特許第5919412号(P5919412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5919412
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】閉鎖型泡ヘッド
(51)【国際特許分類】
   A62C 31/12 20060101AFI20160428BHJP
   A62C 37/12 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   A62C31/12
   A62C37/12
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-44427(P2015-44427)
(22)【出願日】2015年3月6日
【審査請求日】2015年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114905
【氏名又は名称】ヤマトプロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 辰基
(72)【発明者】
【氏名】姉崎 教史
(72)【発明者】
【氏名】白浜 広志
(72)【発明者】
【氏名】山本 弘幸
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4469464(JP,B1)
【文献】 特開2013−63369(JP,A)
【文献】 特開平7−222821(JP,A)
【文献】 特許第2645796(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 31/00−31/28
A62C 37/00−37/50
B05B 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡消火液の噴射口を有するヘッド本体と、前記噴射口を閉じる弁と、該弁を前記噴射口の弁座に対し押し付け、かつ火災熱により分解飛散して前記弁に対する押し付け状態を解除し泡消火液の圧力による前記弁の飛散を許す火災感知部材と、前記ヘッド本体から前記噴射口の軸方向外方へ延出され、かつその延出端部に前記火災感知部材を支持する支持部を有する支持フレームと、該支持フレームの延出端側に前記噴射口と対向するよう備え付けられたデフレクタと、を備えた閉鎖型泡ヘッドであって、
前記ヘッド本体の前記噴射口に連通する内部通路に、泡消火液に旋回流を生じさせる旋回流付与機構が設けられており、前記支持フレームの延出方向中間部に、前記火災感知部材の外周を覆う筒形の覆い壁を設け、該覆い壁のヘッド本体側端と前記ヘッド本体との間に、前記噴射口から放射される泡消火液が取り込む空気を吸込み、かつ分解飛散する前記火災感知部材の分解破片と前記弁の外方への飛散を許す第1開放口を形成するとともに、前記覆い壁のデフレクタ側端と前記デフレクタとの間に、分解飛散する前記火災感知部材の破片と前記弁の外方への飛散を許す第2開放口を前記第1開放口と連通するよう形成してある閉鎖型泡ヘッドにおいて、
前記噴射口から旋回して分散・放出される泡消火液が前記覆い壁に一度衝突した後、前記デフレクタに向かうことを特徴とする閉鎖型泡ヘッド。
【請求項2】
前記覆い壁は、デフレクタ側端部が、前記ヘッド本体側から前記デフレクタ側に向かうに従い次第に径が小さくなるよう形成される、請求項1に記載の閉鎖型泡ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡消火設備において泡消火液を放出する閉鎖型泡ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の閉鎖型泡ヘッドとしては、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示された閉鎖型泡ヘッドは、泡消火液配管に接続されるヘッド本体と、ヘッド本体の噴射口を塞ぐ弁と、弁を噴射口側に密着させる火災感知部材と、噴射口から噴射される消火液が衝突するデフレクタとを備えている。火災感知部材の外周側には、所定間隔をおいて覆い壁が設けられ、覆い壁のヘッド本体側端とヘッド本体との間には、空気を取り込む開放口が形成されている。
【0003】
上記のように構成される閉鎖型泡ヘッドでは、ヘッド本体内部に形成されたオリフィスで流路を絞ることにより消火液の噴出時に発生する負圧によって周囲空気を巻き込み、さらに、ヘッド本体の内部に設けたスクリューによって消火液に回転力をかけ2条以上の放出口から消火液を放出し開放口から空気を巻き込んだ後に消火液をデフレクタに衝突させることで、消火液を発泡させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4469464号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の外筒付きの閉鎖型泡ヘッドでは、水成膜泡消火薬剤のように発泡しやすい泡消火薬剤を適切な倍率(5倍以上)に発泡させることはできた。しかし、発泡させにくいタンパク泡消火薬剤などについては、一般的な開放型泡ヘッドのように網を通して発泡させなければ、消火に適した発泡倍率(6倍以上)を得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、従来の閉鎖型泡ヘッドよりも優れた発泡性能を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明は、泡消火液の噴射口を有するヘッド本体と、前記噴射口を閉じる弁と、該弁を前記噴射口の弁座に対し押し付け、かつ火災熱により分解飛散して前記弁に対する押し付け状態を解除し泡消火液の圧力による前記弁の飛散を許す火災感知部材と、前記ヘッド本体から前記噴射口の軸方向外方へ延出され、かつその延出端部に前記火災感知部材を支持する支持部を有する支持フレームと、該支持フレームの延出端側に前記噴射口と対向するよう備え付けられたデフレクタと、を備えた閉鎖型泡ヘッドであって、前記ヘッド本体の前記噴射口に連通する内部通路に、泡消火液に旋回流を生じさせる旋回流付与機構が設けられており、前記支持フレームの延出方向中間部に、前記火災感知部材の外周を覆う筒形の覆い壁を設け、該覆い壁のヘッド本体側端と前記ヘッド本体との間に、前記噴射口から放射される泡消火液が取り込む空気を吸込み、かつ分解飛散する前記火災感知部材の分解破片と前記弁の外方への飛散を許す第1開放口を形成するとともに、前記覆い壁のデフレクタ側端と前記デフレクタとの間に、分解飛散する前記火災感知部材の破片と前記弁の外方への飛散を許す第2開放口を前記第1開放口と連通するよう形成してある閉鎖型泡ヘッドにおいて、前記噴射口から旋回して分散・放出される泡消火液が前記覆い壁に一度衝突した後、前記デフレクタに向かうことを特徴とする。
【0008】
前記閉鎖型泡ヘッドにおいて、前記覆い壁は、デフレクタ側端部が、前記ヘッド本体側から前記デフレクタ側に向かうに従い次第に径が小さくなるよう形成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、噴射口から旋回して分散・放出される泡消火液が覆い壁に一度衝突した後にデフレクタに向かうため、泡消火液の覆い壁への衝突によって泡消火液が発泡し、その後、その泡消火液がデフレクタに衝突してさらに発泡するため、発泡性能が向上する。したがって、発泡させにくいタンパク泡消火薬剤などについても、消火に適した発泡倍率を得ることができる。
【0010】
また、覆い壁のデフレクタ側端部が、ヘッド本体側からデフレクタ側に向かうに従い次第に径が小さくなるよう形成されると、覆い壁に衝突した泡消火液のすべてがデフレクタに衝突するため、消火液の発泡をより効果的に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】閉鎖型泡ヘッドを示す平面図である。
図2】同閉鎖型泡ヘッドを示す半欠截縦断正面図である。
図3】同閉鎖型泡ヘッドを構成するスクリューを示す平面図である。
図4】同閉鎖型泡ヘッドを構成するスクリューを示す底面図である。
図5】同閉鎖型泡ヘッドを構成するスクリューを示す斜視図である。
図6】同閉鎖型泡ヘッドを構成するスクリューを示す側面図である。
図7】閉鎖型泡ヘッドの第2実施形態を示す半欠截縦断正面図である。
図8】第2実施形態の閉鎖型泡ヘッドから泡消火液が噴射される状態を模式的に示す断面図である。
図9】従来の閉鎖型泡ヘッドから泡消火液が噴射される状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)第1実施形態
図1及び図2に示す閉鎖型泡ヘッド100は、図2に示すように、ヘッド本体1、支持フレーム2、覆い壁3、弁4、火災感知部材5、及びデフレクタ6を備える。
【0013】
ヘッド本体1は、泡消火液配管の管路(図示省略)に接続される接続口部7と、図2に示す先窄まり形状の噴射口8と、これら接続口部7と噴射口8とを連通させる内部通路9とを形成している。内部通路9には、泡消火液に旋回流を生じさせるためのスクリュー30を備えた旋回流付与機構10が組み込まれている。接続口部7から流入した泡消火液は、内部通路9を通って噴射口8から下方に噴射される。
【0014】
支持フレーム2は、図2に示すように、ヘッド本体1における噴射口8の開口端面の外周部の対向二箇所から噴射口8の軸方向外方へ略平行に一体に延出された2本の縦腕部11,11と、この縦腕部11,11の各延出端部を中心に向けて略直角に屈曲連設した形の横腕部12,12とにより概ね四角形枠状に形成され、横腕部12,12どうしが突合わされる中心部からボス部13を外方へ一体に突設している。
【0015】
図2に示すように、ヘッド本体1の噴射口8は弁4で閉じるが、この弁4は断面ハット形に形成されて噴射口8内にはめ込まれ、火災感知部材5で弁4の鍔部4aを噴射口8の弁座に対し密着状に押し付けている。火災感知部材5には、ガラス管の内部に熱によって膨脹するアルコール等の熱膨張液体を封入したグラスバルブが使用される。このグラスバルブは、閉鎖型泡ヘッドの周囲の温度が一定温度以上になると熱膨張液体が膨張して破壊するようになっている。火災感知部材5としては、グラスバルブに代えて、周知の低融点の合金部分を持つヒュージブルリンクを使用することもできる。
【0016】
火災感知部材5は、支持フレーム2のボス部13に設けた支持部14で支持される。その支持部14は、ボス部13に径小ねじ穴15と径大ねじ穴16とを段付き状に上下縦方向に連通形成し、穴付ねじ17を径大ねじ穴16から挿入して径小ねじ穴15にねじ込み、ボス部13の内端面から突出する穴付ねじ17の先端凹部17aで火災感知部材5を支持するよう構成される。火災感知部材5により弁4を噴射口8の弁座に対し押し付ける強度は、穴付ねじ17の径小ねじ穴15へのねじ込み量を加減することで調整できる。
【0017】
デフレクタ6は、図1に示すように、円板18にスリット19を放射状に列設してなり、このデフレクタ6は、図2に示すように、噴射口8と対向するよう支持フレーム2のボス部13の径大ねじ穴16にねじ込まれる頭付ねじ20で締付け固定される。
【0018】
図2に示すように、覆い壁3は筒形状に形成され、内周に雌ねじ21を設けていて、支持フレーム2の縦腕部11,11の各外面に設けた雄ねじ22にねじ込むことにより支持フレーム2の延出方向中間部に火災感知部材5の外周を所定間隔を置いて覆うよう装着される。
【0019】
覆い壁3のヘッド本体側端とヘッド本体1との間には、噴射口8から放射される泡消火液が取り込む空気を吸い込み、かつ分解飛散する火災感知部材5の分解破片と弁4の外方へ飛散させるための第1開放口23が形成されている。また覆い壁3のデフレクタ側端とデフレクタ6との間には、分解飛散する火災感知部材5の破片と弁4の外方へ飛散させるための第2開放口24が、第1開放口23と連通するよう形成される。
【0020】
図1図3及び図4に示すように、スクリュー30は、中心流路31と、2つの外周側流路32とからなる3条の流路を有している。中心流路31は、図2に示すように、上下方向に貫通している。一方、2つの外周側流路32は、図5に示すように、外側面に沿って傾斜して形成されており、図4に示すように、2つの外周側流路32は、その底面において、上面とは異なる部分において開口している。
【0021】
図6に示すように、外周側流路32の延伸方向とスクリュー30の上面及び下面とがなす角θの角度は、例えば45度であり、従来のスクリューに形成されていた外周側流路よりも、θの角度が小さくなっている。すなわち、従来のスクリューでは、θが60度ほどであったのに対し、図6のθの角度が従来よりも小さくなっており、図6における外周側流路32は、従来よりも水平方向に近づく方向に傾けられている。換言すると、外周側流路32の延伸方向と中心流路31の軸方向とがなす角度は、従来よりも大きくなっている。これにより、泡消火液は、噴射口8から従来よりも広角、広範囲に噴出される。
【0022】
上記構成の閉鎖型泡ヘッド100は、図2に示すように、火災感知部材5により弁4が噴射口8の弁座8aに押し付けられて噴射口8を閉止状態に保持している平常状態において、ヘッド本体1の接続口部7内にまで充満されている加圧泡消火液を弁4によってせき止めている。
【0023】
いま、火災が発生し、一定の温度以上の火災熱が第1開放口23または第2開放口24から覆い壁3内に入ると、その火災熱により火災感知部材5が分解され、この破片が第1開放口23または第2開放口24から外部へ飛散して弁4に対する押し付け状態を解除する。この解除に伴い、弁4が泡消火液の圧力によって第1開放口23または第2開放口24から外部へ飛散することで噴射口8が開放される。
【0024】
この開放された噴射口8から放射される泡消火液は、スクリュー30に流入して配管からの流れをオリフィスで絞ることにより、ベンチュリー効果・ベルヌーイの定理によって発生する負圧による周辺空気の巻き込みによって発泡する。また、泡消火液は、スクリュー30において旋回することにより、外方に分散して放出される。このとき、放出された泡消火液は、第1開放口23から空気を取り込んで発泡する。
【0025】
スクリュー30に形成された外周側流路32の延伸方向と中心流路31の軸方向とがなす角度は、従来よりも大きくなっているため、噴射口8から放出された泡消火液は、覆い壁3に一度衝突して発泡する。従来は、外周側流路の延伸方向と中心流路31の軸方向とがなす角度が小さく、噴射口から放出された泡消火液が覆い壁3に衝突することはなかったため、従来よりも発泡が促進される。
【0026】
この発泡した泡消火液は、その後、デフレクタ6に向かい、デフレクタ6に衝突して発泡し、周囲に分散する。そして、分散する泡が燃焼物の表面を覆うことにより、窒息効果と泡を形成する水の冷却効果により油火災等の消火をも可能にする。
【0027】
(2)第2実施形態
図7に示す閉鎖型泡ヘッド200は、上記第1実施形態の支持フレーム2とは異なる形状の支持フレーム2aを備えている。この支持フレーム2aは、ヘッド本体1の噴射口開口端面の外周部から噴射口8の軸方向外方へ一体に延出された2本の略くの字形状の腕部25,25により菱形枠状に形成されており、又はこれに類似する枠形状に形成することもできる。
【0028】
支持フレーム2aの外周側には、覆い壁40が設けられている。覆い壁40は、例えば腕部25の鉛直方向中間部に位置する屈曲部25aよりも下方に位置している。覆い壁は、鉛直方向に延在する円筒壁41と、円筒壁41の下端から下方に向かうにつれて縮径する縮径壁42とから構成されている。すなわち、覆い壁40は、デフレクタ6側の端部が、ヘッド本体1側からデフレクタ6側に向かうに従い径が小さくなるように形成されている。
【0029】
例えば、支持フレーム2aの外周側に雄ねじが形成されているとともに、覆い壁40の内周側に雌ねじが形成されており、支持フレーム2aの外周側に覆い壁40が螺合して固定される。
【0030】
火災感知部材5を支持するための支持部14aは、腕部25,25どうしの突合わせ中心部からボス部26を内方へ突設しこのボス部26にねじ込む穴付ねじ17aにより構成される。デフレクタ6はボス部26の外端側にかしめ付けている。
【0031】
この第2実施形態の閉鎖型泡ヘッド200においても、上記第1実施形態の閉鎖型泡ヘッド100の場合と同様に、覆い壁40のヘッド本体側端とヘッド本体1との間には、噴射口8から放射される泡消火液が取り込む空気を吸込み、かつ分解飛散する火災感知部材5の分解破片と弁4の外方への飛散を許す第1開放口23aが形成され、また覆い壁40のデフレクタ側端とデフレクタ6との間には、分解飛散する火災感知部材5の破片と弁4の外方への飛散を許す第2開放口24aが第1開放口23aと連通状に形成される。
【0032】
図8に示すように、スクリュー30に流入した泡消火液は、配管からの流れをオリフィスで絞ることにより、ベンチュリー効果・ベルヌーイの定理によって発生する負圧による周辺空気の巻き込みによって発泡する(図8の(1))。
【0033】
また、スクリュー30の外周側流路32を通る泡消火液51は、らせん状に回転しつつ広角に拡がった状態で噴射口8から下方に噴射される。泡消火液の回転により、第1開放口23から周辺空気が巻き込まれて、噴射された泡消火液52がさらに発泡する(図8の(2))。
【0034】
噴射された泡消火液52は、さらに、覆い壁40の内周面に衝突して発泡する。泡消火液が覆い壁40に衝突することにより、発泡が効果的に行われる(図8の(3))。
【0035】
さらに、覆い壁40に縮径壁42を設けたことで、縮径壁42の内周面43に衝突して発泡した泡消火液53は、すべてがデフレクタ6に向かい、デフレクタ6に衝突することによりさらに発泡する(図8の(4))。デフレクタ6に衝突し発泡して泡消火液54は、放射状に飛散する。
【0036】
従来は、図9に示すように、従来のスクリュー30bに流入した泡消火液は、負圧による周辺空気の巻き込みによって発泡し(図9の(1))、また、スクリュー30bの外周側流路32bを通った泡消火液61は、回転して拡がった状態で噴射口8から下方に噴射され、泡消火液のかかる回転により、第1開放口23から周辺空気が巻き込まれて、噴射された泡消火液61がさらに発泡するが(図9の(2))、スクリュー30bにおける外周側流路32bの延在方向が鉛直方向に近かったために、外周側流路32bを通った泡消火液61が噴射口8から飛散する範囲が広範囲にならず、かりに覆い壁40に縮径壁42が形成されていたとしても、噴射口8から噴射された泡消火液62が覆い壁40に衝突せず、デフレクタ6に衝突するのみであったため、デフレクタ6に衝突して飛散する泡消火液63は、発泡させにくいタンパク泡消火薬剤などについては発泡が不十分であった。
【0037】
一方、本発明では、スクリュー30における外周側流路の延在方向を傾けて従来よりも水平方向に近づけることで、泡消火液が噴射口8から広角に噴射され、飛散する範囲を広範囲とすることができる。したがって、噴射される泡消火液の大半が覆い壁40に衝突することにより、発泡が効果的に行われる。
【0038】
さらに、覆い壁40に縮径壁42を設けることで、その内周面43に衝突した泡消火液は、すべてがデフレクタ6に向かうようになるため、発泡をより効果的に生じさせることができる。
【0039】
なお、上記閉鎖型泡ヘッドは、上記実施形態のように泡消火液が下向きに放出されるよう下向きに設置するほか、泡消火液が上向きに放出されるよう上向きに設置することもできる。なお、本発明の閉鎖型泡ヘッドは火災感知部材5による感熱機構を備えているので、火災感知ヘッドにも使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
100:閉鎖型泡ヘッド
1:ヘッド本体 2:支持フレーム 3:覆い壁 4:弁
5:火災感知部材 6:デフレクタ 7:接続口部
8:噴射口 8a:弁座 9:内部通路
10:旋回流付与機構 11:縦腕部 12:横腕部 13:ボス部
14:支持部 15:径小ねじ穴 16:径大ねじ穴
17:穴付ねじ17 17a:先端凹部
18:円板18 19:スリット
20:頭付ねじ 21:雌ねじ21 22:雄ねじ22
23:第1開放口 24:第2開放口
30:スクリュー 31:中心流路 32:外周側流路
200:閉鎖型泡ヘッド
2a:支持フレーム
23a:第1開放口23a 24a:第2開放口
25:腕部 26:ボス部
40:覆い壁 41:円筒壁 42:縮径壁42 43:内周面
51,52,53,54:泡消火液
【要約】
【課題】閉鎖型泡ヘッドの発泡性能を向上させる。
【解決手段】ヘッド本体から噴射口の軸方向外方へ延出された支持フレームの延出方向中間部に、火災感知部材の外周を覆う覆い壁40を設け、噴射口から旋回して分散・放出される泡消火液52が覆い壁40に一度衝突した後、デフレクタ6に向かうように閉鎖型泡ヘッドを構成し、泡消火液52が覆い壁40に衝突することによる発泡によって発泡性能を向上させる。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9