(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919390
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電装置
(51)【国際特許分類】
F03G 6/00 20060101AFI20160428BHJP
F01K 27/02 20060101ALI20160428BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
F03G6/00 501
F01K27/02 Z
F03G6/00 521
F01K25/10 R
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-546290(P2014-546290)
(86)(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公表番号】特表2015-501904(P2015-501904A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】CN2012083116
(87)【国際公開番号】WO2013086895
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年7月15日
(31)【優先権主張番号】201110411979.8
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201120515674.7
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512244657
【氏名又は名称】武▲漢凱▼迪工程技▲術▼研究▲総▼院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】▲陳義龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼清萍
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼岩▲豊▼
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第201827035(CN,U)
【文献】
中国実用新案第201786587(CN,U)
【文献】
国際公開第2007/073008(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0029150(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/033140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 6/00
F01K 25/10
F01K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽エネルギ蒸気発生装置と、外部蒸気調節装置(15)と、ターボセット(2)と、前記ターボセット(2)と連結される発電装置(1)と、軟水貯蔵タンク(9)を含む太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムであって、前記太陽エネルギ蒸気発生装置の蒸気出口端は第1調節弁(18)を介して前記ターボセット(2)の高圧蒸気入口(3)と連結され、前記外部蒸気調節装置(15)の蒸気出口端も第2調節弁(20)および第2切替弁(19)を介して前記ターボセット(2)の高圧蒸気入口(3)と連結され、前記ターボセット(2)の低圧蒸気出口(4)は凝縮器(5)の入力端に連結され、前記凝縮器(5)の出力端は脱気装置(6)の入力端に連結され、前記脱気装置(6)の出力端は送水ポンプ(7)の入力端に連結され、前記送水ポンプ(7)の出力端は第1切替弁(16)を介して前記太陽エネルギ蒸気発生装置の循環水入力端に連結され、前記送水ポンプ(7)の出力端は更に第4切替弁(23)を介して外部蒸気の水戻りバイパス(11)に連結され、前記軟水貯蔵タンク(9)の水出口は給水ポンプ(8)を介して前記脱気装置(6)の水入口と連結され、前記軟水貯蔵タンク(9)の水出口と前記脱気装置(6)の水入口をつなぐ管路には第3調節弁(22)および第3切替弁(21)が設けられることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ターボセット(2)の高圧蒸気入口(3)付近の管路には圧力計(P)および温度計(T)が設けられることを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項3】
前記太陽エネルギ蒸気発生装置は塔頂太陽エネルギボイラ(13)およびそれに適合する複数のヘリオスタット(14)を含み、前記塔頂太陽エネルギボイラ(13)の集熱管出力端は第1調節弁(18)を介して前記ターボセット(2)の高圧蒸気入口(3)と連結され、前記塔頂太陽エネルギボイラ(13)の集熱管の入力端は第1切替弁(16)を介して前記送水ポンプ(7)の出力端に連結されることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項のシステム。
【請求項4】
前記太陽エネルギ蒸気発生装置は塔頂太陽エネルギボイラ(13)およびそれに適合する複数のヘリオスタット(14)を含み、前記塔頂太陽エネルギボイラ(13)の集熱管出力端は第5切替弁(17)を介して再生熱交換器(12)の熱媒体入口と連結され、前記再生熱交換器(12)の熱媒体出口は熱ポンプ(10)を介して前記塔頂太陽エネルギボイラ(13)の集熱管入力端に連結され、前記再生熱交換器(12)の蒸気出口は第1調節弁(18)を介して前記ターボセット(2)の高圧蒸気入口(3)と連結され、前記再生熱交換器(12)の循環水入口は第1切替弁(16)を介して前記送水ポンプ(7)の出力端に連結されることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項のシステム。
【請求項5】
前記太陽エネルギ蒸気発生装置は複数の太陽エネルギ真空集熱管(13’)とそれに適合する複数のトラフ型パラボラ反射鏡(14’)を含み、前記太陽エネルギ真空集熱管(13’)の出力端は第1調節弁(18)を介して前記ターボセット(2)の高圧蒸気入口(3)に連結され、前記太陽エネルギ真空集熱管(13’)の入力端は第1切替弁(16)を介して前記送水ポンプ(7)の出力端に連結されることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項のシステム。
【請求項6】
前記太陽エネルギ蒸気発生装置は複数の太陽エネルギ真空集熱管(13’)とそれに適合する複数のトラフ型パラボラ反射鏡(14’)を含み、前記太陽エネルギ真空集熱管(13’)の出力端は第5切替弁(17)を介して再生熱交換器(12)の熱媒体入口に連結され、前記再生熱交換器(12)の熱媒体出口は熱ポンプ(10)を介して前記太陽エネルギ真空集熱管(13’)の入力端に連結され、前記再生熱交換器(12)の蒸気出口は第1調節弁(18)を介して前記ターボセット(2)の高圧蒸気入口(3)に連結され、前記再生熱交換器(12)の循環水入口は第1切替弁(16)を介して前記送水ポンプ(7)の出力端に連結されることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンエネルギを用いる発電システムに関し、特に、太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の埋蔵量の減少に伴い、クリーンで再生可能なエネルギを見つけ出すことが、広く普及した関心事として注目されている。また、化石エネルギの使用が引き起こす環境汚染が人類の生存と発展の直接的な脅威となるにつれ、クリーンな再生可能エネルギを重視開発し、且つ、S0
2とC0
2の排出量を減少させることが世界規模での関心事となっている。太陽エネルギは、広く分布し、埋蔵量が無制限であり、回収および利用がクリーンに行われ、且つS0
2およびC0
2の排出がないという点で都合が良い。しかし、太陽エネルギの分散、天候への高い依存、および集熱の不安定さや非連続性などの問題に起因して、集光型太陽熱発電(CSP)は長い間、その大規模な開発や利用が大きく制限されてきた。昨今の大規模工業生産では、大量の廃熱蒸気副産物が生成され、その利用比率は極めて低い。従って、廃熱蒸気をCSPとどのように組み合わせるかが、本技術分野において研究者達が解決すべき緊急の課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の課題に鑑み、本発明の目的は、天候への依存や不安定且つ非連続的な集熱といった従来の太陽熱発電プラントの欠点を克服するべく、大規模工業生産により生成される廃熱蒸気資源を完全に利用し得る太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係り、太陽エネルギ蒸気発生装置、外部蒸気調節装置、ターボセット、ターボセットに連結される発電装置を含む太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムを提供する。太陽エネルギ蒸気発生装置の蒸気出口端は第1調節弁を介して、ターボセットの高圧蒸気入口と連結される。外部蒸気調節装置の蒸気出口端も、第2調節弁および第2切替弁を介して、ターボセットの高圧蒸気入口と連結される。外部蒸気調節装置は、外部蒸気の圧力および温度がターボセットの作動要件を満たし得るように、外部蒸気の作用条件を調節するように構成される。様々な作用条件に基き、外部蒸気調節装置は、温度減少型減圧弁または熱ブースタである。ターボセットの低圧蒸気出口は凝縮器の入力端に連結され、且つ凝縮器の出力端は脱気装置の入力端に連結される。脱気装置の出力端は送水ポンプの入力端に連結される。脱気装置は循環する水から酸素を取り除くように構成されることにより、装置や配管が酸化や腐食しないようにする。送水ポンプの出力端は、第1切替弁を介して、太陽エネルギ蒸気発生装置の循環水入力端に連結され、それにより太陽エネルギ蒸気発生装置の循環ループが形成される。送水ポンプの出力端は更に、第4切替弁を介して、外部蒸気の水戻りバイパスと連結され、これにより外部蒸気が作用するための循環ループが形成される。
【0005】
好適には、本システムは更に軟水貯蔵タンクを含む。軟水貯蔵タンクの水出口は給水ポンプを介して脱気装置の水入口と連結され、且つ、軟水貯蔵タンクの水出口と脱気装置の水入口をつなぐ管路には第3調節弁および第3切替弁が設けられる。その結果、太陽エネルギ蒸気発生装置の循環水の貯蔵および補充システムが構築される。軟水貯蔵タンクは、化学的水処理装置によって調製される軟水を貯蔵するように構成され、化学的水処理装置ではカルシウムおよびマグネシウムイオンが取り除かれることにより、内部汚染を効果的に防止する。第3調節弁および第3切替弁は、循環水を実際の損失に応じて補うために、軟水の供給量および流速を制御する。
【0006】
好適には、ターボセットの高圧蒸気入口付近の管路には圧力計および温度計が備えられる。圧力計および温度計を配置すると、ターボセットに導入される蒸気の圧力および温度の制御に有利となり、ターボセットの作動要件を満たすことができる。
【0007】
本発明の第1の改良点としては、太陽エネルギ蒸気発生装置は塔頂太陽エネルギボイラおよびそれに適合する複数のヘリオスタットを含む。塔頂太陽エネルギボイラの集熱管の出力端は、第1調節弁を介して、ターボセットの高圧蒸気入口と連結される。塔頂太陽エネルギボイラの集熱管の入力端は、第1切替弁を介して、送水ポンプの出力端と連結される。塔頂太陽エネルギボイラ内の熱媒体は水であり、熱交換器は含まれておらず、その水は直接気化させられて、ターボセットを駆動するために、高温高圧の蒸気を発生させる。従って、発電システムは構造が単純であると共に、製造コストが低い。
【0008】
本発明の第2の改良点としては、太陽エネルギ蒸気発生装置は塔頂太陽エネルギボイラおよびそれに適合する複数のヘリオスタットを含む。塔頂太陽エネルギボイラの集熱管出力端は、第5切替弁を介して再生熱交換器の熱媒体入口と連結され、再生熱交換器の熱媒体出口は熱ポンプを介して、塔頂太陽エネルギボイラの集熱管入力端と連結される。再生熱交換器の蒸気出口は、第1調節弁を介して、ターボセットの高圧蒸気入口と連結される。再生熱交換器の循環水入口は、第1切替弁を介して、送水ポンプの出口端と連結される。塔頂太陽エネルギボイラは高温伝熱油、例えば重油、灯油、溶融塩、または他の周知の伝熱液体混合物を熱媒体として使用する。例えば、ビフェニル及びジフェニルエーテルの混合物の加熱温度は400℃に達する。高温の熱媒体は太陽エネルギを吸収すると共に、熱エネルギを再生熱交換器によって水に伝える。水は気化させられて高温高圧蒸気を発生させて、ターボセットを安定的且つ安全、確実に作動させる。
【0009】
本発明の第3の改良点としては、太陽エネルギ蒸気発生装置は複数の太陽エネルギ真空集熱管およびそれに適合する複数のトラフ型パラボラ反射鏡を含む。太陽エネルギ真空集熱管の出力端は、第1調節弁を介して、ターボセットの高圧蒸気入口と連結される。太陽エネルギ真空集熱管の入力端は第1切替弁を介して、送水ポンプの出力端と連結される。塔頂太陽エネルギボイラ内の熱媒体は水であり、熱交換器は含まれず、水は直接気化させられて、ターボセットを駆動するために高温高圧蒸気を発生させる。従って、発電システムは構造が単純であると共に製造コストが低い。
【0010】
本発明の第4の改良点としては、太陽エネルギ蒸気発生装置は複数の太陽エネルギ真空集熱管およびそれに適合する複数のトラフ型パラボラ反射鏡を含む。太陽エネルギ真空集熱管の出力端は第5切替弁を介して、再生熱交換器の熱媒体入口と連結され、再生熱交換器の熱媒体出口は熱ポンプを介して太陽エネルギ真空集熱管の入力端と連結される。再生熱交換器の蒸気出口は第1調節弁を介して、ターボセットの高圧蒸気入口と連結される。再生熱交換器の循環水入口は第1切替弁を介して、送水ポンプの出力端と連結される。太陽エネルギ真空集熱管は高温の伝熱油、例えば重油、灯油、溶融塩、または他の周知の伝熱液体混合物を熱媒体として使用する。例えば、ビフェニルおよびジフェニルエーテルの混合物の加熱温度は400℃に達する。高温の熱媒体は太陽エネルギを吸収すると共に、熱エネルギを再生熱交換器によって水に伝える。水は気化させられて高温高圧蒸気を発生させて、ターボセットを安定的且つ安全、確実に作動させる。
【0011】
本発明の作動原理を以下に説明する。昼間、太陽光が十分である時には、第2切替弁および第4切替弁が閉じられ、第1切替弁が開放されて、太陽エネルギ蒸気発生装置が作動して高温高圧蒸気を発生させる。高温高圧蒸気は第1調節弁により定格圧力および定格温度に達するように調節されると共に、ターボセットへ送られて、発電を行うように作用する。作用後の蒸気は凝縮器により冷却されて常圧低温水が生成され、この水を脱気装置へ送り溶存酸素を取り除くと共に、送水ポンプおよび第1切替弁を介して太陽エネルギ蒸気発生装置に送り返し、次の循環を行う。循環水の供給が要求されると、第3切替弁が開放され、軟水貯蔵タンクに貯蔵された軟水が給水ポンプにより吸い上げられると共に、脱気装置へ搬送される。循環水の流速は、第3調節弁により調節される。
【0012】
夜間または雨天や曇天には、第1切替弁が閉じられ、第1調節弁が零位置にとどまり、第2切替弁および第4切替弁が開放されることにより、外部蒸気が導入される。昨今の大規模工業生産からの廃熱蒸気は外部蒸気調節装置および第2調節弁により調節されて、定格圧力および定格温度に達したら、第2切替弁を介してターボセットを作動させるために送られる。作用後に蒸気は凝縮器により冷却されて常圧低温の水が生成され、この水は脱気装置へ送られて、溶存酸素を除去した後に、送水ポンプおよび第4切替弁を介して外部蒸気の戻り水バイパスへ送り戻されることにより、外部蒸気の作用循環が得られる。
【0013】
本発明の効果は次のとおりである。構成される発電システムの蒸気出力はクリーンで再利用可能な太陽エネルギ並びに昨今の大規模工業副産物の廃熱蒸気から生じる。従来の化石エネルギを使用する発電と比べて、大気を汚染させるS0
2とC0
2の排出が回避されるだけでなく、排熱資源が完全に回収および利用される。また、天候変動の太陽エネルギへの影響が緩和される。従って、昼間であろうと夜間であろうと、また晴天であろうと曇天であろうと、ターボセットは発電を行うために安定して作動する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ヘリオスタットが適合している塔頂太陽エネルギボイラがターボセットに直接蒸気を供給する、本発明の実施例1に係る太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの概略図。
【
図2】ヘリオスタットが適合している塔頂太陽エネルギボイラが熱交換器を介してターボセットに蒸気を間接的に供給する、本発明の実施例2に係る太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの概略図。
【
図3】トラフ型パラボラ反射鏡が適合している太陽エネルギ真空集熱管がターボセットに直接的に蒸気を供給する、本発明の実施例3に係る太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの概略図。
【
図4】トラフ型パラボラ反射鏡が適合している太陽エネルギ真空集熱管が熱交換器を介してターボセットに間接的に蒸気を供給する、本発明の実施例4に係る太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を更に例証するために、太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムを詳述する実施形態を以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1に示すように、太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムは主に、太陽エネルギ蒸気発生装置と、外部蒸気調節装置15と、ターボセット2と、ターボセット2と連結される発電装置1と、凝縮器5と、脱気装置6と、送水ポンプ7と、軟水貯蔵タンク9と、給水ポンプ8を含み、それらは配管および弁により組み立てられる。弁は配管の接続および遮断を制御する第1切替弁16、第2切替弁19、第3切替弁21、第4切替弁23、第5切替弁17と、管内の流速を調節する第1調節弁18、第2調節弁20、第3調節弁22を含む。
【0017】
太陽エネルギ蒸気発生装置は更に塔頂太陽エネルギボイラ13と、それに適合する複数のヘリオスタット14を含む。ヘリオスタット14は太陽を追跡することにより、太陽光を常に塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管に集める。塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管の出力端は、第5切替弁17および第1調節弁18を介して、ターボセット2の高圧蒸気入口3と連結される。外部蒸気調節装置15の蒸気出口端も、第2調節弁20および第2切替弁19を介して、ターボセット2の高圧蒸気入口3と連結される。ターボセット2の高圧蒸気入口3付近の管路には圧力計Pおよび温度計Tが設けられており、蒸気の圧力および温度パラメータを直接表示する。
【0018】
ターボセット2の低圧蒸気出口4は凝縮器5の入力端に連結され、凝縮器5の出力端は脱気装置6の入力端に連結される。軟水貯蔵タンク9の水出口は給水ポンプ8を介して、脱気装置6の水入口と連結される。第3調節弁22および第3切替弁21は、軟水貯蔵タンク9の水出口と脱気装置6の水入口をつなぐ管路に載置されて、給水管の開閉と給水量を制御する。脱気装置6の出力端は送水ポンプ7の入力端に連結される。送水ポンプ7の出力端は第1切替弁16を介して、塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管の入力端に連結され、それにより太陽エネルギ蒸気発生装置の循環ループが形成される。送水ポンプ7の出力端は更に、第4切替弁23を介して外部蒸気の水戻りバイパス11に連結され、それにより外部蒸気が作用するための循環ループが形成される。
【0019】
実施例1の作動プロセスは以下のとおりである。昼間、太陽光が十分であるときには、第2切替弁19および第4切替弁23が閉じられ、第1切替弁16と第3切替弁21と第5切替弁17が開放されて、システムは集中太陽エネルギ熱発電状態で作動する。この時、ヘリオスタット14は太陽光を追跡すると共に、塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管に太陽光の熱エネルギを集中させることにより、管内の循環水を加熱して、高温高圧蒸気を形成する。高温高圧蒸気は塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管から出力され、定格圧力および定格温度に達するように第1調節弁18により調節されたら、ターボセット2に搬送されて、発電するように作用する。作用後の蒸気は凝縮器5によって冷却されて、約40℃の常圧低温水を形成し、この水は脱気装置6へ搬送されて溶存酸素が除去され、次に送水ポンプ7を介して塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管へ戻されて、次回の循環が行われる。一方、地表水または井戸水が回収され、予備浄化され、化学的水処理プラントにより処理されて内部のカルシウムおよびマグネシウムイオンを取り除いてから、軟水貯蔵タンク9へ搬送されて貯蔵される。水の供給が要求されるときには、軟水が給水ポンプ8により吸い上げられ、次に第3調節弁22により水の流速が調節されて、軟水が脱気装置6へ搬送されて水の損失が補われる。
【0020】
夜間または雨天や曇天の時には、第1切替弁16、第3切替弁21、および第5切替弁17が閉じられると共に、第1調節弁18および第3調節弁22が零位置にとどまり、第2切替弁19および第4切替弁23が開放されて、システムは外部蒸気発電状態で作動する。この時、外部廃熱蒸気は外部蒸気調節装置15に導入されて、廃熱蒸気の実際の作用条件に従い、圧力および温度を低下或いは上昇させ、次に第2調節弁20により微調節が行われて定格圧力および定格温度に達したら、ターボセット2へ送られて作用を行う。作用後の蒸気は凝縮器5により冷却されて約40℃の常圧低温水を形成し、この水は脱気装置6へ搬送されて溶存酸素が取り除かれた後、送水ポンプ7および外部蒸気戻り水バイパス11を介して外部廃熱蒸気源へ戻され、或いは軟水貯蔵タンクへ搬送されて貯蔵される。
【実施例2】
【0021】
図2に示すように、太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムは主に、太陽エネルギ蒸気発生装置と、外部蒸気調節装置15と、ターボセット2と、ターボセット2と結合される発電装置1と、凝縮器5と、脱気装置6と、送水ポンプ7と、軟水貯蔵タンク9と、給水ポンプ8とを含み、それらは配管および弁により組み立てられる。弁は配管の接続および遮断を制御する第1切替弁16、第2切替弁19、第3切替弁21、第4切替弁23、および第5切替弁17と、管内の流速を調節する第1調節弁18、第2調節弁20、および第3調節弁22を含む。
【0022】
太陽エネルギ蒸気発生装置は更に、塔頂太陽エネルギボイラ13と、そのボイラと適合する複数のヘリオスタット14を含む。ヘリオスタット14は太陽を追跡して、太陽光を常に塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管に集中させることができる。塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管出力端は、第5切替弁17を介して再生熱交換器12の熱媒体入口に連結され、且つ、再生熱交換器12の熱媒体出口は、熱ポンプ10を介して、塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管入力端に連結される。熱媒体はビフェニルおよびジフェニルエーテルを含む混合溶液であり、断熱層が設けられた再生熱交換器12に充填される。熱媒体が熱を吸収すると、温度が約400℃まで上昇し、高温高圧蒸気を生成するために熱交換器で使用するのに十分な温度となる。再生熱交換器12の蒸気出口は、第1調節弁18を介して、ターボセット2の高圧蒸気入口3に連結される。外部蒸気調節装置15の蒸気出口端も、第2調節弁20および第2切替弁19を介して、ターボセット2の高圧蒸気入口3に連結される。ターボセット2の高圧蒸気入口3付近の管路には圧力計Pおよび温度計Tが設けられており、蒸気の圧力および温度パラメータを直接表示する。
【0023】
ターボセット2の低圧蒸気出口4は凝縮器5の入力端に連結され、凝縮器5の出力端は脱気装置6の入力端に連結される。軟水貯蔵タンク9の水出口は給水ポンプ8を介して、脱気装置6の水入口に連結される。第3調節弁22および第3切替弁21は、軟水貯蔵タンク9の水出口と脱気装置6の水入口をつなぐ管路に載置されており、給水管の開閉および給水量を制御する。脱気装置6の出力端は送水ポンプ7の入力端に連結され、送水ポンプ7の出力端は第1切替弁16を介して、再生熱交換器12の循環水入口と連結され、それにより太陽エネルギ蒸気発生装置の循環ループが形成される。送水ポンプ7の出力端はまた、第4切替弁23を介して外部蒸気の水戻りバイパス11に連結され、それにより外部蒸気が作用するための循環ループが形成される。
【0024】
実施例2の作動プロセスは以下のとおりである。昼間、太陽光が十分であるときには、第2切替弁19および第4切替弁23が閉じられ、第1切替弁16、第3切替弁21および第5切替弁17が開放されると共に、システムは集中太陽エネルギ熱発電状態で作動する。この時、ヘリオスタット14は太陽光を追跡すると共に、太陽光の熱エネルギを塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管に集中させて、内部の熱媒体であるビフェニルおよびジフェニルエーテルの混合溶液に熱を吸収させる。約400℃に加熱されたビフェニルおよびジフェニルエーテルを含む混合溶液は、第5切替弁17を介して再生熱交換器12へ流入し、再生熱交換器12の別の配管内の循環水と熱交換を行う。このようにして、ビフェニルおよびジフェニルエーテルを含む混合溶液の温度は、再生熱交換器12を流出した後には、約245℃まで徐々に低下する。ビフェニルおよびジフェニルエーテルを含む混合溶液は、熱ポンプ10の駆動により、塔頂太陽エネルギボイラ13の集熱管へ戻され、太陽エネルギ吸収の次の循環が行われる。再生熱交換器12内の循環水は、ビフェニルおよびジフェニルエーテルを含む高温の混合溶液と熱交換を行った後に、高温高圧蒸気に変換させられる。高温高圧蒸気は再生熱交換器12を出て、第1調節弁18により定格圧力および定格温度に達するように調節されてから、ターボセット2へ搬送されて作用する。作用後の蒸気は凝縮器5によって冷却されて、約40℃の常圧低温水が形成され、その水は溶存酸素を取り除くために脱気装置6へ搬送されてから、送水ポンプ7を介して再生熱交換器12に戻されて熱交換を行うことにより、高温高圧蒸気が再度形成される。一方、地表水または井戸水が回収され、予備浄化され、化学的水処理プラントにより中のカルシウムおよびマグネシウムイオンを除去するための処理が行われてから、軟水貯蔵タンク9に搬送されて貯蔵される。水の供給が要求されるときには、給水ポンプ8により軟水が吸い上げられ、次に軟水の流速が第3調節弁22により調節されてから、軟水が脱気装置6に搬送されて水の損失が補われる。
【0025】
夜間または雨天または曇天の日には、第1切替弁16、第3切替弁21および第5切替弁17が閉じられ、第1調節弁18および第3調節弁22は零位置にとどまり、第2切替弁19および第4切替弁23が開放されて、システムは外部蒸気発電状態で作動する。外部廃熱蒸気は外部蒸気調節装置15に導入されて、廃熱蒸気の実際の作用条件に応じて、圧力および温度を低下または上昇させられ、次に、定格圧力および定格温度に達するように第2調節弁20により微調節が行われてから、ターボセット2に搬送されて作用する。作用後の蒸気は凝縮器5により冷却されて約40℃の常圧低温水が形成され、この水は溶存酸素を取り除くために脱気装置6へ搬送されてから、送水ポンプ7および外部蒸気の水戻りバイパス11を介して外部廃熱蒸気源へ搬送させられ、或いは軟水貯蔵タンクに搬送されて貯蔵される。
【実施例3】
【0026】
図3に示すように、太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの構造は、基本的に
図1に示すものと同じであるが、太陽エネルギ蒸気発生装置が複数の太陽エネルギ真空集熱管13’およびそれに適合する複数のトラフ型パラボラ反射鏡14’を含む点で、わずかに変形している。太陽エネルギ真空集熱管13’の出力端は、第5切替弁17および第1調節弁18を介して、ターボセット2の高圧蒸気入口3と連結される。太陽エネルギ真空集熱管13’の入力端は第1切替弁16を介して、送水ポンプ7の出力端と連結される。2つの太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの作動プロセスは基本的に同じであるので、本明細書では繰り返し説明しない。
【実施例4】
【0027】
図4に示すように、太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの構造は、基本的に
図2に示すものと同じであるが、太陽エネルギ蒸気発生装置が複数の太陽エネルギ真空集熱管13’およびそれに適合する複数のトラフ型パラボラ反射鏡14’を含む点で、わずかに変形している。太陽エネルギ真空集熱管13’の出力端は、第5切替弁17を介して、再生熱交換器12の熱媒体入口と連結される。再生熱交換器12の熱媒体出口は熱ポンプ10を介して太陽エネルギ真空集熱管13’の入力端と連結される。再生熱交換器12の蒸気出口は第1調節弁18を介して、ターボセット2の高圧蒸気入口3と連結される。再生熱交換器12の循環水入口は、第1切替弁16を介して、送水ポンプ7の出力端と連結される。2つの太陽エネルギおよび外部蒸気ハイブリッド型発電システムの作動プロセスは基本的に同じであるので、本明細書では繰り返し説明しない。
【符号の説明】
【0028】
1 発電装置
2 ターボセット
3 高圧蒸気入口
4 低圧蒸気出口
5 凝縮器
6 脱気装置
7 送水ポンプ
8 給水ポンプ
9 軟水貯蔵タンク
11 水戻りバイパス
12 再生熱交換器
13 塔頂太陽エネルギボイラ
13’ 太陽エネルギ真空集熱管
14 ヘリオスタット
14’ トラフ型パラボラ反射鏡
15 外部蒸気調節装置