(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5919592
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/32 20120101AFI20160428BHJP
B24B 37/26 20120101ALI20160428BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20160428BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20160428BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
B24B37/04 P
B24B37/00 T
B24B37/04 G
B24B37/00 K
H01L21/304 621D
H01L21/304 622H
H01L21/304 622F
H01L21/304 622E
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-32933(P2015-32933)
(22)【出願日】2015年2月23日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛装備庁長官
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】宇根 篤暢
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−217141(JP,A)
【文献】
特開平09−193006(JP,A)
【文献】
特開2005−150745(JP,A)
【文献】
特開2009−214233(JP,A)
【文献】
特開2001−121407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 −37/34
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象物表面の凹凸を研磨により取り除いて平坦化、もしくは、平滑化するために、研磨対象物表面に対向して研磨パッドを有する研磨工具を回転させて研磨加工する研磨装置において、
前記研磨対象物の周囲を取り囲むように、研磨対象物と厚さの等しい、もしくは、厚さの薄い環状板を設け、前記研磨加工時に、前記研磨工具の前記研磨パッドの外周が環状板の外周からはみ出さないようにして研磨加工させるようにし、
前記研磨工具の、前記研磨対象物と対向する工具面に、スラリーを回収する渦巻き溝を形成した前記研磨パッドを設け、研磨工具にスラリー循環流路を有し、循環流路に接続して、加工液を強制的に吸引する吸引装置を設けたことを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨装置において、
前記環状板は、前記研磨対象物よりも数10μm 〜0.1mm程度厚さの薄い形状であることを特徴とする研磨装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の研磨装置において、
前記吸引装置により吸引された加工液を、強制的に前記研磨工具の前記スラリー循環流路に送出させる送出装置を併せて設けたことを特徴とする研磨装置。
【請求項4】
請求項1又は3記載の研磨装置において、
前記循環流路及び前記吸引装置の吸引配管に、フィルタを設けたことを特徴とする研磨装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の研磨装置において、
前記研磨対象物を水膜チャックにより研磨対象物の設置台上に固定したことを特徴とする研磨装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の研磨装置において、
前記環状板には、複数個の前記研磨対象物が嵌合保持される複数個の嵌合穴が形成され、前記研磨工具の前記研磨パッドの外周が環状板の外周からはみ出さないように研磨作動させることにより、複数個の研磨対象物を研磨加工させるようにしたことを特徴とする研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン基板、ガラス基板、シリコンカーバイト、窒化ガリウム、サファイヤ基板などを平坦に加工する研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体や光デバイスの高密度化や高速度化、低電力化のために、シリコン基板やシリコンカーバイト、窒化ガリウム、サファイヤ基板などに高い平坦性が求められている。とくに、シリコン基板を除く他の基板は、硬くて化学耐性も強く、きわめて長い加工時間を必要としている。
【0003】
これらの基板( ウエハ) の平坦化技術として注目を集めているのが、CMP(Chemical Mechanical PolishingまたはPlanarization)と呼ばれる研磨技術である。CMPは、物理的研磨に化学的な作用を併用して、ウエハの表面層を除いていく技術である。具体的には、酸、アルカリ、酸化剤などの研磨物の可溶性溶媒中に、研磨粒(シリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが一般的)を分散させたスラリーと呼ばれる研磨剤を用い、適当な研磨布( パッド) で、ウエハ表面を加圧し、相対運動で摩擦することにより研磨を進行させる。
【0004】
この研磨技術は、未だに多くの課題をもっている。中でも、スラリーやパッド消費量が大きいこと、ウエハ径拡大に伴う装置の大型化、などの問題を解決する方策として、下記非特許文献1に記載のウエハよりも小さいパッドで、ウエハ面を揺動しながら研磨する小径パッド方式が提案されている。この方式では、小さなパッドで研磨するため、装置はウエハ径を基準に小型化することが可能になり、高速・高圧研磨が容易になる利点も有する。
【0005】
図1ないし
図3は、従来の小径パッド方式を用いた研磨装置の一例を示す。
従来の小径パッド方式を用いた研磨装置は、
図1に示すように、研磨パッド5を貼った小型研磨工具1を、研磨対象物としての試料2に押しつけながら矢印aの方向に回転させることにより加工する。試料2は真空ポーラスチャックや真空ピンチャックなどのチャック3により保持され、相対速度を大きくするために矢印bの方向に逆回転させることもある。チャックは揺動テーブル4上の台部4aに搭載され、矢印6の方向に直線揺動される。本装置では揺動を停止し、任意の位置で研磨工具を固定して試料を加工することも可能である。
【0006】
この研磨装置を高速回転で使用するために、小型研磨工具1上に貼った小径研磨パッド5の表面に、
図2に示すスラリーを回収する渦巻き溝7とスラリーをパッド面内に均一供給する格子溝8からなる複合溝が形成され、研磨工具1内には、
図3に示すスラリーを循環させる流路10が設けられている。研磨工具1中心から供給されるスラリー9は、研磨工具1の回転による遠心力により研磨工具1中心から外周に向かって放射状に設けられた循環流路10を通って、研磨工具1の外周に設けられたスラリー供給孔11から試料2と研磨パッド5の接触面12に供給される。研磨工具1は回転しているので、スラリーは、研磨パッド5の表面に形成された渦巻き溝7により研磨工具1中心に回収される。この回収されたスラリーは研磨工具1中心の流入孔13を通って循環流路10に戻る。このことによりスラリーの30%以上が循環し、スラリー消費を抑制できる。矢印はスラリーの流れの方向を示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】精密工学会誌、Vol .68、 No .3 (2002) pp .461 - 465
【非特許文献2】2013年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集、pp.237 −238
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記
図1に示した研磨装置では、
図2に示した渦巻き溝7によりスラリーを研磨工具1中心に回収し、そのスラリーを
図3に示した研磨工具1内循環流路により循環させることができるので、通常の格子溝だけからなる研磨パッドと比較し、使用するスラリー量を1/3〜1/5に削減できる。さらに、研磨パッド外周5mmの範囲に溝のない研磨パッドを用いて加工すると、スラリーの飛散が抑止されると同時に、加工量は5〜10%向上するが、通常の硬質パッドを用いた場合、切り屑の排出が悪くなるので表面粗さが劣化する。
【0009】
これらのスラリーの削減は研磨工具が試料からはみ出さない限り可能であるが、研磨工具が試料からはみ出すと、スラリーは研磨工具の高速回転により飛散し、渦巻き溝によるスラリー回収も不可能になるので、スラリー消費量が増大する。一方、研磨工具のはみ出しは、この小径パッドを用いる方法では試料平坦化に必要不可欠なものであり、したがって、はみ出すと同時に大量のスラリーが消費されることになる。また、試料の固定には真空チャックが用いられているためスラリーをチャック内や真空配管内に吸い込むことになり、チャックの表面汚れや配管詰まりの原因となっている。
【0010】
本発明は上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、試料の外周を囲み、研磨工具が揺動したとしても工具外周が試料からはみ出さない大きさをもつ、試料厚とほぼ等しい環状板を備えて、研磨工具が試料からはみ出した場合もスラリー消費を抑える。
【0011】
また、本発明では、スラリーを強制的に吸引・送出する吸引装置や送出装置を備えて、スラリーの消費をより少なくし、飛散を防止し、循環を促進させる。
【0012】
しかも、循環流路、もしくは吸引配管にフィルタを設けて、切り屑や凝集したスラリーを取り除くことができる。
【0013】
さらには、試料の固定に下記非特許文献2に記載の水膜チャックを使用することでチャック内へのスラリー吸い込みを生じさせない研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、
図4(a)、(b)の第1の実施の形態に示すように、試料2を固定したチャックプレート3と、試料周辺を取り囲み、厚さが試料と同じか、わずかに薄く、小型研磨工具1が試料上を両矢印15の範囲で直線揺動しても、小型工具の外周がはみ出さない外径をもつ、チャックプレート3に固定された環状板14から構成される。
【0015】
さらに、
図5の工具詳細図に示す研磨工具1内には、スラリーが循環する循環流路10の工具中心を通る流路にフィルタ16が設けられている。
図2に示したパッド表面に形成された渦巻き溝7によってスラリー流入孔13に回収されたスラリーは、このフィルタ16を通過し、工具中心から供給されるスラリーと併せて循環流路10を通って、試料面に再度供給されることを特徴としている。
【0016】
図6の工具詳細図に示すように、スラリー流入孔13に回収されたスラリーは、スラリー吸引配管18に連結された吸引装置( 図示せず) によって、工具中心に設置された配管中を吸引スラリー17となって流れ、フィルタ16を通過して、スラリー回収ボックス( 図示せず) に回収される。回収されたスラリーは新しいスラリーと併せられて、スラリー送出装置( 図示せず) によりスラリー供給配管19を通って、工具中心に設置された配管内を供給スラリー9として送り込まれ、循環流路10を通って試料面に再度供給されることを特徴としている。
【0017】
上記第1の実施例では、試料2が1個の場合について示したが、
図7(a)、(b)に示す第2の実施例では、チャック中心に対し7 個の試料2が稠密に配置される。チャックプレート3と研磨工具1は加工量を増加させるために矢印で示すように反対方向に回転させられ、研磨工具は環状板14をはみ出さない両矢印で示す揺動範囲15内で直線揺動させられる。試料2は表面が鏡面に磨かれた平面チャックプレート3上に厚さ1μm 以下の水膜によって固定されている。これらの試料を挿入できるように試料直径よりわずかに大きな7個の穴があいた、高さが試料の厚さに等しいか、もしくはわずかに厚さの薄い円板が、このチャックプレート3に厚さ1μm 以下の水膜、もしくはさらにせん断強度の大きいシリコーン樹脂製、アクリル製、合成ゴム製粘着テープや両面接着テープ20などにより貼り付けられていることを特徴としている。
【0018】
上記環状板14は、その厚さが試料の厚さと等しいか、それより数10μm 〜0 .1mm程度厚さの薄く、その穴径は試料より0.1〜2mm大きいものが使用される。その素材は、試料より加工しにくいセラミックス材料、または金属、および試料に傷を付けにくい無機または有機の樹脂材料などにより作製される。
【0019】
環状板14には、板厚さが研磨対象物よりわずかに厚く工具と台座に挟み込まれることで研磨対象物と厚さが等しくなるような変形しやすい樹脂材料などを用いても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係わる研磨装置においては、試料の回りに試料厚とほぼ等しいか、わずかに厚さの薄い環状板が設置され、研磨工具はこの環状板からはみ出すことなく揺動されるので、スラリーの消費量を大幅に削減できる。また、環状板の厚さが試料と等しいか、わずかに薄いだけなので、試料と環状板のすきまは小さくなり、遠心力によって飛散するスラリーをきわめて少なくでき、飛散による装置の汚れをなくすことができる。
【0021】
研磨工具内に設けられたスラリーを循環させる循環流路やスラリーを吸引する吸引配管にフィルタを設けることにより、研磨による切り屑や凝集スラリーなどを取り除くことができるので、試料の表面粗さを向上できる。
【0022】
一方、従来から使用されてきた真空チャックに変えて、水膜チャックを用いることにより環状板と試料のすきまから浸入するスラリーがチャック内に吸い込まれることがなくなり、チャック面を常時清浄に保つことができるので、薄板を研磨したさいに、ゴミが試料とチャック面間へ挟み込まれることによって生じる研磨ディンプルの発生を防ぐ効果をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)、(b)は従来の小型研磨工具を用いて揺動研磨を行っている研磨装置の一実施例を示す模式図および正断面図である。
【
図2】従来の渦巻き溝と格子溝をもつ研磨パッドを貼った研磨工具の図である。
【
図3】従来の循環流路をもつ研磨工具内部における、中心から外周に向かって放射状に流れ、工具中心に戻るスラリー流れの模式図である。
【
図4】(a)、(b)は本発明の第1の実施形態に係る研磨装置の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るスラリー流れを含む研磨工具の詳細図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るスラリー流れを含む研磨工具の詳細図に、スラリー吸引配管と供給配管を加えた図である。
【
図7】(a)、(b)は本発明の第2の実施形態に係る研磨装置の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図4乃至
図6は、本発明の第1に実施形態を示す。
図4(a)、(b)は、本発明に係わる冷凍ピンチャック装置の第1の実施形態を示す平面図とB−B’断面図である。
図に示すように、試料2と試料厚とほぼ等しいか、もしくは厚さの薄い環状板14をチャックプレート3上に固定し、試料の1/2から2/3の直径をもつ研磨パッド5を貼った研磨工具1を回転揺動しつつ試料を研磨する。揺動範囲は両矢印15で示す範囲であり、環状板14からはみ出ることはない。
【0025】
この研磨工具内には、
図5に示すスラリーが循環する循環流路10が設けられているので、研磨工具中心から供給されるスラリー9は、研磨工具回転による遠心力により研磨工具中心から研磨工具外周に向かって矢印の方向に流れ、スラリー供給孔11から試料2と研磨パッド5の接触面12に供給される。供給されたスラリーは、
図2に示す研磨パッド表面に形成された渦巻き溝7によって研磨工具中心に回収され、スラリー流入孔13を通って循環流路10に戻る。この研磨工具中心の流路にはフィルタ16が設けられているので、切り屑などが除去され、試料2の表面の表面粗さなどを劣化させることはない。
【0026】
図4に示すように研磨工具が試料からはみ出た場合、スラリー供給孔11から試料とパッド面に供給されたスラリーは、研磨工具の遠心力により環状板と研磨工具のすきまを通って研磨工具外に逃げようとするが、すきまが小さいためその量は少なく、ほとんどのスラリーはパッド表面に形成された
図2に示す渦巻き溝により研磨工具中心に回収される。さらに、パッド外周5mmの範囲に溝のない研磨パッドを貼り付けた渦巻き研磨パッドを用いて加工すると、スラリー消費は一層少なくなり、加工速度も向上し、スラリーの飛散も防止できる。
【0027】
一方、
図5の構造に加えて、
図6に示すように工具中心にあるスラリー流入孔13に回収したスラリーを、吸引装置( 図示せず) に繋がる吸引配管に吸引することにより回収するスラリー量を増やし、すきまから流れ出るスラリーをさらに少なくできるので、スラリー消費量を極限まで減らすことができる。
【0028】
同時に、供給配管19から流すスラリーへ内圧をかけることにより循環するスラリーを適度に増量することによってスラリーの循環を促進し、パッド焼き付けのない省エネ型の高速・高圧研磨を実現できる。
【0029】
この時、かける内圧は、すきまから漏れ出るスラリーが増加しない程度に抑え、吸引圧と工具回転速度に応じて制御する必要がある。排出配管18にはフィルタ16が設けられ、切り屑や凝集したスラリーなどを除去するので試料の表面粗さが劣化することはない。このフィルタは砥粒粒度に適合した、スラリーの通過をできるだけ妨げないたものが用いられる。
【0030】
図7(a)、(b)は、本発明に係わる研磨装置の第2の実施形態を示す平面図とB−B’断面図である。
図7は、多数枚の試料を同時に研磨する場合の環状板14の一実施例である。試料は稠密に配置され、研磨工具1との間で互いに相対運動を行いつつ、加圧されて研磨される。試料2と試料直径よりわずかに大きな多数の嵌合穴14aをもつ、高さが試料の厚さに等しいか、もしくはわずかに厚さの薄い環状板14は、チャックプレート3上に水膜( 図示せず) によって固定される。
【0031】
研磨工具中心からスラリーが供給され、研磨が始まるとスラリーは環状板14に開いた嵌合穴14aと試料2のすきまに浸入する。しかし、真空チャックを用いた場合のようにチャック内部や真空配管内部にスラリーが吸い込まれることはなく、すきまに溜まって止まる。予めこのすきまにスラリーが溶け込まない溶液などを満たしておくと、すきまへのスラリー浸入を抑制することもできる。水膜20によって試料の横方向への力を支えきれない場合には、水膜に換えて、さらにせん断強度の大きいシリコーン樹脂製、アクリル製、合成ゴム製粘着テープや両面接着テープなどを用いて貼り付けても良い。また、本実施例では試料を水膜で固定したが、水張りなどの従来の固定方法を利用しても良い。
【0032】
なお、上記実施の形態においては、環状板に7個の嵌合穴を設けたが、この個数は試料数に合わせて設ければ良い。また、試料の形状に応じて矩形、六角形、菱形など自由な形状の穴をもつものを利用しても良い。
同様に、上記実施の形態1,2においては、円形のチャックプレート3を設けたが、矩形、楕円等のチャックプレートを設けても良い。また、上記実施例においては、スラリーの吸引配管側にフィルタを設けたが、送出配管側に設けても良い。
【0033】
上記実施の形態においては、直線揺動の例について示したが、円弧揺動など、どのような揺動にも適用でき、研磨工具の揺動範囲が環状板をはみ出さなければ良い。また、試料は薄板の場合について示したが、厚板やブロックなどにも適用でき、そのさいは環状板内に試料を載置するだけでも良い。さらに、上記実施例では、試料と工具が互いに回転する場合について示したが、工具だけが回転する装置について適用しても良い。
【符号の説明】
【0034】
1…研磨工具、2…試料、3…チャック、4…揺動テーブル、5…研磨パッド、6…揺動方向、7…渦巻き溝、8…格子溝、9…供給スラリー、10…循環流路、11…スラリー供給孔、12…試料と研磨パッドの接触面、13…スラリー流入孔、14…環状板、15…揺動範囲、16…フィルタ、17…吸引スラリー、18…スラリー吸引配管、19…スラリー供給配管
【要約】 (修正有)
【課題】多量のスラリーを無駄に捨てることがなく、スラリー飛散により装置を汚すこともなく、切り屑なども一緒に循環させることによる試料の表面粗さの劣化を防ぎ、さらに、試料を吸着固定する真空チャックによる真空吸引によってスラリーがチャック内に浸透しチャック表面を汚したり真空配管を詰まらせたりするなどの欠点を解決する、高速研磨工具を提供する。
【解決手段】研磨工具1面に貼り付けた研磨パッド5表面に渦巻き溝を形成し、研磨工具内にスラリーの循環流路をもつ小型工具を回転し、揺動テーブル上に設置した真空チャックに固定した試料を研磨する研磨装置において、試料周辺を取り囲み、厚さが試料と同じか、わずかに薄く、研磨工具1が試料上を揺動しても、研磨工具1外周がはみ出さない直径をもつ環状板14を設けることによって、研磨工具1はみ出し時のスラリーの大量消費と飛散を防止することを可能にした。
【選択図】
図4