(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、GABA A α5受容体に対する親和性及び選択性を有するトリアゾール化合物、それらの製造、それらを含む医薬組成物並びに医薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、A、X、Y、u、v、R
1、R
2及びR
3は、以下及び請求項に記載するとおりである]で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0003】
主要な抑制性神経伝達物質、ガンマ−アミノ酪酸(GABA)の受容体は、2つの主なクラスに分けられる:(1)リガンド開口型イオンチャネルスーパーファミリーのメンバーである、GABA A受容体及び(2)Gタンパク連結型受容体ファミリーのメンバーである、GABA B受容体。膜結合型ヘテロ五量体タンパク質ポリマーであるGABA A受容体複合体は、主にα、β及びγサブユニットで構成されている。今のところ、GABA A受容体の全21個のサブユニットが、クローン化され、配列決定されている。サブユニットの3つのタイプ(α、β及びγ)は、哺乳類の脳細胞から得られる天然のGABA A受容体の生化学的、電気生理学的及び薬理学的機能を最も忠実に模倣する、組換え型GABA A受容体の作成に必要である。ベンゾジアゼピン結合部位が、αとγのサブユニットの間に存在するという有力な証拠がある。組換え型GABA A受容体のうち、α1β2γ2は、古典的なI型−ベンゾジアゼピン受容体(BzR)サブタイプの多くの作用を模倣するが、α2β2γ2、α3β2γ2及びα5β2γ2イオンチャネルは、II型BzRと称される(R.M. McKernan, P.J. Whiting, in Recombinant Cell Surface Receptors: Focal Point for Therapeutic Intervention, M.J. Browne (Ed.) (1997) Chapter 8:155-173, R.G. Landes Co., Austin, TX))。
【0004】
McNamara及びSkelton(Psychobiology (1993) 21:101−108)は、ベンゾジアゼピン受容体のインバースアゴニストであるβ−CCMが、モリス水迷路における空間学習を向上させることを明らかにしている。しかし、β−CCM及び他の従来のベンゾジアゼピン受容体インバースアゴニストは、痙攣促進性又は痙攣性であり、それがヒトにおける認知増強剤としてのこれらの使用の妨げとなっている。加えて、これらの化合物が、GABA A受容体サブユニット内では非選択性であるのに対し、GABA A α1及び/又はα2及び/又はα3受容体結合部位で比較的活性がないGABA A α5受容体の部分もしくは完全インバースアゴニストを用いると、痙攣促進活性が低いか又は痙攣促進活性がない状態で認知を増強するのに有用な医薬を提供することができる。また、GABA A α1及び/又はα2及び/又はα3受容体結合部位において活性がなくはないが、α5含有サブユニットに対して機能的に選択性であるGABA A α5インバースアゴニストを使用することも可能である。しかしながら、GABA A α5サブユニットに対して選択性であり、かつGABA A α1、α2及びα3受容体結合部位で比較的活性がないインバースアゴニストが、好ましい。
【0005】
GABA A α5サブユニットと中枢神経系の様々な疾患の処置との関連を確立する文献(Neuroscience Letts. (2005) 381:108-13, Neuropsychobiology (2001) 43(3):141-44, Amer. J. Med. Genetics (2004) 131B:51-9, Autism (2007) 11(2):135-47, Investigacion Clinica (2007) 48:529-41, Nature Neuroscience (2007) 10:411-13, Neuroscience Letts. (2008) 433: 22-7, Cell (2008) 135:549-60)が発表されている。
【0006】
本発明の目的は、式(I)で示される化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩、前記化合物の調製、それらを含有する医薬、並びにそれらの製造、そしてGABA A α5に関連する疾患の治療又は予防における、前記化合物の使用である。本発明の化合物は、好ましくはGABA A α5のインバースアゴニストである。
【0007】
本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、GABA A α5受容体に対する高い親和性及び選択性を有し、単独で又は他の薬剤と組み合わせて、向知性薬として、あるいは、急性及び/もしくは慢性神経障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症侯群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物中毒、運動障害、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥/多動性障害、神経障害性疼痛、脳卒中並びに注意障害の治療又は予防のために、使用することができる。
【0008】
特に断りのない限り、本明細書で使用するすべての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似しているか又は同等である任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料を以下に記載する。
【0009】
特に別の定義がない限り、本出願において使用する命名法は、IUPAC系統的命名法に基づく。
【0010】
特に異なる指示がない限り、本明細書中の構造における炭素、酸素、硫黄又は窒素原子上のあらゆる空原子価(open valency)は、水素の存在を示す。
【0011】
本明細書に記載される定義は、該用語が単独又は組み合わせのいずれで表わされているかに関係なく、適用される。本明細書に記載される定義は、後ろに付記することにより、例えば、「ヘテロシクロアルキル−アリール」、「ハロアルキル−ヘテロアリール」、「アリール−アルキル−ヘテロシクロアルキル」又は「アルコキシ−アルキル」のように、化学的に関連する組み合わせを形成すると考えられる。組み合わせの最後の構成要素は、逆順に、その組み合わせの他の構成要素で置換されているラジカルである。
【0012】
用語「場合による」又は「場合により」は、後に続いて記載される事象又は状況が起こってもよいが起こる必要もなく、そしてその記載が、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。
【0013】
用語「置換基」は、親分子上の水素原子を置き換えている、原子又は一群の原子を表す。
【0014】
用語「置換されている」は、特定された基が、1個以上の置換基を有することを表す。任意の基が複数の置換基を有してよく、そして様々な可能な置換基が提示される場合、それらの置換基は独立して選択され、同一である必要はない。用語「非置換の」は、特定された基が、置換基を有しないことを意味する。用語「場合により置換されている」は、特定された基が、非置換であるか、又は可能な置換基の群から独立に選択される1個以上の置換基で置換されていることを意味する。置換基の数を示す場合、用語「1個以上」は、1個の置換基から最大可能数の置換基、すなわち、置換基による1個の水素の置き換えから、すべての水素の置き換えまでを意味する。
【0015】
用語「この発明の化合物」及び「本発明の化合物」は、式(I)で示される化合物並びにその立体異性体、互変異性体、溶媒和物及び塩(例えば、薬学的に許容しうる塩)を指す。
【0016】
用語「薬学的に許容しうる塩」は、生物学的に又は他の面でも不適切ではない塩を表す。薬学的に許容しうる塩は、酸及び塩基付加塩を包含する。
【0017】
用語「薬学的に許容しうる酸付加塩」は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸のような無機酸で、また、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸クラス(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びサリチル酸)から選択される有機酸で形成される薬学的に許容しうる塩を表す。
【0018】
用語「薬学的に許容しうる塩基付加塩」は、有機又は無機塩基で形成される薬学的に許容しうる塩を表す。許容しうる無機塩基の例は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン及びアルミニウム塩を包含する。薬学的に許容しうる有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、そして塩基性イオン交換樹脂(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン及びポリアミン樹脂)の塩を包含する。
【0019】
用語「溶媒和物」は、結晶格子に組み込まれた、化学量論的又は非化学量論的量の溶媒を有する結晶形を意味する。組み込まれた溶媒が水であるなら、形成される溶媒和物は、水和物である。組み込まれた溶媒がアルコールの場合、形成される溶媒和物は、アルコラートである。
【0020】
用語「立体異性体」は、同一の分子結合性及び結合多重度を有するが、しかし空間におけるその原子の配列が異なる化合物を表わす。
【0021】
用語「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲン化物」は、本明細書において互換可能に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。本発明の特定のハロは、フルオロである。ハロの特定の例は、フルオロを包含する。
【0022】
用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子、特に1〜7個の炭素原子、より特には1〜4個の炭素原子の、一価の直鎖もしくは分岐鎖の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルを表す。アルキルの特定の例は、メチル及びイソプロピルを包含する。
【0023】
用語「アルコキシ」は、式−O−R'[式中、R'は、アルキル基である]の基を表す。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシを包含する。
【0024】
用語「ハロアルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個が、同一又は異なるハロゲン原子、特にフルオロ原子で置き換えられているアルキル基を表す。ハロアルキルの例は、モノフルオロ−、ジフルオロ−又はトリフルオロ−メチル、−エチル又は−プロピル、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、フルオロメチル又はトリフルオロメチルを包含する。用語「ペルハロアルキル」は、アルキル基のすべての水素原子が、同一もしくは異なるハロゲン原子で置き換えられている、アルキル基を表す。
【0025】
用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個が、ヒドロキシ基で置き換えられている、アルキル基を表す。ヒドロキシアルキルの例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル又は2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルを包含する。
【0026】
用語「シクロアルキル」は、3〜10個の環炭素原子の一価の飽和単環式又は二環式の炭化水素基、特に3〜8個の環炭素原子の一価の飽和単環式の炭化水素基を表す。二環式とは、共通する2個の炭素原子を有する2個の飽和炭素環からなること、すなわち、2個の環を区切る架橋が、単結合又は1もしくは2個の炭素原子の鎖のいずれかであることを意味する。特定のシクロアルキル基は単環式である。単環式のシクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。二環式シクロアルキルの例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル又はアダマンタニルである。
【0027】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、N、O及びSから選択される、1、2又は3個の環ヘテロ原子を含み、残る環原子が炭素である、4〜9個の環原子の、一価の飽和もしくは部分的に不飽和の、単環式もしくは二環式環系を表す。二環式とは、共通する2個の環原子を有する2個の環からなること、すなわち、2個の環を区切る架橋が、単結合又は1もしくは2個の環原子の鎖のいずれかであることを意味する。単環式の飽和ヘテロシクロアルキルの例は、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル又はオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、3−オキサ−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル又は3−チア−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分的に不飽和のヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−ピリジニル又はジヒドロピラニルである。ヘテロシクロアルキルの特定の例は、オキセタニル、1個のメチル、テトラヒドロピラニル及びモルホリニルで置換されているオキセタニルを包含する。
【0028】
用語「芳香族」は、文献、特にIUPAC−Compendium of Chemical Terminology, 2nd, A. D. McNaught & A. Wilkinson (Eds). Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997)において定義されているとおりの、芳香族性の従来の概念を表す。
【0029】
用語「アリール」は、6〜10個の炭素環原子を含む、一価の芳香族炭素環単環式もしくは二環式の環系を表す。アリール部分の例は、フェニル及びナチフルを包含する。アリールの特定の例は、フェニル及び1個のフルオロで置換されているフェニルを包含する。
【0030】
用語「アリールオキシ」は、式−O−R'[式中、R'は、アリールである]で示される基を表す。アリールオキシの例は、フェノキシである。
【0031】
用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含み、残る環原子が炭素である、5〜12個の環原子の一価の芳香族複素環の単環式又は二環式の環系を表す。ヘテロアリール部分の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル又はアクリジニルを包含する。ヘテロアリールの特定の例は、ピリジニルを包含する。
【0032】
用語「アルキレン」は、1〜7個の炭素原子の直鎖の飽和二価の炭化水素基又は3〜7個の炭素原子の二価の分岐鎖の飽和二価の炭化水素基を表す。アルキレン基の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、2―メチルプロピレン、ブチレン、2―エチルブチレン、ペンチレン、ヘキシレンを包含する。
【0033】
用語「医薬品有効成分」(又は「API」)は、特定の生物活性を有する医薬組成物中の本化合物を表す。
【0034】
用語「薬学的に許容しうる」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的にも、それ以外にも望ましくないものでなく、獣医学及びヒト用の薬学的用途に許容しうる、医薬組成物の調製に有用な物質の属性を表す。
【0035】
用語「薬学的に許容しうる賦形剤」は、医薬品の配合に使用される、治療活性を有さず、かつ非毒性である、任意の成分、例えば、崩壊剤、結合剤、充填剤、溶媒、緩衝剤、等張化剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤又は潤滑剤を表す。
【0036】
用語「医薬組成物」(又は「組成物」)は、それを必要とする哺乳類、例えば、ヒトに投与される、薬学的に許容しうる賦形剤と共に治療有効量の医薬品有効成分を含む混合物又は溶液を表す。
【0037】
用語「阻害定数」(Ki)は、ある受容体に対する特定の阻害剤の絶対結合親和性を表す。これは、競合結合アッセイを用いて測定され、競合リガンド(例えば、放射性リガンド)が存在しない場合、その特定の阻害剤が、その受容体の50%を占める濃度に等しい。Ki値は、対数的にpKi値(−log Ki)に変換することができ、より高い値は、指数的により大きな力価を示す。
【0038】
発明の詳細な説明
特に、本発明は、式(I):
【化2】
[式中、
Aは、−CH
2−O−又は−CH=CH−であり;
Xは、S又はCHであり;
Yは、O、NR
9又はCR
9(但し、XがSであるならば、Yは、CR
9であり、そしてXがCHであるならば、Yは、O又はNR
9である)であり;
u、vは、各々、単結合又は二重結合(但し、uとvとが、共に二重結合であることや共に単結合であることはない)を表し;
R
1、R
2は、アルキル、1もしくは2個のハロで場合により置換されているアリール又は1もしくは2個のハロで場合により置換されているヘテロアリールであり、ここでR
1及びR
2のうちの1つは、アルキルであり;
R
3は、ハロ、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、−C(O)R
4又は−C(O)NR
5R
6であり;
R
4は、H、アルキル、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ又はアリールオキシであり;
R
5は、H、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、−(CH
2)
n−シクロアルキル、−(CH
2)
n−ヘテロシクロアルキル、−(CH
2)
n−アリール、−(CH
2)
n−ヘテロアリール、−(CH
2)
m−NR
7R
8又は−(CH
2)
m−OR
7であり、ここでシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル又はアルコキシで場合により置換されており;
R
6は、H、アルキルであるか、又はR
9と一緒になってアルキレンであるか;
あるいはR
5及びR
6は、それらが結合する窒素と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成し;
R
7、R
8は、独立に、H、アルキル又はアリールであり;
R
9は、H、アルキルであるか、又はR
9は、R
6と一緒になってアルキレンであり;
nは、0〜6の整数であり;
mは、2〜6の整数である]で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0039】
本発明の特定の実施態様は、式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩である。
【0040】
さらに、本明細書に開示されたとおりの特定の残基A、X、Y、u、v、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8又はR
9に関するすべての実施態様は、本明細書に開示されたとおりの他の残基A、X、Y、u、v、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8又はR
9に関する任意の他の実施態様と組み合わせてもよいことが理解されるべきである。
【0041】
本発明の特定の実施態様は、式(I):
[式中、
Aが、−CH
2−O−又は−CH=CH−であり;
Xが、S又はCHであり;
Yが、O、NR
9又はCR
9(但し、XがSであるならば、Yは、CR
9であり、そしてXがCHであるならば、Yは、O又はNR
9である)であり;
u、vが、各々、単結合又は二重結合(但し、uとvとが、共に二重結合であることや共に単結合であることはない)を表し;
R
1、R
2が、アルキル、1個のハロで場合により置換されているアリールであるか、又はヘテロアリールであり、ここでR
1及びR
2のうちの1つは、アルキルであり;
R
3が、−C(O)NR
5R
6であり;
R
5が、アルキルであるか、又はアルキルで場合により置換されているヘテロシクロアルキルであり;
R
6が、Hであり;
R
9が、H又はアルキルである]で示される化合物及びその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0042】
本発明の特定の実施態様において、Aは、炭素原子を介してトリアゾール環に結合する。
【0043】
本発明の特定の実施態様において、Aは、−CH
2−O−である。
【0044】
本発明の特定の実施態様において、Aは、−CH=CH−である。
【0045】
本発明の特定の実施態様において、Xは、Sであり、そしてYは、CR
9であるか;又はXは、CHであり、そしてYは、Oであるか;又はXは、CHであり、そしてYは、NR
9である。
【0046】
本発明の特定の実施態様において、Xは、Sであり、Yは、CR
9であり、uは、単結合であり、そしてvは、二重結合であるか;又はXは、CHであり、Yは、Oであり、uは、二重結合であり、そしてvは、単結合であるか;又はXは、CHであり、Yは、NR
9であり、uは、二重結合であり、そしてvは、単結合である。
【0047】
本発明の特定の実施態様において、X及びYは、それらが結合する炭素及び窒素原子と一緒になって、2個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリールを形成し、特にX及びYは、それらが結合する炭素及び窒素原子と一緒になって、チアゾール−2−イル、イソオキサゾール−3−イル及びピラゾール−3−イルから選択される、5員のヘテロアリールを形成する。
【0048】
本発明の特定の実施態様は、式(Ia):
【化3】
[式中、A、R
1、R
2、R
3及びR
9は、本明細書において定義されたとおりである]で示される化合物に関する。
【0049】
本発明の特定の実施態様は、式(Ib):
【化4】
[式中、A、R
1、R
2及びR
3は、本明細書において定義されたとおりである]で示される化合物に関する。
【0050】
本発明の特定の実施態様は、式(Ic):
【化5】
[式中、A、R
1、R
2、R
3及びR
9は、本明細書において定義されたとおりである]で示される化合物に関する。
【0051】
本発明の特定の実施態様は、式(I'):
【化6】
[式中、X、Y、u、v、R
1、R
2及びR
3は、本明細書において定義されたとおりである]で示される化合物に関する。
【0052】
本発明の特定の実施態様は、式(I”):
【化7】
[式中、X、Y、u、v、R
1、R
2及びR
3は、本明細書において定義されたとおりである]で示される化合物に関する。
【0053】
本発明の特定の実施態様において、R
1及びR
2のうちの1つは、アルキルであり、そしてもう一方は、1個のハロで場合により置換されているアリールであるか、又は1個のハロで場合により置換されているヘテロアリールである。
【0054】
本発明の特定の実施態様において、R
1及びR
2のうちの1つは、メチル、エチル又はブチルであり、そしてもう一方は、1個のハロで場合により置換されているフェニルであるか、又は1個のハロで場合により置換されているピリジニルである。
【0055】
本発明の特定の実施態様において、R
1及びR
2のうちの1つは、メチルであり、そしてもう一方は、1個のフルオロで置換されているフェニルであるか、又はピリジニルである。
【0056】
本発明の特定の実施態様において、R
1は、アルキルであり;そしてR
2は、アリールであるか、又は1個のハロで置換されているアリールである。
【0057】
本発明の特定の実施態様において、R
1は、メチルであり、そしてR
2は、1個のフルオロで置換されているフェニルである。
【0058】
本発明の特定の実施態様において、R
2は、アルキルであり;そしてR
1は、アリール、1個のハロで置換されているアリール、ヘテロアリール、又は1個のハロで置換されているヘテロアリールである。
【0059】
本発明の特定の実施態様において、R
2は、メチルであり、そしてR
1は、1個のフルオロで置換されているフェニルであるか、又はピリジニルである。
【0060】
本発明の特定の実施態様において、R
3は、−C(O)NR
5R
6である。
【0061】
本発明の特定の実施態様において、R
5は、アルキルであるか、又はアルキルで場合により置換されているヘテロシクロアルキルである。
【0062】
本発明の特定の実施態様において、R
5は、イソ−プロピル、メチルで置換されているオキセタニル、テトラヒドロ−ピラニル又はモルホリニルである。
【0063】
本発明の特定の実施態様において、R
6は、Hである。
【0064】
本発明の特定の実施態様において、R
9は、H又はアルキルである。
【0065】
本発明の特定の実施態様において、R
9は、H又はメチルである。
【0066】
本発明の特定の実施態様は、実施例において個々の化合物として記載されるとおりの、式(I)で示される化合物並びにその薬学的に許容しうる塩に関する。さらに、以下に記載される特定の例に見出されるとおりの置換基が、独立に、本発明の個別の特定の実施態様をなす。
【0067】
本発明の式(I)で示される特定の化合物は、以下:
3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド;
5−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド;
5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド;
5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸モルホリン−4−イルアミド;
5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(3−メチル−オキセタン−3−イル)−アミド;
2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド;
2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド;
2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド;
2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド;
4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド;
4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド;及びその薬学的に許容しうる塩からなる群から選択されるそれらである。
【0068】
本発明は、さらに、先に定義したとおりの式(I)で示される化合物の調製方法であって、
a)式(I')[式中、Aは、−CH
2−O−である]で示される化合物を与える、式(II)で示される化合物と式(III)で示される化合物との反応:
【化8】
又は
b)式(VI)で示される化合物を与える、式(IV)で示される化合物と式(V)で示される化合物との反応、続く、式(I”)[式中、Aは、−CH=CH−である]で示される化合物を与える、式(VI)で示される化合物の反応:
【化9】
[式中、X、Y、u、v、R
1、R
2及びR
3は、本明細書において定義されたとおりである]を含む方法に関する。
【0069】
本発明は、さらに上記の方法により得ることができる、式(I)で示される化合物に関する。
【0070】
式(I)[式中、A、X、Y、u、v、R
1、R
2及びR
3は、異なる記載がない限り、上記及び請求項に記載のとおりである]で示される化合物は、以下に記載する標準的な方法に従って調製することができる。
【0071】
本発明の式(I')[式中、Aは、−CH
2−O−であり、R
2は、アルキルである]で示される化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、スキーム1及び2に従って調製することができる:
【0072】
【化10】
スキーム1に従い、式(1)[式中、Rは、アルキルである]で示される化合物を、1,2−ジクロロエタンのような適切な溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下、トリフェニルホスフィンオキシド及びTf
2Oと反応させて、式(2)で示される化合物を得ることができる。あるいは式(1)で示される化合物を、適切な溶媒中、クロロ蟻酸エチルの存在下、BuLiのような強塩基で処理して、式(2)で示される化合物を得ることができる。式(2)で示される化合物を、ベンゼンのような適切な溶媒中、式(3)[式中、iは、1〜7の整数、特に1、2又は4、最も特には、1である]で示される化合物で処理し、加熱すると、式(4)で示される化合物を得ることができる。式(4)で示される化合物を、THFのような適切な溶媒中、リチウムアルミニウムヒドリドのような還元剤で処理して、式(5)で示される化合物を得ることができる。式(5)で示される化合物を、水中のTHFのような適切な溶媒中、TBAFで処理して、式(6)で示される化合物を得ることができる。
【0073】
【化11】
スキーム2に従い、式(6)で示される化合物を、THFのような適切な溶媒中、トリフェニルホスフィン及びジエチルアゾジカルボキシラートの存在下、式(7)で示される化合物で処理して、式(I')で示される化合物[式中、Aは、−CH
2−O−であり、R
2は、アルキルである]を得ることができる。
【0074】
本発明の式(I')[式中、Aは、−CH
2−O−であり、R
1は、アルキルである]で示される化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、スキーム3及び2に従って調製することができる:
【0075】
【化12】
式(8)で示される化合物を、式(9)で示される化合物で処理して、式(10)で示される化合物を得て、これを、メタノールのような適切な溶媒中、水酸化カリウムのような塩基で処理して、式(11)で示される化合物を得ることができる。次に、式(11)で示される化合物を、THFのような適切な溶媒中、BuLiのような強塩基で処理し、そして次に、DMFで処理して、式(12)で示される化合物を得ることができる。式(12)で示される化合物を、メタノールのような適切な溶媒中、水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤で処理して、式(13)で示される化合物を得ることができる。式(13)で示される化合物は、その続く反応性において式(6)で示される化合物と等しく、したがって上に示したように処理することができる。本発明の式(I')[式中、Aは、−CH
2−O−であり、R
1は、アルキルである]で示される化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、スキーム3に従い、式(13)で示される化合物から調製することができる。
【0076】
本発明の式(I”)[式中、Aは、−CH=CH−であり、R
2は、アルキルである]で示される化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、スキーム4及び5に従って調製することができる。
【0077】
【化13】
スキーム4に従い、式(14)で示される化合物を、DMFのような適切な溶媒中のCu(I)Iの存在下、DIPEAのような塩基の存在下で、式(3)[式中、iは、1〜7の整数、特に1、2又は4、最も特に1である]で示される化合物と反応させて、式(15)で示される化合物を得て、次にこれを、水中のTHFのような適切な溶媒中、TBAFで処理して、式(16)で示される化合物を得る。あるいは式(14)で示される化合物を、アスコルビン酸の存在下、音波処理のような活性化条件下で、アジ化ナトリウム及び式IR
2(ヨードメタン)で示される化合物と一緒にCu(I)Iで処理して、式(16)で示される化合物を得ることができる。次に式(16)で示される化合物を、THFのような適切な溶媒中、BuLiのような強塩基で処理し、そして次にDMFと反応させて、式(17)で示される化合物を得ることができる。
【0078】
【化14】
スキーム5に従い、式(17)で示される化合物を、THFのような適切な溶媒中、BuLiのような強塩基の存在下、式(18)で示される化合物で処理して、式(19)で示される化合物を得ることができる。式(19)で示される化合物を、硫酸で処理して、式(I”)で示される化合物を得ることができる。
【0079】
本発明の式(I”)[式中、Aは、−CH=CH−であり、R
1は、アルキルである]で示される化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、スキーム3及び5に従って調製することができる。式(16)で示される化合物は、式(17)で示される化合物とそれらの続く反応性において等しく、したがって、上に示したように処理することができる。
【0080】
スキーム6に従い、式(I)[式中、R
3=−C(O)NR
5R
6]で示される化合物は、標準方法に従って、式(I)で示される化合物[式中、R
3=−C(O)R
4]から調製することができる。
【化15】
【0081】
スキーム6
その調製方法が実施例に記載されていない式(I)で示される化合物及びすべての中間体については、類似の方法又は上記記載の方法に従って調製することができる。出発原料は、市販されているか、当分野において公知であるか、又は当分野において公知であるかもしくはそれと類似の方法で調製することができる。
【0082】
本発明はまた、上記記載の方法で調製した場合の、先に定義したとおりの式(I)で示される化合物に関する。
【0083】
BuLi=n−ブチルリチウム
CDI=1,1'−カルボニルジイミダゾール
DCM=ジクロロメタン
DIPEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)
DMF=ジメチルホルムアミド
EDAC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
HOBt=ヒドロキシベンゾトリアゾール
hv=高真空
on=一晩
r.t.=室温
TBD=1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
TBTU=O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
Tf
2O=トリフルオロメタンスルホン酸無水物
THF=テトラヒドロフラン
【0084】
他の実施態様は、本発明の化合物及び治療的不活性担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物又は医薬、並びにかかる組成物及び医薬を調製するための本発明の化合物を使用する方法を提供する。
【0085】
組成物は、医薬行為と一致する方法で調合され、用量化され、そして投与される。この文脈において考慮される要因は、処置する特定の障害、処置を受ける特定の哺乳類、個々の患者の病態、障害の原因、薬剤送達の部位、投与方法、投与スケジュール及び開業医に公知のその他の要因を包含する。
【0086】
本発明の化合物は、経口、局所(口内及び舌下を含む)、直腸、腔口、経皮、非経口、皮下、腹膜内、肺内、皮内、髄膜及び硬膜外また鼻腔内、そして、局所の処置を所望であれば、病巣内投与を含む、任意の適切な手段により投与されうる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内又は皮下投与を包含する。
【0087】
本発明の化合物は、任意の好都合な投与形態、例えば、錠剤、粉末剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等で投与されうる。かかる組成物は、医薬製剤における従来の成分、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、風味料(flavorant)、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、酸化防止剤、そしてさらに活性化剤を含んでよい。これらは、また、さらに他の治療上有用な物質を含みうる。
【0088】
典型的な製剤は、本発明の化合物及び担体又は賦形剤を混合することにより調製される。適切な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、また、例えば、Ansel H.C. et al., Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (2004) Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia; Gennaro A.R. et al., Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2000) Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia; and Rowe R.C, Handbook of Pharmaceutical Excipients (2005) Pharmaceutical Press, Chicagoに詳述されている。製剤はまた、本薬剤(すなわち、本発明の化合物又はその医薬組成物)を美しく見せるためのもの、又は本医薬品(すなわち、医薬)の製造の助けとなる、1種以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、不透明化剤(opaquing agent)、流動促進剤(glidant)、加工助剤、着色剤、甘味料、香料(perfuming agents)、風味剤(flavoring agent)、希釈剤及びその他の公知の添加剤を包含してよい。
【0089】
本発明の化合物を投与しうる投与量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させることになる。一般的に、経口投与の場合、一般式(I)で示される化合物の1人当たり約0.1〜1000mgの1日投与量が適切であるが、必要であれば上記の上限を超えることもできる。
【0090】
適切な経口剤形の一例は、約90〜30mgの無水ラクトース、約5〜40mgのナトリウムクロスカルメロース、約5〜30mgのポリビニルピロリドン(PVP)K30及び約1〜10mgのステアリン酸マグネシウムと調合した約100mg〜500mgの本発明の化合物を含む錠剤である。まず、粉末化した成分を一緒に混合し、そして次にPVP溶液と混合する。得られた組成物を、乾燥させ、顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、そして従来の装置を用いて錠剤形態に圧縮する。
【0091】
エアゾール製剤の一例は、本発明の化合物(例えば10〜100mg)を、適切な緩衝剤溶液、例えばリン酸緩衝液に溶解し、所望であれば、等張剤(tonicifier)(例えば、塩化ナトリウムのような塩)を加えることにより調製することができる。この溶液を、例えば、0.2μmフィルターを用いて濾過することにより、不純物及び汚染物質を除去することができる。
【0092】
上記のとおり、本発明の新規な化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、有益な薬理学的特性を有し、そしてGABA A α5受容体のリガンドであることが見出された。したがって、本発明の化合物は、単独で又はその他の薬物と組み合わせて、α5サブユニットを含有するGABA A受容体のリガンドに影響される疾患の治療又は予防に使用しうる。これらの疾患は、急性及び/又は慢性神経障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症侯群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導性精神病障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物中毒、運動障害、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥/多動性障害、神経障害性疼痛、脳卒中、注意障害及び認知機能の改善の必要性を包含するがこれらに限定されない。
【0093】
したがって、本発明は、先に定義したとおりの化合物及び薬学的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物にも関する。
【0094】
本発明は、同様に、治療活性物質としての使用のための上記のとおりの化合物を包含する。
【0095】
本発明は、同様に、GABA A α5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための、治療活性物質としての使用のための上記のとおりの化合物を包含する。
【0096】
本発明は、同様に、急性及び/又は慢性神経障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症侯群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導性精神病障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物中毒、運動障害、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥/多動性障害、神経障害性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための、治療活性物質としての使用のための、あるいは向知性薬としての使用のための、上記のとおりの化合物を包含する。
【0097】
本発明は、同様に、急性及び/又は慢性神経障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症侯群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導性精神病障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物中毒、運動障害、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥/多動性障害、神経障害性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための、あるいは向知性薬としての使用のための上記のとおりの化合物を包含する。
【0098】
他の実施態様において、本発明は、GABA A α5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための方法に関する。
【0099】
他の実施態様において、本発明は、急性及び/又は慢性神経障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症侯群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導性精神病障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物中毒、運動障害、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥/多動性障害、神経障害性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための、あるいは認知機能の改善のための方法であって、先に定義したとおりの化合物を、ヒト又は動物に投与することを含む方法に関する。
【0100】
本発明はまた、GABA A α5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための先に定義したとおりの化合物の使用を包含する。
【0101】
本発明は、急性及び/又は慢性神経障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症侯群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導性精神病障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物中毒、運動障害、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥/多動性障害、神経障害性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための、あるいは認知機能の改善のための、先に定義したとおりの化合物の使用をも包含する。
【0102】
本発明は、GABA A α5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための、特に、急性及び/又は慢性神経障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症侯群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導性精神病障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物中毒、運動障害、パーキンソン病、不穏下肢症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥/多動性障害、神経障害性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための医薬の調製のための、あるいは向知性薬の調製のための上記のとおりの化合物の使用にも関する。かかる医薬は、上記のとおりの化合物を包含する。
【0103】
より具体的には、本発明は、皮質及び海馬における過剰なGABA作動性抑制をもたらす神経発達異常に起因するCNS病状の、治療、予防及び/進行の遅延のための、上記のとおりの化合物の使用に関し、ここで、CNS病状は、ダウン症侯群、自閉症、神経線維腫I型における認知障害又は脳卒中後の認知障害から選択される。
【0104】
認知障害、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症に伴う陽性、陰性及び/もしくは認知症状、ダウン症侯群及び神経線維腫I型の治療又は予防は、本発明の特定の実施態様である。
【0105】
本発明の特定の実施態様は、アルツハイマー病の治療又は予防を包含する。
【0106】
本発明の特定の実施態様は、ダウン症侯群の治療又は予防を包含する。
【0107】
本発明の特定の実施態様は、神経線維腫I型の治療又は予防を包含する。
【0108】
本発明は、下記の実施例を参照することによりさらに十分に理解されよう。しかし、これら実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
【0109】
実施例1
3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
【化16】
a)(4−フルオロ−フェニル)−プロピン酸エチルエステル
Synthesis Communications (1989) 3:217-218と同様に調製した。1,2−ジクロロエタン(42mL)中のトリフェニルホスフィンオキシド(3.77g、14mmol)の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.25mL、14mmol)を0℃で滴下し、そして灰色の懸濁液を0℃で15分間撹拌した。次に1,2−ジクロロエタン(14mL)中の3−(4−フルオロ−フェニル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル(2.85g、14mmol)の溶液を加え、続いてトリエチルアミン(3.78mL、28mmol)を0℃で滴下した。褐色の溶液を、2.5時間還流した。冷却後、混合物を氷水に注ぎ、そして有機層を分離し、そしてブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、0〜20%酢酸エチルヘプタン中)により精製して、標記化合物(1.53g、59%)を、黄色の固体として得た。 MS: m/e = 193.2 [M+H]
+.
【0110】
b)5−(4−フルオロ−フェニル)−3−トリメチルシラニルメチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステル
ベンゼン(25mL)中の(4−フルオロ−フェニル)−プロピン酸エチルエステル(1.45g、7.55mmol)の溶液に、アジドメチル−トリメチル−シラン(1.17g、9.05mmol)を加え、そして反応混合物を、窒素下、72時間還流した。アジドメチル−トリメチル−シラン(0.29g、2.26mmol)の次のバッチを加え、そして還流を5時間継続した。次に混合物を、蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜50%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(1.0g、41%)を黄色の油状物として得た。 MS: m/e = 322.2 [M+H]
+.
【0111】
c)[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−トリメチルシラニルメチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−メタノール
乾燥THF(8.2mL)中の5−(4−フルオロ−フェニル)−3−トリメチルシラニルメチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(880mg、2.74mmol)の溶液に、リチウムアルミニウムヒドリド(119mg、3.15mmol)を0℃で少しずつ加え、そして反応混合物を0℃で1時間撹拌した。次に水(119μL)及びNaOH(15%、119μL)、続いて水(357μL)を加えた。次に沈殿物を濾取し、そして濾液を蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(649mg、85%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 280.1 [M+H]
+.
【0112】
d)[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−メタノール
THF(37mL)中の[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−トリメチルシラニルメチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−メタノール(616mg、2.20mmol)の溶液に、水(79μL、4.41mmol)を加え、そして次にテトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1M、2.65mL、2.65mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を、0℃で15分間撹拌した。得られた混合物を、水に注ぎ、そして次にTHFを蒸発させた。次に水層を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(410mg、90%)をオフホワイトの固体として得た。 MS: m/e = 208.0 [M+H]
+.
【0113】
e)メチル3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボキシラート
THF(30mL)中の[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−メタノール(290mg、1.4mmol)の溶液に、メチル3−ヒドロキシ5−イソオキサゾールカルボキシラート(200mg、1.4mmol)及びトリフェニルホスフィン(477mg、1.82mmol)を、アルゴン雰囲気下、周囲温度で加えた。次にジエチルアゾジカルボキシラート(641μL、3.5mmol)を加え、そして反応混合物を室温で72時間撹拌した。濃縮し、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中20〜50%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(464mg、100%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 333.2 [M+H]
+.
【0114】
f)3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボン酸
水酸化ナトリウム(2N、10mL)の溶液を、ジオキサン(20mL)中のメチル3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボキシラート(460mg、1.38mmol)の懸濁液に滴下し、そして次に反応混合物を90℃で1.5時間加熱した。次に反応混合物を蒸発させ、そしてHCl(2N)で酸性化し、そして得られた沈殿物を濾取して、標記生成物(320mg、73%)を白色の固体として得て、そして次の工程で直接使用した。
【0115】
g)3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
DMF(2.0mL)中の3−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−イソオキサゾール−5−カルボン酸(40mg、0.13mmol)及びTBTU(64.6mg、0.20mmol)の溶液に、DIPEA(106.9μL、0.63mmol)を加えた。次に4−アミノテトラヒドロピラン(14mg、0.14mmol)を加え、そして混合物をアルゴン下、室温で1時間撹拌した。次に混合物を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(35mg、70%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 402.2 [M+H]
+.
【0116】
実施例2
5−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
【化17】
a)メチル5−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボキシラート
THF(30mL)中の[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−メタノール(290mg、1.4mmol)の溶液に、5−ヒドロキシ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(218mg、1.4mmol)及びトリフェニルホスフィン(477mg、1.82mmol)を、アルゴン雰囲気下、周囲温度で加えた。次にジエチルアゾジカルボキシラート(641μL、3.5mmol)を加え、そして反応混合物を室温で16時間撹拌した。濃縮し、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中20〜50%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(483mg、100%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 346.2 [M+H]
+.
【0117】
b)5−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸
水酸化ナトリウム(2N、10mL)の溶液を、ジオキサン(20mL)中のNAME(480mg、1.39mmol)の懸濁液に滴下し、そして次に反応混合物を90℃で1.5時間加熱した。次に反応混合物を蒸発させ、そしてHCl(2N)で酸性化し、そして得られた沈殿物を濾取して、標記生成物(340mg、74%)を白色の固体として得て、そして次の工程で直接使用した。MS: m/e = 330.2 [M+H]
+.
【0118】
c)5−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
DMF(2.0mL)中のname(40mg、0.13mmol)及びTBTU(64.6mg、0.20mmol)の溶液に、DIPEA(106.9μL、0.63mmol)を加えた。次に4−アミノテトラヒドロピラン(13mg、0.13mmol)を加え、そして混合物をアルゴン下、室温で1時間撹拌した。次に混合物を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(42mg、85%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 415.2 [M+H]
+.
【0119】
実施例3
5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
【化18】
a)1−アジド−4−フルオロ−ベンゼン
J. Org. Chem. (1989) 54:5938-5945と同様に調製した。硫酸(40mL)及びトリフルオロ酢酸(200mL)の溶液に、4−フルオロアニリン(22.1mL、0.23mol)を滴下した。次に氷冷下、水(200mL)中の亜硝酸ナトリウム(20.6g、0.3mol)の溶液を、15〜18℃で30分間かけて加えた。次に溶液を、氷浴に保持したまま30分間撹拌した。水(150mL)中のナトリウムアジド(25.42g、0.39mol)の溶液を、30分間かけて滴下した。混合物を泡立て、そして氷浴で冷却しながら、温度を10℃まで上げた。反応混合物を、冷却せずに1時間撹拌し、次にジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を水で2回洗浄した。次に合わせた有機層を、飽和炭酸ナトリウム水溶液(500mL)で混合物が塩基性になるまで希釈した。有機相を分離し、そしてブラインで洗浄し、再びジエチルエーテルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして40℃で最小50mbarで蒸発(すでに生成物の蒸留)させて、標記生成物(30.42g、96%)を褐色の液体として得た。
【0120】
b)1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ピペリジン
EP 0 433 842 A2と同様に調製した。1−アジド−4−フルオロ−ベンゼン(2.80g、20mmol)及び1−(1−プロペニル)−ピペリジン(18%、14.2g、20mmol)の混合物を、氷冷下(最初は、徐々に発熱)及び室温で144時間、光のない状態で、撹拌した。ヘキサンを、次に褐色の溶液に加え、そして形成された固体を濾取し、ヘキサンで洗浄し、そして、高真空で乾燥させて、標記生成物(1.1g)を淡いピンク色の固体として得た。濾液を次に蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中10〜50%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(4.34g)を淡黄色の固体として得た。全収率(5.44g、98%)。 MS: m/e = 263.1 [M+H]
+.
【0121】
c)1−(4−フルオロ−フェニル)−4−メチル−1H−[1,2,3]トリアゾール
EP 0 433 842 A2と同様に調製した。MeOH(2N、29.2mL、58mmol)中の1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ピペリジン(1.15g、0.004mol)及び水酸化カリウムの混合物を、還流下、6時間加熱し、次に室温に冷ました。次に混合物を水に注いで、そしてジエチルエーテルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて、標記生成物(555mg)を白色の固体として得た。濾液を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中10〜60%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(41mg、79%)をオフホワイトの固体として得た。全収率(596mg、77%)。 MS: m/e = 178.1 [M+H]
+.
【0122】
d)3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒド
THF(110mL)中の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−メチル−1H−[1,2,3]トリアゾール(3.67g、21mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、15.53mL、25mmol)を、アルゴン下、−75℃で滴下した。得られた溶液を、−75℃で1時間撹拌し、次にDMF(2.1mL、27mmol)を−75℃で滴下し、そして反応混合物を1時間かけて室温に温めるにまかせた。次に混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(3.85g、91%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 206.2 [M]
+.
【0123】
e)[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−メタノール
MeOH(180mL)中の3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒド(2.28g、11mmol)の溶液に、ナトリウムボロヒドリド(210mg、6.0mmol)を0℃で加え、そして得られた混合物を0℃で30分間撹拌した。次に混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させ、標記化合物(2.05g、89%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 208.2 [M]
+.
【0124】
f)5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル
THF(30mL)中の[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−メタノール(500mg、2mmol)の溶液に、5−ヒドロキシ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(377mg、2mmol)及びトリフェニルホスフィン(823mg、3mmol)を、アルゴン雰囲気下、周囲温度で加えた。次にジエチルアゾジカルボキシラート(トルエン中約40%、1.44mL、3mmol)を加え、そして反応混合物を室温で24時間撹拌した。濃縮し、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中20〜50%酢酸エチル、そして次にジクロロメタン中2%メタノール)により精製して、標記化合物(671mg、81%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 346.1 [M+H]
+.
【0125】
g)5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸
水(6mL)中の水酸化リチウム一水和物(146mg、3.48mmol)の溶液を、THF(6mL)中の5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステル(600mg、1.74mmol)の懸濁液に滴下した。次に反応混合物を室温で2時間撹拌し、そして次に蒸発させ、そして残留物を水に溶解し、HCl(1N)で酸性化し、そして得られた沈殿物を濾取して、標記生成物(544mg、95%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 330.2 [M−H]
−.
【0126】
h)5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
DMF(3.0mL)の5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(85mg、0.26mmol)及びTBTU(91mg、0.28mmol)の溶液に、DIPEA(220μL、1.28mmol)を加えた。次に4−アミノテトラヒドロピラン(29mg、0.28mmol)を加え、そして混合物を、アルゴン下、室温で30分間撹拌した。次に混合物を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(72mg、68%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 415.4 [M+H]
+.
【0127】
実施例4
5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸モルホリン−4−イルアミド
【化19】
実施例3に関して記載したように、5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(85mg、0.26mmol)を、4−アミノテトラヒドロピランの代わりに4−アミノモルホリンを用いて、標記化合物(86mg、81%)に変換し、白色の固体として得た。 MS: m/e = 416.3 [M+H]
+.
【0128】
実施例5
5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(3−メチル−オキセタン−3−イル)−アミド
【化20】
実施例3に関して記載したように、5−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イルメトキシ]−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸(85mg、0.26mmol)を、4−アミノテトラヒドロピランの代わりに3−メチル−3−オキセタンアミンを用いて標記化合物(98mg、95%)に変換し、白色の固体として得た。 MS: m/e = 401.3 [M+H]
+.
【0129】
実施例6
2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド
【化21】
a)4−(4−フルオロ−フェニル)−1−トリメチルシラニルメチル−1H−[1,2,3]トリアゾール
DMF(300mL)中のヨウ化銅(I)(1.14g、20mol%)の懸濁液に、DIPEA(5.14mL、6.0mmol)及び4−フルオロフェニルアセチレン(3.60g、30mmol)を室温で加え、そして次にトリメチル(トリアゾメチル)シラン(3.88g、30.0mmol)を加えた。得られた反応混合物を、室温で18時間撹拌した。混合物を、水:ブライン(1:1)に注ぎ、そして次に酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を、次にブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(5.96g、80%)をオフホワイトの固体として得た。MS: m/e = 250.1 [M+H]
+.
【0130】
b)4−(4−フルオロ−フェニル)−1−メチル−1H−[1,2,3]トリアゾール
THF(85mL)中の4−(4−フルオロ−フェニル)−1−トリメチルシラニルメチル−1H−[1,2,3]トリアゾール(5.80g、23mmol)の溶液に、水(840μL、47mmol)を加え、そして次にテトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1M、27.9mL、28mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。得られた混合物を水に注ぎ、そして次にTHFを蒸発させた。次に水層を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(4.0g、98%)をオフホワイトの固体として得た。 MS: m/e = 178.1 [M+H]
+.
【0131】
c)5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒド
THF(20mL)中の4−(4−フルオロ−フェニル)−1−メチル−1H−[1,2,3]トリアゾール(709mg、4.0mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、3.0mL、4.8mmol)を、アルゴン下、−75℃で滴下した。得られた溶液を、−75℃で1時間撹拌し、次にDMF(401μL、5.2mmol)を−75℃で滴下し、そして反応混合物を1時間かけて室温に温めるにまかせた。次に混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(773mg、94%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 206.2 [M]
+.
【0132】
d)2−{2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−エチル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル
THF(12mL)中の2,4−ジメチルチアゾール−5−カルボン酸(236mg、1.5mmol)の懸濁液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、1.88mL、3.0mmol)を、アルゴン下、−75℃で滴下した。褐色の懸濁液を、−75℃で2時間撹拌し、そして次にTHF(4.5mL)中の5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒド(308mg、1.50mmol)の溶液を−75℃で加え、そして褐色の懸濁液を、−75℃で2時間撹拌した。次に混合物を、クエン酸(5%、15mL)水溶液でクエンチし、室温に温まるにまかせた。次に混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜30%メタノール)により精製して、2−{2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−エチル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(417mg、77%)を黄色の泡状物として得た。次にこの酸をメタノール(4mL)及びジエチルエーテル(2mL)に溶解し、そしてトリメチルシリルジアゾメタン(ジエチルエーテル中2M、5x0.38mL、3.75mmol)を滴下した。反応物を、数滴のAcOHでクエンチし、そして蒸発させた。その褐色の油状物に、水酸化ナトリウム(1N、20mL)を加え、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜30%メタノール)により精製して、標記化合物(214mg、38%)を淡褐色の泡状物として得た。 MS: m/e = 377.3 [M+H]
+.
【0133】
e)2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸
硫酸(濃縮、3.19mL)中の2−{2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−エチル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル(204mg、0.54mmol)の懸濁液を、アルゴン下、160℃で2時間加熱した。室温に冷ました後、混合物を氷に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させ、標記化合物(165mg、88%)をオフホワイトの固体として得た。 MS: m/e = 343.0 [M−H]
−.
【0134】
f)2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド
DMF(0.4mL)の2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(75mg、0.22mmol)及びTBTU(77mg、0.24mmol)の溶液に、DIPEA(186μL、1.09mmol)を加えた。次にイソプロピルアミン(21μL、0.24mmol)を加え、そして混合物をアルゴン下、室温で1時間撹拌した。次に混合物を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中1〜5%メタノール)により精製して、標記化合物(28mg、33%)を、酢酸エチル及びヘプタンから再結晶させた後に、オフホワイトの固体として得た。 MS: m/e = 386.4 [M+H]
+.
【0135】
実施例7
2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
【化22】
実施例6fに関して記載したように、2−{(E)−2−[5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(75mg、0.22mmol)を、イソプロピルアミンの代わりに4−アミノテトラヒドロピランを用いて変換して、標記化合物(63mg、68%)を淡黄色の固体として得た。 MS: m/e = 428.3 [M+H]
+.
【0136】
実施例8
2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
【化23】
a)2−{2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−エチル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル
実施例7dに関して記載したように、5−(4−フルオロ−フェニル)−3−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒドの代わりに、3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒド(630mg、3.1mmol)を変換して、標記化合物(392mg、34%)を淡褐色の固体として得た。 MS: m/e = 377.3 [M+H]
+.
【0137】
b)2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸
硫酸(濃縮、5.9mL)中の2−{2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−2−ヒドロキシ−エチル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸メチルエステル(355mg、0.94mmol)の懸濁液を、アルゴン下、160℃で30分間加熱した。室温に冷ました後、混合物を氷に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて、標記化合物(249mg、77%)を灰色の固体として得た。 MS: m/e = 345.1 [M+H]
+.
【0138】
c)2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
DMF(3mL)中の2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(72mg、0.21mmol)及びTBTU(74mg、0.23mmol)の溶液に、DIPEA(178μL、1.05mmol)を加えた。次に4−アミノテトラヒドロピラン(23mg、0.23mmol)を加え、そして混合物をアルゴン下、室温で2時間撹拌した。次に混合物を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中30〜80%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(68mg、76%)を淡黄色の固体として得た。 MS: m/e = 428.3 [M+H]
+.
【0139】
実施例9
2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド
【化24】
実施例8cに関して記載したように、4−アミノテトラヒドロピランの代わりにイソプロピルアミンを用いて、2−{(E)−2−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−メチル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ビニル}−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(72mg、0.21mmol)を変換して、標記化合物(57mg、71%)を、オフホワイトの固体として得た。 MS: m/e = 386.4 [M+H]
+.
【0140】
実施例10
4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド
【化25】
a)2−エチニル−ピリジン
MeOH(43mL)中の2−ピリジンカルボアルデヒド(0.96mL、10mmol)の混合物に、炭酸カリウム(2.76g、20mmol)、続いてMeOH(14mL)中の(1−ジアゾ−2−オキソ−プロピル)−ホスホン酸ジメチルエステル(2.14g、11mmol)の溶液を室温で加え、そして得られた混合物を、1.5時間撹拌した。次に混合物を炭酸ナトリウム溶液(1M)に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ジエチルエーテル)により精製して、標記化合物(728mg、71%)を黄色の液体として得た。 MS: m/e = 103.0 [M]
+.
【0141】
b)2−(1−トリメチルシラニルメチル−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ピリジン
DMF(360mL)中のヨウ化銅(I)(1.36g、20mol%)の懸濁液に、DIPEA(6.31mL、36mmol)及び2−エチニル−ピリジン(110μL.1.00mmol)を室温で加え、そして次にトリメチル(トリアゾメチル)シラン(3.69g、36mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で18時間撹拌した。混合物を水:ブライン(1:1)に注ぎ、そして次に酢酸エチルで抽出した。次に合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜50%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(6.05g、73%)を淡黄色の固体として得た。 MS: m/e = 233.1 [M+H]
+.
【0142】
c)2−(1−メチル−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ピリジン
THF(435mL)中の2−(1−トリメチルシラニルメチル−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ピリジン(6.05g、26mmol)の溶液に、水(0.94mL、52mmol)を加え、そして次にテトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1M、31.2mL、31mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。得られた混合物を水に注ぎ、そして次にTHFを蒸発させた。次に水層を、酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(3.53g、85%)を淡褐色の固体として得た。 MS: m/e = 161.2 [M+H]
+.
【0143】
d)3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒド
THF(112mL)中の2−(1−メチル−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ピリジン(3.52g、22mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、16.5mL、4.96mmol)を、アルゴン下、−75℃で滴下した。得られた淡褐色の懸濁液を、−75℃で1時間撹拌した。次にDMF(2.20mL、29mmol)を−75℃で滴下し、そして黄色の溶液を、1時間かけて室温に温まるにまかせた。次に混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(3.75g、91%)を白色の固体として得た。 MS: m/e = 188.0 [M]+.
【0144】
e)2−[2−ヒドロキシ−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−エチル]−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸
THF(8mL)中の2,4−ジメチルチアゾール−5−カルボン酸(157mg、1.0mmol)の懸濁液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、1.25mL、2.0mmol)を、アルゴン下、−75℃で滴下した。褐色の懸濁液を、−75℃で2時間撹拌し、そして次にTHF(3mL)中の3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−カルボアルデヒド(188mg、1.0mmol)の溶液を−75℃で加え、そして褐色の懸濁液を、−75℃で2時間撹拌した。次に混合物をクエン酸水溶液(5%、10mL)でクエンチし、室温に温まるにまかせた。次に混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。酢酸エチル−ヘプタンからの再結晶による精製により、標記化合物(288mg、83%)を淡赤色の固体として得た。 MS: m/e = 344.0 [M−H]
−.
【0145】
f)4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸
硫酸(濃縮、2.59mL、48.4mmol)中の2−[2−ヒドロキシ−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−エチル]−4−メチル−チアゾール−5−カルボン酸(152mg、0.44mmol)の懸濁液を、アルゴン下、160℃で7時間加熱した。室温に冷ました後、混合物を氷に注いで、NaOH(6N)でpH4に調整し、そして酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて、標記化合物(114mg、79%)を、メタノール−水からトリチュレートした後、黄色の固体として得た。MS: m/e = 326.2 [M−H]
−.
【0146】
g)4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸イソプロピルアミド
DMF(0.9mL)中の4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸(56mg、0.17mmol)及びTBTU(60mg、0.19mmol)の溶液に、DIPEA(146μL、0.86mmol)を加えた。次にイソプロピルアミン(16μL、0.24mmol)を加え、そして混合物をアルゴン下、室温で1時間撹拌した。次に混合物を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中1〜10%メタノール)により精製して、標記化合物(36mg、57%)を、メタノール−水から再結晶させた後、淡黄色の固体として得た。 MS: m/e = 369.2 [M+H]
+.
【0147】
実施例11
4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
【化26】
実施例10gに関して記載したように、イソプロピルアミンの代わりに4−アミノテトラヒドロピランを用いて、4−メチル−2−[(E)−2−(3−メチル−5−ピリジン−2−イル−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−ビニル]−チアゾール−5−カルボン酸(56mg、0.17mmol)を変換して、標記化合物(46mg、66%)を、淡黄色の固体として得た。 MS: m/e = 411.2 [M+H]
+.
【0148】
生化学的アッセイ
本発明の化合物の、GABA A受容体サブタイプに結合する能力を、α1β2/3γ2、α2β3γ2、α3β3γ2及びα5β3γ2の組成のラット(安定的にトランスフェクトされた)又はヒト(一時的にトランスフェクトされた)受容体を発現しているHEK293細胞への[
3H]フルマゼニル(85Ci/mmol;Roche)の結合に対する競合により測定した。
【0149】
細胞膜調製方法
細胞ペレットを、クレブス−トリス緩衝剤(4.8mM KCl、1.2mM CaCl
2、1.2mM MgCl
2、120mM NaCl、15mMトリス;pH7.5;結合アッセイ緩衝剤)に懸濁し、ポリトロンにより氷上で約20秒間ホモジェナイズし、60分間4℃(50000g;Sorvall、ローター:SM24=20000rpm)で遠心分離した。細胞ペレットを、クレブス−トリス緩衝剤に再懸濁し、ポリトロンにより氷上で約15秒間ホモジェナイズした。タンパク質を測定(Bradford方法、Bio-Rad)し、アリコート1mLを調製し、そして−80℃で保存した。
【0150】
放射性リガンド結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイは、細胞膜100mL、α1、α2、α3サブユニット用に1nMの濃度及びα5のサブユニット用に0.5nMの濃度の[3H]フルマゼニル、さらに10〜10
−3x10
−6Mの範囲の試験化合物を含有する、200mL(96穴プレート)の容量で実施した。非特異的結合は、10
−5Mジアゼパムによって確定され、典型的には、総結合量の5%未満を示した。アッセイ物を4℃で1時間インキュベートして平衡化し、そしてPackard採取機を用いた濾過及び氷冷洗浄緩衝液(50mMトリス;pH7.5)を用いた洗浄により、GF/Cユニ−フィルター(Packard)上に収集した。乾燥後、フィルター上に保持された放射活性を、液体シンチレーション測定により検出した。
【0151】
データ算出
K
i値は、Excel-Fit(Microsoft)を使用して算出し、2つの測定値の平均で示す。
【0152】
添付した実施例の化合物を上記のアッセイにおいて試験したところ、特定の化合物は、ラットGABA A受容体のα5サブユニットからの[
3H]フルマゼニルの置換について、100nM以下のK
i値を有することが分かった。特定の実施態様は、35nM以下のK
iの化合物を包含する。特定の実施態様において、本発明の化合物は、α1、α2及びα3サブユニットと比べてα5サブユニットに対して結合選択的である。
【0153】
ヒト(h)受容体を発現しているHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記のアッセイにより得られた代表的な試験結果を以下の表1に示す。
【表1】