を終了するとともに、暖房運転を終了する。この場合、制御装置100は、循環ポンプ22、循環ポンプ74、ヒートポンプ50、及び、循環ポンプ54を停止する。
【0041】
一方、制御装置100は、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行っている間に、サーミスタ78の検出温度が、暖房端末76での要求温度を賄うための暖房設定温度より低くなると、暖房用加熱ユニット140を作動させる。この場合、制御装置100は、S13でYESと判断し、
図2の処理を終了する。この場合、制御装置100は、循環ポンプ22、循環ポンプ74、ヒートポンプ50、及び、循環ポンプ54に加えて、暖房用加熱ユニット140を作動させる。また、この際、制御装置100は、暖房用バーナ142の燃焼排ガスが給湯用バーナ132側に流れ込むのを防ぐために、暖房用加熱ユニット140(暖房用バーナ142、暖房用ファン144)の作動に併せて、給湯用ファン132を作動させる。
【0042】
また、暖房用加熱ユニット140を作動させずに、タンク10の温水の熱のみを熱源として利用する暖房運転を実行している間に、給湯運転が実行され、給湯用加熱ユニット130が作動する場合がある。この際、制御装置100は、給湯用バーナ132の燃焼排ガスが暖房用バーナ142の設置領域内に流れ込むのを防ぐために、給湯用加熱ユニット130(給湯用バーナ132、給湯用ファン134)の作動に併せて、暖房用ファン144を作動させる。この結果、加熱装置120の燃焼室122内を通る暖房往路72内の水が、暖房用ファン144が起こす風の影響で冷やされてしまうおそれがある。燃焼室122内を通る暖房往路72内を通過する水の温度が下がると、暖房効率が低下してしまう。この場合、制御装置100は、S14でYESと判断し、S16に進む。
【0043】
S16では、制御装置100は、循環ポンプ74を停止させる。これにより、暖房往路72内を含む暖房経路71内の水の循環が停止する。なお、制御装置100は、この間も暖房用ファン144を引き続き作動させる。暖房経路71内の水の循環が停止することにより、暖房経路71内の水が、加熱装置120の燃焼室122内を通過し、暖房用ファン144が起こす風の影響で冷やされてしまうことを防ぐことができる。
【0044】
S16で循環ポンプ74を停止すると、S18では、制御装置100は、給湯用加熱ユニット130が停止することを監視する。給湯用加熱ユニット130を作動させて行う給湯運転は、短時間で終了する場合が多い。そのため、給湯用加熱ユニット130が停止すると、制御装置100は、S18でYESと判断し、S20に進む。なお、制御装置100は、給湯用加熱ユニット130が停止する場合、作動させていた暖房用ファン144も停止させる。
【0045】
S20では、制御装置100は、再び、循環ポンプ74を作動させる。これにより、暖房経路71内の水の循環が再開される。即ち、上記の通り、本実施例では、制御装置100は、給湯用加熱ユニット130を作動させて行う給湯運転が行われている間(給湯用ファン134及び暖房用ファン144作動中)に限って暖房経路71内の水の循環を停止させ、給湯用加熱ユニット130を作動させて行う給湯運転が終了した時点(給湯用ファン134及び暖房用ファン144が停止した時点)で、暖房経路71内の水の循環を再開する。従って、及び暖房用ファン144が起こす風の影響による暖房効率の低下を最小限に抑えることができる。S20を終えると、制御装置100は、再び、S12、S13、S14の監視に戻る。
【0046】
以上、本実施例の給湯暖房システム2の構成及び動作について説明した。上記の通り、本実施例の給湯暖房システム2は、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行っている間に、給湯用加熱ユニット130が作動し、併せて暖房用ファン144も作動する場合に、暖房経路71内の水が加熱装置120を通過することが抑制される。そのため、暖房経路71内を通過する水が、暖房用ファン144の作動に伴う風の影響で冷やされることを抑制することができる。その結果、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行っている間に、給湯用加熱ユニット130が作動し、併せて暖房用ファン144が作動する場合であっても、暖房効率が低下し難くなる。従って、本実施例の給湯暖房システム2によると、給湯用バーナ132、給湯用ファン134、暖房用バーナ142、及び、暖房用ファン144を、例えば同一のケース121を用いて一箇所にまとめて加熱装置120を構成している場合であっても、暖房効率が低下することを抑制することができる。
【0047】
本実施例と請求項の記載の対応関係を説明しておく。
図2のS14でYESの場合が、「特定の場合」の一例である。循環ポンプ74が「ポンプ」の一例である。
【0048】
(第2実施例)
次いで、第2実施例の給湯暖房システム2について、
図3、
図4を参照して、第1実施例と異なる点を中心に説明する。
図3は、本実施例の給湯暖房システム2の構成を示す。本実施例の給湯暖房システム2も、その基本構成は第1実施例の給湯暖房システム2(
図1)と共通する。ただし、本実施例の給湯暖房システム2では、暖房往路72に、加熱装置120の上流側と下流側とを接続するバイパス路150が設けられている。即ち、バイパス路150は、加熱装置120をバイパスする流路である。また、バイパス路150には、バイパス路150を開閉するための開閉弁152が介装されている。開閉弁152は、後述の場合(
図4のS34でYESの場合)を除いて、常時全閉されている。
【0049】
(暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行う際に実行する処理)
本実施例では、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行う場合に、制御装置100が実行する処理の内容も第1実施例とは異なる。
図4は、本実施例の給湯暖房システム2において、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行う場合に、制御装置100が実行する処理を示すフローチャートである。
【0050】
図4の処理の開始条件は、第1実施例の
図2の処理の開始条件と同様である。なお、上記の通り、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行っている間も、制御装置100は、バイパス路150を全閉するように開閉弁152の開度を調整している。また、S30の処理も、
図2のS10と同様である。本実施例では、S30を終えると、制御装置100は、S32、S33、S34の監視を行う。S32、S33、S34の各監視も、
図2のS12、S13、S14の各監視と同様である。本実施例では、S34でYESの場合(給湯用加熱ユニット130が作動する場合)、制御装置100は、S36に進む。
【0051】
S36では、制御装置100は、開閉弁152を全開し、バイパス路150を全開にする。これにより、暖房経路71内の水がほとんどバイパス路150を通過し、加熱装置120の燃焼室122をほとんど通過しなくなる。正確に言うと、バイパス路150を開いた場合、暖房往路72よりもバイパス路150の圧損が、暖房往路72の圧損に比べて大幅に小さいため、暖房経路71内の水の大部分はバイパス路150を通過する。暖房往路72にもわずかに水が流れるが、暖房運転の効率を低下させる程の量は流れない。暖房経路71内の水が加熱装置120の燃焼室122を通過しなくなることにより、暖房経路71内の水が、加熱装置120の燃焼室122内を通過し、給湯用加熱ユニット130(給湯用バーナ132及び給湯用ファン134)と併せて作動する暖房用ファン144が起こす風の影響で冷やされてしまうことを防ぐことができる。
【0052】
S36で開閉弁152を開くと、S38では、制御装置100は、給湯用加熱ユニット130が停止することを監視する。給湯用加熱ユニット130が停止すると、制御装置100は、S38でYESと判断し、S40に進む。なお、制御装置100は、給湯用加熱ユニット130が停止する場合、作動させていた暖房用ファン144も停止させる。
【0053】
S40では、制御装置100は、再び、開閉弁152を閉じる。これにより、再び、暖房経路71内の水がほとんど加熱装置120の燃焼室122を通過するようになる。即ち、上記の通り、本実施例では、制御装置100は、給湯用加熱ユニット130を作動させて行う給湯運転が行われている間(給湯用ファン134及び暖房用ファン144作動中)に限って、バイパス路150を全開にして、暖房経路71内の水が加熱装置120の燃焼室122内を通らないようにし、給湯用加熱ユニット130を作動させて行う給湯運転が終了した時点(給湯用ファン134及び暖房用ファン144が停止した時点)で、暖房経路71内の水が再び加熱装置120の燃焼室122内を通るようにする。従って、暖房用ファン144が起こす風の影響による暖房効率の低下を最小限に抑えることができる。S40を終えると、制御装置100は、再び、S32、S33、S34の監視に戻る。
【0054】
以上、本実施例の給湯暖房システム2の構成及び動作について説明した。上記の通り、本実施例の給湯暖房システム2も、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行っている間に、給湯用加熱ユニット130が作動し、併せて暖房用ファン144も作動する場合に、暖房経路71内の水が加熱装置120を通過することが抑制される。そのため、暖房経路71内を通過する水が、暖房用ファン144の作動に伴う風の影響で冷やされることを抑制することができる。その結果、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行っている間に、給湯用加熱ユニット130が作動し、併せて暖房用ファン144が作動する場合であっても、暖房効率が低下し難くなる。従って、本実施例の給湯暖房システム2によると、給湯用バーナ132、給湯用ファン134、暖房用バーナ142、及び、暖房用ファン144を、例えば同一のケース121を用いて一箇所にまとめて加熱装置120を構成している場合であっても、暖房効率が低下することを抑制することができる。
【0055】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0056】
(変形例1) 上記の各実施例では、加熱装置120は、給湯用バーナ132、暖房用バーナ142の2個のバーナと、給湯用ファン134、暖房用ファン144の2個のファンを備えている。これには限られず、加熱装置120は、ファンを1個だけ備えていてもよい。
【0057】
(変形例2) 暖房往路72のうち、燃焼室122内を通過する部分の配管の外周は、断熱材で覆われていてもよい。このような構成とすることで、暖房経路71内を通過する水が、給湯用ファン134の作動に伴う風の影響で冷やされることをさらに抑制することができる。
【0058】
(変形例3) 上記の各実施例では、燃焼室122は、給湯用バーナ132及び暖房用バーナ142を格納するとともに、給湯用バーナ132及び暖房用バーナ142で発生する燃焼排ガスを燃焼室122外に送り出すための排気口124を1本だけ有している。これに代えて、燃焼室122内が、給湯用バーナ132を格納する第1領域と、暖房用バーナ142を格納する第2領域とに完全に区画され、第1領域には、給湯用バーナ132で発生する燃焼排ガスを第1領域外に送り出すための排気口が設けられ、第2領域には、暖房用バーナ142で発生する燃焼排ガスを第2領域外に送り出すための排気口が設けられていてもよい。この変形例によると、例えば、暖房用ファン144が停止している間に給湯用バーナ132及び給湯用ファン134を作動させても、給湯用バーナ132の燃焼排ガスが、暖房用バーナ142が設置されている第2領域内に流れ込むおそれがない。そのため、給湯用バーナ132及び給湯用ファン134が作動する場合に、併せて暖房用ファン144を作動させる必要がない。ただし、本変形例の構成でも、給湯用ファン134の作動に伴い、ケース121内が負圧になることに伴って、第2領域内に外気が流入して、暖房往路72内の水が冷やされる場合がある。従って、本変形例でも、上記各実施例の技術を適用することによって、暖房用加熱ユニット140を作動させずに暖房運転を行っている間に、給湯用加熱ユニット130が作動する場合に、暖房経路71内の水が加熱装置120を通過することが抑制されることにより、暖房経路71内を通過する水が、負圧により第2領域内に流入する外気の影響で冷やされることを抑制することができる。