特許第5919449号(P5919449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5919449管理装置、管理方法、非一時的な記録媒体およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5919449
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法、非一時的な記録媒体およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20160428BHJP
【FI】
   G06Q30/08
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-556286(P2015-556286)
(86)(22)【出願日】2015年6月29日
(86)【国際出願番号】JP2015068720
【審査請求日】2015年11月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【弁理士】
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 牧子
(74)【代理人】
【識別番号】100201640
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 透
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太郎
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−226794(JP,A)
【文献】 特開2011−253522(JP,A)
【文献】 特開2001−195518(JP,A)
【文献】 特開2001−350964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理する管理装置であって、
前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出部と、
前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定部と、
閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示部と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記出品価格と、前記出品者による過去の割引率、または、当該商品の属するジャンルにおける過去の割引率に基づいて、前記抽出された文字列により表される金額が前記交渉中価格であるか否かを判定する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記文字メッセージから、地名を表す文字列を抽出し、
前記提示部は、前記検索商品を前記閲覧者に提示するとき、前記抽出された文字列により表される地名と、前記出品者について登録されている地名とを対比することにより送料を取得し、当該取得された送料を前記閲覧者に提示する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記提示部は、前記文字メッセージを前記閲覧者に表示し、当該文字メッセージが複数の前記地名を表す文字列を含む場合、それぞれの前記地名を表す文字列ごとに前記送料を取得し、前記閲覧者の操作によって前記複数の文字列のうち一つが選択されると、当該選択された文字列について前記取得された送料を表示する、
請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記提示部は、前記購入希望者を示す情報に、前記購入希望者に対応付けられた文字列を連結して、前記検索商品を前記閲覧者に提示する、
請求項3に記載の管理装置。
【請求項6】
前記提示部は、前記文字メッセージから前記購入希望者に対応付けられた文字列が複数抽出されていた場合、そのうち前記文字メッセージに最も新しく記載された文字列と、前記購入希望者を示す情報とを連結して提示する、
請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理する管理方法であって、
管理装置が、前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出ステップと、
前記管理装置が、前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定ステップと、
前記管理装置が、閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示ステップと、
を備える管理方法。
【請求項8】
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理するコンピュータにより実行されるプログラムを記録した記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出手順、
前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定手順、
閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示手順、
を実行させるプログラムを記録した非一時的な記録媒体。
【請求項9】
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出手順、
前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定手順、
閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示手順、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法、非一時的な記録媒体およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介し、ある商品を売りたい売り手と、その商品を買いたい買い手との個人間取引を仲立ちするサービス(個人間電子商取引サービス)が普及している。このようなサービスを利用することで、販売ノウハウを持たない個人でも、出品者となり、販売したい商品を一般に公開し、購入者を募ることができる。
【0003】
個人間電子商取引サービスの提供者は、多くの場合、インターネット上にサービスを管理するサーバを設置する。サーバは、ウェブサイトを介し、あるいは出品者の端末にインストールされたアプリケーションを介し、出品者による商品の出品を受け付ける。サーバは、出品を受け付けた商品に関する情報を、ウェブサイトなどを介し、他の人が閲覧可能な状態で掲示する。掲示された情報を閲覧した閲覧者は、サーバにより掲示された情報を閲覧し、どのような商品が出品されているかを知ることができる。閲覧者は、欲しい品が出品されていることを知った場合、ウェブサイトや対応アプリケーションを介し、その商品を購入することができる。
【0004】
一般的には、このような個人間電子商取引サービスでは、出品の時点では価格が固定されていない。すなわち出品者は、最初に提示した価格以外での入札を受け入れることができる。例えばオークション形式のサービスでは、出品者は最初に、落札開始価格を設定したうえで電子市場に出品する。出品された商品を欲しい購入希望者は、落札開始価格よりも高い価格でその商品に入札する。サーバは、設定された期間のあいだ入札を受け付け、受け付けた入札のうち、最も高い入札価格を提示した入札者を購入者として決定する。
【0005】
他の例として、フリーマーケット形式のサービスでは、出品者は、商品に出品価格を付与したうえで電子市場に出品する。購入希望者は、出品価格が許容できるものであればその価格で購入することもできる。また購入希望者は、出品者と価格について交渉を行うことで、出品者の了承が得られた場合、出品価格よりも低い価格でその商品を購入することもできる。
【0006】
多くの個人間電子商取引サービスでは、出品者と購入希望者の間でコミュニケーションができる仕組みが提供されている。購入希望者は、出品者とコミュニケーションをとることにより、例えば商品に関する質問をすることもできるし、また上述したような価格交渉をすることもできる。こういったコミュニケーションの手段は、文字メッセージを含むチャットなどにより提供される。サーバは、コミュニケーションに用いられた文字メッセージを記録する。
【0007】
出品者と購入希望者の間でなされた文字メッセージには、商取引の内容を示す情報が多数含まれる。具体的には、例えば価格交渉に関する記載があった場合、その文字メッセージには、他の購入希望者はそれを参考に価格交渉をすることができる。また、発送元の地名または発送先の地名に関する記載があれば、それをもとに、送料についての情報を得ることもできる。
【0008】
ウェブサイト等に記載されたテキスト文書を解析する技術は現在でも存在する。例えば、インターネットを介して情報を交換できる電子掲示板等におけるテキスト文書から、規定された要件に合致する記載(不適切な情報、用語、キーワード等)を検出することにより、不適切な書き込みや改ざんを監視しようとする技術が公開されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−342146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来技術では、出品者と購入希望者の間でなされた文字メッセージから、効率よく商取引の内容にかかわる情報を抽出し、見やすく提示することが難しい。
【0011】
出品者と購入希望者の間でなされるやり取りは、多岐にわたる内容に及ぶことが予想され、それをすべて網羅できる基準を策定することが難しい。例えば、金額を示すやりとりがなされたとしても、それが商品の交渉中価格であるのか、それとも別の金額(例えば送料、または比較のために出してきた他の商品の価格など)であるのかを判定するのは容易ではない。
【0012】
また、そのような課題を解消するため、文字メッセージの入力欄のほかに、交渉中価格を入力する欄を設けることが考えられる。しかし、文字メッセージから独立した交渉中価格の入力欄に金額を入力することは、購入希望者にかける心理的負担が大きくなりがちである。そのため、かえって価格交渉を妨げてしまう恐れがあり、実情として、あまり利用されていない。
【0013】
特許文献1が示す技術では、電子掲示板などに記録されたテキストデータを解析し、予め定められた基準に合致する記載を抽出するだけである。すなわち、出品者と購入希望者の間で交わされた文字メッセージから、商取引の内容にかかわる情報を抽出し、見やすく提示することはできない。
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出品者と購入希望者の間でなされた文字メッセージから、効率よく商取引の内容にかかわる情報を抽出し、見やすく提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる管理装置は、
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理する管理装置であって、
前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出部と、
前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定部と、
閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第1の観点にかかる管理装置は、さらに、
前記判定部は、前記出品価格と、前記出品者による過去の割引率、または、当該商品の属するジャンルにおける過去の割引率に基づいて、前記抽出された文字列により表される金額が前記交渉中価格であるか否かを判定する、
ものであってもよい。
【0017】
本発明の第1の観点にかかる管理装置は、さらに、
前記抽出部は、前記文字メッセージから、地名を表す文字列を抽出し、
前記提示部は、前記検索商品を前記閲覧者に提示するとき、前記抽出された文字列により表される地名と、前記出品者について登録されている地名とを対比することにより送料を取得し、当該取得された送料を前記閲覧者に提示する、
ものであってもよい。
【0018】
本発明の第1の観点にかかる管理装置は、さらに、
前記提示部は、前記文字メッセージを前記閲覧者に表示し、当該文字メッセージが複数の前記地名を表す文字列を含む場合、それぞれの前記地名を表す文字列ごとに前記送料を取得し、前記閲覧者の操作によって前記複数の文字列のうち一つが選択されると、当該選択された文字列について前記取得された送料を表示する、
ものであってもよい。
【0019】
本発明の第1の観点にかかる管理装置は、さらに、
前記提示部は、前記購入希望者を示す情報に、前記購入希望者に対応付けられた文字列を連結して、前記検索商品を前記閲覧者に提示する、
ものであってもよい。
【0020】
本発明の第1の観点にかかる管理装置は、さらに、
前記提示部は、前記文字メッセージから前記購入希望者に対応付けられた文字列が複数抽出されていた場合、そのうち前記文字メッセージに最も新しく記載された文字列と、前記購入希望者を示す情報とを連結して提示する、
ものであってもよい。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかる管理方法は、
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理する管理方法であって、
前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出ステップと、
前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定ステップと、
閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点にかかる非一時的な記録媒体は、
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出手順、
前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定手順、
閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示手順、
を実行させることを特徴とするプログラムを記録する。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点にかかるプログラムは、
出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記文字メッセージから、金額を表す文字列を抽出する抽出手順、
前記抽出された文字列により表される金額と、前記出品価格とを対比することにより、当該金額が前記出品者と前記購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する判定手順、
閲覧者により指定された検索条件に合致した検索商品を当該閲覧者に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の前記交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する提示手順、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、出品者と購入希望者の間でなされた文字メッセージから、効率よく商取引の内容にかかわる情報を抽出し、見やすく提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態にかかる管理装置の機能の概要を示す図である。
図2】第1の実施形態にかかる管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態において記憶装置に記録されているデータ内容を示す図である。
図5】第1の実施形態における管理装置が提示する検索商品画面の例を示す図である。
図6】第1の実施形態における管理装置が提示する商品ページの例を示す図である。
図7】第1の実施形態における文字メッセージの例を示す図である。
図8】交渉中価格算出処理のフローチャートである。
図9】第1の実施形態における管理装置が提示する出品商品管理画面の例を示す図である。
図10】第2の実施形態において記憶装置に記録されているデータ内容を示す図である。
図11】送料算出処理のフローチャートである。
図12】第2の実施形態における管理装置が提示する出品商品管理画面の例を示す図である。
図13】第2の実施形態において、文字メッセージの内容を提示した例を示す図である。
図14】第2の実施形態において、文字メッセージの内容に重ねて、送料を示す枠を表示した画面を示す図である。
図15】第2の実施形態の出品商品管理画面において、購入希望者のユーザIDに地名を表す文字列を連結した表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
本発明の実施形態にかかる管理装置100は、ネットワークを介した個人間電子商取引サービスを提供する情報処理装置である。管理装置100は、出品者からの商品の出品を受け付け、ネットワークを介して出品された商品の情報を公開する。また管理装置100は、出品された商品について、購入希望者から購入申し込みを受け付けるほか、一般的な電子商取引サービスにおいて必要となる機能を提供する。
【0028】
具体的な様態として、管理装置100は、図1に示すように、出品者H1が操作可能な端末T1とネットワークを介して接続されており、端末T1とデータを送受信することができる。出品者H1が、端末T1を介して出品する商品にかかわる情報を入力すると、管理装置100は、入力された情報を受信し、電子市場データベース31に商品情報データ21として記録する。商品情報データ21には、出品された商品の商品名や、商品の画像、出品者H1により入力された商品説明、および出品者H1によってその商品に付与された出品価格などが含まれる。管理装置100は、出品された商品ごとに商品情報データ21を作成し、電子市場データベース31に蓄積する。
【0029】
また、管理装置100は、記録されている商品情報データ21を公開し、購入希望者を募る機能を備える。管理装置100は、出品された商品ごとに、商品情報データ21に含まれるデータを含む商品ページを生成し、ネットワークを通じて公開する。購入希望者H2は、管理装置100とネットワーク経由で接続された端末T2などを通じて商品ページ(商品情報データ21)を閲覧する。購入希望者H2は、購入を希望する商品が見つかれば、その商品について端末T2から購入申し込みをすることができる。購入申し込みがなされると、管理装置100は、当該商品についての購入申し込みを受け付け、出品者H1に購入申し込みがあったことを伝達する。
【0030】
また、管理装置100は、購入希望者H2に、購入申し込み前に、出品者H1とコミュニケーションをとる手段を提供する。具体的には、管理装置100は、端末T2を介し、購入希望者H2に、出品者H1に伝達したい内容を受領するためのインターフェースを提供する。購入希望者H2が、インターフェースを介して出品者H1に伝達したいメッセージを入力すると、管理装置100は、入力されたメッセージを文字メッセージ22として記録する。管理装置100は、文字メッセージ22に新たなメッセージが記録されたことを、端末T1を介して出品者H1に伝達する。さらに管理装置100は、出品者H1に、購入希望者H2に提示したものと同様のインターフェースを提供し、出品者H1から文字メッセージ22への入力を受け付ける。このように、管理装置100が記録する文字メッセージ22を介して、購入希望者H2は購入申し込み前に出品者H1とコミュニケーションをとることができる。管理装置100は、出品された商品ごとに文字メッセージ22を記録する。
【0031】
さらに、管理装置100は、電子市場データベース31はキーワードや条件に応じて検索し、その結果を提示する機能を備える。例えば、閲覧者H3が、管理装置100とネットワーク経由で接続された端末T3を通じ、検索クエリ(商品名、商品のジャンルなど)を入力すると、管理装置100は、検索クエリの条件に合致する商品を電子市場データベース31から抽出する。管理装置100は、抽出された商品それぞれの商品情報データ21をリスト化することによって、検索商品データ23を生成する。管理装置100は、ネットワークを介して端末T3に検索商品データ23を送信し、端末T3のディスプレイを介し、検索商品データ23の内容を閲覧者H3に提示する。
【0032】
管理装置100は、文字メッセージ22が更新されると、その文字メッセージから、商取引の内容にかかわる情報、特に金額を表す文字列を抽出する。そのうえで管理装置100は、抽出された文字列が、出品者H1と購入希望者H2の間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する。のち、閲覧者H3により検索クエリが発行されると、管理装置100は、検索商品データ23を閲覧者H3に提示する際、検索された商品に対応する文字メッセージ22から抽出された文字列を対応付けて提示する。そのため、閲覧者H3は、検索商品データ23を参照する際に、合わせて交渉中価格を知ることができる。
【0033】
管理装置100は、図2に示すように、機能部として抽出部11、判定部12、提示部13を備える。
【0034】
抽出部11は、文字メッセージ22から、金額を表す文字列を抽出する。具体的には、抽出部11は、文字メッセージ22を解析し、金額に相当する文字列と推測される部分(「¥」や「$」マークで始まる数値表現、または「円」の文字で終わる数値表現など)を特定し、特定した部分の文字列を抽出する。
【0035】
判定部12は、抽出部11によって抽出された文字列により表される金額と、その商品に出品者が付与した出品価格とを対比し、当該金額がその商品の交渉中価格であるか否かを判定する。判定部12は、商品情報データ21から、出品者H1により当該商品に付与された出品価格を読み出す。判定部12は、抽出された文字列により表される金額が、読み出した出品価格との関係において所定の条件を満たす場合には、当該金額が交渉中価格であると判定する。一方、所定の条件を満たさない場合には、当該金額は交渉中価格ではないと判定する。
【0036】
判定部12が判定に用いる所定の条件とは、任意のものが可能である。具体的な例として、金額が出品価格に対して所定の範囲内(例えば、出品価格の80%から100%)であることを条件としてもよい。また、出品者H1が過去に管理装置100を介した商取引をしていた場合、過去に出品者H1による取引履歴を参照して条件を定めてもよい。例えば、過去の取引において、出品者H1が、出品価格の75%まで値下げした価格で商品を販売した履歴があれば、出品価格の75%までの金額であることを交渉中価格と判定する条件としてもよい。
【0037】
提示部13は、閲覧者H3により指定された検索条件に合致した検索商品をリスト化することによって検索商品データ23を生成し、閲覧者H3に提示する。さらに提示部13は、検索商品を閲覧者H3に提示するとき、検索商品データ23に含まれる商品に、交渉中価格と判定された金額を対応付けて提示する。検索商品データ23に、複数の商品が含まれ、かつ、複数の商品のそれぞれに交渉中価格と判定された金額がある場合、提示部13は、複数の商品に、それぞれ交渉中価格と判定された金額を対応付けて提示する。すなわち、閲覧者H3は、提示部13により提示された検索商品を閲覧することにより、それぞれの商品の交渉中価格を知ることができる。
【0038】
図2には表れていないが、管理装置100は、他にも一般的な電子商取引サービスを提供する情報処理装置が有する機能を一通り備えるものとする。例えば、出品された商品の情報の期限管理、商取引にともなう金銭のやりとりなど、電子商取引サービスを提供するうえで必要となる機能を管理装置100は備える。
【0039】
本実施形態にかかる管理装置100は、図3に示すように、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)111、RAM(Random Access Memory)112、記憶装置120、操作デバイス130、ディスプレイ140、ネットワークインターフェース150を備え、これらが内部バス190を介して互いに接続された構成を有する。
【0040】
CPU110は、ROM111、RAM112および記憶装置120が記憶するプログラムを実行することにより、管理装置100の全体の動作を制御する。CPU110は、必要に応じてROM111、RAM112、記憶装置120から実行するプログラムを読み出し、また必要に応じてRAM112、記憶装置120上にデータを保存する。
【0041】
CPU110は、上述した各機能を実現する要素(抽出部11、判定部12、提示部13)として機能する。詳しくは後述する。
【0042】
ROM111は、CPU110が稼動する上で必要となるプログラム、例えば管理装置100の起動時にCPU110が最初に実行するプログラム等を記憶する。
【0043】
RAM112は、CPU110がプログラムを実行する際にワークエリアとして機能する。すなわち、RAM112は、CPU110が実行中のプログラム、あるいは、CPU110がプログラムを実行する上で必要となる一時的なデータを記録し、CPU110からの要求に応じてCPU110に提供する。
【0044】
記憶装置120は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の記憶装置を備え、管理装置100が稼動するために必要なデータを記憶する。
【0045】
記憶装置120は、例えば、CPU110が実行するためのプログラム、あるいはCPU110がプログラムを実行する上で参照するデータを記録し、CPU110からの要求に応じてCPU110に提供する。また、記憶装置120は、CPU110からの要求に応じ、CPU110から出力されたデータを記録する。
【0046】
操作デバイス130は、キーボードやマウス等を備え、操作者による入力操作を受け付けてCPU110に伝達する。
【0047】
ディスプレイ140は、液晶ディスプレイ等を備え、管理装置100が操作者に提示すべき情報を表示する。
【0048】
もっとも、管理装置100が操作デバイス130およびディスプレイ140を備えている必要はなく、例えば後述するネットワークインターフェース150を介して、操作者からの操作入力を受けつけ、あるいは操作者に情報を提示することができるなら、管理装置100は操作デバイス130あるいはディスプレイ140を備えていなくともよい。
【0049】
ネットワークインターフェース150は、管理装置100をネットワーク(図示せず)に接続する。管理装置100が、ネットワークを介して他機器に情報を送信し、あるいは他機器から情報を受信する際、ネットワークインターフェース150は、CPU110から後述する内部バス190を介して受信した情報を、ネットワークを介して他機器へ送信し、また他機器からネットワークを介して受信した情報を、内部バス190を介してCPU110へ送信する。特に、管理装置100は、ネットワークを介し、接続された端末(端末T1−T3など)との間で情報を送受信する。具体的な例として、出品者H1が操作する端末T1からは、出品された商品にかかわるデータを受信する。または、購入希望者H2が操作する端末T2に、商品情報データ21を送信する。
【0050】
ネットワークインターフェース150は、例えばケーブルを介して管理装置100をネットワークに接続してもよいし、あるいは無線通信により管理装置100をネットワークに接続してもよい。ケーブルによる場合も無線通信による場合も、その通信規格は任意である。
【0051】
内部バス190は、管理装置100内の構成要素(CPU110、ROM111、RAM112、記憶装置120、操作デバイス130、ディスプレイ140、ネットワークインターフェース150等)間での情報のやり取りを中継する。例えば、CPU110が必要なデータを記憶装置120から読み出すとき、CPU110は、内部バス190を介して記憶装置120からデータを読み出す。
【0052】
本実施形態にかかる管理装置100は、以上のハードウェア構成により、上述した各機能を提供する。例えば、CPU110が、記憶装置120に記録されている文字メッセージ22を読み出し、読み出したテキストデータから金額を表す文字列を抽出することにより、抽出部11としての機能を提供する。
【0053】
本実施形態にかかる管理装置100において、記憶装置120は、図4に示す各データを記録する。すなわち、記憶装置120は、電子市場データベース31を備え、電子市場データベース31に、商品情報データ21や、取引履歴データ24などを記録する。他にも、記憶装置120は、文字メッセージ22、検索商品データ23などを記録する。
【0054】
電子市場データベース31は、一般的な電子商取引サービスに用いられる各種データを記録するためのデータベースである。電子市場データベース31には、商品情報データ21、取引履歴データ24のほか、例えば電子商取引を行うためのユーザ管理用のデータなども記録される。
【0055】
商品情報データ21は、出品者H1によって入力された、出品された商品にかかわる情報である。商品情報データ21には、出品された商品の商品名、商品の属するジャンル、商品の画像、出品者H1により入力された商品説明、および出品者H1によってその商品に付与された出品価格、出品者を示すユーザIDなどが含まれる。
【0056】
取引履歴データ24は、過去に管理装置100を介して行われた商取引の実績を記録するデータである。取引履歴データ24には、過去に行われた商取引ごとに、出品者および購入者のユーザID、商品名や商品の属するジャンル、出品価格、最終的に成立した取引価格、出品された日時および取引が成立した日時などの情報が記録される。取引履歴データ24を参照することにより、例えば出品者H1が過去にどのような取引をしてきたかを知ることができる。
【0057】
文字メッセージ22は、出品者H1および購入希望者H2により入力された文字データ、および、当該文字データを入力した人物を示すユーザIDを含むテキストメッセージである。文字メッセージ22の内容については後述する。
【0058】
検索商品データ23は、閲覧者H3により入力された検索条件に合致する商品の情報をリスト化したデータである。閲覧者H3が、端末T3を介して検索条件を入力すると、管理装置100は、電子市場データベース31を検索し、出品中である商品の商品情報データ21から、入力された条件に合致する商品のデータを抽出する。管理装置100は、抽出された商品のデータをリスト化することにより、検索商品データ23を生成する。検索商品データ23は、検索条件が入力される都度生成される一過性のデータであり、適宜消去される。
【0059】
管理装置100は、検索商品データ23を生成すると、検索商品データ23の内容を、端末T3の画面に、図5に示す検索商品画面として表示する。検索商品画面には、閲覧者H3により入力された検索条件を示す枠F01と、商品検索の結果ヒットした各商品についての情報を示す枠(枠F10および枠F20)が含まれる。すなわち枠F10は、検索の結果ヒットした商品1に関する情報を示すための枠であり、枠F20は、商品1とは異なる、検索の結果ヒットした商品2に関する情報を示すための枠である。
【0060】
枠F10には、商品画像を示すための枠F11、出品価格を示すための枠F12がある。枠F11および枠F12には、商品情報データ21からそれぞれ対応する情報が呼び出され、表示される。そのほかに、交渉中価格を示すための枠F13があり、管理装置100は、商品1について、後述する交渉中価格算出処理により算出された交渉中価格を枠F13に表示する。他にも、交渉中の状況を示すための枠F14があり、現在の交渉の状況(対象の商品について、交渉中の購入希望者がいるか否か、および交渉中の購入希望者のユーザIDなどを示す情報)を提示してもよい。このように、管理装置100は、提示部13としての機能を提供する。
【0061】
図5に示した例においては、商品1については、枠F12に表示されているように、出品者H1により出品価格16000円が付与されている。また、商品1については、枠F14に表示されているように、購入希望者H2(ユーザID:ab7819)が存在し、現在交渉中である。さらに、枠F13に表示されているように、交渉により交渉中価格14000円が提示されている。一方、商品2については、出品者による出品価格(21000円)が枠F22に表示されている。しかし、枠F24に示されているように、まだ交渉は行われていない。枠F23に表示されているように、商品2については、まだ交渉中価格も設定されていない。閲覧者H3は、検索された商品がリスト化されて表示されている検索商品画面において、こういった情報を得ることができ、商品を探して対比するうえで便利である。
【0062】
管理装置100は、検索商品画面において、閲覧者H3が個々の商品に与えられた枠(枠F10または枠F20など)をクリックすると、クリックされた枠に対応する商品の商品ページを表示する。すなわち、端末T3(あるいは、管理装置100に接続された他の端末)から商品情報を閲覧するための要求があると、管理装置100は、ネットワークを介して商品ページとなる情報を要求元の端末(端末T3)に送信する。商品ページとなる情報を受信した端末T3は、図6に示す商品ページを画面に表示し、ユーザ(閲覧者H3など)に商品情報を提示する。商品ページには、商品情報データ21に含まれるデータ、文字メッセージ22に含まれるデータ、他のインターフェースとなる情報などが含まれる。
【0063】
具体的には、商品ページには、図6に示すとおり、商品名を示す枠D10、出品者情報を示す枠D11、商品画像のイメージデータを表示する枠D12、出品価格を示す枠D13、商品説明を示す枠D15がある。管理装置100は、これらの各枠に、商品情報データ21から対応する情報を読み出し、端末T3の画面に表示する。
【0064】
また、管理装置100は、商品ページに文字メッセージを示す枠D16を設け、文字メッセージ22に記録されているテキストデータを枠D16に提示する。商品ページは一般に公開されており、任意の閲覧者(購入希望者H2を含む)が商品ページを介して文字メッセージ22の内容を参照することができる。
【0065】
さらに、商品ページには、交渉中価格を示す枠D14がある。管理装置100は、その商品について交渉中価格と判定された金額を、枠D14に表示する。
【0066】
また、商品ページには、購入希望者H2が出品者H1に対して文字メッセージを入力するためのインターフェースとして、メッセージ入力欄D17、および発言ボタンD18がある。購入希望者H2が、メッセージ入力欄D17にテキストメッセージを入力し、発言ボタンD18をクリックすると、管理装置100は、メッセージ入力欄D17に入力されていたテキストメッセージを示すデータを取得し、文字メッセージ22に記録する。
【0067】
購入希望者H2と出品者H1との間でのメッセージ交換は、時として長文に及ぶことがある。そのようなケースに備え、文字メッセージ22を表示する枠D16には、スクロールバーが設定されている(図中、枠D16の右側)。枠D16は、設定された枠の大きさの制限により文字メッセージ22に含まれるテキストデータのすべてを表示できない場合、文字メッセージ22のデータの一部と、スクロールバーとを表示する。閲覧者H3などが、文字メッセージ22のうち、その時点で表示されていない部分のデータを参照したい場合、スクロールバーを操作することにより、所望のデータを参照することができる。
【0068】
閲覧者H3にとって、文字メッセージ22全体を参照するために、個々の商品ページにおいて、必要に応じてスクロールバーを操作するのは、労力の観点から負担が大きい。閲覧者H3は、検索商品画面または商品ページにおいて、交渉中価格を示す枠に表示された交渉中価格参照することで、交渉中価格を容易に知ることができる。
【0069】
図7は、文字メッセージ22の内容を示す図である。文字メッセージ22には、上述したように、メッセージ入力欄D17などを介してチャット形式で出品者H1と購入希望者H2がやりとりしたテキストメッセージが記録される。メッセージが入力されると、文字メッセージ22には、メッセージを記入した人のユーザIDを示す部分D21と、記入されたメッセージを示す部分D22とが追加される。メッセージの入力が繰り返される都度、文字メッセージ22には、メッセージを入力した人のユーザIDと新たに入力されたメッセージとが追加される。その結果、文字メッセージ22には、時として、金額を示す文字列部分(D23およびD24)が含まれることになる。
【0070】
管理装置100は、文字メッセージ22に新たなメッセージが追加されると、図8に示す交渉中価格算出処理を開始する。交渉中価格算出処理を行うことにより、管理装置100は、文字メッセージ22の内容から交渉中価格に該当する部分を抽出する。
【0071】
管理装置100は、交渉中価格算出処理の最初に、記録された文字メッセージ22を読み取る(ステップS110)。管理装置100は、記憶装置120にアクセスし、文字メッセージ22に新たに追加されたテキストメッセージの内容を読み出す。
【0072】
次に管理装置100は、読み出した文字メッセージから、金額を示す文字列を抽出する(ステップS120)。管理装置100は、文字メッセージ22を解析し、金額に相当する文字列と推測される部分(「¥」や「$」マークで始まる数値表現、または「円」の文字で終わる数値表現など)を特定し、特定した部分の文字列を抽出する。ステップS120を実行することで、管理装置100は、抽出部11としての機能を提供する。
【0073】
次に管理装置100は、抽出された文字列により表される金額が、交渉中価格であるか否かを判定する(ステップS130)。管理装置100は、抽出された文字列により表される金額が、読み出した出品価格との関係において所定の条件を満たす場合には、当該金額が交渉中価格であると判定する。一方、所定の条件を満たさない場合には、当該金額は交渉中価格ではないと判定する。ステップS130を実行することで、管理装置100は、判定部12としての機能を提供する。
【0074】
抽出された文字列により表される金額が、交渉中価格であると判定された場合(ステップS130:YES)、管理装置100は、当該金額を交渉中価格として記録する(ステップS140)。交渉中価格は、商品情報データ21の内容に記録されてもいいし、また別のデータとして記憶装置120に記録されてもよい。
【0075】
抽出された文字列により表される金額が、交渉中価格ではないと判定された場合(ステップS130:NO)、およびステップS140を完了すると、管理装置100は、交渉中価格算出処理を終了する。この交渉中価格算出処理を行うことにより、新たに文字メッセージ22に追加されたテキストメッセージに交渉中価格に該当する記載があれば、その部分が抽出され、交渉中価格として記録される。
【0076】
出品者H1と購入希望者H2との間でコミュニケーションが交わされ、文字メッセージ22に内容が追加されるに伴い、両者の間で意識される交渉中価格は変動する。管理装置100は、文字メッセージ22が更新され、新たに追加された部分から交渉中価格に対応する記載が検出される都度、交渉中価格を示すデータを更新する。そのため、交渉の進展に応じ、交渉中価格を最新の状態に保持することができる。
【0077】
管理装置100は、算出された交渉中価格を、前述したように、検索商品画面で表示する。また、他にも、管理装置100は、出品者H1が出品した商品についての情報を管理する出品商品管理画面においても表示する。
【0078】
管理装置100は、出品者H1から端末T1を介しての要求に応じ、出品者H1に、図9に示す出品商品管理画面を表示する。出品商品管理画面では、商品名を示す枠G11、商品IDを示す枠G12、商品画像を示す枠G13、商品説明を示す枠G14、出品価格を示す枠G15などが表示される。枠G11から枠G15は、いずれも編集可能な枠となっている。管理装置100は、出品者H1により各枠に表示されている情報を編集する操作がなされると、その操作に応じ、商品情報データ21の対応するデータを更新する。
【0079】
さらに、出品商品管理画面には、文字メッセージ22を表示するための枠G21、メッセージ入力欄G22、発言ボタンG23が配置されている。枠G21から枠G23は、それぞれ商品ページにおける枠D16からD18と同じ機能を備える。すなわち、管理装置100は、枠G21に文字メッセージ22の内容を表示する。管理装置100は、発言ボタンG23がクリックされると、そのときまでにメッセージ入力欄G22に入力されていたテキストメッセージを文字メッセージ22に追加する。
【0080】
また、出品商品管理画面には、交渉中価格を示す枠G24、および交渉状況を示す枠G25が配置されている。出品者H1は、枠G24およびG25を参照することで、文字メッセージ22を参照しなくとも現在の交渉状況の概要を知ることができる。
【0081】
また、管理装置100は、交渉中価格の枠G24を編集可能な枠として表示し、出品者H1により交渉中価格の編集を可能としていてもよい。すなわち、文字メッセージ22から管理装置100が交渉中価格と判定した金額とは異なる金額を、出品者H1が入力できるようになる。このようにすることで、出品者H1が許容しない金額が管理装置100によって交渉中価格と判定された場合があっても、出品者H1によって交渉中金額を改めることができる。または、文字メッセージ22が未入力であっても、出品者H1により交渉中価格を提示することが可能となる。
【0082】
また、交渉が成立した場合のインターフェースとして、出品商品管理画面には、販売価格を入力するための枠G31、販売先ユーザを選択するための枠G32、および交渉成立ボタンG33が設けられている。管理装置100は、出品者H1により、販売価格が枠G31に入力され、販売先ユーザが枠G32に入力された状態で交渉成立ボタンG33がクリックされると、枠G32に入力されたユーザ(すなわち購入希望者H2)に、枠G31に入力された販売価格で交渉が成立した旨を電子メール等で伝達する。交渉成立を伝達された購入希望者H2が、交渉結果を受け入れる操作を行うと、管理装置100は、出品者H1と購入希望者H2との間でそのほか電子商取引に用いられる機能(連絡先交換および決済など)を提供し、両者間での取引を成立させる。
【0083】
このように、管理装置100は、出品者H1と購入希望者H2との間で交わされた文字メッセージ22から、交渉中価格に対応する文字列を抽出したうえで、出品者H1、購入希望者H2、閲覧者H3に提示することができる。特に、管理装置100は、検索商品画面において各商品の交渉中価格を提示するため、閲覧者H3は、各商品の交渉状況を容易に知ることができる。
【0084】
管理装置100は、文字メッセージ22から金額に対応する文字列を抽出したうえで、抽出された文字列により表される金額が、交渉中価格であるか否かを判定する。判定にあたって管理装置100が用いる条件は、さまざまな形態が考えられる。例えば、管理装置100は、取引履歴データ24を参照し、その商品の出品者(出品者H1)が過去に行った商取引を参照し、その出品者による過去の割引率に基づいて、交渉中価格と判定する金額の範囲を定めるものであってもよい。
【0085】
または、特定の出品者によらず、出品された商品の属するジャンルにおいて、過去に管理装置100を介してなされた取引における割引率に基づいて、交渉中価格と判定する金額の範囲を定めるものであってもよい。この場合も、管理装置100は、取引履歴データ24を参照し、当該商品が属するジャンルにおいて過去に行われた取引のデータを読み出す。管理装置100は、読み出した取引履歴を示すデータにおいて、割引率が低いほう(出品価格に近いほう)から数えて所定の順位(上位80%など)にあたる割引率で取引された取引を特定する。管理装置100は、出品価格から、特定された取引における割引率を出品価格に乗じた額までの範囲を、交渉中価格と判定する金額の範囲としてもよい。
【0086】
<第2の実施形態>
第1の実施形態においては、管理装置100は、文字メッセージから特に交渉中価格を割り出し、それを閲覧者H3などにわかりやすい形で提示した。しかし、本願発明においては、管理装置が閲覧者に提示する情報は金額、特に交渉中価格に限定されない。例えば、出品者H1と購入希望者H2との間のコミュニケーションから地名に対応する記載を抽出し、抽出された地名から送料を算出し、それを提示するものであってもよい。
【0087】
本実施形態にかかる管理装置200は、出品者H1と購入希望者H2との間のコミュニケーションから地名に対応する記載を抽出し、抽出された地名から送料を算出する。また、管理装置200は、検索商品画面において、算出した送料を閲覧者H3に提示する。そのため、閲覧者H3は、検索商品画面において、送料を出品された商品ごとに比較することが可能となる。
【0088】
管理装置200は、ハードウェア構成として、第1の実施形態にかかる管理装置100と同様の構成を備えるものであり、その詳細については説明を割愛する。また、機能面においても、管理装置200は、管理装置100と同様の構成を備える。
【0089】
管理装置200は、記憶装置120に、図10に示す各データを記録する。即ち、第1の実施形態と同じ内容として電子市場データベース31、文字メッセージ22、検索商品データ23を記録する。他に管理装置200は、記憶装置120に、地名データ25および送料データ25を記録する。
【0090】
地名データ25は、管理装置200がサービスを提供する範囲における地名とその場所とを対応付けて記録したデータである。
【0091】
送料データ26は、管理装置200がサービスを提供する範囲において、発送元の住所と発送先の住所、および送料を対応付けたデータである。管理装置200は、発送元の住所(出品者H1の住所)を電子市場データベース31に記録している。そのため、管理装置200は、発送先の住所または地名が特定されると、送料データ26を参照することにより、その商品の送料を算出することができる。
【0092】
管理装置200は、文字メッセージ22に新たなメッセージが追加されると、図11に示す送料算出処理を開始する。送料算出処理を実行することにより、管理装置200は、文字メッセージ22の内容から地名を抽出し、その地名により送料を算出する。
【0093】
送料算出処理の最初に、管理装置200は、記録された文字メッセージ22を読み取る(ステップS210)。管理装置200は、記憶装置120にアクセスし、文字メッセージ22に新たに追加されたテキストメッセージの内容を読み出す。
【0094】
次に管理装置200は、読み出した文字メッセージから、地名を示す文字列を抽出する(ステップS220)。管理装置200は、読み出したテキストメッセージを解析し、また地名データ25を参照し、地名に対応する部分を特定して抽出する。
【0095】
次に管理装置200は、抽出した文字列が示す地名に基づいて送料を算出する(ステップS230)。管理装置200は、出品者の住所を発送元に、抽出した文字列により示される地名に対応する住所を発送先とし、送料データ26を参照して送料を算出する。
【0096】
次に管理装置200は、算出した送料と地名とを記録する(ステップS240)。管理装置200は、記憶装置120の適切な場所、例えば商品情報データ21などに、算出した送料および地名を記録する。ステップS240を終えると、管理装置200は送料算出処理を終了する。
【0097】
管理装置200は、送料算出処理を行うことにより、出品されている各商品について、配送先地名と送料を特定し記録する。管理装置200は、特定された配送先地名および送料を、出品者H1に提示することができる。
【0098】
一例として、管理装置200が、出品商品管理画面において配送先地名および送料を示した画面を図12に示す。出品商品管理画面においては、第1の実施形態における枠のほかに、商品1について、配送先地名を示す枠G26、および送料を示す枠G27が設けられている。そのため、出品者H1は、配送先地名および送料を踏まえて、購入希望者H2にその商品を販売するか検討することができる。
【0099】
また、管理装置200は、商品ページにおいても地名および送料を、文字メッセージ22の内容と連携させて表示できる。具体的には、図13に示すように、文字メッセージ22の内容を表示している場合に、地名に対応する領域(領域D31およびD32)を特定し、当該部分の背景色を変えたり、あるいは当該部分を枠線で囲ったりして出品者H1に提示する。そのうえで、領域D31がクリックされると、図14に示すように、領域D31に記載されている地名に対応する送料を、枠D33のように、ポップアップまたはバルーンの形態で表示する。このようにすると、文字メッセージ22に複数の地名が含まれるときに、出品者H1は、それぞれの地名に応じた送料を容易に参照でき、便利である。
【0100】
また、管理装置200は、抽出した地名を、送料を算出する以外の用途で活用することもできる。例えば管理装置200は、購入希望者H2が記載したメッセージから地名が抽出された場合、その後の交渉過程において、その購入希望者のユーザIDに、抽出された地名を連結させて表示してもよい。
【0101】
具体例として、図15に、出品商品管理画面の一例を示す。図15の例においては、文字メッセージ22を表示する枠G21において、交渉中である購入希望者H2のユーザIDに、抽出された地名を連結して提示している。そのため、出品者H1は、文字メッセージ22に入力した各ユーザが入力した地名を容易に知ることができる。また、交渉状況を示す枠G25においても、購入希望者H2のユーザIDに、抽出された地名を連結して提示されており、出品者H1は、現在交渉中である購入希望者H2が入力した地名を一目で判別することができる。
【0102】
また、文字メッセージ22に購入希望者H2が入力する地名が複数になることがある。このような場合、管理装置200は、複数の文字列を地名として抽出することになる。管理装置200は、抽出した複数の文字列を、すべて購入希望者H2を示すユーザIDに連結してもよい。また、最も新しく文字メッセージ22に記載された文字列を特定し、特定された文字列を、購入希望者H2を示すユーザIDに連結してもよい。
【0103】
管理装置200が、抽出された複数の文字列のうち、最も新しく文字メッセージ22に記載された文字列を特定し、特定された文字列を、購入希望者H2を示すユーザIDに連結する場合、以下のような効果がある。すなわち、購入希望者H2は、発送先となる地名を文字メッセージ22に新たに入力する都度、端末(端末T1−T3のいずれか)に表示される画面において、ユーザIDに連結される文字列が変わることになる。すなわち、文字メッセージ22に最後に追加された地名を示す文字列が、購入希望者H2のユーザIDに連結された表示されるため、出品者H1はその時点で最後に入力された地名が何であるかをすぐ把握できる。購入希望者H2が、配送先を変更したいと思った場合には、文字メッセージ22に、新しい配送先の地名を入力するだけで変更することができる。
【0104】
さらに、購入希望者H2のユーザIDに連結する文字列は、地名を表すものだけに限られず、購入希望者H2に対応付けられた任意の文字列が可能である。例えば、抽出した交渉中価格の金額を示す文字列を、購入希望者H2のユーザIDに連結して表示してもよい。そのようにすることで、複数の購入希望者がいる場合に、それぞれの購入希望者が提示した交渉中価格を見やすく判別することができる。
【0105】
また、金額を示す文字列をユーザIDに連結する場合、一人の購入希望者が何度も交渉中金額を入力することがある。管理装置200が、最も新しく文字メッセージ22に記載された文字列を特定し、特定された文字列を、購入希望者H2を示すユーザIDに連結することにより、交渉の進展に伴う価格の遷移をわかりやすく表示できる。また、購入希望者は、文字メッセージ22に、新しい希望価格を入力するだけで希望価格を変更することができる。
【0106】
本発明の実施形態にかかる管理装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いても実現可能である。例えば、コンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magnet Optical Disk)など、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶して配布し、これをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する管理装置を構成しても良い。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを記憶しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0107】
また、本発明の実施形態にかかる管理装置は、一台で実現されるものに限定されない。複数のコンピュータが上述した各部の機能を分担することにより、それらの複数のコンピュータからなる一つのシステムとして各機能を提供するものであってもよい。
【0108】
また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0109】
11:抽出部
12:判定部
13:提示部
100、200:管理装置
21:商品情報データ
22:文字メッセージ
23:検索商品データ
24:取引履歴データ
25:地名データ
26:送料データ
31:電子市場データベース
110:CPU
111:ROM
112:RAM
120:記憶装置
130:操作デバイス
140:ディスプレイ
150:ネットワークインターフェース
190:内部バス
H1:出品者
H2:購入希望者
H3:閲覧者
T1−T3:端末
【要約】
管理装置(100)は、出品者により出品価格を付与して出品された商品の購入価格を、当該出品者と購入希望者との間で文字メッセージをやり取りすることによって交渉可能な電子市場を管理する装置である。管理装置(100)は、抽出部(11)と、判定部(12)と、提示部(13)とを備える。抽出部(11)は、文字メッセージ(22)から、金額を表す文字列を抽出する。判定部(12)は、抽出された文字列により表される金額と、出品価格とを対比することにより、当該金額が出品者と購入希望者との間で交渉されている交渉中価格であるか否かを判定する。提示部(13)は、閲覧者(H3)により指定された検索条件に合致した検索商品を閲覧者(H3)に提示するとき、当該検索商品に、当該検索商品の交渉中価格であると判定された金額を対応付けて提示する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15