(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919306
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】低伸展性の患者における膀胱を拡張するための半球体
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20160428BHJP
【FI】
A61F2/04
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-558358(P2013-558358)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-515647(P2014-515647A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2012053676
(87)【国際公開番号】WO2012123272
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】MI2011A000387
(32)【優先日】2011年3月11日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】508101395
【氏名又は名称】サンブセッティ,アントニオ
【氏名又は名称原語表記】SAMBUSSETI,Antonio
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】サンブセッティ,アントニオ
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−509705(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/018300(WO,A1)
【文献】
特表2009−525832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
委縮症の膀胱の容積を増大させるためのインプラントであって、当該インプラントは、ドーム状の半球体の装置(100、200)から構成され、内部が、所定の容積を有する空洞であり、熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素を用いて被覆されたシリコーンである生体適合性の材料から一体成形にて形成され、上記半球体の内面および外面は、培養された細胞の播種による被覆はなされておらず、
上記半球体は、患者の体内に埋め込まれた後に、患者の組織の再構成の過程によって生じる線維性被膜由来の自家細胞が上記半球体上に成長するための足場として機能し、
上記インプラントは、上記半球体の内面および外面に培養された細胞の播種による被覆がなされずに、使用する準備が整っており、且つ
上記半球体(100)の厚さは、自立性のインプラントとなるように、0.1mm〜2cmの間で変動することを特徴とするインプラント。
【請求項2】
上記半球体の直径は約80mmであることを特徴とする請求項1に記載のインプラント(100、200)。
【請求項3】
上記半球体は上向きの縁(1)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のインプラント(100、200)。
【請求項4】
上記半球体は0.1mm〜2cmの範囲の厚み(3;4)、好ましくは約0.5mm〜0.6mmの範囲の厚み(3;4)を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインプラント(100、200)。
【請求項5】
上記半球体は上記縁(1)上に複数個の穴(2)を有しており、好ましくは当該穴の直径が0.1mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項4に記載のインプラント(100)。
【請求項6】
熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素の上記被覆(5)は、約0.2ミクロン〜0.3ミクロンのマイクロフィルムであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインプラント(200)。
【請求項7】
上記膀胱に対する縫合は、吸収性の物質または非吸収性の物質、好ましくは吸収性の物質から作製された縫合糸を用いることによって行われることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインプラント(100、200)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、委縮症の膀胱の処置および治療において、低伸展性(低充填容量)の患者における膀胱を拡張するための半球体に関する。
【0002】
低伸展性の患者は、一般的に、委縮症の膀胱を有しており、その容積は約150〜200ccであり、通常約400ccである健康な膀胱の容積よりも非常に小さい。このことは、直感的に理解できるように、患者に対して深刻な問題を引き起こす。
【0003】
膀胱を拡張するための外科的な処置において、委縮症の膀胱の人工膀胱(例えばWO2009/077047に記載されたもの)との交換は、委縮症の膀胱の組織は壊れた組織とみなされないので、一般的に熟練を必要としない方法である。
【0004】
実際、委縮症の膀胱の使用可能な容積を増大させるために、通常、半球状の形態を有する人工器官が使用され、この人工器官は、切込みを入れた委縮症の膀胱に縫合される。
【0005】
この半球体は、適合性を高め、且つ線維性被膜の形成を抑制させると共に拒絶反応を軽減させるために、実際の患者自身の腸の組織を用いて作製される。
【0006】
しかし、腸の組織は、膀胱の機械的性質(例えば弾力性等)、すなわち膀胱を拡張するために必要な実質的な半球の形状を安定して取り得る能力を常に有しているとは限らない。
【0007】
特許出願WO2007/095193には、培養細胞、自家細胞、または異種細胞の集団によって覆われた半球体で構成されたインプラントであり、患者において当該インプラントが後に埋め込まれる組織または器官の3次元構造を、遺伝子の実験室において再構成するのに適したインプラントが記載されている。この半球体は、それゆえに、生体外において培養された細胞群をその表面に堆積するための支持体として使用される。
【0008】
このインプラントは、細胞群によって被覆された後にただ埋め込まれるだけであるが、細胞群によって被覆される前に、一連の長期間にわたる且つ面倒な準備段階、すなわち、細胞が生育できるように上記半球体の表面を前処理する段階だけでなく、生体組織検査法によって培養されるための細胞を分離する最初の段階、分離された細胞の数、すなわち細胞群の1つを増大させる段階を行う必要があるので、このインプラントは、製造するには多少の手間がかかり、高価であり、且つ長期間にわたる。
【0009】
その上、上記半球体は、当該半球体の全体を覆って存在する組織を傷つけることなく外科医が取り扱うために必要なフィン、リングおよびハンドピースを備える必要があり、それゆえに、この半球体の構造はより複雑になる。
【0010】
平面的な形状またはわずかに湾曲した形状を有するインプラントもまた、膀胱の壁面の一部と交換するのに適したものとして知られている(例えば、WO2007/039160に記載されたパッチおよびWO2011/018300に記載された足場等)。しかし、その形状は一定であり、容積に恵まれた装置に変形され得ないという理由から、このインプラントは、膀胱拡張のために使用することはできない。
【0011】
本発明の目的は、低伸展性の患者における膀胱拡張のための装置(インプラント)を提供することによって、少なくとも一部分において先行技術の不都合な点を解消することである。上記装置は、弾力性があるだけでなく、膀胱の丸みのある形状を維持することができる程度に剛性も備えており、一度埋め込まれると、起こり得る液漏れを起こさないことに信頼性があり、且つ尿に対して耐久性を有する。
【0012】
本発明の他の目的は、拒絶反応を起こさず、線維性被膜と癒着しにくく、且つ元の組織と似た性質の組織を再構成することができる高い適合性を付与された装置を提供することである。
【0013】
さらに、本発明の他の目的は、操作が単純且つ簡単であり、過度の準備段階を経ることなく患者に埋め込まれることができる装置を提供することである。
【0014】
これらの目的は、添付された独立請求項1に記載された特徴を有している発明に一致する生体適合性の半球状の装置によって達成される。本発明の有利な実施形態は、独立請求項によって開示される。
【0015】
委縮症の膀胱を拡張するための本発明に係る装置は、ドーム状の半球体で構成され、弾性と柔軟性とを有し且つ所定の容積を有している内部が空洞であり、且つ一旦埋め込まれるとその周囲に線維性被膜を形成しないことを保証する生体適合性の材料から一体成形にて製造される。
【0016】
生体適合性の材料は、PLA、または熱分解性の乱層構造炭素若しくは非晶質のダイヤモンド状炭素によって被覆されたシリコーンから選択される。この半球体は、熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素によって被覆される場合であっても、内面および外面が滑らかである。その上、この半球体は、培養された組織細胞によって全く被覆されておらず、且つ成長している組織の移植を促進するための表面処理も全くされていない。実際には、上記半球体は、患者の体内に挿入された後に初めて足場として機能することに適している。また、患者の組織の再構成過程は、上記半球体の挿入の後に起こるのみであり、上記半球体は、その結果生じる線維性被膜由来の自家細胞のみを上記半球体上において成長させることに適している。
【0017】
上記半球体は、取り除かれなかった膀胱の部位に上記半球体を固定するための縫合糸を通すために、外側に張り出した上記半球体の縁の周囲に(輪縁を経由して)等間隔に配置された複数の穴を有していてもよい。
【0018】
本発明の装置の半球体の形状は、鋳型法による本発明の装置の製造工程の間、つまり実施段階ではなく製造中に付与される。
【0019】
さらに、本発明の特徴は、添付の図面において図示された具体例に限定されることなく、純粋に本発明の実施形態の1つに言及している後述の詳細な説明によって明らかにされるであろう。添付された図面は以下である:
図1は、関連する尿管および尿道を備えた低伸展性の膀胱の透視図である;
図2は、本発明の半球体と交換されるために上部が切り取られた
図1の膀胱の透視図である;
図3a)は、本発明の第1の実施形態に係る半球体を下方から見た平面図である;
図3b)は、線I−Iに沿った
図1a)の半球体の断面図である;
図4a)は、本発明の第2の実施形態に係る半球体を下方から見た平面図である;
図4b)は、線II−IIに沿った
図2a)の半球体の断面図である;
図5a)および
図5b)は、半球体を挿入したことによる拡張段階における委縮症の膀胱の透視図である。
【0020】
上で示された
図3〜4(a,b)を参照すると、本発明に係る半球体が記載されており、参照番号100によって全体が表示される。
【0021】
半球体100は、内部が空洞であり、平面図において直径約80mmの円状の輪郭を有し、且つ外側に張り出した上向きの縁1を有している。
【0022】
本発明の第1の実施形態において、半球体100は、生体適合性の重合体から作られている。上記生体適合性の重合体も吸収性であり、乳酸(L−乳酸、D−乳酸、ラセミ混合物、二量体、エステル等、またはこれらの組合せ)の基部を有しているホモ重合体または共重合体によって構成される。
【0023】
ポリ(D−ラクチド)酸またはポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)共重合体ポリエステル(PLDLA、または他にはPLDL若しくはPLLA/PDLLAとしても特定される。)が特に好ましい。このポリエステルは、L−ラクチド:D,L−ラクチドの単量体の構成比率がおよそ70:30である共重合体である。単量体の構成比率が異なるものを、上で規定したようなPLDLA共重合体に使用することもまた可能である。例えば、L−ラクチドコモノマーの単量体含有量が、70%〜30%の間(D,L−ラクチドコモノマーは、100にするための補完的な部分である。)である共重合体である。
【0024】
使用できる重合体の他の例としては、ポリ−L−D−ラクチド酸であり、当該ポリ−L−D−ラクチド酸は、L−ラクチド:D−ラクチドの単量体の構成比率が70/30または50/50であるものが好ましい。
【0025】
乳酸の基部を有する上記重合体は、培養されていない細胞と接触する際は中性であると考えられる。このことは、成長している周囲の組織の細胞の近くに埋められた上記装置を急速に安定させる。同時に、これらの重合体と生体分子との間の相互作用が減少することから、接着性は低下する。
【0026】
半球体100の厚み3は、本発明の目的のために拘束されない。その厚さは相当薄いが、結果として半球体が自立する程度に十分な剛性を保証する程度の厚さであることから、膀胱が満たされた状態および空になった状態に起因する膀胱の膨張の動き(膨張)および虚脱のために必要な弾力性および柔軟性を同時に保証している。
【0027】
厚み3は、0.1mmから2cmの間を変動してもよい。好ましい実施形態において、厚み3は、半球体がシリコーン製である場合に、およそ0.5〜0.6mmであり、半球体がPLA製である場合に、約1mmである。
【0028】
ポリ乳酸製の半球体100の縁1上に、複数個の穴2が存在し、これらの穴2の間隔は、本発明の目的のために拘束されず、穴2の直径に依存している。穴2の直径は、0.1mmから3.0mm間の値から構成される最小値から最大値まで変動してもよい。
【0029】
好ましい実施形態において、穴2は、直径約1mmであり、穴2の互いの間隔幅は、2.5mmである。
【0030】
たとえ、高分子材料から成る一体成形にて形成された凹形であり且つ中空の物体を形成するために通常使用されている他の既知の技術を用いてPLA製の半球体100を取得することができるとしても、上記のPLA製の半球体100は、鋳型法によって取得される。
【0031】
図4a、4bにおいて、本発明に係る半球体の第2の実施形態が図示され、参照番号200を用いて表示される。
【0032】
半球体200は、半球体100と実質的に同じ直径(または球の半径)と、同じ上向きの縁1を有し、さらに、熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素(DLC)によって内面および外面が被覆されたシリコーンから形成される。
【0033】
非晶質のダイヤモンド状炭素は、炭素被覆であり、白色または透明であり、硬度等の表面抵抗および摩耗に対する抵抗性に顕著な特徴を有しているダイヤモンドに似た層状構造(実際、「ダイヤモンド状炭素」として規定される。)を有しているのみならず、皮膚によって十分に許容され、且つ腐食に対する抵抗性を有し、さらには弾性体である。
【0034】
さらには、細胞や微生物と接触した場合に、非晶質のダイヤモンド状炭素は中性である。このことは、成長している周囲の組織の細胞の近くに埋められた上記装置を急速に安定させる。同時に、被覆面と生体分子との間の相互作用が減少することから、接着性は低下する。
【0035】
非晶質のダイヤモンド状炭素のこの被覆は、種々の化合物を用いて「ドープ」され得、その結果、撥油性および撥水性を獲得する。
【0036】
熱分解性の乱層構造炭素製の被覆もまた、表面抵抗、摩耗に対する抵抗性、腐食に対する抵抗性を有している。そのうえ、上記熱分解性の乱層構造炭素はまた、細胞と接触した場合に中性であり、その結果として、成長している周囲の組織の細胞の近くに埋められた上記装置を急速に安定させる。
【0037】
同時に、被覆面と生体分子との間の相互作用が減少することから、組織に対する熱分解性の乱層構造炭素の接着性もまた、完全に消失する。このように、他の物質(例えば、シリコーンのみから成る膜)を使用する場合に代わりに生じる周囲の組織との癒着の現象が実質的に消失する。
【0038】
実際、シリコーンは、ポリタンパク質の線維性の成長物(赤血球)と相互に浸透し合い、且つ新たな組織と癒着する性質を有している。
【0039】
本発明の装置の周囲に再構成される組織は、この装置が、PLA製であろうと被覆されたシリコーン製であろうと、さらに元の組織と似た性質であり、特に、元の組織と実質的に同じ弾力性を示す。
【0040】
使用されるシリコーンは、例えば、ジメチルシロキサンとメタビニルシロキサンとの共重合体を用いてケイ素によって強化することで製造され得る。医学的用途のためのシリコーンは、例えば、コードMED4735
TMとして知られ、ヌシルテクノロジー(Nusil Technology)社によって市販されているシリコーン等が好ましく使用される。
【0041】
非常に弾力性に富む半球体200を縫合するのと同時に穴2を作り出すことができるので、被覆されたシリコーン製の半球体200は、縁1に沿って穴2を有していないことが好ましい。
【0042】
実際に、半球体200を構成するシリコーンの層は、膀胱に適切な機能を確保するために、十分な柔軟性を付与された膜によって形成される。シリコーン製の半球体200の厚み4は、約600ミクロンであることが好ましい。
【0043】
熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素(DLC)製の被覆5の層厚さは、本発明の目的のために拘束されず、例えば、およそ0.2〜0.3ミクロンのマイクロフィルムであってもよい。
【0044】
熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素(DLC)から成る被覆5の適用は、例えばDLCの場合はPVD等の公知技術によって施される。
【0045】
半球体100、200は、無菌室において、制御された環境中、すなわち雑菌の混入を制御しながら製造される。一旦工程が終了すると、半球体100および200は、雑菌の混入を回避するためにTyvekのシートに包まれ、そしてETO(エチレンオキシド)の塩基を用いる殺菌のサイクルに送られるか、または(PLAの場合には)ガンマ線を用いた殺菌サイクルに送られる。この時点で、この半球体は、手術において使用される準備が整っている。
【0046】
培養細胞が全く被覆されていない半球体100、200は、尿管および尿道と膀胱との連結部を無傷な状態のまま膀胱を区分化して上方の部分を除去した後に、公知の外科技術に従って、切除された部分の代わりに膀胱に適用される。
【0047】
実際、委縮症の膀胱300(
図1)は、まず2つの部分に切り分けられることができ、そのうちの上方の部分21(
図2)は除去され、一方除去されなかった下方の部分22の境界の周囲に、半球体100または200が縫合される。
【0048】
もう一つの方法として、
図5a)および
図5b)に図示されたとおり、尿管および尿道を含む委縮症の膀胱300は、ただ十字型に切込みを入れられ、開かれ、そしてその後に上記切込みによって生じた開口部の縁の周囲において半球体100、200と縫合される。この埋め込まれた半球体の周囲にポリタンパク質の被膜の自然な成長に由来する新たな組織であり、従って培養細胞に由来するものではない新たな組織が、その後、この半球体の全体を覆って形成されるであろう。
【0049】
上述の半球体100、200の各々の実施形態のために、吸収性の、または非吸収性の物質から成る縫合糸が、全ての縫合のために使用されてもよい。熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素を用いて被覆されたシリコーン製の半球体の場合は、吸収性の糸を使用することが好ましい。一定期間の後、一般的には30日後に、腹腔鏡検査法または内視鏡検査法における除去の手段によるわき腹からの半球体200の簡単な回収によって、半球体200を簡単に取り除くことができるからである。そして、上記除去手段は、外来病院または外来外科または手術室を備える外来病院において実施され、麻酔することもなく数分間で可能である。吸収性の糸から作られた固定用縫合糸が吸収された後に、膀胱の再構成の過程が終了した際に上記半球体が膀胱内部に落下するので、実際、30日後に、被覆されたシリコーン製の上記半球体は除去される必要がある。
【0050】
PLA製の半球体100のための縫合糸もまた、吸収性の物質(例えば、本発明の半球体100のために上で述べられた重合体と同種のもの、好ましくはPLA、PLLA)から成ることが好ましい。この選択の理由は、半球体および縫合糸が同じタイムスパンにて吸収される必要性があるためである。縫合糸は、その後、「Bassini」製の針を含む、円形に3/4曲げられた円筒形の針に挿入される。
【0051】
いかなる場合にも、問題となっている患者および外科医の裁量における要求に都合よく適合し得る生体吸収性の重合体から成る他の縫合糸が存在する。しかし、PLA製の半球体100の場合においては、30日後にPLAが吸収されるため、縫合糸の材料を選択することはあまり重要ではない。
【0052】
縫合の縫い目の経路のための穴2は、組織が数時間で再構成されるという点で、液体が漏れる危険性がない。尿(液体)の漏れを防ぐために、例えばGlubran2
TM等の普通に市販されている外科用接着剤を1cc(1滴)用いて、縫合の縫い目の穴をしっかりと閉じることができる。
【0053】
本発明の半球体100、200の利点の1つは、成長している組織に対して全く接着性を示さない、熱分解性の乱層構造炭素または非晶質のダイヤモンド状炭素から成る被覆と、PLAの吸収性とのおかげで、線維性被膜に癒着する危険性が全くないことである。
【0054】
その上、半球体100、200は、シリコーンから成る場合には、尿に対して耐性があり、かなりの弾力性も備えている。
【0055】
本発明の半球体が患者の体内に埋め込まれた後に初めて足場として機能し、組織反応および生体組織の再構成の過程によって生成される線維性被膜由来の自家細胞のみを半球体上に成長させるという事実を考慮に入れると、他の利点は、本発明の半球体がWO2007/095193によって教示されたものとは反対に、生体外にて培養された細胞を用いて半球体表面を予め被覆せずに、患者におけるインプラントとして使用され得るという事実によって説明される。
【0056】
培養された細胞は患者自身またはドナーに由来し、異種細胞または混合物であり、それゆえにこれらの細胞は受容者に適合させるために免疫抑制療法を義務的に受ける必要があることを考えると、このことは、機械、器具並びに遺伝学、組織工学および生物学における高い能力を有するスタッフを使用しないので、時間および費用における節約という結果をもたらす。
【0057】
例えばWO2007/095193における技術において、新たな組織または新たな膀胱は、尿管および尿道を含む1つまたは2つの半球体上に配置された培養物を使用して、実験室のドラフト内で作製される。さらに、この新たな組織または新たな膀胱は、膀胱を完全に除去した上で、尿管および尿道を縫合して、患者の体内に埋め込まれる。それゆえに、新たな膀胱またはその一部は、培養された細胞を用いて、すでに実験室にて作製されているため、患者の体内にて形成される必要がない。実際には、埋め込まれる際に新たな膀胱がすでに作製されているので、上記先行技術のこれらの足場を覆って成長する組織は存在せず、これらの吸収および患者の体内における新たな膀胱の統合のみが存在する。
【0058】
多数の改良および変更が、添付された請求項によって開示された発明の範囲を越えない限りにおいて、当業者が理解できる範囲で、本願の実施形態に対してされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】関連する尿管および尿道を備えた低伸展性の膀胱の透視図である。
【
図2】本発明の半球体と交換されるために上部が切り取られた
図1の膀胱の透視図である。
【
図3a】本発明の第1の実施形態に係る半球体を下方から見た平面図である。
【
図3b】線I−Iに沿った
図1aの半球体の断面図である。
【
図4a】本発明の第2の実施形態に係る半球体を下方から見た平面図である。
【
図4b】線II−IIに沿った
図2aの半球体の断面図である。
【
図5a】半球体を挿入したことによる拡張段階における委縮症の膀胱の透視図である。
【
図5b】半球体を挿入したことによる拡張段階における委縮症の膀胱の透視図である。