特許第5919382号(P5919382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5919382医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919382
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/08 20060101AFI20160428BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   A61F2/08
   A61B17/00 320
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-532593(P2014-532593)
(86)(22)【出願日】2012年8月27日
(86)【国際出願番号】JP2012071593
(87)【国際公開番号】WO2014033812
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】川浦 政克
(72)【発明者】
【氏名】横井 奈央
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−517115(JP,A)
【文献】 特表2005−514967(JP,A)
【文献】 特表2001−511684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/08
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状をなすインプラントが挿入される医療用チューブであって、
基端が開口した基端開口部を有するチューブで構成され、
前記チューブは、その長手方向の途中が湾曲し、その湾曲状態が維持された湾曲部と、
前記基端開口部付近に設けられており、先端に鋭利な針先を有する穿刺針が前記針先側から接続される接続部とを有することを特徴とする医療用チューブ。
【請求項2】
前記チューブは、少なくとも前記湾曲部が硬質のものである請求項1に記載の医療用チューブ。
【請求項3】
前記接続部は、前記チューブの管壁を貫通する少なくとも1本のスリットを形成し、該スリットで囲まれた部分を内側に折り曲げてなる小片を有する請求項1または2に記載の医療用チューブ。
【請求項4】
前記接続部は、前記チューブの内径が縮径した縮径部を有する請求項1または2に記載の医療用チューブ。
【請求項5】
前記湾曲部は、円弧状に湾曲している請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用チューブ。
【請求項6】
前記チューブをその長手方向の途中で分離可能な分離部を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用チューブ。
【請求項7】
前記分離部は、前記湾曲部の長手方向の中央部に配置されている請求項6に記載の医療用チューブ。
【請求項8】
前記チューブには、前記湾曲部の長手方向の中央部を把握するためのマーカが付されている請求項7に記載の医療用チューブ。
【請求項9】
前記チューブは、前記分離部により、先端側の第1チューブと基端側の第2チューブとに分離され、
前記分離部は、前記チューブが前記第1チューブと前記第2チューブとに分離される以前には、前記第1チューブの基端部が前記第2チューブの先端部の内側に嵌合する嵌合構造をなす部分である請求項6ないし8のいずれかに記載の医療用チューブ。
【請求項10】
少なくとも前記接続部よりも先端側の部分の横断面形状は、偏平形状である請求項1ないし9のいずれかに記載の医療用チューブ。
【請求項11】
前記偏平形状の厚さ方向は、前記湾曲部の湾曲中心側を向いている請求項10に記載の医療用チューブ。
【請求項12】
前記チューブは、その全長が前記穿刺針の全長よりも長いものである請求項1ないし11のいずれかに記載の医療用チューブ。
【請求項13】
前記基端開口部に開口する少なくとも1つのルーメンを有し、該ルーメンに前記インプラントが挿入される請求項1ないし11のいずれかに記載の医療用チューブ。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の医療用チューブと、
前記医療用チューブに挿入され、長尺状をなすインプラントとを備えることを特徴とする医療用チューブ組立体。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれかに記載の医療用チューブと、
先端に鋭利な針先を有する穿刺針とを備え、
前記接続部に前記穿刺針をその前記針先側から接続して用いることを特徴とする医療用チューブ・穿刺針接続体
【請求項16】
前記穿刺針は、前記針先の基端側直近の一部が欠損した欠損部を有する請求項15に記載の医療用チューブ・穿刺針接続体
【請求項17】
前記穿刺針は、前記針先の基端側直近の部分の外径が縮径した縮径部を有する請求項15に記載の医療用チューブ・穿刺針接続体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁、特に、腹圧性尿失禁になると、通常の運動中や、笑い、咳、くしゃみ等により腹圧がかかることで、尿漏れが生じる。この原因は、例えば、出産等により、尿道を支える筋肉である骨盤底筋が緩むこと等が挙げられる。
【0003】
尿失禁の治療には、外科的療法が有効であり、例えば、「スリング」と呼ばれるテープ状のインプラントを用い、スリングを体内に留置し、そのスリングで尿道を支持する(例えば、特許文献1参照)。スリングを体内に留置するには、術者がメスで膣を切開し、尿道と膣との間の生体組織を剥離し、穿刺針等を用いて、その剥離した生体組織と外部とに連通する刺通孔を形成する。そして、この刺通孔にスリングを挿入して当該スリングを体内の前記剥離した生体組織に留置する。
【0004】
ところで、スリングを刺通孔に挿入する際には、当該スリングを可撓性を有するチューブに挿入した状態のまま、その挿入操作を行なう。しかしながら、このチューブは、可撓性を有しているため、前記剥離した生体組織に潰されて(圧迫されて)しまう。その結果、スリングの挿入操作を行なおうとしても、チューブと生体組織との摩擦により、その挿入操作が困難となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−99499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、インプラントを生体内に挿入して、留置する際に、その操作を容易かつ確実に行なうことができる医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(17)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 長尺状をなすインプラントが挿入される医療用チューブであって、
基端が開口した基端開口部を有するチューブで構成され、
前記チューブは、その長手方向の途中が湾曲し、その湾曲状態が維持された湾曲部と、
前記基端開口部付近に設けられており、先端に鋭利な針先を有する穿刺針が前記針先側から接続される接続部とを有することを特徴とする医療用チューブ。
【0009】
(2) 前記チューブは、少なくとも前記湾曲部が硬質のものである上記(1)に記載の医療用チューブ。
【0010】
(3) 前記接続部は、前記チューブの管壁を貫通する少なくとも1本のスリットを形成し、該スリットで囲まれた部分を内側に折り曲げてなる小片を有する上記(1)または(2)に記載の医療用チューブ。
【0011】
(4) 前記接続部は、前記チューブの内径が縮径した縮径部を有する上記(1)または(2)に記載の医療用チューブ。
【0012】
(5) 前記湾曲部は、円弧状に湾曲している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0013】
(6) 前記チューブをその長手方向の途中で分離可能な分離部を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0014】
(7) 前記分離部は、前記湾曲部の長手方向の中央部に配置されている上記(6)に記載の医療用チューブ。
【0015】
(8) 前記チューブには、前記湾曲部の長手方向の中央部を把握するためのマーカが付されている上記(7)に記載の医療用チューブ。
【0016】
(9) 前記チューブは、前記分離部により、先端側の第1チューブと基端側の第2チューブとに分離され、
前記分離部は、前記チューブが前記第1チューブと前記第2チューブとに分離される以前には、前記第1チューブの基端部が前記第2チューブの先端部の内側に嵌合する嵌合構造をなす部分である上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0017】
(10) 少なくとも前記接続部よりも先端側の部分の横断面形状は、偏平形状である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0018】
(11) 前記偏平形状の厚さ方向は、前記湾曲部の湾曲中心側を向いている上記(10)に記載の医療用チューブ。
【0019】
(12) 前記チューブは、その全長が前記穿刺針の全長よりも長いものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0020】
(13) 前記基端開口部に開口する少なくとも1つのルーメンを有し、該ルーメンに前記インプラントが挿入される上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0021】
(14) 上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の医療用チューブと、
前記医療用チューブに挿入され、長尺状をなすインプラントとを備えることを特徴とする医療用チューブ組立体。
【0022】
(15) 上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の医療用チューブと、
先端に鋭利な針先を有する穿刺針とを備え、
前記接続部に前記穿刺針をその前記針先側から接続して用いることを特徴とする医療用チューブ・穿刺針接続体
【0023】
(16) 前記穿刺針は、前記針先の基端側直近の一部が欠損した欠損部を有する上記(15)に記載の医療用チューブ・穿刺針接続体
【0024】
(17) 前記穿刺針は、前記針先の基端側直近の部分の外径が縮径した縮径部を有する上記(15)に記載の医療用チューブ・穿刺針接続体
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、医療用チューブを生体内に挿入する際に、湾曲部が生体内で押し潰されて(圧迫されて)しまうのが防止される。これにより、例えば医療用チューブに予めインプラントが挿入されている場合、医療用チューブをインプラントごと生体内に挿入する操作を容易かつ確実に行なうことができる。
【0026】
また、この挿入操作後に、医療用チューブを生体から引き抜きさえすれば、インプラントがそのまま残り、生体内に容易かつ確実に留置されることとなる。
【0027】
また、医療用チューブと穿刺針とが接続部を介して接続された状態では、穿刺針を医療用チューブごと基端方向に向かって引張ることができる。これにより、医療用チューブを、穿刺針で形成された穿刺孔に容易に挿通させることができ、その後のインプラントの穿刺孔への留置も容易に行なうことができる。
【0028】
また、医療用チューブが分離部を有する場合には、当該分離部で医療用チューブを分離することができる。これにより、医療用チューブを生体から引き抜く操作を容易に行なうことができ、よって、インプラントの迅速な留置を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図2図2は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図3図3は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図4図4は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図5図5は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図6図6は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図7図7は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図8図8は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図9図9は、図1中の矢印A方向から見た図(側面図)である。
図10図10は、図3中の一点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大詳細図である。
図11図11は、図10中の矢印C方向から見た図である。
図12図12は、図4中のD−D線断面図である。
図13図13は、図4中の矢印E方向から見た図((a)は、分離部が分離される以前の状態を示し、(b)は、分離部が分離された状態を示す)である。
図14図14は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第2実施形態を示す縦断面図である。
図15図15は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)の第3実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図16図16は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)の第3実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
図17図17は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)の第3実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
<第1実施形態>
図1図8は、それぞれ、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第1実施形態における使用方法を順に示す断面図、図9は、図1中の矢印A方向から見た図(側面図)、図10は、図3中の一点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大詳細図、図11は、図10中の矢印C方向から見た図、図12は、図4中のD−D線断面図、図13は、図4中の矢印E方向から見た図((a)は、分離部が分離される以前の状態を示し、(b)は、分離部が分離された状態を示す)。なお、以下では、説明の都合上、図1図9中(図15図17についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、針先側を「先端」、その反対側を「基端」と言う。
【0032】
図4図6に示す医療用チューブ組立体1は、医療用チューブ(チューブ)2と、医療用チューブ2に挿入されるインプラント8とを備えている。この医療用チューブ組立体1は、女性の尿失禁の治療に用いられる医療器具である。また、図1図4に示すように、女性の尿失禁の治療を施す際には、医療用チューブ組立体1とともに、穿刺装置10も用いられる。本実施形態では、医療用チューブ組立体1と穿刺装置10とで、女性の尿失禁の治療用の「医療器具セット」が構成されていると言うことができる。以下、各部の構成について説明する。
【0033】
まず、インプラント8について説明する。
【0034】
インプラント8は、一般的に「スリング」と呼ばれ、女性の尿失禁の治療のための埋設可能な器具、すなわち、尿道100を支持する器具、例えば尿道100が膣200側に移動しようとしたときに、その尿道100を膣200から離間する方向へ引っ張るようにして支持する器具である(図8参照)。インプラント8は、可撓性を有し、帯状(長尺状)をなす部材で構成されている(図3図8参照)。
【0035】
インプラント8の構成材料としては、特に限定されず、例えば、生体適合性を有する各種樹脂材料等を用いることができる。
【0036】
なお、インプラント8は、図3に示すように予め医療用チューブ2に挿入されて(収納されて)いてもよいし、手技の途中で医療用チューブ2に挿入することもできる。インプラント8が予め医療用チューブ2に挿入されている場合には、迅速な手技を行なうことができる。また、インプラント8を手技の途中で医療用チューブ2に挿入する場合には、症例に応じて、それに適したインプラント8をその都度選択することができる。本実施形態では、インプラント8が予め医療用チューブ2に挿入されている場合について代表的に説明する。
【0037】
次に、医療用チューブ2について説明する前に、穿刺装置10について説明する。
【0038】
図1図4図9に示すように、穿刺装置10は、穿刺部材3と、穿刺部材3を回動可能に支持する支持部材20とを備えている。なお、穿刺装置10は、尿道100内に挿入される棒状をなす尿道挿入部材と、膣200内に挿入される棒状をなす膣挿入部材とをさらに備えていてもよい。これら部材は、それぞれ、支持部材20に支持、固定されているのが好ましい。
【0039】
穿刺部材3は、生体組織700を穿刺する穿刺針31と、軸部33と、穿刺針31と軸部33を連結する連結部32とを有している。
【0040】
穿刺針31は、先端に鋭利な針先315を有し、軸部33を中心とする円弧状に湾曲している。また、穿刺針31の軸線と軸部33の軸線とは、ねじれの位置関係にある。これにより、穿刺針31の針先315は、穿刺部材3が軸部33回りに回動したとき、前記円弧に沿って、軸部33の軸線と垂直な面内、すなわち、軸部33の軸線を法線とする面内を移動する。
【0041】
なお、穿刺針31の前記円弧の中心角は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、穿刺針31により生体組織700を穿刺した際、当該生体組織700に後述するように円弧状をなす刺通孔(穿刺孔)500が形成されるように設定される。このような中心角としては、例えば、120〜270°であることが好ましく、160〜230°であることがより好ましく、180〜210°であることがさらに好ましい。
【0042】
また、本実施形態では、穿刺針31の針先315は、図1図4中では反時計回りの方向を向いているが、これに限らず、時計回りの方向を向いていてもよい。
【0043】
また、穿刺針31には、針先315から基端方向に向かって外径が漸増するテーパ部316が形成されている。
【0044】
また、穿刺針31は、中実針であってもよいし、中空針であってもよい。
【0045】
軸部33は、穿刺部材3(穿刺針31)の回転軸となり、支持部材20に回動可能に設置されている。
【0046】
図9に示すように、軸部33は、支持部材20を図中の左右方向に貫通している。そして、支持部材20を介して軸部33の先端側の部分と基端側の部分とには、それぞれ、フランジ331とフランジ332とが形成されている。このフランジ331、332により、支持部材20に対する軸部33の軸方向の移動が規制される。
【0047】
また、軸部33の穿刺針31と反対側の端部には、穿刺部材3を回動操作する操作部として、把持部34が設けられている。この把持部34の形状は、本実施形態では、直方体をなしている。穿刺部材3を回動させる際は、把持部34を手指で把持し、所定方向に回動させる。なお、把持部34の形状は、これに限定されないことは言うまでもない。
【0048】
連結部32は、穿刺針31の基端と軸部33とを連結する部分である。
【0049】
穿刺部材3の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような各種金属材料を用いることができる。
【0050】
支持部材20は、穿刺部材3を回動可能に支持する部材である。なお、図1図4中では、支持部材20が省略されている。
【0051】
支持部材20は、穿刺部材3が回動して生体組織700を穿刺したとき、穿刺針31の針先315が、尿道100と膣200との間を通過するように、穿刺部材3の位置を規制している。これにより、尿道100と膣200との間には、穿刺針31による円弧状をなす刺通孔500が形成される。
【0052】
支持部材20の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のような各種樹脂材料を用いることができる。
【0053】
次に、医療用チューブ2について説明する。
【0054】
図3図5に示すように、医療用チューブ2は、その先端が開口した先端開口部21と、基端が開口した基端開口部22とを有するチューブである。
【0055】
また、医療用チューブ2には、先端開口部21および基端開口部22にそれぞれ開口するルーメン25が形成されている。このルーメン25内には、インプラント8を挿入することができる。なお、本実施形態では、ルーメンの形成数は、1つであるが、これに限定されず、例えば、2つ以上であってもよい。
【0056】
図3図5に示すように、医療用チューブ2は、その長手方向の途中が円弧状に湾曲した湾曲部231を有している。医療用チューブ2では、少なくとも湾曲部231が硬質のものである。ここで、「硬質」とは、湾曲部231自体で円弧状に湾曲した状態を維持することができる程度のことを言う。また、この湾曲部231の湾曲の程度(曲率)は、穿刺装置10の穿刺針31の湾曲の程度と同程度かまたはそれよりも小さいのが好ましい。
【0057】
このような構成により、医療用チューブ2を穿刺装置10が形成した刺通孔500に挿入する際に、湾曲部231が刺通孔500内で押し潰されて(圧迫されて)しまうのが防止されるとともに、湾曲部231が刺通孔500の湾曲形状に容易にならう(沿う)ことができる。これにより、医療用チューブ2をインプラント8ごと刺通孔500(生体)に挿入する操作を容易かつ確実に行なうことができる。また、この挿入操作後に、後述するように医療用チューブ2を分離することにより、インプラント8を刺通孔500に容易かつ確実に留置することができる(図6参照)。
【0058】
図12に示すように、湾曲部231の横断面形状、すなわち、医療用チューブ2の基端開口部22付近(接続部232)よりも先端側の部分の横断面形状は、偏平形状、すなわち、楕円形である。これにより、帯状をなすインプラント8を予めルーメン25内に挿入しておく際に、その挿入作業を容易に行なうことができる。また、刺通孔500にインプラント8を確実に挿入可能なスペースを形成することが可能であり、さらにインプラント8の向きを規制することが可能であると言う利点もある。
【0059】
なお、湾曲部231の横断面形状は、偏平形状の他に、例えば、円形であってもよい。
【0060】
また、図12に示すように、前記偏平形状の厚さ方向(小径方向)は、湾曲部231の湾曲中心O側を向いている。この構成は、前記偏平形状の幅方向(大径方向)が湾曲中心O側を向いている場合に比べて、医療用チューブ2を刺通孔500に容易に挿入するのに寄与する。
【0061】
図3図4に示すように、医療用チューブ2の基端開口部22付近には、穿刺部材3の穿刺針31が針先315側から挿入、接続される接続部(チューブ側接続部)232が設けられている。一方、穿刺針31の先端部には、医療用チューブ2の接続部232(基端部)が接続される接続部(穿刺針側接続部)317が設けられている。
【0062】
図10図11に示すように、医療用チューブ2の接続部232は、湾曲外側の部分に小片232aを有している。この小片232aは、医療用チューブ2の管壁を貫通する、「U」字状(略「コ」の字状)をなすスリット232bを形成し、当該スリット232bで囲まれた部分を内側に折り曲げてなる。なお、このスリット232bは、図11中で逆「U」字状をなす、すなわち、「U」字状の開口が基端方向(図11中の下側)に向かって開口している。
【0063】
また、穿刺針31の接続部317は、針先315の基端側直近の湾曲外側の部分に、その一部が欠損した欠損部317aを有している。この欠損部317aは、その深さが基端方向(図10中の下側)に向かって漸減するようにくさび状に形成されている。
【0064】
そして、図10図11に示すように、医療用チューブ2の接続部232と、穿刺針31の接続部317とを接続した状態(以下この状態を「接続状態」と言う)では、接続部232の小片232aが接続部317の欠損部317aに係合する。これにより、接続状態が確実に維持される、すなわち、接続状態の不本意な解除が確実に防止される。
【0065】
また、図3図4に示すように、接続状態で穿刺部材3を図中の時計回りに回動操作することにより、医療用チューブ2をその方向に引張ることができる。これにより、医療用チューブ2を刺通孔500に容易に挿通させることができ、その後のインプラント8の刺通孔500への留置も容易に行なうことができる。
【0066】
なお、接続部232は、湾曲部231と同様に硬質であってもよし、これと異なり、軟質であってもよい、すなわち、可撓性を有していてもよい。
【0067】
図6図13(b)に示すように、医療用チューブ2は、当該医療用チューブ2をその長手方向の途中で分離可能に構成され、これにより、先端側の第1チューブ233と基端側の第2チューブ234とに分離される。この分離により、医療用チューブ2を刺通孔500から迅速に抜去することができ、よって、インプラント8だけを刺通孔500に留置することができる。
【0068】
図3図5に示すように、この分離部235は、湾曲部231の長手方向の中央部に配置されている。これにより、図6に示すように、分離部235で医療用チューブ2を分離した際に、インプラント8で尿道100を好適に支持することができる。
【0069】
医療用チューブ2の先端部および基端部には、それぞれ、湾曲部231の長手方向の中央部を把握するためのマーカ27が付されているのが好ましい(図5参照)。このマーカ27により、湾曲部231の長手方向の中央部、すなわち、分離部235の位置を確実に把握することができる。なお、マーカ27は、本実施形態では医療用チューブ2の先端部および基端部の双方に設けられているが、これに限定されず、例えば、医療用チューブ2の先端部および基端部の内の一方に設けられていてよい。
【0070】
図13(a)に示すように、分離部235は、医療用チューブ2が第1チューブ233と第2チューブ234とに分離される以前には、第1チューブ233の基端部236が第2チューブ234の先端部237の内側に嵌合する嵌合構造をなす部分となっている。これにより、医療用チューブ2をその両側から引張れば、第1チューブ233の基端部236と第2チューブ234の先端部237との嵌合状態を確実に解除することができる。この解除により、医療用チューブ2を分離部235で第1チューブ233と第2チューブ234とに容易に分離することができる。
【0071】
なお、第1チューブ233の基端部236には、その幅が基端方向に向かって漸減した幅漸減部238が形成されている。これにより、医療用チューブ2を図13(a)に示す状態としておく際に、第1チューブ233の基端部236を第2チューブ234の先端部237に容易に挿入することができ、その結果、端部同士は前記嵌合状態となる。
【0072】
また、第1チューブ233の基端部236の外側の幅(最大幅)wは、第2チューブ234の先端部237の内側の幅wと同じかまたはそれよりも若干小さい。これにより、第1チューブ233の基端部236を第2チューブ234の先端部237により容易に挿入することができる。
【0073】
前述したように、第1チューブ233の基端部236と第2チューブ234の先端部237との嵌合構造は、基端部236が内側に位置し、先端部237の外側に位置する状態となっている。この場合、分離部235には、すなわち、基端部236と先端部237との境界部には、幅が先端方向に向かって段階的に減少した段差部239が形成される(図13(a)参照)。医療用チューブ2は、その基端側から刺通孔500に挿入されるため、段差部239がこのように形成されている方が好ましい。
【0074】
なお、医療用チューブ2は、その全長が穿刺針31の全長よりも長いものであるのが好ましい。これにより、医療用チューブ2は、穿刺針31で形成された刺通孔500の全長よりも長くなり、図4図5に示すように、刺通孔500を挿通した状態で両端部がそれぞれ刺通孔500から突出する。そして、医療用チューブ2を第1チューブ233と基端側の第2チューブ234とに分離して刺通孔500から抜去する際、このように突出した各部分を把持してその抜去操作を行なうことができる。
【0075】
また、医療用チューブ2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0076】
次に、医療用チューブ組立体1および穿刺装置10の使用方法の一例について、図1図8を参照しつつ説明する。
【0077】
[1] まず、図1に示すように、穿刺装置10を患者の生体表面600に装着する。この装着位置としては、これから埋設するインプラント8で尿道100を支持するのに適した位置とすることができる。
【0078】
[2] 次に、穿刺装置10の把持部34を一方の手で把持して、図2に示すように、穿刺部材3を図中反時計回りに回転させる。これにより、穿刺針31は、軸部33を回動中心として、患者の生体表面600の左側の鼠蹊部(またはその近傍の部位)、骨盤300の閉鎖孔400a、尿道100と膣200との間、骨盤300の閉鎖孔400b、生体表面600の右側の鼠蹊部(またはその近傍の部位)を順に通過して、すなわち、穿刺していく。この穿刺により、生体組織700には、生体表面600の左側の鼠蹊部から右側の鼠蹊部までを貫通する刺通孔500が形成される。また、穿刺針31は、接続部317が生体表面600の右側の鼠蹊部側から突出している。
【0079】
[3] 次に、医療用チューブ2にインプラント8が挿入された状態の医療用チューブ組立体1を用意する。そして、図3に示すように、医療用チューブ2の接続部232に穿刺針31の接続部317を挿入して、接続部232、317同士を接続する。これにより、医療用チューブ2と穿刺針31とが接続状態となる。前述したように、この接続状態では、接続部232の小片232aが接続部317の欠損部317aに係合している。これにより、接続状態を確実に維持することができる。
【0080】
[4] 次に、穿刺装置10の把持部34を一方の手で把持して、図4に示すように、穿刺部材3を前記とは反対に、すなわち、図中時計回りに回転させる。これにより、穿刺部材3が刺通孔500から抜去されとともに、今度は、医療用チューブ組立体1(医療用チューブ2)が刺通孔500を挿通する。また、この医療用チューブ組立体1は、その先端側の部分が生体表面600の閉鎖孔400b側から突出し、基端側の部分が生体表面600の閉鎖孔400a側から突出した状態となる。
【0081】
[5] 次に、図5に示すように、生体表面600から穿刺装置10の穿刺部材3を支持部材20ごと取り除く。
【0082】
[6] 次に、医療用チューブ組立体1の生体表面600の閉鎖孔400b側から突出した部分を一方の手で把持し、生体表面600の閉鎖孔400a側から突出した部分を他方の手で把持して、図6に示すように、互いに反対方向に引張る。これにより、医療用チューブ2は、分離部235によって、第1チューブ233と第2チューブ234とに分離する。
【0083】
[7] 次に、第1チューブ233と第2チューブ234とをそれぞれ刺通孔500から引き抜くと、図7に示すように、インプラント8は、刺通孔500を挿通したまま残る。このインプラント8は、その先端側の部分が生体表面600の閉鎖孔400b側から突出し、基端側の部分が生体表面600の閉鎖孔400a側から突出した状態となっている。そして、インプラント8の前記先端側の部分と前記基端側の部分とをそれぞれ所定の力で引張る。これにより、インプラント8に張力が生じて、尿道100は、膣200から離間する方向に引張られ、当該インプラント8で下側から支持される。
【0084】
[8] 次に、図8に示すように、インプラント8の不要な部分を切除し、所定の閉創等を行なって手技を終了する。
【0085】
以上のような手技、すなわち、尿失禁治療では、インプラント8を刺通孔500に挿入して、留置する際、当該インプラント8は、予め医療用チューブ2に収納されており、医療用チューブ2ごと刺通孔500に挿入される。この医療用チューブ2は、前述したように少なくとも湾曲部231が硬質であるため、刺通孔500でも生体組織700によって押し潰されて、不本意に変形するのが防止される。これにより、刺通孔500への挿入操作を容易かつ確実に行なうことができる。
【0086】
また、本手技では、インプラント8を医療用チューブ2ごと刺通孔500に挿入した後に、医療用チューブ2を分離して刺通孔500から容易に抜去することができる。これにより、インプラント8が刺通孔500に確実に留置される。
【0087】
また、接続状態では、穿刺針31を医療用チューブ2ごと基端方向に向かって引張ることができる。これにより、医療用チューブ2を、刺通孔500に容易に挿通させることができ、その後のインプラント8の刺通孔500への留置も容易に行なうことができる。
【0088】
<第2実施形態>
図14は、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)および穿刺針の第2実施形態を示す縦断面図である。
【0089】
以下、この図を参照して本発明の医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0090】
本実施形態は、医療用チューブおよび穿刺針の各接続部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0091】
図14に示すように、本実施形態では、医療用チューブ2Aの接続部232は、当該医療用チューブ2の内径が縮径した縮径部232cを有している。この縮径部232cは、例えば医療用チューブ2Aの縮径部232cとなる部分を熱収縮することにより形成されている。
【0092】
また、穿刺部材3Aの穿刺針31の接続部317は、針先315のテーパ部316を超えた基端側直近の部分の外径が縮径した縮径部317bを有している。この縮径部317bは、例えば穿刺針31の縮径部317bとなる部分を切削することにより形成されている。
【0093】
そして、接続状態では、医療用チューブ2Aの接続部232の縮径部232cが、穿刺針31の接続部317の縮径部317bに係合する。これにより、接続状態が確実に維持され、よって、前述したように医療用チューブ2Aを穿刺部材3Aに次いで刺通孔500を通過させることができる。
【0094】
<第3実施形態>
図15図17は、それぞれ、本発明の医療用チューブ(医療用チューブ組立体)の第3実施形態における使用方法を順に示す断面図である。
【0095】
以下、これらの図を参照して本発明の医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0096】
本実施形態は、医療用チューブから分離部が省略されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0097】
図15図16に示すように、本実施形態の医療用チューブ2Bは、前記第1実施形態の医療用チューブ2が有していたような分離部235が省略されている。
【0098】
また、医療用チューブ2Bの先端開口部21からは、インプラント8の先端部81が予め突出している。
【0099】
以上のような構成の医療用チューブ2Bを備える医療用チューブ組立体1の使用方法の一例について、図15図17を参照しつつ説明する。なお、本使用方法は、前記第1実施形態での操作[1]〜[3]と、操作[7]、[8]とが共通であり、操作[4]〜[6]が異なる。ここでは、この異なる操作について説明する。
【0100】
[4’] 前記操作[3]の後、医療用チューブ2Bにインプラント8が挿入された状態の医療用チューブ組立体1を用意する。前述したように、インプラント8の先端部81は、医療用チューブ2Bの先端開口部21から突出している。
【0101】
そして、接続状態として、図15に示すように、穿刺部材3を図中時計回りに回転させる。これにより、穿刺部材3が刺通孔500から抜去されとともに、今度は、医療用チューブ組立体1(医療用チューブ2B)が刺通孔500を挿通する。また、この医療用チューブ組立体1は、その先端側の部分が生体表面600の閉鎖孔400b側から突出し、基端側の部分が生体表面600の閉鎖孔400a側から突出した状態となる。この状態でも、インプラント8の先端部81が医療用チューブ2Bの先端開口部21から突出している。
【0102】
[5’] 次に、図16に示すように、生体表面600から穿刺装置10の穿刺部材3を支持部材20ごと取り除く。
【0103】
[6’] 次に、図17に示すように、インプラント8の先端部81を一方の手で把持して、そのままにし、医療用チューブ2Bの基端部を他方の手で把持して、医療用チューブ2Bが刺通孔500から引き抜かれるまで基端方向に向かって引張る。これにより、インプラント8は、刺通孔500を挿通したまま残る。
【0104】
以降、前記操作[7]、[8]を順に行なう。
【0105】
なお、医療用チューブ2Bでは、予め先端開口部21からインプラント8の先端部81が突出しているが、これに限定されず、先端開口部21よりも先端部81が奥側に引込んでいてもよい。この場合、例えば、医療用チューブ2Bは、その先端部が分離可能に構成されているのが好ましい。これにより、当該先端部を分離すれば、医療用チューブ2Bからはインプラント8の先端部81が突出する。前記操作[5’]の後、この先端部を分離することにより、前記操作[6’]を確実に行なうことができる。
【0106】
以上、本発明の医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、医療用チューブ、医療用チューブ組立体および穿刺針を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0107】
また、本発明の医療用チューブ、医療用チューブ組立体および医療用チューブ・穿刺針接続体は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0108】
また、医療用チューブの湾曲部は、前記各実施形態では自身が硬質であることにより、円弧状に湾曲した状態を維持するよう構成されているが、これに限定されず、例えば、円弧状に湾曲した湾曲部を有する硬質なスタイレット等を挿入することにより、その湾曲した状態を維持するよう構成されていてもよい。
【0109】
また、医療用チューブの分離部は、ミシン目で構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の医療用チューブは、本発明の医療用チューブは、長尺状をなすインプラントが挿入される医療用チューブであって、先端が開口した先端開口部と、基端が開口した基端開口部とを有するチューブで構成され、前記チューブは、その長手方向の途中が湾曲し、その湾曲状態が維持された湾曲部と、前記基端開口部に設けられており、先端に鋭利な針先を有する穿刺針が前記針先側から接続される接続部を有する。そのため、インプラントを生体内に挿入して、留置する際に、その操作を容易かつ確実に行なうことができる。
【0111】
従って、本発明の医療用チューブ組立体は、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0112】
1 医療用チューブ組立体
10 穿刺装置
2、2A、2B 医療用チューブ(チューブ)
21 先端開口部
22 基端開口部
231 湾曲部
232 接続部(チューブ側接続部)
232a 小片
232b スリット
232c 縮径部
233 第1チューブ
234 第2チューブ
235 分離部
236 基端部
237 先端部
238 幅漸減部
239 段差部
25 ルーメン
27 マーカ
3、3A 穿刺部材
31 穿刺針
315 針先
316 テーパ部
317 接続部(穿刺針側接続部)
317a 欠損部
317b 縮径部
32 連結部
33 軸部
331、332 フランジ
34 把持部
8 インプラント
81 先端部
20 支持部材
100 尿道
200 膣
300 骨盤
400a、400b 閉鎖孔
500 刺通孔(穿刺孔)
600 生体表面
700 生体組織
O 湾曲中心
、w
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17