【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例1の照明付きミラー装置10の外観を示している。この照明付きミラー装置10は車両のサンバイザ11の裏側に取り付けられたバニティミラーである。
図1に示すようにサンバイザ11はフロントガラス17近傍の車室内の天井18に回動自在に支持されており、ミラー装置10は使用者がサンバイザ11を下げ、更に蓋12を開いて使用するものである。
【0012】
ミラー装置10は鏡部13(ミラー)と発光部14と画像センサ15とを有している。四角形の鏡部13の周囲は枠状の発光部14によって囲まれている。画像センサ15は発光部14の枠上部の中央に配置され、鏡部13の鏡面前方の人物の顔の画像を画像信号として生成するためのセンサである。画像センサ15は具体的には、CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子により構成された撮像素子であり、撮影光学系により形成された被写体像を電気信号たる画像信号に変換する。
【0013】
発光部14は有機ELパネルからなる。有機ELパネルとしては
図2に示すように、透明基板21上に透明電極の陽極22、有機発光層23、金属電極の陰極24、接着層25、そして保護シート層26が順に積層された構造を有する。陽極22、有機発光層23及び陰極24が有機EL素子であり、透明基板21上には図示しないが、この有機EL素子が複数形成されている。
【0014】
発光部14は複数の有機EL素子の陽極22及び陰極24を駆動端子としている。また、発光部14は左右の2領域で発光面の発光輝度分布を駆動制御できるように左側領域14Lの有機EL素子(光源)用及び右側領域14Rの有機EL素子(光源)用の2系統の駆動端子を備えている。
【0015】
なお、
図3に示すように左側領域14Lは発光部14の発光面を左右に等分するラインC(中心線)より左側の部分であり、右側領域14Rは発光部14の発光面を左右に等分するラインCより右側の部分である。
【0016】
なお、有機ELパネルの各部21〜26の材料、厚さ、及びその製造方法は本発明において特に限定されない。
【0017】
発光部14の駆動手段は
図4に示すように、制御回路31及び駆動回路32を含んでいる。また、制御回路31は画像センサ15と共に使用者の顔の向きを検出する検出手段を構成している。制御回路31は例えば、CPUからなり、画像センサ15の出力画像信号を受け入れ、鏡部13の鏡面前方の人物の画像信号に応じてその人物の顔の向きを検出し、その顔の向きの検出結果に応じて制御信号を駆動回路32に対して生成する。
【0018】
駆動回路32は制御回路31から供給される制御信号に応じて発光部14の2系統の駆動端子間に個別に駆動電流を供給する。
【0019】
蓋12は鏡部13の鏡面を開閉自在に覆う。蓋12は開状態を維持するための機構(図示せず)を有している。
【0020】
蓋連動スイッチ34は蓋12の動きに連動するオンオフスイッチであり、蓋12が閉状態ではオフとなり、開状態ではオンとなる。蓋連動スイッチ34がオンにあるとき制御回路31及び駆動回路32に電源電圧が供給される。また、画像センサ15も蓋連動スイッチ34がオンすることにより制御回路31から電源電圧が供給されることにより作動する。
【0021】
かかる構成のミラー装置10においては、使用者が蓋12を開くと、蓋連動スイッチ34がオンとなり、制御回路31、駆動回路32及び画像センサ15が作動する。
【0022】
制御回路31は
図5に示すように、先ず、駆動回路32に均等照明駆動を指令する(ステップS1)。均等照明駆動指令に応じて駆動回路32は発光部14の左側領域14L及び右側領域14R各々の有機EL素子に等しい駆動電流を供給する。これにより発光部14の左側領域14L及び右側領域14Rは同一の輝度で発光する。
【0023】
次に、制御回路31は画像センサ15の出力画像信号を読み取り(ステップS2)、その画像信号に応じて顔輪郭検出処理を行う(ステップS3)。顔輪郭検出処理では、画像信号が示す画像内のエッジから人物の顔の輪郭が検出される。輪郭検出後、その顔輪郭内の左右の顔パーツの密度が検出される(ステップS4)。顔パーツの密度とは顔輪郭の左右半分各々の範囲内において口、目、眉毛、鼻等の輪郭が明確な顔パーツが占める領域の面積の割合(比率)、すなわち面積密度である。密度判断に用いる顔パーツは少なくとも1つでも良い。密度検出後、顔輪郭の左右半分の密度の高低が判断される(ステップS5)。ステップS5では左半分の密度と右半分の密度との差が許容範囲内であれば、その人物の顔は鏡部13の鏡面に対して正対していると判断される。輪郭内の左半分の密度と右半分の密度との差が許容範囲を越えて、左半分の密度が右半分の密度に比べて高い場合にはその人物の顔は鏡部13の鏡面正対方向より右向きであり、一方、右半分の密度が左半分の密度に比べて高い場合にはその人物の顔は鏡部13の鏡面正対方向より左向きであると判断される。すなわち、これは人物の顔が鏡面正対方向により左向きとなると、映像からの顔輪郭内の左側(人物からは右側)は頬(人物の右頬)で占められ、顔輪郭内の右側に主に口、目、眉毛、鼻等の顔パーツが位置するために右半分の密度が高くなり、その逆に人物の顔が鏡面正対方向より右向きとなると、顔輪郭内の右側(人物からは左側)は頬(人物の左頬)で占められ、顔輪郭内の左側に主に顔パーツが位置するために輪郭内の左半分の密度が高くなるからである。
【0024】
ステップS2〜S5は、画像信号から人物の顔の輪郭を検出し、輪郭内の顔パーツの領域の面積密度に応じて人物の顔のミラーに対する向きを判別する判別部に相当する。
【0025】
左半分の密度と右半分の密度との差が許容範囲内であれば、制御回路31は駆動回路32に均等照明駆動を指令する(ステップS6)。これはステップS1と同一である。左半分の密度が右半分の密度に比べて高い場合には制御回路31は駆動回路32に左照明駆動を指令する(ステップS7)。左照明駆動指令に応じて駆動回路32は発光部14の左側領域14Lの有機EL素子への駆動電流を右側領域14Rの有機EL素子の駆動電流よりも増加させてそれらの駆動電流を左側領域14L及び右側領域14Rの有機EL素子に各々供給する。右半分の密度が左半分の密度に比べて高い場合には制御回路31は駆動回路32に右照明駆動を指令する(ステップS8)。右照明駆動指令に応じて駆動回路32は発光部14の右側領域14Rの有機EL素子への駆動電流を左側領域14Lの有機EL素子の駆動電流よりも増加させてそれらの駆動電流を左側領域14L及び右側領域14Rの有機EL素子に各々供給する。
【0026】
制御回路31はステップS6〜S8のいずれかの実行後、ステップS2に戻って上記した動作を繰り返す。なお、その繰り返しタイミングはステップS6〜S8のいずれかの実行後、直ちであっても良いし、予め定められた一定期間(例えば、1秒)毎であっても良い。
【0027】
よって、実施例1のミラー装置10においては、
図6(a)に示すように使用者Aの顔が鏡部13の鏡面に正面向き(正対)である場合には、
図6(b)に示すように発光部14の左側領域14L及び右側領域14Rの両方が均等の輝度で、すなわち均等な輝度分布で発光する。
図7(a)に示すように使用者Aの顔が鏡部13の鏡面に対して右向きである場合には、
図7(b)に示すように発光部14の左側領域14Lの発光輝度が右側領域14Rの発光輝度に比べて大きくなり、一方、
図8(a)に示すように使用者Aの顔が鏡部13の鏡面に対して左向きである場合には、
図8(b)に示すように発光部14の右側領域14Rの発光輝度が左側領域14Lの発光輝度に比べて大きくなる。従って、使用者Aが鏡面で見たい顔の一部に対する照明の明るさが大きくなるように発光面の発光輝度分布が制御されるので、顔を傾けた使用者Aにはその一部が見やすくなる。特に、バニティミラーのようにサイズが小さく、発光部の発光領域が小さい場合でも使用者が見たい部分を明るく照明することができる。
【0028】
なお、
図6(a)、
図7(a)及び
図8(a)は使用者Aをその頭上から見た図であり、突出した部分が鼻を示し、矢印は発光部14からの光の出射を示している。
【0029】
使用者が蓋12を閉じると、蓋連動スイッチ34がオフとなり、制御回路31、駆動回路32及び画像センサ15への電源電圧の供給が停止される。このため、制御回路31、駆動回路32及び画像センサ15各々の作動が停止し、結果として発光部14の発光が停止される。
【0030】
上記した実施例1においては、発光部14の発光面を中心線Cにより左右に等分して左側領域14Lと右側領域14Rとに領域分けして、検出された顔の向きが鏡面に対する正対方向から右側方向にずれているとき左側領域14Lの輝度が右側領域14Rの輝度より大きくされ、検出された顔の向きが鏡面に対する正対方向から左側方向にずれているとき右側領域14Rの輝度が左側領域14Lの輝度より大きくされている。すなわち、本発明は、発光部の発光面を中心線により等分して第1領域と第2領域とに領域分けし、検出された顔の向きが鏡面に対する正対方向からずれているとき、鏡面の中心線に対しての顔の向きが第1領域のとき顔の向きと反対側の第2領域の輝度を第1領域の輝度より大きくし、一方、鏡面の中心線に対しての顔の向きが第2領域のとき顔の向きと反対側の第1領域の輝度を第2領域の輝度より大きくすれば良い。発光面の中心線の方向は垂直方向や水平方向に限定されず、斜め方向でも良い。
【0031】
また、上記した実施例においては、更に、使用者の顔の向きを角度で(例えば、10度毎に)検出してその検出角度に応じて発光面の発光輝度分布を段階的に変化させても良いし、或いは顔の向き検出角度に応じて発光面の発光輝度分布を連続的に変化させても良い。例えば、上記した実施例1の発光部14の場合には、顔の左又は右の向き角度が大きくなるほど発光部14の左側領域14Lの発光輝度と右側領域14Rの発光輝度との差が大きくなるようにしても良い。
【0032】
更に、上記した実施例1においては、使用者の顔が鏡部13の鏡面に対して左向き又は右向きになると、発光部14の左側領域14Lの発光輝度と右側領域14Rの発光輝度との差が生じるが、左側領域14Lの発光輝度と右側領域14Rの発光輝度との合計輝度を常に一定にしても良い。こうすると、使用者が顔を傾けた方の領域の輝度は低下するので、使用者の目には大なる輝度の照明光が到達しないので、使用者が眩しく感じることはなくなる。また、顔を傾けた場合に輝度が大となるべき領域(14L又は14R)の輝度を、顔が正面を向いたときの均等輝度より更に上昇させても良い。なお、このような輝度調整は駆動電流の大きさを制御することにより実行可能である。
【0033】
また、上記した実施例1においては、発光部14の発光面の発光輝度分布は左側領域14Lと右側領域14Rとの2分布として制御されているが、本発明はこれに限定されず、発光面を更に多くの領域に分けて発光輝度分布を制御しても良い。
【0034】
上記した実施例1においては、蓋12の開状態にあるとき発光部14が発光するように構成されているが、蓋12に代えて鏡部13の鏡面前方における使用者の存在を検出したとき制御回路31、駆動回路32及び画像センサ15が作動して発光部14が発光するようにしても良い。また、蓋12の開状態にありかつ鏡部13の鏡面前方における使用者の存在を検出したとき制御回路31、駆動回路32及び画像センサ15が作動して発光部14が発光するようにしても良い。使用者の存在の検出のためには赤外線センサや、座席シートへの使用者の着席を検出する着席センサを用いることができる。
【0035】
また、上記した実施例1においては、使用者の顔の向きを、画像センサ15の出力画像信号から得た顔輪郭内の左半分及び右半分の顔パーツの面積密度に基づいて判断しているが、顔輪郭内の画像を予め用意された正対画像、左向き画像、及び右向き画像と比較して類似度が最も高い画像から使用者の顔の向きを判別しても良い。また、顔輪郭内の特定の顔パーツ(例えば、鼻)の位置に応じて顔の向きを判別しても良い。
【0036】
また、上記した実施例1において、発光部14は鏡部13を取り囲んだ枠状の一体のものであるが、
図9に示すように、左発光部20L及び右発光部20Rのように左右に分離しても良い。
【0037】
画像センサ15は発光部14の枠上部の中央に配置されているが、鏡部13及び発光部14を含む装置本体から分離して配置されても良い。例えば、
図9に示すように、サンバイザ11に取り付けられていても良い。また、車両に眠気検出用として運転者をモニタしているカメラを画像センサとして兼用しても良い。
【0038】
また、上記した実施例1において、発光部14の発光素子として有機EL素子が用いられているが、発光素子としてはLED(発光ダイオード)を用いても良い。更に、使用者の顔の向きに応じて左側領域14L及び右側領域14R各々の輝度だけでなく発光色を変化させても良い。
【0039】
図10は本発明の実施例2としてハーフミラーを用いた照明付きミラー装置の構成を示している。このミラー装置は、画像センサ41、赤外線センサ42、蓋連動スイッチ43、制御回路44、駆動回路45、ハーフミラー46、光拡散板47、及びLEDチップ48a,48b,49a,49bを含んでいる。光拡散板47及び光源部のLEDチップ48a,48b,49a,49bが発光部を構成する。
【0040】
図10に示すように、ハーフミラー46は大きさとして光拡散板47より若干小さく、光拡散板47の一方の主面に貼り付けられ、ハーフミラー46の表面は反射面、すなわち鏡面となっている。2つのLEDチップ48a,48bは光拡散板47の左側側面に取り付けられ、2つのLEDチップ49a,49bは光拡散板47の右側側面に取り付けられている。すなわち、LEDチップ48a,48bが発光するとその光は光拡散板47にその左側側面から入射して光拡散板47内で拡散され、一方、LEDチップ49a,49bが発光するとその光は光拡散板47にその右側側面から入射して光拡散板47内で拡散される。光拡散板47は光を拡散することによりグラデーションを生じさせることができる。
【0041】
画像センサ41は光拡散板47のハーフミラー46の貼り付け主面の上部中央に配置されており、実施例1の画像センサ15と同様のものである。赤外線センサ42は使用者の存在を検出するためのセンサである。蓋連動スイッチ43は実施例1の蓋連動スイッチ34と同様のものである。
【0042】
制御回路44は画像センサ41と共に検出手段を構成する。制御回路44は
図10に示すようにA/D変換器51、メモリ52、輪郭検出回路53、密度判別回路54、CPU55、I/O(入出力回路)56、減算器57、及びD/A変換器58,59を備えている。A/D変換器51、メモリ52、輪郭検出回路53、密度判別回路54、CPU55、及びI/O56は共通バス60に互いに接続されている。A/D変換器51は画像センサ41からアナログ信号として出力される画像信号をディジタル信号に変換し、それを共通バス60に供給する。メモリ52にはCPU55の動作プログラムや処理データが保存される。輪郭検出回路53はCPU55によって制御され、上記のステップS3に対応した顔輪郭検出動作を行う。すなわち、ディジタル画像信号が示す画像から人物の顔の輪郭が検出される。密度判別回路54はCPU55によって制御され、上記のステップS4及びS5に対応した密度判別動作を行う。A/D変換器51、輪郭検出回路53、及び密度判別回路54が画像信号から人物の顔の輪郭を検出し、輪郭内の顔パーツの領域の面積密度に応じて人物の顔のミラーに対する向きを判別する判別部に相当する。
【0043】
また、密度判別回路54は顔輪郭内の左半分の密度と右半分の密度との差が許容範囲内であれば、0.5に相当するディジタル出力を減算器57及びD/A変換器59を供給し、輪郭内の左半分の密度と右半分の密度との差が許容範囲を越えて、左半分の密度が右半分の密度に比べて高い場合(顔が右向きの場合)には1に相当するディジタル出力を減算器57及びD/A変換器59を供給し、右半分の密度が左半分の密度に比べて高い場合(顔が左向きの場合)には0に相当するディジタル出力を減算器57及びD/A変換器59を供給する。
【0044】
減算器57は1から密度判別回路54の出力値を差し引き、その結果を示すディジタル値をD/A変換器58に供給する。D/A変換器58は減算器57の出力ディジタル値をアナログ信号に変換して駆動回路45の右入力に供給する。D/A変換器59は密度判別回路54の出力値をアナログ信号に変換して駆動回路45の左入力に供給する。
【0045】
駆動回路45(駆動手段)は右入力に接続した右駆動系と左入力に接続した左駆動系とからなる。右駆動系は抵抗とキャパシタとからなる積分回路61Rと、駆動アンプ62Rとを有し、左駆動系は抵抗とキャパシタとからなる積分回路61Lと、駆動アンプ62Lとを有する。すなわち、D/A変換器58の出力信号は積分回路61Rを介して駆動アンプ62Rに供給され、駆動アンプ62Rから駆動電流としてLEDチップ49a,49bに供給される。また、D/A変換器59の出力信号は積分回路61Lを介して駆動アンプ62Lに供給され、駆動アンプ62Lから駆動電流としてLEDチップ48a,48bに供給される。
【0046】
よって、実施例2のミラー装置においては、使用者の顔がハーフミラー46の鏡面に正対している場合には、LEDチップ48a,48b,49a,49bが同一輝度で発光して光拡散板47が全面でほぼ発光する。使用者の顔がハーフミラー46の鏡面正対方向より右向きである場合には、LEDチップ48a,48bが発光してLEDチップ49a,49bが消灯する。この際、光拡散板47では左辺側から右に向けて発光輝度が徐々に低下するグラデーションが生じる。一方、使用者の顔がハーフミラー46の鏡面正対方向より左向きである場合には、LEDチップ48a,48bが消灯してLEDチップ49a,49bが発光する。この際、光拡散板47では右辺側から左に向けて発光輝度が徐々に低下するグラデーションが生じる。これにより、実施例2おいても使用者にとって鏡面に写したい部分が明るく照明されるので顔を傾けた使用者には見やすくなる。
【0047】
実施例2のミラー装置においては、発光部の光源としてLEDチップ48a,48b,49a,49bが用いられるが、それに代えて、
図11に示すように光拡散板47のハーフミラー46が設けられた一方の主面とは反対側の主面に有機ELパネル71を配置させても良い。有機ELパネル71としては例えば、RGBの有機EL素子からなる面発光フルカラータイプのものを用いることができる。この
図11の構成を有するミラー装置においても有機ELパネル71の発光領域を制御することにより、実施例2と同様に、使用者の顔がハーフミラー46の鏡面に対して右向きである場合には、光拡散板47では左辺側から右に向けて発光輝度が徐々に低下するグラデーションを生じさせ、一方、使用者の顔がハーフミラー46の鏡面に対して左向きである場合には、光拡散板47では右辺側から左に向けて発光輝度が徐々に低下するグラデーションを生じさせることができる。
【0048】
また、実施例2のミラー装置においては、時定数を有する積分回路61R,61Lが設けられ、使用者の顔の向きが一瞬だけ変化した場合にその動きは積分回路61R,61Lで吸収される。よって、一瞬の顔の向きの変化による有機ELパネル71の発光領域における発光輝度分布の変化が防止され、落ち着いた照明を使用者に与えることができる。
【0049】
更に、実施例2のミラー装置においては、ハーフミラー46の大きさは光拡散板47より若干小さくされているが、
図12に示すようにハーフミラー46が光拡散板47の主面全てを覆うサイズを有しても良い。なお、上記実施例2ではハーフミラーを用いたが、他の鏡面を全体から発光するミラーでも良い。
【0050】
上記した実施例1及び2においては、車室内のサンバイザに取り付けられた照明付きミラー装置を示したが、本発明の照明付きミラー装置は車室内のミラーに限らず、化粧台、姿見、手鏡等の鏡を備えたものに適用することができる。
【0051】
また、上記した実施例1及び2においては、使用者の顔が左右のいずれかに向く場合に対応して発光部の発光面の発光輝度分布を制御しているが、本発明はこれに限定されず、使用者の顔が上方又は下方に向く場合に対応して発光部の発光面の発光輝度分布を制御しても良い。すなわち、検出手段によって検出された顔の向きとは対称関係にある向きに対応した発光面の領域の輝度を上昇させる構成であれば良い。例えば、使用者の顔の向きがミラー正面より上方にあるほど顔の下方側の発光部の発光面の照射輝度が上方側の照射輝度より高くなるように発光部を駆動し、一方、使用者の顔の向きがミラー正面より下方にあるほど顔の上方側の照射輝度が下方側の照射輝度より高くなるように発光部を駆動することが行われる。