特許第5919793号(P5919793)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5919793
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/66 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   B41J11/66
【請求項の数】3
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2011-274010(P2011-274010)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-123856(P2013-123856A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】西出 陽子
(72)【発明者】
【氏名】上田 知昭
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−265138(JP,A)
【文献】 特開2004−160855(JP,A)
【文献】 実開平02−066537(JP,U)
【文献】 特開平04−008381(JP,A)
【文献】 特開2006−030545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00−11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収容し得る給紙部と、前記給紙部から用紙搬送路に沿って供給された前記用紙にプリント処理を行う印刷部と、前記印刷部と排出口との間に配置され且つ前記用紙を用紙幅方向に切断可能な横切断部と、前記横切断部と前記排出口との間に配置され且つ前記用紙を当該用紙の搬送方向に切断して用紙幅方向に分割可能な縦切断部とを備えたプリンタであって、
前記縦切断部が、前記用紙を厚み方向に挟み得る縦切断要素を保持し且つ用紙搬送方向に沿って正逆回転可能な回転部を備えたものであり、
少なくとも横切断部によって切断され且つ前記縦切断要素を通過した用紙片を、前記回転部の正逆回転を利用して揺する揺動手段と、
前記縦切断要素を通過した前記用紙片を前記排出口に向かって案内可能な排出ガイド部とをさらに備え
前記排出ガイド部を前記回転部に固定した状態で配置し、前記回転部の正逆回転に伴って前記排出ガイド部が揺動するように構成していることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記縦切断部が、用紙幅方向の分割数、分割ピッチ、又は前記分割数及び分割ピッチがそれぞれ異なる複数の前記縦切断要素と、これら複数の縦切断要素のうち前記用紙搬送路上に位置付ける縦切断要素を切替可能な切替機構とを備え、
前記切替機構が、前記回転部を備え、この回転部の回転動作に伴って前記複数の縦切断要素のうち前記用紙搬送路上に位置付ける縦切断要素を切り替えるものである請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記切替機構が、前記回転部の近傍における所定の検知箇所に固定され且つ前記回転部と同期して回転可能な検知対象部を検知した際にON状態となるセンサ部を備えたものであり、前記揺動手段は、前記センサ部がON状態と前記検知対象部を検知しないOFF状態との間で切り替わるように前記回転部を正方向に回転させる正方向回転処理と、前記センサ部がON状態とOFF状態との間で切り替わるように前記回転部を逆方向に回転させる逆方向回転処理とを交互に行うように構成したものである請求2に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、特に用紙を用紙搬送方向に切断して用紙幅方向に分割可能なプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ロール状に巻回した用紙を給紙部から印刷部に供給し、印刷部により用紙に対してプリント処理を施し、プリント処理済みの用紙を用紙幅方向に切断(横切断)できるとともに、用紙の搬送方向にも切断(縦切断)可能に構成されたプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、用紙を縦切断する構成として、用紙を厚み方向に挟み得る位置に第一の回転刃及び第二の回転刃をそれぞれ搬送方向に回転可能に配置し、これら回転刃同士を相互に接触可能な位置に設定することによって用紙を搬送方向に2分割に切断可能な技術が開示されている。
【0003】
また、本出願人は、用紙幅方向の分割数や分割ピッチを、例えばプリンタ内部に作業者や作業ロボットがアクセスして構成品の配置調整を行うというような煩雑な作業を要することなく、プリンタ内で機械的に変更可能な縦切断部を備えたプリンタを案出し、特許出願している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−111999号公報
【特許文献2】特願2011−150369号出願明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような用紙を用紙搬送方向に切断して用紙幅方向に分割可能な縦切断部を横切断部と排出口との間に配置した場合、横切断部によって用紙幅方向に切断された用紙片が排出口に到達するまでの距離が、少なくとも縦切断部の配置スペース分だけ長くなり、用紙片が用紙ガイド片などプリンタ内の機構部品に接触する時間や、内部機構部品に対して接触した状態と接触状態から離れた状態とを繰り返す回数も多くなるため、静電気を帯び易くなる。
【0006】
その結果、用紙片が排出口に到達するまでにプリンタ内の部材に静電気で付着し、排出口まで到達せずにプリンタ内で詰まってしまう事態が想定される。
【0007】
また、少なくとも横切断部によって用紙幅方向に切断された用紙片が、プリンタの内部機構部品に引っ掛かったり、用紙片のうち排出口側の端部が内部機構部品に接触せず自由端(宙ぶらりん状態)となり、横切断部で切断された箇所及び横切断部で切断された箇所よりも排出口側の所定箇所がそれぞれ異なる内部構成部品に接触して用紙片全体がバランスをとった姿勢で停留してしまう事態も想定される。
【0008】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、用紙を用紙搬送方向に切断して用紙幅方向に分割可能な縦切断部を横切断部と排出口との間に配置したプリンタにおいて、横切断部で切断された用紙片がプリンタ内で詰まったり、静電気で内部機構部品に付着したり、あるいはバランスをとった姿勢で停留してしまう事態を防止・抑制することが可能なプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、用紙を収容し得る給紙部と、給紙部から用紙搬送路に沿って供給された用紙にプリント処理を行う印刷部と、横切断部と排出口との間に配置され且つ用紙を用紙の搬送方向(以下、「用紙搬送方向」とする)に切断して用紙幅方向に分割可能な縦切断部とを備えたプリンタに関するものである。
【0010】
ここで、本発明において、「用紙搬送路に沿って用紙を用紙の搬送方向に切断」する縦切断部は、「用紙搬送路に沿って搬送される用紙(搬送中の用紙)を用紙の搬送方向に切断する」もの、又は「停止している用紙に対して用紙搬送路に沿って移動することによって用紙を用紙の搬送方向に切断する」ものの何れのタイプであってもよい。すなわち、本発明の縦切断部は、縦切断処理時に用紙搬送路に沿って移動しない構成又は移動する構成の何れであってもよい。また、例えば用紙を用紙幅方向に2分割する場合には「用紙幅方向の分割数」は当然のことながら2であり、用紙を用紙幅方向に3以上の整数に分割する場合には「用紙幅方向の分割数」は3以上の整数であることは言及するまでもないが、本発明では、用紙を用紙幅方向に分割しない場合、言い換えれば1分割であれば分割数は1であると捉えるものとする。また、本発明のプリンタは、熱転写プリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどの各種プリンタを包含し、印刷部によるプリント処理方式を特に限定するものではない。
【0011】
そして、本発明に係るプリンタは、縦切断部として、用紙を厚み方向に挟み得る縦切断要素を保持し且つ用紙搬送方向に沿って正逆回転可能な回転部を備えたものであり、少なくとも横切断部によって切断され且つ縦切断要素を通過した用紙片を回転部の正逆回転を利用して揺する揺動手段と、縦切断要素を通過した用紙片を排出口に向かって案内可能な排出ガイド部とをさらに備え、排出ガイド部を回転部に固定した状態で配置し、回転部の正逆回転に伴って排出ガイド部が揺動するように構成していることを特徴としている。
【0012】
ここで、本発明における「用紙幅方向の分割数」には、上述したように用紙を用紙幅方向に分割しない場合「1分割」も含み、この場合、縦切断要素は切断機能を発揮し得ないものである。また、「少なくとも横切断部によって切断され且つ縦切断要素を通過した用紙片」とは、縦切断部が用紙を用紙幅方向に複数分割可能なものである場合には、横切断部により切断されて縦切断要素を通過した用紙片は、用紙幅方向及び用紙搬送方向に切断されたものであり、縦切断部が用紙を用紙幅方向に分割しないものである場合には、横切断部により切断されて縦切断要素を通過した用紙片は、用紙幅方向にのみ切断されたものである。さらに、「正逆回転可能な回転部」は、縦切断部の一部として機能する場合には設計上や制御上の理由などにより用紙搬送方向に沿って一方向にのみ回転するように構成し、揺動手段の一部として機能する場合にのみ用紙搬送方向に正逆回転可能に構成したものであってもよい。もちろん、縦切断部の一部として機能する場合にも用紙搬送方向に沿って正逆回転可能に構成した回転部であっても構わない。
【0013】
そして、横切断部と排出口との間に縦切断部を配置したプリンタであれば、縦切断部の配置スペース分だけ横切断部と排出口との間の用紙搬送距離が長くなり、そのために、用紙片が静電気や搬送姿勢に起因してプリンタ内で引っ掛かったり、バランスをとった姿勢で停留することが起こり得るが、上述した構成を有する本発明のプリンタであれば、少なくとも横切断部で切断され且つ縦切断要素を通過した用紙片を、回転部の正逆回転を利用した揺動手段によって積極的に揺すり動かすことができ、用紙片の引っ掛かりや停留を防止・抑制することができ、用紙片を排出口から機外にスムーズ且つ適切に排出することが可能になる。しかも、本発明のプリンタでは、縦切断部を構成する回転部を用いて揺動手段を構成しているため、縦切断部とは別に専用の部材を用いて揺動手段を構成する態様と比較して、部品の共用化及び構造の簡素化を実現することができるとともに、横切断部と排出口との間に縦切断部を配置するスペースさえ確保すれば揺動手段を実装することができ、横切断部と排出口との間の用紙搬送距離をいたずらに長くなる事態を回避することが可能である。したがって、揺動手段を設けるために、横切断部と排出口との間の用紙搬送距離が必要以上に長くなってしまい、用紙片に静電気がより一層帯電し易い環境を形成してしまう事態を避けることができる。
【0014】
また、本発明のプリンタでは、縦切断部として、用紙幅方向の分割数、分割ピッチ、又は分割数及び分割ピッチがそれぞれ異なる複数の縦切断要素と、これら複数の縦切断要素のうち用紙搬送路上に位置付ける縦切断要素を切替可能な切替機構とを備えたものを適用することができる。本発明における複数の縦切断要素の組み合わせパターンとしては、用紙幅方向の分割数のみがそれぞれ異なる第1パターン、分割ピッチのみがそれぞれ異なる第2パターン、用紙幅方向の分割数と分割ピッチの両方が異なる第3パターンを挙げることができる。したがって、用紙幅方向の分割数が異なる縦切断要素の組み合わせのみならず、用紙幅方向の分割数は同一でも分割ピッチが異なる縦切断要素の組み合わせや、3つ以上の縦切断要素を備えている場合において1つの縦切断要素を除く2つの縦切断要素による用紙幅方向の分割数は同一であってもそれら2つの縦切断要素による分割ピッチが異なるという縦切断要素の組み合わせも本発明に含まれる。このような縦切断部を適用する場合、切替機構が回転部を備え、この回転部の回転動作に伴って複数の縦切断要素のうち用紙搬送路上に位置付ける縦切断要素を切り替えるものであることが好ましい。
【0015】
このように、複数の縦切断要素と切替機構とを備えた縦切断部を適用すれば、切替機構を構成する回転部の回転動作によって、複数の縦切断要素のうち用紙搬送路上に位置付ける1つの縦切断要素を切り替えることができ、複数パターンから選択した任意の分割数や分割ピッチで用紙を用紙幅方向に切断することが可能になる。したがって、用紙幅方向の分割数や分割ピッチを変更する際に、例えば作業者などがプリンタ内部にアクセスして内部構成品の配置や構成を変更するという煩雑な作業を要することなく、実用性に優れたプリンタを実現することができる。そして、このような実用性に優れたプリンタを実現するために採用した回転部を正逆回転させることで用紙片を強制的に揺する揺動手段を構成している点で、本発明は無駄を省いた効率の良い設計を採用しているといえる。
【0016】
また、本発明のプリンタにおいて、前述の切替機構が、回転部の近傍における所定の検知箇所に固定され且つ回転部と同期して回転可能な検知対象部を検知した際にON状態となるセンサ部を備えたものであれば、揺動手段は、センサ部がON状態と検知対象部を検知しないOFF状態との間で切り替わるように回転部を正方向に回転させる正方向回転処理と、センサ部がON状態とOFF状態との間で切り替わるように回転部を逆方向に回転させる逆方向回転処理とを交互に行うように構成したものであればよい。
【0017】
ここで、検知対象部は、回転部と同期して回転可能なものであればよく、回転部に直接付帯させたものであってもよいし、回転部に他の部材を介して間接的に付帯させたものであっても構わない。また、正方向回転処理及び逆方向回転処理を交互に行う回数は特に限定されず、プリンタの仕様や用紙の種類などに応じてその回数を適宜設定することができる。さらに、正方向回転処理及び逆方向回転処理は、それぞれ少なくともセンサ部がON状態とOFF状態との間で一回は切り替わるように回転部を正方向または逆方向に回転させればよく、例えばセンサ部がON状態、OFF状態の順で切り替わることによって各回転処理開始時におけるセンサ部の検知状態と、各回転処理終了時におけるセンサ部の検知状態が相互に異なるように回転部の回転角度を設定したり、あるいは、例えばセンサ部がON状態、OFF状態、ON状態の順で切り替わることによって各回転処理開始時におけるセンサ部の検知状態と、各回転処理終了時におけるセンサ部の検知状態が同じになるように回転部の回転角度を設定することも可能である。また、「正方向」と「逆方向」は文字通り相互に異なる方向であり、用紙搬送路に沿って正逆回転な回転部の回転方向のうち、用紙搬送路に沿って用紙を排出口側に搬送可能な方向を「正方向」とした場合には、用紙搬送路に沿って用紙を印刷部側に送り戻し得る方向が「逆方向」となり、用紙搬送路に沿って用紙を印刷部側に送り戻し得る方向を「正方向」とした場合には、用紙搬送路に沿って用紙を排出口側に搬送可能な方向が「逆方向」となる。
【0018】
このような構成であれば、用紙片を揺するために正逆方向に回転させる回転部の回転角度範囲(「揺動角度範囲」と捉えることができる)を、検知対象部自体のサイズや回転部に対する検知対象部の相対位置で決定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、用紙を用紙搬送方向に切断して用紙幅方向に分割可能な縦切断部を横切断部と排出口との間に配置したプリンタにおいて、横切断部と排出口との間に、縦切断部を構成する回転部の正逆回転を利用した揺動手段を配置しているため、横切断部で切断された用紙片を揺動手段で強制的に揺することができ、用紙片がプリンタ内で詰まったり、静電気で内部機構部品に付着したり、あるいはバランスをとった姿勢で停留してしまう事態を防止・抑制することが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの全体構成模式図。
図2】同実施形態に係るプリンタに適用した縦切断部の模式図。
図3】同縦切断部を排出口側から見た図。
図4図3のA方向矢視図。
図5図3のB−B線断面図。
図6図3のC−C線断面図。
図7図3の一部を省略して示す模式図。
図8】同実施形態における第1サブシャフトを有する縦切断要素の模式図。
図9】同実施形態における第2サブシャフトを有する縦切断要素の模式図。
図10】同実施形態における第3サブシャフトを有する縦切断要素の模式図。
図11】同実施形態における縦切断部の全体概略図。
図12図3のB−B線よりも外側方の所定箇所における断面模式図。
図13】同実施形態におけるセンサ部の検知状態とサブシャフトとの関係を示す図。
図14】同実施形態における縦切断処理直前の状態を図6に対応して示す図。
図15】同実施形態における排出処理直前の状態を図14に対応して示す図。
図16】同実施形態において用紙片がバランスをとった姿勢でプリンタ内に滞留した状態を図15に対応して示す図。
図17】同実施形態における揺動手段の正方向回転処理終了時点の状態を図12に対応して示す図。
図18】同実施形態における揺動手段の逆方向回転処理終了時点の状態を図12に対応して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係るプリンタPは、図1に示すように、用紙Sに対してインクリボン23のインクを熱転写によって昇華プリント処理を行う昇華型プリンタである。この昇華型プリンタPは、図1に示すように、給紙部1と、給紙部1から供給された用紙Sの表面に対して昇華プリント処理を施す印刷部2と、排出口31を有する排出部3と、用紙Sを給紙部1と排出部3との間に形成される用紙搬送路R(搬送パス)に沿って搬送する用紙搬送機構4とを備えたものである。なお、この昇華型プリンタPは、少なくとも給紙部1、印刷部2、及び用紙搬送機構4を共通の筐体内に設け、排出部3を構成する排出口31や排出トレイ32を筐体外へ露出可能に構成している。
【0023】
給紙部1は、印刷面を内側に向けてロール状に巻回した用紙Sを収容し得るものである。
【0024】
このような給紙部1と排出部3との間で用紙Sを搬送する用紙搬送機構4は、図1に示すように、例えば給紙部1側から排出部3側に向かって順に配置された給紙側送りローラ41と第1ピンチローラ42との組、フィードローラ43と第2ピンチローラ44との組、排出側送りローラ45を用いて構成したものである。なお、ローラ自体の数、或いはローラとピンチローラとの組数や配置箇所は仕様等に応じて適宜設定することができる。
【0025】
印刷部2は、図1に示すように、サーマルヘッド21と、このサーマルヘッド21と対向する位置に配置され且つサーマルヘッド21との間で用紙Sを挟み用紙搬送機構4の機能の一部を担うプラテンローラ22と、インクリボン23と、インクリボン23をサーマルヘッド21とプラテンローラ22との間に搬送するインクリボン搬送機構24とを備えた周知のものである。
【0026】
排出部3は、図1に示すように、排出口31と、排出口31から排出された用紙Sを受け取って収納する排出トレイ32とを備え、印刷部2により所望のプリント処理が施された用紙Sを所定サイズに切断したカット紙(用紙片Sa)として排出口31から筐体外に排出し、排出トレイ32上に積み重ねた状態で載置し得るものである。また、排出部3は、排出口31よりも印刷部2側に、用紙Sを排出口31に向かって搬送する排出ローラ33と排出用ピンチローラ34との組を配置している(図2等参照)。本実施形態では、これら排出ローラ33及び排出用ピンチローラ34を後述する縦切断部6を構成する軸(メインシャフト66、サブシャフト64)に取り付けている。
【0027】
そして、本実施形態に係るプリンタPは、用紙搬送路R上において印刷部2よりも排出口31側に配置され且つ用紙Sを用紙幅方向に切断可能な横切断部5と、用紙搬送路R上において横切断部5よりも排出口31側に配置され且つ用紙Sを用紙Sの搬送方向(用紙搬送方向T)に切断して幅方向に分割可能な縦切断部6とを備えている。本実施形態では、給紙部1、印刷部2、排出部3、用紙搬送機構4、横切断部5、及び縦切断部6の作動を図示しない制御部によって制御している。
【0028】
横切断部5は、図1に示すように、用紙Sの印刷面(オモテ面)側に配置した第1カッタ51と、用紙Sの背面(ウラ面)側に固定配置した第2カッタ52とを備え、制御部の制御に従って第1カッタ51を第2カッタ52に摺動させて用紙幅方向に走査させることで、用紙Sを用紙幅方向に切断するものである。本実施形態では、プリント処理を施した用紙Sを用紙搬送方向Tに沿って各プリント画面の境界ごとにできるように、制御部の制御に従って、横切断部5による用紙Sの分割数や分割ピッチを変更可能に構成している。
【0029】
縦切断部6は、図2乃至図6に示すように、(図2図1で示す縦切断部6の拡大模式図であり、図3は縦切断部6を排出口31側から見た図であり、図4図5図6はそれぞれ図3のA方向矢視図、図3のB−B線断面図、図3のC−C線断面図である。)用紙Sを幅方向に分割する数又は分割ピッチが相互に異なる複数の縦切断要素61と、これら複数の縦切断要素61のうち用紙搬送路R上に配置する縦切断要素61を切替可能な切替機構62とを備え、切替機構62によって用紙搬送路R上に位置付けた縦切断要素61により用紙Sを用紙搬送方向Tに切断可能なものである。
【0030】
各縦切断要素61は、それぞれ用紙幅方向の分割数に応じた数のサブ回転刃63を一体回転可能に設けたサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、又は第3サブシャフト64C)と、サブ回転刃63との間で用紙Sを用紙Sの厚み方向に挟み得るメイン回転刃65を縦切断処理時にサブ回転刃63の一部と軸方向Xに重なり得る位置に設けたメインシャフト66とを備えたものである。ここで、「用紙幅方向の分割数に応じた数のサブ回転刃63」とは、「用紙幅方向の分割数(分割しない場合は「1分割=分割数1」と捉える)から1を引いた数のサブ回転刃63」を意味する。
【0031】
本実施形態の縦切断部6は、図2及び図7図7図3を一部省略して示す模式図である)等に示すように1つのサブ回転刃63を有して用紙Sを用紙幅方向に2分割可能な第1サブシャフト64Aと、軸方向Xに沿って所定の間隔で配置した2つのサブ回転刃63を有して用紙Sを用紙幅方向に3分割可能な第2サブシャフト64Bと、サブ回転刃63を備えず、用紙Sを分割しない(言い換えれば1分割可能な)第3サブシャフト64Cとを備えている。各サブ回転刃63は、外周縁に刃を形成した概略円盤状をなすものである。第1サブシャフト64Aにおける1つのサブ回転刃63の取付位置は、例えば用紙Sを用紙幅方向に均等に2分割し得る位置である。第2サブシャフト64Bにおける2つのサブ回転刃63の取付位置は、例えば用紙Sを用紙幅方向に均等に3分割し得る位置である。なお、用紙Sを用紙幅方向に不均等に分割し得る位置にサブ回転刃63を設けることも可能である。各サブ回転刃63はそれぞれ各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B)に一体回転可能に取り付けられている。また、各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)には、サブ回転刃63と干渉しない位置(サブ回転刃63と軸方向Xに所定の空隙64Sを確保した位置)に排出用ピンチローラ34を一体回転可能に設けている。サブ回転刃63と同軸上に設けた排出用ピンチローラ34は、例えばゴム製であり、本実施形態では、排出用ピンチローラ34の直径を各サブ回転刃63の直径よりも僅かに小さく設定している。ここで、図8にメインシャフト66と第1サブシャフト64Aとの関係を模式的に示し、図9にメインシャフト66と第2サブシャフト64Bとの関係を模式的に示し、図10にメインシャフト66と第3サブシャフト64Cとの関係を模式的に示す。
【0032】
本実施形態の縦切断部6は、これら複数のサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)を備える一方で、メインシャフト66は1つだけ備えたものである。すなわち、縦切断要素61毎にサブシャフト64を異ならせているものの、全ての縦切断要素61におけるメインシャフト66は共通であり、このメインシャフト66には、各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)に設けたサブ回転刃63にそれぞれ対応する位置にメイン回転刃65を設けている(図3図7乃至図10参照)。具体的には、メインシャフト66には、第1サブシャフト64Aのサブ回転刃63(1つ)に対応する位置にメイン回転刃65を設けるとともに、第2サブシャフト64Bのサブ回転刃63(2つ)に対応する位置にもメイン回転刃65を設けている。すなわち、メインシャフト66には、その軸方向Xに所定の間隔(等ピッチか不等ピッチかはサブ回転刃63の位置に依存する)で計3つのメイン回転刃65を一体回転可能に設けている。各メイン回転刃65は、外周部に刃を形成した概略円盤状をなすものである。また、図7乃至図9に示すように、各メイン回転刃65の外周縁に形成した刃が、メインシャフト66のうちそれぞれ対応するサブ回転刃63の刃と軸方向Xにほぼ隙間無く重なり得る位置に取り付けている。また、メインシャフト66には、メイン回転刃65と干渉しない位置(メイン回転刃65との間に軸方向Xに所定の空隙66Sを確保した位置)に、用紙Sを排出口31に向かって搬送する排出ローラ33を一体回転可能に設けている。メイン回転刃65と同軸上に設けた排出ローラ33は、例えばゴム製であり、本実施形態では、排出ローラ33の直径を各メイン回転刃65の直径よりも僅かに小さく設定している。ここで、用紙搬送路R上において用紙Sを排出口31に向かって搬送する排出ローラ33と、排出ローラ33に用紙Sを介して圧接した状態において排出ローラ33の回転駆動に従動して回転する排出用ピンチローラ34は、排出部3の機能の一部を担うとともに、用紙搬送機構4の機能の一部も担っている。
【0033】
そして、本実施形態に係るプリンタPでは、図3及び図11図11図4のD方向矢視図である)等に示す様に、これら複数のサブシャフト64及びメインシャフト66の両端部をそれぞれ共通の回転プレート6Pに取り付けてユニット化している。以下、複数のサブシャフト64及びメインシャフト66の両端部を共通の回転プレート6Pに取り付けてユニット化したものを回転ユニット体6Uと称する。この回転ユニット体6Uは、3つのサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)を、単一のメインシャフト66の外周側において周方向に等間隔(120度)となり得る位置に配置した状態で回転プレート6Pに取り付けたものである(図2等参照)。ここで、本実施形態では、各サブシャフト64の軸方向Xとメインシャフト66の軸方向Xとを全て平行に設定している。そして、メインシャフト66を中心に回転プレート6Pを回転させることによって、用紙搬送路R上に配置されるサブシャフト64を変更可能に構成している。本実施形態では、用紙搬送路R上で搬送される用紙Sの下側にメインシャフト66を用紙搬送路Rに沿って移動不能(定点配置)とし、このメインシャフト66との間に用紙Sを厚み方向に挟む位置、つまり用紙搬送路R上で搬送される用紙Sの上側に配置されるサブシャフト64を選択可能に構成している。縦切断部6は、回転プレート6Pの両外側方に左右一対の固定プレート6Fを配置し、この固定プレート6F同士の間に配置した回転ユニット体6Uを固定プレート6Fに対して回転可能に構成している。
【0034】
このように縦切断要素61毎にサブシャフト64を異ならせる一方で、全ての縦切断要素61におけるメインシャフト66を共用可能に設定した本実施形態において、上述した切替機構62は、複数のサブシャフト64のうち用紙搬送路R上に配置するサブシャフト64を切替可能なものであると捉えることができる。
【0035】
また、本実施形態のプリンタPは、印刷部2から排出口31に向かって搬送される用紙Sのオモテ面に、用紙搬送路R上に配置したサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)よりも先に接触してメインシャフト66の排出ローラ33との間で用紙Sを挟み得るタッチローラ67を備えている。本実施形態では、タッチローラ67をサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)に対応付けて配置し、タッチローラ回転軸68の軸方向Xとサブシャフト64の軸方向Xと平行に設定している。なお、メインシャフト66、サブシャフト64及びタッチローラ回転軸68の軸方向Xは用紙Sの幅方向と一致する。本実施形態では、タッチローラ回転軸68をタッチローラ保持体6Hに支持させた状態で、このタッチローラ保持体6Hを各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)のうち回転プレート6PよりもプリンタPの幅方向内側における所定領域に取り付け、タッチローラ保持体6Hも各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)と共に回転プレート6Pの回転に伴ってメインシャフト66を中心に周方向に移動するように構成している。すなわち、本実施形態の回転ユニット体6Uは、タッチローラ67もユニット化したものであるといえる。そして、メインシャフト66を中心に回転プレート6Pを回転させることによって、用紙搬送路R上に配置されるサブシャフト64を変更した場合に、そのサブシャフト64にタッチローラ保持体6Hを介して付帯させたタッチローラ67が、用紙搬送路R上においてサブシャフト64よりも用紙搬送方向Tの上流側に配置されるように構成している。
【0036】
さらに、本実施形態のプリンタPは、用紙搬送路R上に位置付けられたサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)とメインシャフト66との間を通過した用紙Sが搬送路Rに沿って排出口31に到達し得るように用紙Sを排出口31に向かって案内可能な排出ガイド部35を備えている。本実施形態のプリンタPは、サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)と同数の排出ガイド部35を備え、回転プレート6Pの周方向に等間隔で配置したサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)同士の間にそれぞれ排出ガイド部35を設けている。排出ガイド部35は、高さ方向に対向する下側排出ガイド片36及び上側排出ガイド片37を用いて構成したものである。各排出ガイド部35の下側排出ガイド片36や上側排出ガイド片37は、左右一対の回転プレート6P同士の間に固定した状態で配置されている。このことから、本実施形態の回転ユニット体6Uは、排出ガイド部35もユニット化したものであるといえる。
【0037】
このように、本実施形態の縦切断部6は、縦切断要素61及び切替機構62のみならず、タッチローラ67や排出ガイド部35もユニット化しており、切替機構62によって用紙搬送路R上に配置されるサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)を変更した場合に、そのサブシャフト64に対応付けて設けたタッチローラ67や排出ガイド部35が、用紙搬送路R上に位置付けられるように構成している。
【0038】
切替機構62は、図5等に示すように、各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)の端部を支持する回転プレート6Pと、回転プレート6Pを回転させる動力を出力するプレート回転用駆動源621と、プレート回転用駆動源621と回転プレート6Pに付帯させた入力ギア622との間に介在させた複数のギアからなる動力伝達機構623とを備え、制御部からの指令に従って、プレート回転用駆動源621の動力により回転プレート6Pを所定角度回転させて、用紙搬送路R上に位置付けるサブシャフト64を切り替えるものである。本実施形態ではプレート回転用駆動源621として例えばDCモータ(好ましくはエンコーダ機能付きステッピングモータ)を適用している。
【0039】
また、切替機構62は、図3図4及び図11等に示すように、回転プレート6Pの回転位置(回転角度)を検出する例えば光学センサなどを用いて構成したセンサ部6Sを備え、センサ部6Sによる検知信号に基づいて得られる回転プレート6Pの回転位置情報によって回転プレート6Pの回転動作(回転させるか或いは停止させるか)を制御可能に設定している。
【0040】
本実施形態では、図4及び図11等に示すように、左右一対の回転プレート6Pのうち何れか一方の回転プレート6Pよりも外側方に上述の入力ギア622を配置し、この入力ギア622の外側面に、入力ギア622及び回転プレート6Pと一体回転可能な第2回転プレート6V(本発明の「回転部」に相当)を付帯させている。この第2回転プレート6Vは入力ギア622と一体に形成したものであってもよいが、本実施形態では、入力ギア622とは別体の第2回転プレート6Vを採用している。本実施形態の縦切断部6は、概略円盤状をなす第2回転プレート6Vのうち、サブシャフト64の取付位置に対応する箇所に遮蔽部6W(本発明の検知対象部に相当)を形成し、この遮蔽部6Wの存在をセンサ部6Sで検知したか否かによって第2回転プレート6Vの回転位置(回転角度)を検出できるように構成している。ここで、第2回転プレート6Vは入力ギア622の回転に伴って上述の回転プレート6Pの回転動作と全く同じ回転動作(回転方向、回転角度)を行うものである。したがって、回転プレート6Pと同期して回転する第2回転プレート6Vの回転角度を把握することによって、回転プレート6Pの回転角度を把握することができる。このような第2回転プレート6Vは、回転プレート6Pの回転角度情報を得るためにセンサ部6Sで検出可能な遮蔽部6Wを有するポジションプレートとして機能する。
【0041】
遮蔽部6Wは、第2回転プレート6Vのうち平滑な外向き面よりも外側方(メインシャフト66やサブシャフト64の軸方向Xに沿って外方)に突出させた板状をなし、本実施形態では、第2回転プレート6Vに一体に形成している。なお、遮蔽部6Wとして、板状以外の形状のものを適用したり、第2回転プレート6Vとは別体の部品から形成して第2回転プレート6Vに一体的に取り付けたものを適用することもできる。本実施形態では、図12(同図は、図3のB−B線よりもさらに外側方に寄った位置における断面模式図であり、切断面のハッチング処理を省略している)に示すように、第2回転プレート6Vのうち第1サブシャフト64Aの取付位置に対応する箇所と、第2回転プレート6Vのうち第2サブシャフト64Bの取付位置に対応する箇所にそれぞれ遮蔽部6Wを設けている。したがって、第2回転プレート6Vには、第2回転プレート6Vの周方向(回転方向)に120度離間した位置に計2つの遮蔽部6Wを配置していることになる。このような遮蔽部6Wは、第2回転プレート6Vの回転動作に伴って円状の軌跡を描きながらセンサ部6Sを通過し得る。
【0042】
センサ部6Sは、図3図11及び図12に示すように、第2回転プレート6Vの径方向と同一方向に離間した位置に配置され且つ相互に向き合う投光部62Sa及び受光部62Sbを備え、受光部62Sbが投光部62Saからの光を受光している場合に、投光部62Saと受光部62Sbとの間に遮蔽部6Wが存在していないことを示すOFF状態となり、受光部62Sbが投光部62Saからの光を受光できなくなった場合に、投光部62Saと受光部62Sbとの間に遮蔽部6Wが存在していることを示すON状態となるものである。すなわち、本実施形態のセンサ部6Sは、ポジショニングセンサ(ポジションセンサ)を用いたものである。
【0043】
本実施形態では、センサ部6Sを、メインシャフト66やサブシャフト64の軸方向Xにおいて第2回転プレート6Vと対向する上述の固定プレート6Fに設けている。ここで、本実施形態では、左右一対の固定プレート6Fによって回転ユニット体6Uを回転可能に支持しており、これら左右一対の固定プレート6Fのうち第2回転プレート6Vと対向する固定プレート6Fにのみセンサ部6Sを固定している。具体的には、図4等に示すように、第2回転6Vに対面する固定プレート6Fのうち、何れかのサブシャフト64が用紙搬送路R上に位置付けられた場合にそのサブシャフト64に対応付けて設けた遮蔽部6Wを投光部62Saと受光部62Sbとの間に位置付けることができる位置(第1検知位置)と、この第1検知位置から回転ユニット体6U(第2回転プレート6V)の回転方向(例えば用紙Sを排出口31に向かって搬送可能な方向)に120度変位させた位置(第2検知位置)にそれぞれ1つずつ固定している。以下の説明では、第1検知位置に配置したセンサ部6Sを第1センサ部6S(i)とし、第2検知位置に配置したセンサ部6Sを第2センサ部6S(ii)とする。
【0044】
そして、本実施形態では、第1サブシャフト64A及び第2サブシャフト64Bに対応付けて遮蔽部6Wを設ける一方、第3サブシャフト64Cに対応付けて遮蔽部6Wを設けていないため、第1センサ部6S(i)及び第2センサ部6S(ii)のON状態、OFF状態の組み合わせによって、図13に示すように、用紙搬送路R上に位置付けられたサブシャフト64の種類を判別することができる。つまり、第1センサ部6S(i)及び第2センサ部6S(ii)の両方がON状態であれば用紙搬送路R上に位置付けられたサブシャフト64は第1サブシャフト64Aであると判別することができ、第1センサ部6S(i)がON状態であり、第2センサ部6S(ii)がOFF状態であれば用紙搬送路R上に位置付けられたサブシャフト64は第2サブシャフト64Bであると判別することができ、第1センサ部6S(i)がOFF状態であり、第2センサ部6S(ii)がON状態であれば用紙搬送路R上に位置付けられたサブシャフト64は第3サブシャフト64Cであると判別することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るプリンタPは、複数の縦切断要素61のうち用紙搬送路R上に位置付けられる縦切断要素61のサブシャフト64をメインシャフト66側に押圧して、当該サブシャフト64に設けた排出用ピンチローラ34をメインシャフト66に設けた排出ローラ33に圧接させる押圧部7(図5参照)と、複数のサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)のうち用紙搬送路R上に位置付けられていないサブシャフト64(例えば第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)をメインシャフト66から離間する方向に移動させてこれらのサブシャフト64(第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)に設けた排出用ピンチローラ34と排出ローラ33との圧接状態を解除する圧接状態解除部8(図2参照)とを備えている。
【0046】
本実施形態では、図2に示すように、回転プレート6Pのうち各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)の端部を取り付けて支持する部分にメインシャフト66の径方向に延びる長孔671をそれぞれ形成し、この長孔671に各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)の端部を挿通させ、長孔671内において各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)がメインシャフト66の径方向に移動し得るように構成している。なお、長孔671を挿通した各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)の端部にはそれぞれベアリング641を取り付けて、各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)が長孔671から抜け外れることを防止している(図5参照)。
【0047】
また、本実施形態に係るプリンタPは、メインシャフト66を中心に回転する回転プレート6Pに支持された各サブシャフト64の回転軌跡上に、用紙搬送路R上に配置されるサブシャフト64の位置を長孔671に沿ってメインシャフト66側へ移動させた位置に矯正する位置矯正部9を配置している。位置矯正部9は、図5に示すように、例えば板状のベース部91と、ベース部91の一部から垂下し、回転軌跡に沿って回転移動しながら用紙搬送路R上に位置付けられる直前のサブシャフト64の一部が当たり得る当接部92と、回転プレート6Pの回転に伴って当接部92を乗り越えてから用紙搬送路R上に位置付けられるまでのサブシャフト64をメインシャフト66側に押し込み続けるガイド部93と、ガイド部93にガイドされながら回転プレート6Pの回転に伴って用紙搬送路R上に到達したサブシャフト64をメインシャフト66側に押し付けた状態で保持し得る保持部94とを備えている。本実施形態では、位置矯正部9全体がバネ95によってメインシャフト66側に常に付勢されており、この位置矯正部9に設定した当接部92に当たる対象、ガイド部93に案内される対象、及び保持部94が直接接触して嵌合する対象を、回転プレート6Pの長孔671に挿通させたサブシャフト64の端部に取り付けたベアリング641に設定している。そして、用紙搬送路R上に位置付けたサブシャフト64(例えば第1サブシャフト64A)は、位置矯正部9によってメインシャフト66側に押圧され、このサブシャフト64(第1サブシャフト64A)に設けた排出用ピンチローラ34がメインシャフト66に設けた排出ローラ33に圧接した状態となる。つまり、本実施形態では位置矯正部9を用いて上述の押圧部7を構成している。
【0048】
また、サブシャフト64(第1サブシャフト64A)に設けた排出用ピンチローラ34とメインシャフト66に設けた排出ローラ33とが相互に圧接している状態では、用紙搬送路R上に位置付けたサブシャフト64(第1サブシャフト64A)に設けられているサブ回転刃63と、メインシャフト66に設けられているメイン回転刃65のうち第1サブシャフト64Aのサブ回転刃63に対応するメイン回転刃65とがサブシャフト64及びメインシャフト66の軸方向Xに相互に一部(具体的には各回転刃63,64の外周縁に形成した刃同士が)重なり合う位置となる。この状態で、メインシャフト66が回転すると、排出ローラ33及びメイン回転刃65が一体回転し、排出ローラ33に圧接している排出用ピンチローラ34が従動して回転するとともに、排出用ピンチローラ34と共にサブシャフト64に設けたサブ回転刃63も回転する。その結果、本実施形態の縦切断部6は、排出ローラ33と排出用ピンチローラ34との間を通過する用紙Sを滑らせることなく適度な搬送速度で搬送しながら、軸方向Xに一部が重なり合うメイン回転刃65とサブ回転刃63とによって用紙Sを用紙搬送方向Tに切断し、用紙幅方向に任意の数(第1サブシャフト64Aとメインシャフト66との組み合わせであれば2つ)に分割することができる。
【0049】
また、回転プレート6Pに取り付けたサブシャフト64の回転軌跡上に用紙Sが存在しない状態で回転プレート6Pを回転させると、それまで用紙搬送路R上に位置付けられていたサブシャフト64(第1サブシャフト64A)が用紙搬送路Rから外れた位置に移動し、異なるサブシャフト64(例えば第3サブシャフト64C)が用紙搬送路R上に位置付けられる。そして、このサブシャフト64(第3サブシャフト64C)は押圧部7によってメインシャフト66側に押圧され、第3サブシャフト64Cに設けた排出用ピンチローラ34とメインシャフト66に設けた排出ローラ33とが相互に圧接する。
【0050】
一方、用紙搬送路R上から外れた位置に移動したサブシャフト64は、押圧部7による拘束状態(押圧力を受け続けている状態)から開放され、自重により長孔671内においてメインシャフト66から離間する方向に移動する。その結果、用紙搬送路R上から外れたサブシャフト64に設けた排出用ピンチローラ34は、メインシャフト66に設けた排出ローラ33に対して圧接不能な状態となる。なお、長孔671に沿ってサブシャフト64をメインシャフト66から離間する方向へ付勢するバネを適宜箇所に設け、サブシャフト64がバネの付勢力でメインシャフト66から離間する方向へ移動可能に構成しても同様の効果を得られる。このように、本実施形態では、回転プレート6Pに形成した長孔671に端部を挿通したサブシャフト64が自重によって長孔671内でメインシャフト66から離間する方向に移動し得るように構成することにより、上述した圧接状態解除部8を実現している。
【0051】
なお、本実施形態では、メインシャフト66の駆動源として、例えばステッピングモータMを適用し、この駆動源(ステッピングモータMの出力軸)とメインシャフト66との間に介在させた複数のギアによって、ステッピングモータMの出力をメインシャフト66に伝達可能に構成している(図3参照)。
【0052】
次に、本実施形態に係るプリンタPの動作及び作用、特に縦切断部6による縦切断処理及び横切断部5による横切断処理について図1図2図14及び図15等を参照しながら説明する。
【0053】
本実施形態に係るプリンタPは、まず、ユーザの操作などによって入力された印刷データに基づいて、制御部によって1画面あたりの印刷サイズを特定し、給紙部1でロール状に巻回されている用紙Sを給紙側送りローラ41と第1ピンチローラ42との間、フィードローラ43と第2ピンチローラ44との間を順次通過させて印刷部2まで搬送する。そして、印刷部2によって用紙Sの印刷面(オモテ面)における印刷設定領域(プリント画面)に熱転写プリント処理を行う。ここで、各プリント画面は、少なくとも用紙Sの用紙搬送方向Tに区切られるものであり、用紙搬送方向T及び用紙幅方向にも区切られる場合もある。そして各プリント画面が用紙搬送方向T及び用紙幅方向に区切られるものである場合、縦切断部6によって用紙Sを用紙幅方向に分割可能に構成している。
【0054】
本実施形態における印刷部2は、サーマルヘッド21の熱によりイエロー・マゼンタ・シアンの各色インク及びオーバープリント用のインク又は特色インクを昇華させることで用紙Sの印刷面における各プリント画面にカラー画像を印刷する(形成する)。この際、制御部に入力された印刷データに従って、サーマルヘッド21の温度を調整することにより印刷濃度のレベルを変化させた階調印刷を行うことができ、用紙Sの印刷面における各プリント画面に高品質なカラー画像を印刷することが可能である。
【0055】
次いで、本実施形態に係るプリンタPは、印刷部2による熱転写プリント処理を終えた用紙Sを排出部3側へ順次搬送して、縦切断部6によって縦切断処理を行う(図14参照)。ここで、用紙幅方向に分割する数や分割ピッチは、ユーザの操作(分割数を直接指定する操作や、プリントサイズを設定する操作など)に基づいて制御部によって特定される(以下、特定した分割パターンを「特定分割パターン」とする)。そして、本実施形態に係るプリンタPは、制御部によって、それぞれ分割数や分割ピッチが異なる複数の縦切断要素61から特定分割パターンに応じたサブ回転刃63を有するサブシャフト64を特定し(以下、特定したサブシャフト64を「特定サブシャフト64」とする)、特定サブシャフト64を用紙搬送路R上に位置付けるべく、切替機構62によって用紙搬送路R上のサブシャフト64を切り替える。この際、制御部が、第1センサ部6S(i)及び第2センサ部6S(ii)の検知状態に基づいてその時点(切替機構62によって用紙搬送路R上のサブシャフト64を切り替える直前)における回転プレート6Pの回転位置を特定し、特定サブシャフト64が既に用紙搬送路R上に位置付けられていると判定した場合には、本実施形態のプリンタPは、切替機構62によるサブシャフト64の切替処理を行わずに、その状態で縦切断処理を開始する。一方、特定サブシャフト64が用紙搬送路R上に位置付けられていないと制御部が判定した場合には、本実施形態のプリンタPは、切替機構62によるサブシャフト64の切替処理を行う。具体的には、第1センサ部6S(i),第2センサ部6S(ii)の検出状態が用紙搬送路R上に特定サブシャフト64を位置付けたことを示す検出状態になる位置までプレート回転用駆動源621の動力に基づいて回転プレート6Pを所定角度回転させる。このサブシャフト切替処理時の回転プレート6Pの回転方向は一方向(本実施形態では、図1及び図2に示す矢印R1で示す方向であり、この矢印R1方向は用紙Sを排出口31側に搬送可能な方向である)に設定している。
【0056】
本実施形態のプリンタPでは、特定サブシャフト64を用紙搬送路R上に位置付けた際に、押圧部7によって特定サブシャフト64をメインシャフト66側に押圧し、特定サブシャフト64に設けた排出用ピンチローラ34をメインシャフト66に設けた排出ローラ33に圧接させることができる。例えばゴム製である排出ローラ33及び排出用ピンチローラ34は、相互に圧接する部分が若干弾性変形し得る。なお、用紙搬送路R上に位置付けた特定サブシャフト64以外のサブシャフト64(特定サブシャフト64が第1サブシャフト64Aである場合には、第2サブシャフト64B及び第3サブシャフト64Cが該当)に対しては、押圧部7による負荷が作用せず、圧接状態解除部8によって特定サブシャフト64以外の各サブシャフト64(第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)に設けた排出用ピンチローラ34とメインシャフト66の排出ローラ33との圧接状態は解除されている(図2参照)。したがって、排出ローラ33のうち特定サブシャフト64以外の各サブシャフト64(第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)の排出用ピンチローラ34と対面し得る部分は、これら排出用ピンチローラ34から受ける負荷に起因して弾性変形することはない。これにより、排出ローラ33のうち弾性変形し得る部分を必要最小限に限定することができ、排出ローラ33の外周面に排出用ピンチローラ34との接触に起因して凹凸が大きく表れた場合に生じ易い用紙Sの搬送不良を防止・抑制することができる。なお、この切替機構62によるサブシャフト64の切替処理は、用紙Sが縦切断部6に到達する時点よりも前の時点(例えば制御部によって特定分割パターンを特定した時点等)で行う。
【0057】
本実施形態のプリンタPは、特定分割パターンに対応した特定サブシャフト64を用紙搬送路R上に位置付けた状態で、その特定サブシャフト64に取り付けたタッチローラ保持体6Hに保持させたタッチローラ67を、特定サブシャフト64よりも用紙搬送路R上における印刷部2側に位置付けることができ、印刷部2から搬送された用紙Sをタッチローラ67とメインシャフト66の排出ローラ33との間を通過させるように構成している。なお、タッチローラ67は排出ローラ33に従動して回転する。
【0058】
そして、タッチローラ67と排出ローラ33との間を通過した用紙Sは、そのまま背面(ウラ面)を排出ローラ33に添接させた状態で、用紙搬送路R上に位置付けた特定サブシャフト64とメインシャフト66との間を通過し、この際に、用紙Sに対して縦切断部6により縦切断処理を行う。具体的には、メインシャフト66を回転駆動させて、このメインシャフト66と共に一体回転する排出ローラ33と、排出ローラ33に従動して回転する排出用ピンチローラ34との間に所定の負荷を与えながら(滑らせることなく)用紙Sを通過させて排出口31側に搬送すると同時に、メインシャフト66と共に一体回転するメイン回転刃65と、排出用ピンチローラ34と共に特定サブシャフト64を中心に回転するサブ回転刃63とによって用紙Sを用紙搬送方向Tに切断して用紙幅方向に分割する。例えば、特定サブシャフト64がサブ回転刃63を1つ備えた第1サブシャフト64Aであれば、このサブ回転刃63と、メイン回転刃65のうち特定サブシャフト64のサブ回転刃63と軸方向Xに重なり得るメイン回転刃65とによって用紙Sを用紙幅方向に2分割することができる。ここで、本実施形態では、各サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)における排出用ピンチローラ34の配置箇所を、用紙搬送路R上に位置付けた際にメインシャフト66の各メイン回転刃65と接触しない位置に設定しているため、排出用ピンチローラ34とメイン回転刃65とが相互に接触し得る部分に用紙Sを通過させた場合に生じ得る不具合、つまり用紙Sにメイン回転刃65による切断痕やメイン回転刃65の痕跡(通過痕)が付くという不具合を防止できる。
【0059】
縦切断部6による縦切断処理に引き続いて、本実施形態のプリンタPは、横切断部5によって横切断処理を行う。具体的には、縦切断処理を終えた用紙Sに対して、制御部の制御に従い、用紙Sの厚さ方向に対向配置した横切断部5の第1カッタ51と第2カッタ52を用紙幅方向に走査させることで、用紙Sを用紙幅方向に切断する。本実施形態のプリンタPは、制御部の制御に従って、横切断部5よる用紙Sの分割数や分割ピッチを変更することにより、用紙搬送方向Tに沿ったプリント画面の大きさを適宜調整することができる。
【0060】
なお、縦切断部6による縦切断処理を、用紙Sのうち排出口31側の端部から横切断位置よりも所定距離分だけ排出口31側に寄った部分までを切断する第1縦切断処理と、第1縦切断処理によって切断された部分の終端から横切断位置までを切断する第2縦切断処理とに分け、第1縦切断処理後に横切断処理を行い、次いで第2縦切断処理を行うようにしてもよい。第1横切断処理及び第2縦切断処理は、第1縦切断処理時におけるメインシャフト66とサブシャフト64との相対位置を維持しまま(切替機構62を作動させることなく)行うことができる。
【0061】
横切断部5による横切断処理を終了すると、用紙Sは給紙部1でロール状に巻回されているロール紙から分離した用紙片Saとなり、用紙搬送路R上において用紙Sを厚み方向に挟み得る特定サブシャフト64とメインシャフト66との間を通過して排出口31側に搬送された用紙片Saは、図15に示すように、特定サブシャフト64及びメインシャフト66による挟持状態が解除され、排出ガイド部35に案内されながら排出口31に向かって搬送される。なお、本実施形態のプリンタPでは、特定サブシャフト64及びこの特定サブシャフト64に対応付けて設けたタッチローラ67よりも用紙搬送方向T上流側において、上述の排出ガイド部35とは別の排出ガイド部35の一部が搬送経路R上に位置付けられ、印刷部2から縦切断部6(より具体的には用紙搬送路R上において用紙Sを厚み方向に挟み得る特定サブシャフト64とメインシャフト66との間)に向かって搬送される用紙Sをガイドする部材として機能している(図14参照)。
【0062】
最後に、本実施形態のプリンタPは、所定のサイズに切断した用紙片Saを排出口31から排出して、排出トレイ32上に積み重ねた状態で収容する。
【0063】
このようなプリンタPは、ユーザによる操作に応じて印刷データが入力される毎に、各印刷データに応じてその都度上述の工程を経ることによって、印刷データに応じたプリント処理を施し、印刷データに基づくプリント画面サイズに切断した用紙片Saを排出することができる。したがって、例えば、用紙Sを用紙幅方向3分割にする場合には、図9に示すように、特定サブシャフト64として、サブ回転刃63を2つ設けた第2サブシャフト64Bを選択し、この第2サブシャフト64Bを切替機構62によって用紙搬送路R上に位置付けて、これら2つのサブ回転刃63と、メインシャフト66のメイン回転刃65のうち第2サブシャフト64Bの各サブ回転刃63にそれぞれ対応するメイン回転刃65とによって用紙Sを用紙幅方向に3分割することができる。第2サブシャフト64Bを用いて用紙Sを縦切断する場合、第2サブシャフト64Bに設けた排出用ピンチローラ34が押圧部7の作用によってメインシャフト66の排出ローラ33に圧接する一方で、第1サブシャフト64Aの排出用ピンチローラ34及び第3サブシャフト64Cの排出用ピンチローラ34は、圧接状態解除部8の作用によってメインシャフト66の排出ローラ33に圧接していない。また、第2サブシャフト64Bにおける排出用ピンチローラ34の配置箇所を、第2サブシャフト64Bを特定サブシャフト64として用紙搬送路R上に位置付けた際にメインシャフト66に設けた全てのメイン回転刃65と接触し得ない位置に設定しているため、第2サブシャフト64Bを特定サブシャフト64として用紙搬送路R上に位置付けた場合に、メインシャフト66のメイン回転刃65のうち第2サブシャフト64Bのサブ回転刃63に対応するメイン回転刃65は勿論のこと、第1サブシャフト64Aのサブ回転刃63に対応するメイン回転刃65にも、第2サブシャフト64Bの排出用ピンチローラ34が干渉することはなく、用紙Sに刃痕は付き難い。また、用紙Sを用紙幅方向3分割にする場合にも、印刷部2から縦切断部6に搬送された用紙Sは、第2サブシャフト64Bを保持するタッチローラ保持体6Hに保持されているタッチローラ回転軸68のタッチローラ67とメインシャフト66の排出ローラ33との間を通過した後に、用紙搬送路Rに配置した縦切断要素61である第2サブシャフト64Bとメインシャフト66との間を通過し、さらに横切断処理によって用紙片Saとなった状態で排出ガイド部35に案内されながら排出口31から排出される。
【0064】
また、本実施形態のプリンタPは、ユーザに入力された印刷データに基づき、特定分割パターンが用紙Sを用紙幅方向に分割することを要しない(分割数1)パターンであると制御部が判定した場合には、図10に示すように、特定サブシャフト64として、サブ回転刃63を設けていない第3サブシャフト64Cを選択し、この第3サブシャフト64Cを切替機構62によって用紙搬送路R上に位置付ける。この場合、第3サブシャフト64Cに設けた排出用ピンチローラ34が押圧部7の作用によってメインシャフト66の排出ローラ33に圧接する一方で、第1サブシャフト64Aの排出用ピンチローラ34及び第2サブシャフト64Bの排出用ピンチローラ34は、圧接状態解除部8の作用によってメインシャフト66の排出ローラ33に圧接していない。そして、第3サブシャフト64Cの排出用ピンチローラ34とメインシャフト66の排出ローラ33との間を通過する用紙Sを用紙搬送方向Tに切断することはなく、さらに排出口31側へ送り出すことができる。また、第3サブシャフト64Cにおける排出用ピンチローラ34の配置箇所を、第3サブシャフト64Cを特定サブシャフト64として用紙搬送路R上に位置付けた際にメインシャフト66に設けた全てのメイン回転刃65と接触し得ない位置に設定しているため、第3サブシャフト64Cを特定サブシャフト64として用紙搬送路R上に位置付けた場合に、メインシャフト66の各メイン回転刃65に第3サブシャフト64Cの排出用ピンチローラ34が干渉することはなく、用紙Sに刃痕が付く不具合を防止・抑制することができる。また、用紙Sを用紙幅方向に分割することを要しない(分割数1)場合にも、印刷部2から縦切断部6に搬送された用紙Sは、第3サブシャフト64Cを保持するタッチローラ保持体6Hに保持されているタッチローラ回転軸68のタッチローラ67とメインシャフト66の排出ローラ33との間を通過した後に、用紙搬送路Rに配置した縦切断要素61である第3サブシャフト64Cとメインシャフト66との間を通過し、さらに横切断処理によって用紙片Saとなった状態で排出ガイド部35に案内されながら排出口31から排出される。
【0065】
このように、本実施形態に係るプリンタPは、用紙搬送路Rに沿って用紙Sを用紙搬送方向Tに切断して用紙幅方向に分割可能な縦切断部6を備え、縦切断部6を、用紙幅方向の分割数がそれぞれ異なる複数の縦切断要素61と、これら複数の縦切断要素61のうち用紙搬送路R上に位置付ける縦切断要素61を切替可能な切替機構62とを用いて構成しているため、多様なサイズ要望にも柔軟に対応することができ、用紙幅方向の分割数を変更するに際して、例えば作業者などがプリンタP内部にアクセスして内部構成品の配置や構成を変更する煩雑な作業を行うことなく、切替機構62により用紙搬送路R上に位置付ける縦切断要素61を複数の縦切断要素61から選択して切り替えることによって、任意の分割数で用紙Sを用紙幅方向に切断することができる。
【0066】
特に、本実施形態に係る各縦切断要素61を、用紙幅方向の分割数に応じた数のサブ回転刃63を一体回転可能に設けたサブシャフト64と、サブ回転刃63との間で用紙Sを用紙S厚み方向に挟み得るメイン回転刃65を縦切断処理時にサブ回転刃63の一部と軸方向Xに重なり得る位置に設けたメインシャフト66とを用いて構成し、さらに、縦切断部6を、複数のサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)と、これら何れのサブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)のサブ回転刃63にも対応する位置にそれぞれメイン回転刃65を設けた単一のメインシャフト66とを用いて構成しているため、各縦切断要素61のメインシャフト66を共用することができ、省スペース化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0067】
さらに、本実施形態のプリンタPは、サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)に排出用ピンチローラ34を設けるとともに、メインシャフト66に排出ローラ33を設けているため、サブシャフト64(第1サブシャフト64A、第2サブシャフト64B、第3サブシャフト64C)やメインシャフト66とは別に、排出用ピンチローラ34や排出ローラ33を設けるための専用のシャフトを確保する必要がなく、限れたスペース内に用紙Sを用紙幅方向に分割する機構と用紙Sを排出口31に向かって搬送する機構とを効率良く組み込むことができる。
【0068】
ところで、横切断部5の横切断処理により給紙部1に巻回されているロール紙から分離した用紙片Saは、排出ガイド部35に案内されながら排出口31に向かって搬送されるが、排出ガイド部35などのプリンタPの内部機構部品に接触し続けた状態で搬送されたり、内部機構部品に対する接触状態と非接触状態とを繰り返すことなどによって用紙片Saに静電気が帯電し、内部機構部品にくっつき易くなり、排出口31に到達するまでにプリンタP内に滞留してしまうおそれがある。また、用紙片Saに静電気が帯電しているか否かに関わらず、用紙片SaがプリンタPの内部機構品に引っ掛かったり、或いは図16に示すように、用紙片Saの排出口31側の端部が何れの部材にも接触せずに自由端となる一方で、用紙片Saのうち印刷部2側の端部と、その印刷部2側端部よりも排出口31側に寄った部分(例えば用紙片Saのうち搬送方向中央部分)がそれぞれ異なる内部機構品に接触して(図示例では、用紙片Saのうち印刷部2側の端部が上側排出ガイド片37に接触し、用紙片Saのうち搬送方向中央部分よりも排出口31側に寄った部分が下側排出ガイド片36に接触して)、バランスをとってしまい、プリンタP内に滞留してしまうおそれがある。
【0069】
そこで、本実施形態に係るプリンタPは、横切断部5と排出口31との間に、横切断部5によって切断された用紙片Saを揺する揺動手段Yを設けている。本実施形態では、横切断部5と排出口31との間に配置した縦切断部6が、縦切断要素61を保持した状態で用紙搬送方向Tに回転可能な回転プレート6Pを備えたものである点に着目し、回転プレート6Pを、用紙Sを排出口31側へ搬送可能な方向(図2の矢印R1方向)と、用紙Sを印刷部2側へ搬送可能な方向に交互に正逆回転させることによって用紙片Saを揺り動かす揺動手段Yを実現している。
【0070】
本実施形態の揺動手段Yは、回転プレート6Pと共に縦切断部6の切替機構62を構成し且つ回転プレート6Pと同期して回転する第2回転プレート6Vの回転位置(回転角度)を検出可能なセンサ部6S(第1センサ部6S(i)、第2センサ部6S(ii))を利用して、回転プレート6Pの正逆方向に回転させる範囲、つまり揺動角度範囲を決定するように構成している。すなわち、横切断処理時には、図12に示すように、第1センサ部6S(i)又は第2センサ部6S(ii)の少なくとも何れか一方がON状態であり、横切断処理後の任意の時点(少なくとも用紙片Saのうち印刷部2側の端部が特定サブシャフト64とメインシャフト66との間を通過した後の時点)で、そのON状態にあるセンサ部6Sが図17に示すOFF状態に切り替わる時点まで第2回転プレート6Vを正逆何れか一方向(図17では反時計回り方向であり、用紙片Saを排出部3側に移動させ得る方向(矢印R1方向))に回転させる(正方向回転処理)。なお、図17では第1センサ部6S(i)の投光部6Saから受光部6Sbに向かって照射される光線Lを模式的に示している。
【0071】
次いで、図18に示すように、第2回転プレート6Vを他方向(図18では時計回り方向であり、用紙片Saを印刷部2側に送り戻す方向(矢印R2方向))に回転させる(逆方向回転処理)。この逆方向回転処理により、正方向回転処理終了時点ではOFF状態にあったセンサ部6SはON状態に切り替わり、さらに第2回転プレート6Vを同一方向(図18では時計回り方向)へ回転させることでセンサ部6SはOFF状態に切り替わる。なお、図18においても、図17と同様に第1センサ部6S(i)の投光部6Saから受光部6Sbに向かって照射される光線Lを模式的に示している。
【0072】
本実施形態の揺動手段Yは、このような正方向回転処理及び逆方向回転処理を1サイクルとする揺動処理を、少なくとも1サイクル以上行うように設定している。揺動処理のサイクル数は、プリンタPの仕様や用紙Sの種類などに応じて制御部が自動的に決定するように構成してもよいし、ユーザの所定の操作に基づいて決定するように構成することができる。ここで、正方向回転処理時や逆方向回転処理時の回転プレート6Pの回転角度、言い換えれば揺動処理時の回転プレート6Pの揺動角度は、回転プレート6Pに同期して回転する第2回転プレート6Vに付帯させた遮蔽部6Wのサイズに依拠する。すなわち、遮蔽部6Wの周方向の寸法(センサ部6Sを通過する部分の長さ)を図12で示す寸法よりも長く設定すれば、第2回転プレート6Vの揺動角度は図17及び図18で示す揺動角度よりも大きくなり、遮蔽部6Wの周方向の寸法を図12で示す寸法よりも短く設定すれば、第2回転プレート6Vの揺動角度は図17及び図18で示す揺動角度よりも小さくなる。なお、第1サブシャフト64Aを特定サブシャフト64として用紙搬送路R上に位置付けている場合、第1センサ部6S(i)及び第2センサ部6S(ii)の両方がON状態にあるが、揺動処理時には何れか一方のセンサ部6Sの検出状態を利用すれば足りる。
【0073】
そして、本実施形態のプリンタPは、横切断処理後に、揺動手段Yによって用紙片Saを揺することにより、排出ガイド部35の排出ガイド片(上側排出ガイド片37、下側排出ガイド片36)などのプリンタPの内部機構品に静電気で張り付いたり、バランスをとることでプリンタP内に滞留し得る用紙片Saを排出口31に向かって振るい落とす(振り払う)ことができ、スムーズ且つ適切な排出処理を実現することができる。なお、所定サイクル数の揺動処理を終えた時点で揺動処理時に利用したセンサ部6SはOFF状態にあり、本実施形態のプリンタPでは、所定サイクルの揺動処理後に回転プレート6P及び第2回転プレート6Vを正方向回転処理時と同じ方向に回転させて、揺動処理時に利用したセンサ部6SをOFF状態からON状態に切り替えておくように設定している(通常位置復元処理)。これにより、次に縦切断部6に搬送される用紙Sに対して、その時点で用紙搬送路R上に位置付けられているサブシャフト64を利用して行う縦切断処理や、他のサブシャフト64を特定サブシャフト64として用紙搬送路R上に位置付けるように切替機構62によって特定サブシャフト64を切り替える特定サブシャフト切替処理をスムーズに行うことができる。
【0074】
このように、横切断部5と排出口31との間に縦切断部6を配置したプリンタPであれば、縦切断部6の配置スペース分だけ横切断部5と排出口31との間の用紙搬送距離が長くなり、そのために、用紙片Saが静電気や搬送姿勢に起因してプリンタP内で引っ掛かったり、停留し得るが、本実施形態に係るプリンタPは、横切断部5と排出口31との間に配置した縦切断部6を構成する回転プレート6Pの正逆回転を利用して用紙片Saを揺する揺動手段Yを備えているため、この揺動手段Yによって用紙片Saを積極的に揺すり動かすことができ、用紙片Saの引っ掛かりや停留を防止・抑制することができ、用紙片Saを排出口31から機外にスムーズ且つ適切に排出することができる。しかも、本実施形態のプリンタPでは、縦切断部6を構成する回転プレート6Pを用いて揺動手段Yを構成しているため、縦切断部6とは別に専用の部材を用いて揺動手段Yを構成する態様と比較して、部品の共用化及び構造の簡素化を実現することができるとともに、横切断部5と排出口31との間に縦切断部6を配置するスペースさえ確保すれば揺動手段Yを実装することができ、横切断部5と排出口31との間の用紙搬送距離が必要以上に長くなってしまう事態を回避することができる。これにより、揺動手段Yを設けるために横切断部5と排出口31との間の用紙搬送距離が必要以上に長くなってしまった場合に生じ得る不具合、つまり、用紙片Saに静電気がより一層帯電し易くなったり、プリンタPの内部機構部品に引っ掛かる確率が高くなってしまう構成を採用せざるを得ないという不具合を避けることができる。
【0075】
また、本実施形態のプリンタPでは、上述したように、例えば作業者などがプリンタP内部にアクセスして内部構成品の配置や構成を変更するという煩雑な作業を要することなく、実用性に優れたプリンタPを実現するために、縦切断部6として、用紙幅方向の分割数、分割ピッチ、又は分割数及び分割ピッチがそれぞれ異なる複数の縦切断要素61と、これら複数の縦切断要素61のうち用紙S搬送路上に位置付ける縦切断要素61を切替可能な切替機構62とを備えたものを適用している。このような実用性に優れたプリンタPの構造を、それ以上の構造の複雑化を招来することなく、切替機構62の一部である回転プレート6Pの正逆回転動作を利用して揺動手段Yを構成している点で、本実施形態に係るプリンタPは無駄を省いた効率の良い設計を採用したものである。
【0076】
また、本実施形態のプリンタPでは、切替機構62として、回転プレート6Pと同期回転する第2回転プレート6Vに対向する位置に設けた固定プレート6Fにセンサ部6Sを設け、第2回転プレート6Vの所定箇所に付帯させた検知対象部たる遮蔽部6Wをセンサ部6Sが検知したか否かによって回転プレート6Pの回転位置(回転角度)を制御可能に構成した態様を採用しており、本実施形態の揺動手段Yは、このようなセンサ部6Sによる遮蔽部6Wの検出状態を利用して、センサ部6Sが少なくともON状態又はOFF状態の一方の状態から他方の状態に切り替わるまで回転プレート6Pを正逆方向の何れか一方向に回転させる正方向回転処理と、センサ部6Sが少なくとも正方向回転処理終了時点における状態(本実施形態ではあればOFF状態)から他方の状態に切り替わるまで回転プレート6Pを他方向に回転させる逆方向回転処理とを1サイクルとする揺動処理を行うものである。したがって、用紙片Saを揺すり動かすために正逆方向に回転させる回転プレート6Pの回転角度範囲(揺動角度範囲)を、遮蔽部6Wのサイズや回転プレート6Pに同期回転する第2回転プレート6Vにおける遮蔽部6Wの形成箇所に基づいて簡単に設定することができる。
【0077】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、検知対象部として、回転部(上述の実施形態では回転プレート)に一体に形成したものを適用することができる。
【0078】
また、回転部に対して不動である固定部材(上述の実施形態では固定プレート)におけるセンサ部の取付箇所や個数は適宜変更してもよい。また、センサ部として、ポジショニングセンサ以外のセンサを適用することもできる。例えば、上述した実施形態において全てのサブシャフト64A,64B,64Cの取付位置に対応する箇所にそれぞれ検知対象部を設け、検知対象部ごとに光の透過量が異なるように設定し、センサ部が受光量の相違に基づいて検知対象部の種類を検知することによって、回転部の位置や回転角度を把握できるように構成することもできる。また、磁気式近接センサによって検知対象部の有無を検出するように構成してもよい。もちろん、検知対象部もセンサ部の種類や仕様に応じて素材や形状を適宜変更することができる。
【0079】
また、揺動手段の一部を構成する回転部が、プレート状(平板状)のものではなく、フレーム体であってもよい。回転部が保持する縦切断要素の数は1つ以上であればよく、特に限定されるものではない。
【0080】
上述した実施形態では、揺動手段による回転部を正方向に回転させた後に行う逆方向回転処理を、センサ部がOFF状態、ON状態、OFF状態の順に切り替わるまで回転部を逆方向に回転させる態様を示したが、センサ部がOFF状態からON状態に切り替わるまで回転部を回転させるようにしてもよい。この場合、検知対象部の条件は同じであると仮定すれば、回転部の逆方向への回転角度は上述した実施形態で示す逆方向への回転角度よりも小さくなるが、回転部を正方向へ回転させた後に逆方向へ回転させることで用紙片を揺することができる事象に何ら変わりは無く、揺動手段として所期の機能を発揮し得る。また、回転部を回転させる駆動源としてステッピングモータを採用することも可能である。この場合、所定ステップ数だけ回転部を正逆方向に回転駆動させて揺動処理を行うようにすれば、センサ部及び検知対象部が不要となり、部品点数の削減や構造の簡素化という点で有利である。
【0081】
正方向回転処理時の回転部の回転方向を、用紙を印刷部側に送り戻し得る方向に設定し、逆方向回転処理の回転部の回転方向を、用紙を排出口側に送り得る方向に設定することもできる。また、正方向回転処理と逆方向回転処理とを交互に繰り返す回数は1以上であればよく、複数回であってもよい。
【0082】
また、縦切断要素を構成するサブシャフトに関しては、例えばサブ回転刃を3以上設けたものを適用することも可能であり、この場合メインシャフトに設けるメイン回転刃の数も適宜変更すればよい。
【0083】
上述した実施形態では、複数の縦切断要素による用紙幅方向の分割数のみが相互に異なるように、各サブシャフトに設けるサブ回転刃の数のみを異ならせた態様を例示したが、複数の縦切断要素による用紙幅方向の分割ピッチのみが相互に異なるように、各サブシャフトに設けるサブ回転刃の取付位置のみを相互に異ならせた態様を採用したり、或いは、複数の縦切断要素による用紙幅方向の分割数及び分割ピッチが何れも相互に異なるように、各サブシャフトに設けるサブ回転刃の数及びサブ回転刃の取付位置を異ならせた態様を採用することもできる。このような各態様を適宜選択することにより、本発明のプリンタは、複数の縦切断要素の組み合わせパターンとして、用紙幅方向の分割数のみがそれぞれ異なる第1パターン、分割ピッチのみがそれぞれ異なる第2パターン、用紙幅方向の分割数も分割ピッチも異なる第3パターンを適宜選択することが可能であり、実用性及び応用性に優れている。
【0084】
また、給紙部から供給される用紙として予め所定サイズに切断されたカット紙を適用することも可能であり、この場合でも、プリント処理、縦切断処理、及び横切断処理を行える。なお、横切断部を備えたプリンタにおいてカット紙を処理する場合に、横切断処理が不要であれば、横切断部を作動させずに(例えば上述の横切断部であれば第1カッタ及び第2カッタを用紙幅方向に走査させることなく)、排出ローラ及び排出用ピンチローラにより用紙を用紙搬送路に沿って排出口側に搬送すればよい。
【0085】
また、縦切断部として、用紙搬送路に沿って走査可能なカッタを備え、搬送経路上で停止している用紙に対してカッタを用紙搬送路に沿って走査させることによって用紙を用紙搬送方向に切断可能なものを適用することができる。
【0086】
さらには、縦切断部が複数の縦切断要素を備えたものである場合、サブシャフトとメインシャフトとが同数であり、用紙幅方向の分割数や分割ピッチのパターンに応じて、相互に1対1の関係で対応付けられるサブシャフト及びメインシャフトの組み合わせから適宜のサブシャフト及びメインシャフトの組み合わせを選択して、その選択したサブシャフト及びメインシャフトを切替機構によって用紙搬送路上に位置付けるように構成することも可能である。
【0087】
また、用紙片を排出口から排出する直前で毎回揺動手段を作動させて揺動処理を行うことが好適であるが、例えば用紙が排出口の直前で詰まったり、停留した場合にのみ揺動処理を行うようにしたり、ある一定の条件下(例えば3回の排出処理に対して1回の揺動処理を行うなど)で揺動処理を行うようにして、揺動処理の回数を減らすことも可能である。
【0088】
さらには、回転部の回転領域よりも排出口側に排出ガイド片を設けたプリンタであってもよい。ここで、本発明の揺動手段は、回転部の正逆回転動作を利用して回転領域内に存在する用紙片を揺するものであるため、回転部の回転領域よりも排出口側に配置された排出ガイド片に用紙片が引っ掛かれば排出口からスムーズに用紙片を排出できないおそれがあるが、この場合でも、回転部の揺動動作によって用紙を揺することはできるため、揺動手段を備えたいないプリンタと比較して、用紙片に静電気が帯電して排出ガイド片に張り付く事態を抑制することが期待できる。
【0089】
また、用紙幅方向の分割数を変更する場合に、例えば作業者などがプリンタ内部にアクセスして内部構成品の配置や構成を変更することによって、用紙搬送路上において用紙を厚み方向に挟み得る縦切断要素を変更できるように構成されたプリンタであってもよい。
【0090】
また、本発明に係るプリンタは、インクを昇華させるタイプの熱転写型プリンタの他、インクを溶融させるタイプのサーマルプリンタや、或いはサーマルプリンタ以外の種々のプリンタ、例えばインクジェットプリンタやレーザプリンタ、或いは同じ印刷対象物に対して繰り返し書き換え可能なリライタブルプリンタ等であってもよい。また、両面印刷可能なプリンタに対しても本発明の技術的特徴である揺動手段を適用することができる。
【0091】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…給紙部
2…印刷部
31…排出口
5…横切断部
6…縦切断部
61…縦切断要素
62…切替機構
6P…回転部(回転プレート)
6S,6S(i),6S(ii)…センサ部,第1センサ部6S,第2センサ部6S
6W…検知対象部(遮蔽部)
P…プリンタ
R…用紙搬送路
S…用紙
Sa…用紙片
Y…揺動手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18