(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919266
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】翼端装置
(51)【国際特許分類】
B64C 3/10 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
B64C3/10
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-519037(P2013-519037)
(86)(22)【出願日】2011年7月7日
(65)【公表番号】特表2013-530098(P2013-530098A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011061552
(87)【国際公開番号】WO2012007358
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2013年5月20日
【審判番号】不服2014-25447(P2014-25447/J1)
【審判請求日】2014年12月12日
(31)【優先権主張番号】1011843.8
(32)【優先日】2010年7月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510286488
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
(73)【特許権者】
【識別番号】311014956
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ライト
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス ケイ チュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヒミッシュ
【合議体】
【審判長】
和田 雄二
【審判官】
氏原 康宏
【審判官】
出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4714215(US,A)
【文献】
実開昭63−154399(JP,U)
【文献】
米国特許第2576981(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/92947(US,A1)
【文献】
Jacob Weierman and Jamey D.Jacob,Winglet Design and Optimization for UAVs,28th AIAA Applied Aerodynamics Conference,28 June−1 July 2010,Chicago,lllinois,USA,1−14頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00-7/00
B64C 1/00-39/12
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00-5/00
B64G 1/00-9/00
F03H 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の翼面を規定する翼の外側端部に取付けられる翼端装置であって、
前記翼面に対して上方に突出し且つ後縁を有する上側翼状要素と、
前記上側翼状要素に対して取り付けられ且つ根部翼弦と後縁とを有する下側翼状要素と、を備え、
前記上側翼状要素が実質的な平面的部位を含み、更に、前記翼の外側端部を前記上側翼状要素の実質的な平面的部位に滑らかに融合するように適合された遷移部を含み、
前記下側翼状要素が実質的に平面形状であり、
前記下側翼状要素と前記上側翼状要素との重複部が翼の外側端部の外側となるように、前記下側翼状要素の根部翼弦は、前記上側翼状要素の前記遷移部と重なり、
前記下側翼状要素は重複部から下方に突出し、
前記上側翼状要素は前記下側翼状要素より大きく、前記下側翼状要素の後縁は重複部において前記上側翼状要素の後縁に近接しており、
前記上側翼状要素と前記下側翼状要素とが重複部においてなす角度は160°以下であり、
前記航空機の飛行中に、前記下側翼状要素の先端部が、前記翼の形状の空力弾性的変形によって、翼幅方向に前記上側翼状要素の先端部よりさらに外側に伸張することを特徴とする翼端装置。
【請求項2】
前記下側翼状要素が前記上側翼状要素の平面領域の25%より小さい要素平面領域を有することを特徴とする請求項1に記載の翼端装置。
【請求項3】
前記翼面と前記下側翼状要素とがなす角度が少なくとも110°であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の翼端装置。
【請求項4】
前記上側翼状要素と前記下側翼状要素とが重複部においてなす角度が少なくとも80°であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の翼端装置。
【請求項5】
前記下側翼状要素が後退角を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の翼端装置。
【請求項6】
前記遷移部は、弧状の遷移部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の翼端装置。
【請求項7】
前記遷移部は、非平面形状の湾曲した翼端伸張部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の翼端装置。
【請求項8】
前記上側翼状要素が後退角を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の翼端装置。
【請求項9】
外側端部と、当該外側端部に取付けられた請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の翼端装置と、を有する翼。
【請求項10】
請求項9に記載の翼を有する航空機。
【請求項11】
前記航空機が地上にあって、前記翼が燃料を一杯に積載することによって下方に撓んでいる場合に、前記下側翼状要素の先端部は前記上側翼状要素の先端部よりさらに翼幅方向の外側には伸張しないことを特徴とする請求項10に記載の航空機。
【請求項12】
前記航空機が地上にあって、前記翼が燃料を一杯に積載することによって下方に撓んでいる場合に、前記下側翼状要素の先端部の翼幅方向の位置は、前記上側翼状要素の先端部の翼幅方向の位置に実質的に等しいことを特徴とする請求項11に記載の航空機。
【請求項13】
地上の形状における翼幅が、空港適合性ゲート制限に実質的に等しいことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の航空機。
【請求項14】
翼端装置を翼に取付ける方法であって、
翼の外側端部に請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の翼端装置を取付けるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
航空機の翼の外側端部に取付けられた、または取付けるための翼端装置を改修する方法であって、
前記翼は翼面を規定し、現有の翼端装置は、前記翼面に対して上方に突出し後縁を有する上側翼状要素を備え、前記上側翼状要素が実質的な平面的部位を含み、更に、前記翼の外側端部を前記上側翼状要素の実質的な平面的部位に滑らかに融合するように適合された遷移部を含み、
前記方法は、
前記上側翼状要素より小さく且つ根部翼弦と後縁とを有し、実質的に平面形状である下側翼状要素を提供するステップと、
前記下側翼状要素を前記上側翼状要素に、前記下側翼状要素の根部翼弦が前記上側翼状要素の前記遷移部と重なって、前記下側翼状要素と前記上側翼状要素との重複部が翼の外側端部の外側にあり、且つ前記下側翼状要素は重複部から下方に突出するように、また前記下側翼状要素の後縁は、重複部において前記上側翼状要素の後縁と近接し、また前記上側翼状要素と前記下側翼状要素とが重複部においてなす角度は160°以下であるように取り付けるステップと、
前記航空機の飛行中に、前記下側翼状要素の先端部を、前記翼の形状の空力弾性的変形によって、翼幅方向に前記上側翼状要素の先端部よりさらに外側に伸張させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
翼の外側端部に取付けられた翼端装置を有する翼を使用する方法であって、
前記翼は翼面を規定し、
前記翼端装置は、前記翼面に対して上方に突出し且つ後縁を有する上側翼状要素と、前記上側翼状要素に対して取付けられ且つ根部翼弦と後縁とを有する下側翼状要素と、を備え、
前記上側翼状要素が実質的な平面的部位を含み、更に、前記翼の外側端部を前記上側翼状要素の実質的な平面的部位に滑らかに融合するように適合された遷移部を含み、
前記下側翼状要素が実質的に平面形状であり、
前記下側翼状要素と前記上側翼状要素との重複部が翼の外側端部の外側となるように、前記下側翼状要素の根部翼弦は、前記上側翼状要素の前記遷移部と重なり、
前記下側翼状要素は重複部から下方に突出し、
前記上側翼状要素は前記下側翼状要素より大きく、前記下側翼状要素の後縁は重複部において前記上側翼状要素の後縁に近接しており、
前記上側翼状要素と前記下側翼状要素とが重複部においてなす角度は160°以下であって、
前記方法は、前記翼を空力荷重に曝し、前記翼の形状が空力弾性的変形を受けて、前記翼の曲がりが翼根部を中心とする翼端装置の回転を引き起し、その結果前記下側翼状要素の先端部が前記上側翼状要素の先端部より翼幅方向外側に伸張するような状態になるステップを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翼の外側端部に取付ける翼端装置に関する。さらに、翼端装置を備える翼、翼端装置を備える翼を有する航空機、翼端装置の翼への取付方法または交換取付方法、現有の翼端装置の改修方法、翼端装置を有する翼の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
翼端装置は、翼への誘導抗力を低減するために翼の外側端部に取付けられる。例えば、航空機の翼の場合には、燃費効率の向上と二酸化炭素放出量の減少をもたらす。翼端装置は、様々な形状を取り得る。
【0003】
ウィングレットは、翼端部から伸びる翼状要素である。ウィングレットは翼端部から上に向かって、又は、下に向かって伸びる。非特許文献1には、(翼端部から上に向かって伸びる)上側ウィングレットの前方に(翼端部から下に向かって伸びる)下側ウィングレットを有する翼端装置が記載されている。これらの端部装置の寸法形状について、非特許文献2に推奨されている。
【0004】
翼端フェンスは、翼端部の上下両側に垂直に伸びる翼端装置の特別な形状である。翼端フェンスについては、特許文献1に記載されている。
【0005】
翼端装置の別の例として、非平面的な翼端伸張部がある。即ち、翼端装置が、取付けられた翼面から伸び出している。ウィングレットは、非平面的な翼端伸張部の特別な例と考えられる。特許文献2には、非平面的な翼端伸張部について記載されている。これは、連続的に増加する局所的上反角の曲率と、(前縁及び後縁の両方での)連続的に増加する後退角と、外側方向に向かって連続的に減少する翼弦とを有する。
【0006】
特許文献3に記載されているような技術によれば、ウィングレットは、湾曲した遷移部によって翼端部に取付けられて融合されたウィングレット(以下、融合ウィングレットと表記)を形成する実質的に平面的な部位を含んでもよい。遷移部は一定の曲率半径を有する。指定された融合形状は、翼端部における干渉抗力効果を低減すると言われる。
【0007】
あるいはまた、特許文献4に記載されているような技術によれば、ウィングレットは、非平面的な翼端伸張部によって翼に取付けられた、実質的に平面的な部位を含んでもよい。非平面的な翼端伸張部は、外側方向に向かって局所的上反角の曲率が増加する。この翼端伸張部は、一定曲率半径の遷移部を有する融合ウィングレットと比較して、更に、干渉抗力効果を低減すると言われる。
【0008】
翼端装置の別の例として、特許文献5に記載されている後退角を有する翼端部の様な、実質的に平面的翼端伸張部がある。これは実質的に翼面から外に延伸しない。後退角を有する翼端部はウィングレットと同等の抗力の低下を達成することができる。
【0009】
例えば空港適合性ゲート制限による、又は航空機の種別による飛行制限による、航空機の翼幅の制限は、後退角を有する翼端部よりもむしろ、ウィングレット又は非平面的な翼端伸張部を、翼上の誘導抗力を低減するために選択する必要があることを意味する。ウィングレット(更に一般的には非平面的な翼端伸張部)は、それが取付けられた翼の面から外に延伸するので、実質的に翼幅を増大させることなく、翼のアスペクト比を効果的に増大させる(それが翼上の渦に起因する誘導抗力を低減する)。
【0010】
翼幅制限の課題は、翼幅制限が適用される(燃料を一杯に積んだ)地上での形状で、航空機の翼の全長を最適化して翼幅制限に適合させることによって慣例上解決される。しかしながら、飛行中の空力弾性的効果によって翼の形状が曲がるために、結果として生じる飛行中の形状での翼幅は、たいてい減少されてもはや最適では無くなる。従って、この慣例的な方法は性能不足をもたらす。この課題は、構造重量を削減するために比較的フレキシブルな翼を多く用いるため、より固い構造と比較すると空力負荷下で翼の曲がりが増大する結果となり、更に明らかになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4714215号
【特許文献2】米国特許第2002/0162917号
【特許文献3】米国特許第5348253号
【特許文献4】国際特許第2008/061739号
【特許文献5】米国特許第6089502号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Whitcomb, R.T.,1976:NASA TN D-8260、“A Design Approach and Selected Wind-Tunnel Results at High SubsonicSpeeds for Wing-Tip Mounted Winglets”
【非特許文献2】RT Jones and TA Lasinski,1980: NASA TM 81230“Effect of Winglets on the Induced Drag of Ideal WingShapes”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、翼の翼端部に取付けられる翼端装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の課題を解決するために本発明の第1の態様は、翼面を規定する翼の外側端部に取付けられる翼端装置であって、前記翼面に対して上方に突出し且つ後縁を有する上側翼状要素と、前記上側翼状要素に対して取り付けられ且つ根部翼弦と後縁とを有する下側翼状要素と、を備え、
前記上側翼状要素が実質的な平面的部位を含み、更に、前記翼の外側端部を前記上側翼状要素の実質的な平面的部位に滑らかに融合するように適合された遷移部を含み、前記下側翼状要素が実質的に平面形状であり、前記下側翼状要素と前記上側翼状要素との重複部が翼の外側端部の外側となるように、前記下側翼状要素の根部翼弦は、前記上側翼状要素
の前記遷移部と重なり、前記下側翼状要素は重複部から下方に突出し、前記上側翼状要素は前記下側翼状要素より大きく、前記下側翼状要素の後縁は重複部において前記上側翼状要素の後縁に近接しており、前記上側翼状要素と前記下側翼状要素とが重複部においてなす角度は160°以下である、ことを特徴とする翼端装置である。
【0015】
本発明の第2の態様は、外側端部と、その外側端部に取り付けられた第1の態様に係る翼端装置とを有する翼を提供する。
【0016】
本発明の第3の態様は、第2の態様に係る翼を有する航空機を提供する。
【0017】
本発明の第4の態様は、翼端装置を翼に取付ける方法、又は交換取付けする方法であって、翼の外側端部に第1の態様に係る翼端装置を取付けるステップを含む方法を提供する。
【0018】
本発明の第5の態様は、翼の外側端部に取付けられた、または取付けるための翼端装置を改修する方法であって、前記翼は翼面を規定し、現有の翼端装置は、前記翼面に対して上方に突出し後縁を有する上側翼状要素を備え、前記上側翼状要素が実質的な平面的部位を含み、更に、前記翼の外側端部を前記上側翼状要素の実質的な平面的部位に滑らかに融合するように適合された遷移部を含み、前記方法は、前記上側翼状要素より小さく且つ根部翼弦と後縁とを有し
、実質的に平面形状である下側翼状要素を提供するステップと、前記下側翼状要素を前記上側翼状要素に、前記下側翼状要素の根部翼弦が前記上側翼状要素
の前記遷移部と重なって、
前記下側翼状要素と前記上側翼状要素との重複部が翼の外側端部の外側にあり、且つ前記下側翼状要素は重複部から下方に突出するように、また前記下側翼状要素の後縁は、重複部において前記上側翼状要素の後縁と近接し、また前記上側翼状要素と前記下側翼状要素とが重複部においてなす角度は160°以下であるように取り付けるステップ、を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0019】
本発明の第6の態様は、翼の外側端部に取付けられた翼端装置を有する翼を操作する方法であって、前記翼は翼面を規定し、前記翼端装置は、前記翼面に対して上方に突出し且つ後縁を有する上側翼状要素と、前記上側翼状要素に対して取付けられ且つ根部翼弦と後縁とを有する下側翼状要素と、を備え、
前記上側翼状要素が実質的な平面的部位を含み、更に、前記翼の外側端部を前記上側翼状要素の実質的な平面的部位に滑らかに融合するように適合された遷移部を含み、前記下側翼状要素が実質的に平面形状であり、前記下側翼状要素と前記上側翼状要素との重複部が翼の外側端部の外側となるように、前記下側翼状要素の根部翼弦は、前記上側翼状要素
の前記遷移部と重なり、前記下側翼状要素は重複部から下方に突出し、前記上側翼状要素は前記下側翼状要素より大きく、前記下側翼状要素の後縁は重複部において前記上側翼状要素の後縁に近接しており、前記上側翼状要素と前記下側翼状要素とが重複部においてなす角度は160°以下であって、前記方法は、前記翼を空力荷重に曝し、前記翼の形状が空力弾性的変形を受けて、前記翼の曲がりが翼根部を中心とする翼端装置の回転を引き起し、その結果前記下側翼状要素の先端部が前記上側翼状要素の先端部より翼幅方向外側に伸張するような状態になるステップを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0020】
本発明は、下側翼状要素が、飛行時の空力弾性的変形によって発生する翼幅の低減の少なくともある程度を相殺するために作用する点で有利である。一方で、上側及び下側翼状要素は、地上での形状において適用され得る如何なる翼幅制限にも適合するように最適化されたままであろう。上側翼状要素(例えば、ウィングレット)のみを備える翼端装置に下側要素を付加すると、上側要素だけである場合と比較して渦抗力が約25%から40%低減され、全体で更に約1.9%、翼と翼端装置の組合せに対する抗力が低減されることが示されている。
【0021】
上側要素の後縁と下側要素の後縁とがほぼ一致していることは、後流撹乱効果を避けるために重要である。後縁は完全に一致している必要は無いが、重複部において一方の要素の後流がもう一方の要素の上の流れに衝突するのを避けるために、近接している必要がある。
【0022】
重複部における上側及び下側翼状要素間の角度は、下側要素が飛行中の形状において翼幅の増大をもたらすために重要である。下側要素の傾斜角度(即ち、垂直x−z平面と要素間の角度)は、重複部における干渉効果を最小化するように十分考慮されると共に、飛行中の形状において最大の翼幅増大を達成するように最適化される。翼端フェンスは、垂直な上側及び下側要素間の角度が約180°であるため、下側要素がもたらす飛行中の形状における翼幅の増大は無視できることは注意すべきである。
【0023】
上側翼状要素は、下側翼状要素より大きい。下側翼状要素は上側翼状要素の平面領域の約25%より小さい平面領域を有する。各要素の平面領域は、翼の平面領域の平面とは異なる平面中で見られることに注意すべきである。下側要素の平面領域は、巡航による粘性抗力の不利益を最小化しながら、要求される翼幅荷重を生みだし、良好な低速高揚力の性能をもたらすように設計されるであろう。地上高制限によって、下側要素の大きさが限定される。
【0024】
下側翼状要素は上側翼状要素に対して取付けられる。翼端装置は翼に対して取り付けられる。本発明は、可動式翼端装置とは関係がない。可動式は一般に固定式装置よりも重く、重いことは如何なる性能利益をも相殺するからである。また、翼幅制限の課題を解決することは可動式翼端装置においてはいくらか些細なことである。
【0025】
翼面と下側翼状要素との間の角度は少なくとも110°であればよい。それゆえ、下側要素は翼の外側端から外側に伸張し、翼の下側表面と下側要素間の干渉効果が最小化される。
【0026】
重複部において上側及び下側翼状要素の間の角度は少なくとも80°であればよく好ましくは少なくとも90°である。これは、上側と下側要素間の重複部における干渉効果の最小化を助けることとなる。
【0029】
下側要素は垂直x-z平面に対して、トー角を有してもよい。
【0030】
下側要素は、後退角を有してもよい。特に、下側要素は、後退角を有する前縁を備えてもよい。下側要素の前縁の後退角は、上側要素の前縁の後退角と同程度であってよい。
【0033】
遷移部は、弧状の遷移部であってもよい。上側翼状要素は、融合ウィングレットで
あり、遷移部は一定の曲率を有する。融合することによって、翼端部における干渉抗力効果を低減する効果が得られる。
【0034】
さらに別の実施形態においては、
遷移部は、非平面的で湾曲した翼端伸張部でもよい。上側要素は、非平面的翼端伸張部によって翼に融合されるウィングレットでもよい。非平面的な翼端伸張部は、外側方向に局所的な上反角の曲率の増加を有してもよい。翼端伸張部は、一定曲率の遷移部を有する融合ウィングレットと比較して、更なる干渉抗力低減効果が得られるのを助ける。
【0038】
上側翼状要素は、後退角を有してもよい。特に上側要素は後退角を有する前縁を備えてもよい。上側要素の前縁の後退角は、下側要素の前縁の後退角と同程度であってよい。
【0041】
下側要素の根部翼弦は、重複部における上側要素の局所的な翼弦の一部のみに沿って伸張してもよい。
【0042】
航空機が地上にあって、翼が燃料を一杯に積載することによって下向きに撓んでいる場合、下側翼状要素の先端部は上側翼状要素の先端部より翼幅方向にさらに外側に伸張しなくてもよい。この場合に、上側及び下側要素の両端部間が、例えば空港のゲート制限にあたることになろう。
【0043】
航空機が地上にあって、翼が燃料を一杯に積載することによって下向きに撓んでいる場合、下側翼状要素の先端部の翼幅方向への伸張は、上側翼状要素の先端部の翼幅方向の伸張と実質的に等しくなってよい。または、上側要素の先端部間の長さが実質的に空港のゲート制限より短い場合には、下側翼状要素の先端部の翼幅方向への伸張は、上側翼状要素の先端部の翼幅方向の伸張より大きくてよい。
【0044】
航空機が飛行中、下側翼状要素の先端部は、翼の形状の空力弾性的変形によって、上側翼状要素の先端部より翼幅方向に伸張していてもよい。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、翼の翼端部に取付けられる翼端装置等を提供することができる。
【0046】
本発明に係る実施形態は、以下の図を参照して、次に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】従来技術による上側ウィングレットを有する航空機の翼の、a)地上での形状および、b)飛行中の形状を示す図である。
【
図2】
図1の詳細Aであって、地上における最大翼幅と、空力荷重下で翼が変形することによる翼幅の減失とを示す図である。
【
図3】上側の平面形ウィングレットと下側の平面形ウィングレットとを有する第1の実施形態に係る航空機の翼と翼端装置を示し、a)は地上での形状でありb)は飛行中の形状であって、飛行中の形状において下側のウィングレットから得られる翼幅の増大を説明する図である。
【
図4】第1の実施形態に係る(地上での形状における)航空機の翼と翼端装置の詳細を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る下側のウィングレットによる更なる抗力の低減を示すグラフである。
【
図6】第1の実施形態に係る下側のウィングレットによる更なる抗力の低減を示すグラフである。
【
図7】上側の平面的ウィングレットと下側の非平面的ウィングレットとを備える第2の実施形態に係る(地上での形状における)航空機の翼と翼端装置を示す図である。
【
図8】上側の融合ウィングレットと下側の平面的ウィングレットとを備える第3の実施形態に係る(地上での形状における)航空機の翼と翼端装置を示す図である。
【
図9】非平面的な翼端伸張部で翼に融合された上側ウィングレットと、下側の平面的ウィングレット(非平面的下側ウィングレットを装着してもよい)とを備える第4の実施形態に係る(地上での形状における)航空機の翼と翼端装置を示す図である。
【
図10】第4の実施形態に係る翼と翼端装置の斜視図である。
【
図11】第4の実施形態に係る翼と翼端装置の平面図である。
【
図12】非平面的な(上側)翼端伸張部と平面的下側ウィングレットとを備える第5の実施形態に係る航空機の翼と翼端装置を示す図である。
【
図13】第5の実施形態に係る翼端装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、機体側の翼根2と外側の外側端部3を有する従来技術による航空機の翼1を示す図である。上方に伸びるウィングレット4を含む翼端装置は、翼1の外側端部3に取付けられる。翼1は、
図1のa)において、地上での形状(即ち、航空機が地上にあって、翼に燃料を一杯に積んでいる状態)と、b)において、飛行中の形状(即ち、空力荷重による変形を伴う)とが示されている。
【0049】
図2は、
図1の詳細Aを示し、破線5は、例えば空港適合性ゲート制限又は航空機種別による飛行制限によって航空機にもたらされる翼幅制限を示す。最大翼幅5は、
図2のa)に示される地上での形状に適用される。
図2のb)は、飛行中の形状における変形のために生じる翼幅の減少6を示す。翼幅の減少6は約3%までに至る可能性がある。
【0050】
図3は、上側の平面的ウィングレット104と下側の平面的ウィングレット107とを有する第1の実施形態における航空機の翼101を示す。上側ウィングレット104は翼101の外側端部103に取付けられる。翼101は、翼面108を規定する。上側ウィングレット104は翼面108に対して上方に突出する。上側ウィングレット104は先端部109と根部110とを有する。下側ウィングレット107は先端部111と根部112とを有する。下側ウィングレットの根部翼弦112は、上側ウィングレット104と重なり、下側ウィングレッ107はこの重複部から下側に突出する。上側ウィングレット104と下側ウィングレット107とは、それぞれ前縁部と後縁部を有し、後縁部は重複部で近接している。
図3a)は、上側ウィングレット104の先端部109と下側ウィングレット107の先端部111とが共に最大翼幅105にある、地上における翼101の形状を示す。
図3b)は、変形した飛行中の翼101の形状を示し、上側ウィングレット104による翼幅106の潜在的減失が、下側ウィングレット107から得られる幅113の増加によって軽減される様子を示す。下側ウィングレット107による幅113の増加は約2%である。
【0051】
図4は、第1の実施形態における航空機の翼101を、更に詳細に示す図である。下側ウィングレット107は、下側ウィングレット107と上側ウィングレット104との重複部における干渉効果を最小限にする一方で、飛行中の形状における翼幅の増大を最大限にするように、寸法と方向が決められる。更に、地面と下側ウィングレット107の先端部111との間の最低地上高Gが考慮される。結果として得られる幾何学的形状は、上側と下側の翼要素間の角度が約132°で、翼面108と下側ウィングレット107との間の角度が128°となる。下側ウィングレット107は、上側ウィングレット104のウィングレット平面形領域の約20%のウィングレット平面領域を有する。下側ウィングレット107が比較的小さい寸法であることによって、必要とされる最適な翼幅荷重をもたらしながら、巡航中の粘性抗力による損失を最小化する。
【0052】
図5と
図6は、下側ウィングレット107の付加による翼101の揚力と渦抗力特性への効果をグラフに示す図である。
図5と
図6とにおいて、○印のラインは、翼端装置を有せず、課された最大翼幅近傍に先端部を有する翼101に該当する参考翼を示す。×印のラインは、上側ウィングレット104(寸法は、上述の非特許文献2で推奨されている)のみを有する翼101を示す。□印のラインは、上側ウィングレット104と下側ウィングレット107の両方を有する翼101を示す。
【0053】
図5は、揚力係数(以下、CLと表記することもある。)と抗力係数(以下、CDと表記することもある。)の関係を示し、上側と下側の両方のウィングレット104と107を有する翼101の揚力抗力比の上昇を、参考翼および上側ウィングレットのみを有する翼と比較して示す。
図6は、上側ウィングレット104のみを有する翼に対して、巡航時の中間重量での揚力係数(CL=0.5)において、下側ウィングレット107の付加によって約1.9%の抗力発生を抑える効果があることを示す。下側ウィングレット107によってもたらされる渦抗力の減少は、更に約25%から40%の減少となる。
【0054】
図7は、平面的上側ウィングレット204と非平面的下側ウィングレット207とを有する第2の実施形態に係る航空機の翼201を示す。翼201は翼面208を規定し、上側ウィングレット204は翼面208に対して上方に突出する。上側ウィングレット204は翼201の外側端部203に取り付けられる。下側ウィングレット207は上側ウィングレット204と重なる根部翼弦212を有する。下側ウィングレット207は、重複部から下側に突出する。上側ウィングレット204は、先端部209と根部210とを有する。下側ウィングレット207は先端部211を有し、先端部211と先端部209は共に翼幅方向において最大翼幅205の位置にある。上側ウィングレット204と下側ウィングレット207はそれぞれ前縁部と後縁部とを有し、それぞれの後縁部は重複部において近接している。
図7において、翼201は最大翼幅205を強いられる地上での形状が図示されている。
【0055】
下側ウィングレット207は根部212から先端部211へと増大する局所的下反角の曲率を有する。下側ウィングレット207は、端部装置の低速性能を最適化するために、トーイン角またはトーアウト角を有してもよい。
【0056】
翼201のための翼端装置は、下側ウィングレット207と翼201の下側表面との間の干渉効果と上側ウィングレット204と下側ウィングレット207との間の干渉効果を最小化しながら、飛行時の空力荷重下で翼幅の増大を最大化するよう最適化されている。結果的に最適化された幾何学的形状は、上側ウィングレット204と下側ウィングレット207とがなす角度を約120°とし、翼面208と下側ウィングレット207とがなす角度を約138°としている。飛行中の形状において、翼101の下側ウィングレット107と比較して、下側ウィングレット207は翼幅の増大が大きい。これは主に、下側ウィングレット207の根部212から先端部211までの高さが増大したことと、飛行荷重下で真っ直ぐになる下側ウィングレット207の柔軟性による。
【0057】
図8は、上側融合ウィングレット304と平面的な下側ウィングレット307とを有する第3の実施形態に係る航空機の翼301を示す。翼301は、上側融合ウィングレット304が取付けられた外側端部303を有する。上側ウィングレット304は先端部309と根部310とを有する。上側ウィングレット304はその根部310を介して翼301の外側端部303に取付けられる。上側ウィングレット304は実質的平面部位314と弧状の遷移部315とを有する。遷移部315は、翼301の外側端部303を、滑らかに実質的平面部314に融合するように適合されている。弧状の遷移部315は、実質的に一定の曲率半径Rを有する。
【0058】
下側ウィングレット307は、上側ウィングレット304の遷移部315の下側表面に取付けられる。下側ウィングレット307は先端部311と根部312とを有する。下側ウィングレット307の根部翼弦は上側ウィングレット304と重なって、下側ウィングレット307はその重複部から下に向かって突出する。上側ウィングレット304と下側ウィングレット307はそれぞれ前縁部と後縁部を有し、両後縁部は重複部で近接している。遷移部315は実質的平面部314と翼301との間の干渉効果を低減するのを助ける。
【0059】
上側ウィングレット304の先端部309は、実質的に下側ウィングレット307の先端部311と共に最大翼幅305における垂直x−z平面内にある。上側ウィングレット304と下側ウィングレット307とがなす角度は、重複部において約84°である。この角度は、上側ウィングレット304と下側ウィングレット307との間の干渉効果を避けるように、少なくとも80°であることが好ましい。重複部は、上側融合ウィングレットの遷移部315の下側表面にあるので、この角度は、遷移部の下側接面と下側ウィングレット307との間で測定される。翼面308と下側ウィングレット307とがなす角度は約125°である。上側ウィングレット304の実質的平面部314は、垂直x−z平面に対して約7°から15°傾斜した角度を有する。
【0060】
下側ウィングレット要素307は、上側ウィングレット要素304の平面領域の約25%の平面領域を有する。下側ウィングレット307は実質的に平面であるが、根部312から先端部311にかけていくらかの翼のねじれを有していてもよい。下側ウィングレット307は、低速性能を最適化するために、付加的に又は代替的にトーインまたはトーアウト角を有しても良い。同様に、上側ウィングレット304はいくらか湾曲してもよく、またトーインまたはトーアウト角を有しても良い。下側ウィングレット307は後退角を有し、特に前縁部は後退している。上側ウィングレット304も後退していて、後退する前縁部と後退する後縁部とを有する。
【0061】
最低地上高が許せば、下側ウィングレット307は、
図7を参照して上述したものと同様な非平面的な下側ウィングレットと交換しても良い。
【0062】
図9は、翼401と、上側融合ウィングレット404と、平面的な下側ウィングレット407とを含む航空機の翼と翼端装置の組合せを示す図である。翼401は外側端403を有し、翼面408を規定する。上側ウィングレット404は、実質的平面部414と融合された遷移部415とを含む。遷移部415は、翼401の外側端部403を上側ウィングレット404の実質的平面部414に滑らかに融合する。遷移部415は、局所的上反角の連続的に増加する曲率と、連続的に増加する後退角(前縁部と後縁部共に)と、外側に向かって連続的に減少する翼弦とを有する非平面的な湾曲した翼端伸張部である。非平面的な湾曲した翼端伸張部415は、上側ウィングレット404の抗力性能を、
図8に示された上側融合ウィングレット304と比較して改善させる。
【0063】
上側ウィングレット404は、根部410と先端部409とを有する。上側ウィングレット404の実質的平面部414は垂直x−z平面に対して7°傾斜した角度を有する。実質的平面である下側ウィングレット407は、上側ウィングレット404の非平面的な湾曲した翼端伸張部415の下側表面に取付けられる。下側ウィングレット407は、先端部411と根部412とを有する。下側ウィングレット407の根部翼弦は上側ウィングレット404と重なり、下側ウィングレット407は重複部から下側に突出する。
【0064】
上側ウィングレット404と下側ウィングレット407とが重複部においてなす角度は、約86°である。重複部は、上側ウィングレット404の非平面的な湾曲した翼端伸張部415の下側表面上にあるので、この角度は、重複部において非平面的な湾曲した翼端伸張部415の下側表面に対する局所接面から測定されたものである。この角度は、上側ウィングレット404と下側ウィングレット407との間の干渉効果を避けるために80°以上であることが好ましい。翼面408と下側ウィングレット407とがなす角度は、約124°である。上側ウィングレット404の先端部409と下側ウィングレット407の先端部411とは、実質的に共に最大翼幅405における垂直x−z平面内にある。
【0065】
図10と
図11はそれぞれ、第4の実施形態に係る翼と翼端装置の組み合わせの斜視図と平面図である。
図10から特に、上側ウィングレット404の後縁部416と、下側ウィングレット407の後縁部417とが、重複部において実質的に近接していることがわかる。後縁部416及び417は、下側ウィングレット407からの後流が上側ウィングレット404上の流れに実質的に干渉しない程度に、十分に接近している。上側ウィングレット404は後方に伸びる前縁部418を有し、下側ウィングレット407も後方に伸びる前縁部419を有する。上側ウィングレット404の後縁部416は後方に伸び、下側ウィングレット407の後縁部417もまた後方に伸びる。
【0066】
図11において、平面図(即ち、上から見下ろしたx−y平面図)は、上側ウィングレット404が下側ウィングレット407の少なくとも一部をどのように「覆う」かを示す。これは、上側ウィングレット404の先端部409と下側ウィングレット407の先端部411とが同じ垂直x−z平面内にあることによる。
図10に最もよく示されるように、重複部においては、下側ウィングレット407の根部翼弦412は重複部における上側ウィングレット404の局所翼弦の一部のみを占める。そして後縁416と後縁417とがほぼ一致するために、下側ウィングレット407の前縁419は、上側ウィングレット404の前縁418の機尾側に位置することになる。
【0067】
図12は、上側の非平面的な翼端伸張部504と下側の平面的ウィングレット507を有する翼端装置を備える翼501を含む、第5の実施形態に係る航空機の翼と翼端装置の組み合わせを示す図である。翼501は外側端部503を有し、翼面508を規定する。非平面的な翼端伸張部504は根部510と先端部509とを有し、根部510によって翼501の外側端部503に取付けられる。湾曲した非平面的な翼端伸張部504は、局所的上反角の連続的に増加する曲率と、(前縁518、後縁516の両方において)連続的に増加する後退角と、外側方向(y方向)に向かって連続的に減少する翼弦とを有する。
【0068】
湾曲した非平面的な翼端伸張部504は、根部510から先端部509まで実質的に非平面形状である。先端部509は垂直x−z平面に対して約8°の傾斜角を形成する。下側ウィングレット507は先端部511と根部512とを有し、根部翼弦は湾曲した非平面的な翼端伸張部504と重なり、重複部からは下側ウィングレット507が下向きに突出している。非平面的な翼端伸張部504と下側ウィングレット507とが重複部においてなす角度は約82°である。この角度は、下側ウィングレット507と、湾曲した非平面的な翼端伸張部504の下側表面の重複部における局所接面との間で測定される。翼面508と下側ウィングレット507とがなす角度は約126°である。湾曲した非平面的な翼端伸張部504の先端部509と下側ウィングレット607の先端部511は、実質的に共に最大翼幅506における垂直x−z平面内にある。
【0069】
図13は、第5の実施形態に係る翼端装置の斜視図であり、重複部おいて、湾曲した非平面的な翼端伸張部504の後縁516が、下側ウィングレット507の後縁517とほぼ一致することを明示する。湾曲した非平面的な翼端伸張部504と下側ウィングレット507は共に後退角を有し、後縁516、後縁517、前縁518、前縁519もそれぞれの後退角を有する。
【0070】
下側ウィングレット507は実質的に平面形状であれば良く、根部から先端部に向かってウィングレットのねじれを形成しても、自由気流に対してトーインまたはトーアウト角を形成しても良い。同様に、湾曲した非平面的な翼端伸張部504は翼のねじれを形成しても、自由気流に対してトーインまたはトーアウト角を形成しても良い。下側ウィングレット507は、最低地上高が許せば、
図7を参照して上述されたものと同様の非平面的で湾曲した下側ウィングレットに交換しても良い。
【0071】
図7から
図13を参照して上述された第2から第5の実施形態のそれぞれは、それぞれの地上での形状における翼と翼端装置の組み合わせによって示されている。飛行中の翼に掛かる空力荷重によって翼が変形して、翼の根部を中心とする翼端装置の回転を引き起こし、下側翼状要素の先端部が上側翼状要素の先端部より更に翼幅方向に外側に伸張する。従ってそれぞれの実施形態における下側翼状要素は、それぞれの場合において上側翼状要素のみを有する翼端装置と比較して翼幅の増加をもたらす。
【0072】
先の第1〜第5の実施形態において説明された翼端装置は、翼端装置を有さない翼を有する航空機の場合でも、現有の翼端装置を取り換えるような場合でも、航空機の翼の外側端部に、取付けられるか又は交換取付される。更に、下側翼状要素は、本発明に係る翼端装置を形成するように、上側翼状要素のみを有する現有の翼端装置に対する追加取付による改修として提供されても良い。
【0073】
本発明は1又は複数の好適な実施形態を参照して記述されたが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱しないで、種々の変形又は修正がなされると解される。
【符号の説明】
【0074】
1、101、201、301、401、501……翼
2…………………………………………………………翼根
3、103、203、303、403、503……翼の外側端部
4、104、204、304、404、504……外側ウィングレット
5、105、205、305、405、506……最大翼幅
107、207、307、407、507…………下側ウィングレット
108、208、308、408、508…………翼面
109,209.309,409,509…………上側ウィングレット先端部
110、210、310、410、510…………上側ウィングレット根部
111、211、311、411、511…………下側ウィングレット先端部
112、212、312、412、512…………下側ウィングレット根部
314,414……………………………………上側ウィングレットの平面部
315、415……………………………………上側ウィングレットの遷移部
416、516……………………………………上側ウィングレットの後縁部
417、517……………………………………下側ウィングレットの後縁部
418、518……………………………………上側ウィングレットの前縁部
419、519……………………………………下側ウィングレットの前縁部