特許第5919289号(P5919289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919289
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】清掃用具用抗菌性ホルダ
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/23 20060101AFI20160428BHJP
   A47L 13/16 20060101ALI20160428BHJP
   A47L 13/51 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   A61L2/23
   A47L13/16 A
   A47L13/16 B
   A47L13/51
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-536603(P2013-536603)
(86)(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公表番号】特表2014-502173(P2014-502173A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】US2011001817
(87)【国際公開番号】WO2012057832
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年9月22日
(31)【優先権主張番号】12/913,009
(32)【優先日】2010年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500106743
【氏名又は名称】エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サワルスキ,マイケル,エム.
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05887769(US,A)
【文献】 実開平06−027571(JP,U)
【文献】 特開平10−028665(JP,A)
【文献】 特開2004−305684(JP,A)
【文献】 特開2003−190068(JP,A)
【文献】 特開2010−106521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
A47L 13/00−13/62
B65D 6/00−13/02
B65D 1/00− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃用具に接触する清掃用具ホルダで、
圧縮された抗菌性化学物質で構成される上部分を有し、前記上部分の表面上に湿った清掃用具が接触して配置されて、少なくとも前記抗菌性化学物質のうち何らかの物質が前記表面から前記清掃用具へと移されることができるように構成されて、前記清掃用具上で起こる細菌の増殖の妨害を促進することを特徴とする清掃用具ホルダ。
【請求項2】
前記ホルダが、皿ないし盆の形状であることを特徴とする請求項1に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項3】
前記圧縮された抗菌性化学物質は、塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項4】
前記ホルダは、さらに下部トレイ部を含むことを特徴とする請求項1に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項5】
前記ホルダの上部分が、香料をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項6】
前記ホルダが、複数の外壁及び内部空間を有する容器の形状であることを特徴とする請求項1に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項7】
前記内部空間は、抗菌性化学物質を含有する複数の壁を有することを特徴とする請求項6に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項8】
前記ホルダが、複式型流し用シンクの仕切り部の上に据え付けるに適しているサドルの形状であることを特徴とする請求項6に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項9】
前記ホルダが、少なくとも一部が圧力をかけて圧縮されている固形の塩化ナトリウムで成形されることを特徴とする請求項1に記載の清掃用具ホルダ。
【請求項10】
前記清掃用具は、スポンジ、ディッシュラグ及びふきんから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の清掃用具ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の参照
該当なし。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし。
【背景技術】
【0003】
本発明は、使用している各種台所スポンジ、ディッシュラグ(dish rag)ならびにその他各種の清掃用具用ホルダ類に関する。特に、本発明は、前記清掃用具類と接触して抗菌性化学物質を前記清掃用具類に転移させるホルダ類に関する。
【0004】
台所スポンジ、ディッシュラグ、便器用ブラシならびにその他各種清掃用具は、使用した際、通常は濡れており、なおかつ、汚れならびに雑菌類にさらされる。このような各種清掃用具の多くは、再利用可能である。例えば、従来の合成スポンジないし天然スポンジを使って調理台の表面を拭いた後は通常、スポンジをすすいで絞り、そのあと、スポンジが次回必要となるまでずっと、皿またはその他のものの上に置いておく。ディッシュラグは、調理台をきれいにするよりも皿をきれいにするほうが多いが、同様に使用されることが考えられる。
【0005】
しかしながら、このように濡れているスポンジ/タオル/布きれは、使用の合間に細菌の増殖を助長する可能性があり、その結果、望ましくない悪臭が発生したり、見た目が悪くなったりする。したがって、このような清掃用具を、保管する前にさらに清潔にしようと試みられてきた。本来の使用が終わると、スポンジ/タオル/布きれをさらにゆすいで絞ることが試みられた。しかしながら、これだと望ましくない余計な時間がかかり、そのうえ、使用の合間の細菌の増殖をなおも防止できない可能性がある。
【0006】
また、使用の合間に、または使用の合間の通常の保管期間の少なくとも一部において、清掃用具を抗菌性の溶液に浸すことが試みられてきた。これは、使用の合間に清掃用具上で細菌が増殖するのを実際に抑制するが、本来の使用後、清掃用具を単に片付けるのではなく、使用者が抗菌性溶液の槽をつくって使うことが必須となる。
【0007】
さらに、清掃用具に細菌の増殖を抑える化学物質をあらかじめ染み込ませることも試みられてきた。しかしながら、細菌の増殖を抑えるこの化学物質は、清掃用具が使用されるにあたり、ただでさえ限られる表面ならびに環境を限定することが考えられる。そのうえ、そのような用具類を使用する際、さらにすすいでしまうと、時間が経つにつれて抗菌作用が弱まる虞がある。
【0008】
スポンジ、ディッシュラグなどは、使用の合間は、水切り用ラックに入れて保管することがよくある。このようなラックは、水分が滴り落ちて清掃用具類から除かれたり、或いは少なくともそこからより簡単に蒸発するように設計されており、それにより清掃用具が乾くのを促進させる。しかしながら、これでもなお、細菌の増殖が起こる可能性がいささか残りかねない。
【0009】
使用の合間に清掃用具類を保管するための石鹸入れに似た物を成形することも試みられており、その場合、石鹸入れに似た物は、吸湿性の高い物質を原料としている。このような入れ物は、清掃用具から液体を吸い取るよう設計されている。例えば、米国特許第750833号、第1659644号、第1756713号ならびに第5938162号を参照のこと。しかしながら、これでもなお、清掃用具は、好ましくない細菌の増殖が起こってしまうのに十分なほど湿ったままである。そのうえ、入れ物そのものが、細菌の増殖が起こりうる別の表面をもたらしかねない。
【0010】
したがって、清掃用具類で細菌の増殖発生率を低減させるような、湿った清掃用具を使用の合間に保管するための手段を改良する必要性がいまなお残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、清掃用具用の抗菌ホルダを提供するものである。本発明のホルダは、使用の合間の湿った清掃用具に接触する表面を少なくとも一つ有する。例えば、ホルダは、皿ないし盆(coater)の形をした無蓋の構造をしていてもよい。使用している間に通常湿っていく濡れたスポンジ、ディッシュラグ、ふきんまたは類似の清掃用具は、使用の合間にホルダの上面に置かれ、保管されることができる。ホルダの構造は、このようになっているため、前述の湿った清掃用具がその上に配置されると、ホルダから出た抗菌性化学物質が自発的にある程度溶解し、清掃用具の外側表面上に染み出す。そのため、細菌の増殖が清掃用具の表面上で抑制される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
好適な実施形態では:
(a)本発明のホルダは、皿ないし盆の形状であり、または複数の外壁ならびに内部空間を一つ有する容器の形である。
【0013】
(b)ホルダが皿ないし盆の形の場合は、圧縮された抗菌性化学物質、例えば、塩化ナトリウムを原料に成形された上部を有してもよい。或いは、ホルダ全体が前述の物質を原料にしてつくられてもよい。塩化ナトリウムは、効果の高い抗菌物質というだけでなく、きわめて低価格で手に入り、食べ物のある環境において安全であるため、きわめて好適である。その他の各種抗菌物質には、例えば、蜂蜜および/または精油類(例えば、ティーツリーオイル)も含まれてもよい。
【0014】
(c)本発明のホルダは、下部トレイ部(例えば、プラスチック製ないしセラミック製)を有してもよく、前述の上部が調理台、シンク、またはその他の支持面と接触するのを防ぐ。
【0015】
(d)本発明のホルダの上部は、その他の各種化学物質も含んでもよく、化学物質には例えば、香料(例えば、パインオイル、シトラスオイル、ライムオイル)、または界面活性剤(例えば、Glucopan425N)が挙げられ、次回使用するときに備えて清掃用具をあらかじめ含浸させる。
【0016】
(e)本発明のホルダは、複数の外壁と、前述の抗菌性化学物質で成形される複数の壁(または抗菌性化学物質で被膜される複数の壁)を有する内部空間一つとを有してもよい。
【0017】
(f)本発明のホルダは、複式型流し用シンク(multi-basin sink)の仕切り部の上に据え付けるに適したサドルの形状であってもよい。
【0018】
抗菌性化学物質の特に好適な一形態は、少量(3%未満)の水ないしその他の各種液体と混合している、塩化ナトリウム製のホルダの複数の接触部を成形することである。前述の物質は、好適に圧縮されて/圧力を加えられて成型され、所望の形状(例えば、厚板、皿、矩形のカップライナ(cup liner))に成形される。
【0019】
前述の一製法であれば、塩化ナトリウム90%、糖8%及び水2%となる。前述の別の製法であれば、塩化ナトリウム98%及び水2%となる。さらに別の製法であれば、塩化ナトリウム95%及び「清潔なリネン」の香りがする香料5%となる。さらに別の製法であれば、塩化ナトリウム90%及びGlucopan425N界面活性剤10%となる。
【0020】
本発明においては、清掃用部品を保管位置に配置させるほかには、消費者がいかなる余計な手順を実行する必要もなく、スポンジ、ディッシュラグ及びその他のものの耐用寿命が延びる可能性があることが認められることだろう。消費者は、ただ(例えば、石鹸入れの形をした物の上に)清掃用具を置くだけで、所望の抗菌作用を自動的に達成する。
【0021】
もし便器用ブラシ、スポンジ及びにその他のものにおける複数の面を同時に扱うことが所望されれば、その清掃用具を殺菌用の収納容器の中に、収納容器の壁が清掃用具の複数の面に接触するように押し込むことができる。通常の使用の合間の保管期間で、塩が十分清掃用具の表面に移って、表面を残らず殺菌することができる。
【0022】
便器ブラシに合わせて、先の細くなった円筒形ホルダが好適に成形されてもよい。そうすれば、使用の合間に、ブラシの毛は、周囲の塩壁と強制的にしっかり接触する。
【0023】
いずれの保管サイクルにおいても、清掃用具に移る塩の量はきわめて少量であるため、用具を使っても、目に見えるような塩の残留物類で表面を被膜する可能性は低い。いずれにしても、通常の台所の表面は、塩類溶液によって悪影響を受けず、なおかつ、消費者は、再度使う前にそのような用具をぬらして絞り出すことが多いだろう。
【0024】
また、そのようなホルダ類の製造費用はきわめて低く、スポンジなどを早まって捨てることに比べれば、そのようなホルダ類を使用することは実用的となる。
【0025】
本発明の以上に述べた利点およびその他の利点は、以下の説明で明らかとなるであろう。以下の説明では、本発明の限定されない好適な実施形態を図示している添付図面を参照する。これらの実施形態は、本発明の全範囲を示すものではなく、本発明の範囲を解釈するためには、添付の請求範囲を参照するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】保護用の表面の上に据え付けされている本発明の皿状のホルダを示す斜視図である。
図2】使ったスポンジを、使用の合間に前記ホルダ上に配置した断面図である。
図3】本発明のサドルの形が、組み立て前はどのようになっていてシンク仕切り部の上にどのように据え付けされるかを示す概略斜視図である、
図4】本発明の盆状のホルダを示す図面である。
図5】本発明におけるトイレ用ブラシホルダの構造がいかにして組み立てられ使用されることができるかを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
はじめに図1を参照すると、本発明の清掃用具ホルダ10が示される。ホルダの上部層11は、圧縮された塩化ナトリウムを原料としている。ホルダの下部層12は、調理台及びホルダが上に置かれるその他の表面13がホルダ10からの塩で被膜されないよう保護するように設計される。下部層12は、プラスチック、セラミック、ガラス、またはその他の物質を原料に成形されてもよい。或いはその代わりに、下部層12は取り除かれてもよい。
【0028】
図2に示すとおり、使われたばかりの湿ったスポンジ15が、上部層11の接触面14上に配置され、なおかつ使用の合間はそこに置かれたままにされる。この接触面は、何らかの固体の抗菌性化学物質で構成される。塩が吸着するのを促進するために、何らかの湿潤媒体(例えば、水)が使われる。湿潤媒体の量、抗菌物質とともに使用されるその他の各種物質の量、加圧時間及びその他の各種関連するパラメータは、湿った清掃用具にそれぞれの接触から転移される抗菌性化学物質の量を微調整することができる。
【0029】
上部層11は、水分をスポンジ15から単に吸収するだけではないことに注意されたい。正確には、上部層11は、清掃用部品により供される液体にゆっくりと溶解して、そのあとに抗菌性化学物質の溶液を送り届けるよう作られ成形されている。
【0030】
一例においては、接触層を成形するために、290グラムの塩化ナトリウムに15mlの蒸留水が加えられてもよい。この固体混合物は切削加工機と36トンプレスとの複合加工機を使って圧縮されてもよい。この前駆体は、およそ30秒間圧力をかけられてもよく、そのあと加工機から取り外される。そうすると十分安定した固体となり、支持トレイに移すことができる。
【0031】
塩は、特に好適な殺菌剤であり、なおかつ、家庭で使われる硬質表面の大半を損なうことはない。塩には、広範囲の細菌に対して確固たる効果があり、なおかつ、通常は食品のまわりに置いても安全であると認められている。いくつか応用として、塩には、香料ないしその他の各種所望の転移可能な化学物質が追加されることができる。例えば、ある程度のリモネン(オレンジオイル)が塩に加えられてもよい。
【0032】
図3に示すとおり、ホルダは、或いは、サドル形状の塩製レフィル20が上に配置されたプラスチックサドル19を構成することができる。レフィルの下部端部21は、サドルに沿った凹型ポケット部22にリセットすることができる。ホルダは、使用の合間にスポンジないし布きれを表面25の上に配置した状態で従来のシンク24の仕切り部23に据え付けされことができる。
【0033】
図4は、本発明における別の実施形態を示している。ここでは、ホルダは、盆の形状である。圧縮された塩製の上部層41及びプラスチック製の保護トレイ42がある。ここでは便宜上、上下層は、外見上形状が適合している。
【0034】
図5は、中に圧縮された塩製の円錐体51を配置する別のホルダ50を示している。使用の合間に、トイレ用ブラシ52は、保管処理のために円錐体51の中に押し込まれる。この円錐体は、ブラシの底部はもとより、周囲を囲む各側面部も同時に処理する。
【0035】
同様の構想は、スポンジの複数の面を同時に処理するために用いられることもできる。例えば、本発明のホルダは、トースターの形をした外形を有し、差し込み用矩形のポケット部にスポンジを受けてもよい。
【0036】
そのため、本発明における各構想は、その他の各種形状の清掃用具に用いられることができる。各事例では、本発明のホルダは、安置に適し、かつ処置場所に適した大きさで作られるだろう。したがって、本発明における好適な各実施例が前述されているが、当然のことながら、その他の各種多様な実施例で本発明が用いられることができるということは明らかである。本発明の精神及びその範囲を逸脱しない限り、他の変更が為されてもよい。そのため、(好ましい実施形態よりはむしろ)特許請求の範囲を発明の全範囲を理解するために検証すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、スポンジといった清掃用具を、使用の合間に抗菌性化学物質で処理する改良型ホルダを開示する。
図1
図2
図3
図4
図5