(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、エリアワンセグのような狭域を配信対象とする放送がどこで提供されているのか、どこに行けば受信できるのかをユーザが事前に把握することは容易ではなかった。また、ユーザは、放送番組を受信するためのチューニング等が面倒であった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、情報が配信される場所を事前に把握し、スムーズにユーザへの情報の提供を開始するために好適な情報提供装置、情報提供システム、及び、情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る情報提供装置は、
現在位置を測位する測位部と、
第1の路側無線装置を介して、実行できるアプリケーション又は再生できるコンテンツタイプを含むクライアント情報を配信サーバに送信するクライアント情報送信部と、
前記第1の路側無線装置を介して、コンテンツデータが配信される配信エリアと、前記配信に用いられるチャンネルとを指定する配信情報を前記配信サーバから受信する配信情報受信部と、
前記受信した配信情報に基づいて、前記コンテンツデータを受信するチャンネルを設定する設定部と、
第2の路側無線装置から、前記設定したチャンネルで前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信部と、
前記測位部により測位した現在位置が、前記受信した配信情報によって指定される配信エリア内にある場合に、前記受信したコンテンツデータを再生する再生部と、
地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記記憶されている地図データと、前記測位された現在位置とに基づいて、走行する道路を案内するナビゲーション部と、
前記受信した配信情報によって指定される配信エリアを、前記ナビゲーション部による案内の目的地又は経由地に設定する設定部と、
を備えることを特徴とする。
この目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る情報提供装置は、
現在位置を測位する測位部と、
第1の路側無線装置を介して、実行できるアプリケーション又は再生できるコンテンツタイプを含むクライアント情報を配信サーバに送信するクライアント情報送信部と、
前記第1の路側無線装置を介して、コンテンツデータが配信される配信エリアと、前記配信に用いられるチャンネルとを指定する配信情報を前記配信サーバから受信する配信情報受信部と、
前記受信した配信情報に基づいて、前記コンテンツデータを受信するチャンネルを設定する設定部と、
第2の路側無線装置から、前記設定したチャンネルで前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信部と、
前記測位部により測位した現在位置が、前記受信した配信情報によって指定される配信エリア内にある場合に、前記受信したコンテンツデータを再生する再生部と、
を備え、
前記クライアント情報送信部は、前記第1の路側無線装置の通信圏内であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏外であるときに、前記クライアント情報を送信し、
前記配信情報受信部は、前記第1の路側無線装置の通信圏内であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏外であるときに、前記配信情報を受信し、
前記設定部は、前記第1の路側無線装置の通信圏内に入った後、前記第2の路側無線装置の通信圏内に入る前に、前記チャンネルを設定し、
前記コンテンツ受信部は、前記第1の路側無線装置の通信圏外であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏内であるときに、前記コンテンツデータを受信する、
ことを特徴とする。
【0009】
前記配信情報は、前記コンテンツデータを再生する日時を指定する情報を更に含んでいてもよい。
また、現在
日時を計時する計時部を更に備えてもよい。
そして、前記再生部は、前記計時した現在日時が、前記受信した配信情報によって指定される日時と合致する場合に、前記受信したコンテンツデータを再生してもよい。
【0010】
前記配信情報は、前記コンテンツデータによる放送番組の内容を示す情報を更に含んでいてもよい。
また、ユーザの嗜好を示す嗜好情報を記憶する嗜好情報記憶部を更に備えてもよい。
そして、前記再生部は、前記受信した配信情報によって示される放送番組の内容と、前記記憶された嗜好情報とが合致する場合に、前記受信したコンテンツデータを再生してもよい。
【0011】
前記再生部は、前記受信したコンテンツデータの品質が所定の基準を満たす場合に、前記受信したコンテンツデータを再生してもよい。
【0014】
本発明の第
3の観点に係る情報提供システムは、車両に搭載された車載器と、配信サーバと、道路に設置された第1の路側無線装置及び第2の路側無線装置とを有する情報提供システムであって、
前記車載器は、
現在位置を測位する測位部と、
前記第1の路側無線装置を介して、前記車載器が実行できるアプリケーション又は前記車載器が再生できるコンテンツタイプを含むクライアント情報を前記配信サーバに送信するクライアント情報送信部と、
を備え、
前記配信サーバは、
前記車載器に送信するコンテンツデータを予め記憶する記憶部と、
前記第1の路側無線装置を介して、前記クライアント情報を受信するクライアント情報受信部と、
前記受信したクライアント情報に基づいて、前記記憶されているコンテンツデータを前記車載器が再生できるか否かを判別する判別部と、
前記記憶されているコンテンツデータを前記車載器が再生できると判別した場合に、前記記憶されているコンテンツデータが配信される配信エリアと、前記配信に用いられるチャンネルとを指定する配信情報を、前記第1の路側無線装置を介して前記車載器に送信する配信情報送信部と、
前記第2の路側無線装置を介して、前記指定したチャンネルで前記コンテンツデータを配信する配信部と、
を備え、
前記車載器は、
前記第1の路側無線装置を介して、前記配信情報を前記配信サーバから受信する配信情報受信部と、
前記受信した配信情報に基づいて、前記コンテンツデータを受信するチャンネルを設定する設定部と、
前記第2の路側無線装置から、前記設定したチャンネルで前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信部と、
前記測位部により測位した現在位置が、前記受信した配信情報によって指定される配信エリア内にある場合に、前記受信したコンテンツデータを再生する再生部と、
地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記記憶されている地図データと、前記測位された現在位置とに基づいて、走行する道路を案内するナビゲーション部と、
前記受信した配信情報によって指定される配信エリアを、前記ナビゲーション部による案内の目的地又は経由地に設定する設定部と、
を更に備える、
ことを特徴とする。
本発明の第4の観点に係る情報提供システムは、車両に搭載された車載器と、配信サーバと、道路に設置された第1の路側無線装置及び第2の路側無線装置とを有する情報提供システムであって、
前記車載器は、
現在位置を測位する測位部と、
前記第1の路側無線装置の通信圏内であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏外であるときに、前記第1の路側無線装置を介して、前記車載器が実行できるアプリケーション又は前記車載器が再生できるコンテンツタイプを含むクライアント情報を前記配信サーバに送信するクライアント情報送信部と、
を備え、
前記配信サーバは、
前記車載器に送信するコンテンツデータを予め記憶する記憶部と、
前記第1の路側無線装置を介して、前記クライアント情報を受信するクライアント情報受信部と、
前記受信したクライアント情報に基づいて、前記記憶されているコンテンツデータを前記車載器が再生できるか否かを判別する判別部と、
前記記憶されているコンテンツデータを前記車載器が再生できると判別した場合に、前記記憶されているコンテンツデータが配信される配信エリアと、前記配信に用いられるチャンネルとを指定する配信情報を、前記第1の路側無線装置を介して前記車載器に送信する配信情報送信部と、
前記第2の路側無線装置を介して、前記指定したチャンネルで前記コンテンツデータを配信する配信部と、
を備え、
前記車載器は、
前記第1の路側無線装置の通信圏内であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏外であるときに、前記第1の路側無線装置を介して、前記配信情報を前記配信サーバから受信する配信情報受信部と、
前記第1の路側無線装置の通信圏内に入った後、前記第2の路側無線装置の通信圏内に入る前に、前記受信した配信情報に基づいて、前記コンテンツデータを受信するチャンネルを設定する設定部と、
前記第1の路側無線装置の通信圏外であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏内であるときに、前記第2の路側無線装置から、前記設定したチャンネルで前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信部と、
前記測位部により測位した現在位置が、前記受信した配信情報によって指定される配信エリア内にある場合に、前記受信したコンテンツデータを再生する再生部と、
を更に備える、
ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第
5の観点に係る情報提供方法は、
現在位置を測位する測位ステップと、
第1の路側無線装置を介して、実行できるアプリケーション又は再生できるコンテンツタイプを含むクライアント情報を配信サーバに送信するクライアント情報送信ステップと、
前記第1の路側無線装置を介して、コンテンツデータが配信される配信エリアと、前記配信に用いられるチャンネルとを指定する配信情報を前記配信サーバから受信する配信情報受信ステップと、
前記受信した配信情報に基づいて、前記コンテンツデータを受信するチャンネルを設定する設定ステップと、
第2の路側無線装置から、前記設定したチャンネルで前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信ステップと、
前記測位した現在位置が、前記受信した配信情報によって指定される配信エリア内にある場合に、前記受信したコンテンツデータを再生する再生ステップと、
地図データを記憶する地図データ記憶ステップと、
前記記憶されている地図データと、前記測位された現在位置とに基づいて、走行する道路を案内するナビゲーションステップと、
前記受信した配信情報によって指定される配信エリアを、前記ナビゲーションステップによる案内の目的地又は経由地に設定する設定ステップと、
を備えることを特徴とする。
本発明の第6の観点に係る情報提供方法は、
現在位置を測位する測位ステップと、
第1の路側無線装置を介して、実行できるアプリケーション又は再生できるコンテンツタイプを含むクライアント情報を配信サーバに送信するクライアント情報送信ステップと、
前記第1の路側無線装置を介して、コンテンツデータが配信される配信エリアと、前記配信に用いられるチャンネルとを指定する配信情報を前記配信サーバから受信する配信情報受信ステップと、
前記受信した配信情報に基づいて、前記コンテンツデータを受信するチャンネルを設定する設定ステップと、
第2の路側無線装置から、前記設定したチャンネルで前記コンテンツデータを受信するコンテンツ受信ステップと、
前記測位した現在位置が、前記受信した配信情報によって指定される配信エリア内にある場合に、前記受信したコンテンツデータを再生する再生ステップと、
を備え、
前記クライアント情報送信ステップでは、前記第1の路側無線装置の通信圏内であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏外であるときに、前記クライアント情報を送信し、
前記配信情報受信ステップでは、前記第1の路側無線装置の通信圏内であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏外であるときに、前記配信情報を受信し、
前記設定ステップでは、前記第1の路側無線装置の通信圏内に入った後、前記第2の路側無線装置の通信圏内に入る前に、前記チャンネルを設定し、
前記コンテンツ受信ステップでは、前記第1の路側無線装置の通信圏外であり、且つ、前記第2の路側無線装置の通信圏内であるときに、前記コンテンツデータを受信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、情報が配信される場所を事前に把握し、スムーズにユーザへの情報の提供を開始するために好適な情報提供装置、情報提供システム、及び、情報提供方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態に係る情報提供システムを、ITSを例に説明する。
【0019】
まず、本実施形態のITSの構成の概略を説明する。ITSは、
図1に示すように、道路や駐車場などの車両が通行する場所の近傍に配置された路側無線装置100と、車両に搭載され、路側無線装置100との間で通信しユーザ(ドライバー)に交通情報等を提供する車載器200と、交通情報等を生成して路側無線装置100に配信する配信サーバ300と、を備える。路側無線装置100は、一般に、ITSスポットなどとも呼ばれる。
【0020】
また、本実施形態のITSは、携帯端末向けの地上デジタル放送である、いわゆる「ワンセグ」の技術を使って、広域を対象とするテレビ局とは違って、イベント会場など狭いエリアに限定して映像やデータを配信するサービスをユーザに提供する。このサービスは、一般に「エリアワンセグ」「ワンセグメント・ローカルサービス」などと呼ばれる。
【0021】
図2に、高速道路のサービスエリアを配信対象とするエリアワンセグのサービスをユーザに提供するITSの構成例を示す。路側無線装置100には、予告用路側無線装置100Aと番組用路側無線装置100Bの2種類がある。サービスエリアの入り口には、放送番組を構成するコンテンツデータが配信されるエリア(配信エリア)、コンテンツデータが配信される日時あるいは期間(配信日時)、配信されるコンテンツ(配信内容)などを規定するエリアワンセグ情報を、車載器200を搭載した車両が配信エリアに達する前に配信するための予告用路側無線装置100Aが、上り車線と下り車線の両方に設置されている。また、サービスエリア内には、配信エリアの中にある車載器200にエリアワンセグにより放送番組を配信する番組用路側無線装置100Bが、上り車線と下り車線の両方に設置されている。予告用路側無線装置100Aと番組用路側無線装置100Bと配信サーバ300は、所定の通信網(ITS通信網)によって繋がれている。
【0022】
サービスエリアに進入する車両の車載器200には、その車載器200がエリアワンセグに対応している場合、予告用路側無線装置100Aからエリアワンセグ情報がプッシュ配信される。プッシュ配信では、受信側の明示的な要求が無くても、データの送受信が行われる。このエリアワンセグ情報を受信した車載器200は、エリアワンセグ情報に従い、車両が配信エリアの中に到達する前に、ユーザがワンセグによる放送番組を視聴できるための準備を行う。この準備には、例えば、エリアワンセグを再生するためのソフトウェアアプリケーションの起動やチャンネルの設定などが含まれる。そして、エリアワンセグの配信エリアに車両が達すると、エリアワンセグによるユーザへの情報の提供が開始される。
【0023】
配信エリア内のエリアワンセグに対応している車載器200には、エリアワンセグによる放送番組ためのコンテンツデータが番組用路側無線装置100Bからプッシュ配信される。コンテンツデータには、例えば、サービスエリアの案内、高速道路の案内、観光案内、交通情報、気象情報、広告等の、静止画像、動画像、音声、テキストのデータが含まれる。車載器200は、コンテンツデータを受信し、再生する。ユーザは、エリアワンセグによる放送番組を視聴できる。車両が配信エリアから出ると、車載器200はコンテンツデータの再生を終了する。
【0024】
次に、配信サーバ300のハードウェア構成について説明する。配信サーバ300は、路側無線装置100毎に交通情報等を生成して配信する装置であり、
図3に示すように、入力部301、出力部302、通信制御部303,304,記憶部305、制御部306、ROM(Read Only Memory)307、RAM(Random Access Memory)308、及び、システムバス309を備える。
【0025】
入力部301は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、種々のデータや指示を入力する。
【0026】
出力部302は、表示装置などから構成され、様々な画像やテキストメッセージなどを表示する。
【0027】
第1の通信制御部303は、電話回線、インターネット等の一般通信網NW1を介して外部装置と種々の情報を送受信する。
【0028】
第2の通信制御部304は、ITS通信網NW2を介して複数の路側無線装置100に接続され、各路側無線装置100に交通情報等を送信する。また、第2の通信制御部304は、ITS通信網NW2を介して路側無線装置100が車載器200との間で通信することにより得た情報を受信する。
【0029】
記憶部305は、ハードディスク装置等を備える。記憶部305は、各路側無線装置100の位置やアドレス等のほか、各路側無線装置100の近傍の地理情報や、各路側無線装置100に配信する様々なコンテンツデータを予め記憶する。例えば、記憶部305には、エリアワンセグにより車載器200に送信するコンテンツデータが予め記憶される。コンテンツデータは、エリアワンセグサービスの管理者により随時更新される。
【0030】
制御部306は、プロセッサ等から構成され、配信サーバ300全体の動作を制御する。また、制御部306は、路側無線装置100のそれぞれについて、記憶部305に格納されている各種情報に基づいて、路側無線装置100から車載器200へ配信する情報を作成し、第2の通信制御部304を制御してITS通信網NW2を介して路側無線装置100に供給する。
【0031】
ROM307は、配信サーバ300全体の制御に必要なオペレーティングシステム(OS)や各種のデータを記憶する。
【0032】
RAM308は、制御部306のワークエリアとして機能する。
【0033】
システムバス309は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0034】
次に、路側無線装置100のハードウェア構成について説明する。
図4に示すように、路側無線装置100は、無線通信部101、通信制御部102、記憶部103、制御部104、ROM105、RAM106、及び、システムバス107を備える。
【0035】
各路側無線装置100は、道路近傍や駐車場等に配置され、近傍を通過する車両の車載器200に、DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式により、コンテンツデータを送信する。コンテンツデータには、画像、音声、テキストなどのデータが含まれる。
【0036】
無線通信部101は、光信号等の無線信号により、近傍を通過する車両に設置された車載器200との間でデータを送受信する。無線通信部101は、配信サーバ300より提供された交通情報やコンテンツデータを車載器200に送信する。
【0037】
通信制御部102は、ITS通信網NW2を介して配信サーバ300に接続され、配信サーバ300から送信される交通情報等を受信する。また、通信制御部102は、自機が取得した交通情報等を、配信サーバ300に送信する。
【0038】
記憶部103は、配信サーバ300から受信した交通情報や、自機固有の交通情報等を格納する。各路側無線装置100は、送信対象のコンテンツデータを配信サーバ300から取得し、予め記憶部103に記憶していてもよい。
【0039】
制御部104は、プロセッサ等から構成され、路側無線装置100全体の動作を制御する。制御部104は、記憶部103に格納されている交通情報を、無線通信部101により車載器200へ送信し、無線通信部101により取得した車載器ID等を記憶部103に格納する。また、制御部104は、記憶部103に格納されている自機が取得した交通情報等を、通信制御部102を制御してITS通信網NW2を介して配信サーバ300に送信し、配信サーバ300から通信制御部102により取得した情報を記憶部103に格納する。
【0040】
ROM105は、路側無線装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムや各種のデータを記憶する。
【0041】
RAM106は、制御部104のワークエリアとして機能し、様々なデータを一時的に記憶する。
【0042】
システムバス107は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0043】
次に、車載器200のハードウェア構成について説明する。車載器200は、
図5に示すように、通信部201、音声処理部202、出力部203、操作部204、I/O(Input/Output)部205、記憶部206、制御部207、ROM208、RAM209、及び、システムバス210を備える。
【0044】
車載器200は、車両の中に設置され、例えば、カーナビゲーション装置と一体に構成される。車載器200は、一般的なカーナビゲーションの機能と共に、路側無線装置100から送信された交通情報等を再生して報知する機能を備える。また、車載器200は、路側無線装置100からDSRC方式の無線通信により送信されてくるコンテンツデータを受信し、再生する。
【0045】
通信部201は、GPS(Global Positioning System)モジュール201a、VICS(Vehicle Information and Communication System;登録商標)モジュール201b、ETCモジュール201cを含む。また、通信部201は、DSRC方式により路側無線装置100との間でデータを送受信する。
【0046】
GPSモジュール201aは、複数のGPS衛星からのGPS電波を受信し、制御部207に供給する。制御部207は、GPSモジュール201aを制御して、車載器200が存在する位置の緯度と経度を測位する。
【0047】
VICSモジュール201bは、路側無線装置100との間でDSRC方式により通信し、交通情報の送受信を行う。
【0048】
ETCモジュール201cは、路側無線装置100と料金の決済を行うためのデータを送受信する。制御部207は、ETCモジュール201cを制御して、料金所や商業施設に設置された路側無線装置100と通信し、車載器200に挿入されたクレジットカードを用いて決済する処理を行う。
【0049】
音声処理部202は、制御部207から入力されたディジタルオーディオ信号をD/A(Digital/Analog)コンバータ(図示せず)でアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ222に出力する。また、音声処理部202は、マイクロフォン223から入力された音声をA/D(Analog/Digital)コンバータ(図示せず)でディジタルオーディオ信号に変換して、制御部207に入力する。これにより、ユーザはナビゲーション等の音声を聞いたり、音声を入力したりすることができる。さらに、音声処理部202は、TTS(Text-to-Speech)形式で作成されたデータを使って音声を合成し、出力することができる。TTS形式のデータは、路側無線装置100からプッシュ配信されてもよいし、予め記憶部206に記憶されていてもよい。
【0050】
出力部203は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニタ装置を備え、エリアワンセグによる放送の映像、通信部201により取得されたナビゲーション画像、あるいは記憶部206等に予め記憶されたマップ画像などを表示する。
【0051】
操作部204はタッチパネル式入力装置などから構成され、ユーザによる指示入力に基づいて指示入力信号を生成して、制御部207に入力する。典型的には、LCDの表面にタッチパネルが重畳して配置されており、ユーザは、タッチパネル表面のうち、画面に表示されたボタン(ソフトウェアボタン)画像上の部分を指でタッチして、所望の指示を入力することができる。以下の説明において、ユーザがタッチパネル表面のうちのボタン画像上の部分を指でタッチすることを、簡単に「ユーザがボタンを押す」と表現する。
【0052】
I/O部205は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)ドライブを含み、地図データなどを納めたDVD−ROMやCD−ROMからデータを読み出して制御部207に入力する。また、I/O部205は、速度センサ、走行距離センサ、方位センサ等のセンサ群225からの検出信号を取得し、制御部207に供給する。
【0053】
記憶部206は、ハードディスクドライブ(HDD)を含み、地図データや、車載器200に予め割り当てられた固有の番号である車載器IDなどの各種設定情報、ナビゲーションに用いる目的地候補の名称、位置、住所、電話番号等を格納するナビゲーションデータベースを記憶する。記憶部206は、ユーザによって着脱可能なフラッシュメモリカードなどの他のメモリを備えていてもよい。制御部207は、地図データを記憶したDVD−ROM等の記憶媒体から随時この地図データを読み出してもよいし、記録媒体から予めこの地図データを読み出して記憶部206に書き込んでおく(インストールしておく)ようにしてもよい。あるいは、地図データは、HDDやフラッシュメモリカードに予め記憶されていてもよい。
【0054】
制御部207は、CPU(Central Processing Unit)から構成され、車載器200全体の動作を制御する。例えば、制御部207は、GPSモジュール201aを介して受信したGPS信号に基づいて、車両の現在位置を判別する。制御部207は、センサ群225に含まれている方向センサの出力をI/O部205を介して取り込み、車両の進行方向を判別する。制御部207は、距離センサの出力から走行距離を求める。また、制御部207は、VICSモジュール201bを介して路側無線装置100からの交通情報を受信し、再生する。さらに、制御部207は、路側無線装置100からエリアワンセグにより配信されたコンテンツデータを再生し、様々な情報をユーザに提供する。なお、制御部207は、コプロセッサ等を備えても良い。
【0055】
ROM208は、車載器200全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータを記録する。
【0056】
RAM209は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、通信部201により取得されたデータ、DVD−ROMから読み出したデータ等を記憶する。また、制御部207は、RAM209をワークメモリとして使用する。
【0057】
システムバス210は、上記各部を相互に接続し、命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0058】
次に、本実施形態のITSによって実行される情報提供処理について説明する。本実施形態では、
図2に示すように、複数の路側無線装置100が高速道路のサービスエリアに設置されており、この情報提供処理によって、サービスエリア内で停車あるいは走行している車載器200にエリアワンセグによるコンテンツデータの配信が行われる。
【0059】
車載器200を搭載した車両が予告用路側無線装置100Aの通信圏内に入ると、車載器200の制御部207は、所定のプロトコル確立処理を行った後、車載器IDと共に、クライアント情報通知コマンドを予告用路側無線装置100Aに送信する。クライアント情報通知コマンドは、車載器200が再生可能なソフトウェアアプリケーション(以下、「アプリケーション」という。)の形式(以下、「アプリケーションタイプ」という。)、及び/又は、車載器200が再生可能なコンテンツデータの形式(以下、「コンテンツタイプ」という。)を配信サーバ300へ通知するコマンドである。配信サーバ300は、受信したクライアント情報通知コマンドから、車載器200が再生することができるアプリケーションやコンテンツの種類を判別することができる。そして、配信サーバ300は、判別結果に基づいて、車載器200にコンテンツデータを送信するか、あるいは送信しないかを制御することができる。
【0060】
図6と
図7に、クライアント情報通知コマンドを構成するパケットのデータ構造の例を示す。アプリケーションタイプリスト610には、車載器200がサポートするアプリケーションタイプがリスト形式で格納される。リスト長は、アプリケーションタイプリスト610を構成するデータの全バイト数である。そして、リスト長の後に、車載器200が実行可能なアプリケーションを示す、第1のアプリケーションタイプを示す値、第2のアプリケーションタイプを示す値、第Nのアプリケーションタイプを示す値(Nは1以上の整数)などが格納される。制御部207は、車載器200に既にインストールされ実行することができるアプリケーションを判別し、判別結果に基づいてアプリケーションタイプリスト610を作成する。
【0061】
図8に、アプリケーションタイプと、アプリケーションを表す識別子と、アプリケーションタイプに対応付けられる値を示す。例えば、車載器200がVICSフォーマットのデータを処理するアプリケーション(識別子“vics”)と、エリアワンセグによって配信されるコンテンツデータを再生するアプリケーション(識別子“area-1seg”)との2つを実行可能である場合には、制御部207は、リスト長を“0x03”(=0x02+0x01)とし、第1のアプリケーションタイプを表す“0x08”と、第2のアプリケーションタイプを表す“0x0D”とを並べた値“0x03080D”を、アプリケーションタイプリスト610に格納する。記号“0x”は16進数であることを表す。
【0062】
また、
図9に示すように、コンテンツタイプリスト620には、車載器200がサポートするコンテンツタイプがリスト形式で格納される。リスト長は、コンテンツタイプリスト620を構成するデータの全バイト数である。そして、リスト長の後に、第1のコンテンツタイプを示す値、第2のコンテンツタイプを示す値、第Nのコンテンツタイプを示す値(Nは1以上の整数)などが格納される。制御部207は、車載器200がデコードすることができるコンテンツタイプを判別し、判別結果に基づいてコンテンツタイプリスト620を作成する。
【0063】
図10に、コンテンツタイプと、コンテンツを表す識別子と、コンテンツタイプに対応付けられる値を示す。例えば、車載器200が、TTS形式の音声データ(識別子“text/tts”)と、JPEG形式の画像データ(識別子“image/jpeg”)と、エリアワンセグ用のコンテンツデータ(識別子“dsrc/area-1seg”)との3つをデコード可能である場合には、制御部207は、リスト長を“0x04”(=0x03+0x01)とし、第1のコンテンツタイプを表す“0x08”と、第2のコンテンツタイプを表す“0x11”と、第3のコンテンツタイプを表す“0x8C”とを並べた値“0x0408118C”を、コンテンツタイプリスト620に格納する。
【0064】
本実施形態の車載器200は、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するためのアプリケーションを実行可能であり、アプリケーションタイプリスト610には、少なくとも、識別子“app/area-1seg”に対応するアプリケーションを表す値が含まれる。また、コンテンツタイプリスト620には、少なくとも、識別子“dsrc/area-1seg”に対応するコンテンツを表す値が含まれる。
【0065】
そして、制御部207は、上記のように作成したアプリケーションタイプリスト610とコンテンツタイプリスト620を格納したクライアント情報通知コマンドを、予告用路側無線装置100Aに送信する。予告用路側無線装置100Aの制御部104は、クライアント情報通知コマンドを車載器200から受信し、配信サーバ300に転送する。配信サーバ300の制御部306は、車載器IDと対応付けて、アプリケーションタイプリスト610とコンテンツタイプリスト620を記憶部305に記憶する。配信サーバ300は、どの車載器200がどのようなアプリケーションを実行可能であるのか、あるいはどのようなデータをデコード可能であるのかを判別することができる。
【0066】
図6〜10はそれぞれ例示に過ぎず、他のデータ構造を採用してもよいし、他の構成を有するアプリケーションタイプリスト610とコンテンツタイプリスト620を用いてもよい。制御部207は、アプリケーションタイプリスト610とコンテンツタイプリスト620を予め作成して記憶部206に記憶しておき、適宜読み出してクライアント情報通知コマンドを送信してもよい。
【0067】
配信サーバ300の制御部306は、車載器200がエリアワンセグのコンテンツデータを再生できると判別した場合には、予告用路側無線装置100Aを介して、その車載器200に、配信エリアなどを含むエリアワンセグ情報をプッシュ配信する。一方、車載器200がエリアワンセグのコンテンツデータを再生できないと判別した場合には、制御部306は、その車載器200にエリアワンセグ情報を配信しない。
【0068】
図11に、エリアワンセグ情報が格納されるプッシュ配信コマンドを構成するパケットのデータ構造を示す。プッシュIDは、コンテンツデータに付与される識別符号であり、本実施形態では、1バイトで表現できる数値(例えば0から255までの整数)が用いられる。同時に再生すべきコンテンツデータの組み合わせは、動画像データ、静止画像データ、音声データ、テキストデータ等の数種類程度の組み合わせであり、通常、同時に再生すべきデータ数は数個〜数十個程度である。このため、識別符号をサイクリックに使用することで、プッシュIDを1バイトで表現することができる。
【0069】
コンテンツサイズは、1つのコンテンツを構成するパケットの総数で表される。例えば、ある動画像データがX個のパケットに分割して送受信される場合には、コンテンツサイズは“X”である。プッシュボディの長さは、プッシュボディ、すなわち送信されるデータの本体部分の長さである。このプッシュボディにエリアワンセグ情報が格納される。
【0070】
エリアワンセグ情報には、円形で定められる配信エリアの中心位置の緯度経度と半径の長さとで表される配信エリア情報と、エリアワンセグに用いられる周波数を規定するチャンネル番号を含むチャンネル情報と、配信される放送番組の内容と、番組が配信される日時とが含まれる。
【0071】
車載器200の制御部207は、車両が配信エリアに到達する前に、受信したエリアワンセグ情報に基づいて、エリアワンセグのコンテンツデータの配信エリア、チャンネル、配信内容、配信日時等を判別することができる。従って、車載器200は、GPSによって現在位置を測位することにより、車両が配信エリアに到達する前に、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するための準備処理を行うことができ、ユーザに直ちにエリアワンセグによる情報提供を開始することができる。また、車載器200は、予め決められた場所やタイミングで、エリアワンセグによる情報提供を行うことができる。
【0072】
次に、車載器200、配信サーバ300、無線路側装置100が協働して実行する情報提供処理の流れについて、
図12のフローチャートを用いて説明する。なお、フローチャートには明示的に記載されていないが、車載器200は、バックグラウンドで現在位置を常に測位している。
【0073】
まず、車載器200の制御部207は、車載器200が予告用路側無線装置100Aの通信圏内に入ったか否かを判別する(ステップS1201)。例えば、制御部207は、DSRCに用いる周波数を有する電波の受信強度が所定値以上であれば、通信圏内であると判別する。
【0074】
車載器200が予告用路側無線装置100Aの通信圏内に入っていないと判別した場合(ステップS1201;NO)、制御部207は、車載器200が予告用路側無線装置100Aの通信圏内に入るまで待機する。車載器200が予告用路側無線装置100Aの通信圏内に入ったと判別した場合(ステップS1201;YES)、路側無線装置100と車載器200と配信サーバ300は、DSRCによる通信を確立する処理(DSRC接続処理)を行う(ステップS1202)。
【0075】
車載器200の制御部207は、上述のクライアント情報通知コマンドを、予告用路側無線装置100Aを介して配信サーバ300に送信する(ステップS1203)。配信サーバ300の制御部306は、予告用路側無線装置100Aを介して車載器200からクライアント情報通知コマンドを受信する(ステップS1204)。
【0076】
配信サーバ300の制御部306は、受信したクライアント情報通知コマンドに基づいて、車載器200がエリアワンセグのコンテンツデータが再生可能か否かを判別する(ステップS1205)。例えば、制御部306は、アプリケーションタイプリスト610の中にエリアワンセグによって配信されるコンテンツデータを再生するアプリケーションを示す値が含まれており、且つ、コンテンツタイプリスト620の中にエリアワンセグ用のコンテンツデータをデコード可能であることを示す値が含まれている場合に、エリアワンセグのコンテンツデータが再生可能であると判別し、それ以外の場合に、エリアワンセグのコンテンツデータが再生できないと判別する。
【0077】
車載器200がエリアワンセグのコンテンツデータを再生できないと判別した場合(ステップS1205;NO)、ITSは情報提供処理を終了する。一方、車載器200がエリアワンセグのコンテンツデータを再生できると判別した場合(ステップS1205;YES)、配信サーバ300の制御部306は、上述のエリアワンセグ情報を格納したプッシュ配信コマンドを、予告用路側無線装置100Aを介して車載器200に送信する(ステップS1206)。車載器200の制御部207は、予告用路側無線装置100Aを介してプッシュ配信コマンドを受信する(ステップS1206)。
【0078】
車載器200の制御部207は、プッシュ配信コマンドに含まれるエリアワンセグ情報に基づいて、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するための準備を行う(ステップS1208)。具体的には、例えば、制御部207は、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するためのアプリケーションを起動し、エリアワンセグ情報で指定されたチャンネルに受信チャンネルを合わせる。そして、制御部207は、車載器200が配信エリア内に達するまで待機する。
【0079】
制御部207は、GPSにより測位した車載器200の現在位置が、エリアワンセグ情報で指定された配信エリア内か否かを判別する(ステップS1209)。
【0080】
現在位置が配信エリア内ではないと判別した場合(ステップS1209;NO)、制御部207は、現在位置が配信エリア内に達するまで待機する。一方、現在位置が配信エリア内であると判別した場合(ステップS1209;YES)、制御部207は、車載器200が有するリアルタイムクロックで計時した現在日時が、エリアワンセグ情報で指定された配信日時に含まれるか否かを判別する(ステップS1210)。
【0081】
現在日時が配信日時に含まれないと判別した場合(ステップS1210;NO)、ITSは、情報提供処理を終了する。一方、現在日時が配信日時に含まれると判別した場合(ステップS1210;YES)、制御部207は、エリアワンセグのコンテンツデータを番組用路側無線装置100Bから受信し、再生する(ステップS1211)。なお、配信日時で指定される期間内では、番組用路側無線装置100Bは、エリアワンセグのコンテンツデータを、エリアワンセグ情報で指定した所定のチャンネル(所定の周波数)でプッシュ配信、もしくはブロードキャストで配信している。
【0082】
エリアワンセグのコンテンツデータの再生を開始した後、制御部207は、GPSにより測位した車載器200の現在位置が、エリアワンセグ情報で指定された配信エリア内か否かを判別する(ステップS1212)。
【0083】
現在位置が配信エリア内であると判別した場合(ステップS1212;YES)、制御部207は、エリアワンセグのコンテンツデータの再生を続ける。現在位置が配信エリア内ではない、つまり車載器200が配信エリアの外に出たと判別した場合(ステップS1212;YES)、制御部207は、コンテンツデータの再生を終了し、ITSによる情報提供処理が終了する。
【0084】
本実施形態によれば、車載器200は、配信エリアに到達する前に、エリアワンセグのコンテンツデータの再生のための準備をしておくことができるので、配信エリアに到達すると、ユーザを待たせることなく、直ちに情報提供を開始することができる。また、ITSは、エリアワンセグの受信のためのチャンネルスキャンなどの手間をユーザにかけさせずに、簡単にエリアワンセグによる情報提供を行うことができる。ITSは、予め決められた配信エリアにおいて、予め決められた日時で、ユーザに情報を提供することができる。
【0085】
上記実施形態はあくまでも説明のためのものであり、本願発明の範囲を限定するものではない。
【0086】
上記実施形態では、同一のサービスエリア内に予告用路側無線装置100Aと番組用路側無線装置100Bが設置されているが、異なる場所に予告用路側無線装置100Aと番組用路側無線装置100Bが設置されていてもよい。例えば、高速道路の入り口や料金所に予告用路側無線装置100Aを設置し、サービスエリア内に番組用路側無線装置100Bを設置するようにし、予告用路側無線装置100Aが、高速道路にある複数のサービスエリアに対応するエリアワンセグ情報をまとめて車載器200に送信するようにしてもよい。
【0087】
上記実施形態では、高速道路のサービスエリアを配信エリアに設定しているが、配信エリアは、サービスエリアだけに限られず、料金所、パーキングエリア、インターチェンジ、ジャンクション、バスの停留所、観光名所の近くなどでもよい。また、高速道路以外に、一般道路沿いの道の駅、店舗など、任意の施設や場所付近であってもよい。
【0088】
車載器200は、受信したエリアワンセグ情報を、エリアワンセグの受信のための準備のために用いるだけでなく、カーナビゲーションシステムにおける目的地や経由地の設定に用いてもよい。例えば、制御部207は、高速道路の入り口に設置された予告用路側無線装置100Aからエリアワンセグ情報を受信すると、エリアワンセグ情報で指定される配信エリア(より詳細には、配信エリアの中心位置の緯度経度、もしくは、配信エリア内の道路沿いの任意地点の緯度経度)を、カーナビゲーションシステムにおける経由地に自動的に設定してもよい。これにより、ITSは、エリアワンセグを視聴できるエリアまで、容易にドライバーを案内することができるようになる。
【0089】
あるいは、制御部207は、制御部207は、高速道路の入り口に設置された予告用路側無線装置100Aからエリアワンセグ情報を受信すると、エリアワンセグ情報で指定される配信エリアを目的地又は経由地に設定するか否かをユーザに選択させるダイヤログボックスをモニタ装置に表示し、ユーザによる入力に応じて、配信エリアを目的地又は経由地に設定したり設定しなかったりする制御を行ってもよい。
【0090】
上記実施形態では、制御部207は、エリアワンセグ情報を受信すると、エリアワンセグによるコンテンツデータの再生の準備を自動的に開始しているが、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するか否かをユーザに選択させ、エリアワンセグのコンテンツデータを再生する旨が選択された場合に、再生の準備を開始するようにしてもよい。
【0091】
また、エリアワンセグによるコンテンツデータの再生の準備を自動的に開始するか否かの設定をユーザが予め行っておき、制御部207は、設定内容を記憶部206に予め記憶しておき、設定内容に基づいて、エリアワンセグによるコンテンツデータの再生の準備を行うか否かを判別するようにしてもよい。
【0092】
車載器200は、エリアワンセグ情報によって指定される配信内容と、ユーザにより予め設定された嗜好情報とに基づいて、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するか否かを判別することもできる。例えば、制御部207は、サービスエリアの案内、観光案内、広告、交通情報、気象情報、防災情報などの所定の項目の中から、再生することを指示する入力をユーザから受け付け、再生するコンテンツデータの種類を予め記憶部206に記憶しておく。そして、制御部207は、エリアワンセグ情報を受信すると、エリアワンセグ情報に指定される配信内容と、記憶部206に記憶した設定内容とを比較し、合致するコンテンツデータのみ再生する。これにより、車載器200は、ユーザの嗜好に応じて、特定の番組を再生するように(あるいは再生しないように)制御できるようになる。
【0093】
また、制御部207は、エリアワンセグ情報に指定される配信内容と、記憶部206に記憶した設定内容とを比較し、合致するコンテンツデータのみ受信し、合致しないコンテンツデータを受信しない、もしくは破棄するようにしてもよい。これにより、ITSは、情報提供処理の負荷を軽減することができる。
【0094】
制御部207は、受信したエリアワンセグ情報に含まれる配信日時と、計時した現在日時とを比較し、配信日時を過ぎたエリアワンセグ情報を自動的に削除してもよい。これにより、車載器200は、エリアワンセグ情報を記憶するために必要なメモリ領域を軽減することができ、また、情報提供処理の負荷を軽減することができる。
【0095】
制御部207は、受信したエリアワンセグ情報に含まれる配信エリアに車載器200が到達し、且つ、エリアワンセグのコンテンツデータを受信する電波の強度が所定値以上の場合に、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するように制御してもよい。
【0096】
あるいは、制御部207は、受信したエリアワンセグ情報に含まれる配信エリアに車載器200が到達し、且つ、エリアワンセグのコンテンツデータを受信する電波の強度が所定値以上の場合に、エリアワンセグのコンテンツデータの再生のための準備を開始するように制御してもよい。なお、制御部207は、ステップS1208の処理を省略し、代わりに、ステップS1210とステップS1211との間であって、且つ、電波の受信強度が所定値以上の場合に、同様の処理を行えばよい。
【0097】
電波の受信強度の代わりに、受信したコンテンツデータのエラー率が所定値以下の場合に、エリアワンセグのコンテンツデータを再生するように制御してもよい。例えば、1つのコンテンツを複数のパケットに分割して配信し、配信サーバ300が各パケットにCRC(Cyclic Redundancy Check)の値を入れ、車載器200の制御部207は、デコードして得た値とこのCRCの値が一致しない場合に、そのパケットがエラーであると判別する。CRCの代わりに、チェックサムを用いてもよい。そして、制御部207は、総パケット数に対する、エラーのコンテンツデータの数の割合を、エラー率としてもよい。電波の受信強度やエラー率といった値で表されるコンテンツデータの受信品質が所定の基準を満たすか否かによって再生の可否を制御することにより、ユーザに提供する情報の品質を管理できる。
【0098】
上記実施形態では、配信エリアは円形であるが、任意の形状であってもよい。例えば、配信エリアの形状は、緯度と経度が定められた4つの位置をそれぞれ頂点とする矩形であってもよい。また、矩形に限らず、任意の形状であってもよい。
【0099】
上記実施形態では、ITSはエリアワンセグによる放送番組をユーザに提供しているが、エリアワンセグに限らず、ローカルFM放送、ミニFM放送、コミュニティ放送などに本発明を適用することも可能である。
【0100】
車載器200を装置の全部又は一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、車載器200として動作させ、あるいは、車載器200が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0101】
以上説明したように、本発明によれば、情報が配信される場所を事前に把握し、スムーズにユーザへの情報の提供を開始するために好適な情報提供装置、情報提供システム、及び、情報提供方法を実現することができる。