特許第5919290号(P5919290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5919290圧縮性かつ高粘性の多糖およびポリオールの粉末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919290
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】圧縮性かつ高粘性の多糖およびポリオールの粉末
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20160428BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20160428BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160428BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20160428BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20160428BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20160428BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20160428BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20160428BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20160428BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20160428BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20160428BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   C08J3/12 ZCEP
   A61K9/20
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61K47/10
   A61K47/26
   A61K8/02
   A61K8/73
   A61K8/60
   A61K8/34
   C08L1/00
   C08K5/06
   A23L1/00 F
   A23L1/00 D
   A23L1/30 Z
   A01N31/02
   A01P3/00
   A01N25/10
   C11D7/22
   C11D7/26
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-537186(P2013-537186)
(86)(22)【出願日】2011年11月2日
(65)【公表番号】特表2014-504305(P2014-504305A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】FR2011052559
(87)【国際公開番号】WO2012059689
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年10月16日
(31)【優先権主張番号】1059024
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】バティストゥ ボワ
(72)【発明者】
【氏名】ファブリク ブーケ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ル ビアン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ルフェーヴル
【審査官】 中尾 奈穂子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−199457(JP,A)
【文献】 特表2009−520681(JP,A)
【文献】 特表2011−530529(JP,A)
【文献】 特表2011−526612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00− 3/28
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/33− 33/44
A61K 47/00− 47/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温可溶性多糖およびポリオールの粉末であって、該多糖および該ポリオールがそれらの間に物理的結合を有し、該多糖が粒子形態にあり、かつ該ポリオールが主として結晶形態にある粉末と、少なくとも一種の活性成分と、を含んでなる錠剤
【請求項2】
前記ポリオール/多糖比が、95/5以上30/70以下である請求項1に記載の錠剤
【請求項3】
前記ポリオールが、マンニトール、ソルビトール、イソマルト、およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の錠剤
【請求項4】
前記多糖が、アルファ化澱粉、化学修飾セルロース誘導体、ヘミセルロース、植物由来の多糖、藻類由来または微生物由来の多糖、これらの多糖の誘導体、およびこれらの混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の錠剤
【請求項5】
前記多糖が、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、天然または化学修飾アルファ化澱粉、寒天、カラゲナン、アルギン酸およびそれらの塩、キサンタンガム、プルラン、これら多糖の誘導体、およびこれらの混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の錠剤
【請求項6】
前記粉末が、50μm以上500μm以下の粒径D4,3を有する請求項1に記載の錠剤
【請求項7】
前記粉末が、試験Aにより評価して、100mPa.s−1以上10000mPa.s−1以下の水中粘度を有する請求項1に記載の錠剤
【請求項8】
前記粉末が、試験Bにより測定して、3秒以上15秒以下の流動時間を有する請求項1に記載の錠剤
【請求項9】
前記粉末が、試験Cにより測定して、5%以上45%以下の圧縮性を有する請求項1に記載の錠剤
【請求項10】
前記粉末が、試験Dにより、5kN以上50kN以下の圧縮力で100±10Nの硬度を有する錠剤を得ることを可能にする請求項1に記載の錠剤
【請求項11】
粒子形態にある低温可溶性多糖上にポリオールシロップをスプレーすることと、同時に該ポリオールシロップを乾燥させること、
とを含んでなるテクスチャー加工工程を含み、
更に、得られた粉末を圧縮して錠剤を調製する工程を含む請求項1に記載の錠剤を調製する方法。
【請求項12】
前記テクスチャー加工工程が、粉末フラクションの再循環も含んでなる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記テクスチャー加工工程が、スプレー−乾燥タワー内で実施される請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記テクスチャー加工工程が、流動エア床造粒機内で実施される請求項11に記載の方法。
【請求項15】
試験Eにより、1時間後に、前記活性成分の80重量%未満が放出される請求項に記載の錠剤
【請求項16】
試験Eにより、6時間後に、前記活性成分の80重量%未満が放出される請求項に記載の錠剤
【請求項17】
食物、医薬品、機能性食品、獣医学、植物衛生、化粧品、殺菌剤および洗浄剤の分野における請求項に記載の錠剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中で高粘性であり、直接圧縮に好適な、低温可溶性の多糖およびポリオールの粉末に関する。本発明はまた、前記粉末を調製する方法、およびその使用に関するものであり、粉末は特に活性成分の放出が制御された固体形態を調製するためのものであることが意図されている。
【背景技術】
【0002】
薬剤および機能性食品の賦形剤の分野において、放出制御基質としても知られている放出制御基質組成物は、長時間にわたり一定かつ均一な血漿中濃度において活性成分の有効量を投与することを可能にする。したがって、放出制御基質は、治療を最適化すると同時に、錠剤の服用頻度を減らし、活性成分の血漿中最高値を低下させ、その結果、有害作用の可能性を低下させ得るため、患者にとって特に有利である。
【0003】
ここ数年に亘り、放出制御親水性基質は、広く開発されている。このタイプの基質組成物において、活性成分は固体親水性基質中に分散されている。基質外への活性成分の放出は、生物体液と前記基質との接触により実行される。より具体的に述べると、生物体液は基質を通って移動して前記基質を膨潤させ、活性成分を可溶化させ、次いで活性成分は水和した基質の網状構造を通じて拡散する。基質中に活性成分が徐々に拡散することで、放出の流れが調整される。
【0004】
活性成分の放出制御に使用できる経口形態の中で、直接圧縮により得ることのできる錠剤は、薬剤技術的な観点から製造が簡便であり、またそれらの放出特性を容易に調整できるため、製薬業界に大きな関心がもたれている。
【0005】
室温で水に可溶な多くのポリマー類(低温可溶性ポリマー類)が放出制御親水性基質として提案されている。これらの剤形において最も広く用いられているポリマー類の中でも、アクリル酸ならびにメタクリル酸の合成ポリマー類およびコポリマー類、ならびに、特に植物ゴム類由来のガラクトマンナン類、ヒドロキシメチルセルロース(HPMC)およびアルファ化澱粉類などのセルロース誘導体などの低温可溶性多糖類が広く挙げられる。
【0006】
これらの多糖類は、水中で高粘性であるということが共通している。この高粘性により、それらを粉末形態で得ることを複雑にする。さらに、それらはきわめて大きな分子であるため、結晶化が制限され、主に非晶質であり弾性で一般に外見が繊維状である粉末が生じ、そのことから粉砕が困難になる。したがって、正確な物理的特性を有する多糖類の粉末を得ることが複雑になる。その結果、これらの多糖類粉末は、流動し難く、あまり圧縮性がないため錠剤製造に使用することを困難となる。
【0007】
低温可溶性多糖類の工業的使用時に遭遇する技術的問題の例として、アルファ化澱粉の特定例を挙げることができる。この多糖は、高純度かつ低コストで大規模生産できるため、放出制御基質用の賦形剤として、最も魅力的なバイオポリマー類の一つである。さらに澱粉は生体適合性であり、生物分解性であり、非毒性であるため、機能性食品を目的として使用することもできる。それはまた、水中で高膨潤能を有する。さらに澱粉は、充填剤、結合剤または希釈剤として使用できるという利点がある。しかしながら、その高粘性と小さな粒子サイズのため、流動性はきわめて悪い。澱粉の高弾性により圧縮性は低く、錠剤を直接圧縮により製造することができない。したがって、アルファ化澱粉は通常少量で用いられる。
【0008】
この状況に対応するために、当業者にはアルファ化澱粉を利用することが知られており、その製造方法の一工程は、有機溶媒中での沈殿からなる。得られたアルファ化澱粉は、アルファ化澱粉の公知の利点、すなわち、特に放出制御親水性基質の特性を有するのみならず、易圧縮性でもあるので、直接圧縮による錠剤製造が可能である。
【0009】
残念ながら、これらの技法には大量の有機溶媒の使用が必要であり、このためそれらの工業化の実施は特に困難となっている。
【0010】
さらに、有機溶媒が大気中に分散することを防ぐために、それらを回収することが必要である。
【0011】
最後に、最終産物中に微量の毒性溶媒が残留する可能性がある。
【0012】
言い換えると、これらの組成物の調製は、特に大量の有機溶媒を使用する必要性や克服すべき多数の技術的制約のために、環境上のコストかつ経済的コストが特に高くなる。
【0013】
賦形剤の流動特性、特に低温可溶性多糖類の流動特性を改善するために、それらを他の賦形剤と合わせること、および/または顆粒化、一段階もしくは多段階のスプレー乾燥、カプセル化、凝集化などの特定の技法を用いてテクスチャー加工することが、当業者に知られている。
【0014】
錠剤の調製に関して最も一般的に見られる賦形剤の中でも、特に乳糖、蔗糖、ブドウ糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトールおよびイソマルトを挙げることができる。
【0015】
マンニトールは、結晶形態の低吸湿性のため、優れた賦形剤を構成することができる。さらに、マンニトールは、可溶性賦形剤の中でも、活性成分に対して化学的にきわめて不活性であるため、薬剤の固体形態に対して最も大きな安定性を与えるものである。
【0016】
本出願人は過去に、仏国特許出願第08.54584号明細書において、マンニトールの顆粒および顆粒状澱粉の顆粒を提案した。これらはスプレー乾燥で得られ、特に直接圧縮により著しい硬度を有するオロチン酸分散性錠剤を調製し得るという特徴がある。
【0017】
残念ながら、放出制御基質の特定分野においては、水中で不溶性である顆粒状澱粉ではなく、水性媒体中で高粘性である低温可溶性多糖をテクスチャー加工することに問題がある。
【0018】
実際、低温可溶性多糖類または可溶性多糖類を含有する組成物、特にアルファ化澱粉は、澱粉がこのように低温で膨潤した粘性状態で存在している場合、スプレー乾燥によってはテクスチャー加工できないことが、当業者に知られている(特に、米国特許第4,156,020号明細書に示される通り)。実際、低温可溶性産物の脱水では、蒸気噴射を用いたとしてもテクスチャー加工できない粘性の塊が生じる。
【0019】
国際公開第2010/017358号パンフレットには、低温可溶性多糖(特にグアーガムまたはイヌリン)を、前記多糖とマンニトールとの懸濁液/溶液を調製することにより、スプレー乾燥することが提案されている。国際公開第2010/017358号パンフレットの所有者の言によると、多糖の懸濁液/溶液にマンニトールを添加することにより、前記溶液の粘性を低下させることができ、その後スプレー乾燥することができる。しかしながら、この技法にはいくつか欠点がある。特に、低濃度の産物を含有する懸濁液/溶液(多糖の0.25重量%から1.0重量%、多糖/マンニトール比が1/05から1/10の懸濁液/溶液)のみがスプレー乾燥できることから、テクスチャー加工前に多糖の強い水和作用が生じ、前記多糖の乾燥が困難になる。さらに、得られた最終産物は、球状、粒子形態にある多糖の消失、および直接圧縮には不適な小さな粒径(1μm以上20μm以下)を示し、この技法では、40μm未満、理想的には、全粉末の5(重量/重量)%未満の最低粒子可能含有量が課される。さらに、最終産物それ自体では、直接圧縮により得ることのできる錠剤を製造することができない。圧縮性にするためには、組成物に大量の微結晶性セルロースを加えることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記の全てから、それ自体で、放出制御親水性基質の工業的製造と直接圧縮により得ることのできる錠剤の工業的製造との双方に好適な特徴がある製品に対する必要性が満たされていないことは明らかであり、一般にこれらの特徴は両立しない。
【0021】
したがって、出願人は、長年にわたり続いていた技術的先入観に逆らうことにより、上記の流動学的特徴を両立させることに成功した。
【0022】
したがって、本発明の第一の目的は、放出制御親水性基質の工業的製造と直接圧縮による錠剤の工業的製造との双方に好適な特徴をそれ自体で有する製品を提供することである。
【0023】
本発明の第二の目的は、その組成物が、バッチ毎にあまり変化することなく長時間安定のままである放出制御基質を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、容易に調製できる生体適合性、生分解性かつ非毒性の放出制御基質を提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、経済的な面でも環境の面でも、その製造が低コストである放出制御基質を提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、きわめて良好な流動性を有し、したがって錠剤圧縮機上での固体形態の高率製造に好適な粉末状組成物の製造にある。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、本発明による粉末が固体形態の工業において従来見られた偏析問題を引き起こさないことから、高均一性の組成を示す錠剤の製造にある。
【0028】
最後に、本発明の別の目的は、任意の低温可溶性多糖、特に、室温での水中で高粘性を示す任意の多糖に好適な粉末を調製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の主題は、低温可溶性多糖およびポリオールの粉末であり、多糖およびポリオールは、両者間に物理的結合を示し、多糖は特に粒子形態にあり、ポリオールは主に結晶形態にある。
【0030】
本発明はまた、
− 粒子形態にある低温可溶性多糖上にポリオールシロップをスプレーすることと、同時に
− 前記ポリオールシロップを乾燥させることと
を含んでなるテクスチャー加工工程を含んでなることを特徴とする、本発明による、粉末を調製する方法に関する。
【0031】
最後に本発明の一主題は、本発明による粉末を含んでなる固体形態、および活性成分の放出制御へのそれらの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明ならびに本発明外による種々の粉末を用いた活性成分(テオフィリン)の放出制御曲線を示す図である。
図2図2〜5は、本発明による4種の粉末を、走査顕微鏡により種々の倍率で作製した観察写真を表す図である。
図3図2〜5は、本発明による4種の粉末を、走査顕微鏡により種々の倍率で作製した観察写真を表す図である。
図4図2〜5は、本発明による4種の粉末を、走査顕微鏡により種々の倍率で作製した観察写真を表す図である。
図5図2〜5は、本発明による4種の粉末を、走査顕微鏡により種々の倍率で作製した観察写真を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は第一に、低温可溶性多糖およびポリオールの粉末に関する。本発明によれば、粉末の、粒子形態にある多糖と主に結晶形態にあるポリオールとは、両者間に物理的結合を有する。
【0034】
本発明において、用語「低温可溶性多糖」とは、O−グリコシド結合を介して互いに結合したいくつかの単糖類からなるポリマーであって、前記多糖の少なくとも90重量%が20℃±2℃での水中で可溶性であるポリマーを意味するように意図されている。20℃におけるこのような可溶性により、約37℃の人の体温で多糖が確実に可溶性であることを可能にする。可溶性多糖類の中でも、例えば、
− ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの化学修飾されたセルロース誘導体、
− 天然または修飾ヘミセルロース類、
− 天然または化学修飾アルファ化澱粉、
− ペクチン類、グアーガム、コンニャクゴム、ステルクリアゴム、ローカストビーンゴムまたはアラビアゴムなどの植物由来の多糖類、
− 寒天、カラゲナン類、アルギン酸類、およびそれらの塩類など藻類由来の多糖類、
− キサンタンガムまたはプルランなどの微生物由来の多糖類、
およびまた上記多糖類の誘導体、ならびにそれらの混合物
を挙げることができる。
【0035】
したがって、本発明はまた、多糖およびポリオールの粉末に関するものであり、多糖は、アルファ化澱粉、化学修飾セルロース誘導体、ヘミセルロース類、植物由来の多糖類、藻類または微生物由来の多糖類、これらの多糖類の誘導体、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0036】
本発明の主題は、好ましくは多糖およびポリオールの粉末であり、多糖は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、天然または化学修飾されたアルファ化澱粉、寒天、カラゲナン、アルギン酸およびそれらの塩、キサンタンゴム、プルラン、これらの多糖類の誘導体、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0037】
本発明において、用語「粒子形態にある多糖」とは、粉末を形成する粒子が、10μm以上200μm以下、好ましくは、20μm以上150μm以下、さらに好ましくは、50μm以上100μm以下の容積平均直径D4,3を有する粉末の形態にある多糖を意味するように意図されている。多糖粒子はまた、水中で高粘性であり、特に、それらが乾燥物質(DM)の1重量%から5重量%の率で溶液中にある場合は200mPa.s−1超の粘度を有する。
【0038】
本発明において、用語「ポリオール」とは、マンニトール、ソルビトール、イソマルト、およびそれらの混合物よりなる群から選択される化合物を意味するように意図されている。
【0039】
本発明において、用語「物理的結合」とは、ポリオールと乾燥粒子形態にある多糖との凝集を意味するように意図されており、前記凝集は、多糖上に、または周囲にスプレーした前記ポリオールのシロップの乾燥(または脱水)から生じる。したがって、この乾燥により、多糖とポリオールとの間の接着または物理的結合が生じ、可溶化状態から、主に結晶状態または微結晶状態へと至る。用語「主に結晶(の)」または「主に結晶形態(の)」とは、本明細書において、DSC(示差走査熱量測定)により測定し、本発明による粉末中に存在するポリオールの重量に関して重量測定した(ポリオールの重量%)、粉末のポリオール融合のエンタルピー値(ΔHpowder)が、やはりDSCにより測定した、結晶ポリオール単独融合のエンタルピー値(ΔHpolyol alone)よりも少なくとも70%以上大きい、すなわち;
ΔHpowder>0.7×((ΔHpolyol alone)×(ポリオールの重量%/100))
であることを意味するように意図されている。
【0040】
したがって、本発明の粉末は、その提供形態により、またその結果として、その技術的な特徴により、多糖とポリオールが独立した、すなわち、非結合体の形態で存在する単純な物理的混合物とは異なっている。また、本発明の粉末は、その提供形態により、またその技術的な特徴により、多糖とポリオールが、両者間の化学的共有結合、例えば、水素結合を有する多糖の懸濁液/溶液およびポリオールの懸濁液/溶液を乾燥させることから生じる共凝集体とも異なっている。
【0041】
本発明による粉末は、粒子形態にある低温可溶性多糖上に、ポリオールシロップをスプレーすること、そして同時に前記ポリオールシロップを乾燥させることを含むテクスチャー加工工程を含んでなる方法によって得ることができる。
【0042】
このテクスチャー加工工程の間、粒子形態にある多糖は、連続様式で、またはバッチ様式で導入することができる。
【0043】
本発明において、用語「スプレー」とは、ノズルにより、またはタービンにより、ポリオールシロップを微細小滴へと分割することを意味するように意図されている。スプレーするために、ポリオールシロップは40℃以上120℃以下の温度に維持されるので、このような温度により、ポリオールを溶解状態に保つことが可能になる。また、ポリオールシロップは、15重量%以上95重量%以下の乾燥物(DM)含量を有する。
【0044】
テクスチャー加工工程は、粒子形態にある多糖の水和を防ぎ、かつポリオールシロップおよび/または多糖の固化を防ぐために、十分に迅速な乾燥を可能にする必要がある。
【0045】
本発明において、用語「乾燥」とは、いかなる手段であっても、スプレーされたポリオールシロップの脱水を意味するように意図されている。乾燥は、特に、対流、伝導または電波、特にマイクロ波または赤外波により実施することができる。本発明の好ましい様式によれば、乾燥は、40℃以上300℃以下の温度を有するエアによって実施される。
【0046】
テクスチャー加工工程は、スプレー乾燥塔または流動エア床式製粒機において実施できることが好ましい。
【0047】
本発明の方法の特定の一様式によれば、テクスチャー加工工程は、スプレー乾燥塔、例えば、高圧スプレー乾燥ノズルを備えたMSD(すなわち、多段階乾燥機)のスプレー乾燥塔において実施される。
【0048】
スプレー乾燥塔のスプレー乾燥チャンバは、主乾燥エア(上流エア)導入口を備えたスプレー領域(チャンバ上部)を含んでなる。スプレー乾燥チャンバはまた、チャンバ下部に、特定エア(静床エア)導入口を備えた静流動床を含んでなる。導入口エアの温度は、下記のように設定される、すなわち、
− 塔上部における上流エア:120℃以上240℃以下の温度
− 静床エア:40℃以上120℃以下の温度。
【0049】
スプレー乾燥チャンバは、多糖を導入するために、1つはチャンバ上部に配置され、1つはチャンバ下部に配置される2つの粉末注入箇所を含んでなることが好ましい。
【0050】
また、スプレー乾燥塔は、スプレー乾燥チャンバの出口エア流によって実施される微粒子(例えば、有利には、粒径が100μm未満の粒子)回収を可能にするサイクロンシステムを備えると有利である。したがって、本発明による方法の特定の一様式によれば、テクスチャー加工工程は、粉末フラクションの再循環も含んでなる。本明細書において、用語「粉末フラクション」とは、本発明による粉末の微粒子、および任意に、粉砕した、または粉砕していない本発明による粉末の一部の再循環を意味するように意図されている。
【0051】
MSDタイプのスプレー乾燥塔を使用する場合、再循環は、スプレー乾燥チャンバの上部または下部における粉末フラクションの注入によって実施することができる。
【0052】
本発明による方法の特定の一様式によれば、粉末は、テクスチャー加工工程後、任意の追加乾燥工程に供される。追加乾燥工程は、例えば、流動エア床において実施することができる。
【0053】
テクスチャー加工工程後、または任意選択的な追加乾燥工程後、粉末は冷却工程に供される。本発明による方法の好ましい一様式によれば、30℃未満の温度への冷却は、エア温度が15℃以上25℃以下である流動床上で実施される。
【0054】
任意選択的な追加乾燥工程と冷却工程とを、2つの領域(1つは乾燥工程に使用、もう1つは冷却工程に使用)からなる振動流動式エア床において組み合わせることができる。
【0055】
本発明による方法の特定の一様式によれば、粉末は、任意選択的な篩分工程に供される。前記篩分工程は、特に、1つまたは2つのクロスまたは篩によって実施される。したがって、微細すぎる、および/または粗すぎる粉末フラクションを除去することができる。さらに、篩分された不所望の粉末フラクションは、テクスチャー加工工程用に再循環(直接、または粉砕後に)することができる。
【0056】
したがって、本発明による方法により、低温可溶性多糖およびポリオールの粉末を得ることが可能になる。粒子形態にある前記粉末の多糖と主に結晶形態にあるポリオールとは互いに物理的に結合している。本発明による粉末のポリオール/多糖比は、95/5以上30/70以下、好ましくは、90/10以上40/60以下、さらに好ましくは、85/15以上50/50以下である。
【0057】
本発明による粉末の粒子は、不規則で実質的に非球形の形状(図2図5)を有する。本発明による前記粒子の内または表面では、粒子状態にある多糖は依然として明白に認識でき、ポリオールは主に結晶状態または微結晶状態で存在する(特に図5)。
【0058】
また、本発明による粉末は、50μm以上500μm以下、好ましくは、80μm以上300μm以下、さらに好ましくは、100μm以上250μm以下の粒径D4,3を有し得る。
【0059】
本発明において、粉末状製品の粒径は、技術マニュアルおよび施工者の明細書により、粉末分散モジュール(乾燥法)を備えた、Beckman−Coulter社製のLS13−320 LASER解析粒径分析装置において測定される。
【0060】
サブホッパースクリュー速度および分散シュートの振動強度の操作条件は、光学濃度が4%以上12%以下、理想的には8%になるように決定される。
【0061】
LS 13−320 LASER回折粒径分析装置の測定範囲は、0.04μmから2000μmである。結果は容量百分率として算出され、μmで表される。
【0062】
粒径分散曲線により、容積平均直径(相加平均)D4,3の値を判定することが可能になる。
【0063】
本発明による粉末は、後記の試験Aにより評価して、100mPa.s−1以上10000mPa.s−1以下、好ましくは、200mPa.s−1以上5000mPa.s−1以下、さらに好ましくは、400mPa.s−1以上1000mPa.s−1以下の水中粘度を有することが好ましい。
【0064】
試験Aは、
− 20±2℃において、90.0gの蒸留水に10.0gの被験サンプルを組み入れることにより、被験サンプルの懸濁液/溶液を調製すること;
− 懸濁液/溶液を1時間水和させ、攪拌によりそれを均一化すること;
− 施工者の指示および推奨に従い、Anton Paar社により販売された、直径5cm、角度1°の円錐板タイプの測定配置を備えたPhysica MCR301流量計を用いて、20℃±2℃における粘度を測定すること(rad.s−1での角速度により、5s−1に固定されたせん断傾度が与えられる)からなる。
【0065】
本発明による粉末は、試験Bにより測定して、3秒以上15秒以下、好ましくは、4秒以上12秒以下、さらに好ましくは、5秒以上10秒以下の流動時間を有することが好ましい。
【0066】
試験Bは、欧州薬局方により推奨された測定方法(EP 5.0第1巻、01/2005:20916、第2.9.1.6節:図2.9.16.−2による装置)に従って、100.0gの粉末の流動に必要な時間を測定することにある。
【0067】
さらに本発明による粉末は、特に欧州薬局方(EP5.1 第1巻、01/2005:20915、第2−9−15節;図面2−9−15−1による装置)により推奨される測定法に対応する試験Cに従って測定されるそのバルク密度とタップ密度により、またその圧縮性によっても有利に特徴づけられる。
【0068】
手短に言えば、試験Cは、直径35mmおよび高さ335mmを有する250mlのメスシリンダー内に100gの粉末を導入することにある。100gの粉末が入れられた容量をタッピング前に測定し(タッピング前の容量)、次に、例えば、Stampf体積計STAV 2003装置を用いて、先端部から底部へ2500回のタップ(3mm+/−0.2の投下)を与えた後に測定する(タッピング後の容量)。したがって、この装置により、標準化された、かつ再現性のある条件下、バルク密度とタップ密度を、そしてこれらのデータから以下の式に従って圧縮性を算出することによって、粉末の圧縮性を測定することが可能になる、すなわち、
バルク密度=100(g)/タッピング前の容量(ml)
タップ密度=100(g)/タッピング後の容量(ml)
圧縮性(%)=[(タップ密度-バルク密度)/バルク密度]×100
【0069】
本発明による粉末は、有利には以下の項目を有する、すなわち、
−バルク密度が、0.25g/ml以上0.65g/ml以下、好ましくは0.30g/ml以上0.60g/ml以下、さらにより好ましくは0.35g/ml以上0.55g/ml以下であり、
− タップ密度が、0.40g/ml以上0.80g/ml以下、好ましくは0.45g/ml以上0.75g/ml以下、さらにより好ましくは0.50g/ml以上0.70g/ml以下であり、
− 圧縮性が、5%以上45%以下、好ましくは10%以上40%以下、さらにより好ましくは12%以上35%以下である。
【0070】
本発明による粉末は、有利には、試験Dにより5kN以上50kN以下、好ましくは8kN以上40kN以下、さらにより好ましくは10kN以上25kN以下、またさらにより好ましくは9kN以上25kN以下の圧縮力で100±10Nの硬度を有する400±10mgの錠剤を得ることを可能にする。
【0071】
試験Dは、kNで表される圧縮力を測定することにあり、本試験は、Korsch社により販売され、直径が10mmのフラットパンチを備えたXL1タイプの実験室用往復動プレスを用い0.5%から2.0%のステアリン酸マグネシウムで潤滑にされた前記共凝集体から調製された100±10Nの硬度を有する錠剤を得るために必要とされる。Turbula T2Cタイプのエピサイクリックミキサー(Willy A. Bachofen AG Maschinenfabrik,CH−4005 Basel)内で粉末とステアリン酸マグネシウムとを5分間混合することにより、潤滑が施される。プレスを調整して、100N±10Nの硬度を有する400mg±10mgの錠剤を製造する。錠剤は、10mmnの直径を有する平坦な表面を有する円柱である。錠剤の硬度または破砕強度は、施工者の推奨によりErweka TBH 30 GMDタイプの硬度テスター上で測定される。
【0072】
本発明による粉末は、有利には特に錠剤またはカプセル剤などの固体形態の調製を可能にする。したがって本発明の主題はまた、本発明による粉末および少なくとも1種の活性成分を含んでなる固体形態である。本発明において、用語「活性成分」とは、固体形態に導入することができ、特に食物、医薬品、機能性食品、獣医学、植物衛生、化粧品、殺菌剤および洗浄剤の分野に適用できる任意の分子を意味することが意図されている。したがって本発明の主題はまた、上記分野における本発明による固体形態の使用である。
【0073】
本発明による固体形態は、有利には含有する活性成分の放出制御特性を有する。したがって、本発明の主題はまた、試験Eにより1時間後に、活性成分の80重量%未満、好ましくは60重量%未満、さらにより好ましくは40重量%未満が放出されることを特徴とする固体形態である。本発明による固形形態はまた、有利には、試験Eにより6時間後に、活性成分の80重量%未満、好ましくは60重量%未満、さらにより好ましくは50重量%未満が放出されることを特徴とする。
【0074】
試験Eは、以下にある、すなわち、
− Turbula T2Cタイプのエピサイクリックミキサー(Willy A.Bachofen AG Maschinenfabrik、CH−4005 Basel)内で、196.0mgの被験粉末と2.0mgのステアリン酸マグネシウム、2.0mgのシリカ(Aerosil 200)と200.0mgの活性成分(99重量%超の純度を持つ無水テオフィリン、Sigma社より販売)とを5分間混合すること、
− 直径が10mmのフラットパンチを備えたFette Exacta 21タイプ往復動プレスを用いて400±10mgの錠剤を調製すること。プレスを調整して、100N±10Nの硬度を有する400mg±10mgの錠剤を製造する。得られた錠剤は、10mmnの直径を有し、平滑な表面を有する円柱である。
− Sotax CY 7−50ピストンポンプとSotax C613フラクションコレクタとを備えたSotax AT7スマート溶出制御システム上で溶出試験を実施すること。溶出システムの構造はタイプ2であり;したがってパドルを備えている。溶出浴温度は37°Cであり、パドルスピードは、50回転/分である。溶出試験の第一段階は、pH1.2の塩酸食塩水500mlを含有する溶出浴中に錠剤を浸すことにある。この第一の段階の間に、溶出浴から6つのサンプル(15分;30分;45分;60分;90分;120分)を採取する。第二の段階は、pH6.8の緩衝液1Lを有するように500mlのリン酸緩衝液(NaOH+KHPO)を添加することからなり、リン酸緩衝液の前記添加は、120分のサンプルを採取した直後に実施する。第二の段階の間に、溶出浴から12のサンプル(2.5時間;3時間;3.5時間;4時間;5時間;6時間;7時間;8時間;9時間;10時間;11時間;12時間)を採取する。このように採取されたサンプル中に含有したテオフィリンは、272nmの波長における吸光度測定法により最終的に評価分析される。
【0075】
最後に、本発明の主題は、食物、医薬品、機能性食品、獣医学、植物衛生、化粧品、殺菌剤および洗浄剤の分野における本発明による固体形態の使用である。
【0076】
本発明は、以下の実施例およびそれに関連する図面によりさらに明確に理解されるが、それらのねらいは、非限定的かつ例示的であり、本発明による粉末の特定の実施形態および特定の有利な特性を述べることのみである。
【実施例】
【0077】
実施例1:本発明による粉末の調製
1.1 アルファ化澱粉およびマンニトールの粉末
約80kg/時間の水蒸発能力を有するNiro MSDスプレー−乾燥塔を用いて、低温可溶性のアルファ化澱粉およびポリオールの粉末を調製する。
【0078】
マンニトールの水性シロップ(乾燥物の40重量%、温度80°C)を、高圧ノズルスプレーシステム(SK6021)を用いてスプレー−乾燥チャンバ内において40バール(HP圧)でスプレーする。同時に、重量計量装置を介して、スプレー−乾燥チャンバの上部において、乾燥マンニトール/乾燥アルファ化澱粉の重量比が54/46(M/P比)で得られることを可能にする流速で、粉末状アルファ化澱粉(出願人により販売されるPREGEFLO(登録商標)CH10)を連続注入する。
【0079】
135°Cの上流エア温度(T°上流)、および77°Cの静エア床温度(T°SFB)を有するようにスプレー−乾燥塔温度を調整し,63°Cのスプレー−乾燥タワーの出口エア温度(T°出口)を得ることを可能にする。出口エアのサイクロンにより回収されたアルファ化澱粉とマンニトールの微粒子(または微粉)を、スプレー−乾燥チャンバの先端部(スプレー−乾燥チャンバの上部)で再注入する。
【0080】
スプレー−乾燥チャンバの出口で得られた粉末を、振動流動床上で20℃の温度に冷却する。次いで粉末を、500μmのメッシュサイズを有する篩で篩分し、500μm超の粒径を持つ粉末フラクションを除去する。このようにして回収された本発明によるアルファ化澱粉およびポリオールの粉末は、その後PREGEL−MAN1と称される。
【0081】
1.2 多糖およびポリオールの粉末
本法は、表1に記載されたパラメータおよび以下のとおり低温可溶性多糖の性質を変えながら上記のとおり実施される、すなわち、
− PREGEL−MAN 1および2=アジペート試剤、無水酢酸とアジピン酸の混合物で架橋され、ドラム乾燥機上でアルファ化され、出願人(PREGEFLO(登録商標)CH10,ROQUETTE FRERES)によって販売される蝋質トウモロコシ澱粉
− PREGEL−MAN 3および8=ドラム乾燥機上でアルファ化され、出願人(PREGEFLO(登録商標)P100, ROQUETTE FRERES)によって販売されるジャガイモ澱粉
− PREGEL−MAN 4および5=ドラム乾燥機上でアルファ化され、出願人(PREGEFLO(登録商標)C100バッチS0960,ROQUETTE FRERES)によって販売される蝋質トウモロコシ澱粉
− PREGEL−MAN 9および10=ドラム乾燥機上でアルファ化され、出願人(PREGEFLO(登録商標)C100バッチS0988, ROQUETTE FRERES)によって販売される蝋質トウモロコシ澱粉
− PREGEL−MAN 6=ドラム乾燥機上でアルファ化され、出願人(PREGEFLO(登録商標)M,ROQUETTE FRERES)によって販売されるトウモロコシ澱粉
− PREGEL−MAN 7=0.16以上0.21以下の置換度(DS)を有し、ドラム乾燥機上でアルファ化されたヒドロキシプロピル化エンドウマメ澱粉
− HPMC−MAN 1、2、3および4=AQUALON社(BENECEL(登録商標)K4M PH CR,IMCD)により販売されるHPMC
− CARRA−MAN 1および2=FMC BIOPOLYMER社(VISCARIN(登録商標)GP 209 NF,IMCD)により販売されるカラゲナン
− ALGI−MAN=FMC BIOPOLYMER社(PROTANAL(登録商標)LF 120M,IMCD)により販売されるアルギン酸塩。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例2:本発明による粉末の特徴と比較
先の例(表1)で記載された本発明による粉末は、以下の点によって特徴づけられる、すなわち、
− 秒数で測定され、試験Bにより評価された流動時間、
− g/mlで測定され、試験Cにより評価されたバルク密度とタップ密度、
− 試験Cにより%として評価された圧縮性、
− Pa/sで測定され、試験Aにより評価された粘度、
− μmで測定され、以前に記載されたBeckman−Coulter社製LS13−320 LASER回折粒径分析装置で測定された容積平均粒径D4,3。
【0084】
また、本発明による粉末の特徴を、下記の単離された多糖類の特徴と比較する(表2)、すなわち、
− PREGEL=アジペート試剤、無水酢酸とアジピン酸の混合物で架橋され、ドラム乾燥機上でアルファ化され、出願人(PREGEFLO(登録商標)CH10,ROQUETTE FRERES)によって販売される蝋質トウモロコシ澱粉
− HPMC=AQUALON 社(BENECEL(登録商標)K4M PH CR,IMCD)によって販売されるHPMC
− CARRA=FMC BIOPOLYMER社(VISCARIN(登録商標)GP209 NF,IMCD)により販売されるカラゲナン
− ALGI=FMC BIOPOLYMER社(PROTANAL(登録商標)LF 120 M,IMCD)により販売されるアルギン酸塩、
かつ、下記の多糖類/マンニトールの単純な物理混合物の特徴とも比較する、すなわち、
− PREGEL+MAN=マンニトール(PEARLITOL(登録商標)160C,ROQUETTE FRERES)と、アジペート試剤、無水酢酸およびアジピン酸の混合物で架橋され、ドラム乾燥機上でアルファ化され、出願人(PREGEFLO(登録商標)CH10,ROQUETTE FRERES)によって販売される蝋質トウモロコシ澱粉との物理的混合物(M/Pの重量比50/50)
− HPMC+MAN=マンニトール(PEARLITOL(登録商標)160C,ROQUETTE FRERES)と、AQUALON社(BENECEL(登録商標)K4M PH CR,IMCD)により販売されるHPMCとの物理的混合物(M/P重量比83/17)。
【0085】
【表2】
【0086】
単離して得られた多糖類または単純な物理的混合物と比較すると、本発明による粉末は、優れた流動性(15秒未満の流動時間)、より低い粘性およびより高い容積平均直径D4,3を示す。
【0087】
実施例3:本発明による粉末の圧縮性評価と比較
実施例1に記載されている本発明による粉末(表1)、単離された幾つかの多糖類の、および多糖/マンニトールの単純な物理的混合物を、試験Dにより圧縮性に関して特徴づけた(表3)。
【0088】
【表3】
【0089】
単離された多糖類および一定の多糖/マンニトールの物理的混合物に反して、本発明による粉末は、試験Dによって、25kN未満の圧縮力で100±10Nの硬度を有する錠剤を得ることを可能にする。
【0090】
実施例4:本発明による固体形態の溶出プロファイルと比較
本発明による固体形態、および単離された一定の多糖類から得られた固体形態と多糖/マンニトールの物理的混合物とから得られた固体形態における活性成分(テオフィリン)の放出制御の特性を、試験Eに従って評価した(図1)。
【0091】
本発明による固体形態は、1時間後にテオフィリンの80重量%未満のテオフィリン放出制御を示す。さらに、本発明による一定の固形形態はまた、有利には、6時間後にテオフィリンの60重量%未満のテオフィリン放出制御を示す。
【0092】
実施例5:本発明による粉末の走査型顕微鏡観察
本発明による粉末を、走査型顕微鏡、ESEM-FEI-Quanta FEG 200によって観察した。図2から図5は、これら観察の写真結果である。
図2:PREGEL−MAN 4(倍率:136倍)
図3:PREGEL−MAN 4(倍率:340倍)
図4:PREGEL−MAN 1(倍率:680倍)
図5:PREGEL−MAN 5(倍率:680倍)
図1
図2
図3
図4
図5