特許第5919320号(P5919320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5919320環境保全システム及びそれを使用する工場
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919320
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】環境保全システム及びそれを使用する工場
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/46 20060101AFI20160428BHJP
   F26B 23/00 20060101ALI20160428BHJP
   F23G 7/06 20060101ALI20160428BHJP
   F25B 15/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   F23G5/46 Z
   F26B23/00 A
   F23G7/06 D
   F23G7/06 101D
   F25B15/00 301E
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-61187(P2014-61187)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-68636(P2015-68636A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2014年3月25日
(31)【優先権主張番号】102135423
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】510168117
【氏名又は名称】ティーエスアールシー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100105991
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100114465
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100156915
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 奈月
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ジュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】リン,チェン,シェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シェン−テ
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−254827(JP,A)
【文献】 特開2007−247922(JP,A)
【文献】 特開2002−286324(JP,A)
【文献】 特開2002−061983(JP,A)
【文献】 特開平11−325443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/46
F23G 7/06
F25B 15/00
F26B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥ユニットを有する工場で運用される環境保全システムであって、
廃ガスを処理して熱ガスを生成する蓄熱燃焼ユニットと、
前記蓄熱燃焼ユニット及び乾燥ユニットに接続される第1の熱ガスパイプラインであって、前記熱ガスが、前記蓄熱燃焼ユニットから出て、第1の熱ガスパイプラインを介して前記乾燥ユニットに入る、第1の熱ガスパイプラインと、
前記第1の熱ガスパイプラインに配置され、前記第1の熱ガスパイプラインから熱を吸収する熱回収ユニットと、
工場内の冷却されるターゲットに接続される吸収冷凍ユニットと、
前記熱回収ユニット及び前記吸収冷凍ユニットに接続される温液パイプラインとを備え、前記熱回収ユニットは、前記吸収冷凍ユニットを作動させて前記ターゲットを冷却するように、前記温液パイプラインを介して熱を前記第1の熱ガスパイプラインから前記吸収冷凍ユニットに伝達し、
前記熱回収ユニットが前記蓄熱燃焼ユニットと前記乾燥ユニットとの間に位置し、熱ガスが前記乾燥ユニットに達する前に、前記熱回収ユニットによって冷却されることを特徴とする、環境保全システム。
【請求項2】
前記乾燥ユニット及び前記蓄熱燃焼ユニットに接続され、前記熱ガスを前記乾燥ユニットから前記蓄熱燃焼ユニットに移送するように適合した第2の熱ガスパイプラインを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の環境保全システム。
【請求項3】
前記温液パイプラインがループを形成し、前記吸収冷凍ユニットと前記熱回収ユニットとの間を接続できるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の環境保全システム。
【請求項4】
前記吸収冷凍ユニット及び前記ターゲットを接続し、ループを形成し、前記吸収冷凍ユニットと前記ターゲットとの間を接続できるようにする冷凍液パイプラインを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の環境保全システム。
【請求項5】
前記工場が加熱ユニットを有し、前記環境保全システムが前記加熱ユニット及び前記蓄熱燃焼ユニットを接続する第3の熱ガスパイプラインを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の環境保全システム。
【請求項6】
前記工場が加熱ユニットを有し、前記環境保全システムが前記加熱ユニットと前記熱回収ユニットとを接続する第4の熱ガスパイプラインを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の環境保全システム。
【請求項7】
環境保全システムを有する工場であって、
前記工場は、
化学物質を生成する反応器と、
化学物質製造プロセスにおいて回収された反応物を分離する分離ユニットと、
前記分離ユニット及び前記反応器を接続し、分離された反応物を反応器に戻す反応物回収パイプラインとを備え、
前記環境保全システムは、
第1の熱ガスパイプラインと、第1の熱ガスパイプラインに配置される熱回収ユニットであって、第1の熱ガスパイプラインから熱を取り込む、熱回収ユニットと、
前記熱回収ユニットに接続される温液パイプラインと、
前記温液パイプラインに配置される吸収冷凍ユニットと、
前記吸収冷凍ユニット及び前記反応物回収パイプラインに接続される冷凍液パイプラインとを備え、
前記熱回収ユニットが、前記温液パイプラインを介して、熱を前記吸収冷凍ユニットに伝達し、前記吸収冷凍ユニットによって前記冷凍液パイプラインを冷却し、それにより、前記反応物回収パイプラインを冷却し、
前記工場がさらに、化学物質を乾燥させるように適合し、前記第1の熱ガスパイプラインに接続される乾燥ユニットを含み、
前記環境保全システムが前記第1の熱ガスパイプラインに接続され、第1の熱ガスパイプラインに入れられる熱ガスを生成するように適合された蓄熱燃焼ユニットをさらに備え、前記熱回収ユニットが前記蓄熱燃焼ユニットと前記乾燥ユニットとの間に位置し、熱ガスが前記乾燥ユニットに達する前に、前記熱回収ユニットによって冷却されることを特徴とする工場。
【請求項8】
前記環境保全システムが、前記乾燥ユニット及び前記蓄熱燃焼ユニットを接続し、前記熱ガスを前記乾燥ユニットから前記蓄熱燃焼ユニットに移送する第2の熱ガスパイプラインを更に備えることを特徴とする、請求項7に記載の工場。
【請求項9】
加熱ユニットと、前記加熱ユニット及び前記蓄熱燃焼ユニットを接続する第3の熱ガスパイプラインとを更に備えることを特徴とする、請求項8に記載の工場。
【請求項10】
加熱ユニットと、前記加熱ユニット及び前記熱回収ユニットを接続する第4の熱ガスパイプラインとを更に備えることを特徴とする、請求項7に記載の工場。
【請求項11】
環境保全システムを有する工場であって、
前記工場は、
化学物質を生成する反応器と、
原材料を前記反応器に移送する反応溶液パイプラインとを備え、
前記環境保全システムは、
第1の熱ガスパイプラインと、第1の熱ガスパイプラインに配置される熱回収ユニットであって、第1の熱ガスパイプラインから熱を取り込む、熱回収ユニットと、
前記熱回収ユニットに接続される温液パイプラインと、
前記温液パイプラインに配置される吸収冷凍ユニットと、
前記吸収冷凍ユニット及び前記反応溶液パイプラインを接続する冷凍液パイプラインとを備え、
前記熱回収ユニットは、前記温液パイプラインを介して、熱を前記吸収冷凍ユニットに伝達し、前記吸収冷凍ユニットによって前記冷凍液パイプラインを冷却し、それにより、前記反応溶液パイプラインを冷却し、
前記工場がさらに、化学物質を乾燥させるように適合し、前記第1の熱ガスパイプラインに接続される乾燥ユニットを含み、
前記環境保全システムが前記第1の熱ガスパイプラインに接続され、第1の熱ガスパイプラインに入れられる熱ガスを生成するように適合された蓄熱燃焼ユニットをさらに備え、前記熱回収ユニットが前記蓄熱燃焼ユニットと前記乾燥ユニットとの間に位置し、熱ガスが前記乾燥ユニットに達する前に、前記熱回収ユニットによって冷却されることを特徴とする工場。
【請求項12】
前記環境保全システムが、前記乾燥ユニット及び前記蓄熱燃焼ユニットを接続し、前記熱ガスを前記乾燥ユニットから前記蓄熱燃焼ユニットに移送する第2の熱ガスパイプラインとを更に備えることを特徴とする、請求項11に記載の工場。
【請求項13】
加熱ユニットと、前記加熱ユニット及び前記蓄熱燃焼ユニットを接続する第3の熱ガスパイプラインとを更に備えることを特徴とする、請求項12に記載の工場。
【請求項14】
加熱ユニットと、前記加熱ユニット及び前記熱回収ユニットを接続する第4の熱ガスパイプラインとを更に備えることを特徴とする、請求項13に記載の工場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境保全システムに関し、より詳細には、工場において使用する環境保全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、工場は今日、エネルギー及び資源を無駄にするという代償を払って廃物を処理する。化学工場を例にとると、化学工場は製品製造プロセスを実行し、そのプロセスは、揮発性有機化合物のような、特定量の廃ガス又は余剰ガスを生成し、それらのガスは、従来のフレアタワーに排出され、燃焼プロセスを経た後に環境に排出される。施行されている環境保護法においては、従来のフレアタワーは、プロセス誤動作後の緊急の廃ガス/余剰ガス排出に限定されており、正規の環境保護処理機器又は装置としての役割を果たすのを禁じられる。廃ガス/余剰ガスは、環境に排出される前に、蓄熱酸化炉又は任意の他の焼却炉のような環境保護処理システムで処理されなければならない。それゆえ、工場は、環境保全システムに十分な努力を払う必要がある。環境保全システムは廃ガスを清浄ガスに変換し、その後、清浄ガスを環境に放出する。燃焼生成物としての清浄ガスは高いレベルの熱エネルギーを有する。その熱エネルギーを有効に利用することなく、人類が清浄ガスを放出するなら、エネルギーを無駄にすることになる。更に、環境保護法が高温で清浄ガスを放出することを禁じる。それゆえ、環境保護法に従うには、清浄ガスを環境に放出する前に、冷却装置を用いて清浄ガスの温度を適切な温度まで下げる必要がある。しかしながら、環境に放出されることになる清浄ガスを冷却するためだけに冷却装置を設置することによって、結局は資源の無駄になる。このことに鑑みて、工場、特に上記の廃ガス処理に関連する問題に直面する工場は、一般に、エネルギー及び資源の無駄に関連する問題を解決するのに有効な適切な環境保全システムを待ち望んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は工場内で運用される環境保全システムを提供する。本発明の環境保全システムを運用することができる工場は、余剰熱又は廃ガスを生成する任意の工場を含むことが好ましい。余剰熱又は廃ガスは原材料、生成物若しくは中間生成物から生じるか、又は製造プロセス、装置メンテナンスプロセス、完成品パッケージングプロセス及び廃物処理の結果として生成される。廃ガスは有機化学物質を含み、有機化学物質は常温常圧において気化する可能性があり、それゆれ、人間及び地球の生態学的環境にとって有害であって、これらは一般的に揮発性有機化合物として知られている。本発明の環境保全システムを運用することができる工場は、乾燥ユニットを備えることが好ましい。乾燥ユニットは、原材料、生成物若しくは中間生成物を乾燥させるか、又はパッケージ若しくは容器を乾燥させる任意の装置を含む、任意の物質を乾燥させる装置を含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では、その環境保全システムは、余剰熱を冷凍に利用することによって工場の余剰熱を回収する。本発明の別の態様では、環境保全システムは、工場の廃ガスを清浄ガスに変換し、変換によって生じた熱を冷凍に利用する。本発明の更に別の態様では、熱回収により、清浄ガスを冷却し、乾燥時に使用できるようにする。
【0005】
一実施形態では、本発明は乾燥ユニットを有する工場において運用される環境保全システムを提供する。その環境保全システムは、廃ガスを処理して熱ガスを生成する蓄熱燃焼ユニットと、蓄熱燃焼ユニット及び乾燥ユニットに接続される第1の熱ガスパイプラインであって、熱ガスが、蓄熱燃焼ユニットから出て、第1の熱ガスパイプラインを介して乾燥ユニットに入る、第1の熱ガスパイプラインと、第1の熱ガスパイプラインに(例えば、その付近に)配置され、第1の熱ガスパイプラインから熱を吸収するように適合した熱回収ユニットと、工場内の冷却されるターゲットに接続される吸収冷凍ユニットと、熱回収ユニット及び吸収冷凍ユニットに接続される温液パイプラインとを備え、熱回収ユニットは、吸収冷凍ユニットを作動させてターゲットを冷却するように、温液パイプラインを介して熱を第1の熱ガスパイプラインから吸収冷凍ユニットに伝達する。
【0006】
上記環境保全システムでは、乾燥ユニットは、化学物質を乾燥させる際に選択的に用いられ、化学物質に熱ガスを吹きかけることによって、化学物質を乾燥させる。
【0007】
上記環境保全システムでは、熱ガスは熱回収ユニットを通り抜け、冷えた後に、乾燥ユニットに達することが好ましい。
【0008】
上記環境保全システムは、乾燥ユニット及び蓄熱燃焼ユニットに接続され、熱ガスを乾燥ユニットから蓄熱燃焼ユニットに移送するように適合した第2の熱ガスパイプラインを更に備えることが好ましい。
【0009】
上記環境保全システムでは、温液パイプラインがループを形成し、吸収冷凍ユニットと熱回収ユニットとの間を(例えば、吸収冷凍ユニットから熱回収ユニットに、及び/又はその逆に)接続できるようにすることが好ましい。
【0010】
上記環境保全システムでは、環境保全システムは、吸収冷凍ユニット及びターゲットを接続し、ループを形成し、吸収冷凍ユニットとターゲットとの間を(例えば、吸収冷凍ユニットからターゲットに、及び/又はその逆に)接続できるようにする冷凍液パイプラインを更に備えることが好ましい。
【0011】
上記環境保全システムに関して、工場は加熱ユニットを有することが好ましく、環境保全システムは、加熱ユニット及び蓄熱燃焼ユニットを接続する第3の熱ガスパイプラインを更に備える。
【0012】
上記環境保全システムに関して、工場は加熱ユニットを有することが好ましく、環境保全システムは、加熱ユニットと熱回収ユニットとを接続する第4の熱ガスパイプラインを更に備える。
【0013】
別の実施形態では、本発明は環境保全システムを有する工場を提供する。その工場は、化学物質を生成する反応器と、化学物質製造プロセスにおいて回収された反応物を分離する分離ユニットと、分離ユニット及び反応器を接続し、分離された反応物を反応器に戻す反応物回収パイプラインと、環境保全システムとを備え、環境保全システムは、第1の熱ガスパイプラインと、第1の熱ガスパイプラインに配置される熱回収ユニットであって、第1の熱ガスパイプラインから熱を取り込む、熱回収ユニットと、熱回収ユニットに接続される温液パイプラインと、温液パイプラインに配置される吸収冷凍ユニットと、吸収冷凍ユニット及び反応物回収パイプラインに接続される冷凍液パイプラインとを備え、熱回収ユニットは、温液パイプラインを介して、熱を吸収冷凍ユニットに伝達し、吸収冷凍ユニットによって冷凍液パイプラインを冷却し、それにより、反応物回収パイプラインを冷却する。
【0014】
工場に関して、冷凍液パイプラインが反応物回収パイプラインを冷却する前に、反応物回収パイプラインは、反応器よりも高い温度を有する。
【0015】
上記工場は、化学物質を乾燥させるように適合し、熱ガスパイプラインに接続される乾燥ユニットを有し、熱ガスは、熱回収ユニットによって冷却された後に、乾燥ユニットに達することが好ましい。
【0016】
工場に関して、上記環境保全システムは、第1の熱ガスパイプラインに接続され、第1の熱ガスパイプラインに入れられる熱ガスを生成するように適合した蓄熱燃焼ユニットを備えることが好ましい。
【0017】
工場に関して、乾燥ユニットは、化学物質を乾燥させる際に用いられることが好ましく、化学物質に熱ガスを吹きかけることによって、化学物質を乾燥させる。
【0018】
工場に関して、上記環境保全システムは、第1の熱ガスパイプラインに接続され、第1の熱ガスパイプラインを介して最終的に乾燥ユニットに達する熱ガスを生成するように適合した蓄熱燃焼ユニットを備えることが好ましく、環境保全システムは、乾燥ユニット及び蓄熱燃焼ユニットを接続し、熱ガスを乾燥ユニットから蓄熱燃焼ユニットに移送する第2の熱ガスパイプラインを更に備える。
【0019】
工場は、加熱ユニットと、加熱ユニット及び蓄熱燃焼ユニットを接続する第3の熱ガスパイプラインとを備えることが好ましい。
【0020】
工場は、加熱ユニットと、加熱ユニット及び熱回収ユニットを接続する第4の熱ガスパイプラインとを備えることが好ましい。
【0021】
更に別の実施形態では、本発明は環境保全システムを有する工場を提供する。その工場は、化学物質を生成する反応器と、原材料を反応器に移送する反応溶液パイプラインとを備える。その環境保全システムは、第1の熱ガスパイプラインと、第1の熱ガスパイプラインに配置される熱回収ユニットであって、第1の熱ガスパイプラインから熱を取り込む、熱回収ユニットと、熱回収ユニットに接続される温液パイプラインと、温液パイプラインに配置される吸収冷凍ユニットと、吸収冷凍ユニット及び反応溶液パイプラインを接続する冷凍液パイプラインとを備え、熱回収ユニットは、温液パイプラインを介して、熱を吸収冷凍ユニットに伝達し、吸収冷凍ユニットによって冷凍液パイプラインが冷却され、それにより、反応溶液パイプラインを冷却する。
【0022】
工場に関して、冷凍液パイプラインが反応溶液パイプラインを冷却する前に、反応溶液パイプラインは反応器よりも高い温度を有する。
【0023】
工場に関して、環境保全システムは、第1の熱ガスパイプラインに接続され、かつ第1の熱ガスパイプラインに入れられ、最終的に乾燥ユニットに移送されることになる熱ガスを生成するように適合した蓄熱燃焼ユニットと、乾燥ユニット及び蓄熱燃焼ユニットを接続し、熱ガスを乾燥ユニットから蓄熱燃焼ユニットに移送する第2の熱ガスパイプラインとを備えることが好ましい。
【0024】
上記工場は、加熱ユニットと、加熱ユニット及び蓄熱燃焼ユニットを接続する第3の熱ガスパイプラインとを備えることが好ましい。
【0025】
上記工場は、加熱ユニットと、加熱ユニット及び熱回収ユニットを接続する第4の熱ガスパイプラインとを備えることが好ましい。
【0026】
本明細書では、環境保全システムを有する工場も開示され、その工場は、化学物質を生成する反応器と、(i)化学物質製造プロセスにおいて回収された反応物を分離する分離ユニットと、分離された反応物を反応器に戻すために、分離ユニット及び反応器を接続する反応物回収パイプラインとを備えるか、又は(ii)原材料を反応器に移送する反応溶液パイプラインとを備えるか、又は(i)及び(ii)の両方を備え、その環境保全システムは、第1の熱ガスパイプラインと、第1の熱ガスパイプラインに配置される熱回収ユニットであって、第1の熱ガスパイプラインから熱を吸収する、熱回収ユニットと、熱回収ユニットに接続される温液パイプラインと、温液パイプラインに配置される吸収冷凍ユニットと、吸収冷凍ユニット及び反応物回収パイプライン及び/又は反応溶液パイプラインを接続する冷凍液パイプラインとを備え、熱回収ユニットは、温液パイプラインを介して、熱を吸収冷凍ユニットに伝達し、吸収冷凍ユニットは、冷凍液パイプラインの温度を下げ、それにより、反応物回収パイプライン及び/又は反応溶液パイプラインを冷却する。
【0027】
以下に説明される実施形態は、本発明の他の態様を例示し、それにより、本発明の上記の態様とともに他の問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による、環境保全システムのユニットと、その接続との概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態による、工場に環境保全システムを適用する概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態による、別の工場に別の環境保全システムを適用する概略図である。
図4】本発明による環境保全システムの乾燥ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施形態が、以下に記述され、添付の図面を用いて例示される。添付の図面において示される類似の構成要素は、類似の参照番号及び/又は記号で表される。本発明を明確に例示するために、添付の図面は縮尺どおりではない。本発明の技術的特徴を強調するために、以下の記述は従来の部品及び構成要素、関連する材料、並びにそれに関連する処理技術を省いている。
【0030】
本明細書において、或る物品が別の物品に「接続される」ことを表す用語(又は類似の言い回し)が用いられる場合に、これは、それらの物品が、例えば、単一の連続したパイプライン等によって互いに直接接続されることを必ずしも必要としない。互いに「接続される」それらの物品間に介在する構造物が存在する場合もある。
【0031】
図1を参照すると、本発明による、環境保全システム100のユニットおよびそれらの接続の概略図が示される。図1に示されるように、環境保全システム100は、乾燥ユニットDUを備えた工場内で稼働している。工場内に廃ガス10が存在する。環境保全システム100は、蓄熱燃焼ユニットRTUと、熱回収ユニットHRUと、吸収冷凍ユニットAHPと、蓄熱燃焼ユニットRTU及び乾燥ユニットDUに接続される熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1とを備える。熱回収ユニットHRUは、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1に配置され、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1によって蓄熱燃焼ユニットRTU及び乾燥ユニットDUに接続される。環境保全システム100は熱ガスパイプラインH3−A1−A2−H4を更に備え、熱ガスパイプラインH3−A1−A2−H4は、熱回収ユニットHRU及び吸収冷凍ユニットAHPを接続し、ループを形成し、熱回収ユニットHRUと吸収冷凍ユニットAHPとの間を接続できるようにする。
【0032】
図1を参照すると、蓄熱燃焼ユニットRTUは、廃ガス10を燃焼させ、処理して、熱ガス11を生成する。熱ガス11は、蓄熱燃焼ユニットRTUから出て、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1に入る。その後、熱ガス11は、熱回収ユニットHRUを通り抜け、その後、乾燥ユニットDUに達する。熱回収ユニットHRUは、熱回収ユニットHRUを通り抜ける熱ガス11から熱の一部を取り込み、その熱を温液パイプラインのパイプラインセグメントH3−A1に伝達する。それゆえ、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1の温度はT1(すなわち、パイプラインセグメントR1−H1における温度)からT2(すなわち、パイプラインセグメントH2−D1、H2−S1、H2−B3における温度)まで下がる。熱回収ユニットHRUから熱を受け取ると、温液パイプラインのパイプラインセグメントH3−A1は温度T4を有する。パイプラインセグメントH3−A1は吸収冷凍ユニットAHPを更に接続し、吸収冷凍ユニットAHPは、パイプラインセグメントH3−A1から熱を取り込み、それによってパイプラインセグメントA2−H4において温度がT3まで下がる。その後、パイプラインセグメントA2−H4は、熱回収ユニットHRUに戻り、パイプラインセグメントH3−A1における温度がT4まで上がるように、熱回収ユニットHRUから熱を取り込む。温液パイプラインH3−A1−A2−H4に加えて、吸収冷凍ユニットAHPを接続するパイプラインは、環境保全システム100内の冷却液パイプラインA3−A4−A5−A6及び冷凍液パイプラインA7−A8−A9−A10を更に含む。吸収冷凍ユニットAHPは、温液パイプライン、冷却液パイプライン及び冷凍液パイプラインとともに動作し、冷凍液パイプラインの温度をT6(パイプラインセグメントA7−A8における温度)からT7(パイプラインセグメントA9−A10における温度)まで下げ、冷却液パイプラインの温度をT8(すなわち、パイプラインセグメントA3−A4における温度)からT9(すなわち、パイプラインセグメントA5−A6における温度)まで上げる。それゆえ、工場の他のユニットに必要な温度に応じて、吸収冷凍ユニットAHPの冷却液パイプライン又は冷凍液パイプラインを、工場の他のユニットに適用することが可能である。工場の他のユニットの例は、プロセスにおいて使用する装置、冷却されることになるパイプライン、及び事務所又は建物の冷凍/空調用パイプラインを含む。
【0033】
図1を参照すると、廃ガス10を燃焼させるために、蓄熱燃焼ユニットRTUに適切な燃料12を供給する必要がある。蓄熱燃焼ユニットRTUは、燃焼を可能にする適切なガスを導入するガス注入口14、及び/又は廃ガス10から燃焼を妨げる不純物を濾過して除去するフィルタ15を更に備える。
【0034】
図1を参照すると、熱回収ユニットHRUを通り抜けた後に、熱ガス11は、熱ガスパイプラインのパイプラインセグメントH2−D1を介して乾燥ユニットDUに達するだけでなく、パイプラインセグメントC1−S1を介して煙突Sに排出される。乾燥ユニットDUに達すると、熱ガス11は乾燥ユニットDUと相互作用し、その温度がT2(すなわち、パイプラインセグメントH2−D1における温度)からT5(すなわち、パイプラインセグメントD2−W1、D3−S2における温度)まで下がるようになる。乾燥ユニットDUを通しての乾燥効果の結果として生成されたガスが依然として清浄である場合には、清浄ガスが煙突S(パイプラインセグメントD3−S2)に排出されることになる。しかしながら、乾燥ユニットDUを通しての乾燥効果の結果として生成されたガスが揮発性有機化合物を含むか、又は排出されるのに不適切である場合には、そのガスは廃ガス10と合流し、その後、蓄熱燃焼ユニットRTU(パイプラインセグメントD2−W1)に戻ることになる。
【0035】
図1を参照すると、熱回収ユニットHRUは、乾燥ユニットDU、すなわち、熱ガス11の行き先に前置される熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1に配置される。対照的に、別の実施形態では、熱回収ユニットHRUは、別の目的を果たすために、乾燥ユニットDU、すなわち、熱ガス11の行き先に後置される熱ガスパイプライン(D2−W1又はD3−S2)に配置される。
【0036】
図1を参照すると、蓄熱燃焼ユニットRTUから排出された熱ガス11は、熱回収ユニットHRUに達するために熱ガスパイプラインR1−C2−H1に入るだけでなく、工場の加熱ユニットBに達するために別の熱ガスパイプラインR1−C2−B2にも選択的に入る。例えば、加熱ユニットBは水を加熱し、水蒸気を生成するか、液体を加熱するか、又はガスを加熱する。加熱ユニットBに接続される熱ガスパイプラインR1−C2−B2は、工場が熱回収ユニットHRUを備えていない状況、及び熱回収ユニットHRUが一時的に休止しているが、蓄熱燃焼ユニットRTUが稼働している状況を含む、全ての状況において良好に機能する。同様に、熱回収ユニットHRUから排出される熱ガス11は、乾燥ユニットDUに達するために、熱ガスパイプラインH2−C1−D1に入るだけでなく、加熱ユニットBに達するために、熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3にも選択的に入る。加熱ユニットBに接続される熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3は、工場が乾燥ユニットDUを備えていない状況、及び乾燥ユニットDUが一時的に休止しているが、熱回収ユニットHRUが稼働している状況を含む、全ての状況において良好に機能する。加熱ユニットBに接続される熱ガスパイプラインは、熱が煙突Sに直接排出され、それによりエネルギーが無駄になるのを防ぐ。加熱ユニットBは、熱ガスパイプラインB1−S3を選択的に更に備えており、それにより、加熱ユニットBを通り抜けて冷えた熱ガス11が煙突Sに排出される。
【0037】
図2を参照すると、本発明の第1の実施形態による、環境保全システム101を化学工場200に適用する概略図が示される。図2に示されるように、化学工場200は、スチレン又は他の化学物質のような原材料からゴムを製造する。化学工場200は、その反応温度がT21(図示せず)に設定された反応器(図示せず)と、ゴムを乾燥させる乾燥ユニットDUと、ゴム製造プロセスにおいて回収された反応物を分離し、再利用する分離ユニット20とを備える。反応混合物は、スチレン、水、他の原材料又は不純物を含む。この実施形態では、分離ユニット20は、ストリップ塔又は任意の適切な分離装置である。反応混合物が分離ユニット20を用いて処理された後に、スチレンが分離ユニット20から出て、スチレン回収パイプラインa−b−c−d−e−f−gに入る。分離ユニット20で処理された回収スチレンの温度T22は、反応器の予め設定された反応温度T21よりも高い。回収スチレンを反応器に入れるのに適した状態にするために、化学工場200は、環境保全システム101を用いて、(後に説明されるようにして)スチレン回収パイプラインのパイプラインセグメントe−f−gの温度を下げる。図2に示されるように、第1の熱交換器24がスチレン回収パイプラインa−b−c−d−e−f−gに配置され、環境保全システム101に接続される。環境保全システム101が稼働すると、スチレン回収パイプラインのセグメントa−b−c−dは最初に温度T22を有する。しかしながら、第1の熱交換器24の冷却効果に起因して、スチレン回収パイプラインのセグメントe−f−gの温度はT23以下になる。ただし、T23<T22である。第1の熱交換器24に加えて、スチレン回収パイプラインa−b−c−d−e−f−gは、必要に応じて、スチレン貯蔵タンク22及び第2の熱交換器26に接続される。スチレン貯蔵タンク22は、その機能を拡張するために、任意の他のパイプラインセグメントに接続される。第2の熱交換器26は、通常のアンモニア冷凍器又はブライン冷凍器の形になり、環境保全システム101に接続されない。第2の熱交換器26は、第1の熱交換器24が回収スチレンの温度を調整することを支援し、これにより回収スチレンが反応器に入るのに適したものにする。
【0038】
図2を参照すると、本発明の第1の実施形態に従って、環境保全システム101を化学工場200に適用する概略図が示される。環境保全システム100と同様に、環境保全システム101は、蓄熱燃焼ユニットRTUと、熱回収ユニットHRUと、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1と、吸収冷凍ユニットAHPと、温液パイプラインH3−A1−A2−H4と、冷却液パイプラインA3−A4−A5−A6と、冷凍液パイプラインA7−A8−A9−A10−A11−A12−A13−A14とを備える。蓄熱燃焼ユニットRTUは、廃ガスを清浄ガス(すなわち、熱ガス11)に変える。この廃ガスは化学工場200によってゴムを製造する過程で生成される。熱回収ユニットHRUは、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1に配置され、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1によって蓄熱燃焼ユニットRTU及び乾燥ユニットDUに接続される。温液パイプラインH3−A1−A2−H4は、熱回収ユニットHRU及び吸収冷凍ユニットAHPを接続する。温液パイプラインH3−A1−A2−H4はループを形成し、熱回収ユニットHRUと吸収冷凍ユニットAHPとの間を接続できるようにする。この実施形態では、熱水貯蔵タンク21が、必要に応じて、温液パイプラインのパイプラインセグメントA2−H4に配置される。熱水貯蔵タンク21は、温液パイプラインH3−A1−A2−H4の温度を調整するために、工場内の蒸気凝縮水パイプライン又はプロセス水パイプラインのような別のパイプラインと連通する。
【0039】
図2を参照すると、廃ガス10は蓄熱燃焼ユニットRTUにおいて燃焼し、処理され、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1に入れる熱ガス11が生成され、その後、熱ガス11は、熱回収ユニットHRUを通り抜けて、乾燥ユニットDUに達する。熱回収ユニットHRUは、熱回収ユニットHRUを通り抜ける熱ガス11から熱の一部を取り込み、その熱を温液パイプラインH3−A1−A2−H4に伝達する。それゆえ、熱ガスパイプラインの温度はT1(すなわち、パイプラインセグメントR1−H1における温度)からT2(すなわち、パイプラインセグメントH2−D1、H2−S1における温度)まで下がる。選択的に、このように冷却された熱ガス11は、パイプラインセグメントH2−S1を介して煙突Sに排出されるか、又はパイプラインセグメントH2−D1を介して乾燥ユニットDUに導入される。この実施形態では、乾燥ユニットDUは、水分を豊富に含むゴム凝集物を乾燥させる役割を果たし、図4に示されるキャタピラ駆動乾燥ベッド装置、又は任意の他の流動層乾燥器の形をとる。図4を参照すると、キャタピラ駆動乾燥ベッド装置は、熱ガス11を導入する熱風注入口I及び乾燥デバイスを通り抜けた廃ガス10を排出する熱風排出口Oを備える。キャタピラ駆動乾燥ベッド装置で処理された後に、ゴム凝集物の含水量は、例えば、12wt%から0.5wt%に大幅に削減される。この実施形態では、熱ガス11は乾燥ユニットDUに直接導入された場合には、熱ガス11の過度に高い温度T1に起因して、ゴムが溶融されるか、分解されるか、又は変性することになる。それゆえ、過度に高い温度T1を考慮して、熱ガス11を乾燥ユニットDUに導入する前に、熱回収ユニットHRUを用いて、熱ガス11の温度を適切に下げる必要がある。温度T1が過度に高くなく、ゴムを乾燥させるのに適している別の実施形態では、熱ガス11は、乾燥ユニットDUに直接導入することができる。図2を参照すると、この実施形態では、乾燥ユニットDUによって生成されるガスは、排出するのに適していない揮発性有機化合物又は任意の他の不純物を含むので、そのガスは、更に回収し、処理するために、蓄熱燃焼ユニットRTU(パイプラインセグメントD2−W1)に戻すことができる。
【0040】
図2を参照すると、温液パイプラインH3−A1−A2−H4のパイプラインセグメントA2−H4は温度T3からなる。熱回収ユニットHRUから熱を受け取ると、パイプラインセグメントH3−A1は加熱され、温度T4に達する。パイプラインセグメントH3−A1は吸収冷凍ユニットAHPを更に接続し、熱を吸収冷凍ユニットAHPに伝達して、パイプラインセグメントA2−H4において温度がT3まで下がるようにする。吸収冷凍ユニットAHPが稼働すると、冷凍液パイプラインの温度はT6(すなわち、パイプラインセグメントA7−A8における温度)からT7(すなわち、パイプラインセグメントA9−A10における温度)まで下がるのに対して、冷却液パイプラインの温度はT8(すなわち、パイプラインセグメントA3−A4における温度)からT9(すなわち、パイプラインセグメントA5−A6における温度)まで上がる。図に示されるように、冷凍液パイプライン(パイプラインセグメントA9−A10)は第1の熱交換器24に入り、同じく第1の熱交換器24に入るスチレン回収パイプライン(パイプラインセグメントc−d等)から熱を吸収する。第1の熱交換器24から出た後に、冷凍液パイプラインは、その温度がT7(例えば、パイプラインセグメントA9−A10における温度)からT6(例えば、パイプラインセグメントA11−A12及びA13−A14における温度)に変化している。この実施形態では、必要に応じて、冷凍水貯蔵タンク28及び/又はブースタポンプ29が、冷凍液パイプラインA11−A12−A13−A14−A7−A8に配置される。冷凍水貯蔵タンク28は、冷凍液パイプラインの温度を調整するために、別のパイプラインと連通する。ブースタポンプ29によって、液体をパイプラインに沿って容易に移送できるようになる。
【0041】
図2を参照すると、化学工場200は、加熱ユニットBと、加熱ユニットBに接続される熱ガスパイプラインR1−C2−B2とを備える。それゆえ、蓄熱燃焼ユニットRTUから排出された熱ガス11は、熱ガスパイプラインR1−C2−H1に入り、それにより、熱回収ユニットHRUに達するだけでなく、別の熱ガスパイプラインR1−C2−B2にも選択的に入り、加熱ユニットBに達する。熱ガスパイプラインR1−C2−B2は、熱回収ユニットHRUが一時的に休止しているが、蓄熱燃焼ユニットRTUが稼働している状況を含む、全ての状況において良好に機能する。同様に、化学工場200は、加熱ユニットBに接続される別の熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3も備える。熱回収ユニットHRUから排出される熱ガス11は、熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3に選択的に入り、それにより、加熱ユニットBに達する。熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3は、乾燥ユニットDUが一時的に休止しているが、熱回収ユニットHRUが稼働している状況を含む、全ての状況において良好に機能する。加熱ユニットBに接続される熱ガスパイプラインは熱が煙突Sに直接排出され、それによりエネルギーが無駄になるのを防ぐ。加熱ユニットBは、熱ガスパイプライン(図示せず)を選択的に更に備えており、それにより、加熱ユニットBを通り抜けて冷えた熱ガス11が煙突Sに排出される。
【0042】
図3を参照すると、本発明の第2の実施形態による、別の化学工場300に環境保全システムを適用する概略図が示される。図3に示されるように、化学工場300は、スチレン、ブタジエン、水及び他の化学物質のような原材料からゴムを製造する。化学工場300は、反応器Rと、ゴムを乾燥させる乾燥ユニットDUと、適切な原材料を反応器Rに移送する反応溶液パイプラインi−j−k−l−m−nとを備える。図に示されるように、この実施形態では、反応溶液パイプラインのパイプラインセグメントi−j内にスチレン、ブタジエン及び水のような必要とされる原材料が存在する。この実施形態では、反応器Rの予め決定された反応温度は、混合された反応溶液の温度よりも低い。それゆえ、適切な温度の反応溶液を反応器Rに入れることができるようにするために、化学工場300は、環境保全システム102を用いて、反応溶液パイプラインのセグメントk−l−m−nの温度を下げる。図に示されるように、第1の熱交換器34が、反応溶液パイプラインi−j−k−l−m−nに配置され、それにより、環境保全システム102に接続される。環境保全システム102が稼働すると、反応溶液パイプラインは最初に温度T32である(例えば、パイプラインセグメントi−jの温度)。しかしながら、第1の熱交換器34の冷却効果に起因して、パイプラインセグメントk−l−m−nは温度T33以下の温度である。ただし、T33<T32である。第1の熱交換器34に加えて、反応溶液パイプラインi−j−k−l−m−nは、必要に応じて、第2の熱交換器36に接続される。第2の熱交換器36は通常アンモニア冷凍器又はブライン冷凍器であり、環境保全システム102に接続されない。第2の熱交換器36は、反応溶液パイプライン内の反応溶液の温度を反応器Rにより適した温度にする際に、第1の熱交換器34を支援する。
【0043】
図3を参照すると、本発明の第2の実施形態による、乾燥ユニットDUを有する化学工場300に環境保全システム102を適用する概略図が示される。環境保全システム100、101と同様に、環境保全システム102は、蓄熱燃焼ユニットRTUと、熱回収ユニットHRUと、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1と、吸収冷凍ユニットAHPと、温液パイプラインH3−A1−A2−H4と、冷却液パイプラインA3−A4−A5−A6と、冷凍液パイプラインA7−A8−A9−A10−A11−A12−A13−A14とを備える。蓄熱燃焼ユニットRTUは、化学工場300によってゴムの製造過程において生成された廃ガスを清浄ガス(すなわち、熱ガス11)に変える。熱回収ユニットHRUは、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1に配置され、熱ガスパイプラインを介して、蓄熱燃焼ユニットRTU及び乾燥ユニットDUに接続される。温液パイプラインH3−A1−A2−H4は、熱回収ユニットHRU及び吸収冷凍ユニットAHPを接続する。温液パイプラインH3−A1−A2−H4はループを形成し、熱回収ユニットHRUと吸収冷凍ユニットAHPとの間を接続できるようにする。この実施形態では、必要に応じて、熱水貯蔵タンク31が温液パイプラインのパイプラインセグメントA2−H4に配置される。温液パイプラインH3−A1−A2−H4の温度を調整するために、熱水貯蔵タンク31は、工場内の蒸気凝縮水パイプライン又はプロセス水パイプラインのような別のパイプラインと連通する。
【0044】
図3を参照すると、蓄熱燃焼ユニットRTUにおいて廃ガスが燃焼し、処理されるときに生成された熱ガス11は、熱ガスパイプラインR1−H1−H2−D1に入り、熱回収ユニットHRUを通り抜け、最終的に乾燥ユニットDUに達する。熱回収ユニットHRUは、熱回収ユニットHRUを通り抜ける熱ガス11から熱の一部を取り込み、その熱を温液パイプラインに伝達する。それゆえ、熱ガスパイプラインの温度はT1(すなわち、パイプラインセグメントR1−H1)からT2(すなわち、パイプラインセグメントH2−D1、H2−S1)に下がる。選択的に、このように冷却された熱ガス11は、パイプラインセグメントH2−S1を介して煙突Sに排出されるか、又はパイプラインセグメントH2−D1を介して乾燥ユニットDUに導入される。この実施形態では、乾燥ユニットDUは、水分を豊富に含むゴム凝集物を乾燥させる役割を果たし、図4に示されるキャタピラ駆動乾燥ベッド装置、又は任意の他の流動層乾燥器の形をとる。この実施形態において、熱ガス11が乾燥ユニットDUに直接導入される場合には、熱ガス11の過度に高い温度T1に起因して、ゴムが溶融されるか、分解されるか、又は変性することになる。それゆえ、過度に高い温度T1を考慮して、熱ガス11を乾燥ユニットDUに導入する前に、熱回収ユニットHRUを用いて、熱ガス11の温度を適切に下げる必要がある。温度T1が過度に高くなく、ゴムを乾燥させるのに適している別の実施形態では、熱ガス11は、乾燥ユニットDUに直接導入することができる。この実施形態では、乾燥ユニットDUによって生成されるガスは、排出するのに適していない揮発性有機化合物又は任意の他の不純物を含むので、そのガスは、更に回収し、処理するために、蓄熱燃焼ユニットRTU(パイプラインセグメントD2−W1)に戻すことができる。
【0045】
図3を参照すると、温液パイプラインH3−A1−A2−H4のパイプラインセグメントA2−H4は温度T3を有する。熱回収ユニットHRUから熱を受け取った後に、パイプラインセグメントH3−A1は温度T4まで加熱される。パイプラインセグメントH3−A1は吸収冷凍ユニットAHPを更に接続し、熱を吸収冷凍ユニットAHPに伝達して、パイプラインセグメントA2−H4において温度がT3まで下がるようにする。吸収冷凍ユニットAHPが稼働すると、冷凍液パイプラインの温度がT6(すなわち、パイプラインセグメントA7−A8における温度)からT7(すなわち、パイプラインセグメントA9−A10における温度)まで下がるのに対して、冷却液パイプラインの温度はT8(すなわち、パイプラインセグメントA3−A4における温度)からT9(すなわち、パイプラインセグメントA5−A6における温度)まで上がる。図に示されるように、冷凍液パイプラインは、第1の熱交換器34に入り、同じく第1の熱交換器34に入る反応溶液パイプライン(例えば、パイプラインセグメントi−j)から熱を吸収する。第1の熱交換器34から出た後に、冷凍液パイプラインは、その温度がT7(例えば、パイプラインセグメントA9−A10の温度)からT6(例えば、パイプラインセグメントA11−A12、A13−A14の温度)に変化している。この実施形態では、必要に応じて、冷凍水貯蔵タンク38又はブースタポンプ39が、冷凍液パイプラインA11−A12−A13−A14−A7−A8に配置される。
【0046】
図3を参照すると、化学工場300は、加熱ユニットBと、加熱ユニットBに接続される熱ガスパイプラインR1−C2−B2とを備える。それゆえ、蓄熱燃焼ユニットRTUから排出された熱ガス11は、熱ガスパイプラインR1−C2−H1に入り、それにより、熱回収ユニットHRUに達するだけでなく、別の熱ガスパイプラインR1−C2−B2にも選択的に入り、加熱ユニットBに達する。熱ガスパイプラインR1−C2−B2は、熱回収ユニットHRUが一時的に休止しているが、蓄熱燃焼ユニットRTUが稼働している状況を含む、全ての状況において良好に機能する。同様に、化学工場300は、加熱ユニットBに接続される別の熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3も備える。それゆえ、熱回収ユニットHRUから排出される熱ガス11は、熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3に選択的に入り、それにより、加熱ユニットBに達する。熱ガスパイプラインH2−C1−C3−B3は、乾燥ユニットDUが一時的に休止しているが、熱回収ユニットHRUが稼働している状況を含む、全ての状況において良好に機能する。加熱ユニットBに接続されるパイプラインセグメントは熱が煙突Sに直接排出され、それによりエネルギーが無駄になるのを防ぐ。加熱ユニットBは、熱ガスパイプライン(図示せず)を選択的に更に備えており、それにより、加熱ユニットBを通り抜けて冷えた熱ガス11が煙突Sに排出される。
【0047】
本発明が、好ましい実施形態によって先に開示された。しかしながら、好ましい実施形態は本発明の例示にすぎず、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきでないことは当業者には理解されたい。それゆえ、本発明において具現される精神から逸脱することなく、上記の実施形態に対してなされる全ての均等な変形又は変更が添付の特許請求の範囲内に入ることになる。
【符号の説明】
【0048】
10 廃ガス
11 熱ガス
12 燃料
14 ガス注入口
15 フィルタ
20 分離ユニット
21 熱水貯蔵タンク
22 スチレン貯蔵タンク
24 第1の熱交換器
26 第2の熱交換器
28 冷凍水貯蔵タンク
29 ブースタポンプ
31 熱水貯蔵タンク
34 第1の熱交換器
36 第2の熱交換器
38 冷凍水貯蔵タンク
39 ブースタポンプ
100 環境保全システム
101 環境保全システム
102 環境保全システム
200 化学工場
300 化学工場
DU 乾燥ユニット
RTU 蓄熱燃焼ユニット
HRU 熱回収ユニット
AHP 吸収冷凍ユニット
B 加熱ユニット
S 煙突
I 熱風注入口
O 熱風排出口
R 反応器
R1−H1−H2−D1 熱ガスパイプライン
H3−A1−A2−H4 温液パイプライン
H3−A1 パイプラインセグメント
R1−H1 パイプラインセグメント
H2−D1 パイプラインセグメント
H2−S1 パイプラインセグメント
H2−B3 パイプラインセグメント
A2−H4 パイプラインセグメント
A3−A4−A5−A6 冷却液パイプライン
A7−A8−A9−A10 冷凍液パイプライン
A11−A12−A13−A14−A7−A8 冷凍液パイプライン
A7−A8 パイプラインセグメント
A9−A10 パイプラインセグメント
A11−A12 パイプラインセグメント
A13−A14 パイプラインセグメント
A3−A4 パイプラインセグメント
A5−A6 パイプラインセグメント
C1−S1 パイプラインセグメント
D2−W1 パイプラインセグメント
D3−S2 パイプラインセグメント
R1−C2−H1 熱ガスパイプライン
R1−C2−B2 熱ガスパイプライン
H2−C1−D1 熱ガスパイプライン
H2−C1−C3−B3 熱ガスパイプライン
B1−S3 熱ガスパイプライン
a−b−c−d−e−f−g スチレン回収パイプライン
a−b−c−d パイプラインセグメント
e−f−g パイプラインセグメント
i−j−k−l−m−n 反応溶液パイプライン
i−j パイプラインセグメント
k−l−m−n パイプラインセグメント
A7−A8−A9−A10−A11−A12−A13−A14 冷凍液パイプライン
図1
図2
図3
図4