特許第5919340号(P5919340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919340
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】プラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/85 20110101AFI20160428BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20160428BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   H01R12/85
   H01R12/72
   H01R13/639 Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-160768(P2014-160768)
(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公開番号】特開2016-48597(P2016-48597A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2014年10月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505194077
【氏名又は名称】アイティーティー マニュファクチャリング エンタープライジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(72)【発明者】
【氏名】池中 一夫
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−024454(JP,A)
【文献】 特開2005−056745(JP,A)
【文献】 特開2001−203484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/85
H01R 12/72
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極パッドが設けられる基板と、
内部に第1の収容空間部が設けられるインシュレータと、
前記基板の前記電極パッドに接続可能なリード接点部を具備するコンタクタと、
前記第1の収容空間部内に収容されて第1の位置と第2の位置との間で往復動可能である本体部であって、内部に設けられて前記コンタクタの前記リード接点部を収容する第2の収容空間部と、前記第2の収容空間部と連通するとともに前記基板を挿入可能な開口部とを具備する本体部と、前記第2の収容空間部内において前記第2の収容空間部の内面との間に前記コンタクタを配置するとともに前記基板の端部に当接して前記基板を前記リード接点部が前記電極パッドに接続可能な位置に位置決めする基板受部であって、前記本体部が前記第1の位置にある状態では前記コンタクタに接触することによって前記リード接点部を前記基板の前記電極パッドから離れた位置に固定し又は前記リード接点部の前記電極パッドに対する押圧力を所定の値以内に制限する位置に固定し、かつ、前記本体部が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に前記リード接点部の位置の固定を解除する基板受部と、押圧部とを具備するスライダと、
を具備し、
前記コンタクタは、前記第2の収容空間部内に配置されて前記第2の収容空間部の前記内面に向かって突出する突出部、及び、前記第2の収容空間部内に配置され、前記突出部に連続して形成されるとともにその端部に前記リード接点部が連続して形成され、前記スライダの往復動方向に対して傾斜するとともに前記基板受部側に傾斜し、前記スライダが前記第1の位置にある状態において前記基板受部に当接する傾斜部を具備し、前記傾斜部が前記コンタクタに接触することによって前記リード接点部を前記基板の前記電極パッドから離れた位置に固定する場合、前記傾斜部が前記基板受部に当接することによる前記位置の前記固定が解除されると、前記リード接点部が前記電極パッドに接触し、
前記押圧部は、前記第2の収容空間部の前記内面に形成されて前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向の先端に前記往復動方向に対して傾斜する傾斜面を具備し、前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に前記傾斜面が前記コンタクタの前記突出部を押圧することにより前記突出部が乗り上がることによって前記リード接点部を前記電極パッドに向かって押圧する
ことを特徴とするプラグコネクタ。
【請求項2】
前記インシュレータに対する前記スライダの移動を前記第1の位置と前記第2の位置との間に規制する規制部を具備することを特徴とする請求項1に記載のプラグコネクタ。
【請求項3】
前記規制部は、
前記スライダに設けられる第1の当接部と、
前記インシュレータに設けられて前記スライダが前記第1の位置にある状態において前記第1の位置から前記第2の位置に向かう方向に前記第1の当接部に当接する第2の当接
部と、
前記スライダに設けられる第3の当接部と、
前記インシュレータに設けられて前記スライダが前記第2の位置にある状態において前記第3の当接部に前記第2の位置から前記第1の位置に向かう方向に当接する第4の当接部と
を具備することを特徴とする請求項2に記載のプラグコネクタ。
【請求項4】
前記基板を前記スライダの前記第2の収容空間部内に固定する固定構造を具備することを特徴とする請求項1に記載のプラグコネクタ。
【請求項5】
前記固定構造は、
前記インシュレータに設けられる第1の係合部と、
前記基板に設けられる第2の係合部と、
前記第1,2の係合部に挿入されて前記第1,2の係合部に係合する挿入部材と
を具備することを特徴とする請求項4に記載のプラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数のコンタクタを備えるプラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、多極ZIF(Zero Insertion Force)コネクタ型のプラグコネクタは、複数のコンタクタが固定されるインシュレータと、インシュレータ内に収容される基板を有している。基板は、コンタクタに電気的に接続される電極パッドを有している。コンタクタのリード接点部と基板の電極パッドとは、互いに半田付けされることによって、電気的接続が固定されている。コンタクタのリード接点部と基板の電極パッドとが半田により固定されることによって、コンタクタのリード接点部と基板の電極パッドとの十分な接続強度が得られる。
【0003】
コンタクタのリード接点部と基板の電極パッドとの半田付け作業は、一般に半田コテを用いる手作業によって、行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−170645号公報
【特許文献2】特開2014−086187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した、コンタクタのリード接点部と基板の電極パッドとの電気的接続を半田によって固定する構造では、以下の問題があった。すなわち、コンタクタのリード接点部と基板の電極パッドとを手作業により半田で固定するため、作業に時間がかかる。特に、複数のコンタクタを有する多極型のプラグコネクタであると、時間がかかる。
【0006】
また、プラグコネクタが複数のコンタクタを有する多極型であると、コンタクタ間が狭ピッチとなる。この為、互いに隣接するコンタクタのリード接点部どうしが半田によって電気的に接続されるブリッジが生じる場合がある。または、半田付け作業に用いられるフラックス液がコンタクタのリード接点部と基板の電極パッドとの接続部に干渉し、それゆえ、リード接点部と電極パッドとの電気的接続に不具合を発生する場合がある。一方、半田付けが行われた基板をコンタクタから取り外すことは難しい。このため、上述のブリッジや不具合が生じた場合は、プラグコネクタは廃棄されるので、歩留まりが悪くなる。
【0007】
このため、本発明の目的は、基板の取り付け作業の効率を向上し、かつ、歩留まりを向上できるプラグコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラグコネクタは、電極パッドが設けられる基板と、内部に第1の収容空間部が設けられるインシュレータと、前記基板の前記電極パッドに接続可能なリード接点部を具備するコンタクタと、スライダを備えている。
【0009】
前記スライダは、本体部と、基板受部と、押圧部とを備えている。前記本体部は、前記第1の収容空間部内に収容されて第1の位置と第2の位置との間で往復動可能である。前記本体部は、当該本体部の内部に設けられて前記コンタクタの前記リード接点部を収容する第2の収容空間部と、前記第2の収容空間部と連通するとともに前記基板を挿入可能な開口部とを備える。前記基板受部は、前記第2の収容空間部内において前記第2の収容空間部の内面との間に前記コンタクタを配置するとともに前記基板の端部に当接して前記基板を前記リード接点部が前記電極パッドに接続可能な位置に位置決めする。前記基板受部は、前記本体部が前記第1の位置にある状態では前記コンタクタに接触することによって前記リード接点部を前記基板の前記電極パッドから離れた位置に固定し又は前記リード接点部の前記電極パッドに対する押圧力を所定の値以内に制限する位置に固定し、かつ、前記本体部が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に前記リード接点部の位置の固定を解除する。
前記コンタクタは、前記第2の収容空間部内に配置されて前記第2の収容空間部の前記内面に向かって突出する突出部、及び、前記第2の収容空間部内に配置され、前記突出部に連続して形成されるとともにその端部に前記リード接点部が連続して形成され、前記スライダの往復動方向に対して傾斜するとともに前記基板受部側に傾斜し、前記スライダが前記第1の位置にある状態において前記基板受部に当接する傾斜部を具備し、前記傾斜部が前記基板受部に当接することによる前記位置の前記固定が解除されると、前記リード接点部が前記電極パッドに接触する。
前記押圧部は、前記第2の収容空間部の前記内面に形成されて前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向の先端に前記往復動方向に対して傾斜する傾斜面を具備し、前記スライダが前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に前記傾斜面が前記コンタクタの前記突出部を押圧することにより前記突出部が乗り上がることによって前記リード接点部を前記電極パッドに向かって押圧する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の取り付け作業の効率を向上し、かつ、歩留まりを向上できるプラグコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るプラグコネクタを示す斜視図。
図2】同プラグコネクタが分解された状態を示す分解斜視図。
図3】同プラグコネクタを長手方向に直交する断面に沿って示す断面図。
図4】同プラグコネクタのスライダが第1の位置にあり、かつ、同プラグコネクタの基板が同プラグコネクタの基板受部から離れた状態を、図3と同様に示す断面図。
図5】同スライダの開口部に同基板を対向して配置した状態を示す斜視図。
図6】同基板が同基板受部に当接する位置まで同スライダの収容空間部内に挿入された状態を、図3と同様に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るプラグコネクタを、図1〜6を用いて説明する。図1は、プラグコネクタ10を示す斜視図である。プラグコネクタ10は、例えば電子装置どうしを接続するために用いられる。より具体的には、プラグコネクタ10は、一方の電子装置に設けられ、他方の電子装置に設けられるレセプタクルコネクタに着脱可能に形成されている。
【0013】
図2は、プラグコネクタ10が分解された状態を示す分解斜視図である。図1,2に示すように、プラグコネクタ10は、ハウジングシェル20と、ハウジングシェル20内に収容される一対のサブアッシ30とを有している。サブアッシ30は、各々同様の構造である。このため、両サブアッシに同じ符号を付して説明をする。
【0014】
サブアッシ30は、複数の電極パッド41が設けられる基板40と、基板40を収容可能なインシュレータ50と、インシュレータ50内に設けられて基板40の電極パッド41に電気的に接続される複数のコンタクタ80と、インシュレータ50内に収容されてインシュレータ50に対してスライド可能に形成されるスライダ60とを有している。
【0015】
基板40の両主面42,43の長手方向に沿う縁部には、複数の電極パッド41が設けられている。電極パッド41は、基板40の長手方向に沿って一列に配置されている。基板40は、上述した一方の電子装置に接続可能に形成されている。
【0016】
図3は、プラグコネクタ10を、その長手方向に直交する断面に沿って示す断面図である。図3に示すように、インシュレータ50は、絶縁部材で形成されている。インシュレータ50は、内部にスライダ60を収容可能に、かつ、スライド可能に形成されている。
【0017】
具体的には、図3に示すように、インシュレータ50の内部には、スライダ60を収容可能な収容空間部(第1の収容空間部)51が形成されている。インシュレータ50の両端面52,53には、収容空間部51に連通する開口部54,55が形成されている。
【0018】
収容空間部51の内面56のうち長手方向に沿う面部56a,56bにおいて開口部54の近傍の位置から開口部55までの範囲には、段部(第4の当接部)57が形成されている。段部57は、開口部54から段部57の範囲に対して、収容空間部51の内側に向かって突出している。
【0019】
収容空間部51において開口部54から段部57までの幅、つまり収容空間部51の内面56間の幅は、スライダ60を収容可能に設定されている。段部57間の幅は、スライダ60の幅よりも狭く設定されている。
【0020】
スライダ60は、インシュレータ50の収容空間部51の開口部54から段部57までの範囲に移動可能に収容されている。スライダ60は、例えば矩形状に形成される本体部61と、本体部61内に形成される基板受部62とを有している。
【0021】
本体部61は、インシュレータ50の収容空間部51の開口部54から段部57の範囲にスライド可能に収容されている。より具体的には、本体部61は、スライド可能となるよう、幅が、面部56a,56bにおいて開口部54から段部57までの範囲間の長さと同じ、または、面部56a,56bにおいて開口部54から段部57までの範囲間の長さに対して若干小さく形成されている。本体部61において収容空間部51の面部56a,56bに対向する両側面は、収容空間部51の面部56a,56bに平行に形成されている。
【0022】
インシュレータ50の長手方向に沿う壁部のうち、開口部54から段部57までの部分には、外部と収容空間部51とを連通する係合孔部59が形成されている。本実施形態では、一例として、係合孔部59は、収容空間部51を挟んで両側の壁部に形成されている。また、図2に示すように、本実施形態では、係合孔部59は、インシュレータ50の長手方向に沿って両端部に1つずつ形成されている。
【0023】
図3に示すように、スライダ60の本体部61の両側部には、幅方向外側に突出する係合突出部(規制部、第1の当接部)70が形成されている。係合突出部70は、インシュレータ50の係合孔部59内に収容可能に形成されている。
【0024】
係合孔部59は、インシュレータ50に対するスライダ60のスライド方向に沿って係合突出部70よりも長く形成されている。係合孔部59の開口部54側の内面(規制部、第2の当接部)59aは、インシュレータ50に対するスライダ60の移動方向に直交する平面である。係合突出部70において係合孔部59の内面59aにスライド方向に対向する端面71は、スライダ方向に直交する平面である。
【0025】
係合突出部70の端面71の反端側の端面72は、スライダ60のインシュレータ50に対するスライド方向に対して傾斜している。これは、スライダ60がインシュレータ50に対して分解されている状態からスライダ60をインシュレータ50の収容空間部51内に開口部54を通して挿入する際に、当該挿入作業を行いやすくするためである。
【0026】
すなわち、開口部54を通してスライダ60を収容空間部51内に挿入すると、係合突出部70の端面72が、インシュレータ50の開口部54の縁部に当接するが、端面72が傾斜していることによって、スライダ60をスムーズに、収容空間部51内に挿入することができる。
【0027】
スライダ60は、係合突出部70の端面71が、係合孔部59の内面59aに当接する第1の位置90(後述する図4に示す)と、スライダ60がインシュレータ50の段部57に当接する第2の位置91との間でスライド可能となる。
【0028】
スライダ60の本体部61内には、収容空間部(第2の収容空間部)65が形成されている。本体部61の周面において、インシュレータ50に対する本体部61のスライド方向に直交する一方の端面66には、収容空間部65に連通する開口部67が形成されている。本体部61において収容空間部65を挟んで端面66に対して反対側の端面(第3の当接部)68には、収容空間部65に連通する開口部69が形成されている。
【0029】
本体部61の、端面68は、インシュレータ50の段部57に当接可能に形成されている。端面68が段部57に当接する位置が、第2の位置91である。本体部61は、端面68がインシュレータ50の段部57に当接した状態で、インシュレータ50の開口部54を通して外部に出る高さを有している。
【0030】
基板受け部62は、本体部61の収容空間部65内に収容されており、本体部61と一体にインシュレータ50に対してスライド可能に形成されている。具体的には、基板受け部62は、本体部61の長手方向両端に固定されている。基板受部62は、収容空間部65の長手方向に沿う両内面との間に隙間93を有して配置されている。
【0031】
図2に示すように、コンタクタ80は、インシュレータ50の収容空間部51内に、1つの基板40に設けられる電極パッド41と同数設けられている。より具体的には、インシュレータ50の収容空間部51において、基板40の一方の主面42に対向する部分、つまり、収容空間部51の長手方向に沿う部分には、一方の主面42に設けられる電極パッド41の数と同数のコンタクタ80が設けられている。これらコンタクタ80は、電極パッド41間のピッチと同じピッチ離間して配置されている。また、これらコンタクタ80は、対応する電極パッド41に接続可能に配置されている。
【0032】
同様に、収容空間部51の長手方向に沿う他方の部分には、基板40他方の主面43に設けられる電極パッド41の数と同数のコンタクタ80が設けられている。収容空間部51の長手方向に沿う一方の部分に設けられるコンタクタ80と、収容空間部51の長手方向に沿う他方の部分に設けられるコンタクタ80とは、基板受部62を挟んで対称に設けられている。各コンタクタ80の表面には、導電率を向上するために、導電率が高い金属によってめっき処理が施されている。
【0033】
図3に示すように、コンタクタ80は、インシュレータ50の高さ方向一端から他端まで延びる長さ、言い換えると、開口部55から開口部54まで延びる長さを有している。コンタクタ80の一端部81は、インシュレータ50の開口部55の近傍に固定されている。コンタクタ80の一端部81は、上述したレセプタクルコネクタに接続されたときに、レセプタクルコネクタのコンタクタに電気的に接続される。
【0034】
コンタクタ80において、一端部81から段部57までの部分は、インシュレータ50の収容空間部51の内面に平行に形成されている。コンタクタ80の他端部82は、スライダ60の開口部64を通ってスライダ60の収容空間部65内に収容されている。より具体的には、コンタクタ80の他端部82は、スライダ60の収容空間部65の内面と基板受部62との間に規定される隙間93内に収容されている。
【0035】
コンタクタ80の他端部82は、コンタクタ80を基板受部62側に向かって屈曲する屈曲部83と、スライダ60の収容空間部65の内面に向かって突出する突出部85と、スライダ60収容空間部65の幅方向内側に向かって傾斜する傾斜部86と、基板40の電極パッド41に接続可能に形成されるリード接点部87とを有している。
【0036】
屈曲部83は、インシュレータ50の段部57に対して幅方向に対向している。屈曲部83は、コンタクタ80において一端部81から屈曲部83までの部分に対して、収容空間部65の幅方向内側に屈曲している。
【0037】
突出部85は、コンタクタ80が湾曲することによって形成されている。スライダ60の収容空間部65の内面に向かって突出している。
【0038】
スライダ60の収容空間部65の内面と、突出部85とについて、具体的に説明する。スライダ60の収容空間部65の内面において長手方向に沿う部分には、開口部69の近傍の位置から開口部69までの範囲に、段部(押圧部)73が形成されている。段部73は、収容空間部65の幅方向内側に向かって突出している。段部73の内面74は、インシュレータ50に対するスライダ60のスライド方向に平行である。
【0039】
図4は、スライダ60が第1の位置90にあり、かつ、基板40が基板受部62から離れた状態を、図3と同様に示す断面図である。図4に示すように、段部73は、スライダ60が第1の位置90にある状態では、突出部85に当接しない位置に形成されている。段部73において開口部69側には、傾斜面75が形成されている、傾斜面75は、インシュレータ50に対するスライダ60のスライド方向に対して傾斜しており、スライダ60が第1の位置90から第2の位置91に移動するときに、突出部85が乗り上げることが可能に形成されている。
【0040】
コンタクタ80の説明に戻る。コンタクタ80の傾斜部86は、突出部85に連続して形成されている。リード接点部87は、傾斜部86に連続して形成されている。傾斜部86は、インシュレータ50に対するスライダ60のスライド方向に対して傾斜しており、それゆえ、リード接点部87は、突出部85に対して、収容空間部65の幅方向内側に配置されている。
【0041】
傾斜部86について、具体的に説明する。図4に示すように、傾斜部86は、スライダ60が第1の位置90にある状態では、基板受部62に当接している。基板受部62は、傾斜部86に当接することによって、リード接点部87の位置を、基板40の軌道から離れた位置に固定可能に、つまり、位置決め可能に形成されている。
【0042】
基板40の軌道とは、スライダ60の開口部67から基板受部62までの範囲において、基板40が基板受部62に当接するまで移動する経路である。リード接点部87の位置が基板40の軌道から離れた位置に固定可能されることによって、スライダ60が第1の位置90にある状態では、基板40が開口部67を通してスライダ60内に収容されても、基板40の挿入先端および電極パッド41は、コンタクタ80のリード接点部87に接触しない。
【0043】
または、基板受け部62は、スライダ60が第1の位置90にある状態において、傾斜部86に接触することによって、リード接点部87を、リード接点部87から基板40に対して入力される押付力が所定の値以内となる位置に固定、つまり位置決めしてもよい。
【0044】
この点についてさらに具体的に説明する。リード接点部87が基板40に接触する位置に位置決められることによって、リード接点部87は、基板40がスライダ60内に挿入される際に基板40の先端に接触して、この先端を乗り上げる。
【0045】
リード接点部87が基板40の先端を乗り上げることによってコンタクタ80がたわむため、コンタクタ80の弾性力によってリード接点部87が基板40の先端に押し付けられる。この押付力は、コンタクタ80のたわみ量に比例して大きくなる。
【0046】
上述の所定の値は、リード接点部87の表面に施されためっきがはがれない範囲の最大の値である。つまり、所定の値を超えると、めっきがはがれる。所定の値は、実験などによって得ることができる。
【0047】
ハウジングシェル20は、2つのサブアッシ30を収容可能に形成されている。具体的には、ハウジングシェル20の内部には、収容空間部21が形成されている。収容空間部21は、幅方向に連結される2つのサブアッシ30を収容して固定可能に形成されている。
【0048】
図2に示すように、具体的には、インシュレータ50は、例えば、ねじ100によって、ハウジングシェル20に固定されている。
【0049】
各インシュレータ50の長手方向両端部には、基板40の長手方両端部を覆う囲い部110が形成されている。各囲い部110の形状は、同じである。囲い部110は、平面形状は、一方に開口するC字形状であり、一対の側壁部111と、両側壁部111を連結する端壁部112を有している。一対の側壁部111と端壁部112とは、これら両側壁部111と端壁部112によって囲まれる範囲に、基板40の長手方向の端部が嵌合可能となるように、形成されている。
【0050】
両側壁部111には、両側壁部111を幅方向に貫通する係合孔部(固定構造、第1の係合部)113が形成されている。基板40が基板受部62に当接し、かつ、スライダ60が第2の位置91にある状態において、基板40において囲い部111の両側壁部111に幅方向に対向する部分には、基板40を幅方向に貫通する係合溝部44(固定構造、第2の係合部)が形成されている。
【0051】
係合孔部113と係合溝部44とは、スプリングピン(固定構造、挿入部材)101が挿入可能に、かつ、係合可能に形成されている。スプリングピン101は、係合孔部113と係合溝部44とに挿入されると、係合孔部113と係合溝部44とに嵌合する。スプリングピン101は、一方の側壁部111の係合孔部113から他方の側壁部111の係合孔部113に到達する長さを有している。
【0052】
次に、基板40の電極パッド41とコンタクタ80のリード接点部87とを接続する作業について説明する。まず、スライダ60を第1の位置90に移動する。スライダ60を第1の位置90に移動すると、スライダ60の係合突出部70が係合孔部59の内面59aに当接することによって、スライダ60の移動が停止する。作業者は、インシュレータ50に対するスライダ60の移動が停止する位置まで、スライダ60を移動することによって、スライダ60を第1の位置90に移動することができる。
【0053】
図5は、スライダ60の開口部67に基板40を対向して配置した状態を示す斜視図である。次に、図5に示すよう、基板40を、電極パッド41が形成される側の端部を開口部67に向けた姿勢で、スライダ60の開口部67に対向させる。次に、図3に示すように、スライダ60の開口部67から基板40を挿入する。
【0054】
図6は、基板40が基板受部62に当接する位置までスライダ60の収容空間部65内に挿入された状態を、図3と同様に示す断面図である。次に、図6に示すように、基板40を、スライダ60の開口部67を通して収容空間部65に挿入する。作業者は、基板受部62に当接する位置まで基板40を挿入すると、挿入作業を停止する。
【0055】
スライダ60が第1の位置90にある状態では、コンタクタ80は、基板受部62に当接することによって基板40の軌道から離れた位置に位置決められている。言い換えると、基板40が基板受部62に当接しても、コンタクタ80は、基板40に接触しない。
【0056】
または、スライダ60が第1の位置90にある状態では、コンタクタ80は、基板受部62に当接することによって、基板40に対する押圧力がコンタクタ80の表面に施されためっきを剥がすことがない所定値以内となる位置に、位置決められている。
【0057】
このため、基板受部62に当接するまで基板40を挿入する際にコンタクタ80が基板40の先端に接触しても、コンタクタ80の表面に施されためっきがはがれることが防止される。なお、コンタクタ80に施されるめっきがはがれることがない程度の押圧力であるので、基板40を基板受け部62に当接するまで、少ない力で挿入することができる。
【0058】
次に、図3に示すように、基板40が基板受部62に当接した状態を維持しながら、スライダ60を第1の位置90から第2の位置91に移動する。スライダ60が第1の位置90から第2の位置91に移動することによって、コンタクタ80の傾斜部86において基板受部62の当接する位置が移動する。
【0059】
コンタクタ80の傾斜部86において基板受部62が当接する位置が移動することによって、基板受部62によるコンタクタ80のリード接点部87の位置の規制、言い換えると、コンタクタ80のリード接点部87の基板40の軌道から外れた位置への位置決め、または、コンタクタ80のリード接点部87から基板40に入力される押圧力が所定値以内となる位置への位置決めが解除される。これは、傾斜部86が、スライダ60のスライド方向に傾斜しているためである。
【0060】
このため、コンタクタ80は、基板40側に移動可能な状態となり、リード接点部87が基板40の電極パッド41に接触する。このように、基板受部62は、基板40を、リード接点部87が電極パッド41に接続可能な位置に位置決める機能を有している。
【0061】
また、スライダ60が第1の位置90から第2の位置91に移動することによって、スライダ60の段部73の先端の傾斜面75がコンタクタ80の突出部85に当接する。スライダ60がさらに移動すると、突出部85が段部73に乗り上げる。
【0062】
突出部85が段部73に乗り上げることによって、突出部85は、基板40に向かって押圧される。このため、リード接点部87から電極パッド41に入力される押圧力が増加する。
【0063】
突出部85の形状と段部73の形状とは、突出部85が段部73に乗り上げたときに生じる、リード接点部87から電極パッド41に入力される押圧力によって、リード接点部87と電極パッド41との十分な接続強度が得られるように、形成されている。
【0064】
スライダ60が第2の位置91に到達すると、スライダ60の先端面68がインシュレータ50の段部57に当接することによって、スライダ60の移動が停止される。作業者は、スライダ60の移動が停止するまで、基板40とスライダ60とを、インシュレータ50内に挿入することによって、スライダ60を第2の位置91に移動することができる。
【0065】
スライダ60が第2の位置91に到達すると、インシュレータ50の係合孔部113と基板40の係合溝部44とが、幅方向に対向する。作業者は、スライダ60が第2の位置91に到達すると、スプリングピン101を、係合孔部113と係合溝部44とに挿入する。スプリングピン101が係合孔部113と係合溝部44とに挿入されることによって、スプリングピン101によって、基板40が、スライダ60内に固定される。また、基板40が基板受部62に当接しているので、スライダ60は第2の位置91に固定される。
【0066】
基板40をスライダ60内から引き抜く場合は、まず、スプリングピン101を、係合孔部113と係合溝部44から引き抜く。
【0067】
次に、スライダ60を第2の位置91から第1の位置90に移動する。スライダ60を第1の位置90に移動すると、基板受部62によって、基板40も移動される。スライダ60が第1の位置90に移動すると、基板受部62がコンタクタ80に当接することによって、コンタクタ80のリード接点部87が基板40の電極パッド41から離れる。または、リード接点部87は、電極パッド41に入力する押圧力が所定値となる位置に移動する。作業者は、スライダ60が第1の位置90に移動した後、基板40を引き抜く。
【0068】
このように構成されるプラグコネクタ10では、基板40の取り付け作業の効率を向上し、かつ、歩留まりを向上できる。この点について、具体的に説明する。スライダ60が第1の位置90にある状態で基板40を挿入するので、基板40の挿入作業を簡単に行うことができる。
【0069】
具体的に説明すると、スライダ60が第1の位置90にある状態では、コンタクタ80のリード接点部87は、基板40に接触しない。または、コンタクタ80が基板40に接触する場合であっても、コンタクタ80から基板40に入力される押圧力は、コンタクタ80の表面のめっきがはがれることがない値であり、比較的小さい。このため、基板40を、基板受部62に当接する位置まで、簡単に挿入することができる。
【0070】
さらに、基板40が基板受部62に当接した状態でスライダ60を第1の位置90から第2の位置91に移動すると、スライダ60の段部73がコンタクタ80の突出部85を押圧することによってコンタクタ80が変形し、リード接点部87から電極パッド41に入力される押圧力が大きくなる。
【0071】
スライダ60の段部73とコンタクタ80の突出部85とは、リード接点部87と電極パッド41とを電気的に接続し、かつ、接続状態を維持するために十分な押圧力が発生するように形成されている。言い換えると、スライダ60の段部73とコンタクタ80の突出部85とは、リード接点部87と電極パッド41との電気的接続および接続の維持が、高い信頼性を有するに形成されている。
【0072】
このように、スライダ60を第1の位置90から第2の位置91に移動するという簡単な作業で、高い信頼性を有する、コンタクタ80のリード接点部87と基板40の電極パッド41との電気的接続を得ることができる。
【0073】
このように、基板受け部62に接触する位置まで基板40を簡単に挿入することができるとともに、高い信頼性を有するコンタクタ80のリード接点部87と電極パッド41との電気的接続を簡単に得ることができるので、基板40の取り付け作業の効率を向上することができる。
【0074】
さらに、コンタクタ80のリード接点部87と基板40の電極パッド41との接続は、リード接点部87から電極パッド41に入力される押圧力によって、維持される。リード接点部87と電極パッド41とを接続する作業に、半田を用いることがないので、当該作業を失敗するということが生じない。このため、歩留まりを向上することができる。
【0075】
このように、本実施形態のプラグコネクタ10は、基板の取り付け作業の効率を向上し、かつ、歩留まりを向上できる。
【0076】
また、スライダ60を第1の位置90に移動すると、スライダ60の係合突出部70がインシュレータ50の係合孔部59の内面59aに当接することによって、スライダ60の移動が停止される。スライダ60を第2の位置91に移動すると、スライダ60の先端面68がインシュレータ50の段部57に当接することによって、スライダ60の移動が停止される。
【0077】
このように、スライダ60が停止するまで移動することによって、スライダ60を位置90,91に移動することができるので、作業者は、スライダ60の細かい位置合わせを行う必要がないので、基板40の取り付け作業の効率を向上することができる。
【0078】
また、スライダ60を位置90,91で停止する構造を、スライダ60に形成される係合突出部70と、インシュレータ50に形成される係合孔部59とによって構成しているので、スライダ60を位置90,91で停止する構造を簡単に構成することができる。
【0079】
また、スプリングピン101を係合孔部113と係合溝部44とに挿入することによって基板40の抜け止めを行うことができる。
【0080】
また、基板40の抜け止め構造を、スプリングピン101と、インシュレータ50に形成する係合孔部113と、基板40に形成される係合溝部44とによって構成することにより、基板40の抜け止め構造を簡単にする構成することができる。
【0081】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付する。
[1]
電極パッドが設けられる基板と、
内部に第1の収容空間部が設けられるインシュレータと、
前記基板の前記電極パッドに接続可能なリード接点部を具備するコンタクタと、
前記第1の収容空間部内に収容されて第1の位置と第2の位置との間で往復同可能である本体部であって、内部に設けられて前記コンタクタの前記リード接点部を収容する第2の収容空間部と、前記第2の収容空間部と連通するとともに前記基板を挿入可能な開口部とを具備する本体部と、前記第2の収容空間部内において前記第2の収容空間部の内面との間に前記コンタクタを配置するとともに前記基板の端部に当接して前記基板を前記リード接点部が前記電極パッドに接続可能な位置に位置決めする基板受部であって、前記本体部が前記第1の位置にある状態では前記コンタクタに接触することによって前記リード接点部を前記基板の前記電極パッドから離れた位置に固定し又は前記リード接点部の前記電極パッドに対する押圧力を所定の値以内に制限する位置に固定し、かつ、前記本体部が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際に前記リード接点部の位置の固定を解除する基板受部とを具備するスライダと、
前記本体部が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に前記コンタクタを前記電極パッドに向かって押圧する押圧部と
を具備することを特徴とするプラグコネクタ。
[2]
前記インシュレータに対する前記スライダの移動を前記第1の位置と前記第2の位置との間に規制する規制部を具備することを特徴とする[1]に記載のプラグコネクタ。
[3]
前記規制部は、
前記スライダに設けられる第1の当接部と、
前記インシュレータに設けられて前記スライダが前記第1の位置にある状態において前記第1の位置から前記第2の位置に向かう方向に前記第1の当接部に当接する第2の当接部と、
前記スライダに設けられる第3の当接部と、
前記インシュレータに設けられて前記スライダが前記第2の位置にある状態において前記第3の当接部に前記第2の位置から前記第1の位置に向かう方向に当接する第4の当接部と
を具備することを特徴とする[2]に記載のプラグコネクタ。
[4]
前記基板を前記スライダの前記第2の収容空間部内に固定する固定構造を具備することを特徴とする[1]に記載のプラグコネクタ。
[5]
前記固定構造は、
前記インシュレータに設けられる第1の係合部と、
前記基板に設けられる第2の係合部と、
前記第1,2の係合部に挿入されて前記第1,2の係合部に係合する挿入部材と
を具備することを特徴とする[4]に記載のプラグコネクタ。
【符号の説明】
【0082】
10…プラグコネクタ、40…基板、41…電極パッド、44…係合溝部(固定構造、第2の係合部)、50…インシュレータ、51…収容空間部(第1の収容空間部)、57…段部(第4の当接部)、59a…内面(規制部、第2の当接部)、60…スライダ、61…本体部、62…基板受部、65…収容空間部(第2の収容空間部)、67…開口部、68…端面(第3の当接部)、70…係合突出部(規制部、第1の当接部)、73…段部(押圧部)、80…コンタクタ、87…リード接点部、90…第1の位置、91…第2の位置、101…スプリングピン(固定構造、挿入部材)、113…係合孔部(固定構造、第1の係合部)。
図1
図3
図4
図5
図6
図2