(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(1)機種、型式、号機を含む車両特定番号、車アワーメータ情報である稼働時間、GPSが提供する位置情報を含む作業車両基礎情報、(2)エンジンオイル圧力、エンジン冷却水温、瞬間燃費、燃料残量、3P位置情報、走行変速位置、車両車速情報、PTO回転数、エンジン回転数を含む作業車両運転情報、(3)機種、型式、号機を含む車両特定番号、農薬散布量(単位面積当たりの散布量)、農薬タンク残量、散布幅情報、収穫量情報を含む作業車両に連結する作業機の基礎運転情報、(4)外部通信ユニットにより入手する圃場情報システムからの気象・土壌の情報を含む外部情報をそれぞれ別々に決めたフォームで独立管理できるように構成し、各々のメモリーの決められた別のエリアで保存管理するように構成したことを特徴とする請求項1記載の作業車両のLANシステム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を図面と共に説明する。本実施例では作業車両の典型例であるトラクタについて説明する。トラクタは、主変速8段、副変速3段、併せて24段の変速が可能なトラクタであり、
図1にトラクタ1の側面図、
図2に動力伝動機構図を示す。
【0012】
副変速レバー34によって副変速装置の切換えを行い、副変速レバー34のノブに設けた増減速スイッチ37,38を操作することによって主変速の増減速切換えを1段ずつ行い、アクセルペダル58の操作によっても主変速の切換えが行えるようにしたトラクタである。
【0013】
このトラクタ1は操舵用の前輪2,2と推進車輪としての後輪3,3を有し、ボンネット4内に搭載したエンジン5の回転動力をミッションケース6内の変速装置によって適宜減速し、その回転動力を後輪3,3に伝達するように構成している。エンジン5の回転動力を後輪3,3のみならず、前輪2,2にも伝えて四輪全部を駆動する構成としても良い。
【0014】
また、ミッションケース6内には機体の進行方向を切り換える前後進切換装置9と8段の変速が可能な主変速装置10,11と3段の変速が可能な副変速装置12が直列に接続されている。なお、これら伝動系については
図2に基づいて後から説明する。
【0015】
図1において、ミッションケース6の上部には油圧シリンダケース14が設けられ、この油圧シリンダケース14の左右両側にはリフトアーム15,15が回動自在に枢着されている。リフトアーム15,15とロワーリンク16,16との間にはリフトロッド17,17が介装連結され、ロワーリンク16,16の後部には作業機であるロータリ耕耘装置18が連結されている。
【0016】
油圧操作レバー28を操作して油圧シリンダケース14内に収容されている油圧シリンダ14aに作動油を供給するとリフトアーム15,15が上昇側に回動され、リフトロッド17、ロワーリンク16等を介して作業機(ロータリ耕耘装置)18が上昇する。反対にこの油圧操作レバー28を下降側に操作すると油圧シリンダ14a内の作動油は油圧タンクを兼ねるミッションケース6内に排出され、リフトアーム15,15を下降させる。
【0017】
トラクタ1の機体の後方にはロータリ耕耘装置18が連結されており、該ロータリ耕耘装置18は耕耘部19と耕耘部19上方を覆う主カバー20と主カバー20の後部に枢着されたリヤカバー22等を有する。
【0018】
また、ステアリングハンドル24を支えるハンドルポスト25の左側上部には前記前後進切換装置9を操作する前後進切換レバー27が設けられ、この前後進切換レバー27を中立位置から前側に倒すと機体は前進し、反対に後側に引くと機体は後進するようになっている。
【0019】
次に
図2に示す動力線図に基づいて動力伝達系について説明する。
エンジン5の後部には主クラッチ30が設けられ、この主クラッチ30の伝動後位に前後進切換装置9が設けられている。前後進切換装置9は多板摩擦式の油圧クラッチ9a,9bからなり、常態では中立位置に保たれ、前後進切換レバー27を前後方向に操作することにより、前進側油圧クラッチ9aが接続され、あるいは後進側油圧クラッチ9bが接続される。
【0020】
前進側油圧クラッチ9aが接続されるときには入力ギヤ60からカウンタ軸61のギヤ62とリバーサ軸64のギヤ65を経由して、前進側油圧クラッチ9aに動力が伝達され、リバーサ軸64が正回転する。
また後進側油圧クラッチ9bが接続されるときには、入力ギヤ60からカウンタ軸61のギヤ62とカウンタ軸61のギヤ66とカウンタ軸68のギヤ69を経由して、リバーサ軸64の後進用ギヤ73を経由して、後進側油圧クラッチ9bに動力が伝達され、リバーサ軸64が逆回転する。
【0021】
この前後進切換装置9の後位には4段変速可能なシンクロメッシュ式の第1主変速装置10が設けられ、後述するコントローラ100からの指令を受けてアクチュエータ31,31が伸縮するとシフター32,32が前後に移動させられて変速を行う。
図2において前側のシフター32が前後に移動すると4速と3速が得られ、後側のシフター32が前後に動くと2速と1速が得られる。なお、この場合において、主変速が切り換えられるときには、最初に油圧式の前後進切換装置9の油圧クラッチが中立に戻され、変速後に再びこの前後進切換装置9の油圧クラッチが接続されるように構成している。
【0022】
そして、この第1主変速装置10の後部には高低2段に切換可能な油圧式の第2主変速装置11が設けられている。前側の油圧クラッチ11aが高速用のクラッチであり、後側の油圧クラッチ11bが低速用の油圧クラッチである。従って、この実施例における主変速装置10,11では4×2の併せて8段の変速が可能である。
【0023】
更に、この第2主変速装置11の後部には3段の変速が可能で減速比が主変速装置10,11よりも比較的大きな副変速装置12が設けられている。
図2に示すように、副変速レバー34を操作して前側のシフター35を前後に移動させると高速(H)と中速(M)が得られ、後側のシフター35を後側に移動させると低速(L)が得られる。
【0024】
副変速装置12を操作するときには主クラッチ30の入切操作を要す。即ち、主クラッチペダル29を踏み込んで副変速操作レバー34を前後方向あるいは左右方向に操作し、変速操作後には主クラッチペダル29を離してエンジン回転動力を変速装置側に伝える。
【0025】
なお、主変速装置10,11については副変速レバー34のノブに設けた増速スイッチ37と減速スイッチ38を押し込んで変速を行う(
図2参照)。増速スイッチ37を押しても減速スイッチ38を押しても1段ずつしか変速は行われない。速度が遅い1速から速度が速い8速までの範囲で主変速装置10,11の変速がなされる。そして、この副変速装置12によって減速された動力をドライブピニオン軸40に伝え、後輪デフ装置41、最終減速装置42を順次介して後輪3,3を駆動する。
【0026】
後輪デフ装置41の手前で後輪駆動系より分岐した動力は前輪駆動系として利用され、前輪駆動系の中には前輪2,2を後輪3,3と等速で駆動させたり、前輪2,2を後輪3,3よりも増速させて回転させたりする前輪増速装置44が設けられている。この前輪増速装置44の前側の油圧クラッチ44aが接続されると前輪増速状態となり、後側の油圧クラッチ44bが接続されると等速四輪駆動状態になり、両方の油圧クラッチ44a,44bがOFFになると後輪3,3のみ駆動される二輪駆動の状態になる。前輪駆動軸には前輪デフ装置46と前輪最終減速装置47が設けられている。
【0027】
なお、
図2の動力伝達線図において、副変速装置12が高速(H)速になっているときに限り、副変速レバー34をそのまま横に移動させると、路上走行速に適した路上速位置(HH)に切り換わる。この場合、主変速は1速から8速までのうち、高速側の5速、6速、7速、8速が選択できるが、1速から4速までの低速側4段はいくら増減速スイッチ37,38を操作してもプログラム上選択できないようになっている。道路を走行する場合は高速走行を前提としているので高速側のみを優先し、低速側を自動的にカットさせ変速操作が行われても1〜4速には入らないようにして操作性を向上させている。
【0028】
また、この実施例では選択可能な高速側の変速パターンを5速、6速、7速、8速の4段としたが、6速、7速、8速の3段としたり、あるいは7速、8速の2段だけとしたりして変速段数を減らしても良い。
【0029】
PTO出力軸83の駆動は次のようにして行われる。
入力ギヤ60からカウンタ軸61のギヤ62を介してPTOクラッチ70の駆動用ギヤ75に動力が伝達され、PTOクラッチ70に動力伝達される。PTOクラッチ70が入り状態になると、2つの油圧シリンダ76と77によりスライド制御される4段変速ギヤ機構(3段目のギヤ81aと1段目のギヤ81bと4段目のギヤ81cと2段目のギヤ81dからなる)で選択されている変速段でPTO駆動軸71が駆動される。
【0030】
例えば、油圧シリンダ76によりスライドされる従動軸79上のギヤ80aがPTO変速軸72のギヤ81aと噛合すると、PTO変速軸72から従動軸79の出力ギヤ82を経由してPTO出力軸83の出力ギヤ85に動力伝達されてPTO駆動軸71が駆動する(PTO2速)。同様に油圧シリンダ76によりギヤ80bがギヤ81bに噛合するとPTO4速になる。
【0031】
油圧シリンダ77によりギヤ80cがギヤ81cに噛合するとPTO1速になる。油圧シリンダ77によりギヤ80dがギヤ81dに噛合するとPTO3速になる。
また、前記ギヤ80aがギヤ81aに噛んでいない状態であって、逆転軸86上の逆転ギヤ87をスライドさせて前記ギヤ81aに噛み合わせるとともにギヤ80aにも噛んでいる状態になると、PTO駆動軸71は逆転駆動する。逆転の場合はこの1速のみである。
【0032】
上記トラクタで使用する情報通信端末の使用様態を
図3に示す。
トラクタはGPSアンテナを内蔵した通信情報端末を車両に搭載しており、該通信情報端末により、基地局と無線通信が可能であり、該基地局はトラクタの製造メーカなどが担当するサーバー管理者と通信可能である。さらに圃場などに設置される気象情報端末、土壌情報端末との通信が可能な構成であり、さらにサーバー管理者はトラクタのユーザ、トラクタの製造メーカの営業所等にある端末と通信可能な構成である。前記気象・土壌情報とは気温、湿度、日射量、土壌成分、土壌水分、土壌硬度などである。
【0033】
トラクタ内には車両の基礎情報として車両EGU管理情報、車両運転情報、作業機基礎運転情報があり、前記車両EGU管理情報の中には、例えば機種、型式、号機などの車両特定番号、車アワーメータ情報である稼働時間、GPSが提供する位置情報が含まれ、前記車両運転情報の中には、例えばエンジンオイル圧力、エンジン冷却水温、瞬間燃費、燃料残量、3P位置情報、走行変速位置、車両車速情報、PTO回転数、エンジン回転数などがあり、前記作業機基礎運転情報の中には、例えば機種、型式、号機などの車両特定番号、農薬散布量(単位面積当たりの散布量)、農薬タンク残量、散布幅情報、収穫量情報などがある。
【0034】
そして、上記トラクタから入手する情報を収集してデータの分析・加工を行い、自動車・建設機械と同類の情報、農業機械特有の情報、農業特有の情報などを得る。ここで前記自動車・建設機械と同類の情報とは例えば、車両運転情報、稼働時間の収集、燃費の収集、故障情報などであり、前記農業機械特有の情報とは、例えば作業機毎の稼働情報、作業機消費財情報、作業運転経路情報、作業機毎の車速情報などであり、また前記農業特有の情報とは例えば圃場毎の気象情報、圃場毎の土壌情報などである。
【0035】
また前記データの分析・加工により、自動車・建設機械と同類の情報、メンテナンス時期案内、燃費を節約するためのエコノミーな運転推奨案内など情報を提供することができる。前記自動車・建設機械と同類の情報は、事故発生情報提供、盗難追跡情報提供などであり、前記メンテナンス時期案内は、故障修理の迅速対応、消耗部品時期案内などであり、前記燃費を節約するためのエコノミーな運転推奨案内は、圃場毎の気象情報、圃場毎の土壌情報等の提供である。
【0036】
図4に本実施例のトラクタの車内LANシステムと車外LANシステムの構成図を示す。トラクタの制御装置100にはエンジンECU、作業機昇降系ECU1、走行系ECU2があり、互いにCAN2で接続している。またトラクタは作業情報モニタ(タッチパネル操作部)と情報通信端末と外部通信ユニットを備えており、情報通信端末にはハードディスクが接続している。
【0037】
情報通信端末も外部と通信するものであるので、外部通信ユニットの1つのバリエーションであり、以下にそれらの例示をする。
(本実施例の情報通信端末):外部からの情報を得て処理する装置で、この中には、前記GPSアンテナとモジュール(GPS関連情報を処理する装置)、GPS以外の通信アンテナとモジュール(GPS以外の電波情報を処理する装置であり、
図4における「通信アンテナ/モジュール」が相当する)等がある。
(本実施例の外部通信ユニット):本実施例には、外部通信ユニットが親機(トラクタ側)にある。この親機に対して子機(圃場に設置)があり、親機と子機はネット等にはつながっておらず、独立したものである。
また、子機には
図4のように土壌情報端末と気象情報端末がある。これらの子機は実際の圃場に設置しているもので、圃場の状態を監視して親機に送る。
【0038】
ここで情報通信端末にはGPSアンテナ又はモジュール、通信アンテナ又はモジュール、G(加速度)センサ、メモリー、電池などが配置されている端末である。
また、タッチパネル操作部を有する作業情報モニタと情報通信端末と外部通信ユニットは互いにCAN1で接続しており、また外部通信ユニットは車両以外の圃場毎の気象情報端末又は土壌情報端末と無線通信が可能なアンテナを備えている。またCAN1は外部接続カプラを介して作業機のECUと接続しており、作業機ECUは作業機のブーム伸縮位置、ブーム角度、薬液の液圧、液流量、液残量などの入力により液圧調整、ノズル切換え、ブーム伸縮、ブーム開閉などを行う電磁ソレノイドを作動できる構成になっている。
【0039】
車両のエンジンや走行系システムなどのコントロールをするECUで形成したLANシステム(車内LAN)と車両外部の様々なシステムと接続するLANシステムを少なくとも車両内のLANシステムと車両外のLANシステムを別のLANで構成し、車両の1つのECUが車両内のLANシステムと車両外のLANシステムの双方システムのLAN情報を共有可能にLANシステムに組み込んで、各々の情報を相互に提供可能にした。
【0040】
こうして車内LANシステム内に車両外から大量の情報が入ってくると、CAN1の通信ラインだけでなくCAN2の通信ラインの負荷率オーバーが発生して車内LAN情報が伝達不可能になる可能性があるので、上記
図4に示すように車外からLANで車内LANに通信できる情報は車外に配置した構成とすることで、これを防ぐことができる。
【0041】
また
図4に示すように車内LANと車外LANシステムには、少なくとも作業機ECUとの情報接続が可能になるようにLANシステムを構成した。
こうして、作業機ECUを用いて、作業機の制御をする場合に、LANにより配線を少なくして車両情報を提供でき、このため精密農法などのコントロールが安価に行えるようになる。
【0042】
圃場毎の気象情報端末又は土壌情報端末などの圃場情報端末及び作業機側の情報端末は、必要な場合にのみ、車内LANに取り入れ得ることができるように車外LANシステムに接続している。
【0043】
車内LANシステム内に車両の外から大量の情報が入ってくると、通信ラインの負荷率オーバーが発生して車内LAN情報が伝達不可能になる可能性があるので、
図4に示すように圃場毎の気象情報端末又は土壌情報端末などの圃場情報端末及び作業機側の情報端末は、必要な場合に車内LANに前記端末からの圃場情報と作業機側の情報を取り入れ得ることができるように車外LANシステムに接続しているので、前記情報通信端末に入ってくる情報量がトラクタ側のコントロールシステムの作動に影響を与えないようにすることで車両運転中の情報伝達が確実になる。
【0044】
また、少なくとも圃場周辺に設置された気象情報端末又は土壌成分情報端末が発信する情報を受信可能な端末を車内LAN内に設置することで前記車外の各種情報端末から発信可能な情報が、格段に増加し、精密農法に寄与出来る情報を基地局内で受信してデータベースなどとして活用できる。さらにこのような構成にすることで、車両内にその情報を蓄えるメモリーの設置が不要となる。
【0045】
上記気象情報端末又は土壌成分情報端末が発信する情報を受信可能な端末は、車内LANに設けられる車外LANからの情報を受ける領域(情報通信端末と外部通信ユニット)に設置することで、気象情報端末又は土壌成分情報端末が発信する情報が多量であっても、これらの情報を受信した
際に車両コントロールシステムには影響を及ぼさないようにできる。
【0046】
なお
図4に示す作業機の基本動作で必要な内容をメモリーに入力出来るタッチパネル操作部を車内の作業情報モニタに備えているので、通信ラインCAN1を介して作業機の操作を行うことができる。そして
図5(a)に示すように前記タッチパネル操作部で入力された情報はCAN1を介して、走行系ECU及び作業機昇降系ECUに伝達し、走行系及び作業機昇降系の制御に利用する。また、
図5(b)に示すようにエンジンECUや作業機ECUが故障すると、故障時記録用のメモリーにその内容を記録しておき、その記録され
た故障内容をメーカに報告することができる。
【0047】
各種の入手情報は、車両内で管理できる基礎情報、車両内で把握できる運転情報、作業機から入手する気象・土壌などの情報をそれぞれ別々に決めたフォームで独立管理できるように構成し、各々のメモリーの決められた別のエリアで保存管理するように構成した。
上記構成にすることで、基礎的な車両情報、車両の運転情報的なデータ、作業機情報、圃場情報毎に各々分類してメモリーに保存することができ、必要なシステムのみを容易に取り出すことができ、メモリーだけの増設も可能である。
【0048】
車両側のシステムにはハードディスクなどの外部メモリーを設置し、多様な情報を一次的に保管出来るようにしているので、必要なときにデータの発信、受信確認ができ、車内のECUに余分なメモリーを設けなくても、情報の送受信ができる。
【0049】
また前記外部メモリーは車内側システムの情報通信端末に増設可能にしておけば、該情報通信端末でコントロールが可能となり、車両ECUの負担が軽くなる。またプログラム容量やメモリーのコストが情報端末活用者に応じて選択できる。
【0050】
なお、外部メモリーは前記情報通信端末に増設可能な構成とすると、情報通信端末部で外部から入ってくる情報のコントロールが可能となり、車両ECUの負担が軽くなる。プログラム容量の調整やメモリーのコスト負担が情報端末活用者によって適宜選択できるようになる。
型式ごとに設定された使用条件、使用範囲(気象データ、圃場条件など)から逸脱し、トラクタを動かした際には、警告メ
ッセージを表示する設定とする。例えば、積雪がある状態で、ノーマル(スクレーパ等の特殊なものがついていない状態)のセミクローラ(前輪は車輪で後輪がクローラ)を稼働させた場合に、気温が高くなって雪が機体に付着しやすい気温であると、「雪作業をする際にはスクレーパが必要」などの警告メッセージを表示する。
図6には、例示の制御フローチャートを示す。
【0051】
また、作業毎に作業機を使用したトータルの時間が予め決めてある一定時間毎にメンテナンスを勧める表示をモニタに出力する。これは移動やアイドリングと比較して、作業機を取り付けて行う実作業が、機体にとって最も負荷が高く、また故障の原因となるケースが最も多いので、作業機を取り付けて行う実作業時間に限定して判断することでより精度の高いメンテナンス指示を表示することができる。
【0052】
さらに、サーバーを介してトラクタの調子伺いを行うように、トラクタメーカの担当者に指示を促す表示をすると、トラクタメーカの担当者は、ユーザがメーカへ問い合わせをしようとする時期に、タイムリーにユーザを訪問することができる。
【0053】
例えば、
図3で説明したように、車両から入手する情報を収集してデータの分析・加工を行い、(1)自動車・建設機械と同類の情報、(2)農業機械特有の情報、(3)農業特有の情報などを得る。ここで前記(1)自動車・建設機械と同類の情報、例えば車両運転情報、稼働時間の収集、燃費の収集、故障情報など、及び(2)農業機械特有の情報、例えば作業機毎の稼働情報、作業機消費財情報、作業運転経路情報、作業機毎の車速情報など、及び(3)農業特有の情報、例えば圃場毎の気象情報、圃場毎の土壌情報などのデータに基づき、これらのデータの分析・加工により、(a)例えば事故発生情報提供、盗難追跡情報提供などの自動車・建設機械と同類の情報、及び(b)故障修理の迅速対応、消耗部品時期案内などメンテナンス時期案内の情報の提供、及び(c)圃場毎の気象情報、圃場毎の土壌情報等の燃費を節約するためのエコノミーな運転推奨案内などの情報をユーザに提供することができる。